説明

包装用容器

【課題】係止用舌片の差込作業性を低下させることなく係止用舌片を根元まで切り込み部内に差し込むことができる包装用容器を提供する。
【解決手段】包装用容器1は、透明な容器本体10と矩形状の台紙20とからなる。容器本体10は、商品を収納するための凹部11と、凹部11の周縁に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部12と、張出部12の左右両側が裏面側に折り返されて形成され、台紙20の左右両側縁が上下方向に相対移動自在に挿入される折り返し部13と、張出部12の上端縁に設けられた係止用舌片14と、張出部12の係止用舌片14との付け根部分に、係止用舌片14の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部16とを備える。台紙20は、下端部の左右両側縁が横幅方向にそれぞれ突出して容器本体10の下部と係合可能となった係止部21と、上部側に形成され、係止用舌片14が差し込まれる切り込み部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を収納するための凹部と、当該凹部周縁の少なくとも左右両側及び上側に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部とを備えた透明な容器本体と、前記張出部に表面が当接して前記凹部を塞ぐ台紙とからなる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
前記包装用容器として、従来、例えば、図8に示すようなものが知られており、この包装用容器100は、商品を収納するための凹部102と、この凹部102の周縁に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部103とを備えた透明な容器本体101と、容器本体101の張出部103の裏面に表面が当接して前記凹部102を塞ぐ台紙106とからなる(特開2005−75460号公報参照)。
【0003】
前記容器本体101は、張出部103の左右両側が裏面側(台紙106の当接側)に折り返されて形成され、当該台紙106の左右両側縁が上下方向に相対移動自在に挿入される折り返し部104と、張出部103の上端縁に設けられた係止用舌片105とを更に備える。尚、前記折り返し部104は、張出部103の左右両側の下端を除いて形成されている。
【0004】
前記台紙106は、下端部の横幅が他の部分よりも広くなるように当該下端部の左右両側縁が横幅方向にそれぞれ突出して容器本体101の下部(折り返し部104の下端)と係合可能となった係止部107と、上部側に形成され、容器本体101の係止用舌片105が差し込まれる切り込み部108と、切り込み部108よりも上端側に形成され、商品販売時に吊り下げ用のフックが挿通される吊り下げ穴109とを備える。
【0005】
この包装用容器100によれば、容器本体101の凹部102内に商品が収納された後、台紙106の左右両側縁が容器本体101の下方から折り返し部104内に挿入され、係止部107と折り返し部104の下端とが係合するまで当該台紙106が容器本体101に対し上方に移動せしめられる。そして、折り返し部104の下端と係止部107とが係合すると、係止用舌片105が台紙106側に折り曲げられて切り込み部108内に差し込まれる。
【0006】
このようにして、商品は、当該包装用容器100により包装され、また、台紙106の係止部107と折り返し部104の下端とが係合することによって容器本体101の下方への移動が制止されるとともに、容器本体101の係止用舌片105が台紙106の切り込み部108内に差し込まれることによって容器本体101の上方への移動が制止されることで、当該包装用容器100が開封されることはなく、包装された状態に維持される。
【0007】
【特許文献1】特開2005−75460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、凹部102内に収納した商品の重量などによって切り込み部108内に差し込まれた係止用舌片105を抜け難くするためには、当該係止用舌片105をより深く切り込み部108内に差し込む必要がある。
【0009】
しかしながら、上記従来の包装用容器100では、係止用舌片105が切り込み部108内により深く差し込まれるように、当該係止用舌片105の付け根と切り込み部108との間の長さ(張出部103の上端縁と切り込み部108との間の上下方向における長さ)を短くすると、係止用舌片105の差込時に当該係止用舌片105の折り曲げ量が多くなって(折り曲げ角度が大きくなって)折り曲げ難くなり、係止用舌片105を切り込み部108内に差し込み難くなるため、係止用舌片105の切り込み部108内への差込量を大きくするには一定の限界があった。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、係止用舌片の差込作業性を低下させることなく係止用舌片を根元まで切り込み部内に差し込むことができる包装用容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、
商品を収納するための凹部と、該凹部周縁の少なくとも左右両側及び上側に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部とを備えた透明な容器本体と、前記張出部に表面が当接して前記凹部を塞ぐ台紙とからなる包装用容器であって、
前記容器本体は、前記凹部の左右両側の前記張出部が前記台紙当接側に折り返されて形成され、前記台紙の左右両側縁が上下方向に相対移動自在に挿入される折り返し部と、前記凹部の上側の前記張出部上端縁に設けられた係止用舌片とを備え、
前記台紙は、下端部の横幅が他の部分よりも広くなるように該下端部の左右両側縁が横幅方向にそれぞれ突出して前記容器本体の下部と係合可能となった係止部と、上部側に形成され、前記係止用舌片が差し込まれる切り込み部とを備えてなり、
更に、前記容器本体は、前記張出部上端縁の前記係止用舌片との付け根部分に、該係止用舌片の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部が形成されてなることを特徴とする包装用容器に係る。
【0012】
この発明によれば、容器本体の凹部内に商品を収納した後、台紙の左右両側縁を容器本体の下方から折り返し部内に挿入し、係止部と容器本体の下部とが係合するまで当該台紙を容器本体に対し上方に移動させる。そして、容器本体の下部と係止部とが係合すると、係止用舌片を台紙側に折り曲げて切り込み部内に差し込む。このようにして、当該包装用容器により前記商品を包装することができる。
【0013】
容器本体は、その下部と台紙の係止部とが係合することによって下方への移動が制止されるとともに、その係止用舌片が台紙の切り込み部内に差し込まれることによって上方への移動が制止されるようになっており、これによって、当該包装用容器が開封されることはなく、包装された状態を維持することができる。
【0014】
本発明では、張出部上端縁の係止用舌片との付け根部分に、当該係止用舌片の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部を形成したので、係止用舌片の上下方向における長さが長くなるとともに、係止用舌片の付け根部の剛性が許容可能な範囲内で低下し、当該係止用舌片を折り曲げ易くすることができる。
【0015】
これにより、係止用舌片の付け根と切り込み部との間の長さを短くして、係止用舌片の差込時における折り曲げ量が多くなっても(折り曲げ角度が大きくなっても)、当該係止用舌片の差込作業性が低下することはなく、また、係止用舌片の付け根と切り込み部との間の長さを短くすることで、当該係止用舌片を根元まで切り込み部内に差し込むことが可能となり、当該係止用舌片を切り込み部から抜け難くすることができる。
【発明の効果】
【0016】
斯くして、本発明に係る包装用容器によれば、張出部上端縁の係止用舌片との付け根部分に、当該係止用舌片の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部を形成し、当該係止用舌片を折り曲げ易くすることで、係止用舌片の付け根と切り込み部との間の長さを短くして係止用舌片をより深く切り込み部内に差し込むことができるとともに、当該係止用舌片の差込作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1は、本発明の一実施形態に係る包装用容器の概略構成を示した正面図であり、図2は、図1に示した包装用容器の背面図である。また、図3は、図1における矢示A方向の側面図であり、図4は、図1における矢示B方向の底面図であり、図5は、図1における矢示C−C方向の断面図である。また、図6は、図1に示した容器本体及び台紙の正面図である。
【0018】
図1乃至図6に示すように、本例の包装用容器1は、例えば、化粧品といった商品を収納するための凹部11と、この凹部11の周縁に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部12とを備えた透明な容器本体10と、容器本体10の張出部12の裏面に表面が当接して前記凹部11を塞ぐ台紙20とからなる。
【0019】
前記容器本体10は、張出部12の左右両側が裏面側(台紙20の当接側)に折り返されて形成され、当該台紙20の左右両側縁が上下方向に相対移動自在に挿入される折り返し部13と、張出部12の上端縁からその上側に向けて延設され、先端部が半円形に形成された係止用舌片14と、凹部11の下端の左右にそれぞれ下方に突出して、張出部12の下端縁と上下方向における位置が略同じとなるように設けられた支持部15と、張出部12の上端縁の係止用舌片14との付け根部分に、当該係止用舌片14の左右両側が下方に半円形に切り欠かれて形成された切り欠き部16とを更に備えており、例えば、透明な合成樹脂を所定の形状に成形することで得られる。
【0020】
前記凹部11は、収納される前記商品がすっぽりと収まるように当該商品の外形と略同形状に形成され、前記折り返し部13は、張出部12の左右両側の下端を除いて形成されている。
【0021】
前記台紙20は、下端部の横幅が他の部分よりも広くなるように当該下端部の左右両側縁が横幅方向にそれぞれ突出して容器本体10の下部(折り返し部13の下端)と係合可能となった係止部21と、上部側の適宜位置に左右方向に形成され、容器本体10の係止用舌片14が差し込まれる切り込み部22と、切り込み部22よりも上端側に形成され、商品販売時に吊り下げ用のフックが挿通される吊り下げ穴23とを備えており、例えば、矩形状をした厚紙から構成される。
【0022】
尚、張出部12の下端縁と折り返し部13の下端との間の上下方向における長さと、係止部21の高さ、即ち、台紙20の下端縁と係止部21の上端縁との間の上下方向における長さとは、略同一寸法に形成されている。
【0023】
以上のように構成された本例の包装用容器1によれば、容器本体10の凹部11内に商品を収納した後、台紙20の左右両側縁を容器本体10の下方から折り返し部13内に挿入し、係止部21と折り返し部13の下端とが係合するまで当該台紙20を容器本体10に対し上方に移動させる。そして、折り返し部13の下端と係止部21とが係合すると、係止用舌片14を台紙20側に折り曲げて切り込み部22内に差し込む。このようにして、当該包装用容器1により前記商品を包装することができる。
【0024】
尚、容器本体10は、折り返し部13の下端と台紙20の係止部21とが係合することによって下方への移動が制止されるとともに、その係止用舌片14が台紙20の切り込み部22内に差し込まれることによって上方への移動が制止されるようになっており、これによって、当該包装用容器1が開封されることはなく、包装された状態を維持することができる。
【0025】
そして、この包装用容器1によって包装された商品は、台紙20の吊り下げ穴23内に吊り下げ用のフックが挿通されたり、張出部12の下端縁と支持部15を下にして起立状態とされて、販売のために陳列される。
【0026】
上述したように、本例の包装用容器1では、張出部12の上端縁の係止用舌片14との付け根部分に、当該係止用舌片14の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部16を形成したので、係止用舌片14の上下方向における長さが長くなるとともに、係止用舌片14の付け根14a部の剛性が許容可能な範囲内で低下し、当該係止用舌片14を折り曲げ易くすることができる。
【0027】
これにより、係止用舌片14の付け根14aと切り込み部22との間の長さを短くして、係止用舌片14の差込時における折り曲げ量が多くなっても(折り曲げ角度が大きくなっても)、当該係止用舌片14の差込作業性が低下することはなく、また、係止用舌片14の付け根14aと切り込み部22との間の長さを短くすることで、係止用舌片14を根元まで切り込み部22内に差し込むことが可能となり、当該係止用舌片14を切り込み部22から抜け難くすることができる。
【0028】
このように、本例の包装用容器1によれば、張出部12の上端縁の係止用舌片14との付け根部分に、当該係止用舌片14の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部16を形成し、当該係止用舌片14を折り曲げ易くすることで、係止用舌片14の付け根14aと切り込み部22との間の長さを短くして係止用舌片14をより深く切り込み部22内に差し込むことができることができるとともに、当該係止用舌片14の差込作業を容易にすることができる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0030】
上例では、前記包装用容器1によって包装される商品の一例として、化粧品を挙げたが、この包装用容器1によって包装する商品は、化粧品に限定されるものではなく、各種の商品を包装することができる。また、容器本体10を合成樹脂から、台紙20を厚紙から構成したが、容器本体10や台紙20の材質は、上例のものに限定されるものではない。
【0031】
また、上例では、前記切り欠き部16の切り欠き形状を、張出部12側のみが切り欠かれるようにしたが、これに限られるものではなく、図7に示すように、張出部12側の付け根及び係止用舌片14側の付け根14aの両方が切り欠かれるようにしても良い。
【0032】
尚、係止用舌片14の付け根14aから先端部までの上下方向における長さA1(図1参照)、及び切り欠き部16の上下方向における長さA2(図1参照)は、長さA1と長さA2の比が2:1〜5:1となるように設定することが好ましい。例えば、長さA1を10mmとした場合には、長さA2は2mm〜5mmの範囲に設定する。このような寸法設定とすれば、係止用舌片14の切り込み部22への差込作業性と係止用舌片14の切り込み部22からの抜け難さとのバランスを最適なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の概略構成を示した正面図である。
【図2】図1に示した包装用容器の背面図である。
【図3】図1における矢示A方向の側面図である。
【図4】図1における矢示B方向の底面図である。
【図5】図1における矢示C−C方向の断面図である。
【図6】図1に示した容器本体及び台紙の正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る包装用容器の概略構成を示した正面図である。
【図8】従来例に係る包装用容器の概略構成を示した正面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 包装用容器
10 容器本体
11 凹部
12 張出部
13 折り返し部
14 係止用舌片
14a 付け根
15 支持部
16 切り欠き部
20 台紙
21 係止部
22 切り込み部
23 吊り下げ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を収納するための凹部と、該凹部周縁の少なくとも左右両側及び上側に外方に向けて張り出したフランジ状の張出部とを備えた透明な容器本体と、前記張出部に表面が当接して前記凹部を塞ぐ台紙とからなる包装用容器であって、
前記容器本体は、前記凹部の左右両側の前記張出部が前記台紙当接側に折り返されて形成され、前記台紙の左右両側縁が上下方向に相対移動自在に挿入される折り返し部と、前記凹部の上側の前記張出部上端縁に設けられた係止用舌片とを備え、
前記台紙は、下端部の横幅が他の部分よりも広くなるように該下端部の左右両側縁が横幅方向にそれぞれ突出して前記容器本体の下部と係合可能となった係止部と、上部側に形成され、前記係止用舌片が差し込まれる切り込み部とを備えてなり、
更に、前記容器本体は、前記張出部上端縁の前記係止用舌片との付け根部分に、該係止用舌片の左右両側が下方に切り欠かれた切り欠き部が形成されてなることを特徴とする包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−314229(P2007−314229A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147912(P2006−147912)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(502332991)富士ケミカル株式会社 (20)
【Fターム(参考)】