説明

包装用容器

【課題】容器本体と蓋体とを備え、不正に開蓋されたことを判別することができ、再び閉蓋して使用することができる包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体10は、底部11の外周から上向きに周設された本体周壁部12の上端縁から外向きに本体外側フランジ部13を周設し、本体外側フランジ部13の外周から上向きに切欠部14eを形成した立上り部14を周設したものである。蓋体20は、天部21の外周から下向きに周設された蓋周壁部22の下端縁から外向きに蓋内側フランジ部23を周設し、蓋内側フランジ部23の外周から上向きに係合部24を周設し、係合部24の上端縁から外向きに蓋外側フランジ部25を周設したもので、蓋外側フランジ部25の一辺の角部付近に前記容器本体10の切欠部14eから突出する摘み部25aが形成され、摘み部25aから隣り合っている他辺25cに至らない途中まで引裂き可能とする易開封ライン26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に開口部を設けた容器本体と、この容器本体の開口部を開閉する蓋体とが組み合わされる包装用容器に関し、詳しくは、蓋体が不正に開蓋されたことを判別することができる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗においては、カット果物や惣菜類などの食品が合成樹脂製の包装用容器に収容されて販売されている。包装用容器には、上面に開口部を設けた容器本体と、この容器本体の開口部に蓋をする蓋体とを組み合わせたものがある。そして、蓋体が不正に開蓋されたことを判別することができるようにした包装用容器も各種提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一旦、開蓋された蓋体を再封困難又は不能とする包装用容器が記載されている。この包装用容器は、図6に示すように、容器本体110の周縁部に設けられた凹部111と蓋体120の周縁部に設けられた凸部121とが嵌合する固着部130を設け、この固着部130よりも内側の蓋体120に、蓋体120を開蓋するための2本の易切断線122,123を設け、この2本の易切断線122,123で挟まれた部分を剥離部124としたことを特徴としている。
【0004】
この包装用容器は、固着部130によって容器本体110と蓋体120とが確実に固着され、開蓋時に蓋体120に設けられた剥離部124が易切断線122,123に沿って切断されることによって容易に開蓋することができるようにされている。また、開蓋された蓋体120が再び閉蓋されると、易切断線122,123が切断されていることから、包装用容器は一旦、開蓋されたものであることを明瞭に判別することができる。
【0005】
なお、2本の易切断線122,123のうち、一方122が蓋体120の一辺側から他辺側に到達し、他方123が一辺側から他辺側に至らない途中まで設けられることにより、切断された剥離部124が蓋体120に残留し、剥離部124が不用意に容器内や食品中に混入したり、周囲に散らばったりしないようにされている。
【0006】
また、特許文献2には、一旦、開蓋された蓋体にその痕跡が表示されるようにした不正開封防止容器が記載されている。この不正開封防止容器は、図7に示すように、開口上縁に鍔211を有する身容器210と、この鍔211が嵌入係止し得るリング凹溝221を有する蓋体220とからなり、蓋体220のリング凹溝221の外周の一部につまみ片222を一体的に突設したことを特徴としている。
【0007】
この不正開封防止容器は、鍔211が一旦、リング凹溝221内に嵌入することによって、蓋体220を身容器210から取り外すことが極めて困難とされ、つまみ片222を上方に強く引っ張ることによって、開蓋可能とされている。すなわち、つまみ片222が引っ張られると、リング凹溝221の一部が引き裂かれて切目223,223が形成され、かつ、この切目223,223の作用でリング凹溝221の内径が大きくなることにより、蓋体220を身容器210から簡単に外すことができるようにされている。
【0008】
そして、この不正開封防止容器は、蓋体220が再び閉蓋されたときに、痕跡として切目223,223が表示されるため、この切目223,223によって開蓋されたことを判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−55656号公報
【特許文献2】登録実用新案第3114730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された包装用容器は、2本の易切断線122,123のうち、一方122が蓋体120の一辺側から他辺側に到達し、他方123が一辺側から他辺側に至らない途中まで設けられているものの、薄い合成樹脂シートから成形された蓋体120にあっては、開蓋のために2本の易切断線122,123が切断されたときに、剥離部124が蓋体120に繋がった状態とすることが困難で、他方の易切断線123も他辺側まで切断されてしまいやすい。
【0011】
すると、この包装用容器は、一旦、開蓋された蓋体120を再び、閉蓋したときに、開蓋しにくいものとなるだけでなく、容器本体110と蓋体120の各周縁部が重なり合う面が減少し、また、固着部130によって固着されないことと相俟って、両者120,110の嵌合力が低下する。したがって、この包装用容器は、汁気のある食品などを収容したときに、汁気が包装用容器内から漏出しやすいものになるという不具合がある。
【0012】
また、特許文献2に記載された不正開封防止容器は、蓋体220を開蓋するときに、リング凹溝221の一部に切目223,223が形成され、リング凹溝221の内径が大きくなるため、この蓋体220を再び閉蓋したときに、リング凹溝221と身容器210の鍔211とが嵌合係止しないものとなる。したがって、この不正開封防止容器は、一旦、開蓋された蓋体220を再び閉蓋して使用することができないという不具合がある。
【0013】
そこで、本発明は、不正に開蓋されたことを判別することができるだけでなく、再び確実に閉蓋して使用することができるようにした包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る包装用容器は、上面に開口部を設けた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた包装用容器であって、 前記容器本体は、底部と、該底部の外周から上向きに周設された本体周壁部と、該本体周壁部の上端縁から外向きに周設された本体外側フランジ部と、該本体外側フランジ部の外周から上向きに周設された立上り部とを一体に成形したものであり、前記本体周壁部には、前記本体外側フランジ部に隣接する内端縁から底部側に拡径するように傾斜した逆テーパ部が形成され、前記立上り部には、少なくとも一箇所に切欠部が形成され、前記蓋体は、天部と、該天部の外周から下向きに周設された蓋周壁部と、該蓋周壁部の下端縁から外向きに周設された蓋内側フランジ部と、該蓋内側フランジ部の外周から上向きに周設されて前記容器本体の逆テーパ部と重なり合う係合部と、該係合部の上端縁から外向きに周設されて前記本体外側フランジ部と重なり合い、かつ、外周縁が前記容器本体の立上り部に接触ないし近接する蓋外側フランジ部とを一体に成形したものであり、前記蓋外側フランジ部には、一辺の角部付近に前記容器本体の立上り部に形成された切欠部から突出する摘み部が形成され、該摘み部から隣り合っている他辺に至らない途中まで引裂き可能とする易開封ラインが形成され、該易開封ラインの引裂きを阻止するため引裂き阻止手段が易開封ラインの端末と前記他辺との間に設けられていることを特徴としている。
【0015】
この包装用容器によれば、蓋体の係合部が容器本体の逆テーパ部に重なり合うことによって、蓋体が容器本体から外れにくいように内嵌合して閉蓋される。蓋体の係合部の下端縁の外径は、逆テーパ部の上端縁の内径よりも僅かに大きくされているが、蓋体及び容器本体が弾性変形することによって蓋体の係合部が容器本体の逆テーパ部に重なり合い、したがって、容易に開蓋しないように内嵌合する。また、閉蓋された状態の蓋体は、蓋外側フランジ部の外周縁が容器本体の立上り部に接触ないし近接することにより、蓋外側フランジ部を摘んで開蓋しにくくなっている。
【0016】
そして、閉蓋された蓋体は、外側フランジ部に突設された摘み部が容器本体の立上り部に形成された切欠部から突出した状態とされている。この摘み部を摘み上げることによって易開封ラインが引き裂かれる。易開封ラインは、引裂き阻止手段によって蓋外側フランジ部の他辺まで引き裂かれず、摘み片は蓋外側フランジ部に繋がった状態を維持する。したがって、摘み部付近の蓋外側フランジ部の部分をさらに摘み上げることによって、この部分が持ち上げられ、この部分を起点に開蓋することができる。
【0017】
そして、この包装用容器は、易開封ラインが引き裂かれても、蓋体の係合部が容器本体の逆テーパ部に重なり合うように内嵌合し、また、蓋体の蓋外側フランジ部と容器本体の本体外側フランジ部とが重なり合うように再び閉蓋することができる。したがって、この包装用容器は、汁気のある食品を収容しても、汁気が漏出しにくいものとなっている。しかも、蓋体は、外側フランジ部が易開封ラインで引き裂かれているため、店舗においては、一度、開蓋されたことを判別することができる。なお、易開封ラインは、ミシン目やハーフカットなどによって形成される。
【0018】
また、前記本発明に係る包装用容器において、前記引裂き阻止手段は、易開封ラインと直交ないし交差する方向の多数の溝が形成されていることが好ましい。
【0019】
この包装用容器によれば、引裂き阻止手段が易開封ラインと直交ないし交差する方向の多数の溝によって形成されていることにより、蓋外フランジ部を補強する構造を引裂き阻止手段として兼用することができる。なお、多数の溝は、ローレット目、平目ローレット目によって形成されることが好ましいが、綾目ローレット目であってもよい。
【0020】
また、前記本発明に係る包装用容器において、前記容器本体の本体周壁部には、前記蓋体の蓋内側フランジ部と重なり合う本体内側フランジ部が前記逆テーパ部の下端縁から内向きに周設されていることが好ましい。
【0021】
この包装用容器によれば、蓋体と容器本体とは、蓋体の蓋外側フランジ部と容器本体の本体外側フランジ部とが重なり合い、また、係合部と逆テーパ部とが重なり合うだけでなく、蓋体の蓋内側フランジ部と容器本体の本体内側フランジ部とも重なり合うことによって、密封性を向上させることができる。
【0022】
また、前記本発明に係る包装用容器において、前記容器本体には、前記閉蓋された蓋体の蓋内側フランジ部の内周縁を衝止するように、前記本体内側フランジ部の内側縁から上向きに突出した突出部が備えられていることが好ましい。
【0023】
この包装用容器によれば、容器本体の本体内側フランジ部の内側縁に突出部が上向きに突出されたことにより、蓋体の蓋内側フランジ部が容器本体の突出部と逆テーパ部とに挟まれた状態となり、蓋体の対向している蓋周壁部の間隔が狭められにくくなり、したがって、不正に開蓋されにくいものとすることができる。
【0024】
また、前記本発明に係る包装用容器において、前記容器本体の底部には、高台部が設けられ、前記蓋体の天部には、前記高台部を外嵌する受枠部が設けられていることが好ましい。
【0025】
この包装用容器によれば、容器本体の底部に高台部が設けられ、蓋体の天部に高台部を外嵌する受枠部が設けられていることにより、包装用容器を積み上げても倒れにくいようすることができる。すなわち、積み上げられた下側の包装用容器の天部に設けられた受枠部が上側の包装用容器の底部に設けられた高台部を外嵌することにより、横方向の外力が加えられても、上下の包装用容器は位置ずれしないため、倒れにくいものとされる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓋体の蓋外側フランジ部の一辺の角部付近に形成された摘み部から隣り合う他辺に至らない易開封ラインが引裂き防止手段とともに形成されていることにより、開蓋されたことを容易に判別することができ、しかも、開蓋時に易開封ラインは、蓋体と容器本体とにそれぞれ形成された係合部及び蓋外側フランジ部と逆テーパ部及び本体外側フランジ部とが重なり合う部分を壊すおそれがなく、再び閉蓋したときに優れた密封性を発揮できる包装用容器を提供することができる。また、本発明の包装用容器は、不正に開蓋されたことを容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る包装用容器の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る包装用容器の一実施形態であって、開蓋された状態を示す概略断面正面図である。
【図3】本発明に係る包装用容器の一実施形態であって、閉蓋された状態を示す概略断面正面図である。
【図4】本発明に係る包装用容器の一実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る包装用容器の一実施形態を示す要部拡大斜視図である。
【図6】従来の包装用容器の一例を示し、(a)は平面図、(b)は一部断面正面図である。
【図7】従来の不正開封防止容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る包装用容器の一実施形態について図1ないし図5を参照しながら説明する。この包装用容器は、上面に開口部10aを設けた容器本体10と、前記開口部10aを開閉する蓋体20とを備えたものである。
【0029】
容器本体10は、角部を円弧状にしたほぼ四角形状の底部11と、この底部11の外周から上向きに周設された本体周壁部12と、この本体周壁部12上端縁から外向きに周設された本体外側フランジ部13と、この本体外側フランジ部13の外周から上向きに周設された立上り部14とを一体に成形したものである。この容器本体10は、透明、半透明又は着色された合成樹脂シートから成形される。
【0030】
前記本体周壁部12は、図2にも示すように、底部11の外周から上向きに拡径するようにテーパ状に傾斜した側壁部12aと、この側壁部12aの上端縁から外向きに周設された本体内側フランジ部12bと、この本体内側フランジ部12bの外周縁から上向きに縮径するようにテーパ状に傾斜した逆テーパ部12cとを一体に成形したものとされている。したがって、逆テーパ部12cの上端縁と前記本体外側フランジ部13の内周縁とが隣り合って設けられ、逆テーパ部12cは、本体外側フランジ部13の内周縁から底部11側に拡径するように傾斜している。
【0031】
また、本体内側フランジ部12bの内側縁と側壁部12aの上端縁との境界から上向きに突出部12eが中央部分で突出している。この突出部12eは、前記逆テーパ部12cよりも低く突出している。また、底部11には、底部本体11aに対してほぼ直角に立ち上がる高台部11bが設けられている。さらに、側壁部12a及び底部11には、補強のためのリブ15,15,…が複数設けられている。
【0032】
また、本体内側フランジ部12bから逆テーパ部12c、本体外側フランジ部13の内側部にかけて、閉蓋するときの空気抜きとするための細い溝16が少なくとも一箇所に形成されている。この溝16によって、閉蓋したときに、蓋体20が膨れないようにすることができる。
【0033】
そして、立上り部14は、断面逆U字形に形成され、本体外側フランジ部13の外周に立設された内側立上り部14aと、この内側立上り部14aと一定の間隔を空けて外側で対峙する外側立上り部14bと、内側立上り部14a及び外側立上り部14bの両上端縁を連結する折返部14cとを一体化したものとされている。
【0034】
また、立上り部14は、平面視でほぼ四角い枠状に成形されるが、内側立上り部14aの各角部は円弧状に成形され、外側立上り部14bの各角部は直角に近い形状に成形されている。そして、外側立上り部14bの下端縁は、図1に示すように、極細の多数の凹凸14dが施され、補強されるとともに、僅かに外方向に向けられて指などが当たっても、指などを切ることがないようにされている。
【0035】
そして、立上り部14の少なくとも一箇所(図面では四箇所)に、切欠部14eが形成されている。この切欠部14eにおいて、内側立上り部14a、外側立上り部14b及び折返部14cは、端面部(採番せず)によって立上り部14内の空間が塞がれている。なお、切欠部14eは、正面視でほぼV字形に形成されている。
【0036】
一方、蓋体20は、図1及び図2に示すように、角部を円弧状にしたほぼ四角形状の天部21と、この天部21の外周から下向きに周設された蓋周壁部22と、この下端縁から外向きに周設された蓋内側フランジ部23と、蓋内側フランジ部23の外周から上向きに周設された係合部24と、この係合部24の上端縁から外向きに周設された蓋外側フランジ部25とを一体に成形したものである。この蓋体20は、食品などの被収容物が見えるように透明の合成樹脂シートから形成されるが、使用態様によって半透明又は着色された合成樹脂シートから成形してもよい。
【0037】
そして、前記蓋内側フランジ部23は、閉蓋時において、前記本体内側フランジ部12bと重なり合い、蓋内側フランジ部23の内周縁と蓋周壁部22との境界部が前記容器本体10の突出部12eと衝止する。したがって、閉蓋時において、蓋内側フランジ部23は、この突出部12eと容器本体10の逆テーパ部12cの下端縁とに挟まれる状態となる。
【0038】
また、係合部24は、閉蓋時において、容器本体10の逆テーパ部12cと重なり合う。したがって、係合部24の長さと逆テーパ部12cの長さは、ほぼ同じとされている。また、蓋外側フランジ部25は、閉蓋時において、本体外側フランジ部13と重なり合い、外周縁が容器本体10の内側立上り部14aに接触ないし近接するようにされている。
【0039】
また、蓋外側フランジ部25の四箇所の角部は、前記内側立上り部14aの各角部の円弧状の形状に対応して、円弧状に形成される。また、蓋外側フランジ部25の一つの角部付近には、前記立上り部14の切欠部14eに入り、先端が突出する摘み部25aが形成されている。
【0040】
そして、蓋外側フランジ部25の外周縁側には、極細の多数の凹凸25bが形成され、補強されるとともに、指などがあたっても、指などを切ることがないようにされている。凹凸25bは、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。
【0041】
この凹凸25bは、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成される。なお、摘み部25aにも凹凸25bが形成されるが、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0042】
そして、蓋外側フランジ部25には、摘み部25aから隣り合っている他辺25cに至らない途中まで引裂き可能とする易開封ライン26が前記凹凸25bを横断するように形成されている。易開封ライン26は、ミシン目やハーフカットなどによって形成される。したがって、使用者が摘み部25aを摘んで他辺25cの方に引っ張ると、蓋外側フランジ部25が易開封ライン26で引き裂かれる。
【0043】
ただし、易開封ライン26の端末26aと他辺25cとの間には、凹凸25bが介在しているため、この凹凸25bが引裂き阻止手段27となって、蓋外側フランジ部25は易開封ライン26の端末26aよりもさらに他辺25cの方に引き裂かれることがなく、したがって、易開封ライン26よりも先の部分25dが分離することがないようにされている。
【0044】
そして、蓋体20の天部21には、前記容器本体10の底部11に設けられた高台部11bを外嵌する受枠部21aが設けられている。図示した受枠部21aは、2本の突条によって形成されているが、四隅に設けるL字形の受枠部21aや口字形の受枠部21aとしてもよい。
【0045】
ここで、この包装用容器の使用方法について説明する。閉蓋した状態においては、図3に示すように、蓋体20の蓋内側フランジ部23、係合部24、蓋外側フランジ部25がそれぞれ容器本体10の本体内側フランジ部12b、逆テーパ部12c、本体外側フランジ部13と重なり合い、内嵌合する。そして、蓋体20と容器本体10とによって密閉された空間が形成されるが、空間内の空気は、閉蓋に際して、容器本体10に形成された溝16から排気され、蓋体20の天部21が上方へ膨らんだ状態とならない。
【0046】
そして、蓋内側フランジ部23が四箇所において逆テーパ部12cと突出部12eとに挟まれた状態となっているため、蓋体20の蓋周壁部22に力を加えて変形させ、蓋外側フランジ部25を浮き上がらせ、不正に開蓋することができない。また、蓋外側フランジ部25の外周縁が容器本体10の立上り部14の内側立上り部14aに接触ないし近接しているため、蓋外側フランジ部25を直接摘まむことができないようにされている。
【0047】
そして、商品の購入者などの使用者は、開蓋するため、一方の手で容器本体10の外側立上り部14bを押さえ、他方の手で蓋外側フランジ部25の摘み部25aを摘んで他辺25cの方に引っ張る。摘み部25aは、図4に示すように、容器本体10の切欠部14eから突出していることから摘みやすく、また、蓋外側フランジ部25に易開封ライン26が形成されていることから、蓋外側フランジ部25を易開封ライン26で容易に引き裂くことができる。
【0048】
ただし、図5に示すように、他辺25c側には、凹凸25bによって引裂き阻止手段27が設けられているため、易開封ライン26の端末26aから他辺25cまで引き裂かれることがなく、したがって、摘み部25a及び易開封ライン26よりも先の部分26dが蓋外側フランジ部25から分離しない。
【0049】
そして、使用者は、一方の手で容器本体10の外側立上り部14bなどを押さえたまま、易開封ライン26で引き裂かれた部分の蓋外側フランジ部25を他方の手で引き上げる。すると、蓋体20及び容器本体10が弾性変形し、蓋体20の蓋内側フランジ部23、係合部24、蓋外側フランジ部25がそれぞれ容器本体10の本体内側フランジ部12b、逆テーパ部12c、本体外側フランジ部13から離間し、開蓋することができる。
【0050】
そして、包装用容器内に収容された食品などに被収容物を使いきらなかった場合でも、開蓋によって容器本体10と蓋体20との密閉のための係合部分が壊されることがないので、再び閉蓋することができる。すなわち、蓋体20の蓋内側フランジ部23、係合部24、蓋外側フランジ部25がそれぞれ容器本体10の本体内側フランジ部12b、逆テーパ部12c、本体外側フランジ部13が重ね合わされ、内嵌合する。したがって、収容された食品から汁気が出ても、包装用容器内から汁気が漏出することはない。
【0051】
また、この包装用容器は、蓋内側フランジ部23が容器本体10の突出部12eと逆テーパ部12cの下端縁とに挟まれ、さらに、蓋外側フランジ部25の外周縁が容器本体10の内側立上り部14aに接触ないし近接しているため、摘み部25aを摘まんで易開封ライン26を引き裂かないと容易に開封することができない。したがって、この包装用容器は、店舗において、不正に開蓋された場合には、その包装用容器を容易に判別することができる。
【0052】
すなわち、蓋外側フランジ部25が易開封ライン26で引き裂かれていない蓋体20は、開蓋されていないと判断することができる。逆に、蓋外側フランジ部25が易開封ライン26で引き裂かれていると、不正に開蓋された包装用容器であると判断することができる。
【0053】
また、店舗においては、図3の仮想線に示すように、複数の包装用容器が積み上げられるが、下側の包装用容器の受枠部21aが上側の包装用容器の高台部11bを外嵌することによって、外力が加えられても位置ずれしないことから、倒れにくいようにされている。
【0054】
なお、本発明は、前記の実施形態に限定することなく種々変更することができる。例えば、引裂き阻止手段27は、凹凸25bでなく、易開封ライン26の端末26aに設けた孔部や疣部によって形成してもよい。また、前記凹凸25bは、蓋外側フランジ部25の全周に設けられているが、引裂き阻止手段27としてのみ機能させるのであれば、易開封ライン26の端末26aにのみ設けてもよい。
【0055】
また、容器本体10は、突出部12e、高台部11bを備えないものとしてもよいし、さらに、本体周壁部12に本体内側フランジ部12bを備えず、側壁部12aと逆テーパ部12cとが直接、隣り合うように設けてもよい。さらに、容器本体10及び蓋体20は、平面形状が四角形状に限定されず、円形、楕円形、三角形、五角形などの多角形としてもよい。
【0056】
また、容器本体10の立上り部14は、内側立上り部14aと外側立上り部14bの二重でなく、内側立上り部14aのみとしてもよい。この場合は、内側立上り部14aの上端縁には、補強のため、また、怪我しないように凹凸25b形状を施すことが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
10a…開口部
10……容器本体
11……底部
11b…高台部
12……本体周壁部
12b…本体内側フランジ部
12c…逆テーパ部
12e…突出部
13……本体外側フランジ部
14……立上り部
20……蓋体
21……天部
21a…受枠部
22……蓋周壁部
23……蓋内側フランジ部
24……係合部
25……蓋外側フランジ部
25a…摘み部
25c…他辺
26……易開封ライン
26a…易開封ラインの端末
27……引裂き阻止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を設けた容器本体と、前記開口部を開閉する蓋体とを備えた包装用容器であって、
前記容器本体は、底部と、該底部の外周から上向きに周設された本体周壁部と、該本体周壁部の上端縁から外向きに周設された本体外側フランジ部と、該本体外側フランジ部の外周から上向きに周設された立上り部とを一体に成形したものであり、前記本体周壁部には、前記本体外側フランジ部に隣接する内端縁から底部側に拡径するように傾斜した逆テーパ部が形成され、前記立上り部には、少なくとも一箇所に切欠部が形成され、
前記蓋体は、天部と、該天部の外周から下向きに周設された蓋周壁部と、該蓋周壁部の下端縁から外向きに周設された蓋内側フランジ部と、該蓋内側フランジ部の外周から上向きに周設されて前記容器本体の逆テーパ部と重なり合う係合部と、該係合部の上端縁から外向きに周設されて前記本体外側フランジ部と重なり合い、かつ、外周縁が前記容器本体の立上り部に接触ないし近接する蓋外側フランジ部とを一体に成形したものであり、前記蓋外側フランジ部には、一辺の角部付近に前記容器本体の立上り部に形成された切欠部から突出する摘み部が形成され、該摘み部から隣り合っている他辺に至らない途中まで引裂き可能とする易開封ラインが形成され、該易開封ラインの引裂きを阻止するため引裂き阻止手段が易開封ラインの端末と前記他辺との間に設けられていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記引裂き阻止手段は、易開封ラインと直交ないし交差する方向の多数の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記容器本体の本体周壁部には、前記蓋体の蓋内側フランジ部と重なり合う本体内側フランジ部が前記逆テーパ部の下端縁から内向きに周設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記容器本体には、前記閉蓋された蓋体の蓋内側フランジ部の内周縁を衝止するように、前記本体内側フランジ部の内側縁から上向きに突出した突出部が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記容器本体の底部には、高台部が設けられ、前記蓋体の天部には、前記高台部を外嵌する受枠部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−269824(P2010−269824A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123333(P2009−123333)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】