説明

包装用容器

【課題】持ちやすく、強度を向上させると共に、デザイン性を向上させることができる包装用容器を提供する。
【解決手段】樹脂シートを熱成形してなる容器本体2の上端の開口2Aを形成する開口縁部6が略円形状に形成された包装用容器であって、容器本体2は、開口縁部6と、開口縁部6より小さな略円形状に形成された底面部4と、底面部4及び開口縁部6を連結すると共に底面部4及び開口縁部6と一体に成型された側壁部5とを備え、側壁部5は、底面部4から延出され、容器本体2の内側へ向けて凸となるよう湾曲する曲面形状に形成された湾曲部8と、湾曲部8から開口縁部6まで延出された延出部9とを備え、湾曲部8と延出部9との間には、側壁部5の周方向における少なくとも一部分に屈曲部10が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口縁部が略円形状を有する、所謂どんぶり形状の包装用容器であって、持ちやすく、強度を向上させると共に、デザイン性を向上させることができる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を包装するための容器として、樹脂シートや発泡シートを熱成形した包装用容器が知られている。そして、この包装用容器に、かつ丼や親子丼等のどんぶり物を入れ、どんぶり物が入れられた包装用容器が食品スーパーや百貨店等で陳列されて販売されている。
【0003】
このようなどんぶり形状の包装用容器の一例として、例えば容器の側壁が外側へ向けて膨らんだ形状に形成されている容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、容器の底面に形成されている四角形状の糸尻状凸部の各辺と各々平行な平面部を前記各辺から上側に立ち上げ、それら隣り合う平面部間を曲面部で連結して側壁を形成することによって、該側壁に外側へ膨らみを持たせた容器も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−300516号公報
【特許文献2】特開2003−26139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2のいずれの容器も、側壁が外側に膨らんだ形状になっていることから、該側壁に指をかけ難く、それ故容器を持ち難いという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2の容器は、側壁が曲面部と平面部とを周方向に交互に配置したものであるため、見た目が悪いという問題もある。
【0008】
また、上記特許文献1の容器では、側壁が外側に滑らかに膨らんだ形状であり、上記特許文献2の容器では、側壁が曲面部と平面部とを周方向に交互に備えるものの、全体的には、外側へ滑らかな形状であるため、何れの容器においても容器自体の強度が弱いという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、持ちやすく、強度を向上させると共に、デザイン性を向上させることができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る包装用容器は、樹脂シートを熱成形してなる容器本体の上端の開口を形成する開口縁部が略円形状に形成された包装用容器であって、前記容器本体は、前記開口縁部と、該開口縁部より小さな略円形状に形成された底面部と、該底面部及び前記開口縁部を連結すると共に該底面部及び該開口縁部と一体に成型された側壁部とを備え、前記側壁部は、前記底面部から延出され、容器本体の内側へ向けて凸となるよう湾曲する曲面形状に形成された湾曲部と、該湾曲部から前記開口縁部まで延出された延出部とを備え、前記湾曲部と前記延出部との間には、前記側壁部の周方向における少なくとも一部分に屈曲部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、例えば開口縁部に親指を当て、他の指を側壁部の湾曲部に当てることができるから、包装用容器を持ちやすい。また、片方の手の平に包装用容器を載せたときでも、各指が側壁部の湾曲部にフィットしやすく、包装用容器を持ちやすい。
また、湾曲部と延出部との間の周方向における少なくとも一部分に屈曲部を備えているので、包装用容器の強度を向上させることができる。
しかも、湾曲部と延出部とが屈曲部を介して上下方向で連続するので、包装用容器のデザイン性を向上させることができ、購買意欲を促進することができる。
【0012】
また、本発明に係る包装用容器においては、前記屈曲部の周方向の一部が、周方向の他の部分よりも前記容器本体の外側に向けて突出した突出部を備えることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、屈曲部の周方向の一部が周方向の他の部分よりも径方向外方へ突出していることで、より一層強度アップを図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る包装用容器においては、前記突出部が、周方向に等間隔を置いて複数設けられていることが好ましい。
【0015】
かかる構成の包装用容器にあっては、底面部の略円形状、側壁部の中途に複数の屈曲部で形成される多角形状、さらには開口縁部の略円形状と形状変化する様子が見えることから、デザイン性の向上を更に図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明に係る包装用容器によれば、湾曲部と延出部との間の側壁部の周方向における少なくとも一部分に屈曲部が形成されることによって、持ちやすく、強度を向上させると共に、デザイン性を向上させることができ、容器に食品を入れた際に、消費者の購買意欲を促進することができる包装用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の容器本体と蓋体とを示す斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る包装用容器の容器本体の正面図を示す。
【図3】同実施形態に係る包装用容器の容器本体の平面図を示す。
【図4】同実施形態に係る包装用容器の容器本体を斜め上方から見た斜視図を示す。
【図5】(a)は図2におけるI−I線端面図、(b)は図2におけるII−II線端面図、(c)は図2におけるIII−III線端面図を示す。
【図6】(a)は図3におけるIV−IV線端面図、(b)は図3におけるV−V線端面図を示す。
【図7】同実施形態に係る包装用容器の容器本体の屈曲部の形状を示す概略平面図を示す。
【図8】第2実施形態に係る包装用容器の容器本体の正面図を示す。
【図9】第2実施形態に係る包装用容器の容器本体の平面図を示す。
【図10】第2実施形態に係る包装用容器の容器本体を斜め上方から見た斜視図を示す。
【図11】(a)は図8におけるA−A線端面図、(b)は図2におけるB−B線端面図、(c)は図2におけるC−C線端面図を示す。
【図12】(a)は図9におけるD−D線端面図、(b)は図9におけるE−E線端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る包装用容器の第一実施形態について、図1〜図7を参酌して説明する。
【0019】
図1に示すように、包装用容器1は、例えばどんぶり物等の食品を収容することができる上向きに開口するどんぶり形状の容器本体2と、この容器本体2の開口2Aを閉じるための蓋体3とから構成されている。開口2Aは、容器本体2の上端に形成されている。
【0020】
包装用容器1は、樹脂シートを熱成形したものが使用でき、特に発泡シートを熱成形したものであっても良く、またこの発泡シートの片面もしくは両面に樹脂フィルムが積層された発泡層と表面フィルム層とを有する積層樹脂シートを使用することもできる。
【0021】
この樹脂シートとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。
例えば、スチレン樹脂単独、あるいは、スチレンモノマーと共重合可能なブタジエン、無水マレイン酸、αメチル・スチレン、メタクリル酸などのモノマーとスチレンモノマーとの共重合体樹脂単独、または、スチレン樹脂と前記共重合体樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂などの耐熱性樹脂などとの混合物、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などや、これらの樹脂に、ブタンやペンタンなどの物理的発泡剤や、アゾジカルボンアミドなどの化学的発泡剤や、二酸化炭素、窒素、空気などの発泡剤とともに押出機で混練して押出し発泡させてなる発泡シートや、その片面もしくは両面に樹脂フィルムを積層させたものを挙げることができる。
【0022】
この発泡シートの片面、もしくは両面に積層される樹脂フィルムには、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、耐熱ポリスチレン樹脂などのスチレン系樹脂が用いられてなるフィルムや、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂が用いられてなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂が用いられてなるフィルム、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などのガスバリア性に優れた樹脂が用いられてなるフィルムをそれぞれ単独で用いることができる。
あるいは、これらのフィルムどうしを積層させたフィルム(積層フィルム)やこれらの積層フィルムを発泡シートに積層させる樹脂フィルムとして用いることができる。
なかでも、発泡シートに用いられたスチレン樹脂や共重合体樹脂が用いられてなるフィルムを用いる場合には、その全体が同じ材質で構成されることとなり、包装用容器のリサイクル性を向上させ得る点において好適である。
【0023】
食品等を収容させるための包装用容器1の容器本体2の形成に用いる場合には、通常、前記発泡シートによって0.5〜5mmのいずれかの厚みに発泡層が形成され、前記樹脂フィルムによって3μm〜500μmのいずれかの厚みに表面フィルム層が形成された樹脂シートを用いることができる。
【0024】
また、容器本体2は、上記した表面フィルムに印刷や着色を施したものを積層したものであってもよく、一方蓋体3は、蓋体3を通して内容物を視認することができる点で透明であることが好ましい。
【0025】
図1〜図5に示すように、容器本体2は、底面部4と、底面部4の外周縁から上方に延出された側壁部5と、この側壁部5から上方に延出され、前記開口2Aを形成する開口縁部6と、開口縁部6の上端から折り返されて斜め下方に向けて延出される折り返し部7とを備え、底面部4、側壁部5、開口縁部6、折り返し部7が一体に成型されて構成されている。
【0026】
底面部4は、図3、図5(a)及び図6(a),(b)に示すように、平面視円形に形成され、外周縁よりも内側部分が一段高い円形の突出部4Aに形成されることによって、外周縁に周方向に沿って円環状の溝4Mが形成されている。また、溝4Mの外側端縁には、内側に膨出する膨出部4Bが周方向全周に亘って形成され、底面部4の外側端縁の肉厚を厚くしている。
【0027】
側壁部5は、図3及び図6(a),(b)に示すように、底面部4の溝4Mの外周端縁から上方に向けて延出され、容器本体2の内側へ向けて凸となるよう湾曲し、かつ、上端側ほど外広がりとなるすり鉢状に形成された湾曲部8と、湾曲部8の上端から開口縁部6まで直線状に延出され、かつ、上端側ほど外広がりとなるすり鉢状に形成された延出部9とを備えている。尚、湾曲部8の外面は、周方向及び上下方向のいずれにも凹凸の無い滑らかな湾曲面に形成されている。また、延出部9の外面も、周方向及び上下方向のいずれにも凹凸の無い滑らかな偏平面(フラット面)に形成されている。
【0028】
そして、湾曲部8と延出部9との間(境界部)には、側壁部5の周方向の6箇所に容器本体2の内側に屈曲された内折りの屈曲部10が形成されている。これら屈曲部10のうちの周方向で隣り合う屈曲部10,10同士は、繋がっておらず、6個の屈曲部10が周方向に独立して存在している。そして、隣り合う屈曲部10,10の間の部分10Cは、湾曲部8と延出部9とが上下方向に滑らかに繋がっている。
【0029】
各屈曲部10は、図3、図5(b)及び図7に示すように、平面視略三角形状で、その外面が側壁部5の外面よりも外側に突出するように形成されており、一対の斜辺部10B,10Bと、該一対の斜辺部10B,10B同士を連結する角部10Aとを備える。この角部10Aは、周方向中央部ほど外側へ凸となるように湾曲状に形成されている。斜辺部10B,10Bは、角部10Aに接線状に連続するよう、直線状に形成されている。即ち、本第一実施形態の屈曲部10では、その周方向の一部である角部10Aが周方向の他の部分である斜辺部10B,10Bよりも外側に突出した突出部となっている。
かかる屈曲部10は、周方向に等間隔を置いて6箇所に、各々が周方向において所定領域10Rを有するように形成されており、これら周方向に間隔を置いて存在する6個の屈曲部10によって、平面視において略正六角形状の模様が形成されている。
【0030】
尚、第一実施形態では、湾曲部8と延出部9との境界部を、容器本体2の上下方向半分となる位置よりも少し上側の位置にしているが、容器本体2の上下方向半分となる位置でもよいし、容器本体2の上下方向半分となる位置よりも少し下側の位置でもよい。いずれにしても、容器本体2の上下端に近い位置を除いた容器本体2の上下方向中間部であれば、どのような位置であってもよい。
【0031】
開口縁部6は、図3、図5(c)及び図6(a),(b)に示すように、側壁部5の上端、つまり延出部9の上端から上端側ほど拡径するように斜め上方に直線状に延出されている。この開口縁部6は、延出部9に対して容器本体2の内側に屈曲し、しかも、周方向全周に亘って形成されている。このように開口縁部6を形成することによって、容器本体2の上端部分に円環状で帯状の内側縁を形成するとともに、この縁の上端に底面部4の外形寸法よりも大きな円形状の開口2Aを形成している。
【0032】
折り返し部7は、図3及び図6(a),(b)に示すように、開口縁部6の上端から容器本体2の外側へ折り返されるように、斜め下方へ延出されている。この折り返し部7は、容器本体2の外側に位置する環状の外側縁を形成している。また、この折り返し部7は、その下端の外周縁7Aに、成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えている。この外縁線により、容器本体2の外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、例えば、蓋体3を開閉する際の指先を保護することができ、また、包装フィルム(図示しない)を使用してラッピングする際に包装フィルムが裂断するのを防止することができる。さらに、容器本体2の外周縁の強度が増し、容器本体2が裂断するのを防止する効果もある。
【0033】
一方、蓋体3は、図1に示すように、閉じた状態において底面部4と対向する蓋本体11と、蓋本体11の外周縁から下端側ほど拡径するように斜め下方に直線状に延出された蓋側壁部12と、蓋側壁部12の下端から外側に向かって略水平に延出された蓋フランジ部13と、蓋フランジ部13の外周縁から下端側ほど拡径するように下方へ延出され、かつ、容器本体2の折り返し部7に外嵌する係合部14と、係合部14の下端から略水平に延出された鍔部15とを備えている。
【0034】
蓋本体11は、円形の外周の一部が直線状に切り欠かれた形状(略D形状)の本体部11Aと、この本体部11Aよりも一段高くなるように本体部11Aの外周縁に連なるC字状の外周縁部11Bとからなり、本体部11Aの切り欠かれた直線部11aから蓋フランジ部13へ斜め下方に直線状に延びる傾斜部16を備えている。この傾斜部16は、容器本体2に収容した内容物に関する情報(品名、価格、商品コードなど)が印刷されたラベルなどを貼り付けるために設けられているが、省略してもよい。
【0035】
蓋側壁部12は、外周縁部11Bの外周縁から下方に延出され、傾斜部16の周方向両端に連結されている。
【0036】
蓋フランジ部13は、蓋側壁部12の下端から外側に向かって略水平方向に延出された環状の板状部に構成されている。
【0037】
蓋側壁部12と蓋フランジ部13との境界部分には、周方向に沿って適当間隔を置いて複数の突起17が形成されている。これらの突起17は、同一の蓋体3を多数重ね合わせた時に蓋体3,3同士が互いに重なり合って密着してしまい、その重なり合った蓋体3,3同士が引き剥がし困難とならないように、該蓋体3,3同士の密着を防止するために設けられている。
【0038】
係合部14は、外側に突出する段部14Aを上下方向2箇所に備え、水平方向において段階的に外側に突出する3つの周面14Bを備えた三段壁構造になっている。
【0039】
係合部14の周方向一箇所には、下方が開口され、外側に膨出する膨出部18が形成されている。従って、容器本体2に装着された蓋体3を取り外す際に、膨出部18の下方から指を挿し込むことで蓋体3を容易に開放することができる。
【0040】
鍔部15は、その外周縁に、容器本体2の折り返し部7の外周縁7Aと同様に、成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えている。この外縁線により、容器本体1の外周縁のエッジの鋭利さが解消されるため、例えば、蓋体3を開閉する際の指先を保護することができ、また、包装フィルム(図示しない)を使用してラッピングする際に包装フィルムが裂断するのを防止することができる。さらに、容器本体2の外周縁の強度が増し、容器本体2が裂断するのを防止する効果もある。
【0041】
このように構成された包装用容器1にあっては、容器本体2の側壁部5が、湾曲部8を備えているので、例えば開口縁部6の上端に親指を当て、他の指を側壁部5の内側に湾曲した湾曲部8の外面に当てることによって、容器本体2を容易かつ確実に持つことができる。また、片方の手の平に包装用容器1を載せたときでも、各指が側壁部5の内側に湾曲した湾曲部8の外面にフィットして持ちやすい。
また、湾曲部8と延出部9との間の周方向の6箇所に屈曲部10を備えているので、包装用容器1の強度を向上させることができ、しかも、湾曲部8と延出部9とが屈曲部10を介して上下方向で連続することによって、包装用容器1のデザイン性を向上させることができる。さらに、図5(a),(b),(c)に示すように、容器本体2は、その底面部4側から順に、底面部4の円形状(図5(a)参照)、側壁部5の中途に6個の屈曲部10で形成される正六角形状(図5(b)参照)、さらには開口縁部6の円形状(図5(c)参照)と連続的に形状が変化するので、デザイン性の向上を図ることができる。尚、図5(b)では、側壁部5に対する底面部4及び開口縁部6の関係が容易に理解できるように、底面部4の外形ラインを一点鎖線で示し、開口縁部6の外形ラインを二点鎖線で示している。
【0042】
<第二実施形態>
次に、本発明に係る第二実施形態について、図8〜図12を参酌して説明する。
尚、第二実施形態では、説明の都合上、第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。また、図8〜図12では、図1で示した蓋体3の図示を省略している。
【0043】
図8〜図10に示すように、容器本体2は、底面部4と、底面部4の外周縁から上方に延出された側壁部5と、この側壁部5から上方に延出され、前記開口2Aを形成する開口縁部6と、開口縁部6の上端から折り返されて斜め下方に向かう折り返し部7とを備え、底面部4、側壁部5、開口縁部6、折り返し部7が一体に成型されて構成されている。
【0044】
底面部4は、図9、図11(a)及び図12(a),(b)に示すように、平面視円形に形成され、外周縁を除く内側部分を一段高い円形の突出部4Aに形成することによって、外周縁に周方向に沿って円環状の溝4Mが形成されている。また、溝4Mの外周端縁には、内側に膨出する膨出部4Bが形成され、底面部4の外周端縁の肉厚を厚くしている。
【0045】
側壁部5は、図9及び図12(a),(b)に示すように、底面部4の溝4Mの外周端縁から上方に向けて延出され、容器本体2の内側へ向けて凸となるよう湾曲し、かつ、上端側ほど外広がりとなるすり鉢状に形成された湾曲部8と、湾曲部8の上端から開口縁部6まで延出され、容器本体2の内側に向けて凸となるよう湾曲し、かつ、上端側ほど外広がりとなるすり鉢状に形成された延出部19とを備えている。尚、湾曲部8の外面は、周方向及び上下方向のいずれにも凹凸の無い滑らかな湾曲面に形成されている。また、延出部19の外面も、周方向及び上下方向のいずれにも凹凸の無い滑らかな湾曲面に形成されている。
【0046】
そして、湾曲部8と延出部9との間(境界部)に、側壁部5の周方向の全域に亘って容器本体2の内側に屈曲された内折りで環状の屈曲部100が形成されている。この屈曲部100は、その全周の外面が側壁部5の外面よりも外側に突出するように形成されている。
【0047】
屈曲部100は、周方向に沿って設けられた6個の突出部100Aと、周方向で隣り合う突出部100A,100A同士を連結する連結部100Bとを備える。突出部100Aは、外側に凸となるように湾曲状に形成され、周方向に等間隔を置いて設けられている。連結部100Bは、突出部100Aに接線状に連続しており、さらに、内側に凸となるように湾曲状に形成されている。即ち、本第二実施形態の屈曲部100では、その周方向の一部である突出部100Aが周方向の他の部分である連結部100B,100Bよりも外側に突出している。このような屈曲部100によって、図9及び図11(b)に示すように、平面視において略正六角形状の模様を形成している。
【0048】
尚、第二実施形態では、湾曲部8と延出部19との境界部を、容器本体2の上下方向半分となる位置よりも少し上側の位置にしているが、容器本体2の上下方向半分となる位置でもよいし、容器本体2の上下方向半分となる位置よりも少し下側の位置でもよい。いずれにしても、容器本体2の上下端に近い位置を除いた容器本体2の上下方向中間部であれば、どのような位置であってもよい。
【0049】
開口縁部6及び折り返し部7は、折り返し部7の下端の外周縁に、前記外縁線(図示せず)を備えている。
【0050】
このように構成された包装用容器1にあっては、容器本体2の側壁部5が、湾曲部8を備えているので、例えば開口縁部6の上端に親指を当て、他の指を側壁部5の内側に湾曲した湾曲部8の外面に当てることによって、容器本体2を容易かつ確実に持つことができる。また、片方の手の平に包装用容器1を載せたときでも、各指が側壁部5の内側に湾曲した湾曲部8の外面にフィットして持ちやすい。
また、湾曲部8と延出部19との間の周方向の6箇所に屈曲部100を備えているので、包装用容器1の強度を向上させることができ、しかも、湾曲部8と延出部19とが屈曲部10を介して上下方向で連続することによって、包装用容器1のデザイン性を向上させることができる。さらに、図11(a),(b),(c)に示すように、容器本体2は、その底面部4側から順に、底面部4の円形状(図11(a)参照)、側壁部5の中途に6個の屈曲部100で形成される正六角形状(図11(b)参照)、さらには開口縁部6の円形状(図11(c)参照)と連続的に形状が変化するので、デザイン性の向上を図ることができる。図11(b)では、側壁部5に対する底面部4及び開口縁部6の関係が容易に理解できるように、底面部4の外形ラインを一点鎖線で示し、開口縁部6の外形ラインを二点鎖線で示している。
【0051】
尚、本発明に係る包装用容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
前記第一実施形態及び第二実施形態では、包装用容器が、所謂どんぶり形状である場合について説明したが、飲み物やスープなどを入れるカップ形状などの他の形状に構成することもできる。
【0053】
また、前記第一実施形態では、周方向に6個の屈曲部10を途切れ途切れに設け、また、第二実施形態では、周方向に連続する環状の屈曲部100を設けることによって、平面視において正六角形状の模様を形成したが、正五角形状や正八角形状などの模様を形成してもよいし、各種の多角形状の模様に形成してもよい。また、両実施形態では、複数の突出部10A,100Aを周方向に等間隔を置いて設けたが、周方向に不等間隔を置いて設けてもよい。また、両実施形態では、屈曲部10,100に突出部10A,100Aを備えさせたが、突出部の無い平面視略円形状の屈曲部に構成してもよい。
【0054】
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、包装用容器1は、容器本体2と、この容器本体2の開口2Aを閉じるための蓋体3とから構成されているが、蓋体3に代えてラッピングする包装フィルムなどで容器本体2の開口2Aを閉じる構成であってもよく、容器本体2の開口2Aを閉じるための具体的構成は、蓋体3に限定されるものではない。
【0055】
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、蓋体3をその外径が容器本体2の外径よりも大きく構成し、蓋体3の係合部14が容器本体2の折り返し部7に外嵌する外嵌合構造に構成したが、蓋体3に折り返し部7を備えさせると共に、容器本体2に係合部14を備えさせ、容器本体2の係合部14に蓋体3の折り返し部7を内嵌する内嵌合構造に構成してもよい。
【0056】
また、前記第一実施形態及び第二実施形態では、開口縁部6を円形状に構成したが、これに限らず楕円形状又は小判形状あるいは卵形状などの略円形状であればよい。また、底面部4も円形状に構成したが、これに限らず楕円形状又は小判形状あるいは卵形状などの略円形状であればよい。
【符号の説明】
【0057】
1…包装用容器、2…容器本体、2A…開口、3…蓋体、4…底面部、4A…突出部、4B…膨出部、4M…溝、5…側壁部、6…開口縁部、7…折り返し部、7A…外周縁、8…湾曲部、9…延出部、10,100…屈曲部、10A…角部(突出部)、10B…斜辺部、10R…所定領域、11…蓋本体、11A…本体部、11B…外周縁部、11a…直線部、12…蓋側壁部、13…蓋フランジ部、14…係合部、15…鍔部、16…傾斜部、17…突起、18…膨出部、19…延出部、100A…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートを熱成形してなる容器本体の上端の開口を形成する開口縁部が略円形状に形成された包装用容器であって、
前記容器本体は、前記開口縁部と、該開口縁部より小さな略円形状に形成された底面部と、該底面部及び前記開口縁部を連結すると共に該底面部及び該開口縁部と一体に成型された側壁部とを備え、
前記側壁部は、前記底面部から延出され、容器本体の内側へ向けて凸となるよう湾曲する曲面形状に形成された湾曲部と、該湾曲部から前記開口縁部まで延出された延出部とを備え、前記湾曲部と前記延出部との間には、前記側壁部の周方向における少なくとも一部分に屈曲部が形成されていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記屈曲部の周方向の一部が、周方向の他の部分よりも前記容器本体の外側に向けて突出した突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記突出部が、周方向に等間隔を置いて複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−20782(P2012−20782A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161719(P2010−161719)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】