包装用容器
【課題】蓋体の容器本体に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体に凹みを形成することのない包装用容器を提供すること。
【解決手段】蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる内側基部13と、この内側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したこと。
【解決手段】蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる内側基部13と、この内側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートから成形した容器本体及び蓋体からなる包装用容器に関し、特に、液漏れを防止するために、容器本体及び蓋体に形成した嵌合用突条によって互いに嵌合するようにした包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂シートから成形した容器本体及び蓋体からなる包装用容器は、透明な合成樹脂シートを採用すれば収納物の確認を簡単に行うことができるし、安価に製造することができ、しかも容器本体内に詰めたものの密閉状態を完全に維持することができて便利であるため、種々なものが提案されてきている。この場合、収納物として例えば煮物惣菜のように汁の多いものを包装するについては、その汁(液体)が外部に簡単に出ないようにしておく必要がある。
【0003】
この液体が出ないようにした従来の包装用容器としては、例えば特許文献1にて提案されているような「嵌合容器」がある。この従来の嵌合容器では、上記公報の特許請求の範囲に記載されているように、「中空凸条35の断面形状をリム35aとその先端に設けられたほぼ円形状の膨出部35bからなる鍵穴状とし、リム35aと膨出部35bとの接続部をくびれ部35cとし、中空凹条45を中空凸条35のほぼ相似形状とし、少なくとも膨出部が互いに弾性的に圧接するようにした」ものであり、図10にて示すような形状のものとなっている。このような中空凹条45を中空凸条35に嵌合するようにすれば、容器本体内に収納した惣菜からの汁が外に漏れでないようにすることができる。つまり、この従来の包装用容器は、その容器本体内に惣菜等を収納した後には、上述したような中空凹条45や中空凸条35を使用して、機械的に相互の嵌合を行うのである。
【0004】
しかしながら、この図10に示した従来の嵌合容器では、容器本体や蓋体のスタッキングがうまくできない、という問題がある。つまり、この種の包装用容器は、内容物の詰め込みを機械的に行うため、容器本体は容器本体で、また蓋体は蓋体で予め大量に積み重ねておかれるものであり、その場合には、中空凹条45または中空凸条35同士が重なることになる。これらの中空凹条45や中空凸条35は、図10にも示したように、その軸線と直交する方向でみた断面形状が円弧状であるため、容器本体や蓋体のスタッキング、つまり積み重ねが安定した状態では行いにくい。
【0005】
スタッキングが安定しないと、例えば高く積み上げた多数の容器本体全体が傾斜したり、倒れたりする。このような状態になれば、一個一個の容器本体を機械的に取り出すことができないことになり、詰め込み作業はその場で停止させなければならない。
【0006】
換言すれば、図10に示した従来の包装用容器における嵌合突条は、上下共同じ形状のものであるため、どうしても点(線)接触することになり、安定性に欠けるものとなってしまうのである。つまり、合成樹脂材料は、もともと摩擦係数の小さいものであるため、スタッキングを行ったときに点(線)接触したとすると、摩擦係数が非常に小さくなって互いに滑り易くなるのである。
【0007】
そこで、本出願人等は、液漏れを防止するために円弧状の嵌合用突条を使用することを前提としながら、内容物を詰める前のスタッキングをも安定した状態で行うことができるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討して、特許文献2にて示されたような提案を行ってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2790794号掲載公報
【特許文献2】特許第3096772号掲載公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特許文献2に記載された「包装用容器」は、図11に示すように、
「合成樹脂シートから成形される本体10A及び蓋体10Bからなり、これら本体10A及び蓋体10Bに形成した全周環状の嵌合用突条11a・11b同士を嵌合することにより、内部に収納された液状物が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
嵌合用突条11a・11bを、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、本体10Aまたは蓋体10Bの基面12から最初に略ハ字状に立ち上がる下側突条部13と、この下側突条部13の上端に形成されて上端が閉じられた上側突条部14とにより構成するとともに、
さらに、下側突条部13の内径を、上側突条部14の外径と略同じにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0010】
そして、この特許文献2の「包装用容器」によると、中身を詰める前の容器本体10A及び蓋体10Bを安定した状態でスタッキングすることができて、詰め込み作業を支障なく行うことができ、しかも汁気の多い惣菜等を詰めた後において、汁が外に漏れ出ないようにすることのできる包装用容器を、簡単な構造によって提供することができたのである。
【0011】
また、この特許文献2の包装用容器について、上側及び下側突条部13・14のそれぞれの断面形状を円弧状としたことにより、上記効果が得られる他、液密性をさらに高めて、汁気の多い惣菜等を詰めた後において、より一層汁が外に漏れ出ないようにできるといった包装用容器を提供することができたのである。
【0012】
しかしながら、この特許文献2の「包装用容器」を、その後に本発明者が検討を加えてきたところ、容器本体に蓋体を嵌合する際にも、逆に蓋体を容器本体から外す際にも、非常に大きな力を必要とすることが判明した。つまり、例えば力の弱い独居老人が、当該包装用容器を使った惣菜を購入してきて、自宅で蓋体を外そうとしてもなかなかできない、という難点があることが判明したのである。
【0013】
逆に、「強い嵌合状態」とすることができる包装用容器であると、惣菜などの収納物を詰めて蓋体を容器本体に嵌合する際、大きな力が掛けられることから、容器本体の一部に「凹み」が生じてしまう、という難点も発生することが判明した。このことは、近年の合成樹脂シートが、これによって形成した容器等の処分をし易くするために非常に薄肉のものとなってきており、これによってシート成形した包装用容器も薄肉になってきているから、より拍車が掛けられている現象となっている。
【0014】
そこで、本発明者は、この種の包装用容器において、嵌合状態における容器本体と蓋体との「密閉性」を確保しながら、蓋体外しは勿論、容器本体に対する嵌合も簡単に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討してきた結果、密閉性の確保は、嵌合部分の「内側」だけで十分であり、「外側」については、むしろ嵌合を緩くすることが良い結果を生むことに気付き、本発明を完成したのである。
【0015】
本発明は、以上のような経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体の容器本体に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体に凹みを形成することのない包装用容器を簡単な構造で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、容器本体20の突条部24下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の脚部25との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」である。
【0017】
すなわち、請求項1に係る発明に係る包装用容器では、図3〜図7に示すように、まず、容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成してある。この容器本体20の嵌合用突条21に関する点は、特許文献2にて提案している包装用容器の場合と同様である。
【0018】
また、この請求項1に係る発明に係る包装用容器では、図3〜図7に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したものである。
【0019】
すなわち、本発明(1)に係る蓋体10の嵌合用突条11では、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、内側部分については上記特許文献2の場合と同様であるが、外側部分についてのみ、図5〜図7に示すように、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15を形成したものである。そして、この傾斜部15の上端には、当該蓋体10の脚部15aの上端にも連続して上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14が形成してある。
【0020】
そして、請求項1に係る発明に係る包装用容器は、容器本体20に対する蓋体10の一体化のための嵌合を、両者にそれぞれ形成した嵌合用突条21・11によって行うようにしたものであり、容器本体20内の収納物から生ずる液体が漏れるのを防止するための嵌合は、各嵌合用突条21・11の内側部分によって行うようにしたものである。
【0021】
まず、両嵌合用突条21・11における内側部分(図中の中心線Lの図示左側部分)の嵌合は、図5〜図7に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、脚部25・15a、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図中の中心線Lの図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0022】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分(図中の中心線Lの図示右側部分)の嵌合は、図5〜図7に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の脚部25と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分(外側部分)には、容器本体20側の脚部25のような脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0023】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、中心線Lの図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0024】
つまり、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するときには、この蓋体10側の傾斜部15が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する場合の案内面となるのであり、嵌合完了時には、この蓋体10側の傾斜部15が、容器本体20側の外側の脚部25との間に空間を形成して密着し合わないようにしているのである。
【0025】
なお、容器本体20なら容器本体20、蓋体10なら蓋体10をスタッキングしたときは、例えば下側の蓋体10の突条部14が、上側の蓋体10の基部13内にスッポリと入り、互いに面接触した状態となるのであり、このことがスタッキング時の安定性を確保することになるのである。つまり、この包装用容器を構成している容器本体20及び蓋体10は、摩擦係数の小さい合成樹脂シートによって形成したものではあるが、突条部14・24が下側基部13・23内にスッポリと入るため、互いの滑りを防止することができて、それぞれのスタッキングを安定的に行えるのである。
【0026】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の外側脚部25との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0027】
従って、請求項1に係る発明に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明(2)に係る発明の採った手段は、同様に、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20の外側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0029】
すなわち、この本発明(2)に係る包装用容器は、図8に示すように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図8中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図8に示すように、容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23を設けた点である。これらの内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということは、請求項1の場合の「略ハ字状」とは全く逆になっていることを意味している。
【0031】
内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということによって、これに連なる突条部24の下側にて、図8に示すように、当該容器本体20の左右両下側基部23が、蓋体10の嵌合用突条11のための「係止部」を形成していることになる。このため、この容器本体20では、内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっていることによって、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合させた後においては、図8の(b)に示すように、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしながら、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止できるのである。
【0032】
第二の、この本発明(2)に係る包装用容器の上記請求項1のそれと異なる点は、図8に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。
【0033】
換言すれば、請求項1の包装用容器が有していた脚部15aを、この本発明(2)の包装用容器は有していないのであり、突条部14は、外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、下側基部13との上端に直接形成されていることである。これにより、この本発明(2)の包装用容器では、図8の(a)及び(b)に示すように、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、図8に示した右側部分において、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるのである。
【0034】
一方、この包装用容器の、図8に示した左側部分においては、当該容器本体20の左側の下側基部23が「係止部」を形成していることになり、蓋体10の下側基部13をしっかりと係止することになり、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止するのである。
【0035】
以上の結果、この本発明(2)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の下側基部23との間に空間が形成されるのである。
【0036】
また、この本発明(2)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図8の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0037】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分の嵌合は、図8の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の下側基部23と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分には脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0038】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0039】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0040】
従って、この本発明(2)に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0041】
また本発明(3)に係る発明の採った手段は、上記請求項1または本発明(2)の包装用容器について、
「蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したこと」
である。
【0042】
つまり、この本発明(3)に係る包装用容器においては、蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したものであり、この傾斜部15が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成するようにしたものである。勿論、この傾斜部15が存在する部分以外については、傾斜部15の代わりに下側基部13を形成して実施すればよい。
【0043】
従って、この本発明(3)に係る包装用容器では、上記請求項1または本発明(2)の包装用容器の、傾斜部15が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなっているのである。
【0044】
さて、上記課題を解決するために、本発明(4)に係る発明の採った手段は、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、容器本体20側の傾斜部26が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、容器本体20側の傾斜部26と、蓋体10の外側の下側基部13との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0045】
すなわち、この本発明(4)に係る包装用容器は、図9に示すように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図9中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図9に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。つまり、この本発明(4)の包装用容器では、その嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたときに左右対称となるようにしたものであり、請求項1に係る発明で述べた傾斜部15は設けていないのである。
【0047】
つまり、この本発明(4)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図9の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図9の図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0048】
また、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる第二の点は、図9に示すように、容器本体21の嵌合用突条21を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成したことである。
【0049】
まず、内外の下側基部23・23を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がるものとしたことによって、こられ内外の下側基部23・23と、これらにそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13との係止、つまり嵌合を内外均等に行え、嵌合用突条21・11同士を確実に嵌合するのである。
【0050】
そして、外側の下側基部23の上端に傾斜部26を形成することによって、この本発明(4)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の外側の下側基部13が容器本体20の傾斜部26によって案内され、容器本体20側の突条部24が蓋体10側の突条部14内に円滑に案内されるのである。つまり、容器本体20側の傾斜部26が、図9の(a)に示すように、蓋体10側の外側の下側基部13を案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、図9の(b)に示すように、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成するのである。
【0051】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0052】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0053】
従って、この本発明(4)に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0054】
また、本発明(5)に係る発明の採った手段は、上記本発明(4)の包装用容器について、
「容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したこと」
である。
【0055】
つまり、この本発明(5)に係る包装用容器においては、容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したものであり、この傾斜部26が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成するようにしたものである。
【0056】
従って、この本発明(5)に係る包装用容器では、上記本発明(4)の包装用容器の、傾斜部26が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなっているのである。
【発明の効果】
【0057】
以上、詳述した通り、請求項1に係る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、容器本体20の突条部24下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の脚部25との間に空間を形成し得るようにしたこと」
また、本発明(2)に係る発明においては、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20の外側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたこと」
そして、本発明(4)に係る発明においては、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、容器本体20側の傾斜部26が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、容器本体20側の傾斜部26と、蓋体10の外側の下側基部13との間に空間を形成し得るようにしたこと」
にその構成上の代表的な特徴があり、これにより、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することのない包装用容器を簡単な構造で提供することができるのである。
【0058】
また、本発明(3)、または本発明(5)に係る発明においては、上記請求項1または本発明(2)及び本発明(4)の包装用容器について、
「蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したこと」
あるいは、
「容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したこと」にその構成上の特徴があり、これにより、上記請求項1に係る発明と同様な効果を発揮することができる他、液密性をさらに高めて、汁気の多い惣菜等を詰めた後において、より一層汁が外に漏れ出ないようにできる包装用容器を提供することができるのである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
次に、上記のように構成した各発明を、図面に示した最良の形態である包装用容器に基づいて説明するが、この最良形態の包装用容器は上記各発明を実質的に含むものであるから、以下では、この最良形態の包装用容器を中心に説明することとする。
【0060】
図1及び図2には、本発明を実施した蓋体10及び容器本体20の平面図が示してある。これらの蓋体10及び容器本体20は、合成樹脂シートによって所謂「シート成形」したものであり、図3にも示したように、所定深さの側壁と、底壁(容器本体20の場合)または天板(蓋体10の場合)とを有したものである。これらの図1及び図2に示した蓋体10及び容器本体20は、その全体の平面形状が「四角」である場合を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、全体の平面形状が「丸」は勿論、「六角形」や「八角形」等の他の形状のものへの適用も可能である。
【0061】
そして、この包装用容器においては、図3〜図7に示したように、それぞれの基面22・12、つまり一般的に「フランジ」と言われている部分に、嵌合用突条21・11が形成してあり、これらの嵌合用突条21・11によって、蓋体10は容器本体20に対して所謂「内嵌合」できるようにしてある。
【0062】
まず、蓋体10の嵌合用突条11についてであるが、図3及び図4の上部分、図5〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、図中の中心線Lの左半分、つまり当該包装用容器の内側部分については、当該蓋体10の基面12から後述する容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aとが形成してある。また、図中の中心線Lの右半分、つまり当該包装用容器の外側部分については、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15が形成してある。
【0063】
さらに、例えば図5及び図6の図示右側に位置する傾斜部15と、図示左側に位置する脚部15aとの上端には、上端が閉じられ、後述する容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14が形成してある。
【0064】
傾斜部15は、これが嵌合用突条11の外側で傾斜しているのであればどのように形成して実施してもよいものであるが、嵌合用突条11の断面形状に応じて変形される。例えば図5及び図6に示した実施例では、下側基部13及び突出部14、その中に入り込むことになる後述する容器本体20側の下側基部23及び突状部24の断面形状が円の一部を形成しているものであり、傾斜部15は容器本体20側の下側基部23の外側に対する接線方向となるように形成してある。
【0065】
図5に示した実施例では、傾斜部15の先端(上端)は、容器本体20側の突出部24の赤道(球の中心を通る水平な面で切ったときに現れる線)より下側に位置するものであり、下端は当該蓋体10の基面12に連なっている。つまり、この図5に示した実施例では、蓋体10側の突出部14は、この中に容器本体20側の突出部24が嵌合される場合に、傾斜部15によって案内されることになり、かつ、突出部14の外側部分であって赤道より下側の部分が嵌合操作時の抵抗となるようにしたものである。
【0066】
図6に示した実施例では、傾斜部15の先端(上端)は、容器本体20側の突出部24の赤道より少し上側に位置する(具体的には当該突出部14の外側接線となる)ものであり、下端は当該蓋体10の基面12に連なっている。つまり、この図6に示した実施例では、蓋体10側の突出部14は、この中に容器本体20側の突出部24が嵌合される場合に、傾斜部15によって案内されることになることは図5の実施例と同様であるが、この突出部14の外側部分は嵌合操作時の抵抗にはならないものである。
【0067】
図7に示した実施例では、下側基部13及び突出部14、その中に入り込むことになる後述する容器本体20側の下側基部23及び突状部24の断面形状が四角の一部を形成しているものであるが、傾斜部15の先端が突出部14の上面と一致する場合(図7の(a)の場合)と、傾斜部15の先端が突出部14の中間の面と一致する場合(図7の(b)の場合)との二種類が示してあって、傾斜部15の下端を基面12と一致させていることは共通している。
【0068】
そして、蓋体10側の嵌合用突条11の内側部分は、図3〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、この脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とが形成してある。
【0069】
勿論、嵌合用突条21の内側部分には、図3〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から立ち上がる下側基部23と、この下側基部23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とが形成してある。これらの下側基部23及び突出部24は、図5及び図6に示したように、それぞれの断面形状を円弧状としてもよく、また図7に示すように、断面四角形状に実施してもよいものである。
【0070】
以上の嵌合用突条21・11は、容器本体20あるいは蓋体10を合成樹脂シートによって成形する場合に、同時に成形されるものであるが、各下側基部13及び突条部14の断面形状が円弧あるいは角形を基本にしているため、その所謂「型抜き」を簡単に行うことができるものでもある。逆に表現すれば、嵌合用突条21・11同士の嵌合も簡単に行え、しかも液漏れ防止のための十分な密閉性をも内側部分にて確保することができるのである。
【0071】
また、図8には、本発明(2)に係る包装用容器が示してあるが、この図8に示した包装用容器は、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図8中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図8に示したように、容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23を設けた点である。これらの内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということは、請求項1の場合の「略ハ字状」とは全く逆になっていることを意味している。
【0073】
内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということによって、これに連なる突条部24の下側にて、図8に示したように、当該容器本体20の左右両下側基部23が、蓋体10の嵌合用突条11のための「係止部」を形成していることになる。このため、この容器本体20では、内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっていることによって、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合させた後においては、図8の(b)に示したように、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしながら、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止できるのである。
【0074】
この図8に示した本発明(2)に係る包装用容器の上記請求項1のそれと異なる第二の点は、蓋体10の嵌合用突条11を、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。
【0075】
これにより、この本発明(2)の包装用容器では、図8の(a)及び(b)に示したように、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、図8に示した右側部分において、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるのである。
【0076】
一方、この包装用容器の、図8に示した左側部分においては、当該容器本体20の左側の下側基部23が「係止部」を形成していることになり、蓋体10の下側基部13をしっかりと係止することになり、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止するのである。
【0077】
以上の結果、この本発明(2)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間が形成されるのである。
【0078】
また、この本発明(2)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図8の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0079】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分の嵌合は、図8の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の下側基部23と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分には脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0080】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0081】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0082】
図9には、本発明(4)に係る包装用容器が示してある。この包装用容器は、図9に示したように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図9中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図9に示したように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。つまり、この本発明(4)の包装用容器では、その嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたときに左右対称となるようにしたものであり、傾斜部15は設けていないのである。
【0084】
つまり、この本発明(4)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図9の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図9の図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0085】
また、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる第二の点は、図9に示したように、容器本体21の嵌合用突条21を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成したことである。
【0086】
まず、内外の下側基部23・23を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がるものとしたことによって、こられ内外の下側基部23・23と、これらにそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13との係止、つまり嵌合を内外均等に行え、嵌合用突条21・11同士を確実に嵌合するのである。
【0087】
そして、外側の下側基部23の上端に傾斜部26を形成することによって、この本発明(4)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の外側の下側基部13が容器本体20の傾斜部26によって案内され、容器本体20側の突条部24が蓋体10側の突条部14内に円滑に案内されるのである。つまり、容器本体20側の傾斜部26が、図9の(a)に示したように、蓋体10側の外側の下側基部13を案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、図9の(b)に示したように、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成するのである。
【0088】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0089】
また、本発明(5)に係る包装用容器においては、容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成し、この傾斜部26が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成することも可能である。
【0090】
このようにした場合には、の包装用容器の、傾斜部26が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る包装用容器を構成する蓋体の平面図である。
【図2】同包装用容器を構成する容器本体の平面図である。
【図3】同包装用容器を構成する容器本体に蓋体を嵌合する状態の、右半分を断面にした正面図である。
【図4】図3の要部を拡大して示した部分断面図である。
【図5】図4に示した蓋体側の嵌合用突条の要部を拡大して示した部分断面図である。
【図6】図5に示した蓋体側の嵌合用突条の他の実施例を示した部分断面図である。
【図7】図5に示した蓋体側の嵌合用突条のさらに他の実施例を、(a)と(b)とに分けて示した部分断面図である。
【図8】本発明(2)に係る包装用容器を示すもので、(a)は容器本体に蓋体を嵌合しようとしているときの部分拡大断面図、(b)は容器本体に蓋体を完全に嵌合したときの部分拡大断面図である。
【図9】本発明(4)に係る包装用容器を示すもので、(a)は容器本体に蓋体を嵌合しようとしているときの部分拡大断面図、(b)は容器本体に蓋体を完全に嵌合したときの部分拡大断面図である。
【図10】従来の嵌合突条の問題点を示す部分拡大断面図である。
【図11】従来の別の例を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
【0092】
10 蓋体
11 嵌合用突条
12 基面
13 下側基部
14 突出部
15 傾斜部
15a 脚部
20 容器本体
21 嵌合用突条
22 基面
23 下側基部
24 突出部
25 脚部
26 傾斜部
L 中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートから成形した容器本体及び蓋体からなる包装用容器に関し、特に、液漏れを防止するために、容器本体及び蓋体に形成した嵌合用突条によって互いに嵌合するようにした包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂シートから成形した容器本体及び蓋体からなる包装用容器は、透明な合成樹脂シートを採用すれば収納物の確認を簡単に行うことができるし、安価に製造することができ、しかも容器本体内に詰めたものの密閉状態を完全に維持することができて便利であるため、種々なものが提案されてきている。この場合、収納物として例えば煮物惣菜のように汁の多いものを包装するについては、その汁(液体)が外部に簡単に出ないようにしておく必要がある。
【0003】
この液体が出ないようにした従来の包装用容器としては、例えば特許文献1にて提案されているような「嵌合容器」がある。この従来の嵌合容器では、上記公報の特許請求の範囲に記載されているように、「中空凸条35の断面形状をリム35aとその先端に設けられたほぼ円形状の膨出部35bからなる鍵穴状とし、リム35aと膨出部35bとの接続部をくびれ部35cとし、中空凹条45を中空凸条35のほぼ相似形状とし、少なくとも膨出部が互いに弾性的に圧接するようにした」ものであり、図10にて示すような形状のものとなっている。このような中空凹条45を中空凸条35に嵌合するようにすれば、容器本体内に収納した惣菜からの汁が外に漏れでないようにすることができる。つまり、この従来の包装用容器は、その容器本体内に惣菜等を収納した後には、上述したような中空凹条45や中空凸条35を使用して、機械的に相互の嵌合を行うのである。
【0004】
しかしながら、この図10に示した従来の嵌合容器では、容器本体や蓋体のスタッキングがうまくできない、という問題がある。つまり、この種の包装用容器は、内容物の詰め込みを機械的に行うため、容器本体は容器本体で、また蓋体は蓋体で予め大量に積み重ねておかれるものであり、その場合には、中空凹条45または中空凸条35同士が重なることになる。これらの中空凹条45や中空凸条35は、図10にも示したように、その軸線と直交する方向でみた断面形状が円弧状であるため、容器本体や蓋体のスタッキング、つまり積み重ねが安定した状態では行いにくい。
【0005】
スタッキングが安定しないと、例えば高く積み上げた多数の容器本体全体が傾斜したり、倒れたりする。このような状態になれば、一個一個の容器本体を機械的に取り出すことができないことになり、詰め込み作業はその場で停止させなければならない。
【0006】
換言すれば、図10に示した従来の包装用容器における嵌合突条は、上下共同じ形状のものであるため、どうしても点(線)接触することになり、安定性に欠けるものとなってしまうのである。つまり、合成樹脂材料は、もともと摩擦係数の小さいものであるため、スタッキングを行ったときに点(線)接触したとすると、摩擦係数が非常に小さくなって互いに滑り易くなるのである。
【0007】
そこで、本出願人等は、液漏れを防止するために円弧状の嵌合用突条を使用することを前提としながら、内容物を詰める前のスタッキングをも安定した状態で行うことができるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討して、特許文献2にて示されたような提案を行ってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2790794号掲載公報
【特許文献2】特許第3096772号掲載公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特許文献2に記載された「包装用容器」は、図11に示すように、
「合成樹脂シートから成形される本体10A及び蓋体10Bからなり、これら本体10A及び蓋体10Bに形成した全周環状の嵌合用突条11a・11b同士を嵌合することにより、内部に収納された液状物が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
嵌合用突条11a・11bを、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、本体10Aまたは蓋体10Bの基面12から最初に略ハ字状に立ち上がる下側突条部13と、この下側突条部13の上端に形成されて上端が閉じられた上側突条部14とにより構成するとともに、
さらに、下側突条部13の内径を、上側突条部14の外径と略同じにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0010】
そして、この特許文献2の「包装用容器」によると、中身を詰める前の容器本体10A及び蓋体10Bを安定した状態でスタッキングすることができて、詰め込み作業を支障なく行うことができ、しかも汁気の多い惣菜等を詰めた後において、汁が外に漏れ出ないようにすることのできる包装用容器を、簡単な構造によって提供することができたのである。
【0011】
また、この特許文献2の包装用容器について、上側及び下側突条部13・14のそれぞれの断面形状を円弧状としたことにより、上記効果が得られる他、液密性をさらに高めて、汁気の多い惣菜等を詰めた後において、より一層汁が外に漏れ出ないようにできるといった包装用容器を提供することができたのである。
【0012】
しかしながら、この特許文献2の「包装用容器」を、その後に本発明者が検討を加えてきたところ、容器本体に蓋体を嵌合する際にも、逆に蓋体を容器本体から外す際にも、非常に大きな力を必要とすることが判明した。つまり、例えば力の弱い独居老人が、当該包装用容器を使った惣菜を購入してきて、自宅で蓋体を外そうとしてもなかなかできない、という難点があることが判明したのである。
【0013】
逆に、「強い嵌合状態」とすることができる包装用容器であると、惣菜などの収納物を詰めて蓋体を容器本体に嵌合する際、大きな力が掛けられることから、容器本体の一部に「凹み」が生じてしまう、という難点も発生することが判明した。このことは、近年の合成樹脂シートが、これによって形成した容器等の処分をし易くするために非常に薄肉のものとなってきており、これによってシート成形した包装用容器も薄肉になってきているから、より拍車が掛けられている現象となっている。
【0014】
そこで、本発明者は、この種の包装用容器において、嵌合状態における容器本体と蓋体との「密閉性」を確保しながら、蓋体外しは勿論、容器本体に対する嵌合も簡単に行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討してきた結果、密閉性の確保は、嵌合部分の「内側」だけで十分であり、「外側」については、むしろ嵌合を緩くすることが良い結果を生むことに気付き、本発明を完成したのである。
【0015】
本発明は、以上のような経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体の容器本体に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体に凹みを形成することのない包装用容器を簡単な構造で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、容器本体20の突条部24下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の脚部25との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」である。
【0017】
すなわち、請求項1に係る発明に係る包装用容器では、図3〜図7に示すように、まず、容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成してある。この容器本体20の嵌合用突条21に関する点は、特許文献2にて提案している包装用容器の場合と同様である。
【0018】
また、この請求項1に係る発明に係る包装用容器では、図3〜図7に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したものである。
【0019】
すなわち、本発明(1)に係る蓋体10の嵌合用突条11では、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、内側部分については上記特許文献2の場合と同様であるが、外側部分についてのみ、図5〜図7に示すように、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15を形成したものである。そして、この傾斜部15の上端には、当該蓋体10の脚部15aの上端にも連続して上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14が形成してある。
【0020】
そして、請求項1に係る発明に係る包装用容器は、容器本体20に対する蓋体10の一体化のための嵌合を、両者にそれぞれ形成した嵌合用突条21・11によって行うようにしたものであり、容器本体20内の収納物から生ずる液体が漏れるのを防止するための嵌合は、各嵌合用突条21・11の内側部分によって行うようにしたものである。
【0021】
まず、両嵌合用突条21・11における内側部分(図中の中心線Lの図示左側部分)の嵌合は、図5〜図7に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、脚部25・15a、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図中の中心線Lの図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0022】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分(図中の中心線Lの図示右側部分)の嵌合は、図5〜図7に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の脚部25と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分(外側部分)には、容器本体20側の脚部25のような脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0023】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、中心線Lの図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0024】
つまり、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するときには、この蓋体10側の傾斜部15が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する場合の案内面となるのであり、嵌合完了時には、この蓋体10側の傾斜部15が、容器本体20側の外側の脚部25との間に空間を形成して密着し合わないようにしているのである。
【0025】
なお、容器本体20なら容器本体20、蓋体10なら蓋体10をスタッキングしたときは、例えば下側の蓋体10の突条部14が、上側の蓋体10の基部13内にスッポリと入り、互いに面接触した状態となるのであり、このことがスタッキング時の安定性を確保することになるのである。つまり、この包装用容器を構成している容器本体20及び蓋体10は、摩擦係数の小さい合成樹脂シートによって形成したものではあるが、突条部14・24が下側基部13・23内にスッポリと入るため、互いの滑りを防止することができて、それぞれのスタッキングを安定的に行えるのである。
【0026】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の外側脚部25との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0027】
従って、請求項1に係る発明に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明(2)に係る発明の採った手段は、同様に、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20の外側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0029】
すなわち、この本発明(2)に係る包装用容器は、図8に示すように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図8中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図8に示すように、容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23を設けた点である。これらの内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということは、請求項1の場合の「略ハ字状」とは全く逆になっていることを意味している。
【0031】
内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということによって、これに連なる突条部24の下側にて、図8に示すように、当該容器本体20の左右両下側基部23が、蓋体10の嵌合用突条11のための「係止部」を形成していることになる。このため、この容器本体20では、内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっていることによって、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合させた後においては、図8の(b)に示すように、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしながら、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止できるのである。
【0032】
第二の、この本発明(2)に係る包装用容器の上記請求項1のそれと異なる点は、図8に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。
【0033】
換言すれば、請求項1の包装用容器が有していた脚部15aを、この本発明(2)の包装用容器は有していないのであり、突条部14は、外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、下側基部13との上端に直接形成されていることである。これにより、この本発明(2)の包装用容器では、図8の(a)及び(b)に示すように、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、図8に示した右側部分において、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるのである。
【0034】
一方、この包装用容器の、図8に示した左側部分においては、当該容器本体20の左側の下側基部23が「係止部」を形成していることになり、蓋体10の下側基部13をしっかりと係止することになり、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止するのである。
【0035】
以上の結果、この本発明(2)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の下側基部23との間に空間が形成されるのである。
【0036】
また、この本発明(2)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図8の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0037】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分の嵌合は、図8の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の下側基部23と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分には脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0038】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0039】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0040】
従って、この本発明(2)に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0041】
また本発明(3)に係る発明の採った手段は、上記請求項1または本発明(2)の包装用容器について、
「蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したこと」
である。
【0042】
つまり、この本発明(3)に係る包装用容器においては、蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したものであり、この傾斜部15が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成するようにしたものである。勿論、この傾斜部15が存在する部分以外については、傾斜部15の代わりに下側基部13を形成して実施すればよい。
【0043】
従って、この本発明(3)に係る包装用容器では、上記請求項1または本発明(2)の包装用容器の、傾斜部15が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなっているのである。
【0044】
さて、上記課題を解決するために、本発明(4)に係る発明の採った手段は、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、容器本体20側の傾斜部26が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、容器本体20側の傾斜部26と、蓋体10の外側の下側基部13との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器」
である。
【0045】
すなわち、この本発明(4)に係る包装用容器は、図9に示すように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図9中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図9に示すように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。つまり、この本発明(4)の包装用容器では、その嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたときに左右対称となるようにしたものであり、請求項1に係る発明で述べた傾斜部15は設けていないのである。
【0047】
つまり、この本発明(4)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図9の(b)に示すように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図9の図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0048】
また、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる第二の点は、図9に示すように、容器本体21の嵌合用突条21を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成したことである。
【0049】
まず、内外の下側基部23・23を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がるものとしたことによって、こられ内外の下側基部23・23と、これらにそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13との係止、つまり嵌合を内外均等に行え、嵌合用突条21・11同士を確実に嵌合するのである。
【0050】
そして、外側の下側基部23の上端に傾斜部26を形成することによって、この本発明(4)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の外側の下側基部13が容器本体20の傾斜部26によって案内され、容器本体20側の突条部24が蓋体10側の突条部14内に円滑に案内されるのである。つまり、容器本体20側の傾斜部26が、図9の(a)に示すように、蓋体10側の外側の下側基部13を案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、図9の(b)に示すように、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成するのである。
【0051】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0052】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0053】
従って、この本発明(4)に係る包装用容器によれば、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することがないのである。
【0054】
また、本発明(5)に係る発明の採った手段は、上記本発明(4)の包装用容器について、
「容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したこと」
である。
【0055】
つまり、この本発明(5)に係る包装用容器においては、容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したものであり、この傾斜部26が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成するようにしたものである。
【0056】
従って、この本発明(5)に係る包装用容器では、上記本発明(4)の包装用容器の、傾斜部26が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなっているのである。
【発明の効果】
【0057】
以上、詳述した通り、請求項1に係る発明においては、上記実施形態にて例示した如く、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体20の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端にそれぞれ形成された脚部25・25と、これらの脚部25・25の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、容器本体20の突条部24下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と、容器本体20の外側の脚部25との間に空間を形成し得るようにしたこと」
また、本発明(2)に係る発明においては、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、これら両下側基部23・23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20の外側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたこと」
そして、本発明(4)に係る発明においては、
「合成樹脂シートからシート成形される容器本体20及び蓋体10からなり、これら容器本体20及び蓋体10に形成した嵌合用突条21・11同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成するとともに、
蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成して、
容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、容器本体20側の傾斜部26が、容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、容器本体20側の傾斜部26と、蓋体10の外側の下側基部13との間に空間を形成し得るようにしたこと」
にその構成上の代表的な特徴があり、これにより、液漏れ防止を図ることができることは当然として、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り外しが力の弱い人でも簡単に行え、しかも特に嵌合時において、容器本体20に凹みを形成することのない包装用容器を簡単な構造で提供することができるのである。
【0058】
また、本発明(3)、または本発明(5)に係る発明においては、上記請求項1または本発明(2)及び本発明(4)の包装用容器について、
「蓋体10側の傾斜部15を、嵌合用突条11の周方向に部分的に形成したこと」
あるいは、
「容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成したこと」にその構成上の特徴があり、これにより、上記請求項1に係る発明と同様な効果を発揮することができる他、液密性をさらに高めて、汁気の多い惣菜等を詰めた後において、より一層汁が外に漏れ出ないようにできる包装用容器を提供することができるのである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
次に、上記のように構成した各発明を、図面に示した最良の形態である包装用容器に基づいて説明するが、この最良形態の包装用容器は上記各発明を実質的に含むものであるから、以下では、この最良形態の包装用容器を中心に説明することとする。
【0060】
図1及び図2には、本発明を実施した蓋体10及び容器本体20の平面図が示してある。これらの蓋体10及び容器本体20は、合成樹脂シートによって所謂「シート成形」したものであり、図3にも示したように、所定深さの側壁と、底壁(容器本体20の場合)または天板(蓋体10の場合)とを有したものである。これらの図1及び図2に示した蓋体10及び容器本体20は、その全体の平面形状が「四角」である場合を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、全体の平面形状が「丸」は勿論、「六角形」や「八角形」等の他の形状のものへの適用も可能である。
【0061】
そして、この包装用容器においては、図3〜図7に示したように、それぞれの基面22・12、つまり一般的に「フランジ」と言われている部分に、嵌合用突条21・11が形成してあり、これらの嵌合用突条21・11によって、蓋体10は容器本体20に対して所謂「内嵌合」できるようにしてある。
【0062】
まず、蓋体10の嵌合用突条11についてであるが、図3及び図4の上部分、図5〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、図中の中心線Lの左半分、つまり当該包装用容器の内側部分については、当該蓋体10の基面12から後述する容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aとが形成してある。また、図中の中心線Lの右半分、つまり当該包装用容器の外側部分については、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15が形成してある。
【0063】
さらに、例えば図5及び図6の図示右側に位置する傾斜部15と、図示左側に位置する脚部15aとの上端には、上端が閉じられ、後述する容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14が形成してある。
【0064】
傾斜部15は、これが嵌合用突条11の外側で傾斜しているのであればどのように形成して実施してもよいものであるが、嵌合用突条11の断面形状に応じて変形される。例えば図5及び図6に示した実施例では、下側基部13及び突出部14、その中に入り込むことになる後述する容器本体20側の下側基部23及び突状部24の断面形状が円の一部を形成しているものであり、傾斜部15は容器本体20側の下側基部23の外側に対する接線方向となるように形成してある。
【0065】
図5に示した実施例では、傾斜部15の先端(上端)は、容器本体20側の突出部24の赤道(球の中心を通る水平な面で切ったときに現れる線)より下側に位置するものであり、下端は当該蓋体10の基面12に連なっている。つまり、この図5に示した実施例では、蓋体10側の突出部14は、この中に容器本体20側の突出部24が嵌合される場合に、傾斜部15によって案内されることになり、かつ、突出部14の外側部分であって赤道より下側の部分が嵌合操作時の抵抗となるようにしたものである。
【0066】
図6に示した実施例では、傾斜部15の先端(上端)は、容器本体20側の突出部24の赤道より少し上側に位置する(具体的には当該突出部14の外側接線となる)ものであり、下端は当該蓋体10の基面12に連なっている。つまり、この図6に示した実施例では、蓋体10側の突出部14は、この中に容器本体20側の突出部24が嵌合される場合に、傾斜部15によって案内されることになることは図5の実施例と同様であるが、この突出部14の外側部分は嵌合操作時の抵抗にはならないものである。
【0067】
図7に示した実施例では、下側基部13及び突出部14、その中に入り込むことになる後述する容器本体20側の下側基部23及び突状部24の断面形状が四角の一部を形成しているものであるが、傾斜部15の先端が突出部14の上面と一致する場合(図7の(a)の場合)と、傾斜部15の先端が突出部14の中間の面と一致する場合(図7の(b)の場合)との二種類が示してあって、傾斜部15の下端を基面12と一致させていることは共通している。
【0068】
そして、蓋体10側の嵌合用突条11の内側部分は、図3〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、この下側基部13の上端に形成された脚部15aと、この脚部15aの上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とが形成してある。
【0069】
勿論、嵌合用突条21の内側部分には、図3〜図7に示したように、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から立ち上がる下側基部23と、この下側基部23の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とが形成してある。これらの下側基部23及び突出部24は、図5及び図6に示したように、それぞれの断面形状を円弧状としてもよく、また図7に示すように、断面四角形状に実施してもよいものである。
【0070】
以上の嵌合用突条21・11は、容器本体20あるいは蓋体10を合成樹脂シートによって成形する場合に、同時に成形されるものであるが、各下側基部13及び突条部14の断面形状が円弧あるいは角形を基本にしているため、その所謂「型抜き」を簡単に行うことができるものでもある。逆に表現すれば、嵌合用突条21・11同士の嵌合も簡単に行え、しかも液漏れ防止のための十分な密閉性をも内側部分にて確保することができるのである。
【0071】
また、図8には、本発明(2)に係る包装用容器が示してあるが、この図8に示した包装用容器は、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図8中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
この本発明(2)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図8に示したように、容器本体21の嵌合用突条21を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23を設けた点である。これらの内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということは、請求項1の場合の「略ハ字状」とは全く逆になっていることを意味している。
【0073】
内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっているということによって、これに連なる突条部24の下側にて、図8に示したように、当該容器本体20の左右両下側基部23が、蓋体10の嵌合用突条11のための「係止部」を形成していることになる。このため、この容器本体20では、内外の下側基部23・23が「逆ハ字状」になっていることによって、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合させた後においては、図8の(b)に示したように、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしながら、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止できるのである。
【0074】
この図8に示した本発明(2)に係る包装用容器の上記請求項1のそれと異なる第二の点は、蓋体10の嵌合用突条11を、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の内側の下側基部23と平行に立ち上がる下側基部13と、当該蓋体10の基面12から外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部15と、この傾斜部15及び当該蓋体10の下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。
【0075】
これにより、この本発明(2)の包装用容器では、図8の(a)及び(b)に示したように、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、図8に示した右側部分において、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となるのである。
【0076】
一方、この包装用容器の、図8に示した左側部分においては、当該容器本体20の左側の下側基部23が「係止部」を形成していることになり、蓋体10の下側基部13をしっかりと係止することになり、容器本体20に蓋体10をしっかりと嵌合あるいは係止するのである。
【0077】
以上の結果、この本発明(2)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の傾斜部15が容器本体20の突条部24を蓋体10側の突条部14内に案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間が形成されるのである。
【0078】
また、この本発明(2)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図8の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0079】
これに対して、両嵌合用突条21・11における外側部分の嵌合は、図8の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12、及び突出部24・14は完全に密着し合ってはいるが、容器本体20の下側基部23と蓋体10の傾斜部15との間には空間が形成されていて、完全に密着し合ってはいないのである。勿論、この蓋体10の嵌合用突条11の右側部分には脚部は存在せず、傾斜部15となっている。
【0080】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0081】
また、容器本体20及び蓋体10の各嵌合完了時に、傾斜部15と容器本体20側の下側基部23との間に空間を形成し得るようにしたことは、その嵌合操作時に容器本体20内の空気を外に出す「道」を確保していることを意味し、より一層嵌合操作を行い易くしているのである。逆に、この空間は、容器本体20から蓋体10を取り外す際に、外からの空気を容器本体20内に入れる「道」を確保していることを意味し、取り外し操作を行い易くしているのである。
【0082】
図9には、本発明(4)に係る包装用容器が示してある。この包装用容器は、図9に示したように、次の2点において上記請求項1のそれと異なるものであり、他の部分は上記請求項1のそれと共通するものである。このため、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと実質的に共通する部材については、図9中に請求項1において説明したのと同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる点は、第一に、図9に示したように、蓋体10の嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体10の基面12から容器本体側20の両下側基部23・23とそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13と、これらの下側基部13の上端に形成されて上端が閉じられ、容器本体20の突条部24に嵌合される突条部14とにより構成したことである。つまり、この本発明(4)の包装用容器では、その嵌合用突条11を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたときに左右対称となるようにしたものであり、傾斜部15は設けていないのである。
【0084】
つまり、この本発明(4)の包装用容器において、両嵌合用突条21・11における内側部分の嵌合は、図9の(b)に示したように、容器本体20側の基面22上に蓋体10側の基面12が完全に載置されるとともに、容器本体20及び蓋体10の各下側基部23・13、及び突出部24・14がそれぞれ完全に密着し合った状態で行われる。換言すれば、両嵌合用突条21・11の、図9の図示左側部分における嵌合は、容器本体20及び蓋体10の各部分が互いに密着し合った状態で行われるのであり、この密着部分によって、内部からの液体の外への漏れが防止されるのである。
【0085】
また、この本発明(4)に係る包装用容器の、上記請求項1のそれと異なる第二の点は、図9に示したように、容器本体21の嵌合用突条21を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がる内外の下側基部23・23と、外側の下側基部23の上端に形成されて外側にて傾斜して立ち上がる傾斜部26と、この傾斜部26の上端に形成されて上端が閉じられた突条部24とにより構成したことである。
【0086】
まず、内外の下側基部23・23を、容器本体20の基面22から最初に逆ハ字状に立ち上がるものとしたことによって、こられ内外の下側基部23・23と、これらにそれぞれ平行に立ち上がる下側基部13・13との係止、つまり嵌合を内外均等に行え、嵌合用突条21・11同士を確実に嵌合するのである。
【0087】
そして、外側の下側基部23の上端に傾斜部26を形成することによって、この本発明(4)の包装用容器においては、容器本体20及び蓋体10の各嵌合用突条21・11を互いに嵌合するとき、蓋体10側の外側の下側基部13が容器本体20の傾斜部26によって案内され、容器本体20側の突条部24が蓋体10側の突条部14内に円滑に案内されるのである。つまり、容器本体20側の傾斜部26が、図9の(a)に示したように、蓋体10側の外側の下側基部13を案内する案内面となり、かつ嵌合完了時には、図9の(b)に示したように、蓋体10側の下側基部13と容器本体20側の傾斜部26との間に空間を形成するのである。
【0088】
このように、嵌合時における両嵌合用突条21・11の、図示右側部分において空間が存在しているということは、容器本体20に対する蓋体10の嵌合時は勿論、容器本体20から蓋体10を取り外す場合において、そのための抵抗が殆ど発生しないことを意味している。
【0089】
また、本発明(5)に係る包装用容器においては、容器本体20側の傾斜部26を、嵌合用突条21の周方向に部分的に形成し、この傾斜部26が存在す部分についてのみ、上述した空間を積極的に形成することも可能である。
【0090】
このようにした場合には、の包装用容器の、傾斜部26が存在する部分について、容器本体20に対する蓋体10の嵌合や取り外しを行う力を弱くすることができて、使用し易いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る包装用容器を構成する蓋体の平面図である。
【図2】同包装用容器を構成する容器本体の平面図である。
【図3】同包装用容器を構成する容器本体に蓋体を嵌合する状態の、右半分を断面にした正面図である。
【図4】図3の要部を拡大して示した部分断面図である。
【図5】図4に示した蓋体側の嵌合用突条の要部を拡大して示した部分断面図である。
【図6】図5に示した蓋体側の嵌合用突条の他の実施例を示した部分断面図である。
【図7】図5に示した蓋体側の嵌合用突条のさらに他の実施例を、(a)と(b)とに分けて示した部分断面図である。
【図8】本発明(2)に係る包装用容器を示すもので、(a)は容器本体に蓋体を嵌合しようとしているときの部分拡大断面図、(b)は容器本体に蓋体を完全に嵌合したときの部分拡大断面図である。
【図9】本発明(4)に係る包装用容器を示すもので、(a)は容器本体に蓋体を嵌合しようとしているときの部分拡大断面図、(b)は容器本体に蓋体を完全に嵌合したときの部分拡大断面図である。
【図10】従来の嵌合突条の問題点を示す部分拡大断面図である。
【図11】従来の別の例を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
【0092】
10 蓋体
11 嵌合用突条
12 基面
13 下側基部
14 突出部
15 傾斜部
15a 脚部
20 容器本体
21 嵌合用突条
22 基面
23 下側基部
24 突出部
25 脚部
26 傾斜部
L 中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートからシート成形される容器本体及び蓋体からなり、これら容器本体及び蓋体に形成した嵌合用突条同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
前記容器本体の嵌合用突条を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体の基面から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部と、これら両下側基部の上端にそれぞれ形成された脚部と、これらの脚部の上端に形成されて上端が閉じられた突条部とにより構成するとともに、
前記蓋体の嵌合用突条を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体の基面から前記容器本体側の内側の下側基部と平行に立ち上がる下側基部と、この下側基部の上端に形成された脚部と、当該蓋体の基面から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、前記容器本体の突条部下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部と、
この傾斜部及び当該蓋体の前記脚部の上端に形成されて上端が閉じられ、前記容器本体の突条部に嵌合される突条部とにより構成して、
前記容器本体及び蓋体の各嵌合用突条を互いに嵌合するとき、前記蓋体側の傾斜部が前記容器本体の突条部を蓋体側の突条部内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、前記傾斜部と、前記容器本体の外側の前記脚部との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器。
【請求項1】
合成樹脂シートからシート成形される容器本体及び蓋体からなり、これら容器本体及び蓋体に形成した嵌合用突条同士を嵌合することにより、内部に収納された収納物からの液体が外部に漏れ出ないようにした包装用容器において、
前記容器本体の嵌合用突条を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、容器本体の基面から最初に略ハ字状に立ち上がる内外の下側基部と、これら両下側基部の上端にそれぞれ形成された脚部と、これらの脚部の上端に形成されて上端が閉じられた突条部とにより構成するとともに、
前記蓋体の嵌合用突条を、その軸線に対して直交する方向の断面でみたとき、当該蓋体の基面から前記容器本体側の内側の下側基部と平行に立ち上がる下側基部と、この下側基部の上端に形成された脚部と、当該蓋体の基面から外側にて傾斜して立ち上がり、その上端が、前記容器本体の突条部下側に接触し、嵌合操作時の抵抗となる傾斜部と、
この傾斜部及び当該蓋体の前記脚部の上端に形成されて上端が閉じられ、前記容器本体の突条部に嵌合される突条部とにより構成して、
前記容器本体及び蓋体の各嵌合用突条を互いに嵌合するとき、前記蓋体側の傾斜部が前記容器本体の突条部を蓋体側の突条部内に案内する案内面となるようにし、かつ嵌合完了時には、前記傾斜部と、前記容器本体の外側の前記脚部との間に空間を形成し得るようにしたことを特徴とする包装用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−49491(P2013−49491A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−273303(P2012−273303)
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2007−189538(P2007−189538)の分割
【原出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月14日(2012.12.14)
【分割の表示】特願2007−189538(P2007−189538)の分割
【原出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】
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