説明

包装硬貨処理装置

【課題】包装硬貨の数量を検出する時間を短縮するとともに部品点数を低減して装置の大型化を抑制することができる包装硬貨処理装置およびその包装硬貨管理方法を提供する。
【解決手段】所定の出金操作に基づいて包装硬貨Cを払い出す包装硬貨処理装置において、識別情報が記憶されるとともに該識別情報を送信可能なRFIDタグが設けられた複数の包装硬貨を収容する載置部20と、該載置部20に収容された全ての包装硬貨CのRFIDタグと無線通信可能な位置に、RFIDタグから送信された識別情報を受信するRFIDリーダ30とを機体17内に備え、RFIDリーダ30による識別情報の読み取り結果に基づいて機体17内に収容された包装硬貨Cの管理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装硬貨処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定枚数集積した硬貨の周面を包装紙で巻回した、いわゆる包装硬貨を、使用者の出金操作に基づいて払い出す包装硬貨処理装置が知られている。この包装硬貨処理装置では、機体内に包装硬貨を金種別に収容するための複数の載置部を備えるとともに、これら載置部毎に包装硬貨の数量を検出するための光学センサを備え、これら複数の光学センサの検出結果に基づいて機体内に収容された包装硬貨の数量を管理するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−318602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した包装硬貨処理装置においては、各載置部に光学センサを設け、この光学センサを載置部の一端から他端に向かって移動させて載置部内に収容されている包装硬貨の数量を検出している。そのため、包装硬貨の検出が完了するまでに時間がかかるという課題がある。
また、各載置部に光学センサを設けており、しかも光学センサを移動させるので、部品点数が増加して装置の小型化が困難であるという課題がある。
【0004】
そこで、この発明は、包装硬貨の数量を検出する時間を短縮するとともに部品点数を低減して装置の大型化を抑制することができる包装硬貨処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、所定の出金操作に基づいて包装硬貨(例えば、実施の形態における包装硬貨C)を払い出す包装硬貨処理装置において、識別情報が記憶されるとともに該識別情報を送信可能なRFIDタグ(例えば、実施の形態におけるRFIDタグ28)がそれぞれ設けられた複数の包装硬貨を収容する収容手段(例えば、実施の形態における載置部20)と、該収容手段に収容された全ての前記包装硬貨の前記RFIDタグと無線通信可能な位置に設けられて該RFIDタグから送信された識別情報を受信するRFIDリーダ(例えば、実施の形態におけるRFIDリーダ30)とを機体(例えば、実施の形態における機体17)内に備え、前記RFIDリーダによる前記識別情報の読み取り結果に基づいて機体内に収容された前記包装硬貨の数量を計数する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記識別情報が、少なくとも前記包装硬貨の金種または金額を判別することが可能な情報を含んでいることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、集積した硬貨の周面に前記包装紙(例えば、実施の形態における包装紙H)を所定回数巻回することで前記包装硬貨を作成する包装硬貨作成手段(例えば、実施の形態における包装硬貨作成部70)を備え、該包装硬貨作成手段は、前記RFIDタグに前記識別情報を書き込むRFIDライター(例えば、実施の形態におけるRFIDライター73)を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、所定の出金操作に基づいて前記包装硬貨を出金する出金部(例えば、実施の形態におけるバケット14)に、他のRFIDリーダが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、複数の包装硬貨のRFIDタグの識別情報を、機体内に設けられたRFIDリーダで読み取り、このRFIDリーダで読み取った識別情報に基づいて、収容手段に収容されている包装硬貨の全数量を計数することができるため、従来の収容手段毎にセンサを設けセンサを移動させる場合と比較して、この収容手段毎に設けていたセンサを省略した分とセンサを移動させる機構を省略した分だけ部品点数を低減することができ、したがって、装置の小型化を図ることができる効果がある。
また、RFIDリーダを移動させることなしに包装硬貨を検出することができるため、従来のようにセンサを移動させて包装硬貨を検出する場合と比較して、このセンサの移動時間にかかっていた分だけ包装硬貨の検出時間を短縮することができる効果がある。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、RFIDリーダにて受信した識別情報に基づいて機体内に収容されている包装硬貨を金種別に計数することができるとともに、機体内に収容されている硬貨の総額を容易に算出することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、包装硬貨作成手段によってRFIDタグを備えた包装硬貨を作成し、作成された包装硬貨のRFIDタグに、RFIDライターによって識別情報を都度書き込むことができるため、機体内に収容される包装硬貨の識別情報と、実際の包装硬貨の情報に差異が生じるのを防止することができ、したがって、払い出される包装硬貨の信頼性を向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、出金部の包装硬貨が使用者によって出金操作された内容と一致するか否かを制御部によって確認することができるため、更なる信頼性の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、図面に基づいてこの発明の実施の形態に係る包装硬貨処理装置を説明する。
図1に示すように、包装硬貨処理装置11は、包装硬貨Cを各金種別に分類して収納する水平一方向(図1における左右方向)に長いスタッカ12と、スタッカ12の長さ方向における一側(図1における左側)に設けられてスタッカ12から包装硬貨Cを受け取るバケット14と、このバケット14を昇降させるエレベータ機構部15と、各部を制御する制御部16と、全体を覆う機体17を有している。なお、包装硬貨処理装置11は、バケット14側が使用者側とされ、スタッカ12側が使用者に対し反対側とされて使用されるもので、使用者に対し前後方向に細長い形状をなしている。以下においては、包装硬貨処理装置11の使用者側を前、使用者に対し反対側を後、使用者から見て左右つまり包装硬貨処理装置11の長さ方向に直交する水平両方向を左右と称す。なお、包装硬貨処理装置11は左右両側に他の貨幣処理機等が近接して配置され、これらと組み合わせて使用される。
【0014】
まず、スタッカ12について説明する。
スタッカ12は、図1に示すように、それぞれが一金種のみを収納する各金種別の載置部(収容手段)20を複数有している。載置部20は、図2に示すように、前後方向に長い形状をなす底板部21と、この底板部21の左右方向における両側縁部側からそれぞれ立設された一対の側壁部22と、底板部21の長さ方向における一側の前端縁部から立設された前壁部23と、底板部21の長さ方向における逆側の後端縁部から立設された後壁部24と、両側壁部22の上端縁部からそれぞれ内側に折り曲げられた上板部25とを有する棚形状をなしている。載置部20は、長さ方向における一側である前壁部23側が下側に位置し長さ方向における逆側が若干上側に位置するように傾斜配置された状態で機体17側の図示せぬ支持部に固定されている。
【0015】
そして、載置部20には、包装硬貨Cが底板部21の長さ方向に直交する姿勢つまり軸線を左右方向に向けた姿勢で軸方向両側が左右の側壁部22で移動が規制されるように底板部21上に載置されることになり、このような包装硬貨Cが多数、載置部20の長さ方向に並列状態で載置される。ここで、載置された包装硬貨Cは載置部20が上記のように傾斜していることから自重により前壁部23側(一側)に寄せられ、最も前壁部23側のものが前壁部23に当接する。なお、この傾斜下側の前壁部23から包装硬貨Cの一本分のスペースは、上板部25が設けられず包装硬貨Cを上方に取出可能とする取出部20aとされており、この取出部20aに位置する包装硬貨Cが上方に取り出される(後述)。また、傾斜上側の後壁部24から包装硬貨Cの一本分のスペースは、上板部25が設けられず包装硬貨Cを投入可能とする投入部20bとされており、この投入部20bから包装硬貨Cが補充される。
【0016】
上記のような載置部20が、図1に示すように、それぞれの取出部20aの水平方向における位置を合わせ、全体的な水平方向における位置をも合わせた状態で、上下方向に複数段例えば国内で取り扱われる全6金種分以上の10段となるように平行に配置されてスタッカ12が構成されている。このスタッカ12は包装硬貨Cの補充等のために機体17から引出可能とされている。ここで、包装硬貨Cの長さが異なるため各金種別の載置部20は、側壁部22同士の間隔が異なることになるが、すべての載置部20は、側壁部22の外側の間隔を等しくする一方、図示せぬ調整部材により内側の間隔を調整するようになっている。
【0017】
そして、本実施形態においては、図2に示すように、各載置部20のそれぞれの前壁部23側の取出部20aに、載置部20の長さ方向に沿って前端側に抜ける形状の通過凹部26が左右に複数具体的には二カ所形成されている。つまり、これら通過凹部26は、底板部21の前壁部23側に前壁部23を含んで切り欠かれた形状をなしている。
【0018】
次に、スタッカ12に対し取出部20a側つまり前側に並んで昇降可能に設けられてスタッカ12から包装硬貨Cを受け取るバケット14と、このバケット14を昇降させるエレベータ機構部15とについて説明する。
【0019】
エレベータ機構部15は、図1に示すように、載置部20の前方において鉛直方向に立設されてバケット14を昇降可能に支持する昇降ガイド軸47と、昇降ガイド軸47に沿ってバケット14を昇降させるバケット昇降機構部48とを有している。なお、昇降ガイド軸47はバケット14をスタッカ12に対し左右方向に重ね合わせた前方の隣接位置で昇降させる。
【0020】
バケット昇降機構部48は、上下両側に設けられた一対のプーリ50とこれらプーリ50に掛けられるとともにバケット14の固定部14aが固定されるベルト51と、下側のプーリ50を駆動する昇降モータ52と、バケット14のスタッカ12に対し反対側に設けられた昇降位置センサ53と、この昇降位置センサ53で検出される検出片部54が上下に複数形成された検知板55とを有している。
【0021】
バケット14は、上部開口の略箱型をなしており、この上部開口部のスタッカ12側(図1における右側)には、前方に延びる受入台部60が設けられ、この受入台部60のスタッカ12に対し反対側には受入台部60よりも下方に凹む収容凹部61が設けられている。ここで、バケット14は、スタッカ12側の受入台部60から上側部分が受入開口部62とされており、この受入開口部62を介して受入台部60上にスタッカ12から包装硬貨Cを受け入れる。受入台部60は受入開口部62側つまりスタッカ12側が高くスタッカ12に対し反対側が低く傾斜しており、受け入れた包装硬貨Cをその傾斜により収容凹部61側に移動させる。なお、受入台部60の傾斜角度は、載置部20の底板部21の延長上に位置可能なように載置部20の底板部21と同じ角度とされている。
【0022】
受入台部60には、この受入台部60に沿って受入台部60からスタッカ12側に突出する突出状態と受入台部60側に引き込まれる引込状態とにスライド可能な突出アーム65が左右一対で設けられている(図3参照。図3では一方の突出アーム65のみ示す)。これら突出アーム65は受入台部60に沿ってスライドすることで突出時には突出先端側が高くなるように傾斜する。
【0023】
なお、突出アーム65を突出させた場合、左右の突出アーム65が水平方向において載置部20の左右の通過凹部26に重なり合う状態となる。つまり、突出状態にある突出アーム65は、バケット14の上昇で載置部20の通過凹部26内を通って載置部20の取出部20aを下から上に移動可能となる。
【0024】
バケット14の昇降および突出アーム65のスライドを制御する制御部16は、突出アーム65を突出状態として所定の載置部20の通過凹部26を下側から上側に移動させるようにバケット14を上昇させることでこの所定の載置部20から包装硬貨Cを突出アーム65上に受け取りつつ取出部20aから上側に取り出して、突出アーム65および受入台部60の傾斜により移動させてバケット14の収容凹部61内に収容させるように突出アーム65をスライドさせる図示しないモータなどの機構部およびエレベータ機構部15の昇降モータ52を制御する。
【0025】
制御部16は、突出アーム65を引込状態としバケット14をすべての載置部20より下側の待機位置で待機させており(図1に実線で示すバケット14参照)、包装硬貨Cの払い出しが指示されると、払い出しが指示された対象金種のうち最も下側の載置部20の包装硬貨Cを取出対象金種として、この取出対象金種の載置部20の下側のこの載置部20に対する所定の取出前位置までバケット14を昇降モータ52で上昇させる。なお、制御部16は、同一金種の載置部20からの包装硬貨Cの取り出しを優先させることになり、この前提で下側の載置部20から包装硬貨Cの取り出しを行う。
【0026】
制御部16は、取出対象金種の載置部20の取出前位置まで上昇したバケット14において、図3(a)に示すように突出アーム65を突出状態にする。そして、図3(b)から図3(c)に示すように取出対象金種の載置部20の上側のこの載置部20に対する所定の取出後位置までバケット14を昇降モータ52(図1参照)で上昇させる取出作動を行う。すると、この取出対象金種の載置部20の前壁部23側の通過凹部26(図2参照)を突出状態にある突出アーム65が下から上に通過し、載置部20の前壁部23に当接していた取出部20aにある一本の包装硬貨Cのみをその二カ所の外周部を支持しつつ載置部20の前壁部23側の取出部20aから持ち上げて取り出す。このとき、前壁部23による規制が解除されると、包装硬貨Cは、突出アーム65および受入台部60の傾斜によって容易に転がってバケット14の収容凹部61の方向に移動する。
【0027】
ここで、上記した取出対象金種の載置部20の取出前位置は、取出対象金種の載置部20よりも下側に載置部20がある場合に、一段下側の載置部20における取出後位置と一致するように設定されている(図3(a)参照)。言い換えれば、上記した取出対象金種の載置部20の取出後位置は、取出対象金種の載置部20よりも上側に載置部20がある場合に、一段上側の載置部20における取出前位置と一致するように設定されている(図3(c)参照)。
【0028】
なお、図1に実線で示すバケット14の最下の待機位置は最下の載置部20に対する取出前位置と一致するように設定されている。また、図1に二点鎖線で示すバケット14の最上の機外取出位置は、最上の載置部20に対する取出後位置と一致するように設定されている。
【0029】
なお、すべての載置部20に対する取出前位置および取出後位置においてバケット14を停止可能なようにバケット14の昇降位置センサ53で検知される検知板55の各検知片部54が設けられている。なお、上側の載置部20における取出前位置とこれより一つ下側の載置部20における取出後位置とが一致させられていることで、これらに対する検知片部54も一つで共用される。
【0030】
次の取出対象金種が前回と同じである場合、制御部16は、取出後位置においてアームスライドモータ74で突出アーム65を引込状態とし、この取出対象金種の載置部20の下側のこの載置部20に対する取出前位置までバケット14を昇降モータ52で下降させた後、上記のように突出アーム65を突出状態とし、この取出対象金種の載置部20の取出後位置まで上昇させる取出作動を再び行うことになる。
【0031】
一方、次の取出対象金種の載置部20が前回よりも一段上の載置部20である場合、制御部16は、現在の位置が次の取出対象金種の載置部20における取出前位置になるので、突出アーム65を突出状態にしたまま、この載置部20の上側のこの載置部20に対する所定の取出後位置までバケット14を昇降モータ52で上昇させる取出作動を行って、上記と同様に包装硬貨Cをバケット14に受け入れる。このとき、上下方向に隣り合う載置部20から連続して包装硬貨を取り出そうとする場合、一の載置部20からの包装硬貨の取り出しが終了してから次の載置部20からの包装硬貨の取り出しを開始する間で改めて移動する時間を必要としないことから、一の載置部20からバケット14内に収容した包装硬貨が安定しないうちに次の載置部20からの包装硬貨の取り出しが行われる可能性がある。よって、隣り合う載置部20から連続して包装硬貨を取り出そうとする場合には、バケット14による一の取出作動を行ってから次の取出作動を行う間で、昇降モータ52によるバケット14の上昇動作を一旦停止させ、包装硬貨を安定させて、後述する包装硬貨の判別動作を行う時間を確保することが望ましい。
【0032】
他方、次の取出対象金種の載置部20が前回よりも複数段上の載置部20である場合、制御部16は、突出アーム65を引込状態とした後、次の取出対象金種の載置部20の下側のこの載置部20に対する所定の取出前位置までバケット14を昇降モータ52で上昇させた後、突出アーム65を突出状態とする。そして、バケット14をこの取出対象金種の載置部20の上側のこの載置部20に対する所定の取出後位置まで上昇させる取出作動を行って、上記と同様に包装硬貨Cをバケット14に受け入れる。
【0033】
以上を適宜繰り返すことで必要な包装硬貨Cをバケット14内にすべて収めると、制御部16は、突出アーム65を引込状態とした後、バケット14を上昇させて、図1に二点鎖線で示す機外取出位置に位置させる。この機外取出位置にバケット14が位置したことが検出されると、制御部16は、機体17の上部前側のシャッタ91を開作動させ、バケット14からの包装硬貨Cの取り出しを可能とする。そして、バケット14からすべての包装硬貨Cが取り出されたことが検出されると、機体17の上部前側のシャッタ91を閉作動させた後、バケット14を最下の待機位置まで下降させて待機させる。
【0034】
ところで、図4に示すように、上述した包装硬貨処理装置11の載置部20に収容される包装硬貨Cの所定枚数集積した集積硬貨の周面に巻回された包装紙Hには、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)を構成し、アンテナ(図示せず)とICチップ(図示せず)とを備えるRFIDタグ28が埋設されている。このRFIDタグ28のICチップは、集積硬貨の金種、枚数、金額、包装年月日、包装機の機体番号などの所定の識別データが包装時に予め記憶されており、また、RFIDタグ28のアンテナは、所定の電波を受信すると共振して起電力を発生するように構成されている。ここで、アンテナで発生した起電力は、ICチップの駆動電力として利用されるようになっており、アンテナより駆動電力が供給されたICチップは、無線で受信した制御指令に基づいて、ICチップ内に記憶されている上記所定の識別データを無線で送信する。なお、RFIDタグ28は包装紙Hに埋設されるものに限られず、例えば、ラベル状のものを包装硬貨Cの包装紙Hに貼付するようにしても良い。
【0035】
一方、図1に示すように、包装硬貨処理装置11は、その機体17内に上記RFIDタグ28とともにRFIDを構成するRFIDリーダ30を備えている。このRFIDリーダ30は、アンテナ(図示せず)を有しており、制御部16からの制御指令に従って上述したRFIDタグ28のICチップを駆動するための所定の電波を発信するように構成されている。さらに、RFIDリーダ30は、所定の電波を搬送波としてRFIDタグ28のICチップに制御指令を送信し、その後、RFIDタグ28から送出される所定の識別データを受信して、この受信した所定の識別データを制御部16に向けて出力するように構成されている。
【0036】
また、包装硬貨を収容するスタッカ12の載置部20は、RFIDタグ28とRFIDリーダ30との間の無線通信を妨げないように、電波を遮蔽しない材質、例えば樹脂などによって形成されている。そして、RFIDリーダ30は、このように形成された載置部20に収容されている包装硬貨C、すなわち機体17内に存在する全てのRFIDタグ28に対して無線通信可能な位置に配置されている。ここで、無線通信可能な位置とは、例えば、包装硬貨処理装置11内に設けられている電波を遮蔽する可能性のある遮蔽物の影響がない適宜の位置である。
【0037】
また、包装硬貨処理装置11の機体17には、この機体17の外部から内部への電波の侵入、および、筐体内部から外部への電波の漏洩を防止すべく、上記電波を遮蔽する遮蔽部材が設けられている。ここで、この遮蔽部材は、包装硬貨処理装置11の機体17の内外の電波の行き来を遮蔽できれば良く、例えば、機体17自体を遮蔽部材で形成したり、機体17を遮蔽部材で被覆したりすれば良い。
【0038】
制御部16は、RFIDリーダ30で受信した全てのRFIDタグ28の所定の識別データに基づいて、包装硬貨処理装置11の機体17内に収容されている包装硬貨Cの金種別の数量、金額、作成日等の種々の識別データを算出して、この識別データを機体17の上面に設けられたディスプレイ(図示せず)に表示させるようになっている。また、制御部16は、上記種々の識別データに基づいて、機体17内に収容されている硬貨の総額を算出してディスプレイに表示させる。なお、包装硬貨Cの収容量が所定量以下に減少した場合などには、ディスプレイに表示するのと同時に、ブザー音などを発して、使用者に包装硬貨Cの補充を促すようにしても良い。
【0039】
以上に述べた本実施形態の包装硬貨処理装置11によれば、スタッカ12に収容されている複数の包装硬貨のRFIDタグの識別データを、包装硬貨処理装置11の機体17内に設けられたRFIDリーダ30で読み取り、このRFIDリーダ30で読み取った識別データに基づいて、スタッカ12の載置部20に収容されている包装硬貨Cの全数量を計数することができるため、従来、載置部20毎に光学センサを設けた場合と比較して、スタッカ12毎に設けていた光学センサを省略できる分だけ部品点数を低減することができ、この結果、包装硬貨処理装置11の小型化を図ることができる。
【0040】
また、従来のように光学センサを移動させて載置部20に収容されている包装硬貨Cの検出を行う場合と比較して、RFIDリーダ30を移動させることなしに複数のRFIDタグ28の識別データを受信して包装硬貨Cを検出することができるため、包装硬貨Cの検出時間を短縮することができる。
【0041】
さらに、RFIDリーダ30にて受信した識別データに基づいて包装硬貨処理装置11の機体17内に収容されている包装硬貨Cを金種別に計数することができるとともに、機体17内に収容されている硬貨の総額を容易に算出することができる。
【0042】
次に、図5に基づいて上述した実施の形態の変形例を説明する。上述した実施の形態では、機体17内に収容された包装硬貨Cの支払いを行う包装硬貨処理装置11の一例を説明したが、この実施の形態の変形例は、上述した包装硬貨処理装置11に、包装硬貨Cを作成する包装硬貨作成部(包装硬貨作成手段)70を追加したものである。なお、図5では、上記実施の形態のスタッカ12、エレベータ機構部15およびバケット14を図示都合上省略している。また、この変形例では、上記実施の形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
【0043】
図5に示すように、包装硬貨処理機11Aは、上述したRFIDリーダ30を有した包装硬貨処理装置11の機体17内に、包装硬貨作成部70を備えたものである。この包装硬貨作成部70は、投入口71から入金されたバラ硬貨を集積して包装硬貨Cを作成するように構成されており、この包装硬貨Cを包装する包装紙Hには、上述した実施の形態と同様に、RFIDタグ28が埋め込まれている。また、この包装硬貨作成部70には、包装硬貨Cを作成する際に、集積硬貨を鑑別する鑑別部72が設けられており、この鑑別部72の鑑別結果が制御部16に送信されるようになっている。
【0044】
さらに、制御部16は、使用者がタッチパネルなどの入力操作部(図示せず)から入力した包装硬貨Cに関する情報を受信するように構成されており、これら鑑別結果と入力情報とに基づいてRFIDタグ28に書き込む所定の識別データを作成するように構成されている。そして、制御部16には、RFIDタグ28に無線によってデータを書き込むことが可能なRFIDライター73が接続されており、制御部16は、このRFIDライター73に制御指令を出力して、RFIDタグ28に所定の識別データを書き込み可能になっている。そして、包装硬貨処理機11Aでは、RFIDタグ28に所定の識別データが書き込まれている包装硬貨Cを、上述した載置部20に金種別に収容するように構成されている。なお、RFIDライター73によってRFIDタグ28に集積硬貨の所定の識別データを書き込むタイミングとしては、包装硬貨作成部70において所定枚数集積した硬貨を包装紙Hで巻回する前および巻回した後のいずれのタイミングでもよい。
【0045】
RFIDライター73は、RFIDタグ28に所定の識別データを書き込む際に、前述したRFIDリーダ30と同様に、RFIDタグ28のICチップを駆動するための所定の電波を出力するようになっている。つまり、RFIDリーダ30およびRFIDライター73の両者ともRFIDタグ28に向けて同様の電波を出力する構成となっており、機体17内にRFIDリーダ30とRFIDライター73とのそれぞれの電波が混在してしまうこととなる。そのため、制御部16では、RFIDリーダ30とRFIDライター73のいずれか一方を駆動しているときに、他方を駆動禁止とするように設定されている。なお、RFIDリーダ30とRFIDライター73とのいずれかを駆動禁止とする以外に、例えば、RFIDリーダ30とRFIDライター73との電波管理領域、すなわち包装硬貨作成部70の領域と、それ以外の領域とを遮蔽部材で隔てて、RFIDリーダ30とRFIDライター73とから出力される電波が互いに影響しないようにしてもよい。
【0046】
上記実施の形態の変形例によれば、包装硬貨作成部70によってRFIDタグ28を備えた包装硬貨Cを作成して、この作成された包装硬貨CのRFIDタグ28に、RFIDライター73によって識別データを書き込むことで、一つの装置内で、包装硬貨Cの作成から包装硬貨Cの支払いまでの管理を行うことができるため、機体17内に収容される包装硬貨Cの識別データと、実際の包装硬貨Cの金種、金額等に差異が生じるのを防止することができ、包装硬貨Cの支払いに関する信頼性を向上させることができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態およびその変形例では、RFIDリーダ30を1箇所に設けた場合を説明したが、機体17内でRFIDタグ28の配置が死角となっているような場合、全てのRFIDタグ28からの電波を受信するためにRFIDリーダ30を複数箇所に設けるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、載置部20に収容された包装硬貨Cをバケット14内に取り込んで、このバケット14をエレベータ機構部15で機外取出位置に位置させて包装硬貨Cの取り出しを可能とする包装硬貨処理装置に適用する一例を説明したが、これに限られるものではなく、機体17内に包装硬貨Cを金種別に収容し、使用者の操作入力に基づいて当該包装硬貨Cを払い出す装置であればよい。
【0048】
さらに、バケット14内に他のRFIDリーダを設け、バケット14内に取り込まれた包装硬貨の所定のデータだけを他のRFIDリーダで読み込むように構成しても良い。ただし、バケット14内の他のRFIDリーダおよびRFIDタグ28間で送受信される電波がバケット14外に漏れないように遮蔽部材によって遮蔽するのが好ましい。このように構成することで、バケット14に取り込まれた包装硬貨Cが使用者によって出金操作された内容と一致するか否かを制御部16によって確認することができるため、更なる信頼性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態における包装硬貨処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における包装硬貨処理装置の載置部の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における包装硬貨処理装置の包装硬貨取出作動の各段階を概略的に示す側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における包装硬貨Cの斜視図である。
【図5】本願発明の実施の形態の変形例における包装硬貨処理機11Aを簡略化したブロック図である。
【符号の説明】
【0050】
14 バケット(出金部)
17 機体
20 載置部(収容手段)
28 RFIDタグ
30 RFIDリーダ
70 包装硬貨作成部(包装硬貨作成手段)
73 RFIDライター
H 包装紙
C 包装硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の出金操作に基づいて包装硬貨を払い出す包装硬貨処理装置において、
識別情報が記憶されるとともに該識別情報を送信可能なRFIDタグがそれぞれ設けられた複数の包装硬貨を収容する収容手段と、
該収容手段に収容された全ての前記包装硬貨の前記RFIDタグと無線通信可能な位置に設けられて該RFIDタグから送信された識別情報を受信するRFIDリーダと、
前記RFIDリーダによる前記識別情報の読み取り結果に基づいて機体内に収容された前記包装硬貨の数量を計数する制御手段とを備えたことを特徴とする包装硬貨処理装置。
【請求項2】
前記識別情報は、少なくとも前記包装硬貨の金種または金額を判別することが可能な情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の包装硬貨処理装置。
【請求項3】
集積した硬貨の周面に前記包装紙を所定回数巻回することで前記包装硬貨を作成する包装硬貨作成手段を備え、該包装硬貨作成手段は、前記RFIDタグに前記識別情報を書き込むRFIDライターを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装硬貨処理装置。
【請求項4】
所定の出金操作に基づいて前記包装硬貨を出金する出金部に、他のRFIDリーダが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−225667(P2008−225667A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60509(P2007−60509)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】