説明

包装箱

【課題】内部に緩衝材として機能する箱と一体の保護筒を設け、その保護筒に商品を入れて保護する六面体の包装箱に比べてコスト面では遜色が無く、商品の箱詰めの作業性や商品保護の機能に関しては上記の包装箱に勝る性能を発揮する包装箱を提供することを課題としている。
【解決手段】一体の上蓋2fを有する六面体の箱2の内部に保護筒3を設け、その保護筒3に商品を入れて保護する包装箱の前記保護筒3を、独立した角筒として構成して箱の内部に取り出し自在に挿入し、さらに、この保護筒3に、前部パネル3aと後部パネル3bの両側縁から側方に突出する切り起し舌片3eと、側部パネル3c、3dの前縁と後縁からそれぞれ前後方向に突出する切り起し舌片3fを設け、それらの切り起し舌片がスペーサとなって、箱2の前面、背面、両側面の各パネル2a〜2dと保護筒3との間に緩衝用の隙間が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、厚紙や樹脂の薄板などで形成される包装箱、詳しくは、商品を保護する保護筒を内部に設けた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトサイズの化粧品などを収納する包装箱として、図7に示すものが実用に供されている。その図7の包装箱は、四角い箱20の内部に、箱と一体の平面視四角形の保護筒21を有する。
【0003】
箱の内部に緩衝材を入れ、その緩衝材で商品を包んで保護することが従来から行われている(下記特許文献1,2を参照)。図7の包装箱の保護筒21は、その緩衝材の一種と考えてよい。
【0004】
その保護筒21は、箱の片方の側面パネル22、正面パネル23、他方の側面パネル24、背面パネル25、保護筒の片方の側部パネル26、前部パネル27、他方の側部パネル28、後部パネル29、前記側部パネル26の内面に貼り付ける糊代30を順に連ねたブランクシートを順次折り曲げ、糊代30を側部パネル26の内面に、また、側部パネル26,28を箱の側面パネル22,24の内面にそれぞれ糊付けして形成されている。
【0005】
この保護筒21の前部パネル27と箱の正面パネル23との間、及び後部パネル29と箱の背面パネル25との間にはそれぞれ所定の隙間gが設けられており、その隙間gによる緩衝作用で保護筒21の内部に納めた商品が保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−62075号公報
【特許文献2】特開平6−321259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献2の緩衝材は、複数のピースを組み合わせて使用するため、コストが高くつく。また、独立したピースを1個ずつ箱に入れる必要があるため、商品の箱詰めが煩雑になる。
【0008】
一方、特許文献1が開示している緩衝材は、第1、第2の枠状板を直交させて組み合わせることでこれ等の枠状板の内側に被包装物の保持空間を作り出しており、構造が簡素で、コストも少なくて済む。この緩衝材は、箱の左右の側面パネル間に片方の枠状板を、箱の正面パネルと背面パネル間に他方の枠状板をそれぞれ配置すれば、奥行きの小さい扁平な商品を扁平な箱に収納する用途にも利用可能である。
【0009】
しかしながら、これは、強度面から第1、第2の枠状板の枠の幅(内縁から外縁までの寸法)をある程度大きくする必要があり、それが原因で箱と第1、第2の枠状板との間に出来る空間が大きくなるため、箱の大きさが必要以上に大きくなる欠点がある。
【0010】
これに対し、図7の包装箱は、1枚のブランクシートを、渦を巻くように順次折り曲げているので、コスト負担も小さく、小サイズで扁平な商品を収納するのに適している。しかしながら、この包装箱は、保護筒21が箱の内部に予め作りつけられているため、商品を保護筒21の中に入れるのが簡単でなく、商品の箱詰めの作業性に不満があった。
【0011】
また、箱に収納した商品の前後方向(箱の奥行き方向)への動きに対しては、前記隙間gによる緩衝効果が発揮されるが、商品の横への動きに対しては、保護筒の側部パネルが箱の側面パネルに直接貼り付けられているため緩衝効果が発揮されないのも問題であった。
【0012】
そこで、この発明は、図7の包装箱に比べてコスト面では遜色が無く、その一方で、商品の箱詰めの作業性や商品保護の機能に関しては図7の包装箱に勝る性能を発揮する包装箱を実現して提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明においては、前面パネル又は背面パネルに連なる上蓋を備えた六面体の箱と、前部パネルと、後部パネルと、左右の側部パネルを有する保護筒を組み合わせて構成される包装箱を以下の通りに構成した。
即ち、前記保護筒が、独立した角筒として構成されて箱の内部に取り出し自在に挿入され、
さらに、この保護筒に、前記前部パネルと後部パネルの両側縁から側方に突出する切り起し舌片と、前記側部パネルの前縁と後縁からそれぞれ前後方向に突出する切り起し舌片が設けられ、それらの切り起し舌片がスペーサとなって、箱の前面、背面、両側面の各パネルと前記保護筒との間に緩衝用の隙間が形成されるようにした。
【0014】
この包装箱は、必要に応じて、保護筒の前部パネルと後部パネルに、保護筒の外側に突出する切り起し舌片を設けることができる。その切り起し舌片の突出量は、側部パネルの前縁と後縁から前後方向に突出する前記切り起し舌片と同程度が好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明の包装箱は、箱から取り出した保護筒に商品を挿入し、その後、商品の納まった保護筒を箱に入れることができるので、保護筒が予め箱の内部に一体に作り込まれている図7の包装箱に比べて商品の収納が容易で、箱詰めの作業性に優れる。
【0016】
また、同一サイズの箱を考えたときの材料費が図7の包装箱と殆ど同じになる。加えて、図7の包装箱は、糊代30、側部パネル28、糊代を兼ねた側部パネル26を順に糊付けする必要があり、糊付けが3回となるのに対し、この発明の包装箱は、箱の各パネルと保護筒の各パネルをそれぞれにエンドレスにつなぐための糊付けの工程を経ればよく、組立ての手間が図7の包装箱よりも少なくなる。
【0017】
さらに、緩衝用の隙間が保護筒と箱の側面パネルとの間にも形成されるため、収納した商品の横への動きに対しても緩衝効果が発揮され、図7の包装箱よりも商品の保護機能が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の包装箱の一例を、保護筒を抜き出した状態にして示す斜視図
【図2】図1の包装箱の一部を、底蓋を開いた状態にして示す斜視図
【図3】図1の包装箱の、箱用ブランクシートを展開して示す図
【図4】図1の包装箱の、保護筒用ブランクシートを展開して示す図
【図5】図1の包装箱を高さ方向途中で切断して切断部を上から直視した図
【図6】保護筒の変形例を示す斜視図
【図7】(a)箱と一体の保護筒を有する改善前の包装箱の斜視図、(b)同上の包装箱を高さ方向途中で切断して切断部を上から直視した図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面の図1〜図6に基づいて、この発明の包装箱の実施の形態を説明する。図示の包装箱1は、箱2と、その箱の内部に設ける保護筒3を組み合わせてなる。
【0020】
箱2は、平行配置の正面パネル2aと背面パネル2b、同じく平行配置の左右の側面パネル2cと2d、背面パネル2bと片側の側面パネル2cをつなぐ糊代2eを有し、さらに、正面パネル2aの上縁に折り目線を介して順に連ならせた上蓋2fと差し込み片2g、背面パネル2bの下縁に折り目線を介して順に連ならせた底蓋2hと差し込み片2i、側面パネル2c,2dの上縁と下縁にそれぞれ折り目線を介して連ならせたフラップ2jを有する六面体のありふれた構造の箱である。上蓋2fは、背面パネル2bの上縁に連接されていてもよい。
【0021】
その箱のブランクシートの一例を図3に示す。例示の箱2は、図示のブランクシートを折り目線2kの位置で折り曲げて作られている。
【0022】
保護筒3は、箱の正面パネル2aの内側に沿わせる前部パネル3aと、箱の背面パネル2bの内側に沿わせる後部パネル3bと、箱の左右の側面パネル2c,2dの内側に添わせる左右の側部パネル3c、3dと、前記側部パネル3c、3dの前縁と後縁からそれぞれ前後方向に突出する切り起し舌片3eと、前記前部パネル3aと後部パネル3bの両側縁から側方に突出する切り起し舌片3fを有する角筒として構成されている。
【0023】
この保護筒3は、箱2から独立させて箱2の内部に取り出し自在に挿入しており、これと、切り起し舌片3e,3fを備えたことが図7の包装箱の保護筒21と異なる。
【0024】
切り起し舌片3e,3fは、図4に示した保護筒用ブランクシートを、折り目線3hに沿って折り曲げたときに自然に切り起こされるようにしている。折り目線3hは、前部、後部、両側部の各パネル間、及び、糊代3gと側部パネル3cとの間にある。
【0025】
この切り起し舌片3e,3fが、保護筒3を箱2の内部に挿入したときにスペーサとして働き、図5に示すように、箱の前面、背面、両側面の各パネル2a〜2dと保護筒3との間に緩衝用の隙間gを生じさせる。その隙間gによる緩衝作用で保護筒3に収納した商品が衝撃から保護され、図7の包装箱よりも商品保護の信頼性が高まる。
【0026】
また、この発明の包装箱に対する商品の収納は、保護筒3を箱2から外に出し、この状態で保護筒3の内部に商品を挿入し、その後、商品の納まっている保護筒3を箱2に挿入する方法で行うことができる。これにより、図7の包装箱に比べて商品の収納が容易になり、箱詰めの作業性が向上する。
【0027】
なお、保護筒3の前部パネル3aと後部パネル3bには、必要に応じて保護筒の外側に突出する切り起し舌片3i(図6参照)を設けることができる。その切り起し舌片3iは
、縦長形状に限定されない。横長形状やパネルの対角線方向に延びるようなものであってもよい。
【0028】
保護筒3を構成するブランクシートの厚み次第では、保護筒3の前部パネル3aと後部パネル3bが外に膨らむように変形する(撓む)ことが考えられるが、切り起し舌片3iがあればそのような変形が生じて前部パネルや後部パネルが箱の正面パネルや背面パネルに直に接触することが防止される。
【符号の説明】
【0029】
1 包装箱
2 箱
2a 正面パネル
2b 背面パネル
2c,2d 側面パネル
2e 糊代
2f 上蓋
2g,2i 差し込み片
2h 底蓋
2j フラップ
2k 折り目線
3 保護筒
3a 前部パネル
3b 後部パネル
3c,3d 側部パネル
3e,3f,3i 切り起し舌片
3g 糊代
3h 折り目線
g 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネル(2a)又は背面パネル(2b)に連なる上蓋(2f)を備えた六面体の箱(2)と、前部パネル(3a)、後部パネル(3b)、左右の側部パネル(3c,3d)を有する保護筒(3)を組み合わせて構成される包装箱であって、
前記保護筒(3)が独立した角筒として構成されて前記箱(2)の内部に取り出し自在に挿入され、
さらに、この保護筒(3)に、前記左右の側部パネル(3c,3d)の前縁と後縁からそれぞれ前後方向に突出する切り起し舌片(3e)と、前記前部パネル(3a)と後部パネル(3b)の両側縁から側方に突出する切り起し舌片(3f)が設けられ、それらの切り起し舌片がスペーサとなって、箱(2)の前面、背面、両側面の各パネル(2a〜2d)と前記保護筒(3)との間に緩衝用の隙間(g)が形成されるようにした包装箱。
【請求項2】
前記保護筒の前部パネル(3a)と後部パネル(3b)に、保護筒(3)の外側に突出する切り起し舌片(3i)を設けた請求項1に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−184024(P2012−184024A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48842(P2011−48842)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(392031859)上六印刷株式会社 (8)
【Fターム(参考)】