包装袋体の易開封構造
【課題】 包装袋のヒートシール部を容易に安定して開封できるようにする。
【解決手段】 上記課題は、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造と、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造によって解決される。
【解決手段】 上記課題は、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造と、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造によって解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックのフィルムやシートの包装袋のヒートシール面の摘まみ開封の容易な開封構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックのフィルムやシートを使った袋の製袋やそこに製品を充填した後の封緘には、プラスチックの熱可塑性を利用したヒートシールが使われている。
この包装では胴部のたるみ部分を摘まんで、内側から開封ができる。
この包装袋の別の開封方法として、別に加工された切り口を起点にして包装の一部を切り裂く方法がある。切り口の細工、切り裂きの方向性を規制する加工等が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
剥がれを利用した開封では、特別な加工等をせずにヒートシール幅、ヒートシール強さ、接着状態等を経験則によって実施しているが摘まみ方の相違で不安定となって開封が困難になる場合が多い。
【0004】
切り欠き開封の方法では開封後に切り裂き破片が発生したり、切り裂き部が袋から取り去られるので袋の容積が減少し残った中身の保存のための袋の一部を折り曲げる再封止が困難になったり、思わぬ方向に破れて、包装の基本機能が失われることが多い。
ヒートシール面の剥がれを利用した摘まみ開封では開口しようとするヒートシール部の近傍を両側から摘まんで開封ができる特長がある。
【0005】
両側の2点の摘まみ箇所の荷重メカニズムの片面を図1に示した。正方形に4方シールされた袋(パウチ)の開封を例にして、開封性の課題を整頓する。
対角線の交点のA点を摘まんで引張ると開封力は円状に分布するから袋のヒートシール面の内側の内接点に先ず荷重が掛る。応力点は4か所になるから、同時に4か所の剥がれが進行するので開封力は大きくなる。
A点を開封点に選ぶと開封したいヒートシール面の選択ができない。従って適切な開封点は交点を通る水平線上の剥がしたいヒートシール面に近い、A点より開封したいヒートシール線側の選択に制限される。
【0006】
2つの摘まみ点間を結ぶ辺の立方体を形成するから、包装体内の容積は増加するので袋内は陰圧になる。すると大気圧によって袋は押しつぶされて開封操作による2次的な阻害要因が発生する。
すなわち開封操作の摘まみによる容積変化を最小になる開封操作が求められている。
図1ではA→B→C→Dに移転させる配慮が必要となる。
更に図形から摘まみ点の変化によって、ヒートシール面の剥がれ長さが変化することも分かる。ヒートシール線を基準にして剥がれが最小の剥がれ長(円弧長)にすれば、摘まみによる容積変化量も最小になることが分かる。
【0007】
摘まみ点を基点にした応力のメカニズムを図2で具体的に解析する。図2は、袋のヒートシール部周辺の平面図で、袋本体1の一側辺にヒートシール部2が形成されている。図中、3は摘まみ点、4は破れ又は剥がれ起点、51〜53は剥がれの先端線を示す剥がれライン、6はヒートシール強さの試験ライン、Cはヒートシール幅、CXはそのX位置をそれぞれ示している。摘まみ点3に開封力が加わると開封操作力は先ずヒートシールエッジの剥がれ起点4(図2の★点)に加わり、剥がれライン5が順次円弧状に拡散する。開封力は剥がれの円弧長に接着強さ(ヒートシール強さ)を乗じたものになる。
【0008】
剥がれの円弧長の計算方法を図3に示した。剥がれの円弧長Aは円周長と円弧角に対する角度の割合(θn/2π)で計算できる。円弧角θ1は摘まみ点3からヒートシールエッジまでの最短距離Lと変数として剥がれ幅CX1を与えれば、三角形71からθ1を次式から求めることができる。
【0009】
Cosθ1=L/(L+CX1) θ1:(rad) (1)
円弧長は
A=2π(L+CX1)×2θ1/2π
=(L+CX1)×2θ1 (2)
開封によって剥がれが進行して(CX>C)になると剥がれ線の一部に切り欠きができる。この様子を図3に示した。ヒートシール面の円弧長は全体の円弧長54(A0/2)から切り欠き部(A1/2)を減じて求めることができる。
実線で囲まれた三角形71からθ1を点線で囲まれた三角形72からθ2を求める。
θ1は(1)式の場合と同様に求められる。
θ2は次式から求められる。
Cosθ2=(L+C)/(L+CX2) θ2:(rad) (3)
円弧全体と切り欠き部分に関係する三角形のθ1とθ2から次の計算式で残っているヒートシール面上の円弧長を計算する。
【0010】
A2=(L+CX2)×2(θ1-θ2) (4)
実際の摘まみ個所は点ではなく図4に示したように線状の摘まみ代幅Wになる。この場合のヒートシールエッジに掛かる荷重は摘まみ代上の円弧の合成で点から幅に変化する。
【0011】
初期開封力は点から摘まみ代の幅Wとの関係になる。剥がれが進行すると剥がれの幅の両端は点荷重と同様な円弧剥がれを起こす。荷重が点から幅に変わった場合の剥がれの円弧長Aは長方形の剥がれの幅Wの剥がれが追加され次式のようになる。
【0012】
A=(L+CX1)×2θ1+W (5)
開封力に関係する円弧長はLとCXの函数となる。
【0013】
開封力Foは円弧長と接着面のヒートシール強さ(Fhs/15mm)の積の次式で表現できる。
【0014】
Fo1=An×Fhs (N) CX≦C (6)
Fo2=Bn×Fhs (N) CX>C (7)
L及びWをパラメータにし、CXを変数にして(6)、(7)式を演算すると剥がれ幅に対する開封力の計算ができる。
【0015】
袋の両側を引張って開封するやり方には横摘まみ方式と縦摘まみ方式がある。横摘まみ方式は、袋のヒートシール部の両側を通常ヒートシール部と平行方向に摘まんで引張る方式である。縦摘まみ方式は、ヒートシール部と直角方向に折り返して、折返し端部をヒートシール部の両側から引張る方式である。
【0016】
人手の開封力は開封者が出せる力によって異なる。健常の子ども、成人男女の出せる開封力操作力を次の方法で計測した。
スナック包装の一部を約20mmの幅に切り取り、一方を携帯用の荷重計のグリッパーに挟む。利き手で荷重計を保持し、他方を非利き手で摘まんで引張る。摘まみ部分が滑ってしまう荷重値を計測し、次の結果を得た。
[1]小学生低学年(男):10〜15N、[2]小学生高学年(男):15〜18N、[3]成人男子:20〜25N、
[4]成人女子:15〜20N
この測定結果から適正な開封操作力に15〜20Nを選択する。
従来はヒートシール面の剥がしの議論はヒートシール強さを主体に論じられてきた。しかしヒートシール面の剥がれ機能を利用した開封を的確に実施するには関連要素の相互関係を制御する必要がある。発明者は次の6点([1]〜[6])の要素を明確にした。
(1)剥がれ線長を支配する要素群
[1]荷重基点とヒートシールエッジまでの距離:(L)
[2]開封荷重の幅(摘まみ代):(W)
[3]剥がれ幅(ヒートシール幅)(C)
(2)ヒートシール面の接着力
[4]ヒートシール強さ:(Fhs)(ヒートシール強さの制御要素は溶着面温度)
(3)開封力の制限
[5]人の操作力:(Fs)(子ども、大人、老人の相違を反映)
(4)材料の伸び開始力又は破断強さの制限
[6]適用材料の開封操作幅(W)の伸び開始力又は破断強さ:(Fe)
本発明は易開封性を達成するためには人の操作力の分散を抑えヒートシール線に開封荷重を集中的に負荷して改善を図ることを目的にしている。
袋包装の開封では包装の胴部を摘まみ、内側からヒートシール線に開封力を与える。摘まみの操作で内部容積が増加する。しかし密封状態で内部容積が増加すると内部の圧力は低下するので大気圧で剥がれ面が押し付けられるので、開封力はヒートシール線に荷重しなくなる。従って、開封操作による内部容積の変化を小さくする必要がある。
縦摘まみでは折返し線を中心に荷重しないと剥がれ面が2ヶ所になって開封力は約2倍になる。この説明を図5に示した。縦摘まみの場合は確実に折り目線を含んだ開封力の付加が不可欠となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)ヒートシール面を剥がれシールとする。
(2)開封操作力が剥がし面のヒートシール線に集中するようにする。
(3)開封力に関係する剥がれ線長が小さくなるように引張り位置、荷重幅、ヒートシール幅を調整する。
(4)剥がれヒートシール強さはその包装の密封性を考慮して決定する。
(5)剥離が少しでも進行したら、摘まみ点を順次剥がれ面側に移動させて、開封力の低減を図る。
【0018】
本発明者は、このような方針を基に、袋体のヒートシール部の昜開封手段を鋭意検討し、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造と袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造を案出し、本発明を完成するに到った。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、次の効果を奏する。
【0020】
(1)不適正な摘まみ箇所の選択を解消した。
(2)確実な剥がし開封を可能にした。
(3)荷重力の分散を極小化できた。
(4)開封面の初期剥がれを容易にした。
(5)高齢者/障碍者の開封操作を容易にした。
(6)わずかでも剥がれれば全開封が可能な方法を提示した。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】開封性に関係する応力メカニズムを説明する正方形の4方シール袋の平面図である。
【図2】開封性に関係する応力メカニズムを説明する、袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図3】剥がれ線長のシミュレーション方法を説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図4】摘まみ代による開封力の増大を説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図5】縦摘まみの開封操作による応力メカニズムを説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図6】柔軟構造物を取付けた状態の部分正面図を(a)に、その側面断面図を(b)に、それぞれ示す。
【図7】その拡大図である。
【図8】剥離可能状態で接着した柔軟構造体を引張って開封していく状態を示す説明図である。
【図9】剛性構造体を取付けた状態の部分正面図を(a)に、その側面断面図を(b)に、それぞれ示す。
【図10】その縦摘まみ状態を示す部分側面断面図である。
【図11】開封性の応力メカニズムの基本機能の確認説明図である。
【図12】柔軟な構造物、剛性の構成、従来法の欠点の性能実測説明図である。
【図13】少しの剥がれが起これば全開封を完成する方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の袋体は、開封されるヒートシール部を有するものであればよく、チューブの上下両端をヒートシールした袋、三方シール袋、4方シール袋、背貼り構造を有する袋、ガゼット袋等を挙げることができる。
【0023】
袋体は、プラスチックを内面とするフィルム又はシートで形成され、このフィルムやシートは、単層であっても複数の層よりなる積層体であってもよい。また、積層体は全部がプラスチックで形成されていなくてもよく、例えばアルミニウム箔などを含むものであってもよい。内面のプラスチック種類はヒートシールできるものであればよいが例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン等を例示することができる。袋体の大きさは、特に制限されないが、通常縦2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度、横2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度である。
【0024】
ヒートシールには、溶着されて形成された破れシールと、軟化状態で圧着されて形成され引張れば剥がれるシールがある。本発明の袋体は、開封しようとするヒートシール部が剥がれシールよりなっていれば、その外のヒートシールは、破れシール、剥がれシールのいずれであってもよい。開封しようとする位置は特に制限されないが、通常は袋の上縁または背貼部である。剥がれシールと破れシールの形成方法は、本発明者が先に出願した特許第3465741号、特許第3318866号、特許第3811145号公報、などに詳細に説明されている。
【0025】
本発明の昜開封構造は、このような袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に、隣接してタブが連設された柔軟構造物を接着し、あるいは近傍に剛性構造体を設けたところに特長がある。
【0026】
柔軟構造物は、袋体に接着されてヒートシール部に開封力を与えるものである。形状は特に限定されないが、典型的な形は四角形のフィルム又はシートである。大きさは幅(図6(a)のW)が5〜20mm程度、好ましくは5〜10mm程度、長さ(図6(a)のL)が2〜20mm程度、好ましくは2〜10mm程度、厚みが30〜1000μm程度、好ましくは50〜500μm程度が適当である。この柔軟構造物の材質は柔軟なものであり、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン、金属箔、紙等でよい。柔軟構造物の接着位置は、その前縁(ヒートシール部側の縁)がヒートシール部の基端縁に隣接、すなわちなるべく近くする。また、ヒートシール部の長さ方向の位置関係では、特段の事情がなければ、ヒートシール部の中心付近がよい。この柔軟構造物はヒートシール部の一側にのみ設けて他側は袋体を手で摘んでもよいが、通常はヒートシール部の両側に原則として対象に設ける。
【0027】
柔軟構造物は、袋体に剥離可能な状態で接着することが好ましい。これを図8を引用しつつ説明する。図において、ヒートシール面の実際は図の面に対して垂直であるタブは同様のものが反対側にも設置してある。結合面と袋の表面は2N/15mm以上の剥がれ接着で結合されている。そしてL、Mの寸法増加は開封力に1次比例する。そこで、
(1)両側のタブを引っ張るとタブと結合面は水平面で作動する。
【0028】
結合面には剪断力のみで剥がれ力は発生しない。
(2)開封が開始した直後は貼り付け材の誘導でW幅の長方形の剥がれシールが起こる。
(3)開封が進行すると[A]を中心にした円弧剥がれが支配的になる。
(4)応力線の中心[B]点と[A]点から円弧までの距離が異なるので応力は操作線上の中心[B]点が最小になる。
(5)軟包装袋の場合は包装材料の剛性が小さいので、剥がれ線に近似した容積状に変形する。
(6)[A]−[B]間に応力の差があることは[A]−[B]に剥がれ力が発生する。
(7)結合面の剥がれは[B]−[C]を結ぶ線に漸近して剥がれる。
(8)このことは円弧剥がれ中心の[A]が[D]点方向に自動的に移動して応力線状の応力が均一になるように動く。すなわち[A]点の円弧より小さくなり、円弧長が小さくなるので、開封力が小さくなる。接着方法としては、柔軟構造物の接着面にあるいは、袋体の接着部位に剥離可能な接着剤を塗布して、柔軟構造物を接着してもよく、あるいは剥がれシールを形成する温度に加熱して圧着することにより剥がれシール状態で接着してもよい。接着強度は2〜30N/15mm程度、好ましくは4〜20N/15mm程度が適当である。
【0029】
タブは、指で摘まんで引張ることにより柔軟構造物を介してヒートシール部に開封力を直角に与えるものであり、柔軟構造物と袋体の接着面には剪断力が働くが剥がし力は発生しない。タブは柔軟構造物に連接されて通常は両方合わせて短冊形になる。従って、材質、厚み、幅などは特段の事情がなければ柔軟構造体と同じでよい。タブの長さは指で摘める長さがあればよく、例えば5〜20mm程度、好ましくは10〜15mm程度でよい。タブの強度は、開封時の引張力に耐えればよく、伸び開始又は破断強さが15N/15mm以上、好ましくは20N/15mm以上であることが望ましい。
本発明の柔軟構造物の袋物包装に適用した事例を図6,7に示した。
摘まみ部のタブ9が連結した一対の柔軟構造物8は開封したいヒートシール面を含んでヒートシール線に直角の方向に構成する。
柔軟構造物8の結合面は袋体の表面の開封部位のヒートシール面とヒートシール線から(L)の位置までとする。(図6(a)(b)参照)
結合方法は袋の製造時の熱成型、部品の接着あるいは粘着剤をコートしたテープ材の貼り付け等による。
柔軟構造物8の設置は製造工程中に限らず消費者が使用直前に別に用意したものを適用することでもよい。
使用者が開封の要求が起きた時に両手でタブ9,9を摘まんで引張ることによって、引張力はタブ9,9と柔軟構造物8,8の連結部11,11が応力線になってヒートシール線に直角に作用して図4に示した剥がれラインに近似した開封が始まる。
柔軟な構造物8のLとWの調整によって剥がれの円弧長が変化するので、目的に応じて、この寸法の調整によって開封力の調節が可能になる。
【0030】
剥がれ線は曲線状になるので、ヒートシール面の一方がカップやトレーのような剛体の場合は図4に示した平面での剥がれが起こるが、フイルムのような柔軟体では開封によって剥がれ線を頂点にした容積体が形成される。
柔軟構造物8の結合面は平面の応力が作動している。しかし開封線は曲線状になるので剥がれ線を主体にして袋は容積状になるから平面状の柔軟構造物8との間に袋本体部1との間に剥がれ力が発生する。柔軟構造物8のコーナー81,82に対する直角成分の力が点で作用して、開封が進むとx1-y1、x2-y2の応力線を形成しながら剥がれは拡大する。しかし結合面が存在していればタブaの開封力は摘まみ代の幅W1でヒートシール線に作動する。
もし、柔軟な構造物8に剥がれが生じなければ柔軟構造物8のコーナー81,82を中心とする円弧上の剥がれになる。
本発明の剥がれが生じる柔軟な構造物を適用すると円弧状の剥がれの中心は81,82点からy1,y2点に移動するから円弧Mは円弧Nに縮小して開封力は減少する。
指で摘まむ従来の開封方法では摘まみ代に開封力が集中しなかったり、滑って開封力が分散してしまう特徴がある。又縦摘まみの場合には折り重ね線に開封力が負荷しないと2点の開封操作を同時に行うことになり、摘まみ点の違いで、開封力は約2倍になり開封が困難になる原因になっている。
【0031】
そこで、本発明の昜開封構造においては、柔軟構造物に代えてあるいは柔軟構造物とともに袋体に剛性構造体を設けることができる。
【0032】
剛性構造体を袋体に付加することにより応力の分散や荷重点を制御して昜開封性を得ることができる。
【0033】
この剛性構造物は、袋体と別体としてもよく、あるいは袋体の一部を肉厚に形成することにより設けてもよい。剛性構造体の形状は特に限定されないが、典型的な形は4角形である。この剛性構造体の部位は他の袋体の部位より剛性が1.5倍以上あるようにし、指の摘まみ力が均一に掛かるように幅を5〜10mm程度、長さを10〜20mm程度とするのがよい。厚みは摘まみ力が分散しないように他の袋体の部位より1.5倍以上厚くする。この剛性構造体の材質としては、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン、金属箔、紙、剛性構造体の位置は、その前縁とヒートシール部の基端縁との間隔(図9のl)が0〜20mm程度、好ましくは0〜10mm程度になるようにするのがよい。また、ヒートシール部の長さ方向の位置関係では、特段の事情がなければ、ヒートシール部の中心付近がよい。この剛性構造体はヒートシール部の一側にのみ設けて他側は袋体を手で摘んでもよいが、通常はヒートシール部の両側に原則として対照に設ける。剛性構造体は、裏面は袋体を折込んで袋体を介して摘んでもよいが、剛性構造体の両面を摘むようにしてもよい。折曲線は、ヒートシール部と平行あるいは直角方向に設けるのがよく、剛性構造体に溝を設け、あるいはミシン目状に切れ目を入れるなどして形成できる。
【0034】
接着方法は柔軟構造物と同様にできる。
【0035】
剛性構造体の場合の開封力は前縁になる。面に掛けた荷重が前縁に集中するように剛性構造体とした。
本発明の剛性構造体12を適用した方法を図9に示した。
【0036】
剛性構造体12は剥がしたいヒートシール部2を中心にして対象に設置する。又は所望の開封面中心付近に設置される。
【0037】
指の摘まみで構成物全体に剥がし荷重を加える必要があるから、剛性構造体12の幅(摘まみ代)Wは指の寸法を参考にして約10mmとする。
剛性構造物の長さL2は厳密な寸法を要求しない。摘まみ力を安定的に包装材料に伝達すればよいから約10〜20mmとする。
袋物包装の場合は内部に指を入れられないので、袋の一部を折り重ねて摘まむ必要がある。従って剛性構造体12は剛性を持たせることと容易に折り曲げられるように表面に縦と横の溝加工121,122を施す。
ヒートシール部2の基端縁から剛性構造体12の前縁までの距離lは0〜20mmとする。好ましくは0〜10mmとする。
シート又はフィルム上の剛性構造体12はシート又はフィルムの製造時の熱成型や部品の熱接着で構成する。
剛性構造体12は同一の形状のものを別途作成して、消費者が開封直前に所定の位置に接着材の塗布や貼り付けによってもよい。
【0038】
本発明の昜開封構造は、柔軟構造物の場合には、両側のタブを指で摘んでヒートシール部を引剥がす方向に引けば、開封力がヒートシール部と直角方向に働き、図2に示すように、剥がれ起点から円弧状に剥がれていく。
【0039】
そして、開封力が10N程度になったら、摘まみ線をヒートシール線に隣接して縦摘まみ開封を行う。
柔軟構造物8のW=0,10mm、L=0,10mm、C=5,10,15,20mmを設定して、(尚、W=0はシミュレーション上の設定である。実際の現象とこの結果を比較して実際の現象を理論的に解析できる。)平面状の場合の剥がれ特性を(5)式の演算によって、柔軟構造物の長さLと剥がれ幅CXの影響を調べた。この演算結果をグラフにして図11に示した。この図の縦軸は剥がれ長を15mmで除してヒートシール強さの定義と直結するように指数化してある。
この演算検証結果からWが開封強さに上乗せ、LとCが開封力に比例的に関与していることが分かる。
L=20mmで剥がれ幅CXが10mmのとき、摘まみ代W=0の時は剥がれ力はヒートシール強さの3.4倍、W=10mmのときは4.0倍となっている。
【0040】
摘まみ代W、開封操作面からヒートシール線までの距離L、剥がれ幅CXの定量的な相互関係が明確になった。
【0041】
演算結果の詳細にヒートシール強さ[4]Fhs=5,10N/15mm、開封操作力[5]の上限に20Nを当てはめた易開封範囲を評価した結果を表1に示した。
【0042】
この演算結果から
(1)L=20mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅cxは10mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅cxは5mmでも開封力は28Nになり、20Nを超えているので開封は困難。
【0043】
【表1】
(2)L=10mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は10mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は5mmでも開封力は24Nになり、20Nを超えているのでるので開封は困難。
(3)L=0mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は15mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は5mmで開封力は17Nになり、20Nを超えていないので開封は可能となる。
(4)この実施例の場合には包装材料の伸び開始又は破断強さは20N以上が要求される。
【0044】
これらの評価から摘まみ代Wと構造物/柔軟構造体の長さLの確実な調整が易開封性の改善に機能すること評価できる。
【実施例1】
【0045】
従来法と本発明の柔軟構造物8と剛性構造体12の3種の実施例の開封力パターンを統合して図12に示した。シミュレーション計算式(平面開封)の結果も併記した。
実施の共通の条件はL=10mm、摘まみ代W=10mm、袋材:50μmPP、ヒートシール強さFhs=4N/15mmである。柔軟構造物8はサンプル袋との結合力2.5N/15mm、厚さ0.1mmの粘着テープを使用した。
剛性構造体12は厚さ≒0.5mm、長さL2≒16mmの固紙を両面テープで袋材の表面に張り付けた。構造体12の表面にカッターで溝加工121,122を施した。この構造体12を幅20mmの引張試験機のグリッパーで均一に挟んだ。応力の幅は固紙の幅10mmに自動調節される。
【0046】
柔軟構造物8の開封パターンは長方形の構造物がの開封応力面に貼り付けられているので摘まみ代Wの荷重は確実にヒートシール部の基端縁に作用していることが分かる。
【0047】
柔軟構造物8と袋本体1は剥がれ結合にしてある。袋本体と柔軟構造物に剥がれが生じ円弧部の剥がれ中心が移動して開封力が減少するので、約5mmまではの剥がれは平坦になっている。
【0048】
この効果によって、15mmの剥がれ幅でも開封力は18Nに留まっていて、発明の柔軟構造物8の効果を確認できた。
剛性構造体12の横摘まみは開封開始直後は大きな開封力になっている。約2mmの開封後は柔軟構造物8の開封と同等傾斜の開封特性を示した。初期開封力が大きいので約10mmの開封で18Nに到達した。
剛性構造体12の縦摘まみは折り重ね線を確実に摘まんでいる。折込み線は他の部位より変形厚みがあるので、摘まみ力は他の面より大きくなり、開封パターンは点応力の剥がれ特性が現れた。約12mmの開封で18Nに到達した。
剛性構造体12の縦摘まみの摘まみ面が折込み線を含まないと2面の剥がれを同時に起こすことになる。摘まみ代を折込み線から10mm離したパターンでは2mmの開封で18Nに達し、4mmで約20N、6mmで30Nとなっており、人手での開封は困難になった。
この試験は消費者が習慣的に行っている開封操作の中で開封に失敗するケースを再現した。
以上の結果から本発明の構造物の構成は開封力の付加箇所が限定できるので適正な開
封効果を発揮しているのが分かる。
【実施例2】
【0049】
ヒートシール強さやLの設定に制約がある場合は、開封の途中で開封力が約20Nを超すと人手での開封の継続が困難になる。
【0050】
これは剥がれの進行によってLが大きくなるからで、摘まみ点を進行した剥がれエッジ側に接近移動すれば開封力はゼロから始められる。通常は2〜3回、この繰り返しを行えば最終的に全ヒートシール幅の開封を低い開封力で完了できる。
【0051】
柔軟構造物の条件:L=10mm、W=10mm、結合強さ=2.5N/15mm、袋の開封面のヒートシール強さ=4N/15mm、(ヒートシール幅)=15mmの開封を行った。約8mmの開封で開封力は約9Nになった。
開封を一旦中止して、摘まみ線を8mm進して、縦摘まみを行った。剥がれが7mm進んだところで開封線は外縁に達した。この時の開封力は12Nであった。もし持ち替えをせずに開封をした場合は約20Nになる。この操作の検証を図11に示した。
【0052】
ヒートシール面の一部でも全開封ができれば、全開封線を中心にして、ヒートシール面の中心部を縦摘まみで開封すれば(この場合は)[4N×2]の開封力で写真1に示したようなヒートシール面全体の開封が容易にできる。
本発明を適用すれば剥がれシール状態のシールならば易開封が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は以下の産業上の利用の可能性がある。
(1)ヒートシール面を利用した易開封性が可能になる。
(2)目的に応じた易開封性の設計の評価が合理的にできる。
(3)易開封が困難な包装製品の不具合解析が容易になる。
(4)易開封のユニバーサルデザインに反映できる。
【符号の説明】
【0054】
1 袋本体
2 ヒートシール部
3 摘まみ点(力点)
4 破れ又は剥がれ起点
51 剥がれライン
52 剥がれライン
53 剥がれライン
54 剥がれライン
55 剥がれライン
6 ヒートシール強さの試験ライン
71 三角形
72 三角形
8 柔軟構造物
81 コーナー
82 コーナー
9 タブ
10 摘まみ指
11 連結部
12 剛性構造体
121 溝加工
122 溝加工
A 円弧長
Ax CXの位置における円弧長
C ヒートシール幅
(CX Xの位置におけるヒートシール幅)
L 摘まみ点からヒートシールエッジまでの最短距離
L1 柔軟構造物の胴部の接着長さ
L2 剛性構造体の長さ
l ヒートシール部の基端縁から剛性構造体の前縁までの距離
M 円弧
N 円弧
W 摘まみ代幅
W1 柔軟構造物の幅
W2 剛性構造物の幅
x1−y1 応力線
x2−y2 応力線
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックのフィルムやシートの包装袋のヒートシール面の摘まみ開封の容易な開封構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックのフィルムやシートを使った袋の製袋やそこに製品を充填した後の封緘には、プラスチックの熱可塑性を利用したヒートシールが使われている。
この包装では胴部のたるみ部分を摘まんで、内側から開封ができる。
この包装袋の別の開封方法として、別に加工された切り口を起点にして包装の一部を切り裂く方法がある。切り口の細工、切り裂きの方向性を規制する加工等が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
剥がれを利用した開封では、特別な加工等をせずにヒートシール幅、ヒートシール強さ、接着状態等を経験則によって実施しているが摘まみ方の相違で不安定となって開封が困難になる場合が多い。
【0004】
切り欠き開封の方法では開封後に切り裂き破片が発生したり、切り裂き部が袋から取り去られるので袋の容積が減少し残った中身の保存のための袋の一部を折り曲げる再封止が困難になったり、思わぬ方向に破れて、包装の基本機能が失われることが多い。
ヒートシール面の剥がれを利用した摘まみ開封では開口しようとするヒートシール部の近傍を両側から摘まんで開封ができる特長がある。
【0005】
両側の2点の摘まみ箇所の荷重メカニズムの片面を図1に示した。正方形に4方シールされた袋(パウチ)の開封を例にして、開封性の課題を整頓する。
対角線の交点のA点を摘まんで引張ると開封力は円状に分布するから袋のヒートシール面の内側の内接点に先ず荷重が掛る。応力点は4か所になるから、同時に4か所の剥がれが進行するので開封力は大きくなる。
A点を開封点に選ぶと開封したいヒートシール面の選択ができない。従って適切な開封点は交点を通る水平線上の剥がしたいヒートシール面に近い、A点より開封したいヒートシール線側の選択に制限される。
【0006】
2つの摘まみ点間を結ぶ辺の立方体を形成するから、包装体内の容積は増加するので袋内は陰圧になる。すると大気圧によって袋は押しつぶされて開封操作による2次的な阻害要因が発生する。
すなわち開封操作の摘まみによる容積変化を最小になる開封操作が求められている。
図1ではA→B→C→Dに移転させる配慮が必要となる。
更に図形から摘まみ点の変化によって、ヒートシール面の剥がれ長さが変化することも分かる。ヒートシール線を基準にして剥がれが最小の剥がれ長(円弧長)にすれば、摘まみによる容積変化量も最小になることが分かる。
【0007】
摘まみ点を基点にした応力のメカニズムを図2で具体的に解析する。図2は、袋のヒートシール部周辺の平面図で、袋本体1の一側辺にヒートシール部2が形成されている。図中、3は摘まみ点、4は破れ又は剥がれ起点、51〜53は剥がれの先端線を示す剥がれライン、6はヒートシール強さの試験ライン、Cはヒートシール幅、CXはそのX位置をそれぞれ示している。摘まみ点3に開封力が加わると開封操作力は先ずヒートシールエッジの剥がれ起点4(図2の★点)に加わり、剥がれライン5が順次円弧状に拡散する。開封力は剥がれの円弧長に接着強さ(ヒートシール強さ)を乗じたものになる。
【0008】
剥がれの円弧長の計算方法を図3に示した。剥がれの円弧長Aは円周長と円弧角に対する角度の割合(θn/2π)で計算できる。円弧角θ1は摘まみ点3からヒートシールエッジまでの最短距離Lと変数として剥がれ幅CX1を与えれば、三角形71からθ1を次式から求めることができる。
【0009】
Cosθ1=L/(L+CX1) θ1:(rad) (1)
円弧長は
A=2π(L+CX1)×2θ1/2π
=(L+CX1)×2θ1 (2)
開封によって剥がれが進行して(CX>C)になると剥がれ線の一部に切り欠きができる。この様子を図3に示した。ヒートシール面の円弧長は全体の円弧長54(A0/2)から切り欠き部(A1/2)を減じて求めることができる。
実線で囲まれた三角形71からθ1を点線で囲まれた三角形72からθ2を求める。
θ1は(1)式の場合と同様に求められる。
θ2は次式から求められる。
Cosθ2=(L+C)/(L+CX2) θ2:(rad) (3)
円弧全体と切り欠き部分に関係する三角形のθ1とθ2から次の計算式で残っているヒートシール面上の円弧長を計算する。
【0010】
A2=(L+CX2)×2(θ1-θ2) (4)
実際の摘まみ個所は点ではなく図4に示したように線状の摘まみ代幅Wになる。この場合のヒートシールエッジに掛かる荷重は摘まみ代上の円弧の合成で点から幅に変化する。
【0011】
初期開封力は点から摘まみ代の幅Wとの関係になる。剥がれが進行すると剥がれの幅の両端は点荷重と同様な円弧剥がれを起こす。荷重が点から幅に変わった場合の剥がれの円弧長Aは長方形の剥がれの幅Wの剥がれが追加され次式のようになる。
【0012】
A=(L+CX1)×2θ1+W (5)
開封力に関係する円弧長はLとCXの函数となる。
【0013】
開封力Foは円弧長と接着面のヒートシール強さ(Fhs/15mm)の積の次式で表現できる。
【0014】
Fo1=An×Fhs (N) CX≦C (6)
Fo2=Bn×Fhs (N) CX>C (7)
L及びWをパラメータにし、CXを変数にして(6)、(7)式を演算すると剥がれ幅に対する開封力の計算ができる。
【0015】
袋の両側を引張って開封するやり方には横摘まみ方式と縦摘まみ方式がある。横摘まみ方式は、袋のヒートシール部の両側を通常ヒートシール部と平行方向に摘まんで引張る方式である。縦摘まみ方式は、ヒートシール部と直角方向に折り返して、折返し端部をヒートシール部の両側から引張る方式である。
【0016】
人手の開封力は開封者が出せる力によって異なる。健常の子ども、成人男女の出せる開封力操作力を次の方法で計測した。
スナック包装の一部を約20mmの幅に切り取り、一方を携帯用の荷重計のグリッパーに挟む。利き手で荷重計を保持し、他方を非利き手で摘まんで引張る。摘まみ部分が滑ってしまう荷重値を計測し、次の結果を得た。
[1]小学生低学年(男):10〜15N、[2]小学生高学年(男):15〜18N、[3]成人男子:20〜25N、
[4]成人女子:15〜20N
この測定結果から適正な開封操作力に15〜20Nを選択する。
従来はヒートシール面の剥がしの議論はヒートシール強さを主体に論じられてきた。しかしヒートシール面の剥がれ機能を利用した開封を的確に実施するには関連要素の相互関係を制御する必要がある。発明者は次の6点([1]〜[6])の要素を明確にした。
(1)剥がれ線長を支配する要素群
[1]荷重基点とヒートシールエッジまでの距離:(L)
[2]開封荷重の幅(摘まみ代):(W)
[3]剥がれ幅(ヒートシール幅)(C)
(2)ヒートシール面の接着力
[4]ヒートシール強さ:(Fhs)(ヒートシール強さの制御要素は溶着面温度)
(3)開封力の制限
[5]人の操作力:(Fs)(子ども、大人、老人の相違を反映)
(4)材料の伸び開始力又は破断強さの制限
[6]適用材料の開封操作幅(W)の伸び開始力又は破断強さ:(Fe)
本発明は易開封性を達成するためには人の操作力の分散を抑えヒートシール線に開封荷重を集中的に負荷して改善を図ることを目的にしている。
袋包装の開封では包装の胴部を摘まみ、内側からヒートシール線に開封力を与える。摘まみの操作で内部容積が増加する。しかし密封状態で内部容積が増加すると内部の圧力は低下するので大気圧で剥がれ面が押し付けられるので、開封力はヒートシール線に荷重しなくなる。従って、開封操作による内部容積の変化を小さくする必要がある。
縦摘まみでは折返し線を中心に荷重しないと剥がれ面が2ヶ所になって開封力は約2倍になる。この説明を図5に示した。縦摘まみの場合は確実に折り目線を含んだ開封力の付加が不可欠となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)ヒートシール面を剥がれシールとする。
(2)開封操作力が剥がし面のヒートシール線に集中するようにする。
(3)開封力に関係する剥がれ線長が小さくなるように引張り位置、荷重幅、ヒートシール幅を調整する。
(4)剥がれヒートシール強さはその包装の密封性を考慮して決定する。
(5)剥離が少しでも進行したら、摘まみ点を順次剥がれ面側に移動させて、開封力の低減を図る。
【0018】
本発明者は、このような方針を基に、袋体のヒートシール部の昜開封手段を鋭意検討し、袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造と袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造を案出し、本発明を完成するに到った。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、次の効果を奏する。
【0020】
(1)不適正な摘まみ箇所の選択を解消した。
(2)確実な剥がし開封を可能にした。
(3)荷重力の分散を極小化できた。
(4)開封面の初期剥がれを容易にした。
(5)高齢者/障碍者の開封操作を容易にした。
(6)わずかでも剥がれれば全開封が可能な方法を提示した。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】開封性に関係する応力メカニズムを説明する正方形の4方シール袋の平面図である。
【図2】開封性に関係する応力メカニズムを説明する、袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図3】剥がれ線長のシミュレーション方法を説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図4】摘まみ代による開封力の増大を説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図5】縦摘まみの開封操作による応力メカニズムを説明する袋のヒートシール部周辺の平面図である。
【図6】柔軟構造物を取付けた状態の部分正面図を(a)に、その側面断面図を(b)に、それぞれ示す。
【図7】その拡大図である。
【図8】剥離可能状態で接着した柔軟構造体を引張って開封していく状態を示す説明図である。
【図9】剛性構造体を取付けた状態の部分正面図を(a)に、その側面断面図を(b)に、それぞれ示す。
【図10】その縦摘まみ状態を示す部分側面断面図である。
【図11】開封性の応力メカニズムの基本機能の確認説明図である。
【図12】柔軟な構造物、剛性の構成、従来法の欠点の性能実測説明図である。
【図13】少しの剥がれが起これば全開封を完成する方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の袋体は、開封されるヒートシール部を有するものであればよく、チューブの上下両端をヒートシールした袋、三方シール袋、4方シール袋、背貼り構造を有する袋、ガゼット袋等を挙げることができる。
【0023】
袋体は、プラスチックを内面とするフィルム又はシートで形成され、このフィルムやシートは、単層であっても複数の層よりなる積層体であってもよい。また、積層体は全部がプラスチックで形成されていなくてもよく、例えばアルミニウム箔などを含むものであってもよい。内面のプラスチック種類はヒートシールできるものであればよいが例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン等を例示することができる。袋体の大きさは、特に制限されないが、通常縦2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度、横2〜100cm程度、例えば2〜60cm程度である。
【0024】
ヒートシールには、溶着されて形成された破れシールと、軟化状態で圧着されて形成され引張れば剥がれるシールがある。本発明の袋体は、開封しようとするヒートシール部が剥がれシールよりなっていれば、その外のヒートシールは、破れシール、剥がれシールのいずれであってもよい。開封しようとする位置は特に制限されないが、通常は袋の上縁または背貼部である。剥がれシールと破れシールの形成方法は、本発明者が先に出願した特許第3465741号、特許第3318866号、特許第3811145号公報、などに詳細に説明されている。
【0025】
本発明の昜開封構造は、このような袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に、隣接してタブが連設された柔軟構造物を接着し、あるいは近傍に剛性構造体を設けたところに特長がある。
【0026】
柔軟構造物は、袋体に接着されてヒートシール部に開封力を与えるものである。形状は特に限定されないが、典型的な形は四角形のフィルム又はシートである。大きさは幅(図6(a)のW)が5〜20mm程度、好ましくは5〜10mm程度、長さ(図6(a)のL)が2〜20mm程度、好ましくは2〜10mm程度、厚みが30〜1000μm程度、好ましくは50〜500μm程度が適当である。この柔軟構造物の材質は柔軟なものであり、例えば、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン、金属箔、紙等でよい。柔軟構造物の接着位置は、その前縁(ヒートシール部側の縁)がヒートシール部の基端縁に隣接、すなわちなるべく近くする。また、ヒートシール部の長さ方向の位置関係では、特段の事情がなければ、ヒートシール部の中心付近がよい。この柔軟構造物はヒートシール部の一側にのみ設けて他側は袋体を手で摘んでもよいが、通常はヒートシール部の両側に原則として対象に設ける。
【0027】
柔軟構造物は、袋体に剥離可能な状態で接着することが好ましい。これを図8を引用しつつ説明する。図において、ヒートシール面の実際は図の面に対して垂直であるタブは同様のものが反対側にも設置してある。結合面と袋の表面は2N/15mm以上の剥がれ接着で結合されている。そしてL、Mの寸法増加は開封力に1次比例する。そこで、
(1)両側のタブを引っ張るとタブと結合面は水平面で作動する。
【0028】
結合面には剪断力のみで剥がれ力は発生しない。
(2)開封が開始した直後は貼り付け材の誘導でW幅の長方形の剥がれシールが起こる。
(3)開封が進行すると[A]を中心にした円弧剥がれが支配的になる。
(4)応力線の中心[B]点と[A]点から円弧までの距離が異なるので応力は操作線上の中心[B]点が最小になる。
(5)軟包装袋の場合は包装材料の剛性が小さいので、剥がれ線に近似した容積状に変形する。
(6)[A]−[B]間に応力の差があることは[A]−[B]に剥がれ力が発生する。
(7)結合面の剥がれは[B]−[C]を結ぶ線に漸近して剥がれる。
(8)このことは円弧剥がれ中心の[A]が[D]点方向に自動的に移動して応力線状の応力が均一になるように動く。すなわち[A]点の円弧より小さくなり、円弧長が小さくなるので、開封力が小さくなる。接着方法としては、柔軟構造物の接着面にあるいは、袋体の接着部位に剥離可能な接着剤を塗布して、柔軟構造物を接着してもよく、あるいは剥がれシールを形成する温度に加熱して圧着することにより剥がれシール状態で接着してもよい。接着強度は2〜30N/15mm程度、好ましくは4〜20N/15mm程度が適当である。
【0029】
タブは、指で摘まんで引張ることにより柔軟構造物を介してヒートシール部に開封力を直角に与えるものであり、柔軟構造物と袋体の接着面には剪断力が働くが剥がし力は発生しない。タブは柔軟構造物に連接されて通常は両方合わせて短冊形になる。従って、材質、厚み、幅などは特段の事情がなければ柔軟構造体と同じでよい。タブの長さは指で摘める長さがあればよく、例えば5〜20mm程度、好ましくは10〜15mm程度でよい。タブの強度は、開封時の引張力に耐えればよく、伸び開始又は破断強さが15N/15mm以上、好ましくは20N/15mm以上であることが望ましい。
本発明の柔軟構造物の袋物包装に適用した事例を図6,7に示した。
摘まみ部のタブ9が連結した一対の柔軟構造物8は開封したいヒートシール面を含んでヒートシール線に直角の方向に構成する。
柔軟構造物8の結合面は袋体の表面の開封部位のヒートシール面とヒートシール線から(L)の位置までとする。(図6(a)(b)参照)
結合方法は袋の製造時の熱成型、部品の接着あるいは粘着剤をコートしたテープ材の貼り付け等による。
柔軟構造物8の設置は製造工程中に限らず消費者が使用直前に別に用意したものを適用することでもよい。
使用者が開封の要求が起きた時に両手でタブ9,9を摘まんで引張ることによって、引張力はタブ9,9と柔軟構造物8,8の連結部11,11が応力線になってヒートシール線に直角に作用して図4に示した剥がれラインに近似した開封が始まる。
柔軟な構造物8のLとWの調整によって剥がれの円弧長が変化するので、目的に応じて、この寸法の調整によって開封力の調節が可能になる。
【0030】
剥がれ線は曲線状になるので、ヒートシール面の一方がカップやトレーのような剛体の場合は図4に示した平面での剥がれが起こるが、フイルムのような柔軟体では開封によって剥がれ線を頂点にした容積体が形成される。
柔軟構造物8の結合面は平面の応力が作動している。しかし開封線は曲線状になるので剥がれ線を主体にして袋は容積状になるから平面状の柔軟構造物8との間に袋本体部1との間に剥がれ力が発生する。柔軟構造物8のコーナー81,82に対する直角成分の力が点で作用して、開封が進むとx1-y1、x2-y2の応力線を形成しながら剥がれは拡大する。しかし結合面が存在していればタブaの開封力は摘まみ代の幅W1でヒートシール線に作動する。
もし、柔軟な構造物8に剥がれが生じなければ柔軟構造物8のコーナー81,82を中心とする円弧上の剥がれになる。
本発明の剥がれが生じる柔軟な構造物を適用すると円弧状の剥がれの中心は81,82点からy1,y2点に移動するから円弧Mは円弧Nに縮小して開封力は減少する。
指で摘まむ従来の開封方法では摘まみ代に開封力が集中しなかったり、滑って開封力が分散してしまう特徴がある。又縦摘まみの場合には折り重ね線に開封力が負荷しないと2点の開封操作を同時に行うことになり、摘まみ点の違いで、開封力は約2倍になり開封が困難になる原因になっている。
【0031】
そこで、本発明の昜開封構造においては、柔軟構造物に代えてあるいは柔軟構造物とともに袋体に剛性構造体を設けることができる。
【0032】
剛性構造体を袋体に付加することにより応力の分散や荷重点を制御して昜開封性を得ることができる。
【0033】
この剛性構造物は、袋体と別体としてもよく、あるいは袋体の一部を肉厚に形成することにより設けてもよい。剛性構造体の形状は特に限定されないが、典型的な形は4角形である。この剛性構造体の部位は他の袋体の部位より剛性が1.5倍以上あるようにし、指の摘まみ力が均一に掛かるように幅を5〜10mm程度、長さを10〜20mm程度とするのがよい。厚みは摘まみ力が分散しないように他の袋体の部位より1.5倍以上厚くする。この剛性構造体の材質としては、ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプレピレン共重合体等のポリオレフィン、金属箔、紙、剛性構造体の位置は、その前縁とヒートシール部の基端縁との間隔(図9のl)が0〜20mm程度、好ましくは0〜10mm程度になるようにするのがよい。また、ヒートシール部の長さ方向の位置関係では、特段の事情がなければ、ヒートシール部の中心付近がよい。この剛性構造体はヒートシール部の一側にのみ設けて他側は袋体を手で摘んでもよいが、通常はヒートシール部の両側に原則として対照に設ける。剛性構造体は、裏面は袋体を折込んで袋体を介して摘んでもよいが、剛性構造体の両面を摘むようにしてもよい。折曲線は、ヒートシール部と平行あるいは直角方向に設けるのがよく、剛性構造体に溝を設け、あるいはミシン目状に切れ目を入れるなどして形成できる。
【0034】
接着方法は柔軟構造物と同様にできる。
【0035】
剛性構造体の場合の開封力は前縁になる。面に掛けた荷重が前縁に集中するように剛性構造体とした。
本発明の剛性構造体12を適用した方法を図9に示した。
【0036】
剛性構造体12は剥がしたいヒートシール部2を中心にして対象に設置する。又は所望の開封面中心付近に設置される。
【0037】
指の摘まみで構成物全体に剥がし荷重を加える必要があるから、剛性構造体12の幅(摘まみ代)Wは指の寸法を参考にして約10mmとする。
剛性構造物の長さL2は厳密な寸法を要求しない。摘まみ力を安定的に包装材料に伝達すればよいから約10〜20mmとする。
袋物包装の場合は内部に指を入れられないので、袋の一部を折り重ねて摘まむ必要がある。従って剛性構造体12は剛性を持たせることと容易に折り曲げられるように表面に縦と横の溝加工121,122を施す。
ヒートシール部2の基端縁から剛性構造体12の前縁までの距離lは0〜20mmとする。好ましくは0〜10mmとする。
シート又はフィルム上の剛性構造体12はシート又はフィルムの製造時の熱成型や部品の熱接着で構成する。
剛性構造体12は同一の形状のものを別途作成して、消費者が開封直前に所定の位置に接着材の塗布や貼り付けによってもよい。
【0038】
本発明の昜開封構造は、柔軟構造物の場合には、両側のタブを指で摘んでヒートシール部を引剥がす方向に引けば、開封力がヒートシール部と直角方向に働き、図2に示すように、剥がれ起点から円弧状に剥がれていく。
【0039】
そして、開封力が10N程度になったら、摘まみ線をヒートシール線に隣接して縦摘まみ開封を行う。
柔軟構造物8のW=0,10mm、L=0,10mm、C=5,10,15,20mmを設定して、(尚、W=0はシミュレーション上の設定である。実際の現象とこの結果を比較して実際の現象を理論的に解析できる。)平面状の場合の剥がれ特性を(5)式の演算によって、柔軟構造物の長さLと剥がれ幅CXの影響を調べた。この演算結果をグラフにして図11に示した。この図の縦軸は剥がれ長を15mmで除してヒートシール強さの定義と直結するように指数化してある。
この演算検証結果からWが開封強さに上乗せ、LとCが開封力に比例的に関与していることが分かる。
L=20mmで剥がれ幅CXが10mmのとき、摘まみ代W=0の時は剥がれ力はヒートシール強さの3.4倍、W=10mmのときは4.0倍となっている。
【0040】
摘まみ代W、開封操作面からヒートシール線までの距離L、剥がれ幅CXの定量的な相互関係が明確になった。
【0041】
演算結果の詳細にヒートシール強さ[4]Fhs=5,10N/15mm、開封操作力[5]の上限に20Nを当てはめた易開封範囲を評価した結果を表1に示した。
【0042】
この演算結果から
(1)L=20mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅cxは10mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅cxは5mmでも開封力は28Nになり、20Nを超えているので開封は困難。
【0043】
【表1】
(2)L=10mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は10mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は5mmでも開封力は24Nになり、20Nを超えているのでるので開封は困難。
(3)L=0mm、ヒートシール強さ5N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は15mmが上限、
ヒートシール強さ10N/15mmの場合、剥がれ幅(cx)は5mmで開封力は17Nになり、20Nを超えていないので開封は可能となる。
(4)この実施例の場合には包装材料の伸び開始又は破断強さは20N以上が要求される。
【0044】
これらの評価から摘まみ代Wと構造物/柔軟構造体の長さLの確実な調整が易開封性の改善に機能すること評価できる。
【実施例1】
【0045】
従来法と本発明の柔軟構造物8と剛性構造体12の3種の実施例の開封力パターンを統合して図12に示した。シミュレーション計算式(平面開封)の結果も併記した。
実施の共通の条件はL=10mm、摘まみ代W=10mm、袋材:50μmPP、ヒートシール強さFhs=4N/15mmである。柔軟構造物8はサンプル袋との結合力2.5N/15mm、厚さ0.1mmの粘着テープを使用した。
剛性構造体12は厚さ≒0.5mm、長さL2≒16mmの固紙を両面テープで袋材の表面に張り付けた。構造体12の表面にカッターで溝加工121,122を施した。この構造体12を幅20mmの引張試験機のグリッパーで均一に挟んだ。応力の幅は固紙の幅10mmに自動調節される。
【0046】
柔軟構造物8の開封パターンは長方形の構造物がの開封応力面に貼り付けられているので摘まみ代Wの荷重は確実にヒートシール部の基端縁に作用していることが分かる。
【0047】
柔軟構造物8と袋本体1は剥がれ結合にしてある。袋本体と柔軟構造物に剥がれが生じ円弧部の剥がれ中心が移動して開封力が減少するので、約5mmまではの剥がれは平坦になっている。
【0048】
この効果によって、15mmの剥がれ幅でも開封力は18Nに留まっていて、発明の柔軟構造物8の効果を確認できた。
剛性構造体12の横摘まみは開封開始直後は大きな開封力になっている。約2mmの開封後は柔軟構造物8の開封と同等傾斜の開封特性を示した。初期開封力が大きいので約10mmの開封で18Nに到達した。
剛性構造体12の縦摘まみは折り重ね線を確実に摘まんでいる。折込み線は他の部位より変形厚みがあるので、摘まみ力は他の面より大きくなり、開封パターンは点応力の剥がれ特性が現れた。約12mmの開封で18Nに到達した。
剛性構造体12の縦摘まみの摘まみ面が折込み線を含まないと2面の剥がれを同時に起こすことになる。摘まみ代を折込み線から10mm離したパターンでは2mmの開封で18Nに達し、4mmで約20N、6mmで30Nとなっており、人手での開封は困難になった。
この試験は消費者が習慣的に行っている開封操作の中で開封に失敗するケースを再現した。
以上の結果から本発明の構造物の構成は開封力の付加箇所が限定できるので適正な開
封効果を発揮しているのが分かる。
【実施例2】
【0049】
ヒートシール強さやLの設定に制約がある場合は、開封の途中で開封力が約20Nを超すと人手での開封の継続が困難になる。
【0050】
これは剥がれの進行によってLが大きくなるからで、摘まみ点を進行した剥がれエッジ側に接近移動すれば開封力はゼロから始められる。通常は2〜3回、この繰り返しを行えば最終的に全ヒートシール幅の開封を低い開封力で完了できる。
【0051】
柔軟構造物の条件:L=10mm、W=10mm、結合強さ=2.5N/15mm、袋の開封面のヒートシール強さ=4N/15mm、(ヒートシール幅)=15mmの開封を行った。約8mmの開封で開封力は約9Nになった。
開封を一旦中止して、摘まみ線を8mm進して、縦摘まみを行った。剥がれが7mm進んだところで開封線は外縁に達した。この時の開封力は12Nであった。もし持ち替えをせずに開封をした場合は約20Nになる。この操作の検証を図11に示した。
【0052】
ヒートシール面の一部でも全開封ができれば、全開封線を中心にして、ヒートシール面の中心部を縦摘まみで開封すれば(この場合は)[4N×2]の開封力で写真1に示したようなヒートシール面全体の開封が容易にできる。
本発明を適用すれば剥がれシール状態のシールならば易開封が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は以下の産業上の利用の可能性がある。
(1)ヒートシール面を利用した易開封性が可能になる。
(2)目的に応じた易開封性の設計の評価が合理的にできる。
(3)易開封が困難な包装製品の不具合解析が容易になる。
(4)易開封のユニバーサルデザインに反映できる。
【符号の説明】
【0054】
1 袋本体
2 ヒートシール部
3 摘まみ点(力点)
4 破れ又は剥がれ起点
51 剥がれライン
52 剥がれライン
53 剥がれライン
54 剥がれライン
55 剥がれライン
6 ヒートシール強さの試験ライン
71 三角形
72 三角形
8 柔軟構造物
81 コーナー
82 コーナー
9 タブ
10 摘まみ指
11 連結部
12 剛性構造体
121 溝加工
122 溝加工
A 円弧長
Ax CXの位置における円弧長
C ヒートシール幅
(CX Xの位置におけるヒートシール幅)
L 摘まみ点からヒートシールエッジまでの最短距離
L1 柔軟構造物の胴部の接着長さ
L2 剛性構造体の長さ
l ヒートシール部の基端縁から剛性構造体の前縁までの距離
M 円弧
N 円弧
W 摘まみ代幅
W1 柔軟構造物の幅
W2 剛性構造物の幅
x1−y1 応力線
x2−y2 応力線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造。
【請求項2】
袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造。
【請求項1】
袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に隣接して、タグが連設された柔軟構造物が接着されていることを特長とする包装袋体の昜開封構造。
【請求項2】
袋体の剥がれヒートシール部の基端縁に近接して、剛性構造体が設けられていることを特長とする包装袋体の昜開封構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−140169(P2012−140169A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−643(P2011−643)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年7月8日 日本包装学会発行の「日本包装学会 第19回年次大会 講演予稿集」に発表
【出願人】(596177445)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年7月8日 日本包装学会発行の「日本包装学会 第19回年次大会 講演予稿集」に発表
【出願人】(596177445)
【Fターム(参考)】
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