説明

包装袋

【課題】 開封容易性及び開封非容易性という相反する特性を併せ持つ包装袋を提供すること。
【解決手段】 本発明は、被包装物20を収容する収容部12と、この収容部12を開封するための引裂き誘導線16とを備える包装袋10において、引裂き誘導線16の端部が、当該包装袋10の外縁から離れた位置に形成されていることを特徴としている。この構成においては、包装袋10の外縁には開封を容易にするための引裂き誘導線16が配置されないので、当該包装袋10の外縁をそのまま引き裂くには相当の力を要する。その一方で、引裂き誘導線16近傍の所望の箇所をつまんで引き裂くことで、容易に当該包装袋を開封することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封を容易にするための手段を備えた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋の開封を容易にするための手段としては、従来から種々あるが、例えば、下記の特許文献1に開示されているようなミシン目等の弱め線や、包装袋の外縁に形成された三角ノッチ等の切欠きが知られている。
【特許文献1】登録実用新案第2566444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来の開封手段を有する包装袋は、包装袋の外縁をつまんで引き裂くという単純な動作だけで、簡単に開封してしまうという問題点がある。すなわち、従来の包装袋は開封が容易でありすぎるため、例えば幼児が保護者のいない所で包装袋を開封し、被包装物を取り出すことが考えられ、被包装物によっては、そのような状況が好ましくない場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、開封容易性及び開封非容易性という相反する特性を併せ持つ包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、被包装物を収容する収容部と、開封するための引裂き誘導線とを備える包装袋において、引裂き誘導線の端部が当該包装袋の外縁から離れた位置に形成されていることを特徴としている。
【0006】
本発明によれば、包装袋の外縁には開封を容易にするための引裂き誘導線が配置されないので、当該包装袋の外縁をそのまま引き裂くには相当の力を要する。その一方で、引裂き誘導線近傍の所望の箇所をつまんで引き裂くことで、容易に当該包装袋を開封することが可能となる。
【0007】
尚、本発明においては、引裂き誘導線と交差する折曲げ誘導線を形成するようにしてもよい。折曲げ誘導線に沿って引裂き誘導線が形成されている部分を折り曲げて、その折線上に引裂き誘導線の一部が配置されるようにすることで、そこを起点として容易に当該包装袋を引き裂くことが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
上述したように、本発明の包装袋によれば、例えば幼児が使用に注意を要する被包装物を簡単に取り出してしまうという事態を防止ないしは抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明による包装袋10を部分的に示す説明図である。図1に示すように、本実施形態に係る包装袋10は、互いに対向配置された包装フィルム10a及び10bから構成されている。また、包装フィルム10a及び10bは2層以上の複合フィルムからなっており、その複合フィルムを構成する材質としては、紙、シリコン加工紙、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)などが挙げられる。
【0011】
図2は図1のI―I’に沿う断面図である。図2に示すように、本実施形態で用いる複合フィルム10a及び10bは、PET層11a、PE層11b、アルミニウム層11c及びPE層11dを、外側より順に積層して形成する。PET層11aは酸素の透過性が低く、且つ、アルミニウム層11cは気密性に優れ、適度な強度ないし剛性を有する。そのため、本実施形態においては、収容部12内に収納される被包装物20として、薬物を経皮投与する貼付剤等が適している。薬物の劣化を防止できるとともに、貼付剤の形状を維持することができるからである。
【0012】
このように形成した包装フィルム10a及び10bを、PET層11aが最外層となるようにして、互いに重ね合わせた後、外周部分をシールすることで、収容部12とシール部14を備える包装袋10が形成される。シール方法としてはヒートシール法が好ましいが、接着剤を用いての圧着など、他の方法を採ってもよい。
【0013】
シール部14は、2枚の包装フィルム10a及び10bを一体化して形成されたものであり、シールする際の熱による材質の変形や、接着剤の追加などにより、シール部14の強度ないし剛性は収容部12のそれより大きくなる。そのため、シール部14の外縁、すなわち当該包装袋10の外縁を、そのまま引き裂くには相当の力を要する。
【0014】
図1に戻り、本発明の包装袋10の収容部12上には、収容部12の強度ないし剛性を弱め、包装袋10を容易に開封することを可能とする引裂き誘導線16が形成されている。本実施形態においては、引裂き誘導線16を形成する方法として、包装フィルム10a及び10bを構成する複数の層のうち、外側の少なくとも一層を貫通する破線を形成し、且つ、内側の少なくとも一層には破線を形成しない方法を採択している。そのため、包装袋10を開封しない限り、被包装物20は外側の空気とは直接的に接触しないので、被包装物20を開封する前まで安全に保存することができる。もちろん被包装物20の種類により外側の空気と接触しても構わない場合や、包装袋10内に重ね袋などをさらに備える場合などには、この限りではなく、収容部12全体を貫通するミシン目などを形成してもよい。
【0015】
引裂き誘導線16の端部は、包装袋10の外縁にかからない位置に形成される。従来の包装袋は、引裂き誘導線が包装袋の外縁にまでかかった状態で形成されていたため、引裂き誘導線近傍の外縁を指でつまんで引き裂くという単純な動作だけで、簡単に開封されていた。このように包装袋10が開封容易性だけを持っていると、例えば幼児が保護者のいない所で包装袋を開封したり、開放された被包装物20が空気と直接に接触し製品の品質が劣ったりする場合がある。ここで、本実施形態では、引裂き誘導線16の端部を包装袋10の外縁からある程度離れた位置(例えば図1でのD1)に形成し、包装袋10に非開封容易性を持たせることで、上述したような事態を防止ないし抑制する。
【0016】
また、本実施形態においては、図1に示すように、引裂き誘導線16と略十字方向に交差する折曲げ誘導線18を形成している。後ほど詳しく説明するが、包装袋10を開封する際には、この折曲げ誘導線18に沿って収容部12を折った後、引裂き誘導線16と折曲げ誘導線18が交差する部分の両側を指でつまんで引き裂くことになる。この際、包装袋10が容易に引き裂けるように、引裂き誘導線16の端部からある程度離れたところ(例えば図1でのD2)で、引裂き誘導線16と交差するように折曲げ誘導線18を形成することが望ましい。より具体的には、引裂き誘導線16の端部から10mm以上距離があると、引裂き誘導が容易になる。
【0017】
続いて、以上のような構成の包装袋10の開封方法について図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る包装袋10の開封方法を説明するための図である。
【0018】
まず、図1に示す状態においては、包装袋10の外縁には開封を容易にする手段が備えられていないため、通常の力を有する使用者であっても、包装袋10の外縁を引き裂くだけでの開封は極めて困難である。従って、開封方法を知らない非力な幼児などが本実施形態の包装袋10を開封することは実質的に不可能であり、まして被包装物20を取り出すことはできない。
【0019】
開封を行うためには、まず、折曲げ誘導線18(図1参照)に沿って収容部12を折り曲げる。折曲げをしっかりと行った場合、包装フィルム10a及び10bを構成するアルミニウム層によって、包装袋10は図3の(a)に示す折曲げ状態で維持される。この状態において、折曲げ誘導線18と交差する引裂き誘導線16の一部分が、切欠きとして包装袋10の外縁に現れる。
【0020】
そこで、上述した切欠きの両側A及びBをそれぞれ指でつまみ、互いに引き離すと、その力が小さい場合であっても、切欠きを起点として包装袋10が引き裂かれ、開封が容易に行われる(図3の(b)参照)。
【0021】
次に、本発明を実施するための更なる形態について、図4〜図6を参照しながら説明する。図4〜図6は、引裂き誘導線16及び折曲げ誘導線18が形成された包装袋10を全体的に示す説明図である。図4〜図6においては、引裂き誘導線16を形成する方法として、ハの字カットを行っている。このようなハの字カットを行う際には、図4及び図5に示すように、1段カットでもよく、図6に示すように開封の容易性をさらに考慮して2段カットにしてもよい。
【0022】
尚、図4〜図6においては、包装袋10の上端、下端、左端及び右端の4端のうち少なくとも1箇所に引裂き誘導線16を形成する。複数の引裂き誘導線を形成する際には、図4に示すように、2つの引裂き誘導線の端部が直角で繋がるようにしてもよく、図5に示すように交差するようにしてもよく、もしくは、図6のようにスムーズに繋がるようにしてもよい。
【0023】
更に、図5に示すように、引裂き誘導線16を形成することにより、包装袋10の外縁が裂け易くなる効果が生じない限り、引裂き誘導線16は収容部12とシール部14をまたいで形成されていても構わない。
【0024】
尚、図4及び図6に示すように、引裂き誘導線16と交差する折曲げ誘導線18を少なくとも1箇所に形成しているが、図5に示すように、2つの引裂き誘導線16が交差している場合には、折曲げ誘導線18を形成しなくてもよい。1つの引裂き誘導線が、もう1つの引裂き誘導線に対し折曲げ誘導線の役割を果たすからである。
【0025】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0026】
例えば、包装袋10を構成する材質は上記のものに限られなく、被包装物20の種類などにより適宜変更可能である。更に、引裂き誘導線16及び折曲げ誘導線18の位置や形状、寸法、数量においても、被包装物20の種類などにより適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による包装袋10を部分的に示す説明図である。
【図2】本発明による包装袋10を部分的に示す断面図である。
【図3】本発明による包装袋10を開封する手順を示す説明図である。
【図4】本発明による包装袋10を全体的に示す説明図である。
【図5】本発明による包装袋10を全体的に示す説明図である。
【図6】本発明による包装袋10を全体的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
10…包装袋、10a,10b…包装フィルム、11a…PET層、11b…PE層、11c…アルミニウム層、11d…PE層、12…収容部、14…シール部、16…引裂き誘導線、18…折曲げ誘導線、20…被包装物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を収容する収容部と、開封するための引裂き誘導線とを備える包装袋において、
前記引裂き誘導線の端部が、当該包装袋の外縁から離れた位置に形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記引裂き誘導線と交差する折曲げ誘導線が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−219140(P2006−219140A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31725(P2005−31725)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【出願人】(000122896)岡田紙業株式会社 (10)
【出願人】(591230664)丸東産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】