説明

包装袋

【課題】背貼り部からの開封操作により、裏面部の中央部を過不足を生じさせずに所定の開口状態に確実にかつ容易に引き裂き開封することができる包装袋を提供する。
【解決手段】袋裏面部3に合掌形の背貼り部5を有し、長手方向両端が横シールされてなる包装袋Aにおいて、袋裏面部3の収容部領域における背貼り部5に引き裂き開始のための弱め手段としてのノッチ6を設け、袋裏面部3の背貼り部5を中間にして両側に長手方向に延びる引き裂き助成のためのミシン目状の切目線8,8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として各種錠剤やカプセル剤等の包装用として広く用いられているPTP(プレススルーパッケージ)シートを包装するための包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品の包装分野において、錠剤やカプセル剤等の固形薬剤の包装用に広く用いられているPTPシートの保管、携帯等の取り扱いや錠剤の取り出しを容易にするために、特殊なケースを用いることはあるが(特許文献1)、一般の取り扱いにおいては、通常、複数枚を束にして袋に収容して包装している。
【0003】
この包装に使用されている包装袋の形態は、包材の幅方向の側端部同士の接合部である合掌形の背貼り部を裏面中央に有し、且つ長手方向両端が横シールされたピロー形態の袋が多く使用されている。PTPシートの多数枚を包装する場合は、両側部にガセット状の折り込みを有する合掌ガセット形態の袋が使用されることも多い。
【0004】
前記のPTPシートの包装袋の開封は、長手方向両端の横シール部に形成されているギザギザ状の所謂ギザノッチの部分から縦方向に引き裂き開封するか、あるいは鋏を用いて端部をカットして開封するのが一般的である。
【0005】
ギザノッチの部分から縦方向に引き裂き開封する場合、力の入り具合によって直線的に切れずに逸れることが多くて、開封による開口状態に過不足が生じ易く、例えば開封の範囲が不足すると、内容物のPTPシートを取り出し難くなる。包装袋が内容物とぴったりしている場合ほど取り出し難い。また逆に、過度に大きく開封すると、内容物が不用意に飛び出すおそれがある。特に、直線的に引き裂きが行われたとしても、袋の縦方向に全体が開封されることになるため、その開口部から内容物が飛び出したり脱落し易くなる。
【0006】
また、鋏で袋長手方向の一端側をカットして開封する場合は、内容物が脱落するおそれは殆どないが、開封のために鋏を準備する必要があり、開封操作に手間がかかることになる。
【特許文献1】特開2002−255256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになしたものであり、袋体裏面部の背貼り部からの開封操作により、過度に大きく開封したり開封不足を生じさせずに、裏面部の中央部を適度の開口状態に確実にかつ容易に開封することができるPTPシート等の包装袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、袋裏面部に袋長手方向に沿って合掌形の背貼り部を有し、長手方向両端が横シールされてなる包装袋であって、前記袋裏面部の収容部領域における前記背貼り部に引き裂き開始のための弱め手段が設けられるとともに、前記袋裏面部には前記背貼り部を中間にして両側に長手方向に延びる引き裂き助成のためのミシン目状の切目線が設けられてなることを特徴とする。
【0009】
この包装袋によれば、開封の際は、前記背貼り部の弱め手段を利用して所定個所から横断方向に引き裂きを開始すればよく、弱め手段の個所からの横断方向の引き裂き線が背貼り部から袋裏面部に至り両側のミシン目状の切目線に達すると、そこから切目線に沿って縦方向に引き裂かれる。そのため、袋裏面部の中央部を、前記背貼り部の弱め手段と両側のミシン目状切目線の位置等によって設定される所定の大きさの開口状態に容易にかつ確実に引き裂き開封できることになる。
【0010】
前記の包装袋において、前記両側の切目線が、引き裂き開始端側からの引き裂きによる破断方向の逸れに対する補正機能を持つミシン目状をなしているものが特に好ましい。これにより、切目線からの破断方向の逸れを抑制しながら、所定の開封ラインに沿って開封できる。
【0011】
前記の包装袋において、前記両側の切目線が、それぞれ幅方向センターを基準として該センターから袋側端までの距離の1/3〜2/3の距離の範囲内の位置に設けられてなるものが好ましい。すなわち、両側の切目線同士の間隔、つまり開封による開口幅が狭くなるほど、内容物を取り出し難くなり、また、前記開口幅が大きくなるほど、内容物が脱落し易くなる。そのため、前記開口幅が狭すぎずかつ広すぎないように、前記両側の切目線の位置を前記範囲に設定しておくのがよい。
【0012】
前記の包装袋において、前記背貼り部の引き裂き開始のための弱め手段、すなわち端縁を引き裂き易くする手段としては、種々の実施が考えられる。例えば、前記の弱め手段として、背貼り部の端縁部に形成されるV形やI形のノッチを利用できる。この場合、少なくとも一つのノッチが、収容部領域の前記背貼り部における一方の横シール部寄りの位置に形成されてなるものとするのが好ましい。
【0013】
また、前記背貼り部の弱め手段として、該背貼り部の端縁に沿って無数の微細な傷が形成されてなるものとすることができる。この場合、背貼り部の長手方向の任意の個所から引き裂き開封することができ、開封による開口の大きさを引き裂き開始位置の選択により調整できることになる。
【発明の効果】
【0014】
上記したように、本発明の包装袋によれば、開封操作の際、袋裏面部の背貼り部に設けられている引き裂きに対する弱め手段により、該背貼り部の所定の位置から容易に引き裂きを開始できるとともに、両側のミシン目状の切目線の位置まで横断方向に引き裂いた後は、該切目線に沿って縦方向に引き裂き開封できるので、袋裏面部の中央部を、前記背貼り部の弱め手段と両側のミシン目状切目線によって設定される大きさの開口状態に引き裂き開封することができる。そのため、背貼り部からの引き裂き開封操作によって、過度に大きく開封したり、あるいは開封不足を生じさせることなく、内容物の取り出しに適した開口状態に確実にかつ容易に開封できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の包装袋の包装状態の一部を欠截した表面側からの斜視図、図2は同包装袋の裏面側からの斜視図、図3は同上の一部の拡大説明図、図4は変形ミシン目状の切目線を例示する説明図である。図5は引き裂き開封状態の斜視図、図6は他の実施例の斜視図である。
【0017】
この実施例の包装袋Aはピロー形態の袋体1よりなる。前記袋体1は、主として合成樹脂フィルムや紙、セロハン等を基材とし、他の合成樹脂フィルムやコーティング層あるいはアルミ箔や紙等を、シーラント層あるいは中間層等として適宜組合わせた2層以上の積層構造をなす複合包装材よりなり、少なくとも片面にシール層を設けた前記複合包装材よりなる包材により形成してなる。この袋体1は、前記包材の幅方向の両側端部同士を前記シール層を内側にして熱融着等の手段により接合して筒状にし、例えば内容物としてのPTPシートBを収容した状態において、前記接合部を背貼り部5として袋体1の裏面部3の略中央に位置させて袋長手方向の両端を横シールしてなるものである。2は袋体1の表面部を示し、4a,4bは前記両端の横シール部を示す。図の場合は、袋の両側端部がガセット状に折り込まれた合掌ガセット形態の袋を示し、複数枚のPTPシートBを束にして包装している。5はガセット状の折り込み部である。
【0018】
なお、内容物であるPTPシートBについては、主として錠剤等を収容する多数の収容部を表面側に凸となるように形成したプラスチックシートの裏面に、錠剤等を収容した状態においてアルミ箔を貼着してなるものであり、従来より一般に公知の形態をなすものである。
【0019】
前記の袋体1の縦方向(長手方向)の長さ、及び袋幅、ガセット状の折り込み幅等は、内容物の形態、例えばPTPシートBの長さや幅に包装する枚数等に応じて少し余裕を持って収容できるように設定される。
【0020】
そして、前記包装袋Aにおいて、袋体1の裏面部3の前記背貼り部5には、引き裂き開始のための弱め手段、すなわち該背貼り部5の端縁の耐引き裂き力を弱めて引き裂き易くする手段として、少なくとも一つのV形やI形等の切込みであるノッチ6が端縁に形成されている。前記ノッチ6は、前記袋裏面部3における収容部領域、つまりは長手方向両端の前記横シール部4a,4b間の領域内の前記背貼り部5の端縁に形成されている。
【0021】
前記ノッチ6の位置については、開封後の開口の大きさに応じて前記背貼り部5の任意の位置に形成できるが、実施上は、長手方向両端の横シール部4a,4bのうちの一方、例えば上側になる横シール部4a寄りの位置、特には前記横シール部4aに適度に近い位置で横断方向に引き裂けるように設けるのが好ましい。すなわち、前記ノッチ6の位置が横シール部4aから離間するほど、開封による開口が小さくなって内容物を取り出し難くなり、また逆に、前記ノッチ6の位置が前記横シール部4aに余り近くなりすぎると、開封し難くなったり、開封した時に内容物が脱落するおそれがある。従って、前記ノッチ6の位置は、前記横シール部4aから5〜20mm程度の範囲に設けておくのが特に好ましいものとなる。
【0022】
なお、前記背貼り部5の引き裂き開始のための弱め手段としては、前記のノッチ6のほか、前記背貼り部5の端縁からの引き裂きを容易にする他の手段による実施も可能である。例えば、図6のように、前記背貼り部5の端縁に沿ってその全長に渡り、特殊な傷つけ加工により横断方向の擦り傷状の無数の微細な傷7を形成して端縁からの引き裂きを容易にすることもできる。この場合、背貼り部5の長手方向の任意の個所から引き裂き開封することができることになる。
【0023】
さらに、前記袋体1の裏面部3には前記背貼り部5を中間にして両側において長手方向に主として背貼り部5と平行に延びる引き裂き助成のためのミシン目状の切目線8,8が形成されている。この両側の切目線8,8は、開封による開口幅が開口幅が狭すぎずかつ広すぎないように、それぞれ幅方向センターC、例えば図のようにセンターCに背貼り部5が存する場合は該背貼り部5を基準として、該背貼り部5から袋側端までの距離W1の1/3〜2/3の距離の範囲内の位置に設けられている。
【0024】
前記の切目線8,8は、引き裂き開封できる形状であれば、断続した直線状の切目によるもの、その他のどのような形態のものであってもよいが、実施上は、例えば前記ノッチ6による引き裂き開始端側からの引き裂きによる破断方向の逸れを補正できる機能を有する変形ミシン目状の切目線よりなるものが好適である。
【0025】
前記の変形ミシン目状の切目線8,8としては、例えば、図4の(a)ように互いに反対方向に傾斜した二つの切目が逆ハの字状に対をなして断続状に並列するもの、或いは同図の(b)(c)のように略Y字状の切目が断続状に並列するもの、或いは同図の(d)のように互いに反対方向に傾斜した切目が互い違いに並列するもののほか、同図の(e)(f)のように円弧状もしくは略くの字状に屈曲した切目を向かい合わせに形成したもの等、一つの切目からの引き裂き方向の逸れを次の切目で補正できるものであれば、どのような切目形態をなすものであってもよい。これにより、切目線8,8に沿って確実に引き裂き開封することができる。前記の変形ミシン目状の切目線8,8として、それぞれ前記の切目の列を複数列設けることで、引き裂き方向の逸れを生じさせずに、より確実に引き裂き開封できることになる。
【0026】
また、前記の切目線8,8は、通常、図のように長手方向両端の横シール部4a,4b間の収容部領域の全長にわたって形成しておくものとする。場合によっては、前記切目線8,8を、前記横シール部4a,4bとの間に間隔をおいて形成しておくこともこともできるが、製袋上は、前記のように収容部領域の全長に渡って切目線を形成することとするのがよい。すなわち、この場合、包材に対して前記切目線を連続して形成しておくことができ、切目線の加工が容易になる。
【0027】
なお、前記のミシン目状の切目線8,8は、袋体1を構成する包材のうちの基材層のみに形成して、これに積層されるシール層等の他の層により前記切目を閉塞するように形成しておくのが密封性確保の点から好ましい。図6の実施例の背貼り部5の微細な傷7についても、前記同様の方法により基材層のみに形成しておくことができる。
【0028】
上記した実施例の包装袋Aによれば、内容物である例えばPTPシートBを取り出すための開封の際、前記背貼り部5の引き裂き開始のための弱め手段を利用し、例えば弱め手段がノッチ6である場合は、背貼り部5の該ノッチ6の両側部分を摘んで、該ノッチ6の個所から横断方向に引き裂きを開始すればよく、このようにして背貼り部5を引き裂くと、横断方向の引き裂き線が、背貼り部5から袋体1の裏面部3の両側部分に至り、該両側部分が連続して引き裂かれて両側のミシン目状の切目線8,8に達し、そこから切目線8,8に沿って図5のように縦方向に引き裂かれる。
【0029】
そのため、裏面部3の中央部を、前記背貼り部5の弱め手段であるノッチ6と両側のミシン目状切目線8,8の位置等によって設定される所定の大きさの開口状態に容易にかつ確実に引き裂き開封できることになる。
【0030】
したがって、内容物の取り出しに適合した開口状態に過不足を生じさせることなく引き裂き開封できることになるので、内容物を取り出し難くなったり、内容物が不用意に脱落するおそれなく開封操作できる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、主としてPTPシート等の包装、特には複数枚を束にして包装する場合に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の包装袋の包装状態の一部を欠截した表面側からの斜視図である。
【図2】同包装袋の裏面側からの斜視図である。
【図3】同上の一部の拡大説明図である。
【図4】(a)〜(f)のそれぞれ変形ミシン目状の切目線を例示する説明図である。
【図5】引き裂き開封状態の斜視図である。
【図6】他の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
A…包装袋、B…PTPシート、1…袋体、2…表面部、3…裏面部、4a,4b…横シール部、5…ガセット状の折り込み部、6…ノッチ、7…傷、8,8…切目線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋裏面部に袋長手方向に沿って合掌形の背貼り部を有し、長手方向両端が横シールされてなる包装袋であって、
前記袋裏面部の収容部領域における前記背貼り部に引き裂き開始のための弱め手段が設けられるとともに、前記袋裏面部には前記背貼り部を中間にして両側に長手方向に延びる引き裂き助成のためのミシン目状の切目線が設けられてなることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記両側の切目線が、引き裂き開始端側からの引き裂きによる破断方向の逸れに対する補正機能を持つミシン目状をなしている請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記両側の切目線が、それぞれ幅方向センターを基準として該センターから袋側端までの距離の1/3〜2/3の距離の範囲内の位置に設けられてなる請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記背貼り部における引き裂き開始のための弱め手段として、少なくとも一つのノッチが、収容部領域の前記背貼り部における一方の横シール部寄りの位置の端縁に形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記背貼り部における引き裂き開始のための弱め手段として、該背貼り部の端縁部に沿って無数の微細な傷が形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−105719(P2008−105719A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291213(P2006−291213)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000122896)岡田紙業株式会社 (10)
【出願人】(000122900)岡田紙工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】