説明

包装袋

【課題】袋内で固体と液体とを混合した状態から自立した状態で底部から液体を容易に透過させて固体と分離することが可能な包装袋を提供する。
【解決手段】折り線12aにより内向きに二つ折りにしたプラスチックメッシュ12からなる底部材が、一対のフィルム11,11の間に挟み込まれ、プラスチックメッシュ12の周囲がシール部12b,12cにより一対のフィルム11,11の一方または両方にシールされ、一対のフィルム11,11は、プラスチックメッシュ12の折り線12aと反対の側に延設され、この延設部14において一対のフィルム11,11同士がシール部14aによりシールされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋内で固体と液体とを混合した状態から液体を容易に透過させて固体と分離することが可能な包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
固体が充填された袋に液体を注入したり、固体と液体との混合物が充填されていたりする場合に、液体だけを袋から排出して固体と分離することが望まれることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、気密に保持される袋体の内面に、濾紙などの透過性の内底部材を該袋体の全幅に亙り架設して袋体内部を二分し、前記内底部材の下方にある袋体の下部に開口予定部を設けて成り、例えば粉末コーヒーを充填した場合には、底部を開封後に注湯してコーヒーをたてることも可能な包装袋が記載されている。
【0004】
特許文献2には、包装袋の少なくとも一辺または辺の一部に、液切りシール部が設けられて液体分離排出機能を有し、例えば漬物類等の固形物と液体とが混在する内容物を包装した場合には、容易に固形物だけを取り出すことが可能な包装袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−188666号公報
【特許文献2】特開2008−285190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された包装袋のように濾紙などの柔軟な材料を用いた場合、水分を含み易く水切り性に劣るという問題がある。
また、特許文献2に記載された包装袋のように液切りシール部の間から液体のみを排出できるようにした場合、包装袋に液体排出時の自立性を付与することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、袋内で固体と液体とを混合した状態から自立した状態で底部から液体を容易に透過させて固体と分離することが可能な包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、前記折り線により内向きに二つ折りにしたプラスチックメッシュからなる底部材が、一対のフィルムの間に挟み込まれ、前記プラスチックメッシュの周囲が前記一対のフィルムの一方または両方にシールされ、前記一対のフィルムは、前記プラスチックメッシュの前記折り線と反対の側に延設され、この延設部において前記一対のフィルム同士がシールされていることを特徴とする包装袋を提供する。
前記一対のフィルムは、前記延設部に易開封部を備えることが好ましい。
前記折り線の両端から前記折り線と反対の側の前記一対のフィルムとのシール部に向けて、斜めシール部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装袋を延設部で開封することにより、プラスチックメッシュを底部材として広がって用いることができ、自立した状態で、底部から液体を容易に透過させて固体と分離することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の包装袋の第1形態例を示す平面図である。
【図2】図1に示す包装袋の縦断面図である。
【図3】図1に示す包装袋の上部をシールした状態を示す平面図である。
【図4】本発明の包装袋の第2形態例を示す平面図である。
【図5】本発明の包装袋の第3形態例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、本発明の第1形態例に係る包装袋10を示す。
図1に示す包装袋10は、互いに平面形状が同一である2枚の胴部フィルム11,11と、これら一対のフィルム11,11の間に挟み込まれ、折り線12aを中心線にして二つ折りにされた底部材12とから構成されている。
【0012】
図2に示すように、底部材12は、内容物が収容される空間10aに対して折り線12aが内向きとなるように折り重ねられている。
また、図1に示すように、包装袋10の両方の側縁には、それぞれ側縁シール部11a,11bが形成されている。底部材12の側部がフィルム11,11の間に挟み込まれた価所では、側縁シール部11a,11bにより底部材12とフィルム11とがシールされている。さらに、底部材12の折り線12aと反対の側の辺は、シール部12bにより、胴部フィルム11とシールされている。
【0013】
図2に示すように、シール部12bは、底部材12の折り線12aに対する外面を片方のフィルム11とのみシールするものであり、底部材12同士は互いに離れることが可能である。また、フィルム11は、シール部12bを超えて延設され、この延設部14においては、底部材12が介在することなく、フィルム11,11同士がシールされている。これにより、延設部14と底部材12との間の空間10bは、シール部14aにより封止される。
【0014】
本形態例の底部材12は、プラスチックメッシュからなるものが用いられる。プラスチックメッシュ(プラスチックネット)としては、プラスチックからなる線材を格子状に形成したものが挙げられる。例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂のようにヒートシール性を有する熱可塑性プラスチックからなる場合、ヒートシールによってフィルム11とシールすることができるので好ましい。
プラスチックメッシュは、不織布や穿孔フィルムと比較して、延伸された線材を用いることにより、引っ張り強度が高く、変形性にも優れるので好ましい。水切り性を向上するため、線材自身には液体の吸収性が低いものを用いることが好ましい。
【0015】
プラスチックメッシュ12は、縦横の線材が平織や綾織などにより上下に交錯するように織った織物が好ましい。線材は、プラスチックを押出や延伸等で線状に成形したフィラメントや繊維、あるいはこれらを複数組み合わせて製造されるマルチフィラメントや撚り糸などを用いることができる。
モノフィラメントの織物を用いると、その剛性により、底部を広げた時の形態が安定し易く好ましい。
【0016】
プラスチックメッシュ12における網目形状は、正方形や長方形などの矩形のほか、菱形、三角形、六角形等の多角形とすることができる。縦横の線材の交点(交差箇所)は、ヒートシールや結節などによって固定すると、より強固に結合できる。
【0017】
プラスチックメッシュ12における網の目の大きさ(目開き)や線径などは、液体と分離される必要がある固形物(内容物や開封後の投入物)の寸法や重量に応じて適宜設定することが可能である。目の大きさとしては、例えば、0.1〜10mm程度が挙げられ、線径としては、例えば0.01〜1.0mm程度が挙げられる。
【0018】
延設部14には、開封を容易にするため、包装袋10を横断するように例えばレーザーによって形成されたハーフカット溝15aなどからなる開封補助線や、一方または両方の側縁シール部11a,11b上に打ち抜きなどで形成可能なノッチ15bなどの開封開始手段などからなる易開封部15を設けることもできる。本形態例の場合、ノッチ15bから開封を開始し、ハーフカット溝15aに沿って引き裂くと、底部が開封される。
開封補助線がハーフカット溝15aからなる場合、液体を含む内容物を充填してその液体が底部材12の下方の空間10bに浸出しても、フィルム11の外部に漏れ出すおそれがない。
【0019】
本形態例の包装袋10は、延設部14を開封すると、折り線12aにより内向きに二つ折りにした底部材12を広げることで、自立性を付与することができる。
底部材12は、側縁シール部11a,11bとシール部12bとの間の隅部において。折り線12aの両端からシール部12bに向けて斜めに延在し、かつ胴部フィルム11とシールされた斜めシール部12cを備える。これにより、前記隅部の胴部フィルム11と底部材12との間に内容物が介在するのを防ぎ、底部材12が広がりにくくなることを抑制することができる。
【0020】
底部材12はプラスチックメッシュからなり、その周囲が全周にわたって一対の胴部フィルム11,11の一方または両方にシールされているので、包装袋10の底部を広げたとき、プラスチックメッシュ12を介して液体を透過させることができる。また、底部材12が胴部フィルム11とシールされた箇所およびその上方の胴部フィルム11を介しては、液体が漏れ出すことがない。
【0021】
胴部フィルム11など袋体を構成するために使用されるフィルムとしては、従来より使用されているもの、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等からなるフィルムを基材フィルムとし、これらの基材フィルムに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層体が用いられる。積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法などが挙げられる。基材フィルム層とシーラント層との間には接着強度の向上のため、接着剤やアンカー剤等を設けることができる。この場合、袋体の強度を高めるために基材フィルムを複数枚積層してもよい。あるいは気体や紫外線のバリア性を高めるため、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、セラミック等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどを積層してもよい。
【0022】
袋体の寸法は特に限定されるものではないが、例えば、袋体の高さとしては100〜500mm程度、袋体の幅(両側縁間の最大幅)は70〜300mm程度、内容物の充填量は100〜5000cm程度である。
【0023】
包装袋10の上部において、側縁シール部11a,11bの間は充填口として開口されており、この上部開口部13を通して包装袋10内に内容物(液体や固体、または混合物)を充填することが可能である。なお、内容物の充填後は、上部開口部13の周縁において胴部フィルム11,11同士をヒートシールすることにより上部シール部13A(図3参照)を形成し、上部開口部13を閉鎖する。これにより、図3に示す平袋タイプの包装袋10Aが得られる。
【0024】
内容物(図示せず)を充填した包装袋10,10Aを開封するには、易開封部15のハーフカット溝15aやノッチ15bなどを利用することにより、ハサミなどの道具なしでも、延設部14を容易に開封することができる。
延設部14を開封すると、折り線12aにより内向きに二つ折りにした底部材12を広げることで、自立性を付与することができる。そして、底部材12がプラスチックメッシュからなるので、自立した状態で袋の底部から液体を透過させ、固体と分離することができる。また、上部をシールした包装袋10Aには、上部を容易に開封するため、ハーフカット溝などの開封補助線や、ノッチなどの開封開始手段などからなる易開封部(図示せず)を設けることが好ましい。
【0025】
本形態例の包装袋10,10Aが適用可能な内容物の種類および用途としては、特に限定されるものではないが、(1)固体と液体とが混合状態で充填されるもの、(2)固体が充填され、使用時に液体が追加されるもの、(3)液体が充填され、使用時に固体が追加されるものなど、種々の態様が挙げられる。
【0026】
(1)固体と液体とが混合状態で充填される内容物としては、特に限定されるものではなく、例えば、食品、工業製品、医療用品、化粧用品などが挙げられる。食品としては、例えば、水煮類(舞茸、竹の子、こんにゃく、山菜、メンマ(しな竹)等)、漬物類(しょうが、白菜、茄子、きゅうり等)、加工品(ゆで卵等)が挙げられる。これらの内容物の場合、底部の延設部14を開封して底部材のプラスチックメッシュ12から不要な液体を排出した後、上部開口部13から分離した固体を取り出すことができる。
【0027】
(2)固体が充填され、使用時に液体が追加される内容物としては、特に限定されるものではなく、例えば、食器洗浄機用固形洗剤、乾物類(塩漬けわかめ、春雨、かんぴょう、かつお節、茶葉等)、野菜・果物類(もやし、カット済み野菜、チェリー、きのこ等)、麺類(パスタ、蕎麦、素麺、中華麺等の乾麺、即席麺、冷凍麺等)、肉類、魚介類、洗濯用洗剤や石鹸等が挙げられる。これらの内容物の場合、底部の延設部14を開封してプラスチックメッシュ12を介して外部から湯水などの液体を袋の内部に供給した後に不要な液体を排出したり、袋の上部開口部13から液体を投入した後で底部の延設部14を開封し、プラスチックメッシュ12から不要な液体を排出したりすることができる。これにより、ザルやボール等を用意することなく液切りができる。
【0028】
麺類や野菜類等の加熱調理を必要とする食品を内容物とした場合には、本形態例の包装袋の底部を開封した状態で袋ごと鍋に入れて茹でることもできる。この場合、調理後には、袋をそのまま鍋から取り出すことで、底部材のプラスチックメッシュ12から湯切りすることができる。
また、乾物類や即席麺などの場合には、容器の中に熱湯を注いで加熱調理(湯戻し)することもできる。
また、麺類等を鍋や電子レンジ等を用いて茹でた後、冷水中に通したり水道水を流したりして冷やしたときの水切りにも使用できる。
【0029】
また、乾燥剤、保湿剤、吸湿剤などの薬剤を内容物とした場合には、本形態例の包装袋の使用時に溜まった水分を排出するために底部材12のプラスチックメッシュを用いることもできる。
【0030】
(3)液体が充填され、使用時に固体が追加される内容物としては、特に限定されるものではなく、例えば、調味液(浅漬けやキムチ等の漬物用漬け汁等)、洗浄液、染料液、各種処理液などが挙げられる。これらの内容物の場合、本形態例の包装袋10,10Aの上部開口部13から固形物を投入した後で底部の延設部14を開封して底部材12のプラスチックメッシュから不要な液体を排出することができる。
【0031】
図4に、本発明の第2形態例に係る包装袋10Bを示す。この包装袋10Bは、互いに平面形状が同一である一対の胴部フィルム11,11の間に、二つ折りにしたプラスチックメッシュ12と、二つ折りにしたフィルム16とを、それぞれの折り線12a,16aを内向きに対向させて挟み込むとともに、胴部フィルム11がプラスチックメッシュ12とのシール部12bを超えて延設され、この延設部14において胴部フィルム11,11同士がシールされた構成である。
【0032】
このような構成の包装袋10Bの場合、使用時には延設部14を開封すれば、底部材12のプラスチックメッシュから液体を容易に透過させて固体と分離することができる。また、二つ折りフィルム16を広げることにより容量を拡大できるとともに、未使用時すなわち延設部14の開封前は、広げた二つ折りフィルム16を底部とすることにより自立性を付与することができる。
【0033】
図5に、本発明の第3形態例に係る包装袋10Cを示す。この包装袋10Cは、図1に示す包装袋10の上部開口部13にプラスチックチャック17を取り付けたものである。プラスチックチャック17としては、帯状シート(テープ)17a上に嵌合部を形成して一対の胴部フィルム11,11の間で互いに対向させたものを用いると、胴部フィルム11の原反とは別にチャックを用意してシール等でフィルム11の内面に固定することができるので好ましい。
【0034】
このような構成の包装袋10Cの場合、使用時には延設部14を開封すれば、底部材12のプラスチックメッシュから液体を容易に透過させて固体と分離することができる。また、上部開口部13を開封した後に容易に再封することができる。内容物が液体を含む場合には、チャック17が外れても上部開口部13からの液体の漏れ出しを防ぐため、チャック17の外側または内側に、ヒートシールやイージーピールシール等(図示せず)を包装袋10Cの全幅(側縁シール部11aと側縁シール部11bとの間)にわたって帯状に設けることが好ましい。
【0035】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明における包装袋の形態は特に限定されるものではなく、三方シールや四方シール等の平袋、スタンディングパウチや角底袋等の自立袋、ガゼット袋など種々の包装袋に適用することが可能である。
包装袋に充填した後の内容物は、ボイルやレトルト等で殺菌することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10,10A,10B,10C…包装袋、11…フィルム(胴部材)、11a,11b…側縁シール部、12…プラスチックメッシュ(底部材)、12a…折り線、12b…シール部、12c…斜めシール部、13…上部開口部、13A…上部シール部、14…延設部、14a…封止シール部、15…易開封部、15a…ハーフカット溝、15b…ノッチ、16…二つ折りフィルム、16a…折り線、16b…シール部、17…チャック、17a…帯状シート(テープ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り線により内向きに二つ折りにしたプラスチックメッシュからなる底部材が、一対のフィルムの間に挟み込まれ、前記プラスチックメッシュの周囲が前記一対のフィルムの一方または両方にシールされ、前記一対のフィルムは、前記プラスチックメッシュの前記折り線と反対の側に延設され、この延設部において前記一対のフィルム同士がシールされていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記一対のフィルムは、前記延設部に易開封部を備えることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記折り線の両端から前記折り線と反対の側の前記一対のフィルムとのシール部に向けて、斜めシール部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−219134(P2011−219134A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90494(P2010−90494)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】