説明

包装袋

【課題】 その目的とするところは包装箱や衝立具を使用することなく、平袋であっても内容物が噴き零れることなく電子レンジ加熱可能な包装袋を提供することにある。
【解決手段】 上下および左右の4辺からなり、少なくとも3辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記端縁熱接着部のいずれかが主端縁熱接着部とされ、前記主端縁熱接着部に連接または近接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部が形成された包装袋であって、前記主端縁熱接着部から該主端縁熱接着部に隣接する上下の2辺または左右の2辺のうちの少なくともいずれか1辺に形成された前記端縁熱接着部まで延びる斜めシール部が形成されていることを特徴とする包装袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、粘体あるいは液体、粘体と固体とが混在する内容物を密封包装するために用いられ、電子レンジで加熱するときに破裂を起こさず、速やかに蒸気が袋外に排出され、自動的に内圧を低下させ、内容物が噴き零れることなく、安全に加熱調理できる電子レンジ用途に適した包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済あるいは半調理済等の食品、たとえば、肉まんやあんまん、シュウマイ、餃子、ハンバーガー、ホットドック、スパゲティー、焼きそば、焼きうどん、ビーフン等の調理済めん類等をプラスチック製の包装袋に収納して、食べるに際して電子レンジにより加熱調理する包装食品が市場に出回っている。また、調理済あるいは半調理済の液体、粘体あるいは液体と固体とが混在する内容物、例えば、カレー、シチュー、スープ等の調理済食品をプラスチック製の包装袋に収納して、食べるに際して電子レンジにより加熱調理する包装食品も多く市場に出回っている。最近、このような食品を収納する包装袋には、電子レンジで包装袋ごと加熱する際、食品から発生する蒸気や内部空気の熱膨張により包装袋内部の内圧が上昇して包装袋が破袋することのないように包装袋に蒸気抜き手段が形成され使用者に利便性を与える包装袋が多く使われている。このような包装袋は蒸気抜き手段が形成されているので電子レンジで加熱する場合に袋に蒸気抜き穴を開けたり、包装袋の隅部を一部切取ったりする手間がなく使用者にとって便利なものである。
【0003】
ところが、包装袋を三方シールタイプ袋、四方シールタイプ袋、ピロータイプ袋等の平袋にした場合、液体が少ない固形物を主とする食品を充填した場合には問題にならないが、例えば、カレー、シチュー、スープ等の液体が多い食品を充填した場合には、電子レンジ加熱により蒸気抜き手段形成部にて袋内と袋外とが連通した際に、その蒸通口より内容物が噴き零れ電子レンジ内を汚したり、手指等に火傷する等の問題がある。
【0004】
上記問題を解決するために平袋の場合には、折線を介して背面板、側面板、正面板、側面板が連接され、上部に天面板、下部に底面板を有する六面体の包装箱の中に加熱により上昇する内部蒸気圧が自動的開口によって通過する通気孔構造部を上部に有する電子レンジ用パウチを収納した包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。この包装箱は、電子レンジ加熱に際し、略中央部上辺寄りの位置の正面板を横断するジッパー部より横断方向に引裂き開封し、ジッパー部に連続する側面板切断予定線を切断し、水平に連続する背面板切断予定線、第二折り曲げ線で折り曲げることにより、包装箱上部を蓋体として仰開型に開放し、電子レンジ用パウチの通気孔側を高くすることにより噴き零れを防止している。
また、一辺に蒸気抜き予定部が形成された袋を電子レンジ内に立て置き状態で載置する電子レンジ用包装体であって、前記袋の片面に板状部材が貼着されており、該板状部材は、これを折曲して組み立てることで、前記蒸気抜き予定部を上にして前記袋を立て置き状態で載置する衝立具を構成する電子レンジ用包装体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1の場合、別途に包装箱が必要となり、特許文献2の場合、別部材として衝立具が必要となり、コストアップになるという問題がある。また、包装箱や衝立具を組み立てる必要があり、使用者には手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4522782号
【特許文献2】特開2003−292061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは包装箱や衝立具を使用することなく、平袋であっても内容物が噴き零れることなく電子レンジ加熱可能な包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、上下および左右の4辺からなり、少なくとも3辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記端縁熱接着部のいずれかが主端縁熱接着部とされ、前記主端縁熱接着部に連接または近接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部が形成された包装袋であって、前記主端縁熱接着部から該主端縁熱接着部に隣接する上下の2辺または左右の2辺のうちの少なくともいずれか1辺に形成された前記端縁熱接着部まで延びる斜めシール部が形成されていることを特徴とする包装袋である。
【0008】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の包装袋において、前記斜めシール部が前記蒸気抜き手段形成部に連接して形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の包装袋において、前記主端縁熱接着部が形成された1辺に隣接する上下の2辺または左右の2辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記斜めシール部が、前記主端縁熱接着部から前記上下の2辺または左右の2辺に形成された前記端縁熱接着部まで相互に拡開して延びる2つの斜めシール部で構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋において、前記斜めシール部が、前記主端縁熱接着部および該主端縁熱接着部と隣接する前記端縁熱接着部に連接する領域にベタシールで形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装袋は、上下および左右の4辺からなり、少なくとも3辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記端縁熱接着部のいずれかが主端縁熱接着部とされ、前記主端縁熱接着部に連接または近接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部が形成された包装袋であって、前記主端縁熱接着部から該主端縁熱接着部に隣接する上下の2辺または左右の2辺のうちの少なくともいずれか1辺に形成された前記端縁熱接着部まで延びる斜めシール部が形成されている構成とすることにより、電子レンジ加熱すると平袋であっても蒸気抜き手段形成部が上方を向き、内容物が噴き零れることがないので包装箱や衝立具を使用する必要がなくコスト低減が図れ、また、包装箱や衝立具を組み立てる手間も省けるので利便性を付与できる。また、電子レンジ内を汚すこともなく、手指に火傷することもないので衛生的で安全なものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る包装袋の第一実施形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)はA−A線で示す部分断面図である。
【図2】本発明に係る包装袋の第二実施形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)はB−B線で示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る包装袋のその他の形態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る包装袋の電子レンジ加熱により発生した蒸気が蒸気抜き手段形成部より蒸通した時の蒸気放散状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明に係る包装袋の第一実施形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)はA−A線で示す部分断面図、図2は本発明に係る包装袋の第二実施形態を示し、(イ)は平面図、(ロ)はB−B線で示す部分断面図、図3は本発明に係る包装袋のその他の形態を示す平面図、図4は本発明に係る包装袋の電子レンジ加熱により発生した蒸気が蒸気抜き手段形成部より蒸通した時の蒸気放散状態を説明する図であり、図中の1、1’は包装袋、1Aは包装体、2、2u、2d、2r、4’は端縁熱接着部、3は主端縁熱接着部、4は端縁熱接着部形成予定部、5、5’は蒸気抜き手段形成部、5a、5a’はポイントシール部、5b、5b’は切欠、5c、5c’は未シール部、5dは隅部、6、7は斜めシール部、8は半折部、9は内容物、10は積層体、11は基材層、12は中間層、13は熱接着性樹脂層をそれぞれ示す。
【0014】
図1は本発明に係る包装袋の第一実施形態を示し、(イ)は平面図であり、(ロ)はA−A線で示す部分断面図であり、蒸気抜き手段形成部の構成を示す。図2は本発明に係る包装袋の第二実施形態を示し、(イ)は平面図であり、(ロ)はB−B線で示す部分断面図であり、蒸気抜き手段形成部の構成を示す。
【0015】
本発明に係る第一実施形態の包装袋1は、図1(イ)に示すように、2枚の略四角形の積層体の熱接着性樹脂層面同士を対向させて重ね合わせ、上下及び左右の4辺からなり、上辺と左右辺の3辺の端縁に端縁熱接着部2が形成され、左辺の端縁熱接着部2に相当する部分が主端縁熱接着部3とされ、主端縁熱接着部3に連接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部5(点線で囲まれた部分)が形成された構成からなるものである。なお、図1の下辺に一点鎖線によるハッチングで示した部分は端縁熱接着部形成予定部4であり、未接着部の開口部となっているが、この開口部より内容物を包装袋1内に充填した後、端縁を熱接着して端縁熱接着部を形成して密封包装するものである。
【0016】
本発明に係る第一実施形態の包装袋1は、主端縁熱接着部3から主端縁熱接着部3に隣接する上辺に形成された端縁熱接着部2uまで延びる斜めシール部6と、主端縁熱接着部3に隣接する下辺の端縁熱接着部形成予定部4まで延びる斜めシール部7がそれぞれ形成されている。斜めシール部6は蒸気抜き手段形成部5と連接して形成され、蒸気抜き手段形成部5の上部と接して端縁熱接着部2uの内縁まで延びる斜線と端縁熱接着部2uと主端縁熱接着部3と蒸気抜き手段形成部5で囲まれた略三角形状の領域にベタシールにより形成された構成である。また、斜めシール部7は主端縁熱接着部3の蒸気抜き手段形成部5の下方から下辺の端縁熱接着部形成予定部4の外縁まで延びる斜線と主端縁熱接着部3と端縁熱接着部形成予定部4の外縁で囲まれた三角形の領域にベタシールにより形成された構成である。
このような構成とすることにより、内容物を包装袋に充填し端縁熱接着部形成予定部4を熱接着して密封後、電子レンジで加熱すると平袋であっても包装袋が蒸気で膨らみ内容物が主端縁熱接着部3側から対向する右辺の端縁熱接着部2r側に移動して偏り易くなり、その結果、蒸気抜き手段形成部5が上方を向くので内容物が液体状のものであっても、内容物が切欠5bより噴き零れることを防げるものである。なお、本発明は端縁熱接着部2の位置を明確にするために上辺、下辺、および右辺の端縁熱接着部をそれぞれ2u、2d、2rで示し、端縁熱接着部形成予定部4を熱接着した端縁熱接着部を4’で示すこととする。
【0017】
本発明に係る包装袋1は、端縁熱接着部2(2u、3、2r、4’)で密封して包装体とするものであり、蒸気抜き手段形成部5は、電子レンジによる加熱に際して発生する蒸気を逃がす為に設けられたものである。図1に示すように蒸気抜き手段形成部5は主端縁熱接着部3と連結してロの字状ポイントシール部5aを設け、このロの字状ポイントシール部5aに囲まれた未シール部5cに連接して切欠5bが設けられた構成からなり、未シール部5cは切欠5bからロの字状ポイントシール部5aの包装袋1の中心に最も近い隅部5dに向かってU字状に設けられている。隅部5dにおいて未シール部5cとロの字状ポイントシール部5aの袋中心側の内縁との長さ、つまりシール幅は2〜5mm程度が好ましい。
【0018】
このような構成とすることにより、電子レンジによる加熱に際して、ロの字状ポイントシール部5aが内圧により剥離後退して、未シール部5cに到達すると、未シール部5cに連設して設けた切欠5bより速やかに蒸気が抜け自動開封されるものである。したがって、予め包装袋に鋏等で切込み等を入れる手間が省け使用者に利便性を供与するものとなる。
【0019】
前記ロの字状ポイントシール部5aが、主端縁熱接着部3に連接されず、独立して形成されていてもよい。
【0020】
また、ロの字状ポイントシール部5a内に設けた未シール部5cにより、未シール部5cに連接して形成する切欠5bの位置がずれても、未シール部5cとロの字状ポイントシール部5aの隅部5dの袋の内側とのシール幅を一定に保つことができる。したがって、内圧によりロの字状ポイントシール部5aが剥離後退する隅部5dから未シール部5cに至る距離が一定となり、安定した自動開封が可能となる。図1(ロ)は、蒸気抜き手段形成部5を示す断面図であり、切欠5bは2枚の積層体10を貫通して設けられ、未シール部5cに連接して形成されている。切欠5bは未シール部5cと連結していれば未シール部内に設けられていてもよい。
【0021】
次に、ロの字状ポイントシール部5aを形成する位置は、図1(イ)に示すように、主端縁熱接着部3の上下方向の長さの半分の位置から上辺に形成された端縁熱接着部2uとの間で主端縁熱接着部3に連接して設ける。さらには包装袋の中心部を中心とした円を描いたとき、包装袋1の中心からロの字状ポイントシール部5aの隅部5dに接する円の半径が端縁熱接着部2および斜めシール部6、7の内縁に接する円の半径よりも短くなるような位置に設ける。このような構成とすることにより、電子レンジ加熱により発生する蒸気の熱と内圧の上昇によるロの字状ポイントシール部5aの剥離後退が隅部5dから進み自動開封がスムーズに行われるので好ましい。
【0022】
また、ロの字状ポイントシール部5aの形状は、隅部5dが包装袋1の中心方向に突き出した形状とするのが好ましい。ロの字状ポイントシール部5aの外形は隅部5dを突き出した形状にすれば、特に限定されるものではなく、台形状や三角形状でもよい。
【0023】
図2は、本発明に係る包装袋の第二実施形態を示す。図2(イ)に示すように本発明に係る第二実施形態の包装袋1’は、2枚の略四角形積層体の熱接着性樹脂層面同士を対向させて重ね合わせ、上下及び左右の4辺からなり、左辺と上下辺の3辺の端縁に端縁熱接着部2が形成され、左辺の端縁熱接着部2が主端縁熱接着部3とされ、主端縁熱接着部3に連接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部5’が形成された構成からなるものである。そして、右辺が端縁熱接着部形成予定部4とされている構成である。
【0024】
本発明に係る第二実施形態の包装袋1’は、主端縁熱接着部3から主端縁熱接着部3に隣接する上辺に形成された端縁熱接着部2uまで延びる斜めシール部6が形成されている。斜めシール部6は蒸気抜き手段形成部5’と連接して形成され、蒸気抜き手段形成部5’の上部と接して端縁熱接着部2uの内縁と右辺の端縁熱接着部形成予定部4の内縁との交点まで延びる斜線と端縁熱接着部2uと主端縁熱接着部3と蒸気抜き手段形成部5’で囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。このような構成とすることにより包装袋1’は第一実施形態と同様の効果を奏する。
【0025】
図2(イ)、(ロ)に示すように蒸気抜き手段形成部5’は主端縁熱接着部3と連結してコの字状ポイントシール部5a’を設け、このコの字状ポイントシール部5a’に囲まれた未シール部5c’内に切欠5b’が設けられた構成である。コの字状ポイントシール部5a’のシール幅としては、2mm〜5mm程度が好ましく、加熱による内圧でスムーズにシール剥離できる。シール幅が2mm未満であると、シール強度が不安定となるので好ましくなく、5mmを超えると、電子レンジ加熱による内圧でスムーズにシール剥離しにくくなるので好ましくない。
【0026】
その他は第一実施形態と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】
図3は本発明に係る包装袋のその他の形態を示す平面図であって、図3(イ)〜(ハ)は四方シールタイプの包装袋、図3(ニ)〜(ヘ)は三方シールタイプの包装袋を示す。
図3(イ)〜(ハ)の四方シールタイプの包装袋は第二実施形態の蒸気抜き手段形成部5’を採用したものである。図3(イ)の斜めシール部は1つ設けられ、斜めシール部6は蒸気抜き手段形成部5’と上辺の端縁熱接着部2uとの間の主端縁熱接着部3から上辺の端縁熱接着部2uの右辺の端縁熱接着部2rの内縁との交点まで延びる斜線と端縁熱接着部2uと主端縁熱接着部3とで囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。図3(ロ)の斜めシール部は1つ設けられ、斜めシール部7は蒸気抜き手段形成部5’と主端縁熱接着部3の接点から端縁熱接着部形成予定部4の外縁に至る斜線と下辺の端縁熱接着部形成予定部4の外縁と主端縁熱接着部3で囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。図3(ハ)の斜めシール部は2つ設けられた例を示すものであり、斜めシール部6は蒸気抜き手段形成部5’と連接して形成され、蒸気抜き手段形成部5’の上部と接して端縁熱接着部2uの内縁と右辺の端縁熱接着部形成予定部4の内縁との交点まで延びる斜線と端縁熱接着部2uと主端縁熱接着部3と蒸気抜き手段形成部5’で囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成であり、斜めシール部7は主端縁熱接着部3の蒸気抜き手段形成部5’の下方から下辺の端縁熱接着部2dと右辺の端縁熱接着部形成予定部4の内縁との交点まで延びる斜線と主端縁熱接着部3と下辺の端縁熱接着部2dで囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。
【0028】
図3(ニ)〜(ヘ)は三方シールタイプの包装袋を示し、矩形状の1枚の積層体の熱接着性樹脂層面同士が対向するように半折して重ね合わせ右側に半折部8を設け、上辺、左辺、下辺の3辺に端縁熱接着部を形成し左辺を主端縁熱接着部3とし、下辺を端縁熱接着部形成予定部4とする構成であり、蒸気抜き手段形成部に第一実施形態の蒸気抜き手段形成部5を採用したものである。図3(ニ)の斜めシール部は1つであり、斜めシール部6は蒸気抜き手段形成部5の上部と接して上辺の端縁熱接着部2uの内縁と半折部8との交点まで延びる斜線と端縁熱接着部2uと主端縁熱接着部3と蒸気抜き手段形成部5で囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。図3(ホ)の斜めシール部は1つであり、蒸気抜き手段形成部5と主端縁熱接着部3の接点から下辺の端縁熱接着部形成予定部4の外縁まで延びる斜線と主端縁熱接着部3と下辺の端縁熱接着部形成予定部4の外縁で囲まれた略三角形状の領域にベタシールで形成された構成である。図3(ヘ)の斜めシール部は2つ設けられた例を示すものであり、斜めシール部6は図(ニ)の構成と同じであり、斜めシール部7は図3(ホ)に示す構成と同じである。
【0029】
本発明に係る包装袋は、上下および左右の4辺からなる形態であればよく、四方シール、三方シール等の平袋に好適なものである。また、蒸気抜き手段形成部が連接して形成される主端縁熱接着部は上下および左右の4辺のいずれかの端縁熱接着部に形成できるものであり、本発明の実施形態に限定されるものではない。斜めシール部は主端縁熱接着部から該主端縁熱接着部に隣接する2辺のうちの1辺または2辺に形成された端縁熱接着部まで延びるように形成されていればよく、主端縁熱接着部側を始点、端縁熱接着部側を終点とすると、始点、終点の位置は、内容量や内容物の種類により適宜設計すればよいものである。また、斜めシール部はベタシールが好ましいが、熱シワが材質により発生する場合には線シールあるいは、ベタシール部内に部分的に未シール部を設けて熱シワ緩和対策を付与してもよい。
【0030】
本発明に係る包装袋は、主端縁熱接着部から隣接する端縁熱接着部まで延びる斜めシール部を形成することを要旨とするものであり、主旨を逸脱しない範囲において、蒸気抜き手段形成部の構成は限定されるものではない。
【0031】
図4は本発明に係る包装袋1に内容物9を充填し端縁熱接着部形成予定部4で熱接着し端縁熱接着部4aを形成して密封した包装体1Aを電子レンジ加熱した際、発生した蒸気が蒸気抜き手段形成部5より蒸通した時の蒸気放散状態を説明する図であって、図1のC−C線に相当する断面図として示したものである。包装体1Aを電子レンジ加熱すると加熱により発生した蒸気の熱や内圧によりポイントシール部5aの隅部5dよりシール剥離後退し未シール部5cに達すると切欠5bより蒸気が放散され、蒸気抜き手段形成部5より自動開封される。
【0032】
次に、本発明の包装袋1、1’を形成する積層体10の構成材料について図1(ロ)、図2(ロ)を参照しながら説明する。積層体10は、図1(ロ)、図2(ロ)に示すように、基材層11、印刷層、接着層、中間層12、接着層、熱接着性樹脂層13を順次に積層するものである。中間層12は内容物や包装体の殺菌条件や包装体の輸送条件等を勘案して適宜設けるものであり、条件により省略できる層である。なお、印刷層、接着層は図示していない。
【0033】
基材層11としては、耐熱性を有し、通常、電子レンジによる加熱に耐えれるものであれば使用でき、限定されるものではない。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム等のいずれか、またはこれらを2以上を積層した複合フィルムが使用できる。また、基材層11の厚みは10μm〜50μm、好ましくは10μm〜30μm程度である。
【0034】
中間層12としては、基材層11で示したフィルムやエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が使用される。
【0035】
また、熱接着性樹脂層13を構成する樹脂は、通常、電子レンジによる加熱に耐えるものであれば使用できる。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマー等樹脂を使用できる。
【0036】
熱接着性樹脂層はこれらの樹脂を押出ラミネート法により形成しても良いし、予め、Tダイ法またはインフレーション法等により製膜したフィルムとして、基材層とドライラミネートあるいは押出ラミネート法等により積層しても良い。熱接着性樹脂層の厚さは、20μm〜100μm程度が好ましい。また、電子レンジ加熱によるポイントシール部の剥離後退は熱接着性樹脂層の凝集破壊が好ましい。
【0037】
また、熱接着性樹脂層の樹脂としては、とりわけ、低温時(0℃)および常温時(25℃)において十分なシール強度があり、電子レンジ加熱時(90℃以上)にシール強度が低く、速やかに剥離する性質を有する樹脂として、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものを使用することが好ましい。
【0038】
次に、基材層11と熱接着性樹脂層13、基材層11と中間層12と熱接着性樹脂層13との積層は押出ラミネーション法、ドライラミネーション法等の通常のラミネーション法により積層され、接着層とは押出ラミネーション法に使用されるポリオレフィン系樹脂等の接着樹脂層、ドライラミネーション法に使用される例えば、ウレタン系2液反応型接着剤等の接着剤層である。
【0039】
本発明の包装袋1、1’は、図1〜図3に示すように、前記積層体10を使用して、製袋することにより四方シールタイプや三方シールタイプの包装袋に製造することができる。その後、端縁熱接着部形成予定部4より内容物を充填し、該部4を熱接着して端縁熱接着部となし包装体1Aが製造される。
【0040】
次に、蒸気抜き手段形成部および斜めシール部の形成方法について説明する。蒸気抜き手段形成部および斜めシール部は製袋時に形成される。蒸気抜き手段形成部は、主端縁熱接着部3を形成する熱板と蒸気抜き手段形成部5または5’を形成する熱板を一体型とするシールバーを用いてヒートシールすることにより形成する。その後、所定の形状の斜めシール部型を有するシールバーを用いてヒートシールし斜めシール部を形成する。そして、所定の形状の金型で打抜いて切欠5bまたは5b’を形成する。以上のように蒸気抜き手段形成部と主端縁熱接着部を一体型としたシールバーと斜めシール部用のシールバーを新規に作製するだけで、新たな設備投資をすることなく一般の四方シールタイプ袋の製袋機や三方シールタイプ袋の製袋機を用いて製袋することができる。なお、形成する切欠5bまたは切欠5b’は、一方の積層体10に設けてもよいが図1、図2に示すように、2枚の積層体10を貫通するように設ける方が製袋し易く生産性が向上するので好ましい。また、図示していないが製袋時に包装袋にノッチを設けて電子レンジ加熱後の包装体に易開封性を付与しておく方が好ましい。
【0041】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に説明する。
【実施例1】
【0042】
厚さ12μmのアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、15μmの延伸ナイロンフィルム、60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをウレタン系2液反応型接着剤でドライラミネートした積層体で、図1に示すような本発明に係る斜めシール6、7および蒸気抜き手段形成部5を備えた包装袋1(外寸法、上下辺間の高さ:175mm、左右辺間の幅:125mm、端縁熱接着部のシール幅:10mm)を作製した。斜めシール部6は端縁熱接着部2uの左右方向の長さの中間位置と蒸気抜き手段形成部5の上右隅部とを結ぶ斜線と蒸気抜き手段形成部5の上部と主端縁熱接着部3の内縁と端縁熱接着部2uの内縁で囲まれた領域にベタシールで設け、斜めシール部7はa:65mm、b:15mmとする略三角形領域にベタシールで設けた。また、蒸気抜き手段形成部5は、ロの字状ポイントシール部5a、未シール部5c、切欠5bの寸法をc:25mm、d:15mm、e:3mm、切欠の直径:5mmφとして上辺から30mmの位置に設けた。
【0043】
上記で得られた包装袋1に、内容物として、市販のカレー210gを入れ、端縁熱接着部形成予定部4をシールして密封し包装体1Aを作製後、120℃で30分間レトルト処理したものを、出力500W電子レンジで加熱した結果、経時につれて蒸気抜き手段形成部5側が高い位置となり蒸気抜き手段形成部5を有する主端縁熱接着部3に対向する辺側にかけて傾斜を生じ、カレーが蒸気抜き手段形成部5を有する主端縁熱接着部3に対向する辺側に移動し、蒸気抜き手段形成部5近傍にはカレーのない空間ができ、約1分20秒後に切欠5bから蒸気が速やかに抜け、内容物の噴き零れもなく、調理することができた。また、電子レンジから取り出す際に、斜めシール部6が形成されたベタシール部分を摘むことにより火傷することなく安全に取り出すことができた。
【実施例2】
【0044】
実施例1で作製した積層体を用いて図2に示すような本発明に係る包装袋1’を作製し、実施例1と同様に包装体を作製した。実施例1との違いは、斜めシール部6のみ1つとし、蒸気抜き手段形成部をコの字状ポイントシール部5a’とし、切欠5b’を未シール部5c’内に形成し、端縁熱接着部形成予定部4を右辺に設けたことであり、その他は実施例1と同じとした。
【0045】
実施例2の包装体も実施例1の包装体と同様に電子レンジ加熱しても切欠5b’から蒸気が速やかに抜け、内容物の噴き零れもなく、調理することができた。
【0046】
[比較例1]
実施例1と同様の積層体を用いて、図1に示すような、蒸気抜き手段形成部5のみを設け、斜めシール部6、7を省いた構成とした。その他は実施例1と同じとした。
【0047】
[比較例2]
実施例1と同様の積層体を用いて、図2に示すような、蒸気抜き手段形成部5’のみを設け、斜めシール部6を省いた構成とした。その他は実施例2と同じとした。
【0048】
比較例1、2で得られた包装体を実施例1、2と同様に120℃で30分間レトルト処理した後、蒸気抜き手段形成部を上にした状態で、出力500W電子レンジで加熱した結果、約1分20秒後に切欠から蒸気が速やかに抜けたが、同時に内容物の噴き零れが発生し、カレーが飛び散り電子レンジ内を汚した。
【符号の説明】
【0049】
1、1’ 包装袋
1A 包装体
2、2u、2d、2r、4’ 端縁熱接着部
3 主端縁熱接着部
4 端縁熱接着部形成予定部
5、5’ 蒸気抜き手段形成部
5a、5a’ ポイントシール部
5b、5b’ 切欠
5c、5c’ 未シール部
5d 隅部
6、7 斜めシール部
8 半折部
9 内容物
10 積層体
11 基材層
12 中間層
13 熱接着性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下および左右の4辺からなり、少なくとも3辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記端縁熱接着部のいずれかが主端縁熱接着部とされ、前記主端縁熱接着部に連接または近接して蒸気抜き手段を備えた蒸気抜き手段形成部が形成された包装袋であって、前記主端縁熱接着部から該主端縁熱接着部に隣接する上下の2辺または左右の2辺のうちの少なくともいずれか1辺に形成された前記端縁熱接着部まで延びる斜めシール部が形成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記斜めシール部が前記蒸気抜き手段形成部に連接して形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記主端縁熱接着部が形成された1辺に隣接する上下の2辺または左右の2辺の端縁に端縁熱接着部が形成され、前記斜めシール部が、前記主端縁熱接着部から前記上下の2辺または左右の2辺に形成された前記端縁熱接着部まで相互に拡開して延びる2つの斜めシール部で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記斜めシール部が、前記主端縁熱接着部および該主端縁熱接着部と隣接する前記端縁熱接着部に連接する領域にベタシールで形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−153406(P2012−153406A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14768(P2011−14768)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】