説明

包餡米飯およびその製造方法

【課題】餡となる具材が流動性のある具材であっても、その具材が米飯から漏れでないように包餡された包餡米飯が望まれていた。
【解決手段】具材2を半搗き米飯3で包餡し、その半搗き米飯3をさらに全粒米飯4で包んだことを特徴とする具材入りおにぎり1である。
【効果】流動性のある具材を良好に包餡でき、米の食感の良いおにぎりを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包餡米飯、すなわち具材入りのおにぎり様食品およびその製造方法に関するものであり、特に、具材である餡が、カレーや半熟卵などの流動性のあるものであっても、良好に包餡されている包餡米飯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のおにぎりでは、具材は固形物に限られていた。具材を流動性のあるものとした場合、米飯の隙間から具材が漏れ出し、商品価値が著しく低下するからである。
そこで、特許文献1では、惣菜類を餅類で包んだ米食が提案されている。特許文献1に記載の惣菜餅は、惣菜類を餅類で包んだ米食で、米を粘性、展性に富む餅類またはだんご生地として惣菜類を包むことが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、カレーおにぎりが提案されている。特許文献2に記載のカレーおにぎりは、カレーを冷凍してオブラートで包み、それを芯にしたおにぎりを作るというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−53286号公報
【特許文献2】特開平4−99455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のものは、具材を包む外皮が餅またはだんご生地であるので、その食感が米飯であるおにぎりとはかけ離れたものである。このため、おにぎりを食べたい者にとっては所望するおにぎりとは言い難い。
特許文献2に開示されたカレーおにぎりでは、オブラートは食物澱粉でできているので、このカレーおにぎりを食べる時に違和感がないと説明されているが、オブラートの食感を良好にすべく、改善の余地が十分にある。
【0006】
この発明は、このような背景のもとになされたもので、餡となる具材が流動性のある具材であっても、その具材が米飯から漏れ出ないように包餡された包餡米飯を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、手軽に食することができ、食感の良好な流動物包餡米飯を提供することを他の目的とする。
【0007】
この発明は、さらに、流動物包餡米飯の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、具材を半搗き米飯で包餡し、その半搗き米飯をさらに全粒米飯で包んだことを特徴とする包餡米飯である。
具材を半搗き米飯で包餡する際、請求項2記載のように、具材を半搗き米飯で1次包餡し、その1次包餡した半搗き米飯の周囲をさらに半搗き米飯で包み、さらにその周囲を全粒米飯で包んだ構成としてもよい。
【0009】
これら包餡米飯を作る際には、精米した米を予め2〜3個に分割し、そのまま炊き上げた米飯を使用することにより、より粒感を残しつつ包餡することもできる。
餡となる具材には、炊きあげた米飯が10〜90%の範囲で予め混合されていてもよい(請求項3)。かかる構成とすることにより、餡に米の食感を与えつつ、流動性の高い具材を使用することが可能となる。
【0010】
この発明の包餡米飯の製造方法は、請求項4に記載の通りの
米を炊飯して米飯を生成する工程と、
前記米飯生成工程と併行して、餡となる具材を生成する工程と、
前記米飯の一部を半搗き米飯とし、当該半搗き米飯で具材を包む工程と、
具材を包んだ半搗き米飯をさらに前記炊きあげた全粒米飯によって包む工程と、
具材が半搗き米飯および全粒米飯で二重包餡された包餡米飯を包装材で個包装する工程と、
個包装された包餡米飯を急速冷凍する工程と、
を含むことを特徴とする包餡米飯の製造方法である。
【0011】
上記製造方法において、具材を半搗き米飯で包む際には、半搗き米飯の温度が30℃を下回らないことが望ましい。半搗き米飯の温度が低いと半搗き米飯の粘性が少なくなり、具材を良好に包餡できなくなることがあるからである。
また、具材としては、半熟卵、カレー、麻婆豆腐などの流動性のある具材を用いることができる。流動性のある具材は、具材単品を餡としてもよいし、具材に炊きあげた米飯を10〜90%の範囲で混合したものを餡としてもよい。具材に米飯を混合することで、具材に米の食感を与えつつ、具材の流動性を調製することができ、具材の包餡がより良好に行える。
【0012】
個包装された包餡米飯を急速冷凍する際には、たとえば−35℃程度で急速冷凍するのが好ましい。急速冷凍された包餡米飯は、電子レンジによって解凍することにより、素早く美味しく調理することができる。
なお、急速冷凍をせずに、チルド状態で包餡米飯の保存、流通を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、流動性のある具材が良好に包餡された米の食感の良いおにぎり(包餡米飯)を提供することができる。
また、この発明の包餡米飯を、たとえば茶碗に入れて電子レンジで解凍することにより、周囲の米飯を箸等で割りくずした際に、中の具材(餡)がとろけ出る、新食感の包餡米飯を提供することができる。たとえば、餡として、半熟卵が包餡された包餡米飯の場合、上述のように茶碗に入れて解凍し、食べる際に箸等で米飯を割りくずすことにより、中から卵がトロリと溢れ出す卵かけご飯感覚の新規な包餡米飯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る包餡米飯としての具材入りおにぎりの図解的な斜視図である。
【図2】図2は、包餡米飯の製造方法を工程毎に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の具体的な実施形態について説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る包餡米飯としての具材入りおにぎりの図解的な斜視図であり、その内部がわかるように一部断面で示されている。
具材入りおにぎり1は、そのセンター部2に、半熟卵、カレー、麻婆豆腐その他の流動性のある具材が閉じ込められている。具材であるセンター部2の周囲は、半搗き米飯3で覆われている。半搗き米飯は、その名の通り、炊きあげた米飯が包餡機に備えられた供給機構(ニーダー)により適度に練り上げられることによって形成された粘性のある米飯であって、流動物も漏れることなく包餡可能なものである。
【0016】
この実施形態に係る具材入りおにぎり1は、具材であるセンター部2の周囲が半搗き米飯3で包まれており、さらにその半搗き米飯3が全粒米飯4で包まれておにぎり形状とされたものである。
具材入りおにぎり1の外観形状は、図1に示すいわゆる三角おにぎり形状であってもよいし、ボール状の丸形おにぎりであってもよいし、あるいは俵形おにぎり形状であってもよく、任意の形状であればよい。
【0017】
センター部2の具材は、種々のものを餡とすることができるが、流動性の高い具材の場合、たとえばスープなどの液体に近い具材の場合には、炊きあげた米飯を10〜90%の範囲で予め混合してもよい。センター部2を構成する具材に炊きあげた米飯を混合することにより、センター部2に米の食感を与えつつ、流動性の高い具材を包餡することが可能である。
【0018】
図2は、包餡米飯の製造方法を工程毎に示すフロー図である。
図2を参照して、この発明の一実施形態に係る包餡米飯の製造方法について説明をする。
まず、米および水を準備し(ステップS1)、米に水を浸漬させる(ステップS2)。米が水を吸った後、炊飯を行う(ステップS3)。
【0019】
炊飯工程と併行して、具材を準備する(ステップS21)。具材としては、流動性のあるものを用いることが可能である。
なお、具材が流動性の高い具材の場合、ステップS3で炊きあげた米飯を、ステップS22において、予め具材に混合する工程が行われてもよい。
ステップS3で炊きあがった米飯は、次いでその一部が半搗き米飯とされる(ステップS4)。半搗き米飯は、特別に半搗き米飯の生成工程を設けてもよいし、米飯の一部を包餡機へ供給する際に、その供給機構(ニーダー)により適度に練り上げられ、半搗き米飯が生成されるようにしてもよい。
【0020】
この実施形態では、ステップS4で生成された半搗き米飯により、具材が1次包餡される(ステップS5)。具材の包餡は包餡機によって自動で行われる。
包餡機により、具材が半搗き米飯で1次包餡された後、さらに半搗き米飯で2次包餡する製造方法を採用してもよい(ステップS6)。具材を半搗き米飯で1次包餡し、さらにその半搗き米飯で1次包餡されたものを半搗き米飯で2次包餡する方法を採用することにより、センター部2の具材が流動性の高いものであっても、外部に漏れ出すことを確実に防止することができる。
【0021】
なお、ステップS5またはステップS6において、半搗き米飯によって具材を1次包餡する場合、または2次包餡する場合において、半搗き米飯の温度は30℃を下回らないことが望ましい。半搗き米飯の温度がこの温度より低いと、半搗き米飯の粘性が少なくなり、流動性のある具材を良好に包餡できなくなる恐れがあるからである。
そして半搗き米飯で一次包餡された食品、または2次包餡された食品は、ステップS3で炊きあげられた全粒米飯で周囲がくるまれる。すなわち包餡機を用い、全粒米飯による包餡が行われる(ステップS7)。これにより、図1で示した具材入りおにぎり1が形成される。
【0022】
形成された具材入りおにぎり1は、自動包装機で個包装がされる(ステップS8)。そして個包装された具材入りおにぎりは、たとえば−35℃の温度で急速冷凍される(ステップS9)。そしてその後化粧箱詰めされ(ステップS10)、ダンボール詰めされて(ステップS11)、出荷される。
以上のようにして製造された包餡米飯は、冷凍されており、長期保存が可能である。そして、食する際には、電子レンジにて解凍することにより、素早く美味しく調理することができる。たとえば個包装を剥がした包餡米飯を茶碗に入れ、電子レンジで解凍することにより、内部に卵が包まれた温かな米飯を得ることができる。それゆえこれを箸等でくずしながら、醤油等をたらして食することにより、手軽に美味しい卵かけご飯感覚の食品を得ることができる。
【0023】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 具材入りおにぎり
2 センター部(餡または具材)
3 半搗き米飯
4 全粒米飯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材を半搗き米飯で包餡し、その半搗き米飯をさらに全粒米飯で包んだことを特徴とする包餡米飯。
【請求項2】
具材を半搗き米飯で1次包餡し、その1次包餡した半搗き米飯をさらに半搗き米飯で包み、さらにその周囲を全粒米飯で包んだことを特徴とする、包餡米飯。
【請求項3】
餡となる具材には、炊きあげた米飯が10〜90%の範囲で予め混合されていることを特徴とする、請求項1または2記載の包餡米飯。
【請求項4】
米を炊飯して米飯を生成する工程と、
前記米飯生成工程と並行して、餡となる具材を生成する工程と、
前記米飯の一部を半搗き米飯とし、当該半搗き米飯で具材を包む工程と、
具材を包んだ半搗き米飯をさらに前記炊きあげた全粒米飯によって包む工程と、
具材が半搗き米飯および全粒米飯で二重包餡された包餡米飯を包装材で個包装する工程と、
個包装された包餡米飯を急速冷凍する工程と、
を含むことを特徴とする包餡米飯の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−239940(P2010−239940A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95391(P2009−95391)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】