説明

化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための方法、および装置

【課題】化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法を改善すること。
【解決手段】第1の信号と第2の信号とを準備し、少なくとも該第1の信号をある増幅率で増幅する、準備ステップ(402)と、測定流体が与えられる化学感応性電界効果トランジスタ(110)に該第1の信号を供給することにより出力情報が得られ、基準環境内にある参照用トランジスタ(114)に該第2の信号を供給することにより参照情報が得られる、供給ステップ(404)と、該出力情報と該参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて該増幅率を適合する、比較ステップ(406)と、該測定値を得るために、該増幅率を評価する、評価ステップ(408)とを有する、化学感応性電界効果トランジスタ(110)の測定値を求める方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行技術
本発明は、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置、および、対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質を感知するセンサでは、出力信号は、試料または分析対象の媒質に含まれる該化学物質の濃度に依存する。しかし、この化学物質を感知するセンサが出力する信号は、濃度を表す絶対的な信号ではなく、むしろこの信号には、持続的でありかつ顕著でない(schleichend)変化またはドリフトが生じる。このような変化またはドリフトに対応するために、別のセンサを参照用センサとして使用することができる。理想的には、この参照用センサに生じる経時変化プロセスおよび環境の影響は、前記センサに生じる経時変化プロセスおよび環境の影響と同じであり、よって、参照用センサの変化またはドリフトは前記センサと同じである。センサの信号と参照信号とから、試料中の化学物質の濃度を推定することができる。
【0003】
US6703241B1に、複数のセンサの構成体を備えた人工嗅覚装置において信号ドリフトを低減させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US6703241B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術を背景として、本発明の課題は、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、独立請求項に記載された、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法を開示し、さらに、独立請求項に記載された、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置と、最後に、これに対応するコンピュータプログラム製品とを開示する。各従属請求項および明細書の以下の記載から、有利な実施形態を導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置の回路図である。
【図2】本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置の回路図である。
【図3】本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置の回路図である。
【図4】本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
試料中の物質を測定するためにセンサと参照用センサとを使用することにより、不確実な信号が出力されるが、この信号の不確実さは、制御回路を使用し、かつ、制御回路の制御器から出力された信号を使用することによって補償できるという認識が、本発明の基礎となっている。この信号はノイズを含み、とりわけ低周波の場合、いわゆる1/fノイズが優勢となる。さらに、測定対象である物質の濃度が変化することによって生じる信号の変化は、信号全体のレベルと比較して最小限のみであることが多い。それゆえ、測定結果を求めるために有利なのは、間接的なパラメータを使用することであり、たとえば、前記信号と直接関連する制御されるフィードバック値を使用することにより、実際の測定結果を推定することができる。制御器パラメータを適切に選択することにより、前記フィードバック値は前記信号を高精度で、無視できる程度の偏差で表すことができる。また、フィードバック値の電圧領域を完全に利用することもできるようになり、このことにより、高い測定精度で濃度を表すことができる。
【0009】
化学感応性電界効果トランジスタ方式の化学センサの測定感度は、信号雑音比を改善し周辺影響を低減するための本発明の手段によって、低コストで改善することができる。
【0010】
化学センサは、2つの化学感応性電界効果トランジスタ(ChemFET)と、このChemFETの出力でタイミング同期される差分測定を行うための本発明の回路とから構成することができる。有利には、ChemFET方式の化学センサの信号の測定における根本的な問題を、1つの簡単な回路によって解決することができる。本発明により、本来の測定信号であるチャネル電流の変化が、バックグラウンド信号であるチャネル電流より小さいオーダになってしまうという問題を簡単に解決することができる。さらに、測定帯域幅を縮小することにより、信号雑音比を改善することもできる。本発明の回路は、「スイッチングバイアス」(switched biasing)ノイズ抑圧と併用することができる。
【0011】
本発明は、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法を開示するものであり、該方法は以下のステップを有する:
第1の信号と第2の信号とを準備し、少なくとも該第1の信号をある増幅率で増幅する準備ステップ。
測定流体が供給される前記化学感応性電界効果トランジスタに前記第1の信号を供給することにより出力情報が得られ、基準環境内にある参照用トランジスタに第2の信号を供給することにより参照情報が得られる供給ステップ。
前記出力情報と前記参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて前記増幅率を適合する、比較ステップ。
前記測定値を得るために、前記増幅率を評価する、評価ステップ。
【0012】
本発明はさらに、化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置を開示するものであり、該装置は以下の構成を有する:
第1の信号と第2の信号とを準備するための、準備装置。少なくとも、前記第1の信号はある増幅率で増幅される。
出力情報を得るために、測定流体が供給される前記化学感応性電界効果トランジスタに前記第1の信号を供給し、かつ、参照情報を得るために、基準環境内にある参照用トランジスタに第2の信号を供給するための、供給装置。
前記出力情報と前記参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて前記増幅率を適合するための、比較装置。
前記測定値を得るために、前記増幅率を評価するための、評価装置。
【0013】
本発明の実施形態は装置としても、本発明の基礎となる課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0014】
測定値とは、測定流体中の測定対象である物質の濃度を表すものを意味することができ、たとえば、前記測定値を電流または電圧とすることができる。その際には、この電流または電圧の値が前記濃度を表す。また、前記測定値はデータワードとすることができる。その際には、値(ビット)の列が濃度を表す。化学感応性電界効果トランジスタは半導体素子とすることができ、たとえば、化学感応性電界効果トランジスタはソースコンタクトとドレインコンタクトとゲート電極とを有することができ、該ゲート電極は、特別な電気化学的特性および/または触媒特性を有する電極とすることができる。このことにより、測定流体中の測定対象である物質の検出対象である分子または原子と、測定対象である物質の、ゲート電極に吸着した分子または原子との間の平衡状態が、該ゲート電極における電位に影響を与えることができる。電圧を印加することによっても、ゲート電極における電位を変化させることができる。ゲート電極における電位は、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間のチャネル電流に影響を与えることができる。このチャネル電流は、測定流体中の測定対象である物質の濃度を表すことができる。このチャネル電流は、電位の変化に依存しない成分を含むことができる。第1の信号は電圧とすることができ、第2の信号を電圧とすることができる。前記第1の信号または該第1の信号から導出される信号の供給は少なくとも、前記化学感応性電界効果トランジスタのゲート電極にて行うことができ、前記第2の信号または該第2の信号から導出される信号の供給もまた、少なくとも、前記参照用トランジスタのゲート電極にて行うことができる。前記第1の信号の供給は、前記化学感応性電界効果トランジスタのドレインコンタクトでも行うことができ、第2の信号の供給もまた、参照用トランジスタのドレインコンタクトでも行うことができる。増幅率は、前記第1の信号の電圧のレベルに影響を与えることができる。前記第2の信号を別の増幅率で増幅することができる。前記別の増幅率は、参照電位を基準として前記増幅率に対して反転した増幅率とすることができる。この場合にはたとえば、第1の信号の振幅をより大きくし、第2の信号の振幅をより小さくすることができる。出力情報は前記チャネル電流を表すことができ、たとえば前記出力情報は、分流抵抗等である測定抵抗における電圧降下とすることができる。
【0015】
参照用トランジスタは半導体素子とすることができ、たとえば参照用トランジスタは、ソースコンタクトとドレインコンタクトとゲート電極とを有する電界効果トランジスタとすることができ、該ゲート電極は、特別な電気化学的特性および/または触媒特性を有する電極とすることができる。前記参照用トランジスタが電気化学的特性および/または触媒特性を有さない場合、基準環境として前記測定流体を該参照用トランジスタにも供給することができ、および/または、前記化学感応性電界効果トランジスタがさらされるのと同じ環境条件にさらすために、該参照用トランジスタを同一の支持部材に配置することができる。この構成により、測定流体中の濃度の変化によって参照情報が変化することがなくなる。たとえば、前記参照用トランジスタはパッシベーション層を有することができる。すなわち、参照用トランジスタがたとえばパッシベーションされている場合、該参照用トランジスタを同じ測定環境内に置くことができる。というのも、パッシベーション層によって、測定環境から分離された基準環境が形成されるからである。前記参照用トランジスタが電気化学的特性および/または触媒特性を有する場合、たとえば、該参照用トランジスタを、基準環境である参照流体にさらすことができる。前記参照流体は、既知の濃度の、測定対象である物質を含むことができる。環境条件が同じまたは類似する場合、参照信号は、前記参照流体中の測定対象である流体の濃度を表す。評価は、公知のアルゴリズムを用いた計算とすることができ、また評価を、測定値を得るための格納されたテーブルを用いて求めることとすることもできる。
【0016】
ここで、装置とは、センサ信号を処理し、処理したセンサ信号に依存して制御信号を出力する電子機器を含むことができる。前記装置はインタフェースを有することができ、このインタフェースは、ハードウェアおよび/ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで実現される場合には、インタフェースはたとえば、前記装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部とすることができる。しかし、インタフェースは独立した集積回路であることも、少なくとも部分的にディスクリート素子から構成されていることも可能である。ソフトウェアで構成される場合、上記のインタフェースは、例えばマイクロコントローラ上に別のソフトウェアモジュールと並列して設けられるソフトウェアモジュールとすることができる。
【0017】
さらに、前記比較ステップにおいて、前記出力情報と前記参照情報とが適合(angleichen)されるように前記増幅率を適合することができる。この増幅率の適合では、前記出力情報が前記参照情報に相当するように少なくとも前記第1の信号を適合することができる。その際には前記増幅率を、測定流体中の測定対象である物質の濃度を表す測定値と見なすことができる。このことにより、出力情報のうち濃度に起因しない成分を除去することができる。
【0018】
さらに、本発明の方法は較正ステップを含むことができる。この較正ステップでは、前記化学感応性電界効果トランジスタと前記参照用トランジスタとが較正環境内におかれる。較正環境は既知の環境条件を有することができ、この既知の環境条件で、前記出力信号の少なくとも1つの期待値、または該出力信号および前記参照信号の期待値を格納することができる。たとえば、測定対象である物質の濃度を既知とすることができる。またたとえば、前記較正環境内に前記測定対象である物質は含まれない。また、前記較正環境における前記測定対象である物質の割合を既知とすることもできる。このことにより、前記出力信号および前記参照信号が前記少なくとも1つの期待値に相当するように、前記増幅率を調整することができる。前記較正は少なくとも1つの動作点において、前記化学感応性電界効果トランジスタの測定値を保証することができる。
【0019】
さらに前記準備ステップにおいて、該第1の信号の振幅を交番振幅とし、該第2の信号を、参照電位を基準として該第1の信号に対して反転した信号として準備することができ、前記比較ステップにおいて、該第1の信号または第2の信号を使用して、前記出力情報と前記参照情報とを比較することができる。振幅とは信号の実際の値を指すことができ、たとえば信号の電圧値を指すことができる。交番振幅により、化学感応性電界効果トランジスタおよび参照用トランジスタを複数の異なる動作点で動作させることができる。前記出力情報および前記参照情報を適切に評価するためには、前記第1の信号または前記第2の信号を補助パラメータとして使用するか、またはタイミング信号として使用することができる。前記第2の信号が、前記第1の信号に対して反転した信号である場合、前記化学感応性電界効果トランジスタが量を測定しない場合には前記参照用トランジスタは量を測定することができ、またその逆が可能である。
【0020】
さらに、前記供給ステップにおいて、前記第1の信号が第1の振幅を有する場合には、前記出力情報は前記測定流体中の少なくとも1つの物質の濃度を表すことができ、前記第1の信号が第2の振幅を有する場合には、前記化学感応性電界効果トランジスタのゲート電極の電位の変化および/またはチャネルの反転が行われる。その際には、前記第1の振幅は前記第2の振幅と異なることができ、たとえば、前記ゲート電極に低い電圧を印加した場合、前記化学感応性電界効果トランジスタの半導体基板内において空孔を再生することができる。とりわけ、前記第1の信号と前記第2の信号とが参照電位を基準として反転している場合、前記参照用トランジスタが測定を行っている間、前記化学感応性電界効果トランジスタは再生することができる。
【0021】
さらに本発明の方法は、前記出力情報と前記参照情報とを含む全体情報を生成する統合ステップを有することもでき、その際には前記比較ステップにおいて、前記出力情報を表す第1の部分と、前記参照情報を表す第2の部分とに、前記全体情報を分離することができる。前記化学感応性電界効果トランジスタが再生する間は、前記出力情報は測定関連の成分を含まない。全体情報はたとえば、前記出力情報と前記参照情報との和とすることができる。また、前記全体情報は、前記出力情報と前記参照情報とを交互に表すこともできる。その際には、タイミング信号に応答して前記出力情報と前記参照情報とに切り換えることができる。このことにより、参照情報を伝送するための別個の伝送線路を削減し、前記出力情報を伝送するための伝送線路を共用することができる。その際には、前記比較ステップにおいて前記タイミング信号に応答して前記全体信号中の複数の成分を簡単に分離することができる。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態では、前記評価ステップにおいて増幅情報に応じて前記増幅率に影響を与えると有利である。増幅情報はたとえば、(外部の)制御装置からの信号とすることができる。前記増幅率に影響を与えることは、前記比較ステップにおいて該増幅率が適合された後に該増幅率を変化させることとすることができる。このことによってたとえば、別の測定領域において測定するために前記化学感応性電界効果トランジスタの感度を変化させるように、該化学感応性電界効果トランジスタに影響することができる。
【0023】
また前記準備装置は、該第1の信号および該第2の信号を出力するように構成されたタイミングジェネレータと、該第1の信号を前記増幅率で増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器とを含むことができる。さらに前記供給装置は、前記第1の信号または該第1の信号から導出された信号を前記化学感応性電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲート電極および/またはソース電極において印加するように構成することもできる。また、前記供給装置は、前記第2の信号または該第2の信号から導出された信号を前記参照用トランジスタの少なくとも1つのゲート電極および/またはソース電極において印加するように構成することもできる。さらに、前記出力情報は前記化学感応性電界効果トランジスタのドレインコンタクトとソースコンタクトとの間に流れる電流を表すことができ、前記参照情報は前記参照用トランジスタのドレインコンタクトとソースコンタクトとの間に流れる電流を表すことができる。さらに、前記比較装置は制御器を含むことができる。タイミングジェネレータは、周期的なタイミングを出力するように構成することができる。その際には、タイミング信号をたとえばバイナリ方式で、方形波信号の形態で出力することができる。また前記タイミング信号は、最小値と最大値との間で振動する信号とすることもできる。個別部品を使用して、本発明の基礎となる課題を迅速かつ効率的に解決することもできる。
【0024】
また、コンピュータに相当する機器上でプログラムを実行させるときに本発明の方法の上述の実施形態を実施するために使用される、該プログラムのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品も有利である。このコンピュータプログラム製品は、たとえば半導体メモリ、ハードディスク記憶装置または光学式記憶装置等である機械読み取り可能な担体上に記憶することができる。
【実施例】
【0025】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例をより詳細に説明する。
【0026】
本発明の有利な実施例を以下で説明するにあたり、異なる図中で示され同様の機能を有する要素には同一または同様の参照符号を使用しており、このような要素の説明を繰り返すことは省略する。
【0027】
化学感応性電界効果トランジスタ(ChemFET)は、気相または液相の分析物を測定するための新たな技術である。この化学感応性電界効果トランジスタでは通常、検出対象である被検種をトランジスタゲートに供給することによりゲート電極の電位が変化し、このゲート電極の電位の変化により、トランジスタのチャネル電流が変化する。電界効果トランジスタのチャネル電流は、選択された動作点において、被検種が供給されることによって生じるチャネル電流の変化より数オーダ高くなることが多い。このことにより、電流測定に厳しい要求が課される。外乱影響はたとえば温度変化またはセンサ劣化であり、これらによってチャネル電流が変化し、被検種の存在に起因するものではない。外乱影響を補償するためにはたとえば、検出対象である物質に比して感応性を有さない参照用トランジスタを使用することができる。有利には、前記参照用素子の半導体構造、幾何学的寸法および電気的特性は、測定センサとして機能する電界効果トランジスタの半導体構造、幾何学的寸法および電気的特性と同じである。これら双方の電界効果トランジスタが空間的に僅かに分離されている場合にはさらに、良好な熱結合が実現される。このことはたとえば、両素子を1つのチップ上に集積することによって実現される。その際には理想的には、測定センサとして機能する電界効果トランジスタと参照用素子として機能する電界効果トランジスタとのチャネル電流の差が、検出対象である物質の存在にのみ起因するようになる。こうするためには、両電界効果トランジスタが受ける外乱影響を同じにしなければならない。電界効果トランジスタではさらに、たとえばチャネルノイズや1/fノイズ等である内因的な妨害影響も発生する。このような内因的な妨害影響は、参照用センサと測定センサとで異なる場合があるため、上述のように補償することができない。信号雑音比(SNR)を改善するための一手段として、測定帯域幅を縮小する手段がある。特に小さい測定帯域幅を実現するためには、たとえばロックイン増幅器を使用する。さらに、FETを使用する場合にはいわゆる「スイッチングバイアス」により、物理的な原因に直接影響を与えることによって1/fノイズを所期のように低減することができる。その際には、方形波の交流電圧を用いるか、ないしは駆動制御電圧を反転スイッチングまたはスイッチオフすることにより、トランジスタを駆動制御する。このようにして、トランジスタは2つの異なる動作点で交互に動作し、すなわち、大きな積算と大きな反転とで交互に動作し、このことによって局所的な欠陥の影響が低減する。
【0028】
図1は、本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求めるための装置100の回路図である。装置100は、タイミング信号を出力するためのタイミングジェネレータ102を有する。タイミングジェネレータ102は第1の出力端と第2の出力端とを有し、該タイミングジェネレータ102は、該第1の出力端において第1のタイミング信号を出力し、また、参照電位を基準として該第1のタイミング信号に対して反転した第2のタイミング信号を該第2の出力端において出力するように構成されている。前記タイミングジェネレータ102の第1の出力端は、第1の可変増幅器104の増幅器入力端に接続されており、該タイミングジェネレータ102の第2の出力端は、第2の可変増幅器106の増幅器入力端に接続されている。前記第1の可変増幅器104および前記第2の可変増幅器106は、各増幅器入力端においてそれぞれ信号を、ここではタイミング信号を受け取り、該信号をある増幅率で増幅し、各増幅器出力端において出力するように構成されている。こうするために、前記可変増幅器104および106はそれぞれ、増幅率を受け取るための制御入力端を有する。前記第1の可変増幅器104の増幅器出力端は第1の抵抗R 108を介して前記化学感応性電界効果トランジスタ110(CF Mess)のドレインコンタクトDに接続されている。前記第2の可変増幅器106の増幅器出力端は第2の抵抗R 112を介して第2の化学感応性電界効果トランジスタ114(CF Ref)のドレインコンタクトDに接続されている。化学感応性電界効果トランジスタ110は、測定流体中の少なくとも1つの所定の分析物を検出するように構成されており、第2の化学感応性電界効果トランジスタ114は、参照流体中の少なくとも1つの所定の分析物を検出するように構成されている。第2の化学感応性電界効果トランジスタが参照流体中の分析物を検出しないように構成することも可能である。CF Mess 110のソースコンタクトSは接地されている。CF Ref 114のソースコンタクトSも同様に接地されている。CF Mess 110のゲート電極Gは、測定流体の所定の分析物の種の吸着により、電界効果トランジスタ110の電位に影響を与え、このことにより、CF Mess 110のソースコンタクトSとドレインコンタクトDとの間のチャネル電流に影響を与えるように構成されている。CF Ref 114のゲート電極Gは、参照流体の所定の分析物の種の吸着により、電界効果トランジスタ114の電位に影響を与え、このことにより、CF Ref 114のソースコンタクトSとドレインコンタクトDとの間のチャネル電流に影響を与えるように構成されている。動作点に調整するため、前記化学感応性電界効果トランジスタ110,114のゲート電極Gに制御電圧によってバイアスをかけることができる。このことは図1には示されていない。演算増幅器120の反転入力端が抵抗116を介してCF Mess 110のドレインコンタクトDに接続されている。演算増幅器120の反転入力端は、抵抗118を介してCF Ref 114のドレインコンタクトDにも接続されている。この演算増幅器120は、前記反転入力端と、正入力端(すなわち非反転入力端)と、出力端とを有する。前記演算増幅器120の非反転入力端は接地されている。抵抗122が、(演算増幅器120に対して並列に)演算増幅器120の反転入力端と出力端とに接続されている。演算増幅器120と抵抗122とが組み合わさって、反転加算器124を構成する。前記反転加算器124の出力端は、反転増幅器126またはインバータ126の入力端に接続されている。インバータ126の出力端は同期復調器128の入力端に接続されている。
【0029】
さらに、前記反転加算器124に信号を供給するためにより簡単な回路ないしは構成を使用することも考えられる。図1に破線で、この回路ないしは構成を示す。この構成では、抵抗108および112の電圧が、抵抗116および118と抵抗Rとに流れる電流としてまとめられる。この抵抗Rは、抵抗116および118間の接続点と、接地電位接続端との間に接続されている。このような構成により、容量より前の加算点(すなわち接続点)における電圧Vが、抵抗108における電圧と抵抗112における電圧との和となる。キャパシタ(すなわち容量)Cは直流成分を分離する。この場合、演算増幅器120は図1と異なり、増幅率が1である正の増幅器(すなわちインピーダンス変換器)として動作するか、または1を超える正の増幅器として動作する。この場合、インバータ126も図1と異なって省略される。
【0030】
同期復調器128はさらに、タイミング入力端と第1の出力端と第2の出力端とを有する。同期復調器128のタイミング入力端は前記タイミングジェネレータ102のタイミング出力端に接続されている。同期復調器128は、タイミング入力端に入力されたタイミング信号に同期して、入力端に入力された信号を第1の信号成分と第2の信号成分とに分離し、該第1の信号成分を第1の出力端において出力し、該第2の信号成分を第2の出力端において出力するように構成されている。前記同期復調器128の第1の出力端は抵抗130を介して積分比較器132の負入力端に接続されており、該同期復調器128の第2の出力端は別の抵抗130を介して積分比較器132の非反転入力端に接続されている。前記積分比較器132の反転入力端はキャパシタ134を介して、該積分比較器132の出力端に接続されており、該積分比較器132の非反転入力端はキャパシタ136を介して接地されている。積分比較器132は、出力端において制御値を出力するように構成されており、該積分比較器132の出力端は、第1の可変増幅器104の制御入力端に接続されている。前記積分比較器132の出力端は、インバータ136の入力端にも接続されている。前記インバータ136の出力端は第2の可変増幅器106の制御入力端に接続されている。前記第1の可変増幅器104の制御入力端は、マイクロプロセッサμP 138の第1の入力端にも接続されており、前記第2の可変増幅器106の制御入力端は、該マイクロプロセッサμP 138の第2の入力端に接続されている。マイクロプロセッサμP 138は、該マイクロプロセッサの第1の入力端を介して前記第1の可変増幅器104の出力量に影響を与え、該マイクロプロセッサの第2の入力端を介して前記第2の可変増幅器106の出力量に影響を与えるように構成されている。さらに、前記マイクロプロセッサμP 138はたとえば、出力端において、前記制御値から求められた測定値を出力するように構成されている。
【0031】
換言すると図1には、信号雑音比が改善され妨害影響が低減された、ChemFET110を含む測定回路100を示しており、この測定回路100は、2つのChemFETの出力でタイミング同期により差分測定を行うための回路で構成されている。センサは、2つのChemFET(CF Mess,CF Ref)110,114と、両ChemFET 110,114のタイミング同期される差分制御および測定を行うための回路とから成る。両ChemFETのうち一方(CF Mess)110は測定環境内にあり、他方は基準環境内にある。有利には、測定環境と基準環境との相違点は、該基準環境内に存在する測定対象の物質の量/濃度が決まっていることのみである。図1には、ChemFET 110,114と測定回路100とから成るセンサが示されている。タイミングジェネレータ102は、周波数fを有する方形波信号A(または別の周期的な信号)を生成する。前記タイミングジェネレータ102はまた、180°位相シフトされた信号Bも生成する。別個に制御可能である可変増幅器104,106を介して、信号Aは抵抗R 108を介してCF Mess 110のドレインに印加され、信号Bは相応に、抵抗R 112を介してCF Ref 114のドレインに印加される。ソースはそれぞれ接地電位に接続されている。CF Mess 110のドレインに印加された電圧とCF Ref 114のドレインに印加された電圧とは、(たとえば、反転加算器124として構成された演算増幅器OP 120によって)加算される。この加算によって得られた信号は、オプションである増幅器/インピーダンス変換器126を介して、同期復調器128によって復調される。両半波に対応する信号成分が、たとえば積分比較器132によって相互に比較される。この比較により、前記可変増幅器104,106に対する制御値が導出され、この制御値により、前記同期復調器128の入力端におけるタイミング信号に同期する成分が消失するように、信号AおよびBの振幅が追従制御される。この制御値は、本来の測定値と見なされる。マイクロコントローラ138を組み込むと有利である。というのも、測定値を直接、さらに処理することが可能になり、制御回路100においてさらなる介入手段が可能になるからである。
【0032】
図2は、本発明の別の実施例の化学感応性電界効果トランジスタ110の測定値を求めるための装置100の回路図である。図1に示された装置の構成との相違点として、図2に示された装置100は、第1の可変増幅器104の増幅器出力端と前記化学感応性電界効果トランジスタ110のゲート電極Gとを接続する接続部を有する。この接続部には、シュミットトリガST 200と抵抗R 202とが配置されている。シュミットトリガの代わりに通常の比較器を使用することもできる。すなわち、ヒステリシスを有さないシュミットトリガSTを使用することもできる。ここでは、シュミットトリガST 200の入力端は第1の可変増幅器104の増幅器出力端に接続されている。シュミットトリガST 200の出力端は抵抗R 202を介して、前記化学感応性電界効果トランジスタ110のゲート電極Gに接続されている。前記装置100はさらに、前記第2の可変増幅器106の増幅器出力端と化学感応性電界効果トランジスタ114のゲート電極Gとを接続する接続部を有する。この接続部には、シュミットトリガST 204と抵抗R 206とが配置されている。ここでは、シュミットトリガST 204の入力端は第1の可変増幅器106の増幅器出力端に接続されている。シュミットトリガST 204の出力端は抵抗R 206を介して、前記化学感応性電界効果トランジスタ114のゲート電極Gに接続されている。
【0033】
図1に示された回路との相違点として、図2に示された回路により、方形波信号AおよびBにタイミング同期してChemFET 110,114のゲートにバイアスをかけることによって、「スイッチングバイアス」方式を実施することができる。特に有利なのは、「スイッチングバイアス」による1/fノイズ成分の抑圧との組み合わせである。ChemFET 110,114のゲート電極にまずバイアスをかけることにより、該ChemFET 110,114は動作点になる(「動作可能状態」になる)。信号AおよびBは2つの半波から成り、各半波の期間中にのみ、ChemFET 110,114のドレインとソースとの間に、0と異なるソース‐ドレイン電圧が印加される。それゆえこの期間中には、いずれにしてもChemFET 110,114は動作状態でなくなる。これに同期して、FET 110,114の動作点は適切にシフトされ、該FET 110,114は「静止状態(rest-state)」になる。「動作可能状態」と「静止状態」との間で切替えるときには、FET 110,114は大きな反転と大きな積算との間で切り換えられる。このことは図2から理解できる。同図では、方形波信号Aないしはが可変増幅器104,106の後に取り出され、オプションである前置抵抗R 202,206を介してChemFET 110,114のゲート電極に印加されるのが分かる。所定のレベルを維持するためには、たとえばシュミットトリガ(ST)200,204を前置接続するか、またはインバータを前置接続することもできる。その代わりに代替的に、方形波信号を可変増幅器104,106より上流ですでに(すなわちタイミングジェネレータ102において直接)取り出すこともできる。
【0034】
図3は、本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタ110の測定値を求めるための装置100の回路図である。同図では図1と異なり、化学感応性電界効果トランジスタCF Mess 110のドレインコンタクトDは抵抗Rを介して電圧源VDS 300に接続されている。さらに、化学感応性電界効果トランジスタCF Ref 114のドレインコンタクトDは抵抗Rを介して電圧源VDS 302に接続されている。図1に示された装置の構成との相違点として、図3の回路図の装置100は、抵抗R 202を介して第1の可変増幅器104の増幅器出力端と前記化学感応性電界効果トランジスタ110のゲート電極Gとを接続する接続部を有する。前記装置100はさらに、抵抗R 206を介して前記第2の可変増幅器106の増幅器出力端と化学感応性電界効果トランジスタ114のゲート電極Gとを接続する接続部を有する。
【0035】
したがって図3には、「スイッチングバイアス」が暗黙的に実現される別の駆動制御構成が、一方または両方のトランジスタのコンタクトSおよびD間に一定の電圧VDSを印加する「スイッチングバイアス」方式を実現するための回路で開示されている。方形波信号A,Bによってソース‐ドレイン電圧を決定する代わりに、SとDとの間に一定の電圧VDSが印加される。図2に示された実施例と同様に、方形波信号は、オプションである前置抵抗R 202,206を介してゲート電極に印加される。この方形波信号の振幅に依存してソース‐ドレイン電流IDSは変化し、ひいては、分流抵抗108,112において測定される電圧が変化する。ソース‐ドレイン電流はさらに、従来と同様に、測定対象である化学物質にも依存する。このような制御により、測定対象である化学物質がCF Mess 110に存在する場合、該測定対象の化学物質の濃度に依存して、分流抵抗108,112において測定される電圧の差が消失するように、前記方形波信号の振幅が適合される。
【0036】
図4は、本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタの測定値を求める方法400のフローチャートである。この方法400は、たとえば図1に示されたような本発明の実施例による装置上で実施することができる。本方法は、準備ステップ402と、供給ステップ404と、比較ステップ404と、評価ステップ408とを含む。準備ステップ402では、第1の信号と第2の信号とを準備する。少なくとも前記第1の信号を、ある増幅率で増幅する。供給ステップ404において前記化学感応性電界効果トランジスタに前記第1の信号を供給することにより、出力情報が得られる。前記化学感応性電界効果トランジスタには測定流体を供給する。さらに、参照情報を得るために、参照用トランジスタに前記第2の信号を供給する。前記参照用トランジスタは基準環境内にある。比較ステップ406において、前記出力情報と前記参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて前記増幅率を適合する。その際にはたとえば、前記出力情報と前記参照情報との偏差が大きくなるほど、前記増幅率を大きく変化させる。前記評価ステップ408において、前記測定値を得るために前記増幅率を評価する。その際には、前記増幅率から前記測定値を求めるか、または、格納された比較テーブルとの比較により該測定値を求める。
【0037】
図5は、本発明の実施例の化学感応性電界効果トランジスタ110の測定値を求めるための装置100のブロック回路図である。前記装置100は準備装置502と供給装置504と比較装置506と評価装置508とを有する。前記準備装置502は、第1の信号および第2の信号を準備するように構成されている。少なくとも前記第1の信号が、ある増幅率で増幅される。供給装置504は、出力情報を得るために、前記化学感応性電界効果トランジスタ110に前記第1の信号を供給するように構成されている。前記化学感応性電界効果トランジスタには測定流体が供給される。供給装置504はさらに、参照情報を得るために、参照用トランジスタ114に前記第2の信号を供給するように構成されている。前記参照用トランジスタは基準環境内にある。前記比較装置506は、前記出力情報と前記参照情報との比較結果に依存して前記増幅率を適合するために、該出力情報と該参照情報との比較を行うように構成されている。その際にはたとえば、前記出力情報と前記参照情報との偏差が大きくなるほど、前記増幅率を大きく変化させることができる。前記評価装置508は、前記測定値を得るために前記増幅率を評価するように構成されている。その際には、前記増幅率から前記測定値を直接求めるか、または、格納された比較テーブルとの比較により該測定値を求める。
【0038】
図面に示し上述した実施例は、一例として選択しただけであり、種々の実施例を完全に、または個々の特徴ごとに相互に組み合わせることができる。また、1つの実施例に別の実施例の特徴を補足することもできる。
【0039】
また、本発明の方法のステップを繰り返して、かつここで記載された順序と異なる順序で実施することもできる。
【符号の説明】
【0040】
102 タイミングジェネレータ
104 第1の可変増幅器
106 第2の可変増幅器
108 第1の抵抗R
110 化学感応性電界効果トランジスタ(CF Mess)
112 第2の抵抗R
114 第2の化学感応性電界効果トランジスタ(CF Ref)
116,118,122,130 抵抗
120 演算増幅器
124 反転加算器
126 反転増幅器/インバータ
128 同期復調器
132 積分比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学感応性電界効果トランジスタ(110)の測定値を求める方法(400)であって、
前記方法(400)は、
第1の信号と第2の信号とを準備し、少なくとも該第1の信号をある増幅率で増幅する、準備ステップ(402)と、
測定流体が与えられる前記化学感応性電界効果トランジスタ(110)に前記第1の信号を供給することにより出力情報が得られ、基準環境内にある参照用トランジスタ(114)に前記第2の信号を供給することにより参照情報が得られる、供給ステップ(404)と、
前記出力情報と前記参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて前記増幅率を変化させる、比較ステップ(406)と、
前記測定値を得るために、前記増幅率を評価する、評価ステップ(408)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記比較ステップ(406)において、前記出力情報と前記参照情報との偏差が大きくなるほど前記増幅率を大きく変化させる、
請求項1記載の方法(400)。
【請求項3】
前記化学感応性電界効果トランジスタ(110)と前記参照用トランジスタ(114)とを較正環境におく、較正ステップを有する、
請求項2記載の方法(400)。
【請求項4】
前記準備ステップ(402)において、前記第1の信号の振幅を交番振幅とし、前記第2の信号を、参照電位を基準として該第1の信号に対して反転した信号として準備し、
前記比較ステップ(406)において、前記第1の信号または前記第2の信号を使用して、前記出力情報と前記参照情報とを比較する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項5】
前記供給ステップ(404)において、
前記第1の信号が第1の振幅を有する場合には、前記出力情報は前記測定流体中の少なくとも1つの物質の濃度を表し、
前記第1の信号が第2の振幅を有する場合には、前記化学感応性電界効果トランジスタのゲート電極の電位の変化および/またはチャネルの反転が行われる、
請求項4記載の方法(400)。
【請求項6】
前記方法(400)は、前記出力情報と前記参照情報とを含む全体情報を生成する統合ステップを、前記供給ステップ(404)と前記比較ステップ(406)との間に有し、
前記比較ステップ(406)において、前記出力情報を表す第1の部分と、前記参照情報を表す第2の部分とに、前記全体情報を分離する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項7】
前記評価ステップ(408)において、所与の増幅情報に応じて前記増幅率に影響を与える、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(400)。
【請求項8】
化学感応性電界効果トランジスタ(110)の測定値を求めるための装置(100)であって、
前記装置(100)は、
第1の信号と第2の信号とを準備するための、準備装置(502)と、
出力情報を得るために、測定流体が供給される前記化学感応性電界効果トランジスタ(110)に前記第1の信号を供給し、かつ、参照情報を得るために、基準環境内にある参照用トランジスタ(114)に前記第2の信号を供給するための、供給装置(504)と
を有し、
少なくとも前記第1の信号は、ある増幅率によって増幅され、
前記装置(100)はさらに、
前記出力情報と前記参照情報との比較を行い、該比較の結果に応じて前記増幅率を変化させるための、比較装置(506)と、
前記測定値を得るために、前記増幅率を評価するための、評価装置(508)と
を有することを特徴とする、装置(100)。
【請求項9】
前記準備装置(502)は、
前記第1の信号および前記第2の信号を出力するように構成されたタイミングジェネレータ(102)と、
前記第1の信号を前記増幅率で増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器(104,106)と
を有し、
前記供給装置(504)は、
前記第1の信号もしくは該第1の信号から導出された信号を、前記化学感応性電界効果トランジスタ(100)の少なくとも1つのゲート電極(G)および/またはソース電極(S)に印加し、および/または、
前記第2の信号もしくは該第2の信号から導出された信号を、少なくとも、前記参照用トランジスタ(114)のゲート電極(G)および/またはソース電極(S)に印加する
ように構成されており、
前記出力情報は、前記化学感応性電界効果トランジスタ(110)のドレインコンタクト(D)とソースコンタクト(S)との間に流れる電流を表し、
前記参照情報は、前記参照用トランジスタ(114)のドレインコンタクト(D)とソースコンタクト(S)との間に流れる電流を表し、
前記比較装置(506)は制御器を有する、
請求項8記載の装置(100)。
【請求項10】
プログラムを信号処理装置上で実行させたときに請求項1から7までのいずれか1項記載の方法を実施するためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−252008(P2012−252008A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128722(P2012−128722)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany