説明

化粧コーティング材料用のベース紙

5〜55重量%の白色顔料及び/又は充填剤を含む原紙を有し、そして、特定の分子量分布を有する水溶性変性デンプン少なくとも1つを含むコーティング溶液で前記原紙がコーティングされる、化粧コーティング材料用のベース紙。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂で含浸することのできるベース紙と、前記ベース紙から得られる化粧コーティング材料とに関する。
【0002】
化粧コーティング材料(いわゆる、化粧紙又は化粧フィルム)は、家具製造及び屋内備品(特に、積層床材)での表面をコーティングするために好んで使用される。用語「化粧紙/化粧フィルム」は、印刷されるか又は印刷されていない紙を意味し、それらは合成樹脂で含浸されるか、あるいは、合成樹脂で含浸されて表面処理されている。化粧紙/化粧フィルムは、支持体パネルへサイズ剤によってのり付けされるか、又は、接着される。
【0003】
完全に含浸された紙芯を有する化粧紙/化粧フィルムと、抄紙機においてオンライン又はオフラインで紙が部分的にだけ含浸されるいわゆるプリプレグ(Pre-impregnates)とは、含浸工程のタイプにより区別される。プリプレグは、樹脂で部分的にだけ含浸され、そして、原紙の重量に対する前記樹脂の比率が10〜35重量%である紙を意味するものであると理解されることが好ましい。
【0004】
通常、尿素サイズ剤又はポリビニルアセテート(PAVC)サイズ剤を使用して、化粧フィルムを木材(例えば、チップボール又はMDFボード(中密度繊維ボード;medium density fibre))上へのり付けさせる。高圧ラミネートは、重ねられた複数の含浸紙を一緒にプレスすることによって形成される。これらの高圧ラミネートの構成は、通常、最大の表面抵抗をつくる透明なオーバーレイと、樹脂含浸された化粧紙と、フェノール樹脂コーティングされた1つ以上のクラフト紙とからなる。下地としては、ハードボード及び木材チップボール、例えば、合板が通常使用される。
【0005】
短サイクル法(short-cycle method)によりラミネートを製造する場合(低圧ラミネート)には、合成樹脂で含浸される化粧紙を、下地(例えば、チップボール)へ直接に低圧で押し付ける。
【0006】
前記コーティング材料で使用される化粧紙は、白色又は着色された状態で、印刷された状態又は印刷されていない状態で、使用される。
【0007】
化粧原紙を含浸するために、尿素系樹脂、メラミン又はフェノール樹脂、及び、ホルムアルデヒド含有樹脂を通常使用する。しかしながら、健康に有害な物質を含まない樹脂(特に、ホルムアルデヒドを含まない、スチレン/アクリル酸エステルコポリマー系の合成樹脂)が次第に使用されている。
【0008】
応用工学性に関して、出発材料として使用される化粧原紙は、一定の要件を満たす必要がある。これらの要件としては、下地の被覆性を改良するための高い不透明性、均一な樹脂吸収のためのシートの均一な形成及び坪量、高い耐光性、印刷により付与されるべきパターンの良好な再現性のための色の高い純度及び均一性、スムーズな含浸工程のための高い湿潤強度、所要の樹脂飽和の程度を得るための適度な吸収性、及び、抄紙機での巻き取り作業及び印刷機での印刷の間で重要な乾燥強度が挙げられる。更に、化粧原紙をどの程度良好に処理できるかの指標となる内部結合強さも特に重要である。従って、サイズ剤によりのり付けされた化粧紙/化粧フィルムは、例えば、切断又はドリルあけの処理工程間で擦り切れてはならない。
【0009】
化粧面を製造するためには、化粧原紙を印刷する。網点ぬけが少なく色の強度が高い良好な印刷画像のための前提条件は、高い不透明性、紙面の可能な限り平滑で均一な表面地形、及び、紙面の安定した色吸収態様である。
【0010】
これらの理由のために、通常、いわゆるソフトカレンダー(場合により、いわゆるJanusカレンダー)を使用して化粧原紙を平滑化する。この処理によって、紙面が圧搾されることにより圧縮することができるため、これは樹脂吸収性にとって逆効果となる。
【0011】
前記の諸特性は、主に、化粧原紙の含浸、すなわち、使用される含浸剤(含浸樹脂)の種類によって大きく影響される。
【0012】
化粧原紙の含浸用に通常使用される、尿素系樹脂、メラミン又はフェノール樹脂は、引裂強さ及び印刷適性の低い脆弱な生成物をもたらす。
【0013】
化粧紙で必要とされる不透明性は、二酸化チタンの含有量によって決定的に決まり、そして、前記不透明性は、合成樹脂での含浸により部分的に損なわれる。不透明性の損失は、二酸化チタン含有量を増加させることによって補うことができるが、紙の強度が損なわれてしまう。EP0964956A1では、前記問題を、難溶性ポリマー(特に、ビニルアセテート/エチレンコポリマー)と、水溶性ポリマー(特に、ポリビニルアルコール)との混合物で含浸されるべき原紙を予備含浸することによって解決する。しかしながら、この方法によるペーパープリプレグ(the paper pre-impregnated)は、内部結合強さ及び含浸速度の点で、更なる改良が必要とされる。
【0014】
本発明の課題は、化粧コーティング材料用のベース紙を提供することであって、前記ベース紙は、前記欠点を示さず、そして、優れた含浸性及び優れた機械特性(特に、高い内部結合強さ)を特徴とするものである。更に、前記ベース紙は、紙の高い不透明性を保持するものである。
【0015】
前記課題は、原紙を含むベース紙によって達成され、ここで、前記原紙は、5〜55重量%の白色顔料及び/又は充填剤を有し、そして、10〜25の多分散性指数Mw/Mn(Polydispersityindex)で表される分子量分布を有する水溶性変性デンプン少なくとも1つを含むコーティング溶液でコーティングされるものである。10〜23の多分散性指数を有する変性デンプンが好ましい。
【0016】
本発明の特定の実施態様では、以下の範囲の平均分子量(Mw):
−分子量0〜1000g/molを有する分子を最大で6重量%、特に、1〜5重量%;
−分子量1000〜5000g/molを有する分子を5〜20重量%、特に、7〜18重量%;
−分子量5000〜25000g/molを有する分子を20〜40重量%、特に、20〜30重量%;
−分子量25000〜200000g/molを有する分子を20〜45重量%、特に、30〜45重量%;
−分子量200000〜1000000g/molを有する分子を6〜22重量%、特に、10〜22重量%;
−分子量1000000g/mol超を有する分子を0.5〜5重量%、特に、1〜5重量%;
であることが好ましい、デンプン分子の分子量を有する水溶性変性デンプン少なくとも1つを含むコーティング水溶液で、原紙をコーティングする。
【0017】
通常、平均分子量Mw/Mnを数える重量平均の比率は、多分散性指数として表される。これにより、分子量分布曲線の幅に関する情報が提供される。
【0018】
変性デンプンの分子量分布は、デンプン製造業者による通常の方法で、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定された。GPC分析は、Shodex KSカラムを有するクロマトグラフを使用して実施された。溶出媒体は、流速1mL/分を有する0.05MのNaOHであった。較正は、公知の分子量でのPullulan standardsを使用して実施した。
【0019】
本発明により使用される変性デンプンは、個々に、又は、前述の範囲における同様の分子量分布を有する種々のデンプンの混合物として、使用することができる。しかしながら、追加の水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)との混合物で使用することもできる。この場合には、けん化度88〜98モル%を有するポリビニルアルコールが、特に有利であることが分かっている。
【0020】
本発明により使用される水溶性変性デンプンは、好ましくは、100000〜250000g/molの平均分子量を有する非膜形成デンプン(non-film-forming starch)であることが好ましい。紙の表面サイジングに使用される膜形成デンプンは、本発明での使用に適当ではない。
【0021】
本発明により使用される変性デンプンは、コーティング溶液中に20〜100重量%の量で使用されることが好ましい;しかしながら、50〜100重量%、特に、70〜100重量%の量が好ましい。量データは、それぞれのコーティングの乾燥質量に関する。
【0022】
本発明の更なる実施態様では、コーティング溶液は、1〜30重量%、特に、2〜20重量%の量で、追加の成分を含むことがある。量データは、バインダーの質量(絶対乾燥)に関する。用語「バインダー」は、本発明による変性デンプン、又は、(必要な場合には、その他の水溶性ポリマーと)複数の変性デンプンの混合物を意味するものと理解されることが好ましい。
【0023】
追加の成分として、無機顔料(例えば、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム及び/又はカオリン)、有機顔料、染料、粘度調節剤、消泡剤、及び、製紙業で適当に使用されるその他の添加剤を使用することができる。
【0024】
本発明によるベース紙の製造に使用されるコーティング溶液は、乾燥質量に対する総固形分5〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%、しかしながら、特に、20〜25重量%を有する。
【0025】
コーティング溶液の製造の間に、まず、冷水(すなわち、室温〜最大60℃まで)及び/又は約120〜145℃に沸騰させた水へデンプンを溶解させて調製する。この工程の間で、pH値5〜6を有する約35〜45%溶液を製造する。これを所望の固形分まで、水に希釈する。
【0026】
更なる工程で、追加の成分及び/又は添加剤の追加を、水溶液又は水分散液の形態で実施する。
【0027】
化粧原紙は、内面サイジングも表面サイジングもされていないものである。これらは、本質的に、パルプ、顔料、及び充填剤、並びに、通常の添加剤からなる。通常の添加剤としては、湿潤強度剤、歩留まり向上剤、定着剤が挙げられる。化粧原紙は、充填剤又は顔料含有量の比率がかなり高い点、及び、通常の紙で使用される内面サイズ剤又は表面サイズ剤を含まない点で、通常の紙とは異なる。
【0028】
本発明の含浸されるべき原紙は、顔料又は充填剤の高い比率を有することがある。原紙における充填剤の比率は、坪量に対して55重量%まで、特に、8〜45重量%であることがある。適当な顔料及び充填剤の例としては、二酸化チタン、タルク、硫化亜鉛、カオリン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、コランダム、ケイ酸アルミニウム及びケイ酸マグネシウム、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0029】
原紙の製造に使用されるパルプは、針葉樹材パルプ(長繊維パルプ)及び/又は広葉樹材パルプ(短繊維パルプ)であることがある。わた繊維、及び、わた繊維と前記タイプのパルプとの混合物を使用することもある。10:90〜90:10、特に、20:80〜80:20の割合での針葉樹材/広葉樹材パルプ混合物が特に好ましい。しかしながら、100%の広葉樹材パルプを使用することも効果的であることが分かっている。量データは、パルプの質量(絶対乾燥)に関する。
【0030】
パルプ混合物が、パルプ混合物の重量に対する、カチオン変性セルロース繊維の比率少なくとも5重量%を含むこともできる。パルプ混合物中のカチオン変性パルプの比率10〜50重量%、特に、10〜20重量%が、特に好ましいことが分かっている。エピクロルヒドリン樹脂及び第3級アミンで繊維を反応させることによって、又は、第4級塩化アンモニウム(例えば、クロロヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、又は、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド)で反応させることによって、セルロース繊維のカチオン変性を実施することがある。カチオン変性パルプ及びそれらの製造は、例えば、DAS PAPIER,issue12(1980),pp575−579.により公知である。
【0031】
原紙は、長網抄紙機又はヤンキー抄紙機で製造することができる。このために、パルプ混合物を、紙料濃度2〜5重量%で叩解して、ろ水度10〜45°SRを達成することができる。充填剤(例えば、二酸化チタン及びタルク)及び湿潤強度剤を、混合チェストに入れて、パルプ混合物とよく混ぜることができる。本発明の原紙の場合には、パルプ(絶対乾燥)に対して、0.8〜2.0重量%、特に1.0〜1.8重量%の量で湿潤強度剤を使用することが特に効果的であることが分かっている。このようにして得られる高濃度のパルプを、紙料濃度約1%まで希釈し、そして、必要な場合には、追加の補助剤(例えば、歩留まり向上剤、消泡剤、硫酸アルミニウム、及びその他の前記補助剤)を混合させることができる。この低濃度の材料を、抄紙機のヘッドボックスを介してワイヤーセクションへ導入する。繊維マットを形成し、そして、脱水後に原紙を得て、次に、それを乾燥させる。製造された紙の坪量は、15〜200g/mであることができる。しかしながら、坪量40〜100g/mを有する原紙が特に適当である。
【0032】
本発明により使用されるべきコーティング溶液を、抄紙機中で又はオフラインで、スプレー、浸漬、ロールコーティング、又はブレードコーティング(ドクターブレード)により付与することができる。特に好ましいのは、サイズプレスコーティング又はフィルムプレスコーティングによる付与である。コーティング溶液は、1〜15g/m(絶対乾燥)のコーティング量で原紙上に付与することができる。紙の坪量がコーティングによって変化しないことが好ましいので、紙を製造するパルプの一部を本発明のコーティング剤により置き換える。
【0033】
コーティングされた紙は、IR又は円筒型ドライヤを使用する通常の方法で、温度範囲120〜180℃に、残留水分率2〜8%まで乾燥される。
【0034】
乾燥後に、本発明によりコーティングされる紙を印刷し、含浸し、次に、種々の基板(例えば、チップボール又は繊維板)上へ通常の方法を使用してはり合わせる。
【0035】
本発明のベース紙を熱硬化性樹脂で含浸する際で、不透明性の損失が発生しなかった。前記紙は、改良された内部結合強さを有している。更なる機械的特性(例えば、湿潤切断荷重(wet breaking load)及び乾燥切断荷重(dry breaking load))に関して、従来のものと比べて、比較的良好な又は更に良好な結果を達成することができる。
【0036】
紙に付与されるコーティング剤は、液体と接触している繊維の膨潤を減少させ、そして、従って、横断方向(x方向)、長手方向(y方向)、及び紙の厚さ方向(z方向)における寸法の変化を減少させる。特に、z方向での寸法変化の減少によって、樹脂で充填されるべき紙の容量が減少する。このことは、含浸樹脂で紙を含浸させる間で有益である。従って、より寸法安定性の高い紙は、浸透した含浸コア(saturated impregnation core)を達成するためにより少ない樹脂を必要とするという結果を伴って、含浸樹脂のその後の付与のために特に適当なベースとして使用される。樹脂量の減少が、紙の繊維量と直接比例関係にあることが分かった。
【0037】
更に、本発明のコーティングにもかかわらず、紙シート中における孔サイズが減少しない。その一方で、前記シートに留まっている坪量と、シートへ付与されるコーティング剤の量の増加とによって、驚くべきことに平均孔サイズが増加する。
【0038】
更なる利点は、ベース紙を1200m/分までの高い機械速度で製造することができるという事実からなる。合成樹脂での含浸速度も増加することができる。なぜなら、最適な浸透時間を維持することができるからである。浸透時間は、通常の含浸樹脂が、紙のオープンな裏側から表側まで、圧力の付与なしで浸透するために必要な時間を意味するものと理解されることが好ましい。
【0039】
以下の実施例は、本発明を更に説明するものである。重量%で表示されるデータは、特に説明が無い場合には、パルプの重量に関するものである。量比は、質量比及び/又は重量比を意味する。
【実施例】
【0040】
《実施例1》
ユーカリパルプ80重量%とパイン硫酸塩パルプ20重量%とからなる、紙料濃度5%を有するパルプ混合物を摩砕することによって、パルプ懸濁液を調製し、ろ水度33°SR(ショッパー・リーグラー度)を達成した。次に、湿潤強度剤としてエピクロルヒドリン樹脂1.8重量%を追加した。硫酸アルミニウムを使用して、このパルプ懸濁液のpHを6.5までに調節した。続いて、前記パルプ懸濁液に、二酸化チタン30重量%と、タルク5重量%と、歩留まり向上剤0.11重量%と、消泡剤0.03重量%との混合物を加え、坪量約73g/m及び灰分約23重量%を有する化粧原紙を製造した。重量データは、パルプの重量(絶対乾燥)に対するものである。
この原紙を、熱変性トウモロコシデンプン(デンプンI,表1)(CAS9004−53−9)を含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。このデンプンは自由流動性(free flowing)の白色粉末として市販されているものであり、分子量分布特徴を超えて、水分11.5%と、pH値6.5と、ブルックフィールド(100rpm)による粘度185mPas(バッチ加熱、25%溶液、40℃)とを特徴とするものである。
コーティング溶液は、4つの異なる付与量で付与された。コーティング溶液の固形分は、約20重量%に達した。この目的のために、デンプンを水に入れて125℃の水蒸気で2分間加熱することによって、45%デンプン溶液を最初に調製し、そして、20重量%の濃度まで水で希釈した。次に、前記溶液を20重量%の濃度まで水で希釈した。
コーティングされた紙を、続いて、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、2.1g/m(実施例1A)、4.9g/m(実施例1B)、9.8g/m(実施例1C)及び14.5g/m(実施例1D)であった。
【0041】
《実施例2》
実施例1の原紙を、熱変性トウモロコシデンプン(デンプンII,表2)(CAS9004−53−9)を含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。このデンプンは自由流動性の白色粉末として市販されているものであり、分子量分布特徴を超えて、水分10.5%と、pH値6.25と、ブルックフィールド(100rpm,Sp2)による粘度170mPas(バッチ加熱、15%溶液、40℃)とを特徴とするものである。
デンプン溶液は、実施例1と同じように調製された。コーティング溶液の固形分は25重量%に達した。
コーティングされた紙を、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、4.8g/mであった。
【0042】
《実施例3》
ユーカリパルプ100%を使用して実施例1と同じように製造された原紙を、実施例1と同じデンプンIを含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。固形分は約20%であった。
コーティングされた紙を、続いて、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、5g/mであった。
【0043】
《比較例V1》
実施例1の原紙を、デンプンIII(C−フィルム07380)(表1)を含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。前記コーティング溶液の固形分は、約20重量%であった。
コーティングされた紙を、続いて、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、5.1g/mであった。
【0044】
《比較例V2》
実施例1の原紙を、フィルム形成デンプン(C−フィルム(商標)05731)を含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。前記コーティング溶液の固形分は、約20重量%であった。デンプン溶液の調製は、実施例1と同じように実施された。
コーティングされた紙を、続いて、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、5.1g/mであった。
【0045】
《比較例V3》
実施例1の原紙を、ポリビニルアルコール(Mowiol(商標)4−98)とビニルアセテート/エチレンコポリマー(Vinamul(商標)3265,Celanese)とを10:90の量比で含有するコーティング水溶液で、サイズプレスを使用してコーティングした。前記コーティング溶液の固形分は、約10重量%であった。
コーティングされた紙を、続いて、残留水分率2.5%に達するまで、約120℃の温度で乾燥させた。乾燥後のコーティング重量は、5g/mであった。
【0046】
以下の表2は、従来技術と比較して、本発明により処理される紙での試験結果を示すものである。以下の特性が試験された:
【0047】
内部結合強さ
内部結合強さは、TAPPI T569による内部結合テスターを使用して測定される。
この試験をEMCO IBT内部結合強さ試験装置を使用して実施するのに対して、紙の構造強さはz方向で測定される。
測定値は、J/mで表示される。
【0048】
平滑性
平滑性の測定は、DIN53107(TAPPI sm48)により実施する。試験の間、一定の空気量が、紙試料と磨かれたガラスパネルとを通過する時間を測定する。
【0049】
透気度(ガーレイ)
紙構造の有孔度を特定するための試験である。この試験の間に、定圧下で一定の空気量が紙表面を通過するのに要する時間を測定する。測定は、L&W濃度計121Dを使用して実施する。測定の単位は、ガーレイ秒/100mLである。
【0050】
乾燥切断荷重(dry breaking load)
FDP40引張強さ試験装置を使用して、DIN EN ISO1924−2に従って試験を実施する。
【0051】
湿潤切断荷重(wet breaking load)
FDP40引張強さ試験装置を使用して、DIN ISO3781に従って試験を実施する。
【0052】
浸透性
浸透性を決定することにより、含浸の間でのベース紙の態様を試験する。浸透性は、樹脂によって、紙平面に対して垂直に紙が含浸される時間である。硬化剤及び架橋剤を使用せずに、50%のメラミン樹脂MW550を試験液として用いて、試験を実施した。
【0053】
表2に示されるように、本発明によるベース紙は、高い内部結合強さ、高い湿潤切断荷重及び乾燥切断荷重を有している。従来技術と比較すると、本発明によるベース紙の場合には、浸透時間もかなり改良していた。紙の不透明度は保持された。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜55重量%の白色顔料及び/又は充填剤を有する原紙を含み、そして、熱硬化性樹脂で含浸することのできる、化粧コーティング材用のベース紙であって、
10〜25の多分散性指数Mw/Mnを有する変性デンプン少なくとも1つを含むコーティング溶液で、前記原紙をコーティングすることを特徴とする、前記ベース紙。
【請求項2】
5〜55重量%の白色顔料及び/又は充填剤を有する原紙を含み、そして、熱硬化性樹脂で含浸することのできる、化粧コーティング材用のベース紙であって、
少なくとも1つの水溶性変性デンプンが、以下の範囲の平均分子量(Mw):
−分子量0〜1000g/molを有する分子を最大で6重量%;
−分子量1000〜5000g/molを有する分子を5〜20重量%;
−分子量5000〜25000g/molを有する分子を20〜40重量%;
−分子量25000〜200000g/molを有する分子を20〜45重量%;
−分子量200000〜1000000g/molを有する分子を6〜22重量%;
−分子量1000000g/mol超を有する分子を0.5〜5重量%;
にあるデンプン分子の分子量を有することを特徴とする、前記ベース紙。
【請求項3】
コーティング溶液が、更に水溶性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1及び2に記載のベース紙。
【請求項4】
コーティング溶液において、変性デンプンの量が、質量(絶対乾燥)に基づく20〜100重量%であることを特徴とする。請求項1〜3のいずれか一項に記載のベース紙。
【請求項5】
コーティング溶液が、追加成分を質量(絶対乾燥)に基づく1〜30重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のベース紙。
【請求項6】
コーティング溶液が、20〜25重量%の固形分を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のベース紙。
【請求項7】
コーティング溶液を、1〜15g/m(絶対乾燥)のコーティング重量で、原紙上に付与することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のベース紙から得られる化粧紙又は化粧コーティング材料。

【公表番号】特表2011−506794(P2011−506794A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538504(P2010−538504)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060712
【国際公開番号】WO2009/080376
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(500121849)テクノチェル デコール ゲー エム ベー ハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】TECHNOCELL DEKOR GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】