説明

化粧品アプリケーター、そうしたアプリケーターを含むメーキャップキット、ならびに、そうしたキットの使用法

【課題】従来のアプリケーターの欠点を軽減する。
【解決手段】長手方向軸線(X-X)に沿って自由端部(16a)へ延在するシース(16)と、シース(16)に接続されたハンドル(18)と、軸線(X-X)に沿って自由端部(14a)へ延在する中心ステム(14)であって、それとシース(16)とは互いにスライド可能に設けられている中心ステム(14)と、その自由端部(14a)に配置されたアプリケーターヘッド(12)であって、シース(16)はその自由端部(16a)においてアプリケーターヘッド(12)を拭うよう構成されたワイパー部材(17)を形成しているアプリケーターヘッド(12)とを備えた化粧品アプリケーター。シース(16)はさらに、その自由端部(16a)に、半径方向に貫通しかつ軸方向に開口する少なくとも一つのリセス(20)を有する。ステム(14)の長さは、アプリケーターヘッド(12)が、ワイパー部材(17)で拭われている状態で、リセス(20)に面することができるようなものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品アプリケーター、そうしたアプリケーターを含むメーキャップキット、ならびに、そうしたキットの使用法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、
・長手方向軸線に沿って自由端部へと延在するシースと、
・当該シースに接続されたハンドルと、
・長手方向軸線に沿って自由端部へと延在する中心ステム(この中心ステムとシースとは互いにスライド可能に設けられる)と、
・中心ステムの自由端部に配置されたアプリケーターヘッドと、を備え、シースは、その自由端部において、アプリケーターヘッドを拭うよう構成されたワイパー部材を形成している化粧品アプリケーターに関する。
【背景技術】
【0003】
スライド可能なステムを備えた、そうした化粧品アプリケーターは、たとえば特許文献1から公知であり、これは、テレスコープ式マスカラアプリケーターを開示している。
【0004】
そうしたアプリケーター(このものでは、ステムはその使用ポジションではシースから突出するが、その休止ポジションにある間は格納される)は、それが使用されていない間、ステムを保護することを可能とする。だが、格納された休止ポジションから、アプリケーターヘッドがシースの外部に存在する使用ポジションまで移動するステムを有する、そうしたアプリケーターの使用法は、アプリケーターヘッドを選択的に拭うことを提供しない。さらに、アプリケーターヘッドの状態は、長い間、シース内の格納ポジションに存在する結果として、極めて速やかに劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,121,763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の特定の目的は、上記欠点を軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明によれば、シースはさらに、その自由端部に、それを半径方向に貫通すると共に軸方向に開口する少なくとも一つのリセスを有し、かつ、ステムの長さは、アプリケーターヘッドの少なくとも一部が、ワイパー部材によって拭われている状態で、少なくとも一つのリセスの少なくとも一部に面することができるようなものとされる。
【0008】
こうした構成によって、ステムは、リセス内を除き、格納される際に拭われ、これによって、アプリケーターヘッド上に、化粧品の定量化されかつ局所化された超過量がアプリケーターヘッド上に残ることが可能となる。
【0009】
本発明のさまざまな実施形態においては、以下の構成の一つ以上が採用されてもよく、こうした構成は独立したものであっても、組み合わされてもよい。
・シースは、ハンドルに対して非可動状態で設けられ、かつ、中心ステムは、シースに対してスライド可能な状態で設けられる。
・中心ステムは、ハンドルに対して非可動状態で設けられ、かつ、シースは、中心ステムに対してスライド可能な状態で設けられる。
・その自由端部において、シースは半径方向に貫通すると共に軸方向に開口する二つのリセスを有し、リセスは、長手方向軸線を中心として対称的に配置されている。
・上記リセスは、特にアプリケーターヘッドの一つ以上の局所的ゾーンの上に化粧品を分配することを可能とする形状を有する。
・シースの壁は、リセスの近傍において、厚みが変化する。
・アプリケーターヘッドは、シース内に、このアプリケーターヘッドがシースの外部に位置する使用ポジションと、アプリケーターヘッドがシース内に格納される格納ポジションとの間で、スライド可能に設けられる。
・ハンドルは、アプリケーターヘッドが、アプリケーターヘッドがその使用ポジションにある第1のポジションと、アプリケーターヘッドがその格納ポジションにある第2のポジションとの間でポジションを変更することを可能とするアクチュエータを備える。
・この形態において、アクチュエータは、さらに、弾性部材を含み、この弾性部材は、ハンドル内に配置されると共に、中心ステムおよびシースから選ばれた要素の一つに接続される。
・弾性部材は、アプリケーターヘッドがその使用ポジションにあるときには、その休止ポジションにあり、かつ、アプリケーターヘッドがその格納ポジションにあるときには、その緊張ポジションにある。
・アプリケーターヘッドは、磁石および/または磁性あるいは磁化可能粒子を含む。
・アプリケーターヘッドは、起伏に関して、突起および/または窪み部分を有する。
【0010】
さらに、本発明はまた、塗布用の化粧品を収容するリザーバと、上述したような化粧品アプリケーターとを備えるメーキャップキットを提供する。化粧品アプリケーターのハンドルはまた、リザーバのためのストッパーを形成してもよく、かつ、リザーバは、さらに、シースを拭うよう構成されたワイパー部材を含んでいてもよい。
【0011】
アプリケーターヘッドは、さらに、化粧品が磁性あるいは磁化可能粒子を含むパウダーである場合に、磁石および/または磁性あるいは磁化可能粒子を含んでいてもよい。
【0012】
本発明はまた、表面に対して、たとえば、リップ、爪、および/またはケラチン繊維(まつ毛、眉毛、毛髪、...)に対してあるいは、それを必要とする人体の他の部位に対して、化粧品を塗布するための、そうしたメーキャップキットの使用法を提供する。
【0013】
本発明に係るアプリケーターの使用法は以下のステップを含む。アプリケーターヘッドは、アプリケーターヘッドに化粧品を付着させるために化粧品リザーバ内に予め漬けられ、すなわち、アプリケーターヘッドがリザーバ内に既に部分的に格納される場合を除いて、化粧品と直接接触状態とされる。第2のステップにおいては、ユーザーは、アプリケーターの上に選択的に配分された化粧品を用いて表面をメーキャップする準備が整うようシースから外にヘッドを突出させる前に、リセス内を除いて余剰な化粧品を拭い取るために、シース内へとアプリケーターヘッドを後退させる。
【0014】
本発明およびその利点は、非限定的な実施例として示した本発明の実施形態に関する以下の説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明に係るアプリケーターの長手方向断面図であり、アプリケーターヘッドはその使用ポジションにある。
【図1B】図1Aのアプリケーターの長手方向断面図であり、アプリケーターヘッドはその格納ポジションにある。
【図2A】図1Aのアプリケーターを示す図である。
【図2B】図1Bのアプリケーターを示す図である。
【図3A】別な実施形態におけるアプリケーターの長手方向断面図であり、アプリケーターヘッドはその使用ポジションにある。
【図3B】図3Aのアプリケーターの長手方向断面図であり、アプリケーターヘッドはその格納ポジションにある。
【図4A】シースの自由端部における図2Aのアプリケーターの拡大斜視図であり、リセスを示している。
【図4B】シースの自由端部における図2Bのアプリケーターの拡大斜視図であり、リセスを示している。
【図5A】変形例におけるアプリケーターのリセスの拡大斜視図である。
【図5B】別な変形例におけるアプリケーターのリセスの拡大斜視図である。
【図6A】別な変形例におけるアプリケーターのリセスの拡大斜視図である。
【図6B】別な変形例におけるアプリケーターのシースの自由端部における拡大斜視図であり、シースは二つのリセスを含んでいる。
【図7】変形例におけるアクチュエータを示すアプリケーターの断片的斜視図である。
【図8】別な変形例におけるアクチュエータを示すアプリケーターの断片的長手方向断面図である。
【図9A】本発明に係るアプリケーターヘッドの細部を示す図である。
【図9B】別な変形例におけるアプリケーターヘッドの細部を示す図である。
【図9C】別な変形例におけるアプリケーターヘッドの細部を示す図である。
【図10】本発明に係るメーキャップキットを示す図である。
【図11】本発明に係るメーキャップキットを示す図である。
【図12】本発明に係るメーキャップキットの使用状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
各図中、同じ参照数字は、同一あるいは類似の要素を示している。
【0017】
図1Aおよび図1Bは、第1実施形態に関する化粧品アプリケーター10を示しており、これは、長手方向軸線X−Xに沿って延在する中心ステム14の自由端部14aに配置されたアプリケーターヘッド12を含んでいる。中心ステム14は、シース16内にスライド可能に設けられるが、これもまた長手方向軸線に沿って延在する。シース16は、その端部16bにおいて、ハンドル18に対して、非可動状態で取り付けられ、一方、その逆側端部16aは自由である。
【0018】
アプリケーターヘッド12は、シース16内に、アプリケーターヘッドがシース16の外部に位置する(図1Aに示すような)使用ポジションと、アプリケーターヘッド12がシース16内に格納される(図1Bに示すような)格納ポジションとの間で、スライド可能に設けられる。使用ポジションは、アプリケーターヘッド12に化粧品を付着させるためのおよび/または塗布される表面に当該化粧品を塗布するためのアプリケーターの使用ポジションに対応し、一方、格納ポジションは、アプリケーターヘッド12を拭うためにユーザーが意図的に取ることを強いるポジションに対応する。
【0019】
さらに詳しくは、中心ステム14の自由端部14aは、使用ポジション(図1A)において、シース16の自由端部16aの近傍に位置させられ、一方、中心ステム14の自由端部14aは、その格納ポジションにおいて、シース16の内部に配置される(図1B)。
【0020】
その自由端部16aにおいて、シース16はワイパー部材17を形成するが、これは、アプリケーターヘッドがその使用ポジションからその格納ポジションへと移動している間に、アプリケーターヘッド12を拭うよう構成されている。特に、その使用ポジション(図1A)において、アプリケーターヘッド12は、好ましくは、シース16の外部に、その長さの全部あるいは一部にわたって位置させられ、一方、格納ポジション(図1B)においては、アプリケーターヘッド12は、好ましくは、シース16内に完全に配置されるが、アプリケーターヘッドの自由端部12aはまた、好ましくは、その自由端部16aまで、完全に、アプリケーターヘッドを拭き取るために、シース16内に格納される。
【0021】
図3Aおよび図3Bは、別な実施形態に関する化粧品アプリケーターを示しており、このものでは、中心ステム14の自由端部14aに配置されたアプリケーターヘッド12は、ハンドル18に対して、非可動状態で取り付けられ、一方、シース16は、アプリケーターヘッド12に対して、かつ、ハンドル18に対して動くことができる。図1Aおよび図1Bの実施形態に対するこうした差異は別にすると、アプリケーターヘッド12は、同様に、アプリケーターヘッドがシース16の外部に位置する(図3Aに示す)使用ポジションと、アプリケーターヘッド12がシース16内に格納される(図3Bに示す)格納ポジションとをとる。
【0022】
図3Aおよび図3Bに示す化粧品アプリケーター10のステム14は、有利なことには、シース16に対する所与の向きでハンドル18に対して固定されてもよい。アプリケーターヘッド12は、したがって、各格納/突出時に同じ様式でシース16内でスライドし、そして、これは、ワイパー部材17においてシース16内にアプリケーターヘッド12が挿入される様式に依存しない。
【0023】
したがって、そうした構造によって、拭き取りを完全に再現可能なものとすることができる。特に、アプリケーターヘッド12の、そしてシース16のワイパー部材17の断面が異なる場合、あるいは断面は同一であるが円形ではない場合に、磨耗現象を制限するために、アプリケーターヘッド12の断面の、そしてシース16のワイパー部材17の断面の形状に影響を受けないようにすることもまた可能である。両方の断面が同一でかつ円形である場合にのみアプリケーターヘッド12がシース16のワイパー部材17内に入る様式によって影響を受けないようにすることが可能である。
【0024】
例として(図示せず)、三角形である断面のアプリケーターヘッド12およびワイパー部材17に関して、アプリケーターヘッド12を再現可能な様式で拭うこと、および/または、一般的なアプリケーターによって損耗を回避することはできない。というのは、三角形の頂点の、より完全な拭き取りを回避することが望まれる場合に、ユーザーは、三角形が別な三角形内に進入することが可能なただ三つの向きの間で、全く容易に選択できないからである。
【0025】
アプリケーターヘッド12の向きがシース16のワイパー部材17に対して選択的に決定可能な、本発明に係るアプリケーターのこの実施形態によって、損耗を制限しながら再現可能な様式でアプリケーターヘッド12を拭うことが、あるいは三角形断面のアプリケーターヘッド12の頂点を選択的に拭うことさえ可能になり、この結果、当該頂点にはあまり大量の化粧品は付着させられないので、それらは「コーミング」ゾーンを構成し、他の部分にはより大量の化粧品が付着させられるので、それらは「ローディング」ゾーンを構成する。
【0026】
この実施形態は、したがって、アプリケーターヘッド12を異なる様式で拭うことを可能とし、当該アプリケーターヘッド12のある領域が選択的にかつ異なる様式で拭われることを可能とする。さらに、この実施形態によれば、ハンドル18上に配置された把持手段に対して、以下で説明するように、リセス20,21によってアプリケーターヘッド12上に形成された充填ゾーンを位置決めすることが可能である。快適な使用はこうして容易なものとなる。というのは、把持手段が保持される方式に依存する所望のポジションにアプリケーターヘッド12を置くために、アプリケーター10を方向付ける必要はないからである。任意選択でアプリケーターヘッド12上の化粧品付着ゾーンのポジションと組み合わせて、その断面の形状に依存して、アプリケーターヘッド12を選択的に方向付けることも可能である。
【0027】
いかなる実施形態でも(可動アプリケーターヘッド12あるいは可動シース6)、シース16はさらに、その自由端部16aに、そしてたとえば図2Aに示すように、少なくとも一つのリセス20を有し、これは、シース16を半径方向に貫通し、かつ、シースの自由端部16に向かって軸線X−Xに沿って軸方向に開口している。
【0028】
各リセス20はワイパー部材17の破断領域を形成する。シャフト16および中心ステム14は、円柱状に長手方向軸線X−Xに沿って延在し、ワイパー部材17は、図4Aに分かりやすく示すように、シース16の自由端部16aの周縁に形成されている。
【0029】
図2Bはその格納ポジションで化粧品アプリケーター10を示しており、アプリケーターヘッド12の端部12aはシース内に完全に挿入されている。アプリケーターヘッド12の一部がリセス20を経て認識可能である。リセス20内に配置されたアプリケーターヘッド12の一部12cはワイパー17によって拭われず、一方、アプリケーターヘッドの残部(部分12d)は、このアプリケーターヘッドがシース16内に格納されるときはいつでも拭われることに留意されたい。
【0030】
さらに正確には、アプリケーターヘッド12とシース16との間で利用可能なスペース22の寸法特性は、アプリケーターヘッド12の拭い作用に直接的な影響を持つ。スペース22が狭くなればなるほど、拭い作用は強くなることに留意されたい。
【0031】
リセス20は、好ましくは、軸線X−Xに沿って長手方向に延在し、しかも、所望の用途に応じて、さまざまな形状を有することができる。図2A−2B、および4A−4Bにおいて、リセス20は長円形状であるが、図5Aに詳しく示すリセスは、チューブの端部16aに配置されたベース20aを備えた錐形状であり、一方、リセス20の錐の頂点20bはチューブ16の端部16aから離間している。当然ながら、当該リセスの形状がいかなるものであろうと、部分12cはリセス20の形状に対応した形状である。錐形状リセス12cに関して、図5Aに示すように、ステム12cの非拭い部分12cは、自由端部12aに向かって段階的に開拡する形状である。
【0032】
したがって、リセス20は、シース16によって拭われない部分12c(すなわち、より大量に化粧品が充填される部分)を画定するように、さまざまな形状のものであってもよく、この部分は、任意選択で、軸線X−Xに沿って実質的に一定である幅lを有する。
【0033】
たとえば、図5Aは、シース16の自由端部6aから離れるにつれてX−Xに沿って減少する幅lを有する開拡形状のリセス20を示している。
【0034】
リセス20はまた、おそらくは図5Aに示すような開拡形状と組み合わされた段付き形状であってもよい。
【0035】
さらに、たとえば図6Aに示すように、シース16の壁には、シース16によってアプリケーターヘッド12が拭われる力を変更するために、リセス20の近傍において、厚みe20に変化が存在してもよい。シース16内でアプリケーターヘッド12のために利用可能な自由スペースが大きくなればなるほど、アプリケーターヘッド12はますます拭われなくなる。だが、所与のアプリケーターヘッド12に関して、利用可能な自由スペースの大きさは、シース16の内壁の厚みe20に依存する。したがって、拭い力は、シース16の内壁の厚みe20によって変化する。厚みe20が大きくなればなるほど、拭い力はますます大きくなる。
【0036】
特に、たとえば図6Aに示すように、リセス20の壁の厚みe20は、好ましくはシース16の自由端部16aからリセス20'の端部へと漸進的に増大するように変化する。シース16は、さらに、少なくとも第2のリセスを有していてもよい。さまざまなリセスは、類似していても、異なっていてもよい。リセスは、好ましくは、シース16の自由端部16aに、長手方向軸線X−Xを中心として対称的に割り当てられる。
【0037】
特に、図6Bに示すように、シース16は、半径方向にそれを貫通し、かつ、軸方向に開口する第2のリセスを有し、第1のリセス20および第2のリセス21は、長手方向軸線X−Xを中心として対称的に配置される。
【0038】
所望のメーキャップ効果へとアプリケーターの機能を適合させるために、シース16のリセス20,21のポジションおよびその形状特性を組み合わせることが可能であることは明らかである。
【0039】
アプリケーターヘッド12をあるポジションから別なポジションへと移動させるために、化粧品アプリケーターは、好ましくは、中心アーム14に接続されたアクチュエータを備える。特に、図1A−1Bおよび2A−2Bに示すように、ハンドル18はスロット24を有し、その中でアクチュエータ26が動作できる。
【0040】
アクチュエータ26は、図1Aおよび1Bに示すような第1のポジション(このポジションではアプリケーターヘッドはその使用ポジションにある)と、図1Bおよび2Bに示すような第2のポジション(このポジションではアプリケーターヘッド12はその格納ポジションにある)との間で動作可能である。その格納ポジションからその使用ポジションへとアプリケーターヘッドを動作させるためのその他の機構、たとえば、リップスティックのために使用されるような回転式の機構なども可能である。そうしたタイプの機構では、ケーシングのポジションの回転動作によってアプリケーター要素は並進移動させられる。そうしたタイプの機構は、円形断面を有するアプリケーターヘッドおよびシースにとって好ましい。
【0041】
スロット24は、図7に示すようにバイオネット形状であってもよく、こうした形態においては、アクチュエータ26は、第1の端部24a(ここで、それはその第1のポジションでロックできる)と、第2の端部24b(ここで、それはその第2のポジションでロックできる)との間を自由にスライドできる。これら二つの末端ポジション間で、アクチュエータ26は、それが動作させられるときにはいつでも、中心スロット24cに沿って自由にスライドできる。
【0042】
アプリケーターヘッドがハンドル18に対して動作可能であるとき、アクチュエータ26は、図1Aに示すように、中心ステム14に対して、直に、あるいは、アクチュエータ26の動作によってシース内でステム14がスライドすることを可能とする別な手段によって接続される。
【0043】
だが、シース16が可動であるとき、アクチュエータ26は、図3Aに示すように、シース16に対して、直に、あるいは、アクチュエータ26の動作によってステム14の周囲でシース16がスライドすることを可能とする別な手段によって接続される。
【0044】
弾性手段が、この目的のために、そしてまたアクチュエータ26を使用ポジションに向かって復帰させるために、設けられてもよい。
【0045】
特に、図1A−1Bに分かりやすく示すように、アプリケーターヘッドがハンドル18に対して動作可能であるとき、弾性部材28は、(自由端部14aから離間した)ステム14のトレーリング端部14bとハンドル18の上端壁18bとの間に収容される。このために、ハンドル18の長手方向壁は、その中に弾性部材28が閉じ込められるチャンバーを形成するために、トレーリング端部18bおよびリーディング端部18aと協働する。そのトレーリング端部18bにおいて、チャンバー30は中心ピン32を備えてもよく、これは、特に、図に示すように、それが螺旋コイルスプリングである場合に、弾性部材28が中心に置かれることを可能とする。さらに、ステム14のトレーリング端部14bは、同じ機能を有する別なピン34を同様に備えてもよい。コイルスプリング28は、好ましくは、圧縮スプリングであり、したがって、使用ポジションはその中立ポジションに対応する。アクチュエータ26がその第2のポジション(このポジションではそれはユーザーによって保持される)にあり、続いて、解放されるときにはいつでも、コイルスプリング28は弛緩し、そしてステム14をシース16から外へと駆動する。
【0046】
ステム14がシース内で安定した様式でスライドすることを保証するために、ステム14のトレーリング端部14bはスリーブ35を備えてもよく、これは、第一に、チャンバー30内でスライドするように、そして第二に、スプリング28のターンのいくつかを、特にその数本を収容するように構成される。
【0047】
チャンバー30のリーディング端部18aはまたスリーブ35用の当接部を形成する。シース16はしたがって、その自由端部6aとチャンバーのリーディング端部18aとの間で延在する。したがって、ステム15は、シース16と実質的に同軸状にスライド可能である。
【0048】
図3A−3Bに分かりやすく示すように、ハンドル18に対してシース16が移動可能であるとき、弾性部材28は(自由端部16aから離間した)シース16のトレーリング端部16とチャンバー30のリーディング端部18aとの間に収容される。このために、ハンドル18の長手方向壁は、その中に弾性部材28が閉じ込められるチャンバー30を形成するために、トレーリング端部16bおよびリーディング端部18aと協働する。弾性部材28は、特に、図に示すように、それが螺旋コイルスプリングである場合に、シース16と同軸状に設けられることによって、チャンバー内で中心に置かれる。コイルスプリング28は、好ましくは、圧縮スプリングであり、したがって、使用ポジションはその中立ポジションに対応する。アクチュエータ26がその第2のポジション(このポジションではそれはユーザーによって保持される)にあるとき、解放されるときにはいつでも、コイルスプリング28は弛緩し、そしてステム14に対して、さらに正確にはアプリケーターヘッド12に対してシース16を駆動する。
【0049】
シース16がステム14の周囲で安定した様式でスライドすることを保証するために、ハンドルは中心ピン32を備えてもよく、これは、ステム14がハンドル18に対して固定されることを可能とする。
【0050】
さらに、シース16のトレーリング端部16bはスリーブ35を備えてもよく、これは、第一に、チャンバー30内でスライドするように、そして第二に、スプリング28のターンのいくつかを、特にその数本を収容するように構成される。チャンバー30のリーディング端部18aはまた、スリーブ35のために当接部を形成する。
【0051】
スプリング28の存在によって、スロット24を簡素化することが可能となり、その結果、それは、もはや、図7に示すようなバイオネット形状を必要とせず、図2Aから分かるように、単に長手方向軸線X−Xに沿って延在する直線形であればよい。弾性部材は、図1A−1Bに示すように、コイルスプリング28であってもよいが、たとえば図8に示すように、リーフスプリングによって、あるいは公知のタイプのその他の弾性部材によって置き換えることも同様に可能である。
【0052】
さらに、アプリケーターヘッド12はいかなる種類のものであってもよい。特に、それは、剛体金属コアおよびブリストルからなるブラシ、任意選択でブリストル(図示せず)を備える成形および/または射出形成プラスチック素材からなるブラシ、あるいはフロック加工されたエンドピースであってもよい。それはまた金属からなっていてもよい。金属からなる場合、アプリケーターヘッド12は、好ましくは、図面に示すように、そして図9Aにより詳しく示すように、ネジなどの螺旋形状とされる。別な変形例では、化粧品アプリケーター10はさらに、アプリケーターヘッド12に配置された磁石13を備えてもよく、これは、図9Bに示すように、この目的のためのハウジングを備え、あるいはアプリケーターヘッド12は、特にそれが金属からなる場合、それ自身が磁化されてもよい。アプリケーターヘッド12は、同様に、磁界を形成できる磁化可能な粒子を含む素材からなっていてもよい。「磁化可能な粒子」との用語は、実施形態の一つにおいて以下で述べるように、アプリケーターヘッドのためのあるいは化粧品のための、それらを磁化するために使用される磁界にさらされたとき磁界を発生させることができる粒子を意味する。当該粒子は、アプリケーターヘッドおよび/または化粧品が製造された後に磁化されてもよく、あるいは、それらは、アプリケーター自体にあるいは本発明に係るメーキャップキットに含まれる磁石によって磁化されてもよい。こうした磁気特性は、以下で詳しく説明するように化粧品アプリケーター10を用いて塗布される化粧品がまたそうした磁気特性を有する場合に、特に望ましい。
【0053】
別な変形例においては、アプリケーターヘッド12は起伏部分(突起および/または窪み)を有してもよい。特に、たとえば図9Cに示すように、アプリケーターヘッド12は、好ましくはアプリケーターヘッド12の表面上に規則正しく割り当てられた複数の突起15を備えてもよい。この形態では、アプリケーターヘッド12は、好ましくは、射出成形によって得られる。
【0054】
図10は、化粧品38を含むリザーバ36と、上述したような化粧品アプリケーター10とを含むメーキャップキットを示す。このメーキャップキットは、リザーバ36およびアプリケータ10をそれぞれ収容するよう構成されたハウジングを備えたコンパクト40内に収容可能である。リザーバ36と同様、コンパクト40はさまざまな形状のものであってもよく、任意選択で蓋を備えてもよい。
【0055】
メーキャップキットはまた、長手方向軸線X−Xに沿って延在する円筒形リザーバの形態であってもよく、この形態では、アプリケーター10のハンドル18はリザーバ42のためのストッパーを形成し、かつ、図11に示すように、ハンドル18がリザーバ42に近づいたとき、アプリケーターヘッド12が塗布用の化粧品38内に漬かるように配置される。リザーバ42はさらにワイパー部材44を備えてもよく、これは、シースがリザーバ42から取り出されたとき、シース16を拭うことを可能とする。
【0056】
そうしたメーキャップキットは、特に、唇、爪、あるいはケラチン繊維、特に睫毛に対して化粧品を塗布するためのものであり、そして化粧品、特にマスカラを適切に軽量し、正確に塗布することを可能とする。
【0057】
化粧品アプリケーターは、好ましくは、以下のようにして使用可能である。
【0058】
図10に示すようなメーキャップキットから始まって、コンパクト40に形成されたそのハウジングからアプリケーター10を取り出した後、ユーザーは、アプリケーターヘッド12に化粧品38を大量に付着させる(アプリケーターヘッド12は、シース16の外部で、その使用ポジションにある)。
【0059】
ユーザーは、続いて、ワイパー部材17によって余剰化粧品38を拭い取るためにアクチュエータ26によってシース16内にアプリケーターヘッドを格納する。これを行うために、(図1Bおよび2Bに示すように)ユーザーはアクチュエータ26をその第2のポジションへとスライドさせ、続いて、アクチュエータ26を解放するが、これは、続いて、アプリケーターヘッド12がシース16の外側に位置するその第1のポジションへと自然に復帰する。この操作の間、アプリケーターヘッド12は、こうして、ワイパー17と接触状態となるとき、部分12dにおいて余剰な化粧品38が除去され、一方、リセス20に面するステムの部分に対応する部分12cには化粧品38が付着したままである。
【0060】
ユーザーは、続いて、図12に示すように、塗布を必要とする表面、たとえば、唇、爪、あるいは、たとえば睫毛46などのある種のケラチン繊維に対して化粧品を塗布することになる。
【0061】
睫毛46をコートするために、ユーザーは、好ましくは、より大量に化粧品38が付着させられた部分12cを用いることによって着手し、そして、アプリケーターヘッド12の先に拭われた部分12dによって睫毛46の上に化粧品を広げることによって継続する。こうした処理の間、アクチュエータ26は、化粧品が付着させられたアプリケーターヘッド12の部分12cのポジションを位置決めすることをユーザーにとって容易なものとする。なぜなら、それらは、好ましくは、長手方向軸線X−Xに沿って互いに整列状態であるからである。
【0062】
化粧品アプリケーター10が、磁石13をさらに含むアプリケーターヘッド12を含む場合、アプリケーターヘッド12はまた、磁気吸引力によって化粧品38が付着させられる。好ましくは、化粧品38は、酸化鉄(Fe)、あるいは、それに対して所望の磁気特性を付与する類似の成分を含む。有利なことには、化粧品は、上記酸化鉄などを含む真珠層を含む。
【0063】
この特定の実施形態では、メーキャップキットは、有利なことには、磁性あるいは磁化可能パウダーの形態の化粧品38を用いて表面をメーキャップするために使用可能であり、当該パウダーは、吸引力によってアプリケーターヘッド上で保持される。そうしたメーキャップキットは、睫毛の表面がマスカラなどの第1の化粧品38によってコートされた後、特に、パウダー形態で睫毛に対して磁性化粧品を塗布するの好適である。
【0064】
さらに、そして概して、本発明に係るメーキャップキットは、特に、十分にあるいは部分的に、第1の化粧品38を既に受け取った表面に対して、第2の化粧品38を載せるのに適合させられる。
【0065】
たとえば、第1のマスカラが、従来技術の公知のアプリケーターによって(あるいは本発明に係る第2のアプリケーターによって)睫毛に対して塗布され、続いて、装飾効果が本発明に係るメーキャップによって施されるが、当該キットは、たとえば仕上げタッチなどの非常に局所的な塗布を実施するのに適合される。
【0066】
図11に示すメーキャップキットに関して、ユーザーは、(リザーバ42上にネジ留め可能な)ハンドル18を把持することによってリザーバ42からストッパー18を取り出す。余剰な化粧品は、こうして、ワイパー44によって、この操作の間にシース16から拭い取られ、そして、続いて、ユーザーは、図10のメーキャップキットに関して上述したのと同じ処理を実施する。
【符号の説明】
【0067】
10 化粧品アプリケーター
12 アプリケーターヘッド
14 中心ステム
14a 自由端部
16 シース
17 ワイパー部材
18 ハンドル
20 リセス
26 アクチュエータ
28 弾性部材
30 チャンバー
32 中心ピン
34 ピン
35 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品アプリケーターであって、
・長手方向軸線(X‐X)に沿って自由端部(16a)へと延在するシース(16)と、
・前記シース(16)に接続されたハンドル(18)と、
・長手方向軸線(X‐X)に沿って自由端部(14a)へと延在する中心ステム(14)であって、この中心ステム(14)および前記シース(16)は、互いにスライド可能に設けられている中心ステム(14)と、
・前記中心ステム(14)の前記自由端部(14a)に配置されたアプリケーターヘッド(12)であって、前記シース(16)は、その自由端部(16a)において、前記アプリケーターヘッド(12)を拭うよう構成されたワイパー部材(17)を形成しているアプリケーターヘッド(12)と、を具備してなり、
前記シース(16)は、さらに、その自由端部(16a)に、それを半径方向に貫通すると共に軸方向に開口する少なくとも一つのリセス(20)を有し、
前記シース(16)の壁は、前記リセス(20)の近傍で、厚み(e20)の変化を有し、かつ、
前記ステム(14)の長さは、アプリケーターヘッド(12)の少なくとも一部が、前記ワイパー部材(17)によって拭われている状態で、前記少なくとも一つのリセス(20)の少なくとも一部に面することができるようなものとされていることを特徴とする化粧品アプリケーター。
【請求項2】
前記シース(16)は、前記ハンドル(18)に対して非可動状態で設けられており、かつ、前記中心ステム(14)は、前記シース(16)に対してスライド可能な状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項3】
前記中心ステム(14)は、前記ハンドル(18)に対して非可動状態で設けられており、かつ、前記シース(16)は、前記中心ステム(14)に対してスライド可能な状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項4】
その自由端部(16a)において、前記シース(16)は、それを半径方向に貫通すると共に軸方向に開口する二つのリセス(20,21)を有し、前記リセス(20,21)は、前記長手方向軸線(X‐X)を中心として対称的に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項5】
前記アプリケーターヘッド(12)は、前記シース(16)内に、前記アプリケーターヘッド(12)が前記シース(16)の外部に位置する使用ポジションと、前記アプリケーターヘッド(12)が前記シース(16)内に格納される格納ポジションとの間で、スライド可能に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項6】
前記ハンドル(18)は、前記アプリケーターヘッド(12)が、前記アプリケーターヘッド(12)がその使用ポジションにある第1のポジションと、前記アプリケーターヘッド(12)がその格納ポジションにある第2のポジションとの間でポジションを変更することを可能とするアクチュエータ(26)を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項7】
前記アクチュエータ(26)は、さらに、弾性部材(28)を含み、この弾性部材(28)は、前記ハンドル(18)内に配置されると共に、前記中心ステム(14)および前記シース(16)から選ばれた前記要素の一つに接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項8】
前記弾性部材(8)は、前記アプリケーターヘッド(12)がその使用ポジションにあるときには、その休止ポジションにあり、かつ、前記アプリケーターヘッド(12)がその格納ポジションにあるときには、その緊張ポジションにあることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項9】
前記アプリケーターヘッド(12)はさらに、磁石(13)および/または磁性あるいは磁化可能粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項10】
前記アプリケーターヘッド(12)は、起伏部分を有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター。
【請求項11】
塗布用の化粧品(38)を収容するリザーバ(36;42)と、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の化粧品アプリケーター(10)と、を備えることを特徴とするメーキャップキット。
【請求項12】
前記化粧品アプリケーター(10)の前記ハンドル(18)は、前記リザーバ(42)のためのストッパーを形成し、かつ、前記リザーバ(42)は、さらに、前記シース(16)を拭うよう構成されたワイパー部材(44)を含み得ることを特徴とする請求項11に記載のメーキャップキット。
【請求項13】
前記アプリケーターヘッド(12)は、さらに、磁石(13)および/または磁性あるいは磁化可能粒子を含み、かつ、前記化粧品(38)は、磁性あるいは磁化可能粒子を含むパウダーであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のメーキャップキット。
【請求項14】
表面(46)に対して化粧品(38)を塗布するための請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載のメーキャップキットの使用法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135615(P2012−135615A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273269(P2011−273269)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)