説明

化粧料塗布具及び化粧料容器

【課題】化粧用コームによる化粧と化粧用アプリケータによる化粧を使用に応じて適宜施すと共に、コームによる化粧の際にアプリケータによる化粧料の付着の虞がなく使い勝手を向上する。
【解決手段】軸体15の先端側の外周面において軸線方向に並ぶ櫛歯を備えたコーム21による化粧を施す場合には、操作部11に連結されたアプリケータ31を軸体15先端から没入させ軸体15内に収容した状態で化粧を施し、アプリケータ31による化粧を施す場合には、使用者による操作部11の操作により、当該操作部11に連結され軸体15内に収容されたアプリケータ31を軸体15先端から出現させて化粧を施し、コーム21による化粧とアプリケータ31による化粧を、使用に応じて適宜施すことを可能とすると共に、コーム21による化粧の際にアプリケータ31による化粧料の付着の虞をなくし、使い勝手を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を塗布するための化粧料塗布具及びこれを備えた化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイライナーとマスカラの共用塗布具として、軸体の先端にアイライナー用筆先部を、軸体の先端側の外周面に外方に突出する例えばコーム等のマスカラ用塗布部を、軸体の基端側に把持部をそれぞれ備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この共用塗布具では、マスカラ用塗布部により睫毛にマスカラを塗布可能であり、アイライナー用筆先部により、目元にアイラインを施すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3159628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記塗布具にあっては、使用者が、マスカラ用塗布部により睫毛に化粧料を塗布する際に、軸体先端のアイライナー用筆先部が、鼻の根元である鼻根部に触れてしまい、筆先部に付着している化粧料が鼻根部に付いてしまう。従って、このように鼻根部に化粧料が付くのを避けるには、化粧料塗布具の向きや位置を考慮し筆先部が鼻根部に触れないようにマスカラを塗布する必要があり、使い勝手が非常に悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、化粧用コームによるマスカラを始めとした化粧と化粧用アプリケータによるアイラインを始めとした化粧を、使用に応じて適宜施すことができると共に、化粧用コームによる化粧の際に化粧用アプリケータによる化粧料の付着の虞がなく使い勝手が向上された化粧料塗布具及び化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による化粧料塗布具は、化粧料を塗布するための化粧料塗布具であって、軸体と、軸体の先端側の外周面において軸線方向に並ぶ櫛歯を備えた化粧用コームと、軸体内に収容された化粧用アプリケータと、軸体の基端側に設けられた把持部と、把持部に設けられ化粧用アプリケータに連結された操作部と、を具備し、使用者による操作部の操作により、軸体の先端から化粧用アプリケータが出没することを特徴としている。
【0007】
このような化粧料塗布具によれば、軸体の先端側の外周面において軸線方向に並ぶ櫛歯を備えた化粧用コームによる化粧を施す場合には、化粧用アプリケータを軸体先端から没入させ軸体内に収容した状態で化粧を施すことができ、化粧用アプリケータによる化粧を施す場合には、使用者による操作部の操作により、当該操作部に連結され軸体内に収容された化粧用アプリケータを軸体先端から出現させて化粧を施すことができる。従って、化粧用コームによる化粧と化粧用アプリケータによる化粧を、使用に応じて適宜施すことができると共に、化粧用コームによる化粧の際に化粧用アプリケータによる化粧料の付着の虞がなく、使い勝手を向上できる。
【0008】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、櫛歯は、軸線方向視において円環状又は円弧状を成し、化粧用コームは、櫛歯を軸線方向に沿って複数並設した構成が挙げられる。
【0009】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、化粧用コームは、軸体の片側において外側に向かって突出する櫛歯を軸線方向に沿って一列に並設した構成も挙げられる。
【0010】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、操作部の軸線方向のスライド移動に連動して化粧用アプリケータが軸線方向にスライド移動し、軸体の先端から出没する構成が挙げられる。
【0011】
また、本発明による化粧料容器は、上記に記載の化粧料塗布具と、化粧料を内部に収容する収容部を備え当該収容部の上面に設けられた開口頚部を通して内外が連通される容器本体と、を具備した化粧料容器であって、把持部は、開口頚部に着脱可能に装着されて当該化粧料容器の蓋として機能し、開口頚部に対する装着時に、化粧用コームが開口頚部を通して収容部内に進入し、使用にあたって把持部が開口頚部から取り外され、操作部のスライド移動により、化粧用アプリケータが軸体内に没入している初期位置からスライド移動して軸体の先端から出現している状態で、把持部が開口頚部に装着されると、化粧料塗布具の構成部品が、容器本体の構成部品に当接しながら反対方向にスライド移動し化粧用アプリケータ及び操作部が初期位置に戻る機構を有することを特徴としている。
【0012】
このような化粧料容器によれば、使用者が操作部を戻し忘れ、化粧用アプリケータが軸体の先端から出現している状態のままで、化粧料容器の蓋である把持部を開口頚部に装着すると、化粧料塗布具の構成部品が、容器本体の構成部品に当接しながら反対方向にスライド移動し化粧用アプリケータ及び操作部が初期位置に戻るため、使い勝手の良い化粧料容器とすることができる。
【0013】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、把持部が開口頚部に装着されると、化粧料塗布具の構成部品である操作部のその先端部が、容器本体の構成部品である収容部のその上面に当接しながら反対方向にスライド移動し、化粧用アプリケータ及び操作部が初期位置に戻る構成が挙げられる。
【0014】
また、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、開口頚部の内周面に当接する円筒部及びこの円筒部に連設され開口頚部の上面に当接する鍔部を備えると共に、円筒部の下部に、化粧用コームが通過する際に当該化粧用コームに付着した余分な化粧料を掻き落とすための掻取部を備えた中栓部を、容器本体の構成部品として具備すると共に、スライド移動方向に移動可能とされて化粧用アプリケータの出現方向へのスライド移動により押し出される突出部を、容器化粧料塗布具の構成部品として具備し、把持部が開口頚部に装着されると、突出部の下部が、中栓部の鍔部に当接しながら反対方向にスライド移動し、化粧用アプリケータ及び操作部が初期位置に戻る構成も挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、化粧用コームによる化粧と化粧用アプリケータによる化粧を使用に応じて適宜施すことができると共に、化粧用コームによる化粧の際に化粧用アプリケータによる化粧料の付着の虞がなく使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る化粧料塗布具を備えた化粧料容器を示す正面図である。
【図2】図1に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図3】図1及び図2中の容器本体を示す一部破断正面図である。
【図4】図1及び図2中の化粧料塗布具を示す斜視図である。
【図5】図4に示す化粧料塗布具の一部破断正面図である。
【図6】図4に示す状態から化粧用アプリケータが移動し使用位置に位置したときの斜視図である。
【図7】図6に示す化粧料塗布具の縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る化粧料塗布具を示す斜視図であり、化粧用アプリケータが使用位置に位置したときの斜視図である。
【図9】図8に示す化粧料塗布具の側面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る化粧料塗布具を示す縦断面図であり、化粧用アプリケータが使用位置に位置したときの縦断面図である。
【図11】図10に示す化粧料塗布具を容器本体に装着する前の縦断面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る化粧料塗布具を備えた化粧料容器を示す縦断面図であり、図10に示す化粧料塗布具を容器本体に装着した状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による化粧料塗布具及び化粧料容器の好適な実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。図1〜図7は、本発明の第1実施形態を、図8及び図9は、本発明の第2実施形態を、図10〜図12は、本発明の第3実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
先ず、図1〜図7に示す第1実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る化粧料塗布具を備えた化粧料容器を示す正面図、図2は、図1の縦断面図、図3は、容器本体を示す一部破断正面図、図4〜図7は、化粧料塗布具を示す各図であり、図4及び図5は化粧用アプリケータが初期位置に位置している図、図6及び図7は化粧用アプリケータが使用位置に位置している図であり、本実施形態の化粧料容器は、睫毛をボリュームアップすべく睫毛にマスカラを塗布するとき、目元にアイラインを施すときに用いられるものである。
【0020】
図1及び図2に示すように、化粧料容器300は、ボトルタイプ式の化粧料容器であって、マスカラLを収容する容器本体1と、この容器本体1に着脱自在に装着され容器本体1の蓋(キャップ)及びマスカラLの塗布具として機能する化粧料塗布具100と、を概略具備している。そして、化粧料塗布具100は、詳しくは後述するが、睫毛にマスカラLを塗布するための化粧用コーム(以下単にコームと呼ぶ)21と、目元にアイラインを施すための化粧用アプリケータ(以下単にアプリケータと呼ぶ)31と、を共に備えるものである。
【0021】
容器本体1は、図1〜図3に示すように、マスカラLを収容するための収容部3と、この収容部3の上部に一体に連設され当該収容部3に繋がる開口頚部4と、を備える。
【0022】
収容部3は、有底円筒状に構成されその内部にマスカラLを収容する。開口頚部4は、収容部3の上面23に当該収容部3と同軸に連設された小径の円筒部であり、その筒内が収容部3内に連通する構成とされている。この開口頚部4には、その外周面に、化粧料塗布具100を着脱可能に螺合するための雄螺子5が形成されている。また、開口頚部4の内周面には、プラスチックやゴム等より成る円筒状の中栓部6が固着されている。この中栓部6は、開口頚部4の内周面に当接する円筒部6b及びこの円筒部6bに連設され開口頚部4の上面に当接する鍔部6aを備えると共に、円筒部6bの下部に、コーム21が通過する際に当該化粧用コーム21に付着した余分なマスカラLを掻き落とすための掻取部7を備えている。
【0023】
化粧料塗布具100は、図1及び図2に示すように、容器本体1の蓋となると共に使用者により把持される把持部8と、この把持部8内から容器本体1の収容部3側(図2の下方)に突出する軸体9と、を備えている。
【0024】
把持部8は、有底筒状に構成されて有底部が上側に位置する配置とされ、その開口端側の内周面に、図2、図4〜図7に示すように、開口頚部4の外周面の雄螺子5に螺合する雌螺子10を備えている。そして、把持部8は、その雌螺子10を雄螺子5に螺合することで、容器本体1に対して着脱可能に装着される。
【0025】
この把持部8の周壁の一部であって当該一部の外周面側の部分は、周壁のそれ以外の部分から切り取られた格好で、断面円弧状を成し軸線方向に延びる薄肉の操作部11とされている。この操作部11は、当該操作部11を把持部8の周壁から切り取ることで残された凹部12に収容されている。この凹部12の下端は外部に開放されている。操作部11の内側の面には、さらに内側に向かって突出する連結ピン13が設けられると共に、この連結ピン13に対面する凹部12の底面には、軸線方向に延び内外を連通するガイドスリット14が設けられており、操作部11の連結ピン13がガイドスリット14を通して把持部8内に進入する構成とされている。従って、操作部11は、連結ピン13がガイドスリット14にガイドされながら、軸線方向にスライド移動可能とされている。
【0026】
軸体9は、把持部8に固定された円筒状の外軸体15と、この外軸体15内に収容されて移動可能な内軸体16と、を備える。
【0027】
外軸体15は、容器本体1に化粧料塗布具100を装着したときに、その先端が、収容部3の底面近くまで延びるように把持部8から突出する構成とされている(図2参照)。そして、この外軸体15の先端側の外周面に、軸線方向に並ぶ櫛歯20を備えたコーム21が設けられている。
【0028】
また、外軸体15のコーム21が設けられている部分には、外軸体15の内外を連通し軸線方向に延びるスリット17が周方向に少なくとも1個(ここでは1個)設けられている。このスリット17は、化粧料塗布具100を容器本体1に装着したときに、マスカラLを外軸体15内に進入させるための開口である。そして、櫛歯20は、軸線方向視において、スリット17が横切ることで円弧状とされ、コーム21は、周方向に断続する円弧状の櫛歯20が、外軸体15の先端近傍から軸線方向の所定長に亘って多数並ぶ構成とされている(凹凸が多数連続する構成とされている)。
【0029】
また、外軸体15の上部の周壁には、把持部8のガイドスリット14と同様なガイドスリット18が、ガイドスリット14に重なるように設けられており、操作部11の連結ピン13が、ガイドスリット18を通して外軸体15内に進入する構成とされている。
【0030】
内軸体16は、外軸体15より多少短い長さに構成されて外軸体15内に収容され、外軸体15の内周面にガイドされながら軸線方向(上下方向)にスライド移動可能とされている。この内軸体16の上部には、ガイドスリット14,18を通して外軸体15内に進入してきた連結ピン13が連結されている。
【0031】
従って、連結ピン13がガイドスリット14,18にガイドされながら、操作部11が軸線方向にスライド移動すると、この操作部11の軸線方向のスライド移動に連動して内軸体16が、外軸体15にガイドされながら軸線方向にスライド移動する構成とされている。
【0032】
内軸体16の先端にはアプリケータ31が設けられている。このアプリケータ31は、化粧料を含浸可能な例えばチップやスクリューブラシ等のブラシであり、ここでは、先細りのチップとされている。
【0033】
そして、図2に示すように、化粧料塗布具100の把持部8が容器本体1の開口頚部4に螺子5,10の螺合により装着されると(把持部8が締められると)、軸体9は、中栓部6の筒孔を通して容器本体1の収容部3内に進入する。このような状態を、ここでは初期状態と呼ぶ。この初期状態にあっては、図1及び図2、図4及び図5に示すように、操作部11は凹部12内に収まり、操作部11の先端部19は、把持部8の開放端と面一とされ当該開放端から突出しない構成とされると共に、アプリケータ31の先端が外軸体15の先端の開口22から突出しない構成とされている。
【0034】
この初期状態にあっては、外軸体15の先端側のコーム21は、収容部3に貯留されているマスカラLに浸漬し、一方、内軸体16の先端のアプリケータ31は、外軸体15の先端の開口22から進入しさらに外軸体15の先端側のスリット17から内部に進入するマスカラLに浸漬し、マスカラLを十分に含浸した状態とされている。また、この初期状態にあっては、外軸体15上部の大径部の底部の下面と中栓部6の鍔部6aの天面とは当接した状態にある。
【0035】
このように構成された化粧料容器300によれば、化粧料塗布具100を使用する場合には、図1及び図2に示す初期状態から、使用者は、把持部8を把持し回すことで螺子5,10の螺合を解除しながら引き上げて当該化粧料塗布具100を容器本体1から取り外す。このとき、軸体9が中栓部6の掻取部7を通過し、この際に、外軸体15のコーム21に付着した余分なマスカラLが掻き落とされる。
【0036】
そして、このように化粧料塗布具100を容器本体1から取り外し、コーム21による化粧を施す場合には、図4及び図5に示すように、内軸体16の先端のアプリケータ31が外軸体15の先端の開口22から没入し外軸体15内に収容された初期状態で、コーム21により睫毛にマスカラLを塗布することができる。
【0037】
次いで、アプリケータ31による化粧を施す場合には、使用者による操作部11の操作により、当該操作部11を、図4及び図5に示す位置から軸体9の先端側に向かってスライド移動させる。すると、図6及び図7に示すように、これに連動して内軸体16が同様にスライド移動し、内軸体16の先端のアプリケータ31は初期位置から外軸体15の先端の開口22から出現する使用位置に達し、アプリケータ31により目元にアイラインを施すことができる。
【0038】
そして、アプリケータ31による化粧が終わったら、使用者による操作部11の操作により、当該操作部11を、図6及び図7に示す位置から反対方向に向かってスライド移動させる。すると、図4及び図5に示すように、これに連動して内軸体16が同様にスライド移動し、内軸体16の先端のアプリケータ31は使用位置から外軸体15の先端の開口22から没入し外軸体15内に収容される初期位置に戻る。その後、使用者は、化粧料塗布具100の把持部8を取り外し時とは逆方向に回し螺子5,10を螺合させながら当該把持部8を容器本体1に装着する。
【0039】
このように、本実施形態においては、コーム21による化粧を施す場合には、アプリケータ31を外軸体15の先端から没入させ外軸体15内に収容した状態で化粧を施すことができ、アプリケータ31による化粧を施す場合には、使用者による操作部11の操作により、アプリケータ31を外軸体15の先端から出現させて化粧を施すことができるため、コーム21による化粧とアプリケータ31による化粧を、使用に応じて適宜施すことができると共に、コーム21による化粧の際にアプリケータ31によるマスカラLの付着の虞がなく、使い勝手を向上できる。
【0040】
また、使用者が操作部11を戻し忘れ(スライド移動させて初期位置に戻すのを忘れ)、アプリケータ31が外軸体15の先端から出現している状態のままで、化粧料塗布具100の蓋である把持部8を開口頚部4に装着すると、操作部11の先端部19が、収容部3の上面23に当接しながら反対方向へスライド移動していき操作部11及びアプリケータ31が初期位置に戻る操作部の自動戻し機構を備えているため、使い勝手の良い化粧料容器となっている。
【0041】
なお、本実施形態では、特に好適であるとして、化粧料容器300に用いられる化粧料をマスカラとしているが、他の液状化粧料を用いコーム21及びアプリケータ31をこれとは別の化粧に用いることも可能である。因みに、液状化粧料の粘度が低く外軸体15の先端の開口22から外軸体15内のアプリケータ31に当該液状化粧料を含浸させられるようであれば、スリット17はなくても良い。また、櫛歯20は軸線方向視において円環状を成していても良い。
【0042】
図8は、本発明の第2実施形態に係る化粧料塗布具を示す斜視図であり、アプリケータが使用位置に位置したときの斜視図、図9は、図8に示す化粧料塗布具の側面図である。
【0043】
この第2実施形態の化粧料塗布具200が第1実施形態の化粧料塗布具100と違う点は、軸線方向視において円環状又は円弧状を成す櫛歯20を軸線方向に並設したコーム21を、外軸体15の片側において外側に向かって山型(三角形状)に突出する櫛歯40を軸線方向に沿って一列に並設することで弓形を成すコーム41に代えた点である。
【0044】
なお、外軸体15の先端側は、コーム41が弓形を成すため、これに合わせて多少片側に湾曲する形状とされているが、使用者による操作部11の操作により、外軸体15の先端からアプリケータ31が出没する構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するというのはいうまでもない。
図10は、本発明の第3実施形態に係る化粧料塗布具を示す縦断面図であり、化粧用アプリケータが使用位置に位置したときの縦断面図、図11は、図10に示す化粧料塗布具を容器本体に装着する前の縦断面図、図12は、本発明の第3実施形態に係る化粧料塗布具を備えた化粧料容器を示す縦断面図であり、図10に示す化粧料塗布具を容器本体に装着した状態の縦断面図である。
【0046】
この第3実施形態の化粧料容器500が第1実施形態の化粧料容器300と違う点は、第1実施形態の化粧料塗布具100に代えて、第1実施形態の操作部の自動戻し機構とは別の自動戻し機構を有する化粧料塗布具400を用いた点である。
【0047】
この第3実施形態の化粧料塗布具400にあっては、操作部の自動戻し機構を構成する部品として、L字状を成す戻し部材30を備えている。この戻し部材30は、L字を構成し水平方向に延びると共に外軸体15に掛止させるための掛止部30aと、L字を構成し上下方向に延びる突出部30bと、を有し、軸体9上部の大径部に一対が対向して設けられている。
【0048】
掛止部30aは、内軸体16上部の大径部の底部の下面と、外軸体15上部の大径部の底部の上面との間に位置し、突出部30bは、外軸体15上部の大径部の底部を貫通して下方に突出し、図12に示す初期状態(把持部8が開口頚部4に装着されている状態)では、掛止部30aの上面が内軸体16上部の大径部の底部の下面に当接すると共に、突出部30bの下端面(先端面)が中栓部6の鍔部6aの天面と当接し、この状態で、掛止部30aの下面と外軸体15上部の大径部の底部の上面との間に、軸線方向に所定長の隙間が設けられている。
【0049】
このような第3実施形態にあっては、図12に示す初期状態から使用に供すべく化粧料塗布具400を容器本体1から取り外し、操作部11の操作により、内軸体16を使用位置へスライド移動させると、図10に示すように、アプリケータ31は使用が可能となる使用位置に達し、この内軸体16のスライド移動に従って戻し部材30は押し出され、掛止部30aは、内軸体16上部の大径部の底部の下面と外軸体15上部の大径部の底部の上面と間に挟まれた状態となる。
【0050】
そして、使用者が操作部11を戻し忘れ、アプリケータ31が外軸体15の先端から出現している状態のままで、化粧料塗布具400の把持部8を開口頚部4に装着していくと、図11〜図12に示すように、突出部30bの下端面が中栓部6の鍔部6aの天面に当接しながら反対方向にスライド移動していき、これにより内軸体16が押し上げられ、アプリケータ31及び操作部11が初期位置に戻ることになる。
【0051】
従って、この第3実施形態にあっても、第1実施形態と同様に、操作部11を戻し忘れても自動的に戻るため、使い勝手の良い化粧料容器となっている。
【0052】
なお、戻し部材30の掛止部30aと内軸体16とは、固定されていても、固定されていなくても良い。
【0053】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、化粧料塗布具100,200,400を容器本体1の開口頚部4に対して螺子5,10により着脱するようにしているが、化粧料塗布具100,200,400を開口頚部4に押し込み嵌め込むタイプの着脱式に対しても適用可能である。
【0054】
また、操作部11をスライド移動させると、カチカチというクリック音と共に抵抗感を生じながらアプリケータ31がスライド移動し、クリックごとに、アプリケータ31の突出具合(移動具合)を感知できると共にその位置で止めることができるスライドクリック式を採用するのがより好ましい。
【0055】
また、アプリケータ31が、外軸体15の先端から出現した状態で、例えばボタンを押すとバネの作用で外軸体15内に没入するようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…容器本体、3…収容部、4…開口頚部、8…把持部、6…中栓部、6a…鍔部、6b…円筒部、7…掻取部、11…操作部、15…外軸体(軸体)、19…操作部の先端部、20,40…櫛歯、21,41…化粧用コーム、23…収容部の上面、30…戻し部材、30b…突出部、31…化粧用アプリケータ、100,200,400…化粧料塗布具、300,500…化粧料容器、L…マスカラ(化粧料)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を塗布するための化粧料塗布具であって、
軸体と、
前記軸体の先端側の外周面において軸線方向に並ぶ櫛歯を備えた化粧用コームと、
前記軸体内に収容された化粧用アプリケータと、
前記軸体の基端側に設けられた把持部と、
前記把持部に設けられ前記化粧用アプリケータに連結された操作部と、を具備し、
使用者による前記操作部の操作により、前記軸体の先端から前記化粧用アプリケータが出没することを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記櫛歯は、軸線方向視において円環状又は円弧状を成し、
前記化粧用コームは、前記櫛歯を軸線方向に沿って複数並設したものであることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記化粧用コームは、前記軸体の片側において外側に向かって突出する櫛歯を軸線方向に沿って一列に並設したものであることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記操作部の軸線方向のスライド移動に連動して前記化粧用アプリケータが軸線方向にスライド移動し、前記軸体の先端から出没することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧料塗布具。
【請求項5】
請求項4に記載の化粧料塗布具と、
前記化粧料を内部に収容する収容部を備え当該収容部の上面に設けられた開口頚部を通して内外が連通される容器本体と、を具備した化粧料容器であって、
前記把持部は、前記開口頚部に着脱可能に装着されて当該化粧料容器の蓋として機能し、前記開口頚部に対する装着時に、前記化粧用コームが前記開口頚部を通して前記収容部内に進入し、
使用にあたって前記把持部が前記開口頚部から取り外され、前記操作部のスライド移動により、前記化粧用アプリケータが前記軸体内に没入している初期位置からスライド移動して前記軸体の先端から出現している状態で、前記把持部が前記開口頚部に装着されると、前記化粧料塗布具の構成部品が、前記容器本体の構成部品に当接しながら反対方向にスライド移動し前記化粧用アプリケータ及び前記操作部が前記初期位置に戻る機構を有することを特徴とする化粧料容器。
【請求項6】
前記把持部が前記開口頚部に装着されると、前記化粧料塗布具の構成部品である前記操作部のその先端部が、前記容器本体の構成部品である前記収容部のその上面に当接しながら前記反対方向にスライド移動し、前記化粧用アプリケータ及び前記操作部が前記初期位置に戻ることを特徴とする請求項5記載の化粧料容器。
【請求項7】
前記開口頚部の内周面に当接する円筒部及びこの円筒部に連設され前記開口頚部の上面に当接する鍔部を備えると共に、前記円筒部の下部に、前記化粧用コームが通過する際に当該化粧用コームに付着した余分な化粧料を掻き落とすための掻取部を備えた中栓部を、前記容器本体の構成部品として具備すると共に、
前記スライド移動方向に移動可能とされて前記化粧用アプリケータの出現方向へのスライド移動により押し出される突出部を、前記容器化粧料塗布具の構成部品として具備し、
前記把持部が前記開口頚部に装着されると、前記突出部の下部が、前記中栓部の前記鍔部に当接しながら前記反対方向にスライド移動し、前記化粧用アプリケータ及び前記操作部が前記初期位置に戻ることを特徴とする請求項5記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−75556(P2012−75556A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221989(P2010−221989)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)