説明

化粧料塗布具

【課題】塗布部材を外れないように固定すると共に毛髪との接触面を多く露出させて化粧料を効率的に塗布でき、且つ、毛髪を梳く際にも毛が絡みにくい化粧料塗布具を提供する。
【解決手段】
弾性体よりなる塗布部材とこの塗布部材を装着可能な塗布部を備える本体部とを備えた化粧料塗布具であって、本体部は塗布部材を塗布部に係止する複数の係止部材と、塗布部長手方向に設けられる長手方向櫛歯と、塗布部先端の短手方向に設けられる短手方向櫛歯と、貫通孔と、を更に備えている化粧料塗布具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状化粧料を塗布するのに用いる化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に用いる化粧料においては、ヘアマニキュア、白髪染め、整髪料、等種々あり、それら毛髪用化粧料を毛髪に塗布する際には多数の櫛歯を備えた櫛あるいはブラシ等の塗布具を用いるのが一般的である。
【0003】
しかし、実際に毛髪へ化粧料を塗布する際には、これら櫛やブラシを用いる前にユーザ自らの手で化粧料を毛髪へ付着させた後に使用する場合も多く、ユーザは手に残った化粧料を洗い流す手間があった。
また、化粧料を塗布具に付着させて使用する場合は、櫛歯には充分な量の化粧料が付着しないことも多く、何度も塗布具に化粧料を付着させる手間がかかると共に効率も悪かった。
【0004】
上記のような問題を解決するために、化粧料を保持する為の部材を備えた塗布具が種々提案されている。
例えば、下記文献1には、塗布部5に複数の櫛歯6が一列に配設され、この櫛歯6の内部に設けられる通孔6a内に化粧料保持部材7が挿通して設けられることにより、化粧料保持部材7に含浸させた化粧料を毛髪に塗布することができる毛髪用化粧料塗布具が記載されている。
また、下記文献2には、液状体を保持する部材1と液状体が毛髪に接触するための部材2とを備えたヘアーブラシが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−164904号公報
【特許文献2】実開平4−123120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記文献1に記載の毛髪用化粧料塗布具では、櫛歯6の内部の通孔6a内に化粧料保持部材7が設けられていることから、櫛歯6によって化粧料保持部材7の露出面積が少なく、化粧料を毛髪に塗布する際にまとまった分量の化粧料を効率的に塗布することは難しかった。
【0007】
また、上記文献2に記載のヘアーブラシは、液状体を保持させる部材である液状体保持部材1をヘアーブラシに取り付ける際には凹部3に圧入する等して取り付けるもので、特別な部材を用いて取り付ける構成ではなく、塗布を繰り返す内に液状体保持部材1がヘアーブラシから外れてしまう虞があった。
【0008】
更に、粘度の高い毛髪用化粧料を塗布する場合などは、毛髪に化粧料を付着させながら毛髪を梳く動作を行うと櫛歯に毛髪が絡まるなどして毛髪を頭皮から抜いてしまうこが多々あり、改善が求められていた。
【0009】
そこで、化粧料を含浸させる塗布部材を外れないように係止し、毛髪と接触する面を多く露出させて化粧料を毛髪等へ効率的に塗布できると共に、化粧料を塗布しながら毛髪を梳く際にも毛が絡みにくい化粧料塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の化粧料塗布具としては、液状化粧料を含浸可能な弾性体よりなる塗布部材と、棒状の軸部、及び軸部の一方の端に備えられる把持部、及び軸部の他方の端に備えられる塗布部材を係止可能な塗布部を備える本体部と、を備えた化粧料塗布具であって、本体部の塗布部は、長手方向に列となり直立して設けられている複数の櫛歯から成る長手方向櫛歯と、塗布部先端の短手方向に列となり直立して設けられている複数の櫛歯から成る短手方向櫛歯と、貫通孔と、 その頂点部分には突起を形成して成り、塗布部材を塗布部に係止するための複数の係止部材と、を更に備え、係止部材の突起は、塗布部に塗布部材を係止する際に塗布部材の天面の端に位置するように設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、長手方向櫛歯は、塗布部に係止されている塗布部材の長手方向の両側に位置するように設けられていることを特徴としている。
【0012】
また、長手方向櫛歯は、短手方向に沿って複数列が塗布部に設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、塗布部材の天面は、塗布部に係止した際、長手方向櫛歯及び短手方向櫛歯における各櫛歯の頂点位置より低い位置にあることを特徴としている。
【0014】
また、係止部材は、塗布部材の長手方向の天面の端に突起が位置するように設けられていることを特徴としている。
【0015】
また、係止部材は、塗布部材の短手方向の天面の端に突起が位置するように設けられていることを特徴としている。
【0016】
また、係止部材は、塗布部材の長手方向及び短手方向の天面の端に突起が位置するように設けられていることを特徴としている。
【0017】
また、軸部は、軸線方向の途中で屈曲していることを特徴としている。
【0018】
また、軸部は、外周面軸線方向に延びるようにして少なくとも1以上の角部が形成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明をこのような構成とすることで、塗布部材が外れないように係止することを可能としつつ塗布部材の塗布面を多く露出させることを可能としている。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の化粧料塗布具は、係止部材の突起で塗布部材を塗布部に係止することを可能として塗布部材が塗布部から外れることを防止すると共に液状化粧料を毛髪等へ塗布する際に塗布部材が直接毛髪に触れる面積を多くすることが出来るので、効率的に液状化粧料を塗布することが可能となる。
また、塗布部材が弾性体となっており、長手方向櫛歯と短手方向櫛歯とが列となり直立して備えられていることで、液状化粧料を毛髪に塗布しつつ髪を梳く際に櫛歯に毛髪を絡みにくくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の化粧料塗布具の本体部をボトルに収めたときの全体である。
【図2】第1実施形態の化粧料塗布具の本体部の一部とボトルの断面図を正面から見たときの図である。
【図3】第1実施形態の本体部の斜視図である。
【図4】第1実施形態の本体部の(a)底面図、(b)側面図、(c)平面図である。
【図5】第1実施形態の本体部の塗布部を拡大して示している斜視図であり(a)は塗布部材を係止していない状態、(b)は塗布部材を係止している状態の図である。
【図6】本発明の化粧料塗布具の使用時における塗布部材の変位を説明するための図である。
【図7】第2実施形態の本体部の(a)側面図、(b)平面図である。
【図8】第2実施形態の本体部の斜視図である。
【図9】図7に示す軸部のA-A部分及びB-B部分の各断面図である。
【図10】第2実施形態の本体部をボトルに装着した際の断面図を正面から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0023】
図1は本発明の実施形態に係る化粧料塗布具をボトルに収めたときの全体図、図2は第1実施形態の化粧料塗布具の一部断面図とボトルの断面図、図3は第1実施形態の化粧料塗布具の斜視図、図4は第1実施形態の化粧料塗布具の底面図及び側面図及び平面図、図5は第1実施形態の化粧料塗布具の塗布部を拡大した図、図6は液状化粧料を塗布する際の塗布部材の変位を説明するための図、図7は第2実施形態の化粧料塗布具の側面図及び平面図、図8は第2実施形態の化粧料塗布具の斜視図、図9は第2実施形態のA-A及びB-B部分の断面図、図10は第2実施形態の本体部をボトルに装着した際の断面図である。
本実施形態においては、染毛料、毛髪用顔料、整髪料のような液状化粧料を毛髪に塗布する為の化粧料塗布具として説明していく。また、本願にいう液状化粧料とは、固形化粧料以外の粘性のある化粧料、半固形状の化粧料を含むものとする。
【0024】
まず、第1実施形態の化粧料塗布具100について説明する。
第1実施形態の化粧料塗布具100は、図1、図2に示すように、液状化粧料Aを内部に収容可能なボトル2と組み合わせて使用することを可能としている。
なお、本願発明の化粧料塗布具100と組み合わせ可能とされるのは、図示するボトル2以外にもジャー容器等、液状化粧料を収容可能な容器であればボトル型に限定されるものではない。
【0025】
図2〜図5には、第1実施形態の化粧料塗布具100の本体部1の一部断面図、全体図斜視図、三面図、拡大図を示している。そして、これらの図に示すように本体部1は、棒状の軸部3と、この軸部3の一方の端に備えられ本体部1の使用時にユーザが把持する部位としての役割を担う把持部4と、軸部3の他方の端に備えられ毛髪に直接接触して液状化粧料を塗布し、毛髪を梳く役割を担う塗布部材6を係止可能な塗布部5と、から構成されている。
【0026】
軸部3は、断面が丸い棒状であり、軸線方向の途中で軽く屈曲しており、この屈曲している部分を挟んで基部側3aと先端側3bとに分かれている。また軸部3は、これら基部側3aと先端側3bの軸線が平行となるように平行にシフトした形状(クランク状)とされている。このように軸部3をクランク状とすることで、ユーザが毛髪を梳く場合において、毛髪に塗布部5を接触させやすくなる。
【0027】
そして、図2に示すように、軸部3の一方の端(基部側3aの端)には図面上方に向けて若干の先細り形状をした栓体3cが設けられ、この栓体3cの外周面には後述する把持部4の突条4cと係合可能な突条3dが軸線方向に複数形成されている。
また、図5に示すように、先端側3bには塗布部5に塗布部材6が係止された際に塗布部材6の軸線方向の動きを規制する為の壁3eが備えられている。
【0028】
把持部4は、一方側に開口部4aを有した円筒状の外形を成し、この開口部4a近傍の内周面に図2に示すボトル2の雄螺子2aと螺合結合可能な雌螺子4bが形成されており、さらに内周面には上述した軸部3の栓体3cに形成されている突条3dと係合可能な突条4cが形成されている。
そして、このような構成の把持部4を軸部3の栓体3c(軸部3の一方の端)に開口部a側から嵌め込むことで、把持部4と軸部3は、突条3dと突条4cとの係合により周方向回転不能に係合されると共に軸線方向移動不能に係合される。つまり、把持部4と軸部3とが一体となる。
【0029】
このように本体部1は、把持部4と軸部3が一体となり、把持部4の雌螺子4bとボトル2の雄螺子2aとが螺合結合可能な構成であることから、本体部1とボトル2とが着脱自在に係合可能となるものである。
【0030】
塗布部5は、軸部3の把持部4が備えられるのとは反対側である他方の端(先端側3bの端)に備えられるもので、塗布部材6を係止して使用される。
この塗布部5の構成としては、軸部3の先端側3bの端から軸線方向に水平に延びる台座部5eと、この台座部5eから垂直方向に直立して設けられる毛髪をとかす為の長手方向櫛歯5a及び短手方向櫛歯5bと、塗布部5に係止される塗布部材6を係止する為の係止部材5cと、を主な構成要素としている。
【0031】
台座部5eは、図4(b)に示すように、軸部3の先端側3bから軸線方向に水平に延びており、軸部3の先端側3bと台座部5eとは同一軸状に形成されている。つまりは台座部5eも、軸部3の先端側3bと同様に、軸部3の基部側3aの軸線と平行となる。
また、この台座部5eには、図4(a)(b)に示す、貫通孔5dが複数備えられている。この貫通孔5dは液状化粧料を通過させることが可能な孔として形成されている。
【0032】
なお、図4(a)に示すように、本実施形態では貫通孔5dの形状を長方形としているが、これが円形や楕円形等でもよく液状化粧料を通過させる役割を果たせればその形状は特に限定しない。
【0033】
長手方向櫛歯5aは、図3〜図5に示すように、台座部5eから垂直方向に直立するように延びる複数の櫛歯が、台座部5eの長手方向の両端に列となり(塗布部5に係止されている塗布部材6の長手方向の両側に列となり)、形成されている。そして、この長手方向櫛歯5aの先端は、本実施形態では先細り形状としており毛髪をとかしやすい形状となっている。
【0034】
短手方向櫛歯5bは、図3〜図5に示すように、台座部5eから垂直方向に直立するように延びる複数の櫛歯が、台座部5eの先端部分の短手方向に列となり形成されている。そして、この短手方向櫛歯5bにおいても、長手方向櫛歯5bと同様に本実施形態では先細り形状とし、毛髪をとかしやすい形状となっている。
【0035】
係止部材5cは、図3〜図5に示すように、台座部5eから垂直方向に直立するようにして長手方向櫛歯5aの各櫛歯間に複数設けられており、その先端には台座部5eの内方向に突出している突起5caが形成されている。この突起5caによって後述する塗布部材6の上方への移動を規制する。
また、係止部材5cの垂直方向の高さ位置は、長手方向櫛歯5a及び短手方向櫛歯5bの垂直方向の高さ位置よりも低くなるように形成されている。
【0036】
そして、このような構成の塗布部5に塗布部材6が係止されることになる。
【0037】
塗布部材6は、図3〜図5に示すように長方形形状をしており、その素材は発泡ポリウレタン等の連続気泡性発泡材や繊維束が適しているが、一定量の液状化粧料Aを含浸し保持することができ、圧縮及び復元しやすい弾性を有するものであれば素材は特に限定しない。
【0038】
そして、塗布部材6は、図示するように周囲を長手方向櫛歯5a、短手方向櫛歯5b、係止部材5cが囲み、台座部5eの貫通孔5dを塞ぐようにして塗布部5に係止される。このとき係止部材5cの突起5caは、図3や図4に示すように塗布部材6の天面Tの端に位置するようにされ、塗布部5に係止される。また、塗布部材6は、天面Tを突起5caによって押さえ込まれることになるので、塗布部5に係止された塗布部材6の天面Tは、長手方向櫛歯5a及び短手方向櫛歯5bの頂点位置よりも低い位置にくるように係止される。
【0039】
ここまで説明してきた第1実施形態の化粧料塗布具100は、上記のような構成とすることで、少なくとも係止部材5cの突起5caにより塗布部5より外れないように塗布部材6を係止可能としていると共に塗布部材6の天面Tが図3や図4に示すように突起5ca以外に遮蔽物がなく毛髪に直接接触可能な面積を多くすることができるので、効率よく液状化粧料Aを塗布することができる。
更に、塗布部材6は、係止部材5cにより塗布部5に係止されているが、軸線方向への移動を短手方向櫛歯5bと図5に示す軸部3の壁3eとによって規制されることで、通常使用においては塗布部5から外れないような構成となっている。
そして、このような構成とすることで、本体部1の把持部4を除いた部分を1パーツで製造することを可能としている。つまり、本願発明の化粧料塗布具100は、把持部4を抜かした本体部1と把持部4と塗布部材6の3部品によって構成されるので、部品点数を抑え、製造コストを削減することができる。
【0040】
ここで、第1実施形態の化粧料塗布具100を実際に使用する際の態様について説明する。
まず、化粧料塗布具100は、ボトル2と螺合結合しボトル2内部に塗布部5が挿入される。このとき、図4(a)(b)に示すように塗布部5に貫通孔5dを設けていることで、塗布部材6の天面Tからだけではなく、貫通孔5dが設けられる塗布部5の底面からも液状化粧料Aを吸収することを可能としているので、塗布部材6の全体に液状化粧料Aを効率よく含浸させることができる。
【0041】
そして、化粧料塗布具100は、図2に示すようにボトル2に掻き取り部2b備えられていることから、化粧料塗布具100をボトル2から抜き取る際に長手方向櫛歯5a及び短手方向櫛歯5bに付着している余分な液状化粧料Aが掻き取り部2bによって掻き取られる。このとき化粧料塗布具100において、長手方向櫛歯5a及び短手方向櫛歯5bは、図4(b)に示すようにそれぞれの頂点位置が同一(側面視で頂点位置がフラットな状態)となっており、また、塗布部材6の天面Tが各櫛歯の頂点よりも低い位置にあるので、掻き取り部2bと塗布部材6が接触することは少なく、各節歯に付着している余分な液状化粧料Aを均等に掻き取ることが出来ると共に塗布部材6に含浸している液状化粧料Aが掻き取られることはない。
【0042】
次いで、化粧料塗布具100は、ボトル2から抜き取られた後、塗布部5をユーザの毛髪等に押し当てるようにして梳く動作を行うことで塗布部材6に含浸されている液状化粧料Aを毛髪に塗布できると同時に長手方向櫛歯5aと短手方向櫛歯5bによって毛髪を梳くことが可能となる。
なお、本体部1を使用して毛髪を梳く場合、特にことわりがなければ、塗布部5の軸線方向の横に直交する方向である横方向に本体部1を動かす操作のことをさすものとする。
【0043】
そして、本体部1においては、塗布部材6の天面Tを毛髪に押し当てながら本体部1を動かすことで液状化粧料Aを毛髪に塗布することになるが、このとき塗布部5に備えられる長手方向櫛歯5aと短手方向櫛歯5bの頂点位置を同一としていることから、図6(a)(b)のように、塗布部材6が垂直方向に均一に押しつぶされて含浸している液状化粧料Aが毛髪に均一に塗布することを可能としている。
また、塗布部材6は、弾性を有していることから、塗布部5を毛髪から離すことで、図6(c)に示すように塗布部材6の形状が復元する。このとき、各櫛歯の間に入り込んでいる毛髪は塗布部材6の復元力により各櫛歯の頂点方向へ押し出されることになるので、毛髪が櫛歯に絡まることを回避することができる。
【0044】
更に、また、化粧料塗布具100においては、毛髪の生え際などの狭い範囲をとかしたい場合等は、塗布部5を軸線方向へ移動させるようにして短手方向櫛歯5bを用いることで、簡単に狭い部分をとかす等の細かい作業も可能となる。
【0045】
次いで、第2実施形態の化粧料塗布具200について説明する。
第2実施形態の化粧料塗布具200は、第1実施形態の化粧料塗布具100と同様に図1に示すボトル2と組み合わせて使用することを可能としている。
なお、第2実施形態の化粧料塗布具200においては、図示するボトル2のように細長い形状の容器の使用を想定している。
【0046】
この第2実施形態の化粧料塗布具200と第1実施形態の化粧料塗布具100との違いは、図7〜図10に示すように化粧料塗布具200には、本体部201の軸部3の外周面に角部203が設けられている点である。その他の構成は、第1実施形態の化粧料塗布具100と同様の構成を有している。
なお、図7、図8には、塗布部5に塗布部材6が係止されていない化粧料塗布具200を示しているが、化粧料塗布具200の使用に際しては、当然塗布部5に塗布部材6が係止されて使用される。
【0047】
角部203は、図示すように、軸部3の屈曲している部分から先端側3bへかけて軸部3の外周面軸線方向に延びるようにして形成されている。このとき角部203は、図7(a)に表している軸部3の図面上の上側の外周面軸線方向に形成される。これは、図10に示すように、本体部201の軸部3をボトル2へ挿入したときに、屈曲することでボトル2の内周壁に最も近づく軸部3の先端側3bの外周面から基部側3aへ軸線方向に延びるようにして形成されるということでもある。
【0048】
図9は、図7(a)に示す軸部3のA-A部分の断面図であるが、この図9に示すように角部203はその断面視で鈍角な1つの角であり、軸部3の角部203が形成されている部分の断面で見ると涙型となっている。
【0049】
このような形状の角部203を設けた軸部3を有する本体部201は、細径で内部に液状化粧料Aを収容可能とし、この液状化粧料Aを撹拌する為の撹拌球Kを備えているボトル容器に使用されることを想定している。このようなボトル容器(図1及び図10に示すボトル2)においては、角部203を有していない断面が丸くボトル2の内周壁へ近づくように屈曲している軸部3をボトル2へ挿入すると、軸部3とボトル2の内周壁との距離は軸部3の基端側3aから先端側3bに向けて徐々に狭くなっていき、このような軸部3をボトル2から引き抜く際、軸部3とボトル2の内周壁の間に撹拌球Kが挟まり引き抜けない状態になる場合があった。
しかし、角部203を軸部3が備えることで、撹拌球Kが軸部3とボトル2の内周壁との隙間に入り込んできても、角部203の鈍角な角が撹拌球Kを軸部3とボトル2の内周壁との隙間から逃がすことが出来る。
【0050】
上述してきた、角部203を備える第2実施形態の化粧料塗布具200は、この角部203以外の構成は第1実施形態の化粧料塗布具100と同じであるので、化粧料塗布具100と同様の作用、効果を得ることが出来る。そして、角部203を備えることで、軸部3とボトル2の内周壁との隙間に撹拌球Kが挟み込まれることを防止することが出来るものである。
【0051】
また、本第2実施形態では、角部203は軸部3の屈曲している部分から先端側3bにかけて形成されているが、これが基端側3aから先端側3bにかけて軸部3の全長にわたって形成されてもよく、2以上の複数が設けられるようにしてもよい。
なお、角部203は、鈍角でなくても鋭角な角を有していても良く、また、撹拌球Kを軸部3とボトル2の内周壁との隙間に挟み込まないような形状であれば、角部203の角にアール(丸み)が形成されていてもよい。
【0052】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
塗布部5の構成として本実施形態では、長手方向櫛歯5aを、塗布部5に係止されている塗布部材6の長手方向の両側に一列ずつ備えているが、これが短手方向に沿うように複数列が形成されるようにしてもよい。つまり、例えば、長手方向櫛歯5aを塗布部材6の長手方向の両側に二列ずつ形成するとなると、塗布部5が備える長手方向櫛歯5aは計四列となる。
また、短手方向櫛歯5bの構成についても同様に、台座部5eの先端部分に長手方向に沿うように複数列が塗布部5に形成されるようにしてもよい。
【0054】
また、係止部材5cは、塗布部5の長手方向櫛歯5aの櫛歯の間に設けるだけではなく、軸線方向に設けるようにしてもよい。つまり、短手方向櫛歯5bの櫛歯の間や壁3eの前手付近に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,201 本体部、2 ボトル、2a 雄螺子、2b 掻き取り部、3 軸部、3a 基部側、3b 先端側、3c 栓体、3d 突条、3e 壁、4 把持部、4a 開口部、4b 雌螺子、4c 突条、5 塗布部、5a 長手方向櫛歯、5b 短手方向櫛歯、5c係止部材、5ca 突起、5d 貫通孔、5e 台座部、6 塗布部材、203 角部、100,200
化粧料塗布具、A 液状化粧料、T 天面、K 撹拌球


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状化粧料を含浸可能な弾性体よりなる塗布部材と、
棒状の軸部、及び該軸部の一方の端に備えられる把持部、及び該軸部の他方の端に備えられる前記塗布部材を係止可能な塗布部を備える本体部と、を備えた化粧料塗布具であって、
前記本体部の前記塗布部は、
長手方向に列となり直立して設けられている複数の櫛歯から成る長手方向櫛歯と、
前記塗布部先端の短手方向に列となり直立して設けられている複数の櫛歯から成る短手方向櫛歯と、
貫通孔と、
その頂点部分には突起を形成して成り、前記塗布部材を前記塗布部に係止するための複数の係止部材と、
を更に備え、
前記係止部材の前記突起は、前記塗布部に前記塗布部材を係止する際に該塗布部材の天面の端に位置するように設けられていることを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記長手方向櫛歯は、前記塗布部に係止されている前記塗布部材の長手方向の両側に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記長手方向櫛歯は、短手方向に沿って複数列が前記塗布部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記塗布部材の天面は、前記塗布部に係止した際、前記長手方向櫛歯及び前記短手方向櫛歯における各櫛歯の頂点位置より低い位置にあることを特徴とする請求項1〜3に記載の化粧料塗布具。
【請求項5】
前記係止部材は、前記塗布部材の長手方向の天面の端に前記突起が位置するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4に記載の化粧料塗布具。
【請求項6】
前記係止部材は、前記塗布部材の短手方向の天面の端に前記突起が位置するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4に記載の化粧料塗布具。
【請求項7】
前記係止部材は、前記塗布部材の長手方向及び短手方向の天面の端に前記突起が位置するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4に記載の化粧料塗布具。
【請求項8】
前記軸部は、軸線方向の途中で屈曲していることを特徴とする請求項1〜7に記載の化粧料塗布具。
【請求項9】
前記軸部は、外周面軸線方向に延びるようにして少なくとも1以上の角部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8に記載の化粧料塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−232104(P2012−232104A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254316(P2011−254316)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】