説明

化粧料塗布具

【課題】カプセル容器内の化粧料を手や指を汚すことなく容易に塗布でき且つ破断後の薄膜除去を容易とし且つ長期に亘って使用できランニングコストを低減する。
【解決手段】受け部材1の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器を、破断部材2の爪12を受け置き部4に進ませて破断し、内部から現れる化粧料を受け部材1の孔8を通過させて塗布部9に流出させて塗布に供し、カプセル容器内の化粧料を一旦手や指に受けることなく塗布具100から直接塗布する。また、受け置き部4で破断されたカプセル容器の薄膜を爪12に保持させ、爪12を受け置き部4から退かせることで、破断後の薄膜を、凹部のような狭い場所に指を入れることなく、取り出した状態で除去する。また、このように破断後の薄膜を受け置き部4から取り出し、次回の使用時に、新規なカプセル容器を受け置き部4に受け置き上記動作を行うことで、塗布具100の繰り返しの使用を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル容器に収容されている化粧料を、カプセル容器を破断して塗布するための化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状や粘性のある化粧料を、密閉容器に小分けにした使い捨てタイプの化粧品が知られている。例えば、以下の特許文献1に記載されている収納容器では、内容物である化粧料を収容した内容物容器を、受皿と成る外部保護容器の凹形状の収納部に入れ、覆い蓋により覆うことで閉塞収納して例えば携帯等も可能とし、使用の際には、収納部と外部とを連通する導出路を閉口している閉塞体を折り曲げ外部保護容器から分断することにより導出路を開口し、この状態で、手指等により、覆い蓋を押圧することで、内容物容器を、収納部内の底面に立設されている破断突起に押圧して突き破り、当該内容物容器から漏出する化粧料を導出路を通してその先端開口から外部に流出させて使用に供し、使用後の外部保護容器及び覆い蓋を、これらに収容され破断済み内容物容器と共にそのまま廃棄する使い捨て収納容器とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−175538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記収納容器にあっては、導出路の先端開口から流出する化粧料を例えば顔等の被塗布部に塗布する際に、一旦、手や指に受けてから塗布する必要があるため、手や指が汚れてしまう。また、このように、化粧料を、一旦、手や指に受けてから塗布するため、塗布が面倒である。さらに、内容物容器を破断するための外部保護容器及び覆い蓋が使い捨てであるため、毎回新しいものを用いる必要があり、ランニングコストが高くなる。
【0005】
そこで、本発明は、化粧料を収容した内容物容器であるカプセル容器を用いる場合に、カプセル容器内の化粧料を、手や指を汚すことなく容易に顔等の被塗布部に塗布できると共に、長期に亘って使用できランニングコストを低減できる化粧料塗布具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による化粧料塗布具は、化粧料を薄膜で覆い密閉したカプセル容器を、破断可能とする爪を備えた破断部材と、カプセル容器を受け置くことが可能な受け置き部を備えると共に、当該受け置き部で破断されたカプセル容器のその内部から現れる化粧料の通過を可能とする孔を備えた受け部材と、を具備し、爪は、受け置き部に進退可能であり、受け置き部に受け置かれたカプセル容器を破断した後、破断したカプセル容器の薄膜を保持することが可能な形状とされ、受け部材は、孔を通過した化粧料を塗布に供するための塗布部を備えることを特徴としている。
【0007】
このような化粧料塗布具によれば、化粧料を薄膜で覆って密閉し受け部材の受け置き部に受け置かれたカプセル容器は、破断部材の爪が受け置き部に進むことで破断され、この破断によりカプセル容器内から現れる化粧料は、受け部材の孔を通過して塗布部に流出し塗布に供される。このように、カプセル容器内の化粧料は、一旦手や指に受けることなく塗布具から直接塗布できるため、手や指を汚すことなく容易に顔等の被塗布部に塗布できる。また、受け部材の受け置き部で破断されたカプセル容器の薄膜は、破断部材の爪に保持されるため、爪を受け置き部から退かせることで、破断後の薄膜を、受け置き部を例えば凹部としたときに当該凹部のような狭い場所に指を入れることなく、取り出した状態で除去でき、破断後の薄膜を容易に除去できる。また、このように破断後の薄膜を受け置き部から取り出し、次回の使用時に、新規なカプセル容器を受け置き部に受け置き上記動作を行うことで、塗布具が繰り返し使用可能とされ、従って、塗布具を使い捨てすることなく長期に亘って使用でき、ランニングコストを低減できる。また、カプセル容器を用いた場合の塗布の多様化を図ることができる。
【0008】
ここで、爪は、カプセル容器の薄膜を突き刺して破断する破断爪と、破断爪を間に挟むように複数が設けられ、カプセル容器の破断後の薄膜を互いの間に挟持し保持するための保持爪と、を備えていると、破断爪により、カプセル容器の薄膜を突き刺して容易に破断する機能と、保持爪により、破断後の薄膜を保持爪同士の間に容易に挟持して保持する機能とを容易に発揮できる。
【0009】
また、破断部材の保持爪は、周方向に沿って複数が離間して並設され、受け部材は、当該受け部材の受け置き部に破断部材の爪が進んだときに、周方向に並ぶ保持爪同士の間の空間を埋めるように突出する突部を備えていると、受け置き部で破断されたカプセル容器のその内部から現れる化粧料は、突部により、周方向に並ぶ保持爪同士の間から押し出され、受け部材の孔を通して無駄なく塗布に供される。
【0010】
また、爪は、カプセル容器の薄膜を突き刺して破断すると共に、カプセル容器の破断後の薄膜をかえしにより保持する破断爪を備えていると、破断爪により、カプセル容器の薄膜が突き刺されて容易に破断されると共に、破断後の薄膜がかえしにより容易に保持される。
【0011】
また、破断部材及び受け部材は、把手となる破断部材把手部及び受け部材把手部をそれぞれ備え、破断部材の爪が受け部材の受け置き部へ進むように、破断部材把手部と受け部材把手部とが回動可能に連結されていると、受け部材の受け置き部に破断部材の爪が向かうように受け部材把手部に対して破断部材把手部が回動されることにより、受け部材の受け置き部に受け置かれたカプセル容器が破断部材の爪により容易に破断され、一方、破断されて爪に保持された薄膜は、受け部材の受け置き部から破断部材の爪が離れるように受け部材把手部に対して破断部材把手部が回動されることにより、受け置き部から容易に取り出される。このため、使用性を格段に向上することができる。
【0012】
また、受け部材の塗布部に塗布体を被覆するためのホルダ部材を備え、ホルダ部材は、把手となるホルダ部材把手部を有し、ホルダ部材把手部は、破断部材把手部及び受け部材把手部に対して着脱自在に取り付け可能とされているのが好ましい。このような構成を採用した場合、破断部材把手部及び受け部材把手部に対してホルダ部材把手部が取り付けられ、ホルダ部材により塗布体が受け部材の塗布部に被覆された状態で、受け部材の受け置き部に破断部材の爪が向かうように受け部材把手部及びホルダ部材把手部に対して破断部材把手部が回動されることによって、受け部材の受け置き部に受け置かれたカプセル容器が破断部材の爪により容易に破断され、カプセル容器内からの化粧料は、受け部材の孔を通過し塗布体を介して塗布に供され、塗布体を用いて塗布を行うことができると共に、カプセル容器を用いた場合の塗布の多様化を一層図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、カプセル容器内の化粧料を、手や指を汚すことなく容易に顔等の被塗布部に塗布でき、且つ、破断後の薄膜を容易に除去でき、且つ、塗布具を使い捨てすることなく長期に亘って使用できランニングコストを低減でき、且つ、カプセル容器を用いた場合の塗布の多様化を図ることができる化粧料塗布具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧料塗布具を示す斜視図であり、破断部材を開いた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す化粧料塗布具の側面図である。
【図3】図1及び図2に示す化粧料塗布具の正面図である。
【図4】図1〜図3の状態から破断部材を閉じた状態の化粧料塗布具を示す側面図である。
【図5】図4に示す化粧料塗布具の断面図である。
【図6】図1〜図5に示す化粧料塗布具からホルダ部材を取り外した分解斜視図である。
【図7】図1〜図6中の受け部材を上方から見た斜視図である。
【図8】図7に示す受け部材の側面図である。
【図9】図1〜図6中の破断部材を下方から見た斜視図である。
【図10】図1〜図6中のホルダ部材を示す平面図である。
【図11】図10に示すホルダ部材の側面図である。
【図12】図1〜図5の化粧料塗布具の使用方法を示す説明図である。
【図13】図12に続く使用方法を示す説明図である。
【図14】図13に続く使用方法を示す説明図である。
【図15】他の爪を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による化粧料塗布具の好適な実施形態について図1〜図15を参照しながら説明する。図1〜図6は、本発明の一実施形態に係る化粧料塗布具を示す各図、図7及び図8は、受け部材を示す各図、図9は、破断部材を示す斜視図、図10及び図11は、ホルダ部材を示す各図、図12〜図14は、化粧料塗布具の使用方法を示す説明図、図15は、他の爪を示す図であり、本実施形態の化粧料塗布具は、カプセル容器内の化粧料を顔等の被塗布部に塗布するためのものである。
【0016】
ここで用いられるカプセル容器C(図13参照)は、化粧料を薄膜Mで覆い密閉したものであり、1回の使用で1個が用いられる。薄膜Mは、ゼラチン、デンプン、グリセリン等から成る厚さ0.1〜0.8mmの可食性弾性膜で形成される。収容される化粧料は、ここでは、特に好適であるとして、スキンケア化粧料とされているが、スキンケア化粧料に限定されるものではなく、他の化粧料であっても良い。また、化粧料は、液状化粧料が好ましいが、ジェル(ゲル)状、ゼリー状、泥状等の半固形状や軟質状の化粧料であっても良く、要は、本発明に適用可能であれば化粧料の状態は限定するものではない。
【0017】
図1〜図5に示すように、化粧料塗布具100は、受け部材1と、破断部材2と、ホルダ部材3と、を備え、図5に示すように、これらが上下方向に重なるように配置されて1ユニットが構成されている。
【0018】
受け部材1は、カプセル容器Cを破断すべく受け置くためのものであると共に、破断により流出する化粧料を塗布に供するためのものであり、図1及び図5〜図8に示すように、スキーのジャンプ台のように傾斜して湾曲する形状を呈している。
【0019】
この受け部材1は、その先端に、カプセル容器Cを受け置くための凹状の受け置き部4を備えると共に、この先端の受け置き部4に連設されて後方に延びる部分が、把手である受け部材把手部5とされている。
【0020】
受け置き部4は、そのへこんでいる凹面6が、平面視略円形を成して上方に向かって開放され、破断部材2の後述の爪12の進入を可能とする大きさに形成されている。この凹面6には、爪12が受け置き部4に進んだ(凹部内に進入した)ときに当該受け置き部4の無駄な空間をなくすため(詳しくは後述)の突部7が、周方向に離間して複数設けられている。これらの突部7は、後述する保持爪14の個数と同じ個数(ここでは4個)が設けられ、凹面6を形成する内周面及び底面に連設されて、当該内周面の上部から底面の中心より手前の位置(底面の中心近傍の位置)に至るように傾斜する滑り台状に形成されている。
【0021】
また、受け置き部4は、凹状の受け置き部4内外を連通し、破断されたカプセル容器Cのその内部から現れる(流れ出る)化粧料を通過させるための孔8を複数備えている。これらの孔8は、受け置き部4の底部に設けられ、ここでは、上記突部7を除く位置に、平面視において受け置き部4の軸心を中心とした十文字を成すように並設されている(図7参照)。
【0022】
また、受け置き部4は、その外面が、多数の孔8を通過した化粧料を塗布に供するための塗布部9とされている。そして、この塗布部9は、角がない丸みを帯びた形状を呈している。
【0023】
一方、受け部材把手部5は、その後端部に、破断部材2を上下方向に回動させるヒンジHを構成するための円筒状の軸受部10を備えると共に、後方へ延在する部分の中程の両側面に、ホルダ部材3を係合するための係合突起11,11をそれぞれ備えている。
【0024】
破断部材2は、受け部材2の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器Cを、破断するためのものであり、図1〜図3、図5及び図9に示すように、受け部材1と同様に、スキーのジャンプ台のように傾斜して湾曲する形状を呈し、受け部材1の上に重ねて配置される。
【0025】
この破断部材2は、その先端で受け部材1の受け置き部4に対応(対面)する位置に、受け置き部4に対して進退し(凹部内に対して進退し)カプセル容器Cを破断可能とする爪12を備えると共に、この爪12を有する先端に連設されて後方に延びる部分が、把手である破断部材把手部15とされている。
【0026】
爪12は、平面視十文字を成す凸状の土台に受け置き部4に向かって突出する突起を設けたものであり、十文字の土台の中央(交差部)に位置し受け置き部4に向かって突出する破断爪13と、十文字の土台の4箇所の端部(破断爪13を間に挟む位置)に位置し受け置き部4に向かって突出する保持爪14と、を含む。
【0027】
破断爪13は、カプセル容器Cの薄膜Mを突き刺して破断するためのものであり、ここでは、円錐状に突出する鋭利な突起とされている。なお、破断爪13の形状は、薄膜Mを破断できる形状であれば良い。
【0028】
保持爪14は、破断後の薄膜Mを保持するためのものであり、互いの爪14,14同士の間に破断後の薄膜Mを挟持し得る形状とされている。そして、破断部材2の爪12を受け部材1の受け置き部4に進ませた(凹部内に進入させた)ときに、保持爪14を有する十文字の土台の周方向の空間部分S(図3参照)に、受け置き部4の突部7が位置して当該空間部分Sが埋められ、受け置き部4に無駄な空間が生じない構成とされている。
【0029】
一方、破断部材把手部15は、その後端部に、受け部材1に対して上下方向に回動するヒンジHを構成するための円筒状の軸受部16を備える。この軸受部16は、軸線方向に離間して一対が配設され、これら軸受部16,16同士の間に、受け部材把手部5の軸受部10が進入する構成とされている。
【0030】
この破断部材2の破断部材把手部15の軸受部16,16に対して、図1〜図6に示すように、受け部材1の受け部材把手部5の軸受部10が同軸に配置され、これらの軸受部10,16,16の軸孔にピン17(図5参照)が通されることで、当該ピン17により、破断部材2と受け部材1とが回動可能に支持されるヒンジHが構成され、このヒンジHによる破断部材2の受け部材1に対する回動によって、図1〜図3に示すように、破断部材2が受け部材1に対して離間する破断部材2の開状態と、図4及び図5に示すように、破断部材2が受け部材1に対して重なり破断部材2の爪12が受け部材1の受け置き部4へ進む(凹部内へ進入する)破断部材2の閉状態との2通りの態様をとることが可能とされている。
【0031】
そして、図6に示すように、受け部材1及び破断部材2により、カプセル容器Cを破断するための破断ユニットUが構成されている。
【0032】
ホルダ部材3は、受け部材1の塗布部9に塗布体20(図12〜図14参照)を被覆するためのものであり、図1〜図6、図10及び図11に示すように、受け部材1と同様に、スキーのジャンプ台のように傾斜して湾曲する形状を呈し、受け部材1の下に重ねて配置される。
【0033】
このホルダ部材3は、その先端に、受け部材1の下方に突出する受け置き部4が進入するための開口18を備えると共に、この開口18を有する先端に連設されて後方に延びる部分が、把手であるホルダ部材把手部19とされている。
【0034】
開口18は、平面視略円形を成し、進入した受け置き部4の外面(塗布部)9との間に、塗布体20を挟み込むことが可能な大きさとされている。
【0035】
ここで用いられる塗布体20は、化粧料を含浸可能で、含浸した化粧料を顔等の被塗布部に対して良好な感触をもって塗布できるものであり、ここでは、コットンとされているが、コットンに限定されるものではなく、例えば、スポンジや、ティッシュを数枚重ねたものであっても良い。
【0036】
一方、ホルダ部材把手部19は、図10に示すように、その後端部の両側部の内面に、破断ユニットUに対して上下方向に回動可能且つ着脱自在に取り付けるための凸部21,21を、内側に向かって突出するようにそれぞれ備えると共に、後方へ延在する部分の中程の両側部の内面に、破断ユニットUの受け部材1の係合突起11,11に係合するための係合突起22,22を、内側に向かって突出するようにそれぞれ備えている。
【0037】
このホルダ部材3は、そのホルダ部材把手部19の凸部21,21が、図6に示すように、破断部材2の両軸受部16,16の軸孔の外側部分に進入することで、破断ユニットUに対して上下方向に回動可能に連結される。また、図4及び図5に示すように、ホルダ部材3に対して破断ユニットUの受け部材1が重ねられることで、ホルダ部材3の係合突起22,22と受け部材1の係合突起11,11とが係合し(図3参照)、破断ユニットUとホルダ部材3とがユニット化される。
【0038】
そして、受け部材1及び破断部材2より成る破断ユニットU、及び、ホルダ部材3によって、図1〜図5に示す本実施形態の化粧料塗布具100が構成されている。
【0039】
このような構成を有する化粧料塗布具100を使用するにあたっては、先ず、図12に示すように、ホルダ部材3に対して、受け部材1に破断部材2を重ねて成る破断ユニットUを、受け部材1の係合突起11とホルダ部材3の係合突起22同士の係合に抗し、ホルダ部材把手部19の凸部21を支点として上方に回動させ、次いで、塗布体20をホルダ部材3の開口18を覆うように置き、次いで、ホルダ部材3に対して、破断ユニットUを下方に回動させ受け部材1の受け置き部4をホルダ部材3の開口18に進入させて、受け置き部4の外面である塗布部9とホルダ部材3の開口18を形成する周縁との間に、塗布体20を挟み込み、受け部材1の塗布部9に塗布体20を被覆した状態とする。
【0040】
このとき、破断ユニットUがホルダ部材3に上下方向に重なり、受け部材1とホルダ部材3とは、係合突起11,22同士の係合により一体化される。
【0041】
次いで、図13に示すように、一体化された受け部材1及びホルダ部材3に対して、破断部材2をヒンジHのピン17(図5参照)を支点として上方に回動させて開状態とし、次いで、カプセル容器Cを受け部材1の受け置き部4に受け置く。
【0042】
次いで、一体化された受け部材1及びホルダ部材3に対して、図14に示すように、破断部材2をヒンジHにより下方に回動させて閉状態とし、受け部材1の受け置き部4に破断部材2の爪12を進ませて(凹部内へ進入させて)当該受け置き部4のカプセル容器Cを押し潰す(図5及び図13参照)。
【0043】
このとき、カプセル容器Cの薄膜Mは、鋭利な破断爪13により突き刺されて破断しながら爪12の土台により押し潰され、カプセル容器C内の化粧料は受け部材1の受け置き部4の凹部内に流出する。このカプセル容器Cの破断により現れた化粧料は、受け部材1の複数の孔8を通過して塗布に供されるべく塗布部9に流出し、塗布体20に含浸される。
【0044】
この爪12の受け置き部4への進出(凹部内への進入)に際して、保持爪14を有する十文字の土台の周方向の4箇所の空間部分S(図3参照)に、受け置き部4の4個の突部7がそれぞれ位置するため、当該空間部分Sが埋められ、受け置き部4に無駄な空間が生じることはなく、受け置き部4に流出した化粧料は無駄なく孔8を通過し塗布体20に含浸される。
【0045】
そして、塗布にあたっては、使用者は、把手部5,15,19を重ねて持ち(図14参照)、塗布体20を顔等の被塗布部に当てることで、塗布体20に含浸した化粧料を塗布できる。この化粧料は、カプセル容器Cに密閉されて収容されていたため、フレッシュな化粧料として塗布できる。そして、把手部5,15,19を重ねて持って塗布体20を被塗布部に適度に押し当てることで、マッサージしながら化粧料を塗布することもできる。
【0046】
一方、受け部材1の受け置き部4の凹部内の破断後の薄膜Mは、受け置き部4に進んだ(凹部内に進入した)保持爪14,14同士の間に、潰れた状態で挟持されて保持される。
【0047】
従って、一体化されている受け部材1及びホルダ部材3に対して、破断部材2をヒンジHにより上方に回動させて開状態とすることで、破断後の薄膜Mは受け部材1の受け置き部4から取り出される。
【0048】
斯くの如く、一連の動作の際、すなわち、カプセル容器Cを破断する際、化粧料を塗布する際、破断後の薄膜Mを受け置き部4から取り出す際に、使用者の手を汚すことはない。
【0049】
そして、保持爪14,14同士の間に保持されている薄膜Mは、使用者により指で摘まれて容易に取り除かれる。
【0050】
なお、保持爪14は、ここでは、特に破断後の薄膜Mを保持するのが容易であるとして4個としているが、複数個であれば良く、破断爪13を間に挟むようにして設けられていれば良い。
【0051】
そして、次回の使用時には、新規なカプセル容器Cを受け部材1の受け置き部4に受け置き上記動作を行うことで、使い捨てすることなく化粧料塗布具100が繰り返し使用される。
【0052】
このように、本実施形態においては、受け部材1の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器Cは、破断部材2の爪12が受け置き部4に進むことで破断され、この破断によりカプセル容器C内から現れる化粧料は、受け部材1の孔8を通過して塗布部9に流出し塗布に供されるため、カプセル容器C内の化粧料は、一旦手や指に受けることなく化粧料塗布具100から直接塗布でき、手や指を汚すことなく容易に顔等の被塗布部に塗布できる。また、受け部材1の受け置き部4で破断されたカプセル容器Cの薄膜は、破断部材2の爪12に保持されるため、爪12を受け置き部4から退かせることで、破断後の薄膜Mを、凹部のような狭い場所に指を入れることなく、取り出した状態で除去でき、破断後の薄膜Mを容易に除去できる。また、このように破断後の薄膜Mを受け置き部4から取り出し、次回の使用時に、新規なカプセル容器Cを受け置き部4に受け置き上記動作を行うことで、化粧料塗布具100を繰り返し使用でき、従って、化粧料塗布具100を使い捨てすることなく長期に亘って使用でき、ランニングコストを低減できる。また、カプセル容器Cを用いた場合の塗布の多様化を図ることができる(以上第1の作用・効果)。
【0053】
また、本実施形態においては、爪12は、カプセル容器Cの薄膜Mを突き刺して破断する破断爪13と、破断爪13を間に挟むように複数が設けられ、カプセル容器Cの破断後の薄膜Mを互いの間に挟持し保持するための保持爪14と、を備える構成のため、以下の2通りの機能、すなわち、破断爪13により、カプセル容器Cの薄膜Mを突き刺して容易に破断する機能と、保持爪14により、破断後の薄膜Mを保持爪14,14同士の間に容易に挟持して保持する機能とを容易に発揮できる(第2の作用・効果)。
【0054】
また、破断部材2の保持爪14は、周方向に沿って複数が離間して並設され、受け部材1は、当該受け部材1の受け置き部4に破断部材2の爪12が進んだときに、周方向に並ぶ保持爪14,14同士の間の空間Sを埋めるように突出する突部7を備えていため、受け置き部4で破断されたカプセル容器Cのその内部から現れる化粧料は、突部7により、周方向に並ぶ保持爪14,14同士の間から押し出され、受け部材1の孔8を通して無駄なく塗布に供される(第3の作用・効果)。
【0055】
また、破断部材2の爪12が受け部材1の受け置き部4へ進むように、破断部材把手部15(破断部材2)と受け部材把手部5(受け部材1)とが回動可能に連結されているため、受け部材1の受け置き部4に破断部材2の爪12が向かうように受け部材把手部5に対して破断部材把手部15が回動されることにより、受け部材1の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器Cが破断部材2の爪12により容易に破断され、一方、破断されて爪12に保持された薄膜Mは、受け部材1の受け置き部4から破断部材2の爪12が離れるように受け部材把手部5に対して破断部材把手部15が回動されることにより、受け置き部4から容易に取り出され、従って、使用性が格段に向上されている(第4の作用・効果)。
【0056】
また、受け部材1の塗布部9に塗布体20を被覆するためのホルダ部材3を備え、ホルダ部材3はホルダ部材把手部19を有し、ホルダ部材把手部19は、破断部材把手部15及び受け部材把手部5に対して取り付け可能とされているため、破断部材把手部15及び受け部材把手部5に対してホルダ部材把手部19が取り付けられ、ホルダ部材3により塗布体20が受け部材1の塗布部9に被覆された状態で、受け部材1の受け置き部4に破断部材2の爪12が向かうように受け部材把手部5及びホルダ部材把手部19に対して破断部材把手部15が回動されることによって、受け部材1の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器Cは破断部材2の爪12により容易に破断され、カプセル容器C内からの化粧料は、受け部材1の孔8を通過し塗布体20を介して塗布に供され、塗布体20を用いて塗布を行うことができると共に、カプセル容器Cを用いた場合の塗布の多様化を一層図ることができる(第5の作用・効果)。
【0057】
因みに、本願発明に使用されるようなカプセル容器Cに適用するのに好適な化粧料としては、レチノールやビタミンCの成分を含む化粧料が挙げられる。レチノールは酸素に触れることで酸化が起こりやすいため、レチノールを含む化粧料1回分を使い切れるように小分けしてカプセル容器Cに収容することで酸化を防ぐことができる。また、ビタミンCは光に弱いため、ビタミンCを含む化粧料をカプセル容器Cに収容して光を遮断することで、使用時には常に新鮮な化粧料として使用することができる。
【0058】
ここで、他の実施形態として、図1〜図5に示すように、塗布体20を用いない状態で使用することも可能である。すなわち、塗布体20がなく露出している受け部材1の塗布部9を、顔等の被塗布部に直接当てることで、孔8からの化粧料を塗布することができる。このとき、直接被塗布部に当たる塗布部9には角がないため、心地よい感触で塗布できる。また、把手部5,15,19を重ねて持って塗布部9を被塗布部に適度に押し当てることで、マッサージしながら化粧料を塗布することもできる。そして、当該他の実施形態においても、上記第1〜第4の作用・効果も同様に奏する。
【0059】
また、ホルダ部材把手部19が、破断部材把手部15及び受け部材把手部5に対して着脱自在に取り付け可能とされているため、さらに他の実施形態として、図6に示すように、ホルダ部材3のホルダ部材把手部19の凸部21,21(図10参照)を破断部材2の両軸受部16,16の軸孔の外側部分から抜脱することで、ホルダ部材3を、受け部材1及び破断部材2から成る破断ユニットUから取り外し、この状態で、使用者が把手部5,15を重ねて持ち、露出している受け部材1の塗布部9を、顔等の被塗布部に直接当てることで、孔8からの化粧料を塗布することができる。そして、当該さらに他の実施形態においても、上記他の実施形態とほぼ同様な作用・効果を奏する。
【0060】
図15は、他の爪を示す正面図である。図15に示す爪32は、中央に破断爪33を有すると共に、この破断爪33を間に挟むように複数(ここでは4個)の周囲爪34を有する。
【0061】
破断爪33は、矢印状を成し、円錐状に突出する鋭利な突起の根元側にかえし35を備えたものである。このかえし35は、突き刺さったものが抜けないように保持するためのものである。
【0062】
そして、ここでは、破断爪33は、カプセル容器Cの薄膜Mを突き刺して破断する機能に加えて、破断後の薄膜Mの抜けを阻止し保持する機能を有する。また、周囲爪34は、ここでは、受け置き部4の突部7とともに専ら受け置き部4の無駄な空間を埋めるように機能する。
【0063】
このような爪32を用いると、破断爪33により、カプセル容器Cの薄膜Mが突き刺されて容易に破断されると共に、破断後の薄膜Mがかえし35により容易に保持される。
【0064】
なお、ここでは、破断爪33が破断後の薄膜Mを保持するが、保持爪34が薄膜Mを挟持することで、薄膜Mの保持を補助するようにしても良い。
【0065】
因みに、破断爪13,33が受け部材1の受け置き部4の底面に立設される構成では、次回の使用時に、新規なカプセル容器Cを受け置き部4に受け置く際に指が破断爪13,33に接触し指を傷める虞があり、また、破断後の薄膜Mが受け置き部4に残される場合には、破断後の薄膜Mを受け置き部4の凹部内に指を入れて取り出す必要があり、この際に指が破断爪13,33に接触し指を傷める虞があるが、本実施形態では、そのような虞は解消されている。
【0066】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、破断部材2と受け部材1の端部同士を回動可能に連結し、受け部材1の受け置き部4に受け置かれたカプセル容器Cを、回動する破断部材2の爪12,32により破断して保持し、破断後の薄膜Mを保持した爪12,32を回動しながら受け置き部4から取り出すようにしているが、例えば、破断部材の爪と受け部材の受け置き部を対向させ受け部材に対して破断部材が直線状に進退するのを可能とするように連結し、受け部材の受け置き部に受け置かれたカプセル容器を、直線状に前進する破断部材の爪により破断して保持し、この薄膜を保持した爪を直線状に後退させながら受け置き部から取り出すようにすることも可能である。また、同様に、ホルダ部材に対して受け部材及び破断部材を直線状に進退可能に連結することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…受け部材、2…破断部材、3…ホルダ部材、4…受け置き部、5…受け部材把手部、7…突部、8…孔、9…塗布部、12,32…爪、13,33…破断爪、14…保持爪、15…破断部材把手部、19…ホルダ部材把手部、20…塗布体、34…周囲爪、35…かえし、100…化粧料塗布具、C…カプセル容器、H…ヒンジ、M…薄膜、U…破断ユニット(受け部材及び破断部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を薄膜で覆い密閉したカプセル容器を、破断可能とする爪を備えた破断部材と、
前記カプセル容器を受け置くことが可能な受け置き部を備えると共に、当該受け置き部で破断された前記カプセル容器のその内部から現れる前記化粧料の通過を可能とする孔を備えた受け部材と、を具備し、
前記爪は、前記受け置き部に進退可能であり、前記受け置き部に受け置かれた前記カプセル容器を破断した後、破断した前記カプセル容器の前記薄膜を保持することが可能な形状とされ、
前記受け部材は、前記孔を通過した前記化粧料を塗布に供するための塗布部を備えることを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記爪は、前記カプセル容器の前記薄膜を突き刺して破断する破断爪と、
前記破断爪を間に挟むように複数が設けられ、前記カプセル容器の破断後の前記薄膜を互いの間に挟持し保持するための保持爪と、を備えることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記破断部材の前記保持爪は、周方向に沿って複数が離間して並設され、
前記受け部材は、当該受け部材の前記受け置き部に前記破断部材の前記爪が進んだときに、周方向に並ぶ前記保持爪同士の間の空間を埋めるように突出する突部を備えることを特徴とする請求項2記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記爪は、前記カプセル容器の前記薄膜を突き刺して破断すると共に、前記カプセル容器の破断後の前記薄膜をかえしにより保持する破断爪を備えることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項5】
前記破断部材及び前記受け部材は、把手となる破断部材把手部及び受け部材把手部をそれぞれ備え、
前記破断部材の前記爪が前記受け部材の前記受け置き部へ進むように、前記破断部材把手部と前記受け部材把手部とが回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の化粧料塗布具。
【請求項6】
前記受け部材の前記塗布部に塗布体を被覆するためのホルダ部材を備え、
前記ホルダ部材は、把手となるホルダ部材把手部を有し、
前記ホルダ部材把手部は、前記破断部材把手部及び前記受け部材把手部に対して着脱自在に取り付け可能とされていることを特徴とする請求項5記載の化粧料塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−106891(P2013−106891A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256175(P2011−256175)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)