説明

化粧料塗布容器

【課題】化粧料ラインを安定して且つ容易に描画することができる化粧料塗布容器を提供する。
【解決手段】化粧料塗布容器は、充填領域に充填した化粧料を軟質材で形成されたペン先部から吐出するものである。このペン先部の形状にあっては、扁平状を呈する基端形状51と、基端形状51よりも先端側に設けられ扁平状を呈する先端形状52と、によって扁平円柱54を構成し、長軸L1,L2を含む平面55上において先端形状52の外縁と長軸L2との一交点56から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線57を設定し、そして、曲線57を通る切断面58で扁平円柱54を切断することにより立体形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料をペン先部から吐出する化粧料塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化粧料塗布容器としては、例えば特許文献1に記載されているように、容器(軸筒)内の充填領域に充填した液状の化粧料が、断面円形又は多角形で先細り形状のペン先部から吐出されるものが知られている。この化粧料塗布容器は、ペン先部の先端側が、該ペン先部の軸線方向に対して任意の角度で傾斜する平面で切断されて構成されている。これにより、この化粧料塗布容器では、使用時において、肌等の塗布対象に対するペン先部の保持角度を一定のまま回転することにより、化粧料ラインを任意の幅で描画することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−106115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記化粧料塗布容器では、使用時において、例えば肌等の塗布対象にペン先部が引っ掛かり、意図する化粧料ラインを上手く描画することが困難となる場合がある。そこで、近年、化粧料塗布容器として、化粧料ラインを安定して且つ容易に描画できるものが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、化粧料ラインを安定して且つ容易に描画することができる化粧料塗布容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る化粧料塗布容器は、容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、ペン先部の形状は、扁平状を呈する基端形状と、基端形状よりも先端側に設けられ扁平状を呈する先端形状と、によって扁平状の柱体を構成し、柱体において基端形状の長軸及び先端形状の長軸を含む平面上に、先端形状の外縁と該先端形状の長軸との一交点から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線を設定し、曲線を通る切断面で柱体を切断することにより立体形成されること、を特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る化粧料塗布容器は、容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、ペン先部の形状は、扁平状を呈する基端形状と、基端形状よりも先端側に設けられ扁平状を呈する先端形状と、によって扁平状の柱体を構成し、柱体において基端形状の長軸及び先端形状の長軸を含む平面上に、先端形状の外縁と該先端形状の長軸との一交点から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線を設定し、曲線を通る切断面と柱体との交線を先端面外縁として、当該先端面外縁と基端形状とを基準に立体形成されること、を特徴とする。
【0008】
このような本発明の化粧料塗布容器では、横断面外形が扁平状となるようペン先部が立体形成されることから、ペン先部を長軸方向において好適に撓らせることが可能となる。そして、当該ペン先部の先端面により、使用時に塗布対象に当接される塗布面が、先端側に膨む滑らかな曲面状となるよう好適に構成されることから、例えば塗布対象にペン先部が引っ掛かる等が抑制されると共に、種々の太さの化粧料ラインでもスムーズに肌当たりよく描画されることとなる。従って、本発明によれば、化粧料ラインを安定して且つ容易に描画することが可能となる。
【0009】
また、先端形状において一交点に対応する部分は、先端形状の外縁と該先端形状の長軸との他交点に対応する部分よりも、尖っていることが好ましい。この場合、塗布面を構成するペン先部の先端面は、その先端側が尖るように立体形成される。よって、細い化粧料ラインを特に容易に描画することが可能となる。
【0010】
また、柱体は、先端形状の短軸の長さが基端形状の短軸の長さよりも短くされて先細り形状とされていることが好ましい。この場合、ペン先部の形状が先細り形状で立体形成され、化粧料ラインを一層容易に描画することが可能となる。
【0011】
また、切断面は、長軸方向から見て、ペン先部の軸線方向に沿う方向を長手方向とする細長の塗布面を立体形成し、塗布面の先端には、頂点が形成されていることが好ましい。この場合、細い化粧料ラインを特に容易に描画することが可能となる。
【0012】
また、ペン先部は、先端側から見て、切断面で切断された柱体の先端面における中央に形成されて成る吐出口を有する場合がある。
【0013】
また、本発明に係る化粧料塗布容器は、容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、ペン先部は、横断面外形が扁平状で且つ側方視において刃状に形成され、その先端面が塗布面を構成し、塗布面は、先端側に膨むような曲面状とされ、塗布面の先端には、頂点が形成されていること、を特徴とする。
【0014】
この本発明の化粧料塗布容器では、横断面外形が扁平状となるようペン先部が立体形成されることから、ペン先部を長軸方向において好適に撓らせることが可能となる。そして、塗布面としてのペン先部の先端面が先端側に膨む滑らかな曲面状とされることから、例えば塗布対象にペン先部が引っ掛かる等が抑制されると共に、種々の太さの化粧料ラインでもスムーズに肌当たりよく描画されることとなる。よって、本発明においても、化粧料ラインを安定して且つ容易に描画できるという上記作用効果が奏される。さらに、塗布面の先端に頂点が形成されていることから、細い化粧料ラインを特に容易に描画することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、化粧料ラインを安定して且つ容易に描画することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧料塗布容器を示す縦断面図である。
【図2】図1の化粧料塗布容器におけるピストン前進時の状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の化粧料塗布容器におけるペン先部材を示す斜視図である。
【図4】(a)は図3のペン先部材の側面図、(b)は図3のペン先部材の底面図である。
【図5】(a)は図3のペン先部材の正面図、(b)は図3のペン先部材の背面図である。
【図6】(a)は図4(b)のVI(a)−VI(a)線に沿っての断面図、(b)は図4(a)のVI(b)−VI(b)線に沿っての断面図である。
【図7】ペン先の形状の立体形成を説明するための図である。
【図8】図7の続きを示す図である。
【図9】図8の続きを示す図である。
【図10】図9の続きを示す図である。
【図11】(a)はペン先の形状の立体形成の他の例を説明するための図、(b)は図11(a)の続きを示す図である。
【図12】図1の化粧料塗布容器の使用例を説明するための図である。
【図13】(a)は図1の化粧料塗布容器におけるペン先の第1変形例を示す斜視図、(b)は図1の化粧料塗布容器におけるペン先の第2変形例を示す斜視図である。
【図14】図1の化粧料塗布容器におけるペン先の第3変形例を示す斜視図である。
【図15】図1の化粧料塗布容器におけるペン先の第4変形例を示す斜視図である。
【図16】図1の化粧料塗布容器におけるペン先の第5変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る化粧料塗布容器を示す縦断面図、図2は図1の化粧料塗布容器におけるピストン前進時の状態を示す縦断面図である。図1に示すように、本実施形態の化粧料塗布容器100は、その内部に充填した化粧料Mを使用者の操作により適宜吐出する(押し出す)ものである。
【0019】
この化粧料Mとしては、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、アイシャドウ、ボディーペイント、エナメル、リップグロス、アイカラー、チークカラー、コンシーラー、ヘアーカラー等を始めとした種々の化粧料を用いることが可能であり、特に、非常に軟らかい(ジェル(ゲル)状、半固体状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状、及びこれらを含む練り状等の)ものを用いるのが好適である。また、化粧料Mとして、顔料、化粧料油剤、ワックス等に加え、揮発性溶剤(例えば、シクロペンタシロキサン等のシリコン油や、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油)を配合することにより、その持ちのよさを高めることができる。
【0020】
また、化粧料Mとしては、低粘度から高粘度のものを用いることができ、特に好ましいとして0.1N〜0.2N程度の硬度を有する化粧料Mを用いている。この化粧料Mの硬度は、化粧品において硬度を計るために使用される一般的な測定方法により求められるものである。ここでは、例えばFUDOH RHEO METER[RTC-2002D.D](株式会社レオテック社製)を測定器として用い、雰囲気温度25℃条件下にてφ3mmの鋼棒を6cm/minの速度で化粧料Mに深さ10mm程度挿入したときに当該化粧料Mに生じるピーク時の力(強度)を硬度(針入度)としている。
【0021】
図1,2に示すように、化粧料塗布容器100は、化粧料Mが充填される充填領域1xを内部に備えた先筒である充填部材1と、その前半部に充填部材1の後半部を内挿して当該充填部材1を軸線方向(前後方向)及び軸線回り回転方向(以下、単に「回転方向」ともいう)に係合し一体となるように連結する本体筒2と、この本体筒2の後端部に相対回転可能にして軸線方向に連結された操作筒3と、を外形構成として具備している。なお、「軸線」とは、化粧料塗布容器100の前後に延びる中心線を意味する(以下、同じ)。
【0022】
この化粧料塗布容器100は、その内部に、本体筒2(充填部材1でも可)と操作筒3との相対回転により軸線方向に移動する移動体6と、移動体6の前端(先端)部に装着されて充填領域1xの後端を形成するピストン7と、当該相対回転による移動体6の移動を可能とする螺合部としての螺子筒4と、当該相対回転に同期してクリック感を付与するクリック機構5と、を概略備えている。
【0023】
本体筒2は、円筒状に構成され、その軸線方向中央部の内周面に、充填部材1及び螺子筒4を回転方向に係合するためのものとして、周方向に多数の凹凸状が並設されて当該凹凸状が軸線方向に所定長延びるローレット2aを有している。また、本体筒2の先端部の内周面には、充填部材1を軸線方向に係合するための環状突部2bが設けられている。本体筒2の後部側の内周面には、操作筒3を軸線方向に係合するためのものとして、周方向に沿って延びる突部2cが形成されている。また、本体筒2の内周面において突部2cより前側には、螺子筒4を軸線方向に係合するためのものとして、周方向に沿って延びる突部2dが形成されている。
【0024】
操作筒3は、有底円筒状に構成され、その前端側に外径が小径とされる前端筒部3aを備え、この前端筒部3aの外周面には、本体筒2の突部2cに軸線方向に係合するための環状溝部3bが設けられている。また、操作筒3には、その底部中央に軸体3cが立設されている。軸体3cは、円柱体の外周面に軸線方向に延びる突条3dを複数有する横断面非円形形状とされ、この突条3dは、移動体6の回止め部の一方を構成する。
【0025】
また、操作筒3は、その内周面に、底部から先端側に向かって延びる突条3eを周方向に沿って八等配の位置に備えている。突条3eの先端部5aは、クリック機構5を構成する係合部とされる。この操作筒3は、その前端筒部3aから本体筒2に内挿され、その環状溝部3bが本体筒2の突部2cに係合することで、本体筒2に相対回転可能にして軸線方向に連結され装着されている。
【0026】
螺子筒4は、外側の円筒状を成す外側筒状体4aと、外側筒状体4aの先端部に設けられ内側の円筒状を成す内側筒状体4bと、を備えている。内側筒状体4bの内周面には、螺合部の一方を構成する雌螺子4cが設けられている。外側筒状体4aの外周面には、周方向の複数の位置に、本体筒2のローレット2aに回転方向に係合するための突条4dが形成されていると共に、後端面寄りの位置に、本体筒2の突部2dに軸線方向に係合するための環状溝部4eが形成されている。
【0027】
また、外側筒状体4aの内周面において後端部には、クリック機構5のクリックバネ部材5bを回転方向に係合するものとして、軸線方向に延びる凹部4fが周方向に沿って複数設けられている。この螺子筒4は、その後端部から本体筒2に内挿され、その環状溝部4eが本体筒2の突部2dに係合すると共に、その突条4dが本体筒2のローレット2aに係合することで、本体筒2に軸線方向及び回転方向に係合し一体となるよう装着されている。
【0028】
クリックバネ部材5bは、樹脂による射出成形品とされており、略円筒状に構成されている。クリックバネ部材5bの後端面には、操作筒3の突条3eの先端部5aに係合するクリック歯5cが、周方向に沿って複数設けられている。このクリックバネ部材5bの周壁には、略螺旋状のスリット5dが形成され、これにより、クリックバネ部材5bは、クリック歯5cを後方へ付勢する圧縮バネ部として機能する。また、クリックバネ部材5bの後端部の外周面には、螺子筒4の凹部4fに回転方向に係合するものとして、軸線方向に延びる突条5eが周方向に沿って複数設けられている。
【0029】
このクリックバネ部材5bは、その前端面が螺子筒4の内側筒状体4bの後端面に当接されるようにして螺子筒4に収容され、その突条5eが螺子筒4の凹部4fに係合することで、螺子筒4に対して回転方向に係合している。そして、この状態で、クリックバネ部材5bは、操作筒3の突条3eにより軸線方向に挟み付けられ、これにより、クリック歯12aは、後方側へ付勢されて、操作筒3の突条3eの先端部3fに対してクリック係合の状態となっている。
【0030】
移動体6は、円筒状に構成され、その前端部6aより後側から後端部に亘る外周面に、螺合部の他方を構成する雄螺子6bを備えている。また、移動体6の内周面には、周方向に沿って六等配の位置に、放射状に内側に突出するように配置され軸線方向に延びる突条6cが設けられ、この突条6cが、移動体6の回止め部の他方を構成する。この移動体6は、操作筒3の軸体3cに外挿されると共に螺子筒4の内側筒状体4bに内挿され、その雄螺子6bが螺子筒4の雌螺子4cと螺合している。これと共に、移動体6は、その突条6cが軸体3cの突条3d、3d間に係合し、操作筒3に軸線方向移動可能にして回転方向に係合し装着されている。
【0031】
ピストン7は、化粧料Mの色調とは異なる色調(例えば、白色)を有するPP(ポリプロピレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等で成形され、その後端面に凹設された凹部7aを有している。凹部7aの内周面には、移動体6に対し軸線方向に所定長だけ移動可能にして係合する環状突部7bが設けられている。このピストン7は、移動体6の前端部6aに外挿され、その環状突部7bが移動体6に軸線方向に係合することで、移動体6に対し軸線方向移動可能(所定の範囲内を移動可能)にして装着されている。
【0032】
充填部材1は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等の射出成形されたプラスチックで形成され、外囲を構成する外側充填筒10と、この外側充填筒10の内側で充填領域1xを画設する内側充填筒11と、充填部材1の先端部を構成し化粧料Mを塗布するためのペン先部材12と、を含んで構成されている。
【0033】
外側充填筒10は、円筒状の本体部10aと、当該本体部10aの前側に連続するテーパ部10bと、を有している。本体部10aは、その外周面において軸線方向中央に、本体筒2の環状突部2bに軸線方向に係合する環状凹部10cを有している。この本体部10aの外周面において後端部には、本体筒2のローレット2aに回転方向に係合するものとして、周方向に多数の凹凸状が並設されて当該凹凸状が軸線方向に所定長延びるローレット10dが設けられている。
【0034】
テーパ部10bは、先細りの錐台筒状を呈し、横断面外形が扁平円形状とされている。テーパ部10bの前端部には、断面扁平円形状の開口10eが形成されている。このテーパ部10bでは、軸線方向と直交する一方向A(図1の上下方向)が長軸方向とされ、軸線方向及び一方向と直交する他方向B(図2の上下方向)が短軸方向とされている。また、テーパ部10bは、化粧料Mの色調や有無(充填程度)を確認するためのものとして、その後端部の周壁を断面円形状で貫通する貫通孔から成る窓10fを有している。
【0035】
内側充填筒11は、透明材料で形成され、その内部の充填領域1xにおける化粧料Mが透けて見えるような透過性を有している。この内側充填筒11は、円筒状の本体部11aと、当該本体部11aの前側に連続するテーパ部11bと、当該テーパ部11bの前側に段差11cを介して連続する前端部11dと、を有している。本体部11aは、組付けの際に充填領域1x内のエアを外部へ排出するためのものとして、その後端部の周壁を断面円形状で貫通する貫通孔から成るエア排出孔11eを有している。
【0036】
テーパ部11bは、先細りの錐台筒状を呈し、横断面外径が扁平円形状とされている。前端部11dは、筒状を呈し、横断面外径が扁平円形状とされている。テーパ部11b及び前端部11dでは、上記一方向Aが長軸方向とされ、上記他方向Bが短軸方向とされている。この内側充填筒11は、外側充填筒10に内挿されて装着されている。なお、以下の説明では、上記一方向Aを長軸方向Aと称し、上記他方向Bを短軸方向Bと称す。
【0037】
図3〜6は、図1の化粧料塗布容器におけるペン先部材を示す各図である。図3〜6に示すように、本実施形態の充填部材1にあっては、上述したように、化粧料Mを塗布するためのものとして、軟質材で形成されたペン先部材12を備えている。軟質材としては、例えば、加硫により加熱し成形する熱硬化性の一般的なゴムや、プラスチックの一種であって熱により可塑化させ金型に流し込んで成形する熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0038】
一般ゴムとしては、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコンゴム(Si)が主として挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、オレフィン系エラストマー(TPO)、ウレタン系エラストマー(TPU)が主として挙げられる。中でも、ウレタン系エラストマーにおいては、ハードセグメントがポリウレタンでソフトセグメントがポリエステルタイプ又はポリエーテルタイプの2種類の何れを用いることができ、化粧料Mに対しては、ソフトセグメントがポリエーテルタイプのものが特に適している。
【0039】
このペン先部材12は、好ましいとして、JIS K 6253で規定されているタイプAデュロメータによる硬さが60±20とされている。ペン先部材12は、先端側に尖形のペン先(ペン先部)13と、ペン先13の基端側に段差14を介して連続する基端部16と、を含んでいる。
【0040】
ペン先13は、横断面外形が扁平円で且つ側方視において刃状に形成され、ここでは、横断面の長軸方向Aにおける一方側(図3において上側)が鋭角に尖る尖形状に形成されている。このペン先13では、その先端面により、使用者の肌等の塗布対象に当接される塗布面Sが構成されている。
【0041】
塗布面Sは、先端側に膨むと共に、ペン先13の横断面の短軸方向Bにおいては真っ直ぐ延びる曲面とされ、その先端には、頂点Pが形成されている。具体的には、塗布面Sにあっては、側方視(短軸方向B視)において、ペン先13の先端の尖部を構成する頂点Pから、基端側(後側)に向かいながら傾斜しつつ先端側に膨むようペン先13の基端まで延びる曲面とされている。かかる塗布面Sの軸線G方向に対する傾斜角度は、基端側に行くに従って小さくなっている。この塗布面Sは、長軸方向Aから見て、軸線G方向に沿う方向に細長の扁平円形状とされている(図4(b)参照)。換言すると、塗布面Sは、前後に細長の面形状を有している。
【0042】
また、ペン先13の両側面において塗布面Sの外縁から所定長基端側に亘る領域には、塗布面S側に先細りとなるよう傾斜するテーパ面17が形成されている。ペン先13の軸線G位置には、軸線G方向に沿って延在する断面円形の貫通孔18が形成されている。この貫通孔18における塗布面Sの開口部分は、化粧料Mを吐出するための吐出口18aを構成する。
【0043】
吐出口18aは、先端側(軸線G方向)から見て、塗布面Sの中央位置に形成されており、長軸方向における他方側が膨らむような滴状とされている(図5(a)参照)。また、吐出口18aは、長軸方向Aから見て、塗布面Sに沿った扁平円形状(長円)とされている(図4(b)参照)。
【0044】
基端部16は、筒状を呈し、その横断面外形がペン先13よりも大径の扁平円形状とされている。この基端部16の外周面において前端から中央に亘る領域には、上記外側充填筒10のテーパ部10bに係合するものとして、先細りとなるよう傾斜するテーパ面19が形成されている。基端部16の筒孔20は、貫通孔18よりも大径に形成されており、貫通孔18に連通するように軸線G方向に沿って延在している。
【0045】
図1,3に示すように、このペン先部材12は、そのペン先13が外側充填筒10の開口10eに内挿されることで、外側充填筒10に対し回転方向に係合されて装着されている。また、その基端部16の筒孔20が内側充填筒11の前端部11dに外挿されることで、内側充填筒11に対し回転方向に係合されて密着されている。このとき、このペン先部材12は、その段差14が外側充填筒10のテーパ部10bの前端部に軸線方向に係合されていると共に、その基端部16の後端面が内側充填筒11の段差11cに軸線方向に係合され、これにより、外側充填筒10及び内側充填筒11により軸線方向に挟持され保持されている。
【0046】
このような外側充填筒10、内側充填筒11及びペン先部材12を備えた充填部材1においては、内側充填筒11を先端側で栓をして塞いで充填領域1xに化粧料Mを後側から注入した後、当該栓を外し、この内側充填筒11をペン先部材12が装着された外側充填筒10に組み込むことで、化粧料Mが充填される。
【0047】
そして、化粧料Mが充填された充填部材1にあっては、その後部側から本体筒2に内挿され、その外側充填筒10の環状凹部10cが本体筒2の環状突部2bに係合すると共に、その外側充填筒10のローレット10dが本体筒2のローレット2aに係合することで、本体筒2に対し軸線方向及び回転方向に係合されて装着され、当該本体筒2と一体化される。
【0048】
これと共に、充填部材1は、その内側充填筒11の後端部に、ピストン7が気密に密着するようにして内挿されて装着される。このとき、上述したように、内側充填筒11の後端部にエア排出孔11eが設けられていることから、充填領域1x内の化粧料Mとピストン7との間にエアが存在する場合でも、かかる間からエアをエア排出孔11eを介して適度に逃がすことができ、充填領域1xの内圧が高まるのを抑制することができる。そして、充填部材1は、その先端側からキャップCが取り付けられる。
【0049】
次に、上述したペン先部材12におけるペン先13の形状を立体形成する場合(方法)について説明する。なお、ここでの説明においては、ペン先13にテーパ面17が形成されていない実施例として説明する。
【0050】
図7〜10は、ペン先の形状の立体形成を説明するための図である。本実施形態では、ペン先13の形状の立体形成に際し、好ましいとして、サーフェス系CAD(Computer Aided Design)を用いており、例えば、ライノセラス(RobertMcNeel & Associates製ソフトウェア)を用いている。
【0051】
まず、図7に示すように、ペン先13の軸線G方向基端(図示右側)に対応する位置に、長軸L1及び短軸H1を有し且つ中心に向かって円形を平らに変形させた扁平状の基端形状51を描く。続いて、基端形状51に対し軸線G方向先端側(図示左側)に一定距離だけ離間する位置に、当該基端形状51と平行で長軸L2及び短軸H2を有し且つ中心に向かって円形を平らに変形させた扁平状の先端形状52を描く。
【0052】
このとき、基端形状51の長軸L1の方向と先端形状52の長軸L2の方向とは、互いに等しくされており、ここでは、長軸方向Aとされている。また、基端形状51の短軸H1の方向と先端形状52の短軸H2の方向とは、互いに等しくされており、ここでは、短軸方向Bとされている。基端形状51及び先端形状52の長径(長軸L1,L2の長さ)は、互いに略等しくしている。一方、先端形状52の短径(短軸H2の長さ)は、基端形状51の短径(短軸H1の長さ)に対して短くしている。
【0053】
また、基端形状51は、楕円とする一方、先端形状52は、その長軸方向Aの一方側に、長軸方向Aの他方側よりも鋭角に尖る角部としての尖形部53を形成している。なお、基端形状51及び先端形状52が離間する一定距離は、ペン先13の軸線G方向長さに対応する距離としている。
【0054】
続いて、図8に示すように、基端形状51及び先端形状52により、これらを端面として有する先細り形状の扁平円柱(扁平状の柱体)54を構成する。そして、長軸L1,L2を含む平面55上において、先端形状52の外縁と長軸L2との一交点56から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線57を設定する。
【0055】
具体的には、平面55上において、先端形状52の尖形部53の端が長軸L2と交わる一交点56を通り、基端側に向かいながら傾斜しつつ先端側に凸となるよう膨らみながら延びる弧状の曲線57を、扁平円柱54の側面の基端側を通るように描画する。ここでの曲線57は、徐々に曲率が変化する自由曲線で描画されており、この自由曲線は、先端側から中央に向かい曲率半径が徐々に小さくなり、さらに、中央から基端側に向かい曲率半径が徐々に大きくなっている。
【0056】
続いて、図9に示すように、曲線57を通り短軸H1,H2方向に延びる切断面58で扁平円柱54を切断する。換言すると、平面55を基準にして側方向(当該平面55の法線方向)一方側及び他方側に曲線57をそれぞれ張り出して成る切断面58により、扁平円柱54を切断する。これにより、扁平円柱54と切断面58との交線(つまり、扁平円柱54が切断面58と交わる面の外形線)が先端面外縁Eとなる。そして、図10に示すように、基端形状51の中央と先端形状52の中央とを繋ぐように断面円形の貫通孔59を軸線G方向に沿って設け、軸線G方向から見て、切断面58で切断された扁平円柱54の先端面中央にて開口59aを設ける。
【0057】
以上により、横断面外形が扁平円で且つ側方視において刃状に形成されたペン先13が立体形成される。そして、切断面58で切断された扁平円柱54の先端面によって上記塗布面Sが構成され、一交点56によって上記頂点Pが構成され、開口59aによって上記吐出口18aが構成されることとなる。
【0058】
ちなみに、テーパ面17を有するペン先13については、例えば次のようにして立体形成することができる。すなわち、まず、基端形状51及び先端形状52の間に、扁平状の基端形状51の扁平率をさらに増加させた中間形状(中間扁平円)を描画し、基端形状51と中間形状とによって中間扁平円柱(扁平状の柱体)を構成する。続いて、平面55上において、中間形状の外縁と中間形状の長軸との一交点から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線を、中間扁平円柱の側面の基端側を通るように描画する。続いて、当該曲線を通り短軸H1,H2方向に延びる中間切断面で中間扁平円柱を切断し、これにより、ペン先中間体54’(図11参照)を立体形成し、中間切断面と中間扁平円柱との交線が中間切断面外縁E’(図11参照)となる。そして、当該中間切断面外縁E’と、上述の立体形成おいて切断面58で切断された扁平円柱54の先端面外縁Eと、の間にサーフェスを生成することで、ペン先13を立体形成する。
【0059】
或いは、図11(a),(b)に示すように、空間上において、基端形状51と中間切断面外縁E’と先端面外縁Eとを基準にしてそれらを結ぶガイドカーブにより、ペン先中間体54’とテーパ面17と塗布面Sとのサーフィスを生成することで、ペン先13を立体形成することも可能である。
【0060】
以上のように構成され図1に示す初期状態の化粧料塗布容器100にあっては、使用者によりキャップC(図1参照)が取り外され、本体筒2と操作筒3とが繰出し方向である一方向又は繰戻し方向である他方向に相対回転されると、螺子筒4の雌螺子4c及び移動体6の雄螺子6bから成る螺合部と操作筒3の突条3d及び移動体6の突条6cから成る回止め部との協働により、移動体6及びピストン7が前進又は後進する。
【0061】
このとき、相対回転に従って、操作筒3の突条3eの先端部5aと当該先端部5a側に付勢されるクリックバネ部材5bのクリック歯5cとがクリック係合を繰り返し、使用者にクリック感が与えられるため、当該クリック感により移動体6の前進具合、戻し具合、相対回転の回転量を感知することができる。このようなクリック機構5においては、クリック歯5cの数により間隔を調整することができ、また、繰戻しを防止したラチェット歯にしたり、任意な位置で定量のみ戻すことが可能な構造を採用することができる。
【0062】
そして、図2に示すように、移動体6及びピストン7を前進させると、充填部材1の充填領域1xに満たされた化粧料Mがペン先部材12の吐出口18aから吐出される。使用者は、この状態で、図12に示すように、ペン先13の塗布面Sを目のきわ等の塗布対象60に押し当てて化粧料ライン61を描画する。
【0063】
ここで、上述したように、本実施形態では、横断面外形が扁平円となるようペン先13が立体形成されることから、ペン先13を長軸方向Aにおいて好適に撓らせる(弾力を有し復元し易い状態にさせる)ことが可能となる。そして、当該ペン先13の先端面によって、塗布面Sが先端側に膨む滑らかな曲面状となるよう好適に構成されることから、例えば塗布対象60にペン先13が引っ掛かる等が抑制されると共に、種々の太さの化粧料ライン61でもスムーズに肌当たりよく描画されることとなる。従って、本実施形態の化粧料塗布容器100によれば、化粧料ライン61を安定して且つ容易に描画することが可能となる。
【0064】
また、このようにペン先13が長軸方向Aに撓ると、吐出口18aが短軸方向Bに圧縮・変形され、この圧縮・変形された吐出口18aから化粧料Mが少量ずつ吐出されるため、化粧料Mを塗布対象60に塗布する際、液切れする(かすれる)ことなく細く長い化粧料ライン61を描画することが可能となる。
【0065】
また、上述したように、ペン先13を立体形成する際、先端形状52において一交点56に対応する部分は、鋭角に尖る角部としての尖形部53とされており、先端形状52の外縁と長軸L2との他交点56’(図8参照)に対応する部分よりも尖っている。これにより、塗布面Sの先端側を尖るように立体形成して塗布面Sに頂点Pを形成でき、その結果、細い化粧料ライン61を特に容易に描画することが可能となる。
【0066】
また、上述したように、ペン先13を立体形成する際、短軸H2の長さが短軸H1の長さよりも短くされ、扁平円柱54が先細り形状とされている。これにより、ペン先13の形状を先細り形状で立体形成することができ、化粧料ライン61を一層容易に描画することが可能となる。
【0067】
また、上述したように、切断面58で扁平円柱54を切断することにより立体形成される塗布面Sは、長軸方向Aから見て、軸線G方向に沿う方向を長手方向とする細長の扁平円形状とされ、その先端には、頂点Pが形成されている。これにより、細い化粧料ライン61を一層容易に描画することが可能となる。
【0068】
また、上述したように、本実施形態では、内側充填筒11が透過性を有していると共に、外側充填筒10に窓10fが設けられている。よって、例えば販売時や使用時にキャップCを取り外した際、化粧料Mの色調や有無(充填程度)を、窓10fを介して確認することができる。さらに、上述したように、ピストン7が化粧料Mとは異なる色調で成形されていることから、化粧料Mの使用に伴ってピストン7が前進し当該ピストン7が窓10fから臨む位置まで到達すると、窓10fから現れる色調が化粧料Mの色調からピストン7の色調へと変化するため、化粧料Mの残量が少なくなったことを確認することが可能となる。なお、かかる色調の変化は、使い終わりの合図として用いることができる。
【0069】
また、上述したように、本実施形態のペン先13は、その両側面にテーパ面17を有しており、図4(b)に示すように、短軸方向Bにおいて一定の傾斜角度で先細りされるのではなく、その先端側で特に先細りするように構成されている。その結果、ペン先13の基端側の太さを維持し、ペン先13の剛性を高めることが可能となる。
【0070】
ところで、一般的に、ジェル状のアイライナー等の化粧料Mは、ジャータイプの容器に充填され、化粧料筆を別途用いて塗布されることが多い。このようなジャータイプの容器では、その開口が広口であるために揮発が早く成分変化し易いという虞や、化粧料筆の筆先が固まり使い難いという虞がある。この点、本実施形態では、揮発成分が化粧料Mに多く含まれている場合において、化粧料筆を用いることなく使用する分だけ吐出口18aから吐出させて使用できるため、化粧料Mを保護しつつ簡便に塗布することが可能となる。
【0071】
なお、外側充填筒10と内側充填筒11とは、2色異材質成形機により同時成形することができる。同様に、内側充填筒11とペン先部材12とは、2色異材質成形機により同時成形することができる。これらにより、化粧料塗布容器100の製造簡易化が可能となる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0073】
例えば、上記実施形態では、ペン先13を立体形成する際の切断面58(図9参照)が、曲線57を側方向の両側に張り出して成る面とされているが、これに限定されるものではなく、切断面58は、曲線57を通る面であればよい。例として、切断面58は、曲線57を頂部にして先端側に曲面的に膨らむような面としてもよく、この場合、図13(a)に示すように、ペン先13の塗布面Sは、曲線57に対応する部分を船底として曲面的に先端側に膨らむような形状で立体形成される。他の例として、切断面58は、曲線57を頂部にして基端側に曲面的に膨らむような面としてもよく、この場合、図13(b)に示すように、ペン先13の塗布面Sは、曲線57に対応する部分を船底として曲面的に基端側に窪むような形状で立体形成される。
【0074】
また、ペン先13は、図14に示すように、その先端部の周壁において長軸方向Aの頂点P(図3参照)に対応する側に、軸線方向に延在し且つ塗布面Sに開口するスリット71を有していてもよい。このスリット71は、先端側に行くに従って拡開するように形成されている。この場合、低粘度の化粧料Mを好適に保持及び吐出することが可能となる。
【0075】
さらに、ペン先13は、図15に示すように、その先端部の貫通孔18内面において長軸方向Aの頂点Pに対応する側に、軸線方向に延在し且つ塗布面Sに開口する溝72を有していてもよい。この溝72は、その深さが先端側に行くに従って深くなるように形成されている。この場合においても、低粘度の化粧料Mを好適に保持及び吐出することが可能となる。
【0076】
また、上記実施形態では、先端形状52に尖形部53を形成することによってペン先13の塗布面Sの先端に頂点Pを立体形成しているが、これに限定されるものではなく、後加工によって塗布面Sの先端に頂点Pを形成してもよい。
【0077】
また、上記実施形態は、本体筒2(容器前部)と操作筒3(容器後部)との相対回転で移動体6及びピストン7を移動させる容器とされているが、ノック機構で移動体6及びピストン7を移動させる容器であってもよい。また、充填部材1内に化粧料Mが含浸された中綿を設け、当該化粧料Mを中継芯による毛管現象でペン先13の吐出口18aから吐出させる容器でもよい。さらには、蛇腹状の調整機構を用い毛管現象でペン先13から化粧料Mを吐出させる容器でもよい。
【0078】
また、ペン先13の立体形成時に設定した曲線57(図8参照)は、平面55上において扁平円柱54の側面の基端側を通るように描画されているが、これに限定されるものではない。曲線57は、一交点56から基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨らむよう延びる弧状であれば、種々の軌跡を有していてもよい。
【0079】
また、化粧料Mとして、例えば、リップ、美容液、洗浄液、ネールエナメル、ネールケア溶液、ネールリムーバー、マスカラ、アンチエイジング、頭髪用化粧料、オーラルケア、マッサージオイル、角栓ゆるめ液、ファンデーション、スキンクリーム、マーキングペン等の筆記用具等のインク、液状の医薬品、泥状物等を用いた化粧料塗布容器に対しても、本発明は勿論適用可能である。
【0080】
また、上述した雄螺子及び雌螺子は、螺子山や螺子溝だけでなく、間欠的に配される突起群、又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山や螺子溝と同様な働きをするものであってもよい。上記において「中央」は、略中央を含んでおり、所定の偏りやズレを許容する広義のものを意図している。
【0081】
また、上記実施形態では、「扁平状」として、円形を平らに変形(扁平)させた楕円や長円等の扁平円形状を基本とし、先端形状52は楕円を変化させた尖形部を有する滴形状としているが、本発明の扁平形状にあっては、当該扁平円形状をさらに変化させた、細長い楕円リーフ形状や猫目形の細長い形状、略三角形状、略五角形状、略六角形状等の略多角形状を選択することができる。
【0082】
例えば、図16に示すように、基端形状151は長辺Y1及び短辺X1を有する扁平状の形状であり、先端形状152は長辺Y2及び短辺X2を有する扁平状の形状であり、扁平状の柱体154は基端形状151と先端形状152とを繋いで形成され横断面外形が短辺及び長辺を持つ扁平状の柱体であればよい。そして、図示するように、頂点を有する細長の略六角形状の基端形状151と、当該基端形状151よりも先端側に設けられ頂点を有する細長の略三角形状の先端形状152と、によって扁平状の柱体154を構成し、さらに先端側に膨らむような曲面状の塗布面を構成し、ペン先113の形状を立体形成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1x…充填領域、13,113…ペン先(ペン先部)、18a…吐出口、51…基端形状、52…先端形状、54…扁平円柱(扁平状の柱体)、55…平面、56…一交点、56’…他交点、57…曲線、58…切断面、100…化粧料塗布容器、151…基端形状、152…先端形状、154…扁平状の柱体、E…先端面外縁、H1…基端形状の短軸、H2…先端形状の短軸、L1…基端形状の長軸、L2…先端形状の長軸、M…化粧料、P…頂点、S…塗布面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、
前記ペン先部の形状は、
扁平状を呈する基端形状と、前記基端形状よりも先端側に設けられ扁平状を呈する先端形状と、によって扁平状の柱体を構成し、
前記柱体において前記基端形状の長軸及び前記先端形状の長軸を含む平面上に、前記先端形状の外縁と該先端形状の長軸との一交点から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線を設定し、
前記曲線を通る切断面で前記柱体を切断することにより立体形成されること、を特徴とする化粧料塗布容器。
【請求項2】
容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、
前記ペン先部の形状は、
扁平状を呈する基端形状と、前記基端形状よりも先端側に設けられ扁平状を呈する先端形状と、によって扁平状の柱体を構成し、
前記柱体において前記基端形状の長軸及び前記先端形状の長軸を含む平面上に、前記先端形状の外縁と該先端形状の長軸との一交点から、基端側に向かいながら傾斜し且つ先端側に膨むような弧状の曲線を設定し、
前記曲線を通る切断面と前記柱体との交線を先端面外縁として、当該先端面外縁と前記基端形状とを基準に立体形成されること、を特徴とする化粧料塗布容器。
【請求項3】
前記先端形状において前記一交点に対応する部分は、前記先端形状の外縁と該先端形状の長軸との他交点に対応する部分よりも、尖っていることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料塗布容器。
【請求項4】
前記柱体は、前記先端形状の短軸の長さが前記基端形状の短軸の長さよりも短くされて先細り形状とされていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の化粧料塗布容器。
【請求項5】
前記切断面は、長軸方向から見て、前記ペン先部の軸線方向に沿う方向を長手方向とする細長の塗布面を立体形成し、
前記塗布面の先端には、頂点が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の化粧料塗布容器。
【請求項6】
前記ペン先部は、先端側から見て、前記切断面で切断された前記柱体の先端面における中央に形成されて成る吐出口を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の化粧料塗布容器。
【請求項7】
容器内の充填領域に充填した化粧料を、軟質材で形成されたペン先部から吐出する化粧料塗布容器であって、
前記ペン先部は、横断面外形が扁平状で且つ側方視において刃状に形成され、その先端面が塗布面を構成し、
前記塗布面は、先端側に膨むような曲面状とされ、
前記塗布面の先端には、頂点が形成されていること、を特徴とする化粧料塗布容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−85964(P2012−85964A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237725(P2010−237725)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)