説明

化粧料容器、化粧料製品、及び絵柄要素

【課題】中皿に充填される透光性化粧料に外観上の興趣を添えることの可能な化粧料容器に関する技術を提供する。
【解決手段】化粧料容器は、透明な底部を有し且つ透光性化粧料が充填される中皿と、中皿を装着する凹状収容部を有する容器本体と、中皿の底部に設けられる絵柄要素と、容器本体に収容されて絵柄要素をその背面側から照明する光源とを備える。絵柄要素は、光源による照射光を遮断する背景領域部と、照射光を透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ中皿に充填される透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料容器、化粧料製品、及び絵柄要素に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を中皿に充填することでその化粧料を収容する化粧料容器が周知である。近年では、化粧料製品の商品価値を高め購買意欲を高める観点から、中皿に充填された化粧料に外観上の興趣を付与する技術が望まれている。例えば、ファンデーションやアイシャドー等の固形粉末状の化粧料を中皿に充填する場合、成形した化粧料表面にロゴや模様を施したり、多色充填を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−154930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、透光性化粧料を代表する化粧料として、例えばゲル(ジェル)状化粧料がある。ゲル状化粧料は、加熱溶解された状態で中皿に充填され、冷却固化した後もある程度の粘性を有する。従って、このようなゲル状化粧料を化粧料容器に収容する場合、化粧料表面にロゴや模様を施したり、多色充填を行うことは難しいのが実情である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、中皿に充填される透光性化粧料に外観上の興趣を添えることの可能な化粧料容器に関する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上述した課題を解決するために、光源による照射光を遮断する背景領域部と、この照射光を透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ中皿に充填される透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部とを有する絵柄要素を、中皿の底部に配置するようにした。
【0007】
より詳細には、本発明に係る化粧料容器は、透明な底部を有し且つ透光性化粧料が充填される中皿と、前記中皿を装着する凹状収容部を有する容器本体と、前記中皿の底部に設けられる絵柄要素と、前記容器本体に収容され、前記絵柄要素をその背面側から照明する光源と、を備え、前記絵柄要素は、前記光源による照射光を遮断する背景領域部と、該照射光を前記透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ前記中皿に充填される前記透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部と、を有する。
【0008】
本発明によれば、絵柄要素に照射される光源からの照射光は背景領域部において遮断され、絵柄表示領域部に形成されている透光部を透過する。中皿の底部は透明であるため、透光部を透過した光は中皿の底部及び透光性化粧料を順次透過する。その結果、ユーザには、透光性化粧料上に所定の絵柄模様が浮かび上がって見えるようになる。
【0009】
従って、化粧料容器に収容している透光性化粧料を眺める使用者に対して視覚的な楽しさを付与するという演出効果を発揮する。そして、このように中皿に充填された透光性化粧料の外観に興趣を添えることができる。その結果、化粧料製品の商品価値を高めることができ、ユーザの購買意欲を増幅させる効果も期待できる。
【0010】
また、前記絵柄要素の絵柄表示領域部には、前記光源による照射光を遮断する遮光部が前記透光部と混在する態様で構成されていても良い。この構成によれば、光源による非照明時において、絵柄表示領域部に付与されている絵柄模様を目立ちにくくすることができる。すなわち、非照明時においては透光性化粧料越しに絵柄要素を眺めたユーザに、絵柄表示領域部に付与されている絵柄模様を把握され難くすることができる。よって、光源から光を照射させた際には、透光性化粧料上に絵柄模様が鮮やかに浮かび上がることになり、その意外性によってユーザにより強いインパクトを与えることができる。
【0011】
また、例えば、前記絵柄表示領域部の前記透光部は、前記遮光部によって周囲を囲まれた多数の透明ドットであっても良い。また、前記絵柄表示領域部と前記背景領域部との境界部は前記透明ドットによって形成されても良い。また、前記絵柄表示領域部における前記遮光部に対する前記透光部の面積比は、前記絵柄表示部に付与される絵柄模様が前記光源の非照明時において視認されない値に調整されても良い。これらによれば、非照明時においては透光性化粧料越しに絵柄要素を眺めたユーザに、絵柄表示領域部に付与されている絵柄模様をより好適に認識され難くすることができる。その結果、中皿の底部に配置された絵柄要素に対して背面側から光を照射した際の上気した演出効果を、より顕著なものとすることができる。
【0012】
ここで、前記絵柄要素は、前記中皿の底部に配置されるシート状部材であっても良い。この場合、前記容器本体は、更に、前記凹状収容部の底部に形成され、前記中皿の底部下面との間に前記シート状部材を設置するためのシート設置部と、前記シート設置空間の下方に連通するように形成され、前記光源を設置するための光源設置部と、を有していても良い。また、前記シート設置部は前記シート状部材を着脱自在に構成されても良い。
【0013】
また、本発明は、上述までの何れかの化粧料容器の中皿に透光性化粧料を充填してなる、化粧料製品として捉えることができる。
【0014】
また、本発明は、化粧料容器に装着されると共に透光性化粧料が充填される中皿の透明な底部に配置するためのシート状の絵柄要素であって、前記化粧料容器に収容される光源からの照射光を遮断する背景領域部と、該照射光を前記透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ前記中皿に充填される前記透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部とを有する絵柄要素、として捉えることができる。
【0015】
また、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中皿に充填される透光性化粧料に外観上の興趣を添えることの可能な化粧料容器に関する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るコンパクト容器を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るコンパクト容器の断面構造を説明するための図である。
【図3】実施形態に係る絵柄シートを示す図である。
【図4】実施形態に係る絵柄シートのバリエーションを例示する図である。
【図5】実施形態の第一の変形例に係る絵柄シートを示す図である。
【図6】実施形態の第二の変形例に係る絵柄シートを示す図である。
【図7】実施形態の第二の変形例に係る絵柄シートのバリエーションを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。尚、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下の図面において、既述の図面に記載された部品と同様の部品には同じ番号を付す。また、以下に説明する本発明に係る化粧料容器の各実施形態の説明は、本発明に係る絵柄要素、化粧料製品の各実施形態の説明を兼ねるものである。
【0019】
図1は、実施形態に係るコンパクト容器(化粧料容器)1を示す斜視図である。本実施形態におけるコンパクト容器1は、光を透過する透光性を有する透光性化粧料を収容可能に構成されている。ここでは、透光性化粧料として、透明のゲル状化粧料であるリップグロスを例に挙げて説明する。なお、リップグロスとは、周知の通りリップメイクなどに使われるオイルゲル化粧料である。また、本実施形態におけるコンパクト容器1は、中皿にリップグロスを充填して収容する中皿充填方式を採用した化粧料容器である。
【0020】
コンパクト容器1は、リップグロスを収容する容器本体11、中皿12、蓋体13、容器本体11及び蓋体13を回転自在に連結するヒンジ構造14を備えている。中皿14は、リップグロスを充填する皿であり、透明の底部を有してなる。その他、蓋体13の内面にはミラーなどが設けられている。なお、この図においては、容器本体11には、二つの中皿12が装着されるように構成されているが、その数は適宜変更し得る設計事項である。
【0021】
図2は、コンパクト容器1の断面構造を説明するための図である。図2は、図1に示すコンパクト容器1をその短辺方向に平行かつ一の中皿を含む切断面の断面構造を模式的に示している。容器本体11は、図示のように、上下方向に二層構造となっている。以下、容器本体11の下層部を形成する部分を本体下層部16と称し、容器本体11の上層部を形成する部分を本体上層部17と称する。本体下層部16及び本体上層部17は、固定手段25によって固定されることで容器本体11が形づくられている。この固定手段25は、例えば、本体下層部16及び本体上層部17の何れかに形成される嵌合孔と、他方の部材に設けられると共に上記嵌合孔に嵌め込まれることで双方の部材を固定するための突起を含んで構成しても良い。
【0022】
容器本体11の本体上層部17には、中皿12を収容するための凹状の中皿収容部15が形成されている。この中皿収容部15に対して中皿12が着脱自在に設けられている。図示のように、中皿12の底部は、中皿収容部15の底面と所定の隙間が設けられる高さに保持するためのフランジ部材26によって保持されている。このフランジ部材26は、中皿収容部15の側面に沿って設けられ、中皿12の底部を受けるためのフランジ片である。フランジ部材26は、例えば中皿収容部15の側面のうち、後述する取り出し口22が形成される部位を除く三辺に沿うようにして水平に設けられている。
【0023】
容器本体11の本体下層部16には、発光装置18を収容するための空間である光源収容部19が形成されている。光源収容部19に収容される発光装置18は、光源181と、電源182とから主に構成されている。光源181には、いわゆる発光ダイオード(Light-emitting Diode:LED)を使用しているが、その他(例えば、白熱電球、蛍光ランプなど)の光源を適宜用いるようにしても良い。この実施形態では、光源181として発光ダイオードを用いるため、以下では光源181を「LED181」と記すことにする。また、電源182には、いわゆるボタン電池を使用しているが、これに関してもその他の電源を適宜採用することができる。
【0024】
図1に示すように、容器本体11の側面には、スイッチ21が設けられている。スイッチ21は、電源182からLED181への電力供給のONとOFFを切り替える装置である。電源182、LED181、及びスイッチ21は、図示しない配線ケーブルによって電気的に接続されている。ユーザは、スイッチ21のONとOFFを切り替えることで、LED181から光を照射させたり、その照射を停止させたりすることができる。LED181は、後述するように絵柄シートPSを、その背面側(図2において、下方側)から照明する。
【0025】
本体上層部17における本体下層部16との境界部分には、開口孔20が形成されており、この開口孔20を介して中皿収容部15と光源収容部19とが連通されている。すなわち、中皿収容部15と光源収容部19は、開口孔20によって空間的に繋がっている。本実施形態においては光源収容部19が本発明における光源設置部に相当する。
【0026】
ここで、中皿収容部15のうち、フランジ部材26により保持されている中皿12の底部と、中皿収容部15の底面との間に形成される空間を「シート設置部151」と称する。シート設置部151は、中皿収容部15における底面151近傍の空間である。シート設置部151の下方には、開口孔20を介して光源収容部19が連通している。
【0027】
本体上層部17の側面には取り出し口22が形成されている。この取り出し口22は、中皿収容部15(シート設置部151)と外部空間とを連通する開口である。コンパクト容器1のシート設置部151には、本図及び図3に示すような絵柄シートPSが装着されるようになっている。取り出し口22は、シート設置部151に装着された絵柄シートPSをコンパクト容器1の外部に取り出し、或いは逆に、外部からコンパクト容器1内に挿入するために利用される。
【0028】
詳しくは後述するが、絵柄シートPSは、中皿収容部15に装着される中皿12の底部に配置される絵柄要素であり、例えば薄い(例えば、厚さ0.1mm〜0.2mm程度)シート状部材である。絵柄シートPSの材質としては、例えばプラスチック、紙などを好適に採用することができるが、他の材料を用いるようにしても良い。
【0029】
取り出し口22の下端が位置する高さは、中皿収容部15の底面の高さと等しくなっている。また、取り出し口22の水平方向(横方向)の幅は、絵柄シートPSの幅に対して所定のクリアランス(例えば、0.5〜1.0mm程度)を見込んだ幅に設定されている。更に、取り出し口22の高さ方向(縦方向)の幅は、例えばユーザが絵柄シートPSを手で摘んだ状態で、円滑にこれを出し入れできるような幅に設定されている。但し、上記した取り出し口22の位置、寸法などに関しては適宜の設計変更を加え得る。
【0030】
以上のように、図1及び図2に示す構成では、絵柄シートPSが中皿12における底部、より具体的にはシート設置部151に対して着脱自在に構成されている。次に、本実施形態に係る絵柄シートPSについて詳しく説明する。図3に示すように、絵柄シートPSは、暗色かつ遮光性の背景領域部BAと、透光性であって所定の絵柄模様が付与されている絵柄表示領域部DAから構成されている。また、図2に示したように、絵柄シートPSには、その背面(中皿12に充填されるリップグロスに対向していない側であって、図中における下側の面)からLED181からの照射光によって照明される。
【0031】
図3に戻ると、絵柄シートPSの絵柄表示領域部DAは、LED181による照射光を透過する透明な透明部OPと、この照射光を遮断する暗色の遮光部LSとが混在する態様で構成されている。なお、本実施形態では、背景領域部BAも遮光部LSによって形成するようにしている。すなわち、遮光部LSは、背景領域部BAの全領域と絵柄表示領域部DAの一部分を構成している。そして、透明部OPは絵柄表示領域部DAの一部分、詳し
くは、絵柄表示領域部DAにおいて遮光部LSが形成されていない残りの部分を構成している。本実施形態においては透明部OPが本発明における透光部に相当する。
【0032】
遮光部LS及び透明部OPは、膜形成技術等の種々の方法で形成することができる。例えば、透明な樹脂製シートに対し、背景領域部BA及び絵柄表示領域部DAにおける所定の箇所に遮光性インク(例えば、光反射率の低い黒色インクなど)をスクリーン印刷等によって塗布することで遮光部LSを形成すれば、残りの部分に透明部OPを形成することができる。
【0033】
絵柄シートPSにおける絵柄表示領域部DAには、透明部OPによって所定の絵柄模様が付与されている。例えば、図3の例では、「モミの木」をモチーフとした絵柄模様が付与されているが、これは、透明樹脂シートに対して「モミの木」の外形をなす領域の外周部に上記遮光性インクを印刷して背景領域部BAとする。そして、絵柄表示領域部DAである「モミの木」の内部領域には、遮光性インクを用いてドット状の遮光部LSを多数点在させている。
【0034】
次に、絵柄シートPS及び発光装置18の使用方法について説明する。ユーザは、図2に示すように絵柄シートPSをシート設置部151に装着した状態で、図1に示すスイッチ21をONにする。そうすると、LED181が発光し、その照射光によって絵柄シートPSが背面側(下方側)から照明される。
【0035】
絵柄シートPSに照射されるLED181からの照射光は、遮光部LSにて遮断される。そして、絵柄表示領域部DAに形成されている透明部OPを通じてのみ、この照射光が透過する。ここで、中皿12の底部と、リップグロスは共に透光性を有するため、透明部OPを透過した透過光は、これらを順次透過する。その結果、ユーザには、リップグロス上に所定の絵柄模様(図3の例では、モミの木をモチーフとした絵柄模様)が浮かび上がって見えることになる。すなわち、本発明によれば、コンパクト容器1に収容しているリップグロス上に絵柄模様を浮かび上げることで、それを眺める使用者に対して視覚的な楽しさを付与するという演出効果を発揮できる。
【0036】
コンパクト容器1に収容する対象となるリップグロスは、所謂ゲル状化粧料であり粘度が比較的高い。そのため、化粧料自体にロゴや模様を付与したり、中皿12に化粧料を多色充填することは難しい。本発明によれば、そのようなリップグロスに対してもその外観に興趣を添えることができるので、コンパクト容器1にリップグロスを収容してなる化粧料製品の商品価値を高めることができ、また、ユーザの購買意欲を増幅させるという利益も享受できる。
【0037】
なお、本実施形態に係るコンパクト容器1、化粧料製品に関して、中皿12に充填される化粧料は透光性を有していればリップグロスに限られず、様々な化粧料を充填することが可能である。また、中皿12に充填する透光性化粧料は、無色透明であっても良いし、有色透明でも良く、また、半透明であっても構わない。また、絵柄模様を化粧料の表面に鮮明に出現させる観点から、光源(LED181)の輝度や発光量などに応じたリップグロスの光透過率の適正値を設定、及び調整しても好適である。
【0038】
特に、LED181が白色光を出力する場合、中皿12に充填するリップグロスを無色透明とするよりも有色透明とする方が、リップグロスの色とこれを透過してくる白色光とのコントラストが際立つため好適である。これにより、リップグロス上に浮かび上がる絵柄模様がより鮮明となる効果を奏する。また、透光性化粧料には、所謂ラメ剤やパール剤など、演出効果を発揮する色材が含有されても良い。
【0039】
更に、中皿12は、その底部が透明であれば良く、その他の部位が透明であるか否かは何れであっても良い。また、スイッチ21がONの状態に切り替えられた際のLED181の発光パターンは、点灯、点滅、或いはこれらを組み合わせたパターンなど、様々な発光パターンを採用することが可能である。
【0040】
なお、コンパクト容器1は、絵柄シートPSがシート設置部151における基準装着位置に確実にセットされるように、図2に示すような位置決め用突起27が、中皿収容部15の底面から上方に向かって突出している。この位置決め用突起27は、例えば、絵柄シートPSにおける複数の隅部(例えば、四隅)に形成される位置決め用孔(図3において、図示省略)に挿通されるように、位置決め用孔に対応する数だけ設けられている。
【0041】
ここで、位置決め用孔は、背景領域部BAのうち、LED181が発光してもその照射光に晒されない位置に設けられている。また、基準装着位置とは、LED181を発光させた場合に、その照射光が、絵柄シートPSにおける絵柄表示領域部DAの全域にくまなく照射されるような位置である。位置決め用突起27は、例えば、絵柄シートPSが基準装着位置にある状態で各位置決め用孔に挿通されるように位置決めされていると良い。これにより、ユーザが絵柄シートPSをコンパクト容器1に対して装着する際、各位置決め用突起27が各位置決め用孔に挿通させることで、ユーザが絵柄シートPSを上記基準装着位置へと確実にセットすることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係るコンパクト容器1では、絵柄シートPSをシート設置部151に対して着脱自在な態様で収納しているが、これによれば、以下のような付随的効果を奏することができる。図4は、モチーフの異なる絵柄模様が付与された絵柄シートPSのバリエーションを例示した図である。(a)は花びら、(b)はハート、(c)は月、(d)は流れ星の絵柄模様が付与されている。各図に示すように、モチーフの異なる絵柄模様が付与された絵柄シートPSを複数種類用意することで、各種イベント、或いはユーザの好み、ユーザの気分などに応じて、コンパクト容器1に装着する絵柄シートPSの種類を交換することができる。ユーザは、例えば、クリスマスというイベント時には、モミの木やベル、リーフ(図示せず)などをモチーフとした絵柄シートPSをコンパクト容器1に装着することで、化粧料上に浮かび上がったイベントに関連するモチーフの絵柄模様を見て楽しむ事ができる。
【0043】
なお、本実施形態におけるコンパクト容器1に対する絵柄シートPSの着脱方法としては、図2に示した取り出し口22を設ける方法の他、例えば、中皿収容部15から中皿12を一旦取り外してから、中皿12の底部に対して絵柄シートPSを着脱するようにしても良い。この場合も、絵柄シートPSの隅部に形成される位置決め用孔と、この位置決め用孔に挿通される位置決め用突起27によって、絵柄シートPSが基準装着位置にセットされるように構成すると良い。
【0044】
但し、絵柄シートPSの配置方法は、シート設置部151に対して着脱自在でなくても良く、例えば、中皿12の底部の裏面(リップグロスと接触しない方の面))や、その逆側の底部おもて面(リップグロスと接触する方の面)に絵柄シートPSを貼り付けても良い。
【0045】
また、この実施形態では、リップグロス上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄要素を構成一例として中皿12とは別部材であるシート状部材を採用しているが、図3に示すような背景領域部BA及び絵柄表示領域部DAを有する絵柄要素を中皿12の底部に一体的に形成しても良い。例えば、透明樹脂性により成形された中皿12底部の何れかの面に対して、遮光部LSを形成する部分に遮光性インクを印刷しても良い。この場合、モチーフの異なる絵柄要素が相違する中皿を複数用意しておき、中皿を交換することで、リッ
プグロス上に浮かび上げる絵柄模様を変更することができる。
【0046】
<変形例>
図5は、本実施形態の第一の変形例に係る絵柄シートPSを示す図である。図5に示した絵柄シートPSに係るモチーフは、図3と同様にモミの木としている。双方の絵柄シートPSは、絵柄表示領域部DAの構成が相違している。図5に示すように、本実施形態に係る絵柄シートPSは、その絵柄表示領域部DAが透明部OPのみによって構成されても良く、本発明の技術的範囲に属する態様である。図示の絵柄シートPSによっても、LED181を発光させることで所定の絵柄模様をリップグロス上に浮かび上がらせることが可能である。
【0047】
但し、本実施形態における絵柄シートPSでは、図3に示す態様のように透明部OPと遮光部LSが混在して絵柄表示領域部DAを構成している方が、LED181による非照明時において、絵柄表示領域部DAに付与されている絵柄模様を目立ちにくくすることができる。すなわち、LED181の非照明時においてはリップグロス越しに絵柄シートPSを眺めたユーザに、絵柄表示領域部DAに付与された絵柄模様を把握され難くすることができる。これに対して、スイッチ21をONに切り替えてLED181を発光させた際には、リップグロス上に絵柄模様が鮮やかに浮かび上がるため、その意外性によってユーザにより強いインパクトを与えることができる。
【0048】
また、LED181による非照明時に絵柄表示領域部DAに付与された絵柄模様の存在をユーザに認識されることを回避し、かつ、照明時に絵柄模様をリップグロス上に鮮明に浮かび上げるためには、中皿12に充填されるリップグロスを有色とし、かつ、リップグロスの光透過率を過度に高くしないように設定すると良い。
【0049】
また、他の変形例として、 絵柄表示領域部DAにおける遮光部LSに対する透明部O
P(透光部)の面積比(以下、「透明部面積比」と称する)を、絵柄表示領域部DAに付与される絵柄模様がLED181の非照明時において視認されない規定値に調整しても良い。
【0050】
ここで、上記透明部面積比が大きいほど、非照明時において絵柄表示領域部DAに付与される絵柄模様がユーザによって把握され易くなる。また、非照明時における当該絵柄模様の視認容易性は、リップグロスの光透過率、中皿12底部の光透過率、中皿12の深さ(或いは、リップグロスの初期充填深さ)などのパラメータによっても変化する。そこで、本変形例では、透明部面積比に関する規定値を、これらの各パラメータに応じて決定しても良い。例えば、リップグロスの光透過率が高いほど、中皿12の底部の光透過率が高いほど、或いはリップグロスの初期充填深さが浅いほど、透明部面積比が低くなるように、その規定値も低く設定すると良い。
【0051】
これにより、絵柄表示領域部DAに付与されている絵柄模様の非照明時における視認性につき影響を及ぼす上記各パラメータの条件が変化しても、非照明時においては絵柄模様の存在をユーザに把握されることを回避でき、照明時の演出効果をより顕著なものとすることができる。
【0052】
図6は、第二の変形例に係る絵柄シートPSを示す図である。図6に示した絵柄シートPSに係るモチーフも、図3及び図5と同様に、モミの木としている。第二の変形例に係る絵柄シートPSは、絵柄表示領域部DAの透明部OPが、遮光部LSによって周囲を囲まれた多数の透明ドットとして構成されている。すなわち、絵柄表示領域部DAにはドット状に形成された多数の透明領域(透明ドット)が点在しており、この透明ドットを除く領域に遮光部LSが形成されている。そして、多数の透明ドットによって、図6の例では
モミの木をモチーフとする絵柄模様の付与された絵柄シートPSが形成されている。
【0053】
これによれば、LED181の非照明時においては、図3及び図5に比べて絵柄表示領域部DAが一層暗くなるため、絵柄表示領域部DAに付与されている絵柄模様を、より一層目立たなくすることができる。従って、スイッチ21をONに切り替えてLED181を発光させた際にリップグロス上に絵柄模様を鮮やかに浮かび上げる演出効果をより一層際立たせることが可能である。
【0054】
また、図6に示す絵柄シートPSは、絵柄表示領域部DAと背景領域部BAとの境界部も上記透明ドットによって形成されている。これによれば、例えば図3や図5のように、背景領域部BAと絵柄表示領域部DAの境界が明瞭に直線的に区画されている態様に比べて、非照明時における絵柄模様の存在がユーザに一層把握され難くなる。従って、コンパクト容器1に収容されているリップグロスを眺める使用者に対して、視覚的な楽しさを好適に付与することができる。よって、本発明に係る化粧料製品の商品価値をより一層高めることが可能となる。また、本変形例における絵柄シートPSのバリエーションは、図7の各図に例示するように、様々な種類のモチーフによって絵柄模様を形成することができる。なお、(a)〜(d)の各モチーフは、図5に例示した各図のモチーフと対応している。
【0055】
図6及び図7において、絵柄表示領域部DAを構成する透明ドット(透明部OP)の直径は、例えば0.3mm〜1.0mm程度としても良い。また、図6及び図7の各図に係る絵柄シートPSにおいても、透明部面積比(この場合には、絵柄表示領域部DAにおける透明ドットの周りに存在する遮光部LSの面積の総和に対する、透明ドットの面積の総和の比である)を、絵柄表示領域部DAに付与される絵柄模様がLED181の非照明時において視認されない規定値に調整するようにすると良い。
【0056】
また、図6及び図7に係る絵柄シートPSは、例えば、絵柄表示領域部DAを構成する透明ドットを形成する部分を除いて、遮光性インクをシート全面に塗布又は印刷することで製造しても良いし、例えば、樹脂又は紙などを用いた遮光性のシートのうち、透明ドットを形成する部分を打ち抜く(カットする)ことで絵柄シートPSを製造しても良い。
【0057】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明の化粧料容器、化粧料製品、及び絵柄要素に関する技術はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・コンパクト容器
11・・容器本体
12・・中皿
13・・蓋体
14・・ヒンジ構造
15・・中皿収容部
151・シート設置部
18・・発光装置
181・光源(LED)
182・電源
19・・光源収容部
20・・開口孔
21・・スイッチ
22・・取り出し口
PS・・絵柄シート
BA・・背景領域部
DA・・絵柄表示領域部
OP・・透明部
LS・・遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な底部を有し且つ透光性化粧料が充填される中皿と、
前記中皿を装着する凹状収容部を有する容器本体と、
前記中皿の底部に設けられる絵柄要素と、
前記容器本体に収容され、前記絵柄要素をその背面側から照明する光源と、
を備え、
前記絵柄要素は、前記光源による照射光を遮断する背景領域部と、該照射光を前記透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ前記中皿に充填される前記透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部と、を有する、
化粧料容器。
【請求項2】
前記絵柄要素の絵柄表示領域部には、前記光源による照射光を遮断する遮光部が前記透光部と混在する態様で構成されている、請求項1に記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記絵柄表示領域部の前記透光部は、前記遮光部によって周囲を囲まれた多数の透明ドットである、請求項2に記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記絵柄表示領域部と前記背景領域部との境界部は前記透明ドットによって形成される、請求項3に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記絵柄表示領域部における前記遮光部に対する前記透光部の面積比は、前記絵柄表示部に付与される絵柄模様が前記光源の非照明時において視認されない値に調整される、請求項2から4の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項6】
前記絵柄要素は、前記中皿の底部に配置されるシート状部材である、請求項1から5の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項7】
前記容器本体は、更に、
前記凹状収容部の底部に形成され、前記中皿の底部下面との間に前記シート状部材を設置するためのシート設置部と、
前記シート設置空間の下方に連通するように形成され、前記光源を設置するための光源設置部と、
を有する、請求項6に記載の化粧料容器。
【請求項8】
前記シート設置部は前記シート状部材を着脱自在に構成される、請求項7に記載の化粧料容器。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載された化粧料容器の中皿に透光性化粧料を充填してなる、化粧料製品。
【請求項10】
化粧料容器に装着されると共に透光性化粧料が充填される中皿の透明な底部に配置するためのシート状の絵柄要素であって、
前記化粧料容器に収容される光源からの照射光を遮断する背景領域部と、該照射光を前記透光性化粧料側に透過する透光部を含み且つ前記中皿に充填される前記透光性化粧料上に所定の絵柄模様を浮かび上がらせる絵柄表示領域部とを有する、
絵柄要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240026(P2011−240026A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116283(P2010−116283)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)