説明

化粧料容器

【課題】形状の異なる複数種類の中皿を収容することができ、しかも、落下時の衝撃等で中皿や化粧料が破損したり、損傷したりすることがなく、しかも、中皿を取り出した際に手や周りのものを汚すことがなく、接着剤を必要としない化粧料容器を提供する。
【解決手段】上面に中皿収容凹部1a が形成された容器本体部1と、この容器本体部1の中皿収容凹部1a に着脱自在に収容される中皿3とを備えている。そして、この中皿3の周側壁3bの外周面から鍔部25が突設され、上記容器本体部1の中皿収容凹部1a を取り囲む周側壁11に、中皿3の鍔部25を載置する連結壁14が形成され、上記中皿収容凹部1a の底壁15と中皿3の底壁3cとが離間し空気層を設けた状態で、上記容器本体部1の連結壁14上に中皿3の鍔部25が載置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンデーション等の化粧料を収容するレフィル容器等の各種の化粧料容器として、図10に示すようなレフィル容器が出回っている。このレフィル容器は、上面開放状の容器本体31と、この容器本体31の上面を蓋する蓋体32と、化粧料33aが充填された化粧皿33とを備えており、この化粧皿33の底面に設けた接着剤層34を上記容器本体31の底面に仮固定した状態で、上記容器本体31に化粧皿33を内嵌状に収容,固定している。図において、35は上記容器本体31の底壁に穿設した棒挿通用の貫通孔である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−13708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のレフィル容器では、容器本体31に化粧皿33を内嵌状に収容しているため、化粧皿33として、容器本体31の形状に対応する形状のものしか用いることができない。したがって、容器本体31に、形状の異なる複数種類の化粧皿33を収容することができないという問題がある。しかも、容器本体31の底面に化粧皿33を接着剤層34を介して仮固定しているため、上記のレフィル容器を床上等に落下等させて容器本体31の底壁を床上等に衝突させてしまうと、この衝突時の衝撃等が容器本体31の底壁に作用するとともに、接着剤層34を介して化粧皿33や化粧料33aにも直接に作用し、化粧皿33や化粧料33aが破損したり、損傷したりするという問題がある。しかも、容器本体31と化粧皿33とを接着剤層34で接着,固定しているため、化粧皿33を取り出した際に接着剤層34の接着剤がべたついて取り扱いにくく、手や周りのものを汚してしまうという問題や、上記接着剤が必要になるという問題もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、形状の異なる複数種類の中皿を収容することができ、しかも、落下時の衝撃等で中皿や化粧料が破損したり、損傷したりすることがなく、しかも、中皿を取り出した際に手や周りのものを汚すことがなく、接着剤を必要としない化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、上面に中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体の中皿収容凹部に着脱自在に収容される中皿とを備え、この中皿の周側壁の外周面から鍔部が突設され、上記容器本体の中皿収容凹部の上端開口部に、中皿の鍔部を載置する載置面が形成され、上記中皿収容凹部の底壁と中皿の底壁とが離間し空気層を設けた状態で、上記容器本体の載置面上に中皿の鍔部が載置されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明の化粧料容器は、上面に中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体の中皿収容凹部に着脱自在に収容される中皿とを備え、この中皿の周側壁の外周面から鍔部が突設され、上記容器本体の中皿収容凹部の上端開口部に、中皿の鍔部を載置する載置面が形成されている。そして、上記中皿収容凹部の底壁と中皿の底壁とが離間し空気層を設けた状態で、上記容器本体の載置面上に中皿の鍔部が載置されている。このように、本発明の化粧料容器では、上記容器本体の中皿収容凹部の上端開口部に形成された載置面に、中皿の周側壁の外周面から突設された鍔部を載置した状態で、上記容器本体に中皿を着脱自在に収容しているだけであるため、上記中皿の形状が、上記容器本体の中皿収容凹部の形状と異なる形状であっても、上記中皿収容凹部の内部に収容することができ、かつ上記載置面に載置しうる鍔部を有する中皿であれば、上記容器本体の中皿収容凹部に収容,載置することができる。しかも、本発明の化粧料容器を床上等に落下等させて容器本体の底壁を床上等に衝突させてしまっても、この衝突時の衝撃等が容器本体の底壁に作用したのち、緩衝作用を有する空気層を介して中皿やこの中皿に収容される化粧料に作用するため、上記空気層の緩衝作用で中皿および化粧料を保護することができ、中皿や化粧料が破損したり、損傷したりすることがない。しかも、上記中皿の鍔部を利用してこの中皿を容器本体に収容,載置しているため、容器本体や中皿の底壁に接着剤層を設ける必要がなく、接着剤層を構成するホットメルト等の接着剤で手や周りのものを汚したりすることがなく、取り扱いが容易であるうえ、上記接着剤を不要とすることができる。
【0007】
なお、本発明において、「中皿」とは、皿状(化粧皿を載置するための底壁を有するもの)に形成されているものに限定するものではなく、中皿に、化粧料を充填した化粧皿を収容する場合には、化粧皿を抜け落ち防止状に保持しうる枠状のもの(例えば、上記底壁を有しないもの)でもよい。また、本発明において、「鍔部」は、中皿の周側壁の外周面からこの外周面に沿って連続した状態で突設されていてもよいし、非連続の状態で(1個所もしくは複数個所で途切れた状態で)形成されていてもよい。また、本発明において、容器本体の載置面上に中皿の鍔部を載置した状態で、容器本体に中皿を固定する手段としては、容器本体の中皿収容凹部を蓋する蓋体を用意し、閉蓋時にこの蓋体で、容器本体の載置面上に載置した中皿の鍔部を押圧状に固定するようにしてもよいし、シュリンク包装やブリスター包装により固定するようにしてもよい。
【0008】
また、上記鍔部が、上記中皿の周側壁の上端縁外周面から突設されていると、上記中皿の製造が容易になる。
【0009】
また、上記中皿収容凹部の周側壁と中皿の周側壁とが離間していると、この中皿の周側壁の形状が、上記中皿収容凹部の周側壁の形状と異なるものを複数種類用いることができる。しかも、本発明の化粧料容器を床上等に落下等させて容器本体の周側壁を床上等に衝突させてしまっても、上記両周側壁間の空気層の緩衝作用で中皿および化粧料を保護することができ、中皿や化粧料が破損したり、損傷したりすることがない。
【0010】
また、上記中皿の底壁から凸部が下向きに突設され、上記容器本体の載置面上に中皿の鍔部を載置した状態で、上記凸部の下面が上記中皿収容凹部の底面に当接していると、上記鍔部だけでなく、上記凸部でも中皿を支受することができ、上記鍔部に作用する負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0012】
図1は本発明の化粧料容器の一実施の形態を示している。図において、1は上面に中皿収容凹部1a が形成された合成樹脂製の容器本体部(容器本体)で、2は上記容器本体部1を蓋する合成樹脂製の蓋体部である。これら容器本体部1および蓋体部2は、一体成形により一連に形成された一体成形品である(図2参照)。3は上面に化粧皿収容凹部3a が形成された皿状の合成樹脂製の中皿であり、上記容器本体部1の中皿収容凹部1a に着脱自在に収容されている。4は内部にファンデーション等の固形状化粧料4aが充填された金属製もしくは合成樹脂製の化粧皿であり、上記中皿3の化粧皿収容凹部3a に接着剤層等(図示せず)により収容,固定されている(図1参照)。
【0013】
上記容器本体部1には、図2および図3に示すように、その上面に略四角形環状の周側壁11が折り曲げ形成されており、この内側部分で上記中皿収容凹部1a が形成されている。上記周側壁11は、所定間隔を開けて配設される内外二重壁12,13と、これら両壁12,13の上端縁同士を連結する連結壁14とからなり、この連結壁14(後述する両指挿入用凹部16が形成された部分を除く)の上面(載置面)に、後述する中皿3の鍔部25が載置されるようにしている。また、上記両壁12,13のうち、内壁12は上記容器本体部1の底壁(すなわち、中皿収容凹部1a の底壁)15から垂設されており、外壁13は、上記容器本体部1の底壁15から垂設された下部周壁13aと、この下部周壁13aの上端縁から上方に向かって内向き傾斜状に傾斜する上部周壁13bからなっている。
【0014】
また、上記容器本体部1には、その周側壁11の相対峙する両側壁(図2では、前後両側壁)に、指先を挿入して中皿3を中皿収容凹部1a から取り出すための指挿入用凹部16が形成されている。また、上記周側壁11には、その外壁13の下部周壁13aの4箇所の角部の外周面に、後述する蓋体部2の各凹部2aに着脱自在に係合しうる凸部17が形成されている。図において、18は上記容器本体部1の底壁15から上方に向かって突出形成された略四角形状の平板状凸部である。
【0015】
上記蓋体部2は、上記容器本体部1の外壁13の一側部(図2では、右側部)の下端縁から突設された連結部19に回動自在に連結している。また、上記蓋体部2は、図4に示すように、上記容器本体部1の外壁13の下部周壁13aに着脱自在に外嵌状に係合しうる下部周壁21と、上部周壁13bに着脱自在に外嵌状に係合しうる(すなわち、上記下部周壁21から上方に向かって内向き傾斜状に傾斜する)上部周壁22とからなっており(図4では、下部周壁21が上側で、上部周壁22が下側になっている)、閉蓋時に、上記外壁13に着脱自在に外嵌状に係合しうるようにしている(図1参照)。また、上記蓋体部2には、その下部周壁21の4箇所の角部の内周面に、上記容器本体部1の各凸部17に着脱自在に係合しうる凹部2a(図2では、上記各凹部2aは、上記各角部の外周面から突出する凸部となって表れる)が形成されている。図4において、23aは上記蓋体部2の天井壁23から上方に向かって突出形成された略四角形状の平板状凸部である。
【0016】
上記中皿3は、上記したように、上面に、化粧皿4を収容する化粧皿収容凹部3a が形成されており、この化粧皿収容凹部3a の上端開口部の外周面(すなわち、上記中皿3の周側壁3bの上端縁外周面)から略四角形環状の鍔部25が突設されている(図5および図6参照)。また、上記中皿3の高さは、上記容器本体部1の周側壁11の高さより低く形成されており、その外形は、上記容器本体部1の中皿収容凹部1a の外形(上記周側壁11の内周部の形状)より小さく形成されている。図6において、3cは上記中皿3の底壁である。
【0017】
上記の構成において、上記容器本体部1の中皿収容凹部1aに中皿3を収容, 固定する場合には、まず、上記中皿収容凹部1a内に中皿3を上側から挿入し(図7参照)、上記中皿収容凹部1aの連結壁14の上面上に中皿3の鍔部25を載置する。この状態では、容器本体部1の周側壁11と中皿3の周側壁3bとの間、および容器本体部1の底壁15と中皿3の底壁3cとの間にそれぞれ所定(好適には、2mm程度)の隙間(すなわち、空気層)が形成されている。つぎに、上記蓋体部2を回動させて、上記容器本体部1の外壁13を蓋体部2で外嵌状に覆い、容器本体部1の各凸部17と蓋体部2の各凹部2aとを係合させることを行う。これにより、蓋体部2の天井壁23で中皿3の鍔部25を上から押圧,固定した状態で、閉蓋することができる(図1参照)。
【0018】
上記のように、この実施の形態では、上記容器本体部1の中皿収容凹部1aの連結壁14上に中皿3の鍔部25を載置した状態で、上記容器本体部1に中皿3を収容,固定しているだけであるため、上記中皿3の形状が、上記中皿収容凹部1aの形状と異なる形状であっても、上記中皿収容凹部1aの内部に収容することができ、かつ上記連結壁14に載置しうる鍔部25を有する中皿3であれば、上記中皿収容凹部1aに収容することができる。しかも、上記容器本体部1の周側壁11,底壁15と中皿3の周側壁3b,底壁3cとの間に空気層が形成されており、この空気層が緩衝作用を有するため、この緩衝作用で化粧皿4や化粧料4aを保護することができる。したがって、化粧料容器の落下時に衝撃等が容器本体部1の中皿収容凹部1aの底壁15に作用しても、化粧皿4や化粧料4aが破損したり、損傷したりすることがない。しかも、中皿3の底面に接着剤層を設ける必要がなく、手や周りのものを汚したりすることがなく、取り扱いが容易であるうえ、接着剤を不要とすることができる。
【0019】
図8は本発明の化粧料容器の他の実施の形態を示している。この実施の形態では、中皿3の底壁3cの下面から複数個(この実施の形態では、2個)の凸部27が突設されている。そして、上記容器本体部1の連結壁14上に中皿3の鍔部25を載置した状態で、上記両凸部27の下面が上記容器本体部1の中皿収容凹部1aの底面に当接している。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。しかも、上記中皿3をその鍔部25だけでなく、上記両凸部27でも支受することができ、上記鍔部25に作用する負荷を軽減することができる。
【0020】
図9は本発明の化粧料容器のさらに他の実施の形態を示している。この実施の形態では、中皿3が略四角形状の枠状体に形成されており、この枠状体に、内部に固形状化粧料4aが充填された化粧皿4が保持されている。すなわち、図1〜図7に示す実施の形態において、上記中皿3は、その底壁3cがその外周部に沿って大きく切欠き形成されており、この切欠き形成部28により中皿3が枠状体に形成されている。このため、上記中皿3には、化粧皿収容凹部3a が形成されていない。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
【0021】
なお、上記各実施の形態では、上記中皿3の化粧皿収容凹部3a の上端開口部の外周面(すなわち、上記中皿3の周側壁3bの上端縁外周面)から鍔部25を突設しているが、これに限定するものではなく、上記中皿3の周側壁3bの外周面であれば、どこから突設してもよい。また、上記各実施の形態では、上記鍔部25は環状に連続しているが、非連続であってもよい。また、上記各実施の形態では、上記容器本体部1の周側壁11と中皿3の周側壁3bとが離間しているが、当接していてもよい。また、図1〜図7に示す実施の形態および図8に示す実施の形態において、上記中皿3に固形状化粧料4aを直接充填してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】容器本体部および蓋体部の平面図である。
【図3】上記容器本体部の断面図である。
【図4】上記蓋体部の断面図である。
【図5】中皿および化粧皿の断面図である。
【図6】上記中皿の平面図である。
【図7】上記容器本体部に中皿を収容する状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の化粧料容器の他の実施の形態を示す断面図である。
【図9】本発明の化粧料容器のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【図10】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 容器本体部
1a 中皿収容凹部
3 中皿
3b 周側壁
3c 底壁
11 周側壁
14 連結壁
15 底壁
25 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体の中皿収容凹部に着脱自在に収容される中皿とを備え、この中皿の周側壁の外周面から鍔部が突設され、上記容器本体の中皿収容凹部の上端開口部に、中皿の鍔部を載置する載置面が形成され、上記中皿収容凹部の底壁と中皿の底壁とが離間し空気層を設けた状態で、上記容器本体の載置面上に中皿の鍔部が載置されていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記鍔部が、上記中皿の周側壁の上端縁外周面から突設されている請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
上記中皿収容凹部の周側壁と中皿の周側壁とが離間している請求項1または2記載の化粧料容器。
【請求項4】
上記中皿の底壁から凸部が下向きに突設され、上記容器本体の載置面上に中皿の鍔部を載置した状態で、上記凸部の下面が上記中皿収容凹部の底面に当接している請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−288806(P2006−288806A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114657(P2005−114657)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)