化粧料容器
【課題】開蓋状態を安定に保持することができ、しかも、耐衝撃性に優れた化粧料容器を提供する。
【解決手段】容器本体部1の上面の後端縁部と蓋体部2の下面の後端縁部が中央折り曲げ線部19で連結され、この中央折り曲げ線部19の一端部から三角板20が突設され、容器本体部1の上面の左右両側縁部の、三角板20に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる下側傾斜板11が突設され、蓋体部2の下面の左右両側縁部の、三角板20に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる上側傾斜板15が突設され、両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aが三角板20に側部折り曲げ線部21,22を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、各折り曲げ線部19,21,22が折れ曲がって三角板20が反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されている。
【解決手段】容器本体部1の上面の後端縁部と蓋体部2の下面の後端縁部が中央折り曲げ線部19で連結され、この中央折り曲げ線部19の一端部から三角板20が突設され、容器本体部1の上面の左右両側縁部の、三角板20に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる下側傾斜板11が突設され、蓋体部2の下面の左右両側縁部の、三角板20に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる上側傾斜板15が突設され、両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aが三角板20に側部折り曲げ線部21,22を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、各折り曲げ線部19,21,22が折れ曲がって三角板20が反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レフィル容器等の化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンデーション等の化粧料を収容するレフィル容器等の各種の化粧料容器として、図14に示すようなレフィル容器が提案されている。このレフィル容器は、上面開放状に形成されたケース31と、このケース31の上面を蓋する蓋材32と、化粧料33aが収容された化粧皿33と、ケース31および蓋材32をヒンジ連結する連結部34とを備えており、上記ケース31,蓋材32および連結部34が合成樹脂材料により一体成形されている。図において、31aは上記ケース31に形成された化粧皿収容凹部で、35は上記ケース31の底面に設けた接着剤層である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−13710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のレフィル容器では、これをコンパクト等に収容して使用するのではなく、レフィル容器のみで使用したい場合に、化粧の際に蓋材32を開蓋すると、この蓋材32が連結部34を介してケース31に連結されているだけであるため、蓋材32が連結部34を中心に上下に揺動してその開蓋姿勢が安定せず、使いにくいという問題がある。しかも、上記のレフィル容器では、これを床上に落下させたり、周囲の他物に当てたりしてケース31や蓋材32に衝撃を与えると、その衝撃がケース31や蓋材32を介して化粧皿33に直接伝達され、化粧皿33内のレフィル化粧料33aが破損等しやすく、レフィル容器本来の目的である、レフィル化粧料33aの保護が困難になるという問題もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、開蓋状態を安定に保持することができ、しかも、耐衝撃性に優れた化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、上面に化粧皿収容凹部が形成された容器本体と、それ自体の後端部が上記容器本体の後端部に回動自在に連結され上記容器本体の上面を蓋する蓋体とを備え、上記容器本体と蓋体とが、可撓性を有する合成樹脂製材料により一体成形され、上記容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とが中央折り曲げ線部で連結され、この中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、上記容器本体の上面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる帯状の下側傾斜板を突設され、上記蓋体の下面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる帯状の上側傾斜板が突設され、これら両傾斜板の後端縁部が上記三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されるように構成されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明の化粧料容器では、容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とを連結する中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、この三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して、上記容器本体の上面の左右両側縁部の一方(三角板に対応する側)から突設された下側傾斜板の後端縁部および上記蓋体の下面の左右両側縁部の一方(三角板に対応する側)から突設された上側傾斜板の後端縁部が連結されている。したがって、本発明の化粧料容器をコンパクト等に収容して使用するのではなく、それ自体のみで使用する場合に、化粧の際に蓋体を開蓋方向に回動させると、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、開蓋状態となる。この開蓋状態では、蓋体に所定以上の力を加えないと、上記各折り曲げ線部が折れ曲がって蓋体が閉蓋方向もしくはその逆の方向に移動することがなく、上記開蓋状態が保持される。しかも、上記両傾斜板の後端縁部が、可撓性を有する三角板で連結されているため、閉蓋状態において、本発明の化粧料容器を床上に落下させて上記両傾斜板が床面に衝突したり、周囲の他物に上記両傾斜板が当ったりしても、そのときの衝撃が上記三角板により緩衝される。したがって、上記容器本体内の化粧皿に収容した化粧料が破損等することがなく、化粧料を充分に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0008】
図1〜図4は本発明の化粧料容器の一実施の形態を示している。この実施の形態では、化粧料容器として、レフィル容器を用いている。これらの図において、1は内部に化粧皿4が収容された容器本体部(容器本体)で、2は上記容器本体部1の上面を蓋する蓋体部(蓋体)であり、この蓋体部2の後端部が上記容器本体部1の後端部に連結部3を介して回動自在に連結されている。これら容器本体部1,蓋体部2および連結部3は、後述する上下両傾斜板11,15とともに、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製材料を用い、型成形により一体成形されたものである(図6参照)。
【0009】
上記容器本体部1は、図5〜図7に示すように、その上面が略四角形状に(より詳しくは、4つの角部のうち、前側の左右両側角部が1/4円弧状である略四角形状に)形成されており、この上面の外周縁部の前側部分および左右両側部分から、平面視略U字状に形成された下側傾斜板11が、外側に向かって下向き傾斜状に(この実施の形態では、水平面に対する傾斜角度α1は45°)延設されている。
【0010】
また、上記容器本体部1の上面には、上記化粧皿4を収容する化粧皿収容凹部1a が形成されており、その略四角形状の底壁の外周部には、平面視コ字状に形成された前後一対の溝状凹部12が相対向状に形成されている。これら両溝状凹部12の底面は、上記下側傾斜板11の下面より下方に位置決めされている。また、上記容器本体部1の上面には、上記化粧皿収容凹部1a に沿って立壁13が立設されており、この立壁13の前面に、上記蓋体部2の係合凹部2aに着脱自在に係合する係合凸部13aが突設されている(図8参照)。図5において、1bは上記化粧皿収容凹部1a の前後両側面に形成された左右一対の係合凸部であり、上記化粧皿4の環状溝4b(図1参照)に着脱自在に係合する作用をする。14は上記立壁13および化粧皿収容凹部1a の左右両側壁の左右方向中央部分に、上記立壁13の上端面から化粧皿収容凹部1a の底面に向かって先細り状に形成された立溝である。
【0011】
上記蓋体部2も、図8に示すように、その下面(図1に示す閉蓋状態では、下面であるが、図10に示す開蓋状態では、上面となる)が略四角形状に〔より詳しくは、4つの角部のうち、前側(図1に示す閉蓋状態では、前側であるが、図10に示す開蓋状態では、後側となる)の左右両側角部が1/4円弧状である略四角形状に〕形成されており、この下面の外周縁部の前側部分および左右両側部分から、平面視略U字状に形成された上側傾斜板15が、外側に向かって上向き傾斜状に(この実施の形態では、水平面に対する傾斜角度α2は、下側傾斜板11と同様に45°)延設されている。
【0012】
また、上記蓋体部2の略四角形状の天井壁16には、その外周部に、平面視コ字状に形成された前後一対の溝状凹部17が相対向状に形成されている。また、上記蓋体部2の内周面の前部に、上記容器本体部1の係合凸部13aに着脱自在に係合する係合凹部2aが形成されている。図8において、18は上記両溝状凹部17間に形成された凸部(図8参照)である。
【0013】
上記連結部3は、図9に示すように、容器本体部1の後端縁部と蓋体部2の後端縁部とを回動自在に連結する中央折り曲げ線部19と、この中央折り曲げ線部19の左右両端部を頂点20aとするとともに下側傾斜板11の略U字状の両後端縁部11a,上側傾斜板15の略U字状の両後端縁部15aを上記頂点20aに隣接する二辺とする左右一対の三角板20(この実施の形態では、両三角板20は二等辺三角形状である)と、これら両三角板20の二辺もしくは上記両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aに沿って延びる(すなわち、両三角板20の二辺と両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aとの連結部分に形成された)前後一対の側部折り曲げ線部21,22とを有している。また、上記両三角板20の、上記頂点20aに対向する辺20bの長さL1 は、閉蓋状態における下側傾斜板11の下面と上側傾斜板15の上面間の鉛直方向の長さL2 と略同じに設定されている。
【0014】
上記化粧皿4は、内部にファンデーション等のレフィル用固形状化粧料4a(図10および図11参照)が充填された金属製もしくは合成樹脂製皿であり、上記容器本体部1の化粧皿収容凹部1a の底面との間に所定の隙間を設けた状態で収容,固定されている(図1参照)。なお、上記化粧皿4は上記化粧皿収容凹部1a の底面に接着剤層(図示せず)等により固定されていてもよい。また、上記化粧皿4は、図8に示すように、その外周側面に、上記化粧皿収容凹部1a の各係合凸部1bに着脱自在に係合する環状溝4bが形成されている。図8において、23は上記化粧皿4の内周側面に突設された上下2段の環状凸部で、24は上記化粧皿4の底面に突設された内外二重の環状凸部である。
【0015】
上記の構成において、上記化粧料容器は、図6に示す状態で一体成形される。ついで、図1に示す閉蓋状態にする場合には、中央折り曲げ線部19,各側部折り曲げ線部21,22を折り曲げながら蓋体部2を前側に回動させ、容器本体部1上に蓋体部2を載置するとともに、容器本体1の係合凸部13aと蓋体部2の係合凹部2aとを係合させ、この係合により上記閉蓋状態を保持する。また、上記回動の際に、両三角板20が下側傾斜板11の両後端縁部11a(前側の側部折り曲げ線部21)を中心として上方に移動しながら反転して前側に傾斜し、図6に示す状態では内側に向いていた両三角板20の内側面が、外側を向くようになる(図12参照)。
【0016】
この閉蓋状態から化粧料4aを使用するため開蓋する場合には、蓋体部2を後側に回動させることを行う。この回動の際に、中央折り曲げ線部19,各側部折り曲げ線部21,22が折れ曲がり、下側傾斜板11の両後端縁部11aを中心として両三角板20が下方に移動しながら反転して裏返り始め(後側に傾斜し始め)、この反転の途中で(例えば、図13に示す状態で)、蓋体部2が元の状態に戻ろうとして一気に下方に反転し、元の状態に戻る(図9参照)。そして、この元の状態(すなわち、開蓋状態)に保持される。
【0017】
上記のように、この実施の形態では、上記化粧料容器をコンパクト等に収容して使用するのではなく、それ自体のみで使用する場合に、化粧時に蓋体部2を開蓋状態にすると、この開蓋状態が保持される。しかも、上記両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aが両三角板20で連結されているため、閉蓋状態において、上記化粧料容器を床上に落下させて上記両傾斜板11,15が床面に衝突したり、周囲の他物に上記両傾斜板11,15が当ったりしても、そのときの衝撃が上記三角板20により緩衝される。したがって、上記容器本体部1内の化粧皿4に収容した化粧料4aが破損等することがなく、化粧料4aを充分に保護することができる。
【0018】
なお、上記実施の形態では、上記容器本体部1および蓋体部2の外周縁部の前側部分および左右両側部分から各傾斜板11,15が延設されているが、これに限定するものではなく、少なくとも左右両側部分の一方に延設されていれば足りる。
【0019】
また、上記実施の形態では、上記両三角板20の、上記頂点20aに対向する辺20bの長さL1 は、閉蓋状態における下側傾斜板11の下面と上側傾斜板15の上面間の鉛直方向の長さL2 と略同じに設定されているが、この長さL2 より長くてもよいし、短くてもよい。また、上記両三角板20は、二等辺三角形状に形成されていなくてもよい。また、上記下側傾斜板11の傾斜角度α1と上側傾斜板15の傾斜角度α2が異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】上記化粧料容器の側面図である。
【図3】上記化粧料容器の正面図である。
【図4】上記化粧料容器の斜視図である。
【図5】閉蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の断面図である。
【図6】開蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の断面図である。
【図7】開蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の平面図である。
【図8】開蓋状態にある化粧料容器の斜視図である。
【図9】上記化粧料容器の要部を示す説明図である。
【図10】開蓋状態にある化粧料容器の斜視図である。
【図11】開蓋状態にある化粧料容器の平面図である。
【図12】上記化粧料容器の要部を示す説明図である。
【図13】上記化粧料容器の作用を示す説明図である。
【図14】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 容器本体部
2 蓋体部
11 下側傾斜板
15 上側傾斜板
11a,15a 後端縁部
19 中央折り曲げ線部
20 三角板
21,22 側部折り曲げ線部
【技術分野】
【0001】
本発明は、レフィル容器等の化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファンデーション等の化粧料を収容するレフィル容器等の各種の化粧料容器として、図14に示すようなレフィル容器が提案されている。このレフィル容器は、上面開放状に形成されたケース31と、このケース31の上面を蓋する蓋材32と、化粧料33aが収容された化粧皿33と、ケース31および蓋材32をヒンジ連結する連結部34とを備えており、上記ケース31,蓋材32および連結部34が合成樹脂材料により一体成形されている。図において、31aは上記ケース31に形成された化粧皿収容凹部で、35は上記ケース31の底面に設けた接着剤層である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−13710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のレフィル容器では、これをコンパクト等に収容して使用するのではなく、レフィル容器のみで使用したい場合に、化粧の際に蓋材32を開蓋すると、この蓋材32が連結部34を介してケース31に連結されているだけであるため、蓋材32が連結部34を中心に上下に揺動してその開蓋姿勢が安定せず、使いにくいという問題がある。しかも、上記のレフィル容器では、これを床上に落下させたり、周囲の他物に当てたりしてケース31や蓋材32に衝撃を与えると、その衝撃がケース31や蓋材32を介して化粧皿33に直接伝達され、化粧皿33内のレフィル化粧料33aが破損等しやすく、レフィル容器本来の目的である、レフィル化粧料33aの保護が困難になるという問題もある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、開蓋状態を安定に保持することができ、しかも、耐衝撃性に優れた化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、上面に化粧皿収容凹部が形成された容器本体と、それ自体の後端部が上記容器本体の後端部に回動自在に連結され上記容器本体の上面を蓋する蓋体とを備え、上記容器本体と蓋体とが、可撓性を有する合成樹脂製材料により一体成形され、上記容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とが中央折り曲げ線部で連結され、この中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、上記容器本体の上面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる帯状の下側傾斜板を突設され、上記蓋体の下面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる帯状の上側傾斜板が突設され、これら両傾斜板の後端縁部が上記三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されるように構成されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0006】
すなわち、本発明の化粧料容器では、容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とを連結する中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、この三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して、上記容器本体の上面の左右両側縁部の一方(三角板に対応する側)から突設された下側傾斜板の後端縁部および上記蓋体の下面の左右両側縁部の一方(三角板に対応する側)から突設された上側傾斜板の後端縁部が連結されている。したがって、本発明の化粧料容器をコンパクト等に収容して使用するのではなく、それ自体のみで使用する場合に、化粧の際に蓋体を開蓋方向に回動させると、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、開蓋状態となる。この開蓋状態では、蓋体に所定以上の力を加えないと、上記各折り曲げ線部が折れ曲がって蓋体が閉蓋方向もしくはその逆の方向に移動することがなく、上記開蓋状態が保持される。しかも、上記両傾斜板の後端縁部が、可撓性を有する三角板で連結されているため、閉蓋状態において、本発明の化粧料容器を床上に落下させて上記両傾斜板が床面に衝突したり、周囲の他物に上記両傾斜板が当ったりしても、そのときの衝撃が上記三角板により緩衝される。したがって、上記容器本体内の化粧皿に収容した化粧料が破損等することがなく、化粧料を充分に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0008】
図1〜図4は本発明の化粧料容器の一実施の形態を示している。この実施の形態では、化粧料容器として、レフィル容器を用いている。これらの図において、1は内部に化粧皿4が収容された容器本体部(容器本体)で、2は上記容器本体部1の上面を蓋する蓋体部(蓋体)であり、この蓋体部2の後端部が上記容器本体部1の後端部に連結部3を介して回動自在に連結されている。これら容器本体部1,蓋体部2および連結部3は、後述する上下両傾斜板11,15とともに、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂製材料を用い、型成形により一体成形されたものである(図6参照)。
【0009】
上記容器本体部1は、図5〜図7に示すように、その上面が略四角形状に(より詳しくは、4つの角部のうち、前側の左右両側角部が1/4円弧状である略四角形状に)形成されており、この上面の外周縁部の前側部分および左右両側部分から、平面視略U字状に形成された下側傾斜板11が、外側に向かって下向き傾斜状に(この実施の形態では、水平面に対する傾斜角度α1は45°)延設されている。
【0010】
また、上記容器本体部1の上面には、上記化粧皿4を収容する化粧皿収容凹部1a が形成されており、その略四角形状の底壁の外周部には、平面視コ字状に形成された前後一対の溝状凹部12が相対向状に形成されている。これら両溝状凹部12の底面は、上記下側傾斜板11の下面より下方に位置決めされている。また、上記容器本体部1の上面には、上記化粧皿収容凹部1a に沿って立壁13が立設されており、この立壁13の前面に、上記蓋体部2の係合凹部2aに着脱自在に係合する係合凸部13aが突設されている(図8参照)。図5において、1bは上記化粧皿収容凹部1a の前後両側面に形成された左右一対の係合凸部であり、上記化粧皿4の環状溝4b(図1参照)に着脱自在に係合する作用をする。14は上記立壁13および化粧皿収容凹部1a の左右両側壁の左右方向中央部分に、上記立壁13の上端面から化粧皿収容凹部1a の底面に向かって先細り状に形成された立溝である。
【0011】
上記蓋体部2も、図8に示すように、その下面(図1に示す閉蓋状態では、下面であるが、図10に示す開蓋状態では、上面となる)が略四角形状に〔より詳しくは、4つの角部のうち、前側(図1に示す閉蓋状態では、前側であるが、図10に示す開蓋状態では、後側となる)の左右両側角部が1/4円弧状である略四角形状に〕形成されており、この下面の外周縁部の前側部分および左右両側部分から、平面視略U字状に形成された上側傾斜板15が、外側に向かって上向き傾斜状に(この実施の形態では、水平面に対する傾斜角度α2は、下側傾斜板11と同様に45°)延設されている。
【0012】
また、上記蓋体部2の略四角形状の天井壁16には、その外周部に、平面視コ字状に形成された前後一対の溝状凹部17が相対向状に形成されている。また、上記蓋体部2の内周面の前部に、上記容器本体部1の係合凸部13aに着脱自在に係合する係合凹部2aが形成されている。図8において、18は上記両溝状凹部17間に形成された凸部(図8参照)である。
【0013】
上記連結部3は、図9に示すように、容器本体部1の後端縁部と蓋体部2の後端縁部とを回動自在に連結する中央折り曲げ線部19と、この中央折り曲げ線部19の左右両端部を頂点20aとするとともに下側傾斜板11の略U字状の両後端縁部11a,上側傾斜板15の略U字状の両後端縁部15aを上記頂点20aに隣接する二辺とする左右一対の三角板20(この実施の形態では、両三角板20は二等辺三角形状である)と、これら両三角板20の二辺もしくは上記両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aに沿って延びる(すなわち、両三角板20の二辺と両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aとの連結部分に形成された)前後一対の側部折り曲げ線部21,22とを有している。また、上記両三角板20の、上記頂点20aに対向する辺20bの長さL1 は、閉蓋状態における下側傾斜板11の下面と上側傾斜板15の上面間の鉛直方向の長さL2 と略同じに設定されている。
【0014】
上記化粧皿4は、内部にファンデーション等のレフィル用固形状化粧料4a(図10および図11参照)が充填された金属製もしくは合成樹脂製皿であり、上記容器本体部1の化粧皿収容凹部1a の底面との間に所定の隙間を設けた状態で収容,固定されている(図1参照)。なお、上記化粧皿4は上記化粧皿収容凹部1a の底面に接着剤層(図示せず)等により固定されていてもよい。また、上記化粧皿4は、図8に示すように、その外周側面に、上記化粧皿収容凹部1a の各係合凸部1bに着脱自在に係合する環状溝4bが形成されている。図8において、23は上記化粧皿4の内周側面に突設された上下2段の環状凸部で、24は上記化粧皿4の底面に突設された内外二重の環状凸部である。
【0015】
上記の構成において、上記化粧料容器は、図6に示す状態で一体成形される。ついで、図1に示す閉蓋状態にする場合には、中央折り曲げ線部19,各側部折り曲げ線部21,22を折り曲げながら蓋体部2を前側に回動させ、容器本体部1上に蓋体部2を載置するとともに、容器本体1の係合凸部13aと蓋体部2の係合凹部2aとを係合させ、この係合により上記閉蓋状態を保持する。また、上記回動の際に、両三角板20が下側傾斜板11の両後端縁部11a(前側の側部折り曲げ線部21)を中心として上方に移動しながら反転して前側に傾斜し、図6に示す状態では内側に向いていた両三角板20の内側面が、外側を向くようになる(図12参照)。
【0016】
この閉蓋状態から化粧料4aを使用するため開蓋する場合には、蓋体部2を後側に回動させることを行う。この回動の際に、中央折り曲げ線部19,各側部折り曲げ線部21,22が折れ曲がり、下側傾斜板11の両後端縁部11aを中心として両三角板20が下方に移動しながら反転して裏返り始め(後側に傾斜し始め)、この反転の途中で(例えば、図13に示す状態で)、蓋体部2が元の状態に戻ろうとして一気に下方に反転し、元の状態に戻る(図9参照)。そして、この元の状態(すなわち、開蓋状態)に保持される。
【0017】
上記のように、この実施の形態では、上記化粧料容器をコンパクト等に収容して使用するのではなく、それ自体のみで使用する場合に、化粧時に蓋体部2を開蓋状態にすると、この開蓋状態が保持される。しかも、上記両傾斜板11,15の後端縁部11a,15aが両三角板20で連結されているため、閉蓋状態において、上記化粧料容器を床上に落下させて上記両傾斜板11,15が床面に衝突したり、周囲の他物に上記両傾斜板11,15が当ったりしても、そのときの衝撃が上記三角板20により緩衝される。したがって、上記容器本体部1内の化粧皿4に収容した化粧料4aが破損等することがなく、化粧料4aを充分に保護することができる。
【0018】
なお、上記実施の形態では、上記容器本体部1および蓋体部2の外周縁部の前側部分および左右両側部分から各傾斜板11,15が延設されているが、これに限定するものではなく、少なくとも左右両側部分の一方に延設されていれば足りる。
【0019】
また、上記実施の形態では、上記両三角板20の、上記頂点20aに対向する辺20bの長さL1 は、閉蓋状態における下側傾斜板11の下面と上側傾斜板15の上面間の鉛直方向の長さL2 と略同じに設定されているが、この長さL2 より長くてもよいし、短くてもよい。また、上記両三角板20は、二等辺三角形状に形成されていなくてもよい。また、上記下側傾斜板11の傾斜角度α1と上側傾斜板15の傾斜角度α2が異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】上記化粧料容器の側面図である。
【図3】上記化粧料容器の正面図である。
【図4】上記化粧料容器の斜視図である。
【図5】閉蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の断面図である。
【図6】開蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の断面図である。
【図7】開蓋状態にある容器本体部,蓋体部,連結部の平面図である。
【図8】開蓋状態にある化粧料容器の斜視図である。
【図9】上記化粧料容器の要部を示す説明図である。
【図10】開蓋状態にある化粧料容器の斜視図である。
【図11】開蓋状態にある化粧料容器の平面図である。
【図12】上記化粧料容器の要部を示す説明図である。
【図13】上記化粧料容器の作用を示す説明図である。
【図14】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 容器本体部
2 蓋体部
11 下側傾斜板
15 上側傾斜板
11a,15a 後端縁部
19 中央折り曲げ線部
20 三角板
21,22 側部折り曲げ線部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に化粧皿収容凹部が形成された容器本体と、それ自体の後端部が上記容器本体の後端部に回動自在に連結され上記容器本体の上面を蓋する蓋体とを備え、上記容器本体と蓋体とが、可撓性を有する合成樹脂製材料により一体成形され、上記容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とが中央折り曲げ線部で連結され、この中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、上記容器本体の上面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる帯状の下側傾斜板が突設され、上記蓋体の下面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる帯状の上側傾斜板が突設され、これら両傾斜板の後端縁部が上記三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されるように構成されていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項1】
上面に化粧皿収容凹部が形成された容器本体と、それ自体の後端部が上記容器本体の後端部に回動自在に連結され上記容器本体の上面を蓋する蓋体とを備え、上記容器本体と蓋体とが、可撓性を有する合成樹脂製材料により一体成形され、上記容器本体の上面の後端縁部と蓋体の下面の後端縁部とが中央折り曲げ線部で連結され、この中央折り曲げ線部の左右方向の少なくとも一端部から、この一端部を頂点とする三角板が突設され、上記容器本体の上面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって下り傾斜状に延びる帯状の下側傾斜板が突設され、上記蓋体の下面の左右両側縁部の、上記三角板に対応する側から、外側に向かって上り傾斜状に延びる帯状の上側傾斜板が突設され、これら両傾斜板の後端縁部が上記三角板の、上記頂点に隣接する二辺に側部折り曲げ線部を介して連結され、閉蓋状態から開蓋状態に移行する際に、中央折り曲げ線部および両側部折り曲げ線部が折れ曲がって三角板の上記二辺のうち、下側傾斜板側の一辺を中心として三角板が下方に移動しながら上側傾斜板側の一辺が裏返るようにして反転し、この反転姿勢で開蓋状態が保持されるように構成されていることを特徴とする化粧料容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−212216(P2008−212216A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50082(P2007−50082)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
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