化粧料容器
【課題】化粧料をバリエーション豊かに塗布できる化粧料容器を提供することを課題とする。
【解決手段】容器本体1内の化粧料Aを排出する排出路8aを覆い当該化粧料Aを通過可能とする塗布部材9のその裏面に、化粧料Aの通過を不可とするシール部材12を設け、このシール部材12に、化粧料Aを通過可能とすると共に意匠性を有する形状の少なくとも1以上の開口12aを設けることで、化粧料Aを、意匠性を有する開口12aの形状で塗布部材9から被塗布部に塗布可能とする。これにより、使用者が、塗布部材9の外観からは認識できない意匠性を有する形状の模様で化粧料Aを被塗布部に塗布することを可能とし、また、この意匠性を有する形状で被塗布部に塗布した化粧料Aを塗布部材9により伸ばすことで、従来と同様な塗布とすることも可能とする。
【解決手段】容器本体1内の化粧料Aを排出する排出路8aを覆い当該化粧料Aを通過可能とする塗布部材9のその裏面に、化粧料Aの通過を不可とするシール部材12を設け、このシール部材12に、化粧料Aを通過可能とすると共に意匠性を有する形状の少なくとも1以上の開口12aを設けることで、化粧料Aを、意匠性を有する開口12aの形状で塗布部材9から被塗布部に塗布可能とする。これにより、使用者が、塗布部材9の外観からは認識できない意匠性を有する形状の模様で化粧料Aを被塗布部に塗布することを可能とし、また、この意匠性を有する形状で被塗布部に塗布した化粧料Aを塗布部材9により伸ばすことで、従来と同様な塗布とすることも可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を被塗布部に塗布するための化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉末化粧料を収容する容器本体を塗布体であるパフにより覆い、使用者が使用する際には、当該パフを、例えば皮膚等の被塗布部に対して接触させ軽く叩いたり押したりすることで、容器内の粉末化粧料をパフを介して被塗布部に塗布することができる化粧料容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−259636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記化粧料容器にあっては、塗布にバリエーションが無かった。
【0005】
そこで、本発明は、化粧料をバリエーション豊かに塗布できる化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による化粧料容器は、化粧料を収容する容器本体と、容器本体内に収容された化粧料を排出するための排出路と、排出路を覆い化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、化粧料を、排出路、塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布するための化粧料容器であって、塗布部材の裏面に、化粧料の通過を不可とするシール部材を設け、シール部材は、化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の開口を少なくとも1以上備えていることを特徴としている。
【0007】
このような化粧料容器によれば、容器本体内に収容された化粧料を排出する排出路を覆い化粧料を通過可能とする塗布部材のその裏面に、化粧料の通過を不可とするシール部材が設けられ、このシール部材には、化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の少なくとも1以上の開口が設けられているため、化粧料は、意匠性を有する開口の形状で塗布部材から被塗布部に塗布される。このため、使用者は、塗布部材の外観からは認識できない意匠性を有する形状の模様で化粧料を被塗布部に塗布できる。また、この意匠性を有する形状で被塗布部に塗布された化粧料を、塗布部材により伸ばすことで、従来と同様な塗布とすることもできる。その結果、化粧料をバリエーション豊かに塗布できるようになる。
【0008】
ここで、上記作用を効果的に奏するシール部材としては、具体的には、シート状のホットメルト接着剤が挙げられる。
【0009】
また、塗布部材は、表裏面を判別するための切欠部を有していると、塗布部材の表裏を間違えることを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、化粧料をバリエーション豊かに塗布できる化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧料容器を示す外観図であり、キャップとストッパーを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図6】図4に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図7】図1に示す化粧料容器から取り外したストッパーを示す斜視図である。
【図8】図5及び図6中の排出筒を示す斜視図である。
【図9】図5及び図6中のアプリケータを示す平面図である。
【図10】図9に示すアプリケータの側面図である。
【図11】図9に示すアプリケータの裏面にシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【図12】図9に示すアプリケータの裏面に他のシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧料容器を示す斜視図、図2は、図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図、図3は、図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図、図4は、図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図、図5及び図6は、未使用時、使用時の化粧料容器を各々示す縦断面図、図7は、ストッパーを示す斜視図、図8は、排出筒を示す斜視図、図9及び図10は、アプリケータを示す各図、図11は、アプリケータ及びシール部材を裏面側から見た断面図であり、本実施形態の化粧料容器は、例えば粉体化粧料を使用者により顔等の皮膚に施すときに好適に用いられるものである。なお、本実施形態においては、化粧料を粉体として説明していくが、これが液体であっても良く、本発明に適用可能であれば化粧料の状態は限定するものではない。
【0014】
図1〜図6に示すように、化粧料容器100は、化粧料Aを収容する容器本体1と、この容器本体1の上部に配置されその筒孔が容器本体1内と連通する中筒部2と、この中筒部2の筒孔内にその筒部が挿入され軸線方向に沿って一定区間移動可能とされた移動部3と、中筒部2の外周面に容器本体1と移動部3とに挟持されるようにして取り外し可能に装着され、移動部3の軸線方向下方への移動を防止するストッパー7と、化粧料Aを外部へ流出させることが可能となるように移動部3に装着される塗布体10と、移動部3に着脱可能に装着されるキャップ11と、を具備して成る。
【0015】
容器本体1は、図5に示すように、有底円筒状に構成され内部に化粧料Aを収容するものであり、その上部に、下部より薄肉で上方に円筒状に突出する突出部1aを備える。この突出部1aの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設されるローレット1bが、容器本体1と中筒部2とを周方向回転不能に結合するためのものとして設けられている。また、突出部1aの外周面には、円環状の凸部1cが、容器本体1に対して中筒部2を軸線方向移動不能に結合するためのものとして設けられている。なお、容器本体1は、内部の化粧料Aが見えるように、一部又は全部が透明であっても良い。
【0016】
中筒部2は、上方向に延びる小径の円筒部2aと、下方向に延びる大径の内側円筒部2b及び外側円筒部2cとを、環状の平板部により繋いで成る。内側円筒部2bの外周面には、周方向に沿って、容器本体1の上記ローレット1bと噛み合う突条2dが複数設けられていると共に、外側円筒部2cの内周面には、容器本体1の上記円環状の凸部1cを嵌合するための円環状の凹部2eが設けられている。すなわち、中筒部2は容器本体1に対して周方向回転不能、且つ、軸線方向移動不能に結合されている。また、外側円筒部2cの外周面には、周方向に沿って、上下方向に延びる凸形状の中筒部側回転止め2fが、中筒部2と移動部3(外側移動体4)とを周方向回転不能に結合するものとして複数設けられている。
【0017】
また、中筒部2の円筒部2aは、その内周面が、容器本体1の内部に連通する連通孔2hとされており、この連通孔2hは、移動部3の後述する排出筒6が挿入可能な挿入孔となっている。そして、円筒部2aの外周面には、その上部から下部に向かう中間位置辺りに円環状の凸部2kが形成されることで、この凸部2kを挟んだ上側及び下側の位置に上下方向に延びる円環状の凹部2m,2gが形成され、上側の凹部2mより上側は、凸部2kとほぼ外径が同径で内径が連通孔2hより大径の段部2jとされている。この段部2jは、移動部3が図5に示す第1の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものであると共に、凸部2kは、移動部3が図6に示す第2の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものである。さらに、円筒部2aの内周面の下部には、図5に示すように、移動部3の後述する排出筒6の外周面に設けられているシール部6dが当接する受け部2iが設けられている。
【0018】
移動部3は、外側に位置する外側移動体4と、この外側移動体4の内側に位置する内側移動体5と、さらに、この内側移動体5の内側に位置する排出筒6と、で構成されており、本実施形態においては軸線方向に同一に移動することが可能となっている。
【0019】
外側移動体4は、上部に小径の上部円筒部4aと、下部に大径の下部円筒部4bを備えている。この上部円筒部4aには、外周面にキャップ11を装着するための雄螺子4cが設けられており、また、内周面の下側に、内側移動体5を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部4dが設けられている。そして、下部円筒部4bの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設され中筒部2の中筒部回転止め2fと噛み合うローレットである移動部側回転止め4eが設けられており、これにより、外側移動体4(移動部3)と中筒部2は周方向回転不能に結合されることになる。
【0020】
なお、本実施形態では、移動部側回転止め4eをローレットとし、中筒部回転止め2fをこの移動部側回転止め4eと噛み合うことが可能な凸形状としていが、これら移動部側回転止め4e及び中筒部回転止め2fの形状は、移動部3が周方向回転不能となるように中筒部2と結合可能な形状であれば、本実施の形態以外の形状でも良い。
【0021】
内側移動体5は、凹形状のような上部5a及び凹形状を逆さまにしたような下部5bが大径に構成されると共に、これらの上部5aと下部5bとをこれらの内周側で連結する円筒形状の中間部5cが小径に構成されている。上部5aは、塗布体10の後述する弾性部8の底部の一部又は全部を径方向外側から挟み込むことが可能な形状を有しており、その外周面には鍔部5fが設けられ、内周面には排出筒6を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部5gが設けられている。また、下部5bは、外周面に外側移動体4の突部4dと嵌合可能な嵌合部5dが設けられており、この嵌合により内側移動体5と外側移動体4とが軸線方向移動不能となる。そして、中間部5cは、内周面に凸部5hが設けられており、この凸部5hが中筒部2の段部2jに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第1の停止位置から上方への移動が止められる。また、図6に示すように、凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入し凸部2kに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第2の停止位置から上方への移動が止められる。
【0022】
排出筒6は、図8に示すように、円筒形状をしており、その外径は中筒部2の挿入孔2hに挿入可能な径とされ、挿入孔2hに挿入される(図5参照)。さらに、排出筒6は、一方の端(上端)に開口している開口部6aが設けられると共に他方の端(下端)に閉口している底面部(閉口部)6bが設けられており、さらに、その排出筒6の側面には、周方向に沿って、化粧料Aが通過可能なスリット6cが並設されている。また、図5に示すように、排出筒6の外周面の上部には、内側移動体5の突部5gと軸線方向移動不能に嵌合する嵌合部6eが設けられており、外周面の下部には、中筒部2の受け部2iと当接するシール部6dが設けられている。この排出筒6のシール部6dの外径と中筒部2の受け部2iの内径とは略同径とされ、受け部2iとシール部6dとが圧入により嵌合されることで、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。
【0023】
この移動部3は、上述したように、突部4dが嵌合部5dに嵌合されることで、外側移動体4と内側移動体5とが軸線方向移動不能に嵌合され、突部5gが嵌合部6eに嵌合されることで、内側移動体5と排出筒6とが軸線方向移動不能に嵌合される。このようにして、外側移動体4と内側移動体5と排出筒6が軸線方向に同一に移動可能となるように構成されている。
【0024】
このように、移動部3は、その排出筒6が挿入孔2hに挿入され、排出筒6の底面部6bが挿入孔2hの底面(端面)より下方に突出することなく略面一となるように受け部2iとシール部6dとが嵌合し、凸部5hが段部2jと当接する状態にある(若干の隙間があっても良い)ことを、移動部3が第1の停止位置に位置しているとする。
【0025】
さらに、図6に示すように、移動部3が軸線方向下方に移動し、凸部5hが凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると、排出筒6が挿入孔2hの底面から一定長下方に突出し、スリット6cが挿入孔2hから露出することになる。このように排出筒6が一定長突出状態にあることを、移動部3が第2の停止位置に位置しているとする。
【0026】
ストッパー7は、図1、図2及び図5に示すように、中筒部2の外側円筒部2cの外周を囲むと共に、外側移動体4と容器本体1とで軸線方向に挟み込むようにして化粧料容器100に装着されている。このストッパー7は、化粧料容器100に装着されているときは円環形状をしており、外周面に把手7aが設けられると共に、所定の力が加わると分離する接合部7b(図7参照)が好ましくは把手7aの対向位置に設けられている。このストッパー7の接合部7bは、例えばストッパー7が化粧料容器100に装着されているときに使用者が把手7aを把持して化粧料容器100の軸線に対して水平方向に引くことで当該接合部7bが分離し、化粧料容器100からの取り外しが可能とされている。
【0027】
図7は、接合部7bが分離したストッパー7の図であるが、この図においては接合部7bはストッパー7が円環状となっているときに把手7aの対向位置に設けられている。なお、接合部7bの設置位置は特に限定されるものではなく、使用者が把手7aを持って水平方向に力を入れたときに接合部7bが分離可能であれば、円環状のストッパー7のどの位置に接合部7bが設けられていても良い。
【0028】
そして、このストッパー7が、図1、図2及び図5に示すように、外側移動体4と容器本体1との軸線方向の間に挟み込まれて化粧料容器100に装着されていることで、移動部3の軸線方向下方への移動を不能としており(容器本体側への移動を不能としており)、前述した凸部5hと段部2jとの軸線方向の係合による移動部3の軸線方向上方への移動不能と伴って、移動部3を第1の停止位置に留めて置くことが可能となる。
【0029】
図2〜図6に示すように、塗布体10は、内側の弾性部8、塗布部材である外側のアプリケータ9、及び、これら弾性部8とアプリケータ9との間のシール部材12から構成されている。
【0030】
弾性部8は、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成し、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。この弾性部8の略中央には、図5及び図6に示すように、流出孔8aが、排出筒6の開口部6aからの化粧料Aを外部へ排出するための排出路として設けられ、当該化粧料Aを外部へ流出させるための主経路として設けられている。
【0031】
そして、弾性部8は、流出孔8aが排出筒6の開口部6aと連通する位置にくるように(流出孔8aと開口部6aとが同軸を成すように)、当該弾性部8の底部の一部又は全部が内側移動体5の上部5aの径方向内側に挟み込まれるようにして内側移動体5の上に載置される。このように載置された弾性部8においては、排出筒6の開口部6aを通ってきた化粧料Aは、主に流出孔8aを通過するが、弾性部8は多孔質材で構成されているので流出孔8a以外の部分も通過する。
【0032】
アプリケータ9は、弾性部8からの化粧料Aを皮膚に塗布感良く塗布するためのものであり、弾性部8と同様に、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。このアプリケータ9は、図9及び図10に示すように、所定の厚みを有する円板状に構成され、図5及び図6に示すように、外側へ膨らみ半球形状を成す弾性部8のその外側の面に被せられ、その下部が、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されることで、上記弾性部8を伴って移動部3に装着され、これにより、アプリケータ9の外側の面が外側へ膨らみ半球形状を成す構成となっている。
【0033】
このアプリケータ9には表裏面があり、図9及び図10に示すように、表面には、塗布時の感触(肌触り)を良くするための植毛9aが設けられている。そして、アプリケータ9は、植毛9aを有する表面が外側の面となるように移動部3に装着されている。
【0034】
また、アプリケータ9は、図9に示すように、その外周縁の一部に、当該アプリケータ9の表裏面を判別するための切欠部9bを備えている。そして、平面視において切欠部9bが上に位置するようにアプリケータ9を置いたときに、当該切欠部9が左側に欠けていれば、手前側が植毛9aを有する表面と判別できる。
【0035】
次に、本実施形態の特徴を成すシール部材12について、図5、図6及び図11を参照しながら説明する。シール部材12は、化粧料Aの通過を不可とするものであり、アプリケータ9の裏面(内側の面)に設けられている。このシール部材12は、シート状の円板形状の略中央に、図11に示すように、意匠性を有する形状の開口(軸線方向に貫く貫通孔)12aを有するもので、ここでは、開口12aはハート形の開口とされ、この開口12aを通してのみ化粧料Aがアプリケータ9を介して外部へ流出される。このシール部材12としては、種々のものを用いることができるが、ここでは、シート状のホットメルト接着剤が用いられている。
【0036】
このホットメルト接着剤とは、熱可塑性の合成樹脂又はゴムをベースとし常温時には固形又は半固形である一方、熱で溶解し急速に温度が下がることによって短時間で固化接着するものである。このホットメルト接着剤は、シート状に構成され、初期状態においては、その裏面に剥離紙が接着されている。
【0037】
次に、このシート状ホットメルト接着剤をアプリケータ9の裏面に設ける手順を説明する。先ず、シート状を成し上記ハート形の開口12aが略中央に開口されているホットメルト接着剤を用意すると共に、アプリケータ9を裏返しにして(裏面を上にし表面を下にして)作業台の上に載置する。
【0038】
このとき、アプリケータ9が表裏面を判別するための切欠部9bを有しているため、アプリケータ9の表裏を間違えることを防止できる。
【0039】
次いで、シート状ホットメルト接着剤の表面を下にし剥離紙を上にして、裏返しに配置されているアプリケータ9の上側の面、すなわち、アプリケータ9の植毛されていない裏面の上に載置し、次いで、熱源を上方から下降させて当該熱源によりシート状ホットメルト接着剤を剥離紙側から押圧し熱を与えることで、当該ホットメルト接着剤を溶解させ、これによりシート状ホットメルト接着剤をアプリケータ9に固着(溶着)させ、その後、ホットメルト接着剤の温度が下がってから剥離紙を取り除けば、図11に示すように、シート状ホットメルト接着剤がアプリケータ9の裏面に接着された部品が得られる。
【0040】
そして、このシート状ホットメルト接着剤を裏面に有するアプリケータ9は、弾性部8の上から同軸に被せるようにして移動体3に装着される。
【0041】
このような弾性部8、アプリケータ9、及び、シート状ホットメルト接着剤を始めとしたシール部材12を有する塗布体10は、流出孔8aからの化粧料Aを、シール部材12の開口12a、アプリケータ9を通して外部へ流出可能とし、被塗布部である皮膚に化粧料Aを塗布することができる。また、塗布体10は、移動部3に装着されていることから、移動部3が軸線方向に移動するときも同一に移動するものとなる。
【0042】
図1及び図5に示すように、キャップ11は、上部が閉じられた円筒形状の蓋であり、その内周面に外側移動体4の雄螺子4cと螺合する雌螺子11aを有し、この雌螺子11aと雄螺子4cとが螺合することにより移動部3に装着される。
【0043】
ここまで説明してきた構成の化粧料容器100にあっては、先ず、使用開始前は、図1、図2及び図5に示すようにストッパー7が装着され、移動部3は、ストッパー7による軸線方向下方への移動不能、及び、凸部5hと段部2jによる軸線方向上方への移動不能によって、第1の停止位置に留め置かれている。
【0044】
この第1の停止位置では、移動部3の排出筒6のシール部6dと中筒部2の円筒部2aの受け部2iとが嵌合し、その間を化粧料Aが通ることは不可能となっている。また、排出筒6の閉口している底面部6bが挿入孔2hの底面から下方に突出していないことから、容器本体1に収容されている化粧料Aが挿入孔2h又は排出筒6内を通過することは不可能となっている。すなわち、ストッパー7が化粧料容器100に装着されている状態では、移動部3が第1の停止位置に留め置かれ、底面部6bが挿入孔2hを閉鎖する弁の役割を果たし、シール部6dと受け部2iとが嵌合することで、容器本体1に収容されている化粧料Aを密封している。これにより、化粧料容器100の運搬、保存時にあって、不用意に化粧料Aが容器本体1から外部へ排出されることを防止することができる。
【0045】
次いで、使用開始時には、先ずキャップ11が化粧料容器100に装着されている状態でストッパー7を取り除き、使用者は移動部3を所定の大きさ以上の力で下方へ押し込む。これにより、移動部3は、図6に示すように、内側移動体5の凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると共に容器本体1に突き当たる第2の停止位置に移動し、容器本体1に突き当たることによる軸線方向下方(容器本体側)への移動不能、及び、凸部5hと凸部2kによる軸線方向上方(容器本体側とは反対側)への移動不能によって、第2の停止位置に留め置かれる。
【0046】
この移動部3の第2の停止位置への移動により、挿入孔2hの底面から排出筒6が一定長下方に突出すると共に、スリット6cが挿入孔2hから露出することになり、これにより、化粧料Aがスリット6c、開口部6aを通過可能な状態となる。すなわち、移動部3を第2の停止位置に移動させることで、底面部6bによる挿入孔2hの閉鎖が開放され(弁が開とされ)、容器本体1に密封されていた化粧料Aが、スリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通ることが可能となる。そして、移動部3が第2の停止位置へ移動した後、キャップ11を化粧料容器100より外し使用準備が整う。
【0047】
また、図3に示すように、ストッパー7が化粧料容器100より取り除かれた後であって移動部3が第1の停止位置にある場合は、中筒部2の一部が見えているが、図4に示すように、移動部3が第2の停止位置に移動した後は、中筒部2は移動部3に隠れてしまう。そこで、使用者は、移動部3が軸線方向下方へ移動した状態を化粧料容器100の外観から判断することによって、化粧料Aがスリット6c、排出筒6内、排出筒6の開口部6aを通ることが可能な状態(排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長下方に突出しスリット6cが露出している状態)にあり、結果的に、化粧料容器100が化粧料Aを排出可能な状態にあること(詳しくは後述)を確認することができる。さらに、容器本体1の一部又は全部が透明となっている場合は、排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長突出しているか否かを、直接目視で確認することもできる。
【0048】
なお、移動部3を第2の停止位置へ移動させたときに、挿入孔2hの底面から突出する排出筒6の長さは、スリット6cが露出し、使用者の使用に際して適量の化粧料Aが排出可能である長さであれば良い。また、キャップ11を外す際、外側移動体4(移動部3)と中筒部2とが周方向回転不能に結合されていると共に、中筒部2と容器本体1とが周方向回転不能に結合されているため、使用者が容器本体1を持ってキャップ11を螺合解除する方向へ回転させても、移動部3及び中筒部2がキャップ11と同期回転することはなく、容易に化粧料容器100からキャップ11を取り外すことができる。
【0049】
そして、使用にあたっては、塗布体10を顔等の皮膚に軽く叩き付け押し当てるようにすると、容器本体1内の化粧料Aは、スリット6cから排出筒6内に進入し、この排出筒6内、排出筒6の開口部6aを通って弾性部8へ向かう。
【0050】
弾性部8にあっては、化粧料Aの大半は流出孔8aを通ってアプリケータ9へ向かい、化粧料Aの残りの少量は、流出孔8a以外の部分を通ってアプリケータ9へ向かう。
【0051】
ここで、アプリケータ9の裏面には、図6及び図11に示すシール部材12が設けられているため、化粧料Aは、シール部材12の開口12a以外の部分では外部への通過が阻止される一方で、開口12aのみを通過し、開口12aの形状の模様でアプリケータ9を通して流出し、塗布に供される。
【0052】
このように、本実施形態においては、化粧料Aが、意匠性を有するハート形の開口12aの形状で、塗布部材であるアプリケータ9から被塗布部である皮膚に塗布される。すなわち、皮膚にハート形模様の化粧料Aが塗布される。このように、使用者は、アプリケータ9の外観からは認識できない意匠性を有するハート形の模様で化粧料Aを塗布できる。また、この意匠性を有するハート形の形状で塗布された化粧料Aを、アプリケータ9により伸ばせば(ハート形の形状を崩し一様になるように伸ばせば)、従来と同様な塗布とすることもできる。従って、本実施形態の化粧料容器100によれば、化粧料Aをバリエーション豊かに塗布できる。
【0053】
なお、ハート形の模様を皮膚に綺麗に形成するには、シール部材12の開口12aを、弾性部8の流出孔8aより小さく、且つ、流出孔8aより径方向外側にはみ出さないようにし、当該流出孔8aを通ってきた化粧料Aによって、模様を描くようにするのが良い。
【0054】
また、本実施形態においては、以下の効果もある。すなわち、移動部3が第1の停止位置に位置している未使用時には、排出筒6の閉口部6aが中筒部2の挿入孔2hを塞いで化粧料Aを密封でき、使用時には、移動部3が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動するため、排出筒6が挿入孔2hの端面より一定長突出し当該排出筒6のスリット6cが露出して化粧料Aがスリット6c、排出筒6内、開口部6aを通して外部に流出可能であるという態様を使用者が目視で確認でき、さらに、移動部3が第2の停止位置に留め置かれるため、使用者が化粧料容器100を使用している最中に、移動部3が不意に第1の停止位置へ移動してしまい、化粧料Aの排出量にバラツキが生じたり化粧料Aが排出されなかったりという不具合を防止することができ、常に一定量の化粧料Aを容器外部に流出できる。
【0055】
また、塗布時にあっては、弾性体である弾性部8が、アプリケータ9を介して皮膚に間接的に押し当てられるため、塗布感を向上できると共に、直接皮膚に押し当てられるアプリケータ9の塗布面(表面)に植毛が成されているため、使用者の塗布感をさらに向上できる。
【0056】
なお、シール部材12においては、化粧料Aの通過を不可とするだけであれば、剥離紙を剥がさなくても良いが、この剥離紙を剥がすことで、被塗布部に対するアプリケータ9による化粧料Aの塗布時に、ごわごわ感が無く好適な感触とされる。
【0057】
図12は、図9に示すアプリケータの裏面に他のシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【0058】
このシール部材13が先のシール部材12と違う点は、ハート形の開口12aを、星形の開口13aに代えた点である。
【0059】
このように構成しても、先のシール部材12と同様に、化粧料Aをバリエーション豊かに塗布できるという効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0060】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、シール部材12,13としてシート状ホットメルト接着剤を用いているが、化粧料Aの通過を不可とするシール部材であれば、シート状ホットメルト接着剤に限定されるものではなく、例えば、乾くと化粧料Aを通さない糊のようなものであっても良い。
【0061】
また、シール部材の開口としては、ハート形の開口12a、星形の開口13aの他に、例えばロゴマーク等の開口を用いることもでき、要は、意匠性を有する形状の開口であれば良い。また、開口の個数は1個に限定されるものではなく、2個以上であっても勿論良い。
【0062】
また、上記実施形態においては、弾性部8、アプリケータ9及びシール部材12(13)により塗布体10を構成すると共にアプリケータ9を塗布部材とし、このアプリケータ9の裏面に、シール部材12(13)を設けるようにしているが、弾性部8が無くアプリケータ9及びシール部材12(13)により塗布体を構成する化粧料容器や、アプリケータ9が無く弾性部8及びシール部材12(13)により塗布体を構成する化粧料容器に対しても適用可能であり、前者の弾性部8が無くアプリケータ9を有する化粧料容器の場合には、上記実施形態と同様に、塗布部材となるアプリケータ9の裏面にシール部材を設けることになり、後者のアプリケータ9が無く弾性部8を有する化粧料容器の場合には、塗布部材となる弾性部8の裏面にシール部材12(13)を設けることになる。
【0063】
また、このように、被塗布部に化粧料Aを塗布するための塗布部材となるアプリケータ9や弾性部8の外面形状は、上記実施形態で述べたように、外側へ膨らみ半球形状を成す構成が特に好適であるが、平坦な形状であっても良い。
【0064】
さらには、化粧料Aの容器本体1からの排出を制御する開閉弁機能を持ち合わせていない化粧料容器に対しても適用可能であり、要は、化粧料を収容する容器本体と、容器本体内に収容された化粧料を排出するための排出路と、排出路を覆い化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、化粧料を、排出路、塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布する化粧料容器全てに対して適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…容器本体、8a…流出孔(排出路)、9…アプリケータ(塗布部材)、9b…切欠部、12,13…シール部材(シート状ホットメルト接着剤)、12a,13a…開口、100…化粧料容器、A…化粧料。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料を被塗布部に塗布するための化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉末化粧料を収容する容器本体を塗布体であるパフにより覆い、使用者が使用する際には、当該パフを、例えば皮膚等の被塗布部に対して接触させ軽く叩いたり押したりすることで、容器内の粉末化粧料をパフを介して被塗布部に塗布することができる化粧料容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−259636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記化粧料容器にあっては、塗布にバリエーションが無かった。
【0005】
そこで、本発明は、化粧料をバリエーション豊かに塗布できる化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による化粧料容器は、化粧料を収容する容器本体と、容器本体内に収容された化粧料を排出するための排出路と、排出路を覆い化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、化粧料を、排出路、塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布するための化粧料容器であって、塗布部材の裏面に、化粧料の通過を不可とするシール部材を設け、シール部材は、化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の開口を少なくとも1以上備えていることを特徴としている。
【0007】
このような化粧料容器によれば、容器本体内に収容された化粧料を排出する排出路を覆い化粧料を通過可能とする塗布部材のその裏面に、化粧料の通過を不可とするシール部材が設けられ、このシール部材には、化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の少なくとも1以上の開口が設けられているため、化粧料は、意匠性を有する開口の形状で塗布部材から被塗布部に塗布される。このため、使用者は、塗布部材の外観からは認識できない意匠性を有する形状の模様で化粧料を被塗布部に塗布できる。また、この意匠性を有する形状で被塗布部に塗布された化粧料を、塗布部材により伸ばすことで、従来と同様な塗布とすることもできる。その結果、化粧料をバリエーション豊かに塗布できるようになる。
【0008】
ここで、上記作用を効果的に奏するシール部材としては、具体的には、シート状のホットメルト接着剤が挙げられる。
【0009】
また、塗布部材は、表裏面を判別するための切欠部を有していると、塗布部材の表裏を間違えることを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、化粧料をバリエーション豊かに塗布できる化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る化粧料容器を示す外観図であり、キャップとストッパーを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図6】図4に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図7】図1に示す化粧料容器から取り外したストッパーを示す斜視図である。
【図8】図5及び図6中の排出筒を示す斜視図である。
【図9】図5及び図6中のアプリケータを示す平面図である。
【図10】図9に示すアプリケータの側面図である。
【図11】図9に示すアプリケータの裏面にシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【図12】図9に示すアプリケータの裏面に他のシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について図1〜図12を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧料容器を示す斜視図、図2は、図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図、図3は、図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図、図4は、図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図、図5及び図6は、未使用時、使用時の化粧料容器を各々示す縦断面図、図7は、ストッパーを示す斜視図、図8は、排出筒を示す斜視図、図9及び図10は、アプリケータを示す各図、図11は、アプリケータ及びシール部材を裏面側から見た断面図であり、本実施形態の化粧料容器は、例えば粉体化粧料を使用者により顔等の皮膚に施すときに好適に用いられるものである。なお、本実施形態においては、化粧料を粉体として説明していくが、これが液体であっても良く、本発明に適用可能であれば化粧料の状態は限定するものではない。
【0014】
図1〜図6に示すように、化粧料容器100は、化粧料Aを収容する容器本体1と、この容器本体1の上部に配置されその筒孔が容器本体1内と連通する中筒部2と、この中筒部2の筒孔内にその筒部が挿入され軸線方向に沿って一定区間移動可能とされた移動部3と、中筒部2の外周面に容器本体1と移動部3とに挟持されるようにして取り外し可能に装着され、移動部3の軸線方向下方への移動を防止するストッパー7と、化粧料Aを外部へ流出させることが可能となるように移動部3に装着される塗布体10と、移動部3に着脱可能に装着されるキャップ11と、を具備して成る。
【0015】
容器本体1は、図5に示すように、有底円筒状に構成され内部に化粧料Aを収容するものであり、その上部に、下部より薄肉で上方に円筒状に突出する突出部1aを備える。この突出部1aの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設されるローレット1bが、容器本体1と中筒部2とを周方向回転不能に結合するためのものとして設けられている。また、突出部1aの外周面には、円環状の凸部1cが、容器本体1に対して中筒部2を軸線方向移動不能に結合するためのものとして設けられている。なお、容器本体1は、内部の化粧料Aが見えるように、一部又は全部が透明であっても良い。
【0016】
中筒部2は、上方向に延びる小径の円筒部2aと、下方向に延びる大径の内側円筒部2b及び外側円筒部2cとを、環状の平板部により繋いで成る。内側円筒部2bの外周面には、周方向に沿って、容器本体1の上記ローレット1bと噛み合う突条2dが複数設けられていると共に、外側円筒部2cの内周面には、容器本体1の上記円環状の凸部1cを嵌合するための円環状の凹部2eが設けられている。すなわち、中筒部2は容器本体1に対して周方向回転不能、且つ、軸線方向移動不能に結合されている。また、外側円筒部2cの外周面には、周方向に沿って、上下方向に延びる凸形状の中筒部側回転止め2fが、中筒部2と移動部3(外側移動体4)とを周方向回転不能に結合するものとして複数設けられている。
【0017】
また、中筒部2の円筒部2aは、その内周面が、容器本体1の内部に連通する連通孔2hとされており、この連通孔2hは、移動部3の後述する排出筒6が挿入可能な挿入孔となっている。そして、円筒部2aの外周面には、その上部から下部に向かう中間位置辺りに円環状の凸部2kが形成されることで、この凸部2kを挟んだ上側及び下側の位置に上下方向に延びる円環状の凹部2m,2gが形成され、上側の凹部2mより上側は、凸部2kとほぼ外径が同径で内径が連通孔2hより大径の段部2jとされている。この段部2jは、移動部3が図5に示す第1の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものであると共に、凸部2kは、移動部3が図6に示す第2の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものである。さらに、円筒部2aの内周面の下部には、図5に示すように、移動部3の後述する排出筒6の外周面に設けられているシール部6dが当接する受け部2iが設けられている。
【0018】
移動部3は、外側に位置する外側移動体4と、この外側移動体4の内側に位置する内側移動体5と、さらに、この内側移動体5の内側に位置する排出筒6と、で構成されており、本実施形態においては軸線方向に同一に移動することが可能となっている。
【0019】
外側移動体4は、上部に小径の上部円筒部4aと、下部に大径の下部円筒部4bを備えている。この上部円筒部4aには、外周面にキャップ11を装着するための雄螺子4cが設けられており、また、内周面の下側に、内側移動体5を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部4dが設けられている。そして、下部円筒部4bの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設され中筒部2の中筒部回転止め2fと噛み合うローレットである移動部側回転止め4eが設けられており、これにより、外側移動体4(移動部3)と中筒部2は周方向回転不能に結合されることになる。
【0020】
なお、本実施形態では、移動部側回転止め4eをローレットとし、中筒部回転止め2fをこの移動部側回転止め4eと噛み合うことが可能な凸形状としていが、これら移動部側回転止め4e及び中筒部回転止め2fの形状は、移動部3が周方向回転不能となるように中筒部2と結合可能な形状であれば、本実施の形態以外の形状でも良い。
【0021】
内側移動体5は、凹形状のような上部5a及び凹形状を逆さまにしたような下部5bが大径に構成されると共に、これらの上部5aと下部5bとをこれらの内周側で連結する円筒形状の中間部5cが小径に構成されている。上部5aは、塗布体10の後述する弾性部8の底部の一部又は全部を径方向外側から挟み込むことが可能な形状を有しており、その外周面には鍔部5fが設けられ、内周面には排出筒6を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部5gが設けられている。また、下部5bは、外周面に外側移動体4の突部4dと嵌合可能な嵌合部5dが設けられており、この嵌合により内側移動体5と外側移動体4とが軸線方向移動不能となる。そして、中間部5cは、内周面に凸部5hが設けられており、この凸部5hが中筒部2の段部2jに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第1の停止位置から上方への移動が止められる。また、図6に示すように、凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入し凸部2kに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第2の停止位置から上方への移動が止められる。
【0022】
排出筒6は、図8に示すように、円筒形状をしており、その外径は中筒部2の挿入孔2hに挿入可能な径とされ、挿入孔2hに挿入される(図5参照)。さらに、排出筒6は、一方の端(上端)に開口している開口部6aが設けられると共に他方の端(下端)に閉口している底面部(閉口部)6bが設けられており、さらに、その排出筒6の側面には、周方向に沿って、化粧料Aが通過可能なスリット6cが並設されている。また、図5に示すように、排出筒6の外周面の上部には、内側移動体5の突部5gと軸線方向移動不能に嵌合する嵌合部6eが設けられており、外周面の下部には、中筒部2の受け部2iと当接するシール部6dが設けられている。この排出筒6のシール部6dの外径と中筒部2の受け部2iの内径とは略同径とされ、受け部2iとシール部6dとが圧入により嵌合されることで、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。
【0023】
この移動部3は、上述したように、突部4dが嵌合部5dに嵌合されることで、外側移動体4と内側移動体5とが軸線方向移動不能に嵌合され、突部5gが嵌合部6eに嵌合されることで、内側移動体5と排出筒6とが軸線方向移動不能に嵌合される。このようにして、外側移動体4と内側移動体5と排出筒6が軸線方向に同一に移動可能となるように構成されている。
【0024】
このように、移動部3は、その排出筒6が挿入孔2hに挿入され、排出筒6の底面部6bが挿入孔2hの底面(端面)より下方に突出することなく略面一となるように受け部2iとシール部6dとが嵌合し、凸部5hが段部2jと当接する状態にある(若干の隙間があっても良い)ことを、移動部3が第1の停止位置に位置しているとする。
【0025】
さらに、図6に示すように、移動部3が軸線方向下方に移動し、凸部5hが凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると、排出筒6が挿入孔2hの底面から一定長下方に突出し、スリット6cが挿入孔2hから露出することになる。このように排出筒6が一定長突出状態にあることを、移動部3が第2の停止位置に位置しているとする。
【0026】
ストッパー7は、図1、図2及び図5に示すように、中筒部2の外側円筒部2cの外周を囲むと共に、外側移動体4と容器本体1とで軸線方向に挟み込むようにして化粧料容器100に装着されている。このストッパー7は、化粧料容器100に装着されているときは円環形状をしており、外周面に把手7aが設けられると共に、所定の力が加わると分離する接合部7b(図7参照)が好ましくは把手7aの対向位置に設けられている。このストッパー7の接合部7bは、例えばストッパー7が化粧料容器100に装着されているときに使用者が把手7aを把持して化粧料容器100の軸線に対して水平方向に引くことで当該接合部7bが分離し、化粧料容器100からの取り外しが可能とされている。
【0027】
図7は、接合部7bが分離したストッパー7の図であるが、この図においては接合部7bはストッパー7が円環状となっているときに把手7aの対向位置に設けられている。なお、接合部7bの設置位置は特に限定されるものではなく、使用者が把手7aを持って水平方向に力を入れたときに接合部7bが分離可能であれば、円環状のストッパー7のどの位置に接合部7bが設けられていても良い。
【0028】
そして、このストッパー7が、図1、図2及び図5に示すように、外側移動体4と容器本体1との軸線方向の間に挟み込まれて化粧料容器100に装着されていることで、移動部3の軸線方向下方への移動を不能としており(容器本体側への移動を不能としており)、前述した凸部5hと段部2jとの軸線方向の係合による移動部3の軸線方向上方への移動不能と伴って、移動部3を第1の停止位置に留めて置くことが可能となる。
【0029】
図2〜図6に示すように、塗布体10は、内側の弾性部8、塗布部材である外側のアプリケータ9、及び、これら弾性部8とアプリケータ9との間のシール部材12から構成されている。
【0030】
弾性部8は、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成し、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。この弾性部8の略中央には、図5及び図6に示すように、流出孔8aが、排出筒6の開口部6aからの化粧料Aを外部へ排出するための排出路として設けられ、当該化粧料Aを外部へ流出させるための主経路として設けられている。
【0031】
そして、弾性部8は、流出孔8aが排出筒6の開口部6aと連通する位置にくるように(流出孔8aと開口部6aとが同軸を成すように)、当該弾性部8の底部の一部又は全部が内側移動体5の上部5aの径方向内側に挟み込まれるようにして内側移動体5の上に載置される。このように載置された弾性部8においては、排出筒6の開口部6aを通ってきた化粧料Aは、主に流出孔8aを通過するが、弾性部8は多孔質材で構成されているので流出孔8a以外の部分も通過する。
【0032】
アプリケータ9は、弾性部8からの化粧料Aを皮膚に塗布感良く塗布するためのものであり、弾性部8と同様に、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。このアプリケータ9は、図9及び図10に示すように、所定の厚みを有する円板状に構成され、図5及び図6に示すように、外側へ膨らみ半球形状を成す弾性部8のその外側の面に被せられ、その下部が、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されることで、上記弾性部8を伴って移動部3に装着され、これにより、アプリケータ9の外側の面が外側へ膨らみ半球形状を成す構成となっている。
【0033】
このアプリケータ9には表裏面があり、図9及び図10に示すように、表面には、塗布時の感触(肌触り)を良くするための植毛9aが設けられている。そして、アプリケータ9は、植毛9aを有する表面が外側の面となるように移動部3に装着されている。
【0034】
また、アプリケータ9は、図9に示すように、その外周縁の一部に、当該アプリケータ9の表裏面を判別するための切欠部9bを備えている。そして、平面視において切欠部9bが上に位置するようにアプリケータ9を置いたときに、当該切欠部9が左側に欠けていれば、手前側が植毛9aを有する表面と判別できる。
【0035】
次に、本実施形態の特徴を成すシール部材12について、図5、図6及び図11を参照しながら説明する。シール部材12は、化粧料Aの通過を不可とするものであり、アプリケータ9の裏面(内側の面)に設けられている。このシール部材12は、シート状の円板形状の略中央に、図11に示すように、意匠性を有する形状の開口(軸線方向に貫く貫通孔)12aを有するもので、ここでは、開口12aはハート形の開口とされ、この開口12aを通してのみ化粧料Aがアプリケータ9を介して外部へ流出される。このシール部材12としては、種々のものを用いることができるが、ここでは、シート状のホットメルト接着剤が用いられている。
【0036】
このホットメルト接着剤とは、熱可塑性の合成樹脂又はゴムをベースとし常温時には固形又は半固形である一方、熱で溶解し急速に温度が下がることによって短時間で固化接着するものである。このホットメルト接着剤は、シート状に構成され、初期状態においては、その裏面に剥離紙が接着されている。
【0037】
次に、このシート状ホットメルト接着剤をアプリケータ9の裏面に設ける手順を説明する。先ず、シート状を成し上記ハート形の開口12aが略中央に開口されているホットメルト接着剤を用意すると共に、アプリケータ9を裏返しにして(裏面を上にし表面を下にして)作業台の上に載置する。
【0038】
このとき、アプリケータ9が表裏面を判別するための切欠部9bを有しているため、アプリケータ9の表裏を間違えることを防止できる。
【0039】
次いで、シート状ホットメルト接着剤の表面を下にし剥離紙を上にして、裏返しに配置されているアプリケータ9の上側の面、すなわち、アプリケータ9の植毛されていない裏面の上に載置し、次いで、熱源を上方から下降させて当該熱源によりシート状ホットメルト接着剤を剥離紙側から押圧し熱を与えることで、当該ホットメルト接着剤を溶解させ、これによりシート状ホットメルト接着剤をアプリケータ9に固着(溶着)させ、その後、ホットメルト接着剤の温度が下がってから剥離紙を取り除けば、図11に示すように、シート状ホットメルト接着剤がアプリケータ9の裏面に接着された部品が得られる。
【0040】
そして、このシート状ホットメルト接着剤を裏面に有するアプリケータ9は、弾性部8の上から同軸に被せるようにして移動体3に装着される。
【0041】
このような弾性部8、アプリケータ9、及び、シート状ホットメルト接着剤を始めとしたシール部材12を有する塗布体10は、流出孔8aからの化粧料Aを、シール部材12の開口12a、アプリケータ9を通して外部へ流出可能とし、被塗布部である皮膚に化粧料Aを塗布することができる。また、塗布体10は、移動部3に装着されていることから、移動部3が軸線方向に移動するときも同一に移動するものとなる。
【0042】
図1及び図5に示すように、キャップ11は、上部が閉じられた円筒形状の蓋であり、その内周面に外側移動体4の雄螺子4cと螺合する雌螺子11aを有し、この雌螺子11aと雄螺子4cとが螺合することにより移動部3に装着される。
【0043】
ここまで説明してきた構成の化粧料容器100にあっては、先ず、使用開始前は、図1、図2及び図5に示すようにストッパー7が装着され、移動部3は、ストッパー7による軸線方向下方への移動不能、及び、凸部5hと段部2jによる軸線方向上方への移動不能によって、第1の停止位置に留め置かれている。
【0044】
この第1の停止位置では、移動部3の排出筒6のシール部6dと中筒部2の円筒部2aの受け部2iとが嵌合し、その間を化粧料Aが通ることは不可能となっている。また、排出筒6の閉口している底面部6bが挿入孔2hの底面から下方に突出していないことから、容器本体1に収容されている化粧料Aが挿入孔2h又は排出筒6内を通過することは不可能となっている。すなわち、ストッパー7が化粧料容器100に装着されている状態では、移動部3が第1の停止位置に留め置かれ、底面部6bが挿入孔2hを閉鎖する弁の役割を果たし、シール部6dと受け部2iとが嵌合することで、容器本体1に収容されている化粧料Aを密封している。これにより、化粧料容器100の運搬、保存時にあって、不用意に化粧料Aが容器本体1から外部へ排出されることを防止することができる。
【0045】
次いで、使用開始時には、先ずキャップ11が化粧料容器100に装着されている状態でストッパー7を取り除き、使用者は移動部3を所定の大きさ以上の力で下方へ押し込む。これにより、移動部3は、図6に示すように、内側移動体5の凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると共に容器本体1に突き当たる第2の停止位置に移動し、容器本体1に突き当たることによる軸線方向下方(容器本体側)への移動不能、及び、凸部5hと凸部2kによる軸線方向上方(容器本体側とは反対側)への移動不能によって、第2の停止位置に留め置かれる。
【0046】
この移動部3の第2の停止位置への移動により、挿入孔2hの底面から排出筒6が一定長下方に突出すると共に、スリット6cが挿入孔2hから露出することになり、これにより、化粧料Aがスリット6c、開口部6aを通過可能な状態となる。すなわち、移動部3を第2の停止位置に移動させることで、底面部6bによる挿入孔2hの閉鎖が開放され(弁が開とされ)、容器本体1に密封されていた化粧料Aが、スリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通ることが可能となる。そして、移動部3が第2の停止位置へ移動した後、キャップ11を化粧料容器100より外し使用準備が整う。
【0047】
また、図3に示すように、ストッパー7が化粧料容器100より取り除かれた後であって移動部3が第1の停止位置にある場合は、中筒部2の一部が見えているが、図4に示すように、移動部3が第2の停止位置に移動した後は、中筒部2は移動部3に隠れてしまう。そこで、使用者は、移動部3が軸線方向下方へ移動した状態を化粧料容器100の外観から判断することによって、化粧料Aがスリット6c、排出筒6内、排出筒6の開口部6aを通ることが可能な状態(排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長下方に突出しスリット6cが露出している状態)にあり、結果的に、化粧料容器100が化粧料Aを排出可能な状態にあること(詳しくは後述)を確認することができる。さらに、容器本体1の一部又は全部が透明となっている場合は、排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長突出しているか否かを、直接目視で確認することもできる。
【0048】
なお、移動部3を第2の停止位置へ移動させたときに、挿入孔2hの底面から突出する排出筒6の長さは、スリット6cが露出し、使用者の使用に際して適量の化粧料Aが排出可能である長さであれば良い。また、キャップ11を外す際、外側移動体4(移動部3)と中筒部2とが周方向回転不能に結合されていると共に、中筒部2と容器本体1とが周方向回転不能に結合されているため、使用者が容器本体1を持ってキャップ11を螺合解除する方向へ回転させても、移動部3及び中筒部2がキャップ11と同期回転することはなく、容易に化粧料容器100からキャップ11を取り外すことができる。
【0049】
そして、使用にあたっては、塗布体10を顔等の皮膚に軽く叩き付け押し当てるようにすると、容器本体1内の化粧料Aは、スリット6cから排出筒6内に進入し、この排出筒6内、排出筒6の開口部6aを通って弾性部8へ向かう。
【0050】
弾性部8にあっては、化粧料Aの大半は流出孔8aを通ってアプリケータ9へ向かい、化粧料Aの残りの少量は、流出孔8a以外の部分を通ってアプリケータ9へ向かう。
【0051】
ここで、アプリケータ9の裏面には、図6及び図11に示すシール部材12が設けられているため、化粧料Aは、シール部材12の開口12a以外の部分では外部への通過が阻止される一方で、開口12aのみを通過し、開口12aの形状の模様でアプリケータ9を通して流出し、塗布に供される。
【0052】
このように、本実施形態においては、化粧料Aが、意匠性を有するハート形の開口12aの形状で、塗布部材であるアプリケータ9から被塗布部である皮膚に塗布される。すなわち、皮膚にハート形模様の化粧料Aが塗布される。このように、使用者は、アプリケータ9の外観からは認識できない意匠性を有するハート形の模様で化粧料Aを塗布できる。また、この意匠性を有するハート形の形状で塗布された化粧料Aを、アプリケータ9により伸ばせば(ハート形の形状を崩し一様になるように伸ばせば)、従来と同様な塗布とすることもできる。従って、本実施形態の化粧料容器100によれば、化粧料Aをバリエーション豊かに塗布できる。
【0053】
なお、ハート形の模様を皮膚に綺麗に形成するには、シール部材12の開口12aを、弾性部8の流出孔8aより小さく、且つ、流出孔8aより径方向外側にはみ出さないようにし、当該流出孔8aを通ってきた化粧料Aによって、模様を描くようにするのが良い。
【0054】
また、本実施形態においては、以下の効果もある。すなわち、移動部3が第1の停止位置に位置している未使用時には、排出筒6の閉口部6aが中筒部2の挿入孔2hを塞いで化粧料Aを密封でき、使用時には、移動部3が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動するため、排出筒6が挿入孔2hの端面より一定長突出し当該排出筒6のスリット6cが露出して化粧料Aがスリット6c、排出筒6内、開口部6aを通して外部に流出可能であるという態様を使用者が目視で確認でき、さらに、移動部3が第2の停止位置に留め置かれるため、使用者が化粧料容器100を使用している最中に、移動部3が不意に第1の停止位置へ移動してしまい、化粧料Aの排出量にバラツキが生じたり化粧料Aが排出されなかったりという不具合を防止することができ、常に一定量の化粧料Aを容器外部に流出できる。
【0055】
また、塗布時にあっては、弾性体である弾性部8が、アプリケータ9を介して皮膚に間接的に押し当てられるため、塗布感を向上できると共に、直接皮膚に押し当てられるアプリケータ9の塗布面(表面)に植毛が成されているため、使用者の塗布感をさらに向上できる。
【0056】
なお、シール部材12においては、化粧料Aの通過を不可とするだけであれば、剥離紙を剥がさなくても良いが、この剥離紙を剥がすことで、被塗布部に対するアプリケータ9による化粧料Aの塗布時に、ごわごわ感が無く好適な感触とされる。
【0057】
図12は、図9に示すアプリケータの裏面に他のシール部材を設けたものを、シール部材の軸線方向途中位置で切断し裏面側から見た断面図である。
【0058】
このシール部材13が先のシール部材12と違う点は、ハート形の開口12aを、星形の開口13aに代えた点である。
【0059】
このように構成しても、先のシール部材12と同様に、化粧料Aをバリエーション豊かに塗布できるという効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0060】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、シール部材12,13としてシート状ホットメルト接着剤を用いているが、化粧料Aの通過を不可とするシール部材であれば、シート状ホットメルト接着剤に限定されるものではなく、例えば、乾くと化粧料Aを通さない糊のようなものであっても良い。
【0061】
また、シール部材の開口としては、ハート形の開口12a、星形の開口13aの他に、例えばロゴマーク等の開口を用いることもでき、要は、意匠性を有する形状の開口であれば良い。また、開口の個数は1個に限定されるものではなく、2個以上であっても勿論良い。
【0062】
また、上記実施形態においては、弾性部8、アプリケータ9及びシール部材12(13)により塗布体10を構成すると共にアプリケータ9を塗布部材とし、このアプリケータ9の裏面に、シール部材12(13)を設けるようにしているが、弾性部8が無くアプリケータ9及びシール部材12(13)により塗布体を構成する化粧料容器や、アプリケータ9が無く弾性部8及びシール部材12(13)により塗布体を構成する化粧料容器に対しても適用可能であり、前者の弾性部8が無くアプリケータ9を有する化粧料容器の場合には、上記実施形態と同様に、塗布部材となるアプリケータ9の裏面にシール部材を設けることになり、後者のアプリケータ9が無く弾性部8を有する化粧料容器の場合には、塗布部材となる弾性部8の裏面にシール部材12(13)を設けることになる。
【0063】
また、このように、被塗布部に化粧料Aを塗布するための塗布部材となるアプリケータ9や弾性部8の外面形状は、上記実施形態で述べたように、外側へ膨らみ半球形状を成す構成が特に好適であるが、平坦な形状であっても良い。
【0064】
さらには、化粧料Aの容器本体1からの排出を制御する開閉弁機能を持ち合わせていない化粧料容器に対しても適用可能であり、要は、化粧料を収容する容器本体と、容器本体内に収容された化粧料を排出するための排出路と、排出路を覆い化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、化粧料を、排出路、塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布する化粧料容器全てに対して適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…容器本体、8a…流出孔(排出路)、9…アプリケータ(塗布部材)、9b…切欠部、12,13…シール部材(シート状ホットメルト接着剤)、12a,13a…開口、100…化粧料容器、A…化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された前記化粧料を排出するための排出路と、前記排出路を覆い前記化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、前記化粧料を、前記排出路、前記塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布するための化粧料容器であって、
前記塗布部材の裏面に、前記化粧料の通過を不可とするシール部材を設け、
前記シール部材は、前記化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の開口を少なくとも1以上備えていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記シール部材は、シート状のホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記塗布部材は、表裏面を判別するための切欠部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料容器。
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された前記化粧料を排出するための排出路と、前記排出路を覆い前記化粧料が通過可能な塗布部材と、を具備し、前記化粧料を、前記排出路、前記塗布部材を介して当該塗布部材の表面から被塗布部に塗布するための化粧料容器であって、
前記塗布部材の裏面に、前記化粧料の通過を不可とするシール部材を設け、
前記シール部材は、前記化粧料を通過可能とすると共に意匠性を有する形状の開口を少なくとも1以上備えていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記シール部材は、シート状のホットメルト接着剤であることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記塗布部材は、表裏面を判別するための切欠部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−10885(P2012−10885A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149406(P2010−149406)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
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