化粧料容器
【課題】未使用時に化粧料容器を密封可能とし、且つ、使用時に化粧料が外部へ流出可能であることを使用者が目視で確認できると共に確実に化粧料を容器外部に流出させる。
【解決手段】移動部3が第1の停止位置に位置しているときは、排出筒6の閉口部6bが中筒部2の挿入孔2hを塞いで化粧料Aを密封し、移動部3が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動することにより、排出筒6が挿入孔2hの端面より一定長突出し当該排出筒6のスリット6cが露出して化粧料がスリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通して外部に流出可能であるという態様を使用者が目視で確認可能とし、さらに、移動部3を第2の停止位置に留めて置き、使用時に化粧料Aの流出がばらつかないようにして確実に化粧料Aを容器外部に流出させる。
【解決手段】移動部3が第1の停止位置に位置しているときは、排出筒6の閉口部6bが中筒部2の挿入孔2hを塞いで化粧料Aを密封し、移動部3が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動することにより、排出筒6が挿入孔2hの端面より一定長突出し当該排出筒6のスリット6cが露出して化粧料がスリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通して外部に流出可能であるという態様を使用者が目視で確認可能とし、さらに、移動部3を第2の停止位置に留めて置き、使用時に化粧料Aの流出がばらつかないようにして確実に化粧料Aを容器外部に流出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
未使用時には化粧料を内部に密封でき、使用時にはその化粧料を外部に流出させて塗布できる化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料容器として、化粧料を収容する容器本体と、この容器本体を覆うようにその上部に装着されると共に、容器本体に収容された化粧料を使用すべく外部へ流出させるための開口を備えた蓋部と、を備え、容器本体内の化粧料のバージン性を保つため、容器本体内に化粧料を密封するための中蓋を有するものが知られている。このような化粧料容器にあっては、初回の使用開始時に容器本体からその上部の蓋部を取り外したあと中蓋を取り外し、再度、蓋部を容器本体に装着することが必要であるため、その作業が煩雑で取扱性に問題があった。
【0003】
そこで、下記の特許文献1では、中蓋に代えて弁体を設け、化粧料容器のパフを使用者の皮膚に接触させながら叩いたり押したりすることで弁体が弁シート部材より離間して弁孔を開放し、粉末化粧料はこの開放された弁孔を通ってパフを通じ外部へ排出される一方で、使用者が皮膚からパフを離すと弁体が容器の軸線方向に移動し弁孔を遮断して容器本体を密閉させ、粉末化粧料の外部への排出を阻止する粉末化粧料容器の技術が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、中蓋に代えてシールボールを用いて隔壁部の接続孔を閉鎖させて塗布液を密閉し、継手部を本体軸側に移動させると継手部の後端接続部により接続孔からシールボールが押し出され、塗布液を外部へ排出可能とする液体塗布具の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−259636号公報
【特許文献2】特許第4321909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の粉末化粧料容器では、パフを叩いたり押したりしているときにしか弁孔が開放されないため、使い方によっては弁孔の開放が充分ではなく排出される化粧料の量にバラツキがあった。また、粉末化粧料容器を使用中に化粧料が外部へ排出されない場合、使用者にとっては使い方が悪いのか弁孔が正常に開放されていないのかの判断をするのは難しかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の液体塗布具では、押し出されたシールボールが液体塗布具の使用時に接続孔の近傍に移動することは往々にして考えられ、その場合のシールボールは、塗布液を接続孔から塗布液吐出孔を介して外部へ排出する際の当該塗布液の流れを阻害する障害物でしかなく、安定して確実に塗布液を排出するには不都合な構成となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、未使用時には、容器に収容する化粧料を密封することが可能で、使用時には、目視で化粧料が外部に流出可能な状態であることを使用者が確認できると共に化粧料の流出量のバラツキがなく確実に化粧料を容器外部に流出させることが可能な化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による化粧料容器は、化粧料を収容する容器本体と、軸線方向の一方には開口している開口部が、他方には閉口している閉口部がそれぞれ設けられると共に、側面にはスリットが設けられ、容器本体に収容されている化粧料がスリットを通過して開口部より排出可能な円筒形状をした排出筒を備える移動部と、排出筒が挿入可能とされている挿入孔を備える中筒部と、排出筒の開口部を覆うと共に化粧料を外部へ流出させることを可能とする塗布体と、を備える化粧料容器であって、移動部は、排出筒が中筒部の挿入孔に挿入されている状態で、第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動可能で当該第2の停止位置に留め置かれる構成を有し、第1の停止位置に位置しているときは排出筒の閉口部が中筒部の挿入孔を塞いでおり、第2の停止位置に位置しているときは排出筒の側面のスリットを通過し開口部より塗布体へ化粧料が排出可能となるように排出筒が挿入孔の端面より一定長突出することを特徴としている。
【0010】
このような化粧料容器によれば、移動部が第1の停止位置に位置しているときは、排出筒の閉口部が中筒部の挿入孔を塞いで化粧料Aが密封され、移動部が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動することにより、排出筒が挿入孔の端面より一定長突出し当該排出筒のスリットが露出して化粧料がスリット、排出筒内、開口部を通して外部に流出可能であるという態様が使用者に目視で確認可能とされ、さらに、移動部が第2の停止位置に留め置かれることにより、使用時に化粧料の流出がばらつかず確実に化粧料が容器外部に流出される。
【0011】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、移動部は、第2の停止位置において、容器本体に突き当たり容器本体側への移動が不能にされると共に、中筒部に軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動が不能にされることによって、第2の停止位置に留め置かれる構成が挙げられる。
【0012】
より具体的には、排出筒は、その外周面に、移動部の第2の停止位置への移動の際に内側に撓み、移動部が第2の停止位置に位置すると、元の位置に弾性復帰し中筒部の底面に掛止されることで軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動を不能とする爪部を備える構成が挙げられる。
【0013】
また、上記作用を効果的に奏する他の構成としては、具体的には、移動部と容器本体との軸線方向の間に挟み込まれるようにして取り外し可能に装着されるストッパーを備え、ストッパーが装着されることにより、移動部は、容器本体側への移動が不能とされて第1の停止位置に留め置かれることが可能とされる構成が挙げられる。
【0014】
また、移動部は移動部側回転止めを備えると共に、中筒部は中筒部側回転止めを備え、移動部側回転止めと中筒部側回転止めとによって、移動部は中筒部に周方向回転不能に係合する構成であるのが好ましい。このような構成を採用した場合、移動部及び中筒部が回転方向に一体化されるため、例えば、化粧料容器を覆うキャップを移動部に装着する構成であり当該移動部にキャップの雌螺子と螺合する雄螺子を有する構成であっても、移動部及び中筒部がキャップと同期回転することはなく、容易に化粧料容器からキャップを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、未使用時には、容器に収容する化粧料を密封することが可能で、使用時には、目視で化粧料が外部に流出可能な状態であることを使用者が確認できると共に化粧料の流出量のバラツキがなく確実に化粧料を容器外部に流出させることが可能な化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る化粧料容器を示す外観図であり、キャップとストッパーを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図6】図4に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図7】図1に示す化粧料容器から取り外したストッパーを示す斜視図である。
【図8】図5及び図6中の排出筒を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す正面図である。
【図10】図9に示す排出筒を左斜め上方から見た斜視図である。
【図11】図9に示す排出筒を右斜め下方から見た斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す正面図である。
【図13】図12に示す排出筒を左斜め上方から見た斜視図である。
【図14】図12に示す排出筒を右斜め下方から見た斜視図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る化粧料容器を示す縦断面図であり、図12〜図14に示す排出筒を備え、キャップとストッパーを装着した状態を示す縦断面図である。
【図16】図15中のX部拡大図である。
【図17】図15の状態からキャップとストッパーを取り外し移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【図18】図17中のY部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について図1〜図18を参照しながら説明する。図1〜図8は、本発明の第1実施形態を、図9〜図11は、本発明の第2実施形態を、図12〜図18は、本発明の第3実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
先ず、図1〜図8に示す第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る化粧料容器を示す斜視図、図2は、図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図、図3は、図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図、図4は、図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図、図5及び図6は、未使用時、使用時の化粧料容器を各々示す縦断面図、図7は、ストッパーを示す斜視図、図8は、排出筒を示す斜視図であり、本実施形態の化粧料容器は、例えば粉体化粧料を使用者により顔等の皮膚に施すときに用いられるものである。なお、本実施形態においては、化粧料を粉体として説明していくが、これが液体であっても良く、本発明に適用可能であれば化粧料の状態は限定するものではない。
【0019】
図1〜図6に示すように、化粧料容器100は、化粧料Aを収容する容器本体1と、この容器本体1の上部に配置されその筒孔が容器本体1内と連通する中筒部2と、この中筒部2の筒孔内にその筒部が挿入され軸線方向に沿って一定区間移動可能とされた移動部3と、中筒部2の外周面に容器本体1と移動部3とに挟持されるようにして取り外し可能に装着され、移動部3の軸線方向下方への移動を防止するストッパー7と、化粧料Aを外部へ流出させることが可能となるように移動部3に装着される塗布体10と、移動部3に着脱可能に装着されるキャップ11と、を具備して成る。
【0020】
容器本体1は、図5に示すように、有底円筒状に構成され内部に化粧料Aを収容するものであり、その上部に、下部より薄肉で上方に円筒状に突出する突出部1aを備える。この突出部1aの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設されるローレット1bが、容器本体1と中筒部2とを周方向回転不能に結合するためのものとして設けられている。また、突出部1aの外周面には、円環状の凸部1cが、容器本体1に対して中筒部2を軸線方向移動不能に結合するためのものとして設けられている。なお、容器本体1は、内部の化粧料Aが見えるように、一部又は全部が透明であっても良い。
【0021】
中筒部2は、上方向に延びる小径の円筒部2aと、下方向に延びる大径の内側円筒部2b及び外側円筒部2cとを、環状の平板部により繋いで成る。内側円筒部2bの外周面には、周方向に沿って、容器本体1の上記ローレット1bと噛み合う突条2dが複数設けられていると共に、外側円筒部2cの内周面には、容器本体1の上記円環状の凸部1cを嵌合するための円環状の凹部2eが設けられている。すなわち、中筒部2は容器本体1に対して周方向回転不能、且つ、軸線方向移動不能に結合されている。また、外側円筒部2cの外周面には、周方向に沿って、上下方向に延びる凸形状の中筒部側回転止め2fが、中筒部2と移動部3(外側移動体4)とを周方向回転不能に結合するものとして複数設けられている。
【0022】
また、中筒部2の円筒部2aは、その内周面が、容器本体1の内部に連通する連通孔2hとされており、この連通孔2hは、移動部3の後述する排出筒6が挿入可能な挿入孔となっている。そして、円筒部2aの外周面には、その上部から下部に向かう中間位置辺りに円環状の凸部2kが形成されることで、この凸部2kを挟んだ上側及び下側の位置に上下方向に延びる円環状の凹部2m,2gが形成され、上側の凹部2mより上側は、凸部2kとほぼ外径が同径で内径が連通孔2hより大径の段部2jとされている。この段部2jは、移動部3が図5に示す第1の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものであると共に、凸部2kは、移動部3が図6に示す第2の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものである。さらに、円筒部2aの内周面の下部には、図5に示すように、移動部3の後述する排出筒6の外周面に設けられているシール部6dが当接する受け部2iが設けられている。この連通孔2hの下部の受け部2iの内径は、これより上側の連通孔部分の内径より小径とされている。
【0023】
移動部3は、外側に位置する外側移動体4と、この外側移動体4の内側に位置する内側移動体5と、さらに、この内側移動体5の内側に位置する排出筒6と、で構成されており、本実施形態においては軸線方向に同一に移動することが可能となっている。
【0024】
外側移動体4は、上部に小径の上部円筒部4aと、下部に大径の下部円筒部4bを備えている。この上部円筒部4aには、外周面にキャップ11を装着するための雄螺子4cが設けられており、また、内周面の下側に、内側移動体5を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部4dが設けられている。そして、下部円筒部4bの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設され中筒部2の中筒部回転止め2fと噛み合うローレットである移動部側回転止め4eが設けられており、これにより、外側移動体4(移動部3)と中筒部2は周方向回転不能に結合されることになる。
【0025】
なお、本実施形態では、移動部側回転止め4eをローレットとし、中筒部回転止め2fをこの移動部側回転止め4eと噛み合うことが可能な凸形状としていが、これら移動部側回転止め4e及び中筒部回転止め2fの形状は、移動部3が周方向回転不能となるように中筒部2と結合可能な形状であれば、本実施の形態以外の形状でも良い。
【0026】
内側移動体5は、凹形状のような上部5a及び凹形状を逆さまにしたような下部5bが大径に構成されると共に、これらの上部5aと下部5bとをこれらの内周側で連結する円筒形状の中間部5cが小径に構成されている。上部5aは、塗布体10の後述する弾性部8の底部の一部又は全部を径方向外側から挟み込むことが可能な形状を有しており、その外周面には鍔部5fが設けられ、内周面には排出筒6を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部5gが設けられている。また、下部5bは、外周面に外側移動体4の突部4dと嵌合可能な嵌合部5dが設けられており、この嵌合により内側移動体5と外側移動体4とが軸線方向移動不能となる。そして、中間部5cは、内周面に凸部5hが設けられており、この凸部5hが中筒部2の段部2jに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第1の停止位置から上方への移動が止められる。また、図6に示すように、凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入し凸部2kに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第2の停止位置から上方への移動が止められる。
【0027】
排出筒6は、図8に示すように、円筒形状をしており、その外径は中筒部2の挿入孔2hに挿入可能な径とされ、挿入孔2hに挿入される(図5参照)。さらに、排出筒6は、一方の端(上端)に開口している開口部6aが設けられると共に他方の端(下端)に閉口している底面部(閉口部)6bが設けられており、さらに、その排出筒6の側面には、周方向に沿って、化粧料Aが通過可能なスリット6cが並設されている(ここでは4個)。このスリット6cは、下部から上部に亘る側面視縦長の略長方形状に構成されている。また、図5に示すように、排出筒6の外周面の上部には、内側移動体5の突部5gと軸線方向移動不能に嵌合する嵌合部6eが設けられており、外周面の下部には、中筒部2の受け部2iと当接するシール部6dが設けられている。この排出筒6のシール部6dの外径と中筒部2の受け部2iの内径とは略同径とされ、受け部2iとシール部6dとが圧入により嵌合されることで、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。
【0028】
この移動部3は、上述したように、突部4dが嵌合部5dに嵌合されることで、外側移動体4と内側移動体5とが軸線方向移動不能に嵌合され、突部5gが嵌合部6eに嵌合されることで、内側移動体5と排出筒6とが軸線方向移動不能に嵌合される。このようにして、外側移動体4と内側移動体5と排出筒6が軸線方向に同一に移動可能となるように構成されている。
【0029】
このように、移動部3は、その排出筒6が挿入孔2hに挿入され、排出筒6の底面部6bが挿入孔2hの底面(端面)より下方に突出することなく略面一となるように受け部2iとシール部6dとが嵌合し、凸部5hが段部2jと当接する状態にある(若干の隙間があっても良い)ことを、移動部3が第1の停止位置に位置しているとする。
【0030】
さらに、図6に示すように、移動部3が軸線方向下方に移動し、凸部5hが凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると、排出筒6が挿入孔2hの底面から一定長下方に突出し、スリット6cが挿入孔2hから露出することになる。このように排出筒6が一定長突出状態にあることを、移動部3が第2の停止位置に位置しているとする。
【0031】
ストッパー7は、図1、図2及び図5に示すように、中筒部2の外側円筒部2cの外周を囲むと共に、外側移動体4と容器本体1とで軸線方向に挟み込むようにして化粧料容器100に装着されている。このストッパー7は、化粧料容器100に装着されているときは円環形状をしており、外周面に把手7aが設けられると共に、所定の力が加わると分離する接合部7b(図7参照)が好ましくは把手7aの対向位置に設けられている。このストッパー7の接合部7bは、例えばストッパー7が化粧料容器100に装着されているときに使用者が把手7aを把持して化粧料容器100の軸線に対して水平方向に引くことで当該接合部7bが分離し、化粧料容器100からの取り外しが可能とされている。
【0032】
図7は、接合部7bが分離したストッパー7の図であるが、この図においては接合部7bはストッパー7が円環状となっているときに把手7aの対向位置に設けられている。なお、接合部7bの設置位置は特に限定されるものではなく、使用者が把手7aを持って水平方向に力を入れたときに接合部7bが分離可能であれば、円環状のストッパー7のどの位置に接合部7bが設けられていても良い。
【0033】
そして、このストッパー7が、図1、図2及び図5に示すように、外側移動体4と容器本体1との軸線方向の間に挟み込まれて化粧料容器100に装着されていることで、移動部3の軸線方向下方への移動を不能としており(容器本体側への移動を不能としており)、前述した凸部5hと段部2jとの軸線方向の係合による移動部3の軸線方向上方への移動不能と伴って、移動部3を第1の停止位置に留めて置くことが可能となる。
【0034】
図2〜図6に示すように、塗布体10は、弾性部8及びアプリケータ9から構成されている。弾性部8は、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成し、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。この弾性部8の略中央には、図5及び図6に示すように、排出筒6の開口部6aとアプリケータ9とを連通する孔である流出孔8aが設けられており、化粧料Aを外部へ流出させるための主経路となっている。
【0035】
そして、弾性部8は、流出孔8aが排出筒6の開口部6aと連通する位置にくるように、当該弾性部8の底部の一部又は全部が内側移動体5の上部5aの径方向内側に挟み込まれるようにして内側移動体5の上に載置される。このように載置された弾性部8においては、排出筒6の開口部6aを通ってきた化粧料Aを主に流出孔8aを通して外部へ流出可能となっているが、弾性部8は多孔質材で構成されているので流出孔8a以外からも流出は可能となる。
【0036】
アプリケータ9は、弾性部8を通して流出する化粧料Aを皮膚に塗布感良く塗布するためのものであり、弾性部8と同様に、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成す構成となっている。そして、アプリケータ9は、弾性部8の外側に密着するように、その半球形状の下部が、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されており、これにより、アプリケータ9及び弾性部8とが移動部3に装着されている。
【0037】
このようなアプリケータ9は、弾性部8と同様に、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。そして、このアプリケータ9は、上記多孔質材のスポンジやパフ等の片面に植毛を施したものとされる。
【0038】
このような構成の塗布体10は、化粧料Aを外部へ流出可能とし被塗布面である皮膚等に化粧料Aを塗布することが可能となる。また、塗布体10は、移動部3に装着されていることから、移動部3が軸線方向に移動するときも同一に移動するものとなる。
【0039】
図1及び図5に示すように、キャップ11は、上部が閉じられた円筒形状の蓋であり、その内周面に外側移動体4の雄螺子4cと螺合する雌螺子11aを有し、この雌螺子11aと雄螺子4cとが螺合することにより移動部3に装着される。
【0040】
ここまで説明してきた構成の化粧料容器100にあっては、先ず、使用開始前は、図1、図2及び図5に示すようにストッパー7が装着され、移動部3は、ストッパー7による軸線方向下方への移動不能、及び、凸部5hと段部2jによる軸線方向上方への移動不能によって、第1の停止位置に留め置かれている。
【0041】
この第1の停止位置では、移動部3の排出筒6のシール部6dと中筒部2の円筒部2aの受け部2iとが嵌合し、その間を化粧料Aが通ることは不可能となっている。また、排出筒6の閉口している底面部6bが挿入孔2hの底面から下方に突出していないことから、容器本体1に収容されている化粧料Aが挿入孔2h又は排出筒6内を通過することは不可能となっている。すなわち、ストッパー7が化粧料容器100に装着されている状態では、移動部3が第1の停止位置に留め置かれ、底面部6bが挿入孔2hを閉鎖する弁の役割を果たし、シール部6dと受け部2iとが嵌合することで、容器本体1に収容されている化粧料Aを密封している。これにより、化粧料容器100の運搬、保存時にあって、不用意に化粧料Aが容器本体1から外部へ排出されることを防止することができる。
【0042】
次いで、使用開始時には、先ずキャップ11が化粧料容器100に装着されている状態でストッパー7を取り除き、使用者は移動部3を所定の大きさ以上の力で下方へ押し込む。これにより、移動部3は、図6に示すように、内側移動体5の凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると共に容器本体1に突き当たる第2の停止位置に移動し、容器本体1に突き当たることによる軸線方向下方(容器本体側)への移動不能、及び、凸部5hと凸部2kによる軸線方向上方(容器本体側とは反対側)への移動不能によって、第2の停止位置に留め置かれる。
【0043】
この移動部3の第2の停止位置への移動により、挿入孔2hの底面から排出筒6が一定長下方に突出すると共に、スリット6cの下部が挿入孔2hから露出することになり、これにより、化粧料Aがスリット6c、開口部6aを通過可能な状態となる。すなわち、移動部3を第2の停止位置に移動させることで、底面部6bによる挿入孔2hの閉鎖が開放され(弁が開とされ)、容器本体1に密封されていた化粧料Aが、スリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通って化粧料容器100外へ排出されることが可能となる。そして、移動部3が第2の停止位置へ移動した後、キャップ11を化粧料容器100より外し使用準備が整う。
【0044】
また、図3に示すように、ストッパー7が化粧料容器100より取り除かれた後であって移動部3が第1の停止位置にある場合は、中筒部2の一部が見えているが、図4に示すように、移動部3が第2の停止位置に移動した後は、中筒部2は移動部3に隠れてしまう。そこで、使用者は、移動部3が軸線方向下方へ移動した状態を化粧料容器100の外観から判断することによって、化粧料容器100が化粧料Aを排出可能な状態にあること(排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長下方に突出しスリット6cが露出していること)を確認することができる。さらに、容器本体1の一部又は全部が透明となっている場合は、排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長突出しているか否かを、直接目視で確認することもできる。
【0045】
なお、移動部3を第2の停止位置へ移動させたときに、挿入孔2hの底面から突出する排出筒6の長さは、スリット6cが露出し、使用者の使用に際して適量の化粧料Aが排出可能である長さであれば良い。また、キャップ11を外す際、外側移動体4(移動部3)と中筒部2とが周方向回転不能に結合されていると共に、中筒部2と容器本体1とが周方向回転不能に結合されているため、使用者が容器本体1を持ってキャップ11を螺合解除する方向へ回転させても、移動部3及び中筒部2がキャップ11と同期回転することはなく、容易に化粧料容器100からキャップ11を取り外すことができる。
【0046】
そして、使用にあたっては、塗布体10を顔等の皮膚に軽く叩き付け押し当てるようにすると、容器本体1内の化粧料Aは、スリット6cから排出筒6内に進入し、この排出筒6内を通って開口部6aから塗布体10へ向かい、塗布体10を構成する多孔質材の弾性部8及びアプリケータ9を通して流出し、塗布に供される。この塗布時にあっては、弾性体である弾性部8が、アプリケータ9を介して皮膚に間接的に押し当てられることで、塗布感が向上されると共に、直接皮膚に押し当てられるアプリケータ9の塗布面(表面)には植毛が成されているため、使用者の塗布感はさらに向上される。
【0047】
この塗布時にあっては、移動部3は第2の停止位置に留め置かれているため、使用者が化粧料容器100を使用している最中に、移動部3が不意に第1の停止位置へ移動してしまい、化粧料Aの排出量にバラツキが生じたり化粧料Aが排出されなかったりという不具合を防止することができ、常に一定量の化粧料Aが排出される。
【0048】
また、弾性部8の略中央には、開口部6aとアプリケータ9とを連通する流出孔8aが形成されており、化粧料Aは流出孔8aを主経路として通りアプリケータ9を介して化粧料容器100外へ流出される。このように流出孔8aを弾性部8に設けることで、纏まった量の化粧料Aを、アプリケータ9の表面の任意の箇所に誘導することができるため、使用者にとっての使い勝手が向上される。
【0049】
また、弾性部8は、化粧料Aが通過可能な多孔質材で構成しているため、当然、化粧料Aは、流出孔8a以外の弾性部8の内部を通り、アプリケータ9を介して化粧料容器100外への流出も可能とされている。
【0050】
図9〜図11は、本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す各図である。
【0051】
この第2実施形態の化粧料容器が第1実施形態の化粧料容器と違う点は、排出筒6の構成を変更した点であり、排出筒6に代えて排出筒16が用いられている。
【0052】
この排出筒16は、具体的には、移動部3が第2の停止位置へ移動したときに、挿入孔2hから下方に突出し露出している排出筒6の下部側面部分(図6参照)のみにスリット16cを設けたものであり、ここでは、スリット16cは、周方向に沿って2個が開口され同方向に長尺な側面視横長の略長方形状に構成されている。
【0053】
このような構成によれば、移動部3が第2の停止位置へ移動したときに、排出筒16のスリット16cのほぼ全部が挿入孔2hから下方に突出して露出することになるが、その作用は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様に使用に際し適量の化粧料Aを排出できる。
【0054】
図12〜図14は、本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す各図である。
【0055】
この第3実施形態の排出筒26にあっては、第2実施形態の排出筒16のスリット16cとほぼ同様な構成の側面視横長の略長方形状を成すスリット26cを、下部側面部分に周方向に沿って複数個(ここでは2個)具備すると共に、このスリット26cの上縁の周方向両側に、上方に延びて内外を連通する側面視縦長のスリット26fをそれぞれ備え、側面視横長の略長方形状を成すスリット26cと側面視縦長のスリット26f,26fとにより囲まれる断面円弧状の周壁部分26gを有している。
【0056】
この周壁部分26gは、周方向両側のスリット26f,26fにより、上端支持で径方向に弾性を有する構成とされている。そして、この周壁部分26gの下端には、周方向に沿って径方向外方に突出する爪部26hが円弧状に設けられている。
【0057】
次いで、図12〜14に示す排出筒26を備えた第3実施形態の化粧料容器について説明する。図15は、本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の未使用時の縦断面図であって、図5に対応する図、図16は、図15中のX部拡大図、図17は、図15に示す化粧料容器の使用時の縦断面図であって、図6に対応する図、図18は、図17中のY部拡大図である。
【0058】
図15に示すように、化粧料容器200にあっては、第1実施形態の排出筒6に代えて上記排出筒26が用いられており、図15及び図16に示すように、排出筒26の底部外周のシール部6dは、第1実施形態と同様に、中筒部2の筒孔下部の受け部2iに嵌合し、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。このとき、排出筒26の爪部26hは、特に図16に示すように、中筒部2の連通孔2hの軸線方向中程で、当該連通孔2hの内周面に近接するように配置されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
そして、第1実施形態と同様な外側移動体4及び内側移動体5と、本実施形態の排出筒26とにより、第1実施形態でいうところの移動部23が構成されている。
【0060】
このような化粧料容器200にあって、使用者により移動部23が図15に示す第1の位置から図17及び図18に示す第2の停止位置へ移動されると、移動部23の第2の停止位置への移動の際、具体的には、排出筒26の爪部26hが中筒部2の他の孔径より小径の受け部2iを下方へ通過する際に、当該爪部26hが径方向内側に撓み、移動部23が、図17に示すように、第2の停止位置に位置すると、特に図18に示すように、爪部26hは受け部2iを通り越して元の位置に弾性復帰し中筒部2の底面に掛止されて軸線方向に係合し、これにより、移動部23は容器本体側とは反対側(軸線方向上方)への移動が不能とされる。
【0061】
そして、この状態では、第2実施形態と同様に、排出筒26のスリット26cのほぼ全部が挿入孔2hから下方に突出して露出するため、第1、第2実施形態と同様に使用に際し適量の化粧料Aを排出できる。
【0062】
なお、爪部26hと中筒部2の底面との係合のみにより、移動部23を容器本体側とは反対側へ移動不能とするようにしても良く、また、第1実施形態で説明した内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合の補助として機能させるようにしても良く、さらには、爪部26hによる係合を主とし、内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合を補助として機能させるようにしても良い。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、移動部は、外側移動体と内側移動体と排出筒の3つの部材で構成されているが、これを全て一体成形し一つの部材で移動部を形成しても良い。
【0064】
また、スリット6cの形状は、側面視縦長の略長方形状に構成され、スリット16c,26cの形状は、側面視横長の略長方形状に構成されているが、略長方形状に限定されるものではなく、化粧料Aが通行可能な形状であれば、例えば側面視楕円形、菱形等でも良い。
【0065】
また、弾性部8の流出孔8aは、排出筒6,16,26の直径と略同径であると共に排出筒6,16,26の開口部6aよりも大きい直径とされ、排出筒6,16,26の上方に円柱形状として設けられているが、開口部6aとアプリケータ9との間を連通している形状であれば、これらの直径や形状に限定されるものではなく、複数の流出孔8aを設けるようにしても良い。例えば流出孔8aの直径を開口部6aよりも小径としたり、図示する直径よりも大径とすることも可能である。また、その形状も三角柱形状、四角柱形状等としても良く、これらを複数設けても良い。また、開口部6aからアプリケータ9に向かって複数の流出孔8aが放射状に設けられても良い。
【符号の説明】
【0066】
1…容器本体、2…中筒部、2f…中筒部側回転止め、2h…挿入孔、2k…凸部、3,23…移動部、4e…移動部側回転止め、5h…凸部、6,16,26…排出筒、6a…開口部、6b…底面部(閉口部)、6c,16c,26c…スリット、7…ストッパー、10…塗布体、26h…爪部、100,200…化粧料容器、A…化粧料。
【技術分野】
【0001】
未使用時には化粧料を内部に密封でき、使用時にはその化粧料を外部に流出させて塗布できる化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料容器として、化粧料を収容する容器本体と、この容器本体を覆うようにその上部に装着されると共に、容器本体に収容された化粧料を使用すべく外部へ流出させるための開口を備えた蓋部と、を備え、容器本体内の化粧料のバージン性を保つため、容器本体内に化粧料を密封するための中蓋を有するものが知られている。このような化粧料容器にあっては、初回の使用開始時に容器本体からその上部の蓋部を取り外したあと中蓋を取り外し、再度、蓋部を容器本体に装着することが必要であるため、その作業が煩雑で取扱性に問題があった。
【0003】
そこで、下記の特許文献1では、中蓋に代えて弁体を設け、化粧料容器のパフを使用者の皮膚に接触させながら叩いたり押したりすることで弁体が弁シート部材より離間して弁孔を開放し、粉末化粧料はこの開放された弁孔を通ってパフを通じ外部へ排出される一方で、使用者が皮膚からパフを離すと弁体が容器の軸線方向に移動し弁孔を遮断して容器本体を密閉させ、粉末化粧料の外部への排出を阻止する粉末化粧料容器の技術が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、中蓋に代えてシールボールを用いて隔壁部の接続孔を閉鎖させて塗布液を密閉し、継手部を本体軸側に移動させると継手部の後端接続部により接続孔からシールボールが押し出され、塗布液を外部へ排出可能とする液体塗布具の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−259636号公報
【特許文献2】特許第4321909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の粉末化粧料容器では、パフを叩いたり押したりしているときにしか弁孔が開放されないため、使い方によっては弁孔の開放が充分ではなく排出される化粧料の量にバラツキがあった。また、粉末化粧料容器を使用中に化粧料が外部へ排出されない場合、使用者にとっては使い方が悪いのか弁孔が正常に開放されていないのかの判断をするのは難しかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の液体塗布具では、押し出されたシールボールが液体塗布具の使用時に接続孔の近傍に移動することは往々にして考えられ、その場合のシールボールは、塗布液を接続孔から塗布液吐出孔を介して外部へ排出する際の当該塗布液の流れを阻害する障害物でしかなく、安定して確実に塗布液を排出するには不都合な構成となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、未使用時には、容器に収容する化粧料を密封することが可能で、使用時には、目視で化粧料が外部に流出可能な状態であることを使用者が確認できると共に化粧料の流出量のバラツキがなく確実に化粧料を容器外部に流出させることが可能な化粧料容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による化粧料容器は、化粧料を収容する容器本体と、軸線方向の一方には開口している開口部が、他方には閉口している閉口部がそれぞれ設けられると共に、側面にはスリットが設けられ、容器本体に収容されている化粧料がスリットを通過して開口部より排出可能な円筒形状をした排出筒を備える移動部と、排出筒が挿入可能とされている挿入孔を備える中筒部と、排出筒の開口部を覆うと共に化粧料を外部へ流出させることを可能とする塗布体と、を備える化粧料容器であって、移動部は、排出筒が中筒部の挿入孔に挿入されている状態で、第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動可能で当該第2の停止位置に留め置かれる構成を有し、第1の停止位置に位置しているときは排出筒の閉口部が中筒部の挿入孔を塞いでおり、第2の停止位置に位置しているときは排出筒の側面のスリットを通過し開口部より塗布体へ化粧料が排出可能となるように排出筒が挿入孔の端面より一定長突出することを特徴としている。
【0010】
このような化粧料容器によれば、移動部が第1の停止位置に位置しているときは、排出筒の閉口部が中筒部の挿入孔を塞いで化粧料Aが密封され、移動部が第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動することにより、排出筒が挿入孔の端面より一定長突出し当該排出筒のスリットが露出して化粧料がスリット、排出筒内、開口部を通して外部に流出可能であるという態様が使用者に目視で確認可能とされ、さらに、移動部が第2の停止位置に留め置かれることにより、使用時に化粧料の流出がばらつかず確実に化粧料が容器外部に流出される。
【0011】
ここで、上記作用を効果的に奏する構成としては、具体的には、移動部は、第2の停止位置において、容器本体に突き当たり容器本体側への移動が不能にされると共に、中筒部に軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動が不能にされることによって、第2の停止位置に留め置かれる構成が挙げられる。
【0012】
より具体的には、排出筒は、その外周面に、移動部の第2の停止位置への移動の際に内側に撓み、移動部が第2の停止位置に位置すると、元の位置に弾性復帰し中筒部の底面に掛止されることで軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動を不能とする爪部を備える構成が挙げられる。
【0013】
また、上記作用を効果的に奏する他の構成としては、具体的には、移動部と容器本体との軸線方向の間に挟み込まれるようにして取り外し可能に装着されるストッパーを備え、ストッパーが装着されることにより、移動部は、容器本体側への移動が不能とされて第1の停止位置に留め置かれることが可能とされる構成が挙げられる。
【0014】
また、移動部は移動部側回転止めを備えると共に、中筒部は中筒部側回転止めを備え、移動部側回転止めと中筒部側回転止めとによって、移動部は中筒部に周方向回転不能に係合する構成であるのが好ましい。このような構成を採用した場合、移動部及び中筒部が回転方向に一体化されるため、例えば、化粧料容器を覆うキャップを移動部に装着する構成であり当該移動部にキャップの雌螺子と螺合する雄螺子を有する構成であっても、移動部及び中筒部がキャップと同期回転することはなく、容易に化粧料容器からキャップを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、未使用時には、容器に収容する化粧料を密封することが可能で、使用時には、目視で化粧料が外部に流出可能な状態であることを使用者が確認できると共に化粧料の流出量のバラツキがなく確実に化粧料を容器外部に流出させることが可能な化粧料容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る化粧料容器を示す外観図であり、キャップとストッパーを装着した状態を示す斜視図である。
【図2】図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図6】図4に示す化粧料容器の縦断面図である。
【図7】図1に示す化粧料容器から取り外したストッパーを示す斜視図である。
【図8】図5及び図6中の排出筒を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す正面図である。
【図10】図9に示す排出筒を左斜め上方から見た斜視図である。
【図11】図9に示す排出筒を右斜め下方から見た斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す正面図である。
【図13】図12に示す排出筒を左斜め上方から見た斜視図である。
【図14】図12に示す排出筒を右斜め下方から見た斜視図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る化粧料容器を示す縦断面図であり、図12〜図14に示す排出筒を備え、キャップとストッパーを装着した状態を示す縦断面図である。
【図16】図15中のX部拡大図である。
【図17】図15の状態からキャップとストッパーを取り外し移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す縦断面図である。
【図18】図17中のY部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による化粧料容器の好適な実施形態について図1〜図18を参照しながら説明する。図1〜図8は、本発明の第1実施形態を、図9〜図11は、本発明の第2実施形態を、図12〜図18は、本発明の第3実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
先ず、図1〜図8に示す第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る化粧料容器を示す斜視図、図2は、図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図、図3は、図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図、図4は、図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図、図5及び図6は、未使用時、使用時の化粧料容器を各々示す縦断面図、図7は、ストッパーを示す斜視図、図8は、排出筒を示す斜視図であり、本実施形態の化粧料容器は、例えば粉体化粧料を使用者により顔等の皮膚に施すときに用いられるものである。なお、本実施形態においては、化粧料を粉体として説明していくが、これが液体であっても良く、本発明に適用可能であれば化粧料の状態は限定するものではない。
【0019】
図1〜図6に示すように、化粧料容器100は、化粧料Aを収容する容器本体1と、この容器本体1の上部に配置されその筒孔が容器本体1内と連通する中筒部2と、この中筒部2の筒孔内にその筒部が挿入され軸線方向に沿って一定区間移動可能とされた移動部3と、中筒部2の外周面に容器本体1と移動部3とに挟持されるようにして取り外し可能に装着され、移動部3の軸線方向下方への移動を防止するストッパー7と、化粧料Aを外部へ流出させることが可能となるように移動部3に装着される塗布体10と、移動部3に着脱可能に装着されるキャップ11と、を具備して成る。
【0020】
容器本体1は、図5に示すように、有底円筒状に構成され内部に化粧料Aを収容するものであり、その上部に、下部より薄肉で上方に円筒状に突出する突出部1aを備える。この突出部1aの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設されるローレット1bが、容器本体1と中筒部2とを周方向回転不能に結合するためのものとして設けられている。また、突出部1aの外周面には、円環状の凸部1cが、容器本体1に対して中筒部2を軸線方向移動不能に結合するためのものとして設けられている。なお、容器本体1は、内部の化粧料Aが見えるように、一部又は全部が透明であっても良い。
【0021】
中筒部2は、上方向に延びる小径の円筒部2aと、下方向に延びる大径の内側円筒部2b及び外側円筒部2cとを、環状の平板部により繋いで成る。内側円筒部2bの外周面には、周方向に沿って、容器本体1の上記ローレット1bと噛み合う突条2dが複数設けられていると共に、外側円筒部2cの内周面には、容器本体1の上記円環状の凸部1cを嵌合するための円環状の凹部2eが設けられている。すなわち、中筒部2は容器本体1に対して周方向回転不能、且つ、軸線方向移動不能に結合されている。また、外側円筒部2cの外周面には、周方向に沿って、上下方向に延びる凸形状の中筒部側回転止め2fが、中筒部2と移動部3(外側移動体4)とを周方向回転不能に結合するものとして複数設けられている。
【0022】
また、中筒部2の円筒部2aは、その内周面が、容器本体1の内部に連通する連通孔2hとされており、この連通孔2hは、移動部3の後述する排出筒6が挿入可能な挿入孔となっている。そして、円筒部2aの外周面には、その上部から下部に向かう中間位置辺りに円環状の凸部2kが形成されることで、この凸部2kを挟んだ上側及び下側の位置に上下方向に延びる円環状の凹部2m,2gが形成され、上側の凹部2mより上側は、凸部2kとほぼ外径が同径で内径が連通孔2hより大径の段部2jとされている。この段部2jは、移動部3が図5に示す第1の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものであると共に、凸部2kは、移動部3が図6に示す第2の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものである。さらに、円筒部2aの内周面の下部には、図5に示すように、移動部3の後述する排出筒6の外周面に設けられているシール部6dが当接する受け部2iが設けられている。この連通孔2hの下部の受け部2iの内径は、これより上側の連通孔部分の内径より小径とされている。
【0023】
移動部3は、外側に位置する外側移動体4と、この外側移動体4の内側に位置する内側移動体5と、さらに、この内側移動体5の内側に位置する排出筒6と、で構成されており、本実施形態においては軸線方向に同一に移動することが可能となっている。
【0024】
外側移動体4は、上部に小径の上部円筒部4aと、下部に大径の下部円筒部4bを備えている。この上部円筒部4aには、外周面にキャップ11を装着するための雄螺子4cが設けられており、また、内周面の下側に、内側移動体5を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部4dが設けられている。そして、下部円筒部4bの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設され中筒部2の中筒部回転止め2fと噛み合うローレットである移動部側回転止め4eが設けられており、これにより、外側移動体4(移動部3)と中筒部2は周方向回転不能に結合されることになる。
【0025】
なお、本実施形態では、移動部側回転止め4eをローレットとし、中筒部回転止め2fをこの移動部側回転止め4eと噛み合うことが可能な凸形状としていが、これら移動部側回転止め4e及び中筒部回転止め2fの形状は、移動部3が周方向回転不能となるように中筒部2と結合可能な形状であれば、本実施の形態以外の形状でも良い。
【0026】
内側移動体5は、凹形状のような上部5a及び凹形状を逆さまにしたような下部5bが大径に構成されると共に、これらの上部5aと下部5bとをこれらの内周側で連結する円筒形状の中間部5cが小径に構成されている。上部5aは、塗布体10の後述する弾性部8の底部の一部又は全部を径方向外側から挟み込むことが可能な形状を有しており、その外周面には鍔部5fが設けられ、内周面には排出筒6を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部5gが設けられている。また、下部5bは、外周面に外側移動体4の突部4dと嵌合可能な嵌合部5dが設けられており、この嵌合により内側移動体5と外側移動体4とが軸線方向移動不能となる。そして、中間部5cは、内周面に凸部5hが設けられており、この凸部5hが中筒部2の段部2jに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第1の停止位置から上方への移動が止められる。また、図6に示すように、凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入し凸部2kに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第2の停止位置から上方への移動が止められる。
【0027】
排出筒6は、図8に示すように、円筒形状をしており、その外径は中筒部2の挿入孔2hに挿入可能な径とされ、挿入孔2hに挿入される(図5参照)。さらに、排出筒6は、一方の端(上端)に開口している開口部6aが設けられると共に他方の端(下端)に閉口している底面部(閉口部)6bが設けられており、さらに、その排出筒6の側面には、周方向に沿って、化粧料Aが通過可能なスリット6cが並設されている(ここでは4個)。このスリット6cは、下部から上部に亘る側面視縦長の略長方形状に構成されている。また、図5に示すように、排出筒6の外周面の上部には、内側移動体5の突部5gと軸線方向移動不能に嵌合する嵌合部6eが設けられており、外周面の下部には、中筒部2の受け部2iと当接するシール部6dが設けられている。この排出筒6のシール部6dの外径と中筒部2の受け部2iの内径とは略同径とされ、受け部2iとシール部6dとが圧入により嵌合されることで、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。
【0028】
この移動部3は、上述したように、突部4dが嵌合部5dに嵌合されることで、外側移動体4と内側移動体5とが軸線方向移動不能に嵌合され、突部5gが嵌合部6eに嵌合されることで、内側移動体5と排出筒6とが軸線方向移動不能に嵌合される。このようにして、外側移動体4と内側移動体5と排出筒6が軸線方向に同一に移動可能となるように構成されている。
【0029】
このように、移動部3は、その排出筒6が挿入孔2hに挿入され、排出筒6の底面部6bが挿入孔2hの底面(端面)より下方に突出することなく略面一となるように受け部2iとシール部6dとが嵌合し、凸部5hが段部2jと当接する状態にある(若干の隙間があっても良い)ことを、移動部3が第1の停止位置に位置しているとする。
【0030】
さらに、図6に示すように、移動部3が軸線方向下方に移動し、凸部5hが凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると、排出筒6が挿入孔2hの底面から一定長下方に突出し、スリット6cが挿入孔2hから露出することになる。このように排出筒6が一定長突出状態にあることを、移動部3が第2の停止位置に位置しているとする。
【0031】
ストッパー7は、図1、図2及び図5に示すように、中筒部2の外側円筒部2cの外周を囲むと共に、外側移動体4と容器本体1とで軸線方向に挟み込むようにして化粧料容器100に装着されている。このストッパー7は、化粧料容器100に装着されているときは円環形状をしており、外周面に把手7aが設けられると共に、所定の力が加わると分離する接合部7b(図7参照)が好ましくは把手7aの対向位置に設けられている。このストッパー7の接合部7bは、例えばストッパー7が化粧料容器100に装着されているときに使用者が把手7aを把持して化粧料容器100の軸線に対して水平方向に引くことで当該接合部7bが分離し、化粧料容器100からの取り外しが可能とされている。
【0032】
図7は、接合部7bが分離したストッパー7の図であるが、この図においては接合部7bはストッパー7が円環状となっているときに把手7aの対向位置に設けられている。なお、接合部7bの設置位置は特に限定されるものではなく、使用者が把手7aを持って水平方向に力を入れたときに接合部7bが分離可能であれば、円環状のストッパー7のどの位置に接合部7bが設けられていても良い。
【0033】
そして、このストッパー7が、図1、図2及び図5に示すように、外側移動体4と容器本体1との軸線方向の間に挟み込まれて化粧料容器100に装着されていることで、移動部3の軸線方向下方への移動を不能としており(容器本体側への移動を不能としており)、前述した凸部5hと段部2jとの軸線方向の係合による移動部3の軸線方向上方への移動不能と伴って、移動部3を第1の停止位置に留めて置くことが可能となる。
【0034】
図2〜図6に示すように、塗布体10は、弾性部8及びアプリケータ9から構成されている。弾性部8は、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成し、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。この弾性部8の略中央には、図5及び図6に示すように、排出筒6の開口部6aとアプリケータ9とを連通する孔である流出孔8aが設けられており、化粧料Aを外部へ流出させるための主経路となっている。
【0035】
そして、弾性部8は、流出孔8aが排出筒6の開口部6aと連通する位置にくるように、当該弾性部8の底部の一部又は全部が内側移動体5の上部5aの径方向内側に挟み込まれるようにして内側移動体5の上に載置される。このように載置された弾性部8においては、排出筒6の開口部6aを通ってきた化粧料Aを主に流出孔8aを通して外部へ流出可能となっているが、弾性部8は多孔質材で構成されているので流出孔8a以外からも流出は可能となる。
【0036】
アプリケータ9は、弾性部8を通して流出する化粧料Aを皮膚に塗布感良く塗布するためのものであり、弾性部8と同様に、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成す構成となっている。そして、アプリケータ9は、弾性部8の外側に密着するように、その半球形状の下部が、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されており、これにより、アプリケータ9及び弾性部8とが移動部3に装着されている。
【0037】
このようなアプリケータ9は、弾性部8と同様に、化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の多孔質材の弾性体で構成される。そして、このアプリケータ9は、上記多孔質材のスポンジやパフ等の片面に植毛を施したものとされる。
【0038】
このような構成の塗布体10は、化粧料Aを外部へ流出可能とし被塗布面である皮膚等に化粧料Aを塗布することが可能となる。また、塗布体10は、移動部3に装着されていることから、移動部3が軸線方向に移動するときも同一に移動するものとなる。
【0039】
図1及び図5に示すように、キャップ11は、上部が閉じられた円筒形状の蓋であり、その内周面に外側移動体4の雄螺子4cと螺合する雌螺子11aを有し、この雌螺子11aと雄螺子4cとが螺合することにより移動部3に装着される。
【0040】
ここまで説明してきた構成の化粧料容器100にあっては、先ず、使用開始前は、図1、図2及び図5に示すようにストッパー7が装着され、移動部3は、ストッパー7による軸線方向下方への移動不能、及び、凸部5hと段部2jによる軸線方向上方への移動不能によって、第1の停止位置に留め置かれている。
【0041】
この第1の停止位置では、移動部3の排出筒6のシール部6dと中筒部2の円筒部2aの受け部2iとが嵌合し、その間を化粧料Aが通ることは不可能となっている。また、排出筒6の閉口している底面部6bが挿入孔2hの底面から下方に突出していないことから、容器本体1に収容されている化粧料Aが挿入孔2h又は排出筒6内を通過することは不可能となっている。すなわち、ストッパー7が化粧料容器100に装着されている状態では、移動部3が第1の停止位置に留め置かれ、底面部6bが挿入孔2hを閉鎖する弁の役割を果たし、シール部6dと受け部2iとが嵌合することで、容器本体1に収容されている化粧料Aを密封している。これにより、化粧料容器100の運搬、保存時にあって、不用意に化粧料Aが容器本体1から外部へ排出されることを防止することができる。
【0042】
次いで、使用開始時には、先ずキャップ11が化粧料容器100に装着されている状態でストッパー7を取り除き、使用者は移動部3を所定の大きさ以上の力で下方へ押し込む。これにより、移動部3は、図6に示すように、内側移動体5の凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると共に容器本体1に突き当たる第2の停止位置に移動し、容器本体1に突き当たることによる軸線方向下方(容器本体側)への移動不能、及び、凸部5hと凸部2kによる軸線方向上方(容器本体側とは反対側)への移動不能によって、第2の停止位置に留め置かれる。
【0043】
この移動部3の第2の停止位置への移動により、挿入孔2hの底面から排出筒6が一定長下方に突出すると共に、スリット6cの下部が挿入孔2hから露出することになり、これにより、化粧料Aがスリット6c、開口部6aを通過可能な状態となる。すなわち、移動部3を第2の停止位置に移動させることで、底面部6bによる挿入孔2hの閉鎖が開放され(弁が開とされ)、容器本体1に密封されていた化粧料Aが、スリット6c、排出筒内、排出筒開口部6aを通って化粧料容器100外へ排出されることが可能となる。そして、移動部3が第2の停止位置へ移動した後、キャップ11を化粧料容器100より外し使用準備が整う。
【0044】
また、図3に示すように、ストッパー7が化粧料容器100より取り除かれた後であって移動部3が第1の停止位置にある場合は、中筒部2の一部が見えているが、図4に示すように、移動部3が第2の停止位置に移動した後は、中筒部2は移動部3に隠れてしまう。そこで、使用者は、移動部3が軸線方向下方へ移動した状態を化粧料容器100の外観から判断することによって、化粧料容器100が化粧料Aを排出可能な状態にあること(排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長下方に突出しスリット6cが露出していること)を確認することができる。さらに、容器本体1の一部又は全部が透明となっている場合は、排出筒6が挿入孔2hの底面より一定長突出しているか否かを、直接目視で確認することもできる。
【0045】
なお、移動部3を第2の停止位置へ移動させたときに、挿入孔2hの底面から突出する排出筒6の長さは、スリット6cが露出し、使用者の使用に際して適量の化粧料Aが排出可能である長さであれば良い。また、キャップ11を外す際、外側移動体4(移動部3)と中筒部2とが周方向回転不能に結合されていると共に、中筒部2と容器本体1とが周方向回転不能に結合されているため、使用者が容器本体1を持ってキャップ11を螺合解除する方向へ回転させても、移動部3及び中筒部2がキャップ11と同期回転することはなく、容易に化粧料容器100からキャップ11を取り外すことができる。
【0046】
そして、使用にあたっては、塗布体10を顔等の皮膚に軽く叩き付け押し当てるようにすると、容器本体1内の化粧料Aは、スリット6cから排出筒6内に進入し、この排出筒6内を通って開口部6aから塗布体10へ向かい、塗布体10を構成する多孔質材の弾性部8及びアプリケータ9を通して流出し、塗布に供される。この塗布時にあっては、弾性体である弾性部8が、アプリケータ9を介して皮膚に間接的に押し当てられることで、塗布感が向上されると共に、直接皮膚に押し当てられるアプリケータ9の塗布面(表面)には植毛が成されているため、使用者の塗布感はさらに向上される。
【0047】
この塗布時にあっては、移動部3は第2の停止位置に留め置かれているため、使用者が化粧料容器100を使用している最中に、移動部3が不意に第1の停止位置へ移動してしまい、化粧料Aの排出量にバラツキが生じたり化粧料Aが排出されなかったりという不具合を防止することができ、常に一定量の化粧料Aが排出される。
【0048】
また、弾性部8の略中央には、開口部6aとアプリケータ9とを連通する流出孔8aが形成されており、化粧料Aは流出孔8aを主経路として通りアプリケータ9を介して化粧料容器100外へ流出される。このように流出孔8aを弾性部8に設けることで、纏まった量の化粧料Aを、アプリケータ9の表面の任意の箇所に誘導することができるため、使用者にとっての使い勝手が向上される。
【0049】
また、弾性部8は、化粧料Aが通過可能な多孔質材で構成しているため、当然、化粧料Aは、流出孔8a以外の弾性部8の内部を通り、アプリケータ9を介して化粧料容器100外への流出も可能とされている。
【0050】
図9〜図11は、本発明の第2実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す各図である。
【0051】
この第2実施形態の化粧料容器が第1実施形態の化粧料容器と違う点は、排出筒6の構成を変更した点であり、排出筒6に代えて排出筒16が用いられている。
【0052】
この排出筒16は、具体的には、移動部3が第2の停止位置へ移動したときに、挿入孔2hから下方に突出し露出している排出筒6の下部側面部分(図6参照)のみにスリット16cを設けたものであり、ここでは、スリット16cは、周方向に沿って2個が開口され同方向に長尺な側面視横長の略長方形状に構成されている。
【0053】
このような構成によれば、移動部3が第2の停止位置へ移動したときに、排出筒16のスリット16cのほぼ全部が挿入孔2hから下方に突出して露出することになるが、その作用は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同様に使用に際し適量の化粧料Aを排出できる。
【0054】
図12〜図14は、本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の排出筒を示す各図である。
【0055】
この第3実施形態の排出筒26にあっては、第2実施形態の排出筒16のスリット16cとほぼ同様な構成の側面視横長の略長方形状を成すスリット26cを、下部側面部分に周方向に沿って複数個(ここでは2個)具備すると共に、このスリット26cの上縁の周方向両側に、上方に延びて内外を連通する側面視縦長のスリット26fをそれぞれ備え、側面視横長の略長方形状を成すスリット26cと側面視縦長のスリット26f,26fとにより囲まれる断面円弧状の周壁部分26gを有している。
【0056】
この周壁部分26gは、周方向両側のスリット26f,26fにより、上端支持で径方向に弾性を有する構成とされている。そして、この周壁部分26gの下端には、周方向に沿って径方向外方に突出する爪部26hが円弧状に設けられている。
【0057】
次いで、図12〜14に示す排出筒26を備えた第3実施形態の化粧料容器について説明する。図15は、本発明の第3実施形態に係る化粧料容器の未使用時の縦断面図であって、図5に対応する図、図16は、図15中のX部拡大図、図17は、図15に示す化粧料容器の使用時の縦断面図であって、図6に対応する図、図18は、図17中のY部拡大図である。
【0058】
図15に示すように、化粧料容器200にあっては、第1実施形態の排出筒6に代えて上記排出筒26が用いられており、図15及び図16に示すように、排出筒26の底部外周のシール部6dは、第1実施形態と同様に、中筒部2の筒孔下部の受け部2iに嵌合し、その間を化粧料Aが通過不可能となっている。このとき、排出筒26の爪部26hは、特に図16に示すように、中筒部2の連通孔2hの軸線方向中程で、当該連通孔2hの内周面に近接するように配置されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0059】
そして、第1実施形態と同様な外側移動体4及び内側移動体5と、本実施形態の排出筒26とにより、第1実施形態でいうところの移動部23が構成されている。
【0060】
このような化粧料容器200にあって、使用者により移動部23が図15に示す第1の位置から図17及び図18に示す第2の停止位置へ移動されると、移動部23の第2の停止位置への移動の際、具体的には、排出筒26の爪部26hが中筒部2の他の孔径より小径の受け部2iを下方へ通過する際に、当該爪部26hが径方向内側に撓み、移動部23が、図17に示すように、第2の停止位置に位置すると、特に図18に示すように、爪部26hは受け部2iを通り越して元の位置に弾性復帰し中筒部2の底面に掛止されて軸線方向に係合し、これにより、移動部23は容器本体側とは反対側(軸線方向上方)への移動が不能とされる。
【0061】
そして、この状態では、第2実施形態と同様に、排出筒26のスリット26cのほぼ全部が挿入孔2hから下方に突出して露出するため、第1、第2実施形態と同様に使用に際し適量の化粧料Aを排出できる。
【0062】
なお、爪部26hと中筒部2の底面との係合のみにより、移動部23を容器本体側とは反対側へ移動不能とするようにしても良く、また、第1実施形態で説明した内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合の補助として機能させるようにしても良く、さらには、爪部26hによる係合を主とし、内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合を補助として機能させるようにしても良い。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、移動部は、外側移動体と内側移動体と排出筒の3つの部材で構成されているが、これを全て一体成形し一つの部材で移動部を形成しても良い。
【0064】
また、スリット6cの形状は、側面視縦長の略長方形状に構成され、スリット16c,26cの形状は、側面視横長の略長方形状に構成されているが、略長方形状に限定されるものではなく、化粧料Aが通行可能な形状であれば、例えば側面視楕円形、菱形等でも良い。
【0065】
また、弾性部8の流出孔8aは、排出筒6,16,26の直径と略同径であると共に排出筒6,16,26の開口部6aよりも大きい直径とされ、排出筒6,16,26の上方に円柱形状として設けられているが、開口部6aとアプリケータ9との間を連通している形状であれば、これらの直径や形状に限定されるものではなく、複数の流出孔8aを設けるようにしても良い。例えば流出孔8aの直径を開口部6aよりも小径としたり、図示する直径よりも大径とすることも可能である。また、その形状も三角柱形状、四角柱形状等としても良く、これらを複数設けても良い。また、開口部6aからアプリケータ9に向かって複数の流出孔8aが放射状に設けられても良い。
【符号の説明】
【0066】
1…容器本体、2…中筒部、2f…中筒部側回転止め、2h…挿入孔、2k…凸部、3,23…移動部、4e…移動部側回転止め、5h…凸部、6,16,26…排出筒、6a…開口部、6b…底面部(閉口部)、6c,16c,26c…スリット、7…ストッパー、10…塗布体、26h…爪部、100,200…化粧料容器、A…化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体と、
軸線方向の一方には開口している開口部が、他方には閉口している閉口部がそれぞれ設けられると共に、側面にはスリットが設けられ、前記容器本体に収容されている化粧料が前記スリットを通過して前記開口部より排出可能な円筒形状をした排出筒を備える移動部と、
前記排出筒が挿入可能とされている挿入孔を備える中筒部と、
前記排出筒の前記開口部を覆うと共に前記化粧料を外部へ流出させることを可能とする塗布体と、
を備える化粧料容器であって、
前記移動部は、
前記排出筒が前記中筒部の前記挿入孔に挿入されている状態で、第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動可能で当該第2の停止位置に留め置かれる構成を有し、
前記第1の停止位置に位置しているときは前記排出筒の前記閉口部が前記中筒部の前記挿入孔を塞いでおり、前記第2の停止位置に位置しているときは前記排出筒の側面の前記スリットを通過し前記開口部より前記塗布体へ前記化粧料が排出可能となるように前記排出筒が前記挿入孔の端面より一定長突出することを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記移動部は、前記第2の停止位置において、前記容器本体に突き当たり容器本体側への移動が不能にされると共に、前記中筒部に軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動が不能にされることによって、前記第2の停止位置に留め置かれることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記排出筒は、その外周面に、前記移動部の前記第2の停止位置への移動の際に内側に撓み、前記移動部が前記第2の停止位置に位置すると、元の位置に弾性復帰し前記中筒部の底面に掛止されることで軸線方向に係合し前記容器本体側とは反対側への移動を不能とする爪部を備えたことを特徴とする請求項2記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記移動部と前記容器本体との軸線方向の間に挟み込まれるようにして取り外し可能に装着されるストッパーを備え、
前記ストッパーが装着されることにより、前記移動部は、容器本体側への移動が不能とされて第1の停止位置に留め置かれることが可能とされることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記移動部は移動部側回転止めを備えると共に、前記中筒部は中筒部側回転止めを備え、
前記移動部側回転止めと前記中筒部側回転止めとによって、前記移動部は前記中筒部に周方向回転不能に係合することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項1】
化粧料を収容する容器本体と、
軸線方向の一方には開口している開口部が、他方には閉口している閉口部がそれぞれ設けられると共に、側面にはスリットが設けられ、前記容器本体に収容されている化粧料が前記スリットを通過して前記開口部より排出可能な円筒形状をした排出筒を備える移動部と、
前記排出筒が挿入可能とされている挿入孔を備える中筒部と、
前記排出筒の前記開口部を覆うと共に前記化粧料を外部へ流出させることを可能とする塗布体と、
を備える化粧料容器であって、
前記移動部は、
前記排出筒が前記中筒部の前記挿入孔に挿入されている状態で、第1の停止位置から軸線方向に離間する第2の停止位置に移動可能で当該第2の停止位置に留め置かれる構成を有し、
前記第1の停止位置に位置しているときは前記排出筒の前記閉口部が前記中筒部の前記挿入孔を塞いでおり、前記第2の停止位置に位置しているときは前記排出筒の側面の前記スリットを通過し前記開口部より前記塗布体へ前記化粧料が排出可能となるように前記排出筒が前記挿入孔の端面より一定長突出することを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
前記移動部は、前記第2の停止位置において、前記容器本体に突き当たり容器本体側への移動が不能にされると共に、前記中筒部に軸線方向に係合し容器本体側とは反対側への移動が不能にされることによって、前記第2の停止位置に留め置かれることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
前記排出筒は、その外周面に、前記移動部の前記第2の停止位置への移動の際に内側に撓み、前記移動部が前記第2の停止位置に位置すると、元の位置に弾性復帰し前記中筒部の底面に掛止されることで軸線方向に係合し前記容器本体側とは反対側への移動を不能とする爪部を備えたことを特徴とする請求項2記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記移動部と前記容器本体との軸線方向の間に挟み込まれるようにして取り外し可能に装着されるストッパーを備え、
前記ストッパーが装着されることにより、前記移動部は、容器本体側への移動が不能とされて第1の停止位置に留め置かれることが可能とされることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
前記移動部は移動部側回転止めを備えると共に、前記中筒部は中筒部側回転止めを備え、
前記移動部側回転止めと前記中筒部側回転止めとによって、前記移動部は前記中筒部に周方向回転不能に係合することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の化粧料容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−16562(P2012−16562A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195883(P2010−195883)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
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