説明

化粧料容器

【課題】部品点数が少なく、小型化を図ることのできる緩衝性を有する化粧料容器を提供する。
【解決手段】本体容器1において、底面3が可撓性を有する薄肉に形成され、その中央部5が周縁部より高く、中央部5と周縁部の間の枠状部分4が、内周側にいく程高い傾斜面となり、かつ、枠状部4の各角部に設けられた領域αが、周方向のジャバラ状に湾曲するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品点数が少なく、小型化を図ることのできる緩衝性を有する化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料容器には、運搬時や使用時に誤って落下させたり、携帯時に誤って他物に当てたりした場合に、落下時や衝突時の衝撃等によって、内部の化粧料が割れたり、砕けたりすることを防止する機能が必要とされる。このため、化粧料の割れ等を防止しうるものとして、例えば、衝撃等を吸収するために底面に緩衝材を設けた容器(例えば、特許文献1参照。)や、その底面を二重構造にした容器(例えば、特許文献2参照。)のように、各種の容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−20108号公報
【特許文献2】特開2004−97806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、底面に緩衝材を設けたものでは、部品点数が増加し、在庫管理等の管理面が複雑になる。また、容器底面にこれを配設するスペースが必要であるため、容器が大型化する。そして、底面を二重構造にしたものでは、その製造に余計なコストと手間がかかるため、さらに改善することが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、落下時等の衝撃等を吸収することができ、しかも、低コストで簡単に、部品点数が少なく、小型化を図ることができる化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、化粧料を収容する凹部を有する容器本体と、これを開閉自在に蓋する蓋体とを備え、上記凹部の底面が可撓性を有する薄肉に形成され、底面の中央部が周縁部より高く形成され、上記中央部と周縁部の間の枠状部分が内周側にいく程高い傾斜面となり、かつ、上記枠状部分の少なくとも一部が周方向に波状に湾曲している化粧料容器をその要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料容器は、容器本体の凹部の底面が可撓性を有する薄肉で形成されており、しかも、底面の中央部が周縁部より高く形成され、上記中央部と周縁部の間の枠状部分が内周側にいく程高い傾斜面となり、かつ、上記枠状部分の少なくとも一部が周方向に波状に湾曲しているため、容器本体に衝撃等が加わった際に、上記枠状部分の波状湾曲部分が弾性変形することによって、その衝撃等を吸収することができる。このため、本発明の化粧料容器を、運搬時や使用時等に誤って床上に落下させたり、携帯中に誤って他物に当てたりしても、その衝撃等で、容器本体の凹部に収容された化粧料が割れたり、砕けたりすることが防がれる。しかも、本発明の化粧料容器では、従来例のように、別部品として緩衝材を用いる必要がなく、緩衝材が一体的に形成されているため、部品点数が少なく、在庫管理等の管理面が簡素化する。また、化粧料収容凹部に、別部品の緩衝材を組み込むスペースを設ける必要がなく、その分、容器全体の小型化を図ることができる。さらに、本発明の化粧料容器では、従来例のように底面を二重構造にする必要もないため、容器本体の薄型化と低コスト化を図ることができる。
【0008】
また、本発明のなかでも、上記底面の厚みが0.2〜1mmに設定されていると、化粧料容器底面の枠状部分に設けられている波状の湾曲部分が、より弾性変形し易くなるため、この部分で、落下時等の衝撃等をより一層吸収することができるようになる。
【0009】
そして、本発明において、「波状に湾曲している」とは、断面が円弧状に波打つ形状のものだけでなく、断面が所定の角度で屈曲することにより凹凸が形成されて、波状になっているものも含むことをいう(図10(a),(b)参照)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例の斜視図である。
【図2】上記実施例における容器本体の斜視図である。
【図3】図2のa−a断面図である。
【図4】上記実施例における容器本体の分解斜視図である。
【図5】上記実施例における容器本体の一部拡大図である。
【図6】(a),(b)は、いずれも本発明の一実施例の説明図である。
【図7】本発明の一実施例の説明図である。
【図8】本発明の一実施例の説明図である。
【図9】本発明の一実施例の説明図である。
【図10】(a),(b)は、いずれも本発明の一実施例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明を実施するための形態であるコンパクト容器の斜視図であり、1は容器本体、2は蓋体である。上記容器本体1は、平面視が8cm×8cmの略正方形の形状で、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」とする)製であり、蓋体2は容器本体1の上面を蓋するPETからなっている。上記蓋体2の後端部には、下向きにヒンジ部(図示を省略)が突設されており、このヒンジ部が容器本体1の後端部(図示を省略)と係合することにより、蓋体2が上方に開くようになっている。なお、図1において、各部分は模式的であり、実際の大きさ、厚み等とは異なっている(以下の図においても同じ)。
【0013】
上記容器本体1は、図2に示すように、底面3と周壁6とからなる略正方形皿状体に形成された化粧皿収容凹部を有しており、全体が射出成形により一体的に形成されている。そして、底面3は、周縁部より高く形成された中央部5と、中央部5と周縁部の間の枠状部分4とを有している。そして、この枠状部分4が、図2のa−a断面図である図3に示すように、内周側にいくほど高い傾斜面を形成している。また、上記枠状部分4の四隅の各角部の90°に開いた領域部分が、いわゆるジャバラ状の凹凸からなる波状の湾曲部αに形成されている。なお、上記湾曲部αの角度は、湾曲部αが枠状部分4の四隅において扇状に開いた形状であると仮想し、その要を、隅部における枠状部分4から1cm中央部5に入った位置P(図2参照)として、扇状に開いた角度(以下同じ)をいう。
【0014】
上記湾曲部αの形状をより詳しく説明すると、図4およびその部分拡大図である図5に示すように、略台形状の小片α1と隣り合う小片α2との断面が150°の角度で屈曲し、これが繰り返されて、波状の湾曲を形成するようになっている。
【0015】
このような容器本体1は、例えば、つぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、PET樹脂組成物を混合し、そのままもしくは一旦ペレット化したのち成形すればよく、射出成形のほか、真空成形などによっても成形することができる。なお、その厚みは、底面3および周壁6とも0.6mmと、ごく薄肉になっており、全体が可撓性を有している。
【0016】
この構成によれば、容器本体1が可撓性を有するPETで形成されており、その底面3の中央部5が周縁部より高く形成され、中央部5と周縁部の間の枠状部分4が、内周側にいく程高い傾斜面となり、かつ、その四隅に、周方向の凹凸が波状に連なりジャバラ状に湾曲した、湾曲部αが設けられているため、容器本体1に衝撃等が加わった際に、この湾曲部αが弾性変形し、その衝撃等を吸収することができる。また、底面3の厚みが約0.6mmの薄肉に形成されているため、上記湾曲部αの各凹凸は、互いになす角度が狭まったり広がったりして、落下時等の衝撃等をより一層吸収することができる。さらに、従来例の化粧料容器のように、別部品として緩衝材を用いる必要がなく、緩衝材が一体的に形成されているため、簡便に低コストで製造することができる。また、外部からの衝撃を防ぐために化粧料収容凹部に別部品の緩衝材を組み込むスペースを設ける必要がないため、薄型に形成することができる。そして、全体の部品点数が少ないため、在庫管理等の管理面が簡素化する。
【0017】
上記の例において、容器本体1は、PETからなるが、その他の可撓性を有する合成樹脂等を用いることができる。なかでも、合成樹脂として、PET,メタクリル樹脂(PMMA),アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS),ポリプロピレン(PP)を用いると、成形性,耐久性,軽量性の点で好ましい。
【0018】
上記の例において、容器本体1(底面3および周壁6)の厚みは、共に約0.6mmであるが、0.2〜2mmで互いに異なる厚みとすることができる。なお、上記厚みは、薄すぎると、容器本体1の強度が損なわれる傾向がみられ、逆に、厚すぎると、変形弾性しにくくなる傾向がみられる。ただし、底面3は薄い方が好ましく、厚さ0.2〜1mmが好適に用いられる。
【0019】
また、上記の例において、枠状部分4の四隅に設けられた湾曲部αは約90°の角度に開いた領域に設けられているが、どの範囲に設けるか適宜設定することができる。例えば、図6(a),(b)に示すように、60°〔図6(a)〕〜120°〔図6(b)〕に開いた領域に設けるようにしても、衝撃吸収効果を得ることができる。また、枠状部分4の四隅だけでなく、その全周に渡って湾曲部αを設けてもよい。この場合、弾性変形し易くなる部分が増えるため、より衝撃吸収効果が高まることが期待できる。
【0020】
さらに、上記の例において、湾曲部αは、約90°の角度に開いた領域にジャバラの折れ線(山折および谷折の両方を含む)を、13本設けているがこれに限られず、7〜19本程度入ることが好ましい。ジャバラの折れ密度が緻密すぎると、周方向の高低差を設けにくく、逆に、疎すぎると、この部分の弾性変形による衝撃吸収効果を得にくい傾向が見られるためである。
【0021】
そして、上記の例において、容器本体1および蓋体2を平面視略正方形に形成し、その底面3を略正方形に形成しているが、容器本体1および蓋体2を変形してもよい。例えば、図7に示すように、容器本体1および蓋体2を平面視略円形(直径約8cm)に形成して、その底面3を略円形にすることができる。このとき、上記湾曲部αは、枠状部分4の4箇所に、円中心P'に対してそれぞれ約40°に開いた領域で設けられている。また、図8に示すように、枠状部分4の4箇所に、それぞれ約20°に開いた領域で設けたり、図9に示すように、枠状部分4の4箇所に、それぞれ約50°に開いた領域で設けても、同様の衝撃吸収効果を得ることができる。そして、上記湾曲部αは、枠状部分4の4箇所だけでなく、例えば、3箇所、5箇所等、任意の箇所に設けることができ、枠状部分4の全周に渡って設けても、同様の衝撃吸収効果を得ることができる。
【0022】
さらに、上記の例において、湾曲部αの形状は、図10(a)に示すように、断面視がジグザグの、いわゆるジャバラ状態に波状であるが、図10(b)に示すように、断面視が円弧状の波状の湾曲に形成しても同様の衝撃吸収効果が得られる。また、上記の例において、湾曲部αの高低差Hは、約0.5mmであるが、容器本体1の大きさや、材質等によって、適宜に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、外部からの衝撃等を吸収することができ、しかも、部品点数が少なく、小型化を図ることのできる化粧料容器に関するものである。
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
3 底面
4 枠状部分
5 中央部
α 湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収容する凹部を有する容器本体と、これを開閉自在に蓋する蓋体とを備え、上記凹部の底面が可撓性を有する薄肉に形成され、底面の中央部が周縁部より高く形成され、上記中央部と周縁部の間の枠状部分が内周側にいく程高い傾斜面となり、かつ、上記枠状部分の少なくとも一部が周方向に波状に湾曲していることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記底面の厚みが0.2〜1mmに設定されている請求項1記載の化粧料容器。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−5667(P2012−5667A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144547(P2010−144547)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)