説明

化粧料容器

【課題】携行使用に耐えうる充分な耐衝撃性を備える、軽量かつ安価な化粧料容器を提供する。
【解決手段】容器本体1の上面の平面視中央部に設けられた中皿収容凹部11の左右両側に、この中皿収容凹部11を挟み込むように、化粧用具収容凹部12,12を形成し、これらの間を可撓性の平板部(連結部13)で連結することにより、上記中皿収容凹部11を容器底面から離間した状態で支持する。さらに、この中皿収容凹部11の側壁部11aに設けられた係合用の凸部11dに、中皿2の外側側面に形成された被係合用の凹部2cを係合させることにより、化粧料3が充填された中皿2を、中皿収容凹部11から離間した状態で収容・保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料が充填された中皿と、化粧に用いる用具等とを収容する化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション,アイシャドウや口紅等の各種化粧料が充填された中皿(化粧皿)を収容して、運搬,販売等の利用に供される容器として、レフィル容器等の化粧料容器が用いられている(特許文献1を参照)。この化粧料容器(レフィル容器)は、図5に示すように、金属製の中皿(化粧皿)22と、透明な合成樹脂製の容器本体21と、容器本体21の上面を覆う透明な合成樹脂製の蓋体23等とからなる。
【0003】
上記容器本体21の上面(使用時の上側面)には、底部20bと側壁部20aとからなる中皿収容凹部20が形成されており、この凹部20内に、化粧料(固形化粧料)3を充填した中皿22が収容されている。なお、図中の符号24は、中皿22を中皿収容凹部20の底部20b(底部20bの上面)に仮固定するための接着剤層であり、符号20cは、上記中皿22を容器本体21から取り外す際に、棒等を用いた押し上げに利用する貫通孔である。
【0004】
上記のような化粧料容器においては、運搬時や使用時等に誤って落下させたり、携行中等に他物に当たったりした際に、その衝撃で内部の化粧料が割れたり、砕けたりする場合が多いことが知られている。そこで、それを防止するための提案が種々なされており、本出願人も、上記特許文献1において、化粧料の割れ等を防止できる化粧料容器を提案している。
【0005】
この提案では、上記図5に示すように、化粧料容器の容器本体21の外側周壁21aの上端部と中皿収容凹部20の側壁部20aの上端とを連結する、連結壁部21bの一部を「薄肉部」(この例では、湾曲状の折り曲げ部分21cを含む)とするとともに、この薄肉部で、内側の中皿収容凹部20およびそこに収容される中皿22を、容器の底面より離間させて(宙に浮かせて)支持することにより、容器外部から加わる衝撃等が中皿22に直接伝達されるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−97806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記レフィル容器等、比較的簡素なパッケージの化粧料容器は、本来、運搬や陳列用等に用いられるものであり、購入後に、その内部に収容された中皿(化粧皿)を取り出して、あるいは、この化粧料容器ごと、鏡や化粧用具等を備えるコンパクト容器(コンパクトケース)に各種中皿を詰め合わせて収納し、携行・使用されることを想定して設計されている。ところが、近年の利用形態では、上記中皿をコンパクト容器に詰め替えることはせず、化粧料容器を購入時の形態のまま使用し続ける場合が多いことが分かってきた。
【0008】
しかしながら、従来の化粧料容器(特にパッケージの簡素なもの)は、携行時や使用時に発生する落下や衝突等に起因する大きな衝撃に、充分耐えられるようには設計されていない。ここに改善の余地がある。なお、化粧料容器は、運搬や陳列・販売等を考慮した場合、安価であることは勿論、製品(容器)重量の増加は最小限に留めなければならないという課題がある。また、環境等への配慮から、使用後に出るゴミや廃材の量も減量化する必要がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、携行使用に耐えうる充分な耐衝撃性を備える、軽量かつ安価な化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、化粧料が充填された中皿と、この中皿を収容する中皿収容凹部および化粧に用いる用具を収容する化粧用具収容凹部を有する容器本体とを備える化粧料容器であって、上記容器本体の上面の平面視中央部に、底部と側壁部とからなる中皿収容凹部が形成され、この中皿収容凹部の少なくとも左右両側に、内側側壁部と底部と外側側壁部とからなる化粧用具収容凹部が形成され、これら中皿収容凹部の側壁部上端と化粧用具収容凹部の内側側壁部の上端との間が、可撓性を有する衝撃吸収用の平板部で連結され、上記中皿収容凹部は、その底部が各化粧用具収容凹部の底部下面で構成される容器底面から離間した状態で支持されているとともに、上記中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を、上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させ、この中皿の底部が上記中皿収容凹部の底部から離間した状態で、中皿収容凹部内に収容されている構成をとる。
【0011】
すなわち、本発明者らは、前記課題を解決する方策として、化粧料容器における緩衝構造を多重化することを検討した。しかしながら、衝撃吸収材等の別部材の使用や、製造工程を大幅に変更する改良では、化粧料容器のコストや重量が増加してしまう。そこで、発明者らは、樹脂成形体からなる容器本体の形状に工夫を凝らし、運搬時や使用中に最も荷重のかかり易い、容器上下方向の中皿底部と中皿収容凹部の底部とを、空気層(隙間)を挟んで両者とも宙に浮かせ、二重に懸架して保護することを着想した。また、落下時等に衝撃を受け易い左右方向(容器の水平方向)は、中皿収容凹部の周りの容器本体の側壁を左右方向に延設し、その延設部を、容器上面に向けて開口する凹状とすることにより、左右方向の衝撃を緩和する緩衝ゾーンとするとともに、この上向きの大きな凹部の利用方法を模索した結果、この凹部を、化粧用具を収容するスペースとして用いれば、化粧料容器の上面を、無駄なく有効に活用できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明の化粧料容器では、中皿収容凹部が容器本体の上面の平面視中央部に形成されており、その左右両側(容器本体の端部側)に、この中皿収容凹部を挟み込むように化粧用具収容凹部が形成され、これらの間を連結する可撓性の平板部により、容器本体の中央の上記中皿収容凹部が、容器底面から離間した状態(すなわち、宙に浮いた状態)で支持されている。さらに、化粧料が充填された中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させることにより、中皿の底部が上記中皿収容凹部の底部から離間した状態(宙に浮いた状態)で、中皿収容凹部内に収容・保持されている。このため、容器本体の上下(天地)方向から衝撃や揺れ等を受けた場合、その振動と荷重は、上記のように二重に保護されている上記中皿に直接伝わらず、上記可撓性の平板部で吸収・緩和される。また、容器本体の左右方向(水平方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合は、上記平板部と上記中皿収容凹部の外側に位置する化粧用具収容凹部(外側側壁部および内側側壁部)とが、その可撓性により外部からの振動および荷重を吸収・緩和する。さらに、容器本体の前後方向(手前−奥方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合も、上記平板部と中皿収容凹部の側壁部とが、その可撓性により外部からの振動および荷重を吸収・緩和する。これにより、本発明の化粧料容器は、どの方向からの衝撃等に対しても、従来品に比べ耐衝撃性が向上し、携行時や使用時に発生する大きな衝撃等を受けた場合でも、中皿に収容した化粧料が破損することが防止される。
【0013】
さらに、上記化粧料容器は、緩衝作用を備える別部材等を用いる必要がないため、軽量な一体型の容器本体を、樹脂を用いた射出成形等により、安価に作製することが可能である。しかも、上記中皿収容凹部の左右両側に設けた緩衝用の凹部を、上記のように化粧用具収容凹部として利用できるため、化粧料容器を購入時の形態のまま使用する単独利用時は勿論、中皿(化粧皿)のみを取り出してコンパクト容器に収納する場合や、この化粧料容器(レフィル容器)ごとコンパクト容器内に収納して利用する場合、あるいは、化粧料を使い尽くした後に破棄する場合でも、ゴミの分別等が簡単で、廃材等となる部分が少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は第1実施形態における化粧料容器の構成を示す模式的断面図であり、(b)は(a)のP部拡大図である。
【図2】第1実施形態における化粧料容器を分解した状態を示す平面図であり、(a)は蓋体、(b)は容器本体、(c)は中皿を示す。
【図3】第2実施形態における化粧料容器の容器本体の構成を示す平面図である。
【図4】第3実施形態における化粧料容器の容器本体の構成を示す平面図である。
【図5】従来の化粧料容器の構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態における化粧料容器の構成を示す断面図であり、(a)は容器全体の模式図、(b)は(a)のP部拡大図である。また、図2は、上記化粧料容器を分解した状態を示す平面図であり、(a)は蓋体4、(b)は容器本体1、(c)は中皿2を上から見た図である。なお、上記図1(a)は、図2(a)〜(c)のX−X線断面に相当する。
【0017】
本実施形態における化粧料容器は、ファンデーション,アイシャドウや口紅等の各種化粧料3が充填された中皿(化粧皿)2を収容して、運搬,販売等の利用に供される容器(レフィル容器)であり、先に述べたような、コンパクト容器(図示省略)等に収納せず、購入時の形態のまま、単独でも使用できるようになっているタイプのものである。
【0018】
この化粧料容器は、図2のように、化粧料3が充填された中皿2〔図2(c)〕と、この中皿2を収容する容器本体1〔図2(b)〕と、この容器本体1の上面を覆う蓋体4〔図2(a)〕とを組み合わせて構成されており、図1(a)の断面図に示すように、上記容器本体1の中皿収容凹部11の左右両側に、それぞれ化粧用具収容凹部12,12が形成され、上記中皿収容凹部11の側壁部11aの上端と化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの上端との間が、可撓性を有する衝撃吸収用の平板部(連結部13)で連結され、上記中皿収容凹部11は、この連結部13により、その底部11bが容器本体1の底面から離間した状態で支持されている。そして、上記中皿2は、図1(b)のように、その側部2aの外側側面に形成された周状の凹部2cを、上記中皿収容凹部11の側壁部11aに複数設けられた凸部11dに係合させ、この中皿2の中皿底部2bが上記中皿収容凹部11の底部11bから離間した状態で、中皿収容凹部11内に収容・保持されている。これが、本発明の化粧料容器の特徴である。
【0019】
上記化粧料容器について、より詳しく説明すると、化粧料容器の容器本体1は、例えばポリカーボネート等、比較的軽量でかつ剛性の高い樹脂材料を用いて、射出成形等の成形加工により形成されている。その形状は、図2(b)の平面図に示すように、上面の中央部に、底部11bと、この底部11bを四方から囲う各側壁部11aとからなる中皿収容凹部11が形成され、この中皿収容凹部11の左右両側に、化粧用具収容凹部12,12が形成されている。中皿収容凹部11の側壁部11aの一部には、可撓性を有する舌片11c,11cが1個所に2つずつ、上部(根元側)から下部(先端側)にかけて二股状に分岐する形状に形成され、これら各舌片11cの先端近傍に、後記する中皿(化粧皿)2を係合保持するための凸部11d(係合部)がそれぞれ形成されている〔図1(b)参照〕。なお、この例では、上記凸部11d,11d(一対)が、中皿収容凹部11全体で6個所に設けられている。
【0020】
化粧用具収容凹部12は、内側側壁部12aと底部12bと外側側壁部12cとから構成されており、図1(b)のように、上記中皿収容凹部11の側壁部11aの上端と、この化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの上端との間が、薄肉の連結部13で連結され、上記中皿収容凹部11が、各化粧用具収容凹部12の底部12b下面で構成される容器底面(容器本体1の最下面)から離間した状態、すなわち空間Qを空けた状態で支持されている。また、上記中皿収容凹部11の側壁部11a−連結部13−化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの間には、下向きに略U字状(カップ状)の空間Sが形成されており、上記可撓性を有する連結部13の上下方向への振動と、上記中皿2係合用の凸部11dを含む側壁部11a(中皿収容凹部11)の左右方向への振動とを、吸収しやすいように構成されている。
【0021】
なお、図2(b)に示すように、上記連結部13の他方側(図示右側)には、中皿収容凹部11の側壁部11aおよび化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの高さを抑え、これら中皿収容凹部11と化粧用具収容凹部12とが上部で連通するようにした、切り欠き状の低床連結部14〔図1(a)も参照〕が設けられており、上記中皿収容凹部11に収容されている中皿2を取り出しやすいように工夫されている。
【0022】
また、図2(b)のように、上記化粧用具収容凹部12の外側側壁部12cは、化粧用具収容凹部12の他の側壁12dとともに容器本体1の外周(本体側部1a)を形成しており、この本体側部1aの左右両側面(図中の左右両端面)には、後記の蓋体4の前後方向へのスライドを案内する、リブ状の凸部(突条1b,1b)が設けられている。さらに、本体側部1aの前後両側面(使用者にとっての手前−奥面であり、図中では上下両端面)には、図示しないコンパクト容器等との係合に用いられる溝状の凹部1cが形成されている場合もある。
【0023】
化粧料容器の中皿2は、樹脂からなる浅皿状の化粧皿であり、図2(c)のように、中皿底部2bと、この中皿底部2bの縁部から立設された周状の中皿側部2aとから構成され、これらで形成された凹部に、固形化粧料3が充填されている。また、この中皿側部2aの外側側面には、容器本体1の中皿収容凹部11の側壁部11aの一部に設けられた前記凸部11dと係合することのできる、周状の凹部2c(被係合部)が形成されており、上記中皿収容凹部11に収容された際に、上記凹部2cに凸部11dが嵌り込むことにより、この中皿2は、中皿収容凹部11の底部11b(底部11bの上面)から離間した状態、すなわち空間Rを空けた状態で保持される〔図1(b)参照〕。
【0024】
化粧料容器の蓋体4は、上記容器本体1と同様、軽量でかつ衝撃に強いポリカーボネート等の樹脂で形成されており、図2(a)のように、平板状の蓋体天板4aと、この蓋体天板4aの下面を三方から囲う蓋体側部4bとを備える。上記蓋体側部4bの前側端部には、図1(a)のように、この蓋体側部4bから内側に向けて突出するとともに、前記容器本体1の左右両側面に設けられた突条1bの下面に摺接する突起4c,4cが設けられており、これら突起4c,4cを容器本体1の後方(奥側)から上記突条1b,1bの下面に沿って嵌め入れることにより、上記蓋体4は、容器本体1に対して前後方向にスライド自在に配設される。そして、この蓋体4を、容器本体1の前端までスライドさせることによって、この容器本体1の上面がカバーされる。なお、化粧料容器の蓋体4の形状や開閉構造は、商品により異なる場合がある。
【0025】
上記のような化粧料容器によれば、容器本体1の上面の平面視中央部の中皿収容凹部11の左右両側に設けられた凹部(12)を、化粧用具を収納する化粧用具収容凹部12として利用することにより、利便性が向上する。また、上記中皿収容凹部11が、容器本体1の底面から離間した状態で支持され、さらに、化粧料3が充填された中皿2も、その底部2bが上記中皿収容凹部11の底部11bから離間した状態で保持されている。このため、本実施形態の化粧料容器は、容器本体1の上下(天地)方向から衝撃や揺れ等を受けた場合、その振動と荷重は中皿2に直接伝わらず、上記連結部13(可撓性の平板部)で吸収・緩和される。また、容器本体1の左右方向(水平方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合は、上記連結部13と中皿収容凹部11の外側に位置する化粧用具収容凹部12との間で、外部からの振動および荷重が吸収・緩和される。さらに、容器本体1の前後方向(手前−奥方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合も、上記連結部13と中皿収容凹部11の側壁部11aとの間で、外部からの振動および荷重が吸収・緩和される。したがって、本実施形態における化粧料容器は、どの方向からの衝撃等に対しても、従来品に比べ耐衝撃性が向上し、携行時や使用時に発生する大きな衝撃等を受けた場合でも、中皿2に収容した化粧料3が破損することを防止することができる。
【0026】
つぎに、化粧料容器の容器本体1の中皿収容凹部11の周囲に、より多くの化粧用具収容凹部12を形成した例について説明する。図3は、本発明の第2実施形態における化粧料容器の容器本体5の構成を示す平面図であり、図4は、本発明の第3実施形態における化粧料容器の容器本体6の構成を示す平面図である。なお、これらの図においては、中皿(2)および蓋体(4)の図示を省略している。また、上記第1実施形態と同様の機能を有する部位には同じ符号〔図示がない場合は( )付き〕を付記して、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図3に示す第2実施形態の化粧料容器の容器本体5も、ポリカーボネート等、比較的軽量でかつ剛性の高い樹脂材料を用いて、射出成形等の成形加工により形成されている。この第2実施形態の容器本体5が、上記第1実施形態の容器本体(1)と異なる点は、上面の中央部に設けられた中皿収容凹部11の左右および前後に、合計4つの化粧用具収容凹部12が形成されている点である。
【0028】
各化粧用具収容凹部12は、第1実施形態と同様、内側側壁部12aと底部12bと外側側壁部12cとから構成されており、中皿収容凹部11の側壁部11aの上端と、これら化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの上端との間が、それぞれ、薄肉の連結部13で連結されている。そして、上記中皿収容凹部11が、各化粧用具収容凹部12の底部12b下面で構成される容器底面(容器本体5の最下面)から離間した状態、すなわち宙に浮いた状態で支持され、この中皿収容凹部11の四方に、中皿収容凹部11の側壁部11a−連結部13−化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aからなる、下向きに略U字状(カップ状)の空間が形成されている〔図1(b)の符号S参照〕。
【0029】
上記容器本体5を備える第2実施形態の化粧料容器によれば、第1実施形態と同様、上記中皿収容凹部11が、容器本体5の底面から離間した状態で支持され、さらに、化粧料(3)が充填された中皿(2)も、この中皿収容凹部11の底部11bから離間した状態で収容・保持される。このため、本実施形態の化粧料容器は、容器本体5の上下(天地)方向から衝撃や揺れ等を受けた場合、その振動と荷重は中皿(2)に直接伝わらず、上記各連結部13で吸収・緩和される。
【0030】
また、中皿収容凹部11の水平方向の四方(左右方向および前後方向)に化粧用具収容凹部12を備えることから、容器本体5の左右方向および前後方向(手前−奥方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合でも、上記連結部13と中皿収容凹部11の側壁部11aとの間で、外部からの振動および荷重が吸収・緩和される。したがって、本実施形態における化粧料容器は、どの方向から衝撃等を受けた場合でも、中皿(2)に収容した化粧料(3)の破損を防止することができる。
【0031】
また、図4に示す第3実施形態の化粧料容器の容器本体6は、円形の中皿(化粧皿)に対応するものであって、第1,第2実施形態と同様、ポリカーボネート等の比較的軽量でかつ剛性の高い樹脂材料を用いて射出成形等の成形加工により形成されており、上面の中央部に設けられた円形の中皿収容凹部11の周囲(前後左右)に、合計4つの化粧用具収容凹部12が形成されている。そして、中央の中皿収容凹部11の側壁部11a上端と、各化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの上端との間が、それぞれ、薄肉の連結部13で連結され、上記中皿収容凹部11が、各化粧用具収容凹部12の底部12b下面で構成される容器底面(容器本体6の最下面)から離間した状態で支持されている点も同様である。なお、この中皿収容凹部11の周囲には、中皿収容凹部11の側壁部11a−連結部13−化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aからなる、下向きに略U字状(カップ状)の空間が、上記中皿収容凹部11の外形に沿った円環状に形成されている〔図1(b)の符号S参照〕。
【0032】
上記容器本体6を備える第3実施形態の化粧料容器によっても、第1,第2実施形態と同様、上記中皿収容凹部11が、容器本体5の底面から離間した状態で支持され、さらに、化粧料(3)が充填された中皿(2)も、この中皿収容凹部11の底部11bから離間した状態で支持される。また、中皿収容凹部11の周囲(左右方向および前後方向)に化粧用具収容凹部12を備えることから、容器本体6の上下および水平方向のどの方向から衝撃や揺れ等を受けた場合でも、上記連結部13と中皿収容凹部11の側壁部11aとの間で、外部からの振動および荷重が吸収・緩和される。したがって、本実施形態における化粧料容器も、どの方向から衝撃等を受けた場合でも、中皿(2)に収容した化粧料(3)の破損を防止することが可能である。
【0033】
なお、上記各実施形態においては、化粧料容器を構成する容器本体1,5,6および蓋体4,中皿2を、ポリカーボネート樹脂を用いて形成した例を示したが、その他にも、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)や、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)等を用いることができる。
【0034】
また、化粧料容器の容器本体(1,5,6)において、中央の中皿収容凹部11を囲う化粧用具収容凹部12は、少なくとも上記中皿収容凹部11を両側から支持できるように、この中皿収容凹部11の周囲に2つ以上形成されていればよく、これら中皿収容凹部11の側壁部11aの上端と化粧用具収容凹部12の内側側壁部12aの上端との間を繋ぐ連結部13は、衝撃および振動吸収性の観点から、厚さ0.3〜1.0mmの薄肉状とするのが好ましい。
【0035】
さらに、化粧料容器の蓋体4は、上記実施形態のように容器本体(1,5,6)と別体に形成してもよいし、従来例(図5)のように、ヒンジ等を介して容器本体に開閉自在にに装着する構成としてもよい。なお、上記蓋体4は、中身の化粧料3の色等を見えやすくするため、透明な樹脂で形成することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の化粧料容器は、各種化粧料が充填された中皿を収容して運搬,販売等の利用に供されるレフィル容器としての使用は勿論、化粧用具収容凹部に化粧用具を収容して携行し、購入時の形態のまま化粧料容器として使用することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 容器本体
2 中皿
2c 凹部
3 化粧料
11 中皿収容凹部
11a 側壁部
11d 凸部
12 化粧用具収容凹部
13 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が充填された中皿と、この中皿を収容する中皿収容凹部および化粧に用いる用具を収容する化粧用具収容凹部を有する容器本体とを備える化粧料容器であって、上記容器本体の上面の平面視中央部に、底部と側壁部とからなる中皿収容凹部が形成され、この中皿収容凹部の少なくとも左右両側に、内側側壁部と底部と外側側壁部とからなる化粧用具収容凹部が形成され、これら中皿収容凹部の側壁部上端と化粧用具収容凹部の内側側壁部の上端との間が、可撓性を有する衝撃吸収用の平板部で連結され、上記中皿収容凹部は、その底部が各化粧用具収容凹部の底部下面で構成される容器底面から離間した状態で支持されているとともに、上記中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を、上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させ、この中皿の底部が上記中皿収容凹部の底部から離間した状態で、中皿収容凹部内に収容されていることを特徴とする化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−13664(P2013−13664A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150191(P2011−150191)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)