説明

化粧料容器

【課題】中皿や化粧用具収容スペースの配置の自由度が高く、耐衝撃性に優れる軽量な化粧料容器を提供する。
【解決手段】その上面に中皿収容凹部21が形成され、この中皿収容凹部21の少なくとも左右両側に化粧用具収容凹部22,22が形成され、これら中皿収容凹部21の上端部と化粧用具収容凹部22の上端部との間が衝撃吸収用の平板部(連結部23)で連結されたレフィル容器2を、上記中皿収容凹部21とレフィル容器収容凹部11との間に隙間を空けた状態で、容器本体1のレフィル容器収容凹部11内に着脱可能に収容するとともに、化粧料4が充填された中皿3を、上記レフィル容器2の中皿収容凹部21内に設けられた凸部21dに係合させ、この中皿3と中皿収容凹部21との間に隙間を空けた状態で、中皿収容凹部21内に着脱可能に収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトケース等の化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション,アイシャドウや口紅等の各種固形化粧料が充填された中皿(化粧皿)を収容して携帯する化粧料容器として、コンパクト容器(コンパクトケース)等の各種化粧料容器が用いられている。
【0003】
図3は、従来のコンパクト容器の構成を示す図である。このコンパクト容器は、化粧料4が充填された中皿3と、中皿3および化粧に用いる用具(図示省略)等を収容する中枠20と、中枠20を収容する容器本体(コンパクトケースの外枠)10と、この容器本体10の上面を蓋する蓋体5と、鏡6等から構成されている。
【0004】
上記容器本体10の上面には、上記中枠20を収容するための中枠収容凹部10aが形成され、この中枠収容凹部10a内に、中皿収容凹部20aと化粧用具収容凹部20bとが形成された中枠20が収容され、この中枠20の中皿収容凹部20a内に、化粧料4を充填した中皿(レフィル)3が、着脱可能に収容されている。
【0005】
上記中枠20に形成された中皿収容凹部20aの内壁面には、対向する面に対になるようにして、爪状(あるいは舌片状)の可撓性板部20cが設けられており、この可撓性板部20cの先端近傍には、上記中皿3の外周面に形成された周状の凹部(溝3c)と係合する凸部20dが、それぞれ突設されている。そして、上記中皿3を中皿収容凹部20aに上から挿入した場合、上記凸部20dが上記中皿3の溝3cに嵌り込むことにより、この中皿3は、上記中皿収容凹部20aの底部との間に隙間を空けた状態で、中皿収容凹部20aに収容・保持される(特許文献1を参照)。なお、中皿収容凹部20aと化粧用具収容凹部20bとの間の仕切り壁の中央に切り欠き状に形成された凹部20eは、上記中皿3の取り外す際に、手指等の挿入を容易にするためのものである。
【0006】
このように、化粧料が充填された中皿を携行するのに用いられるコンパクト容器は、その携行中に外部から受ける振動や衝撃等による固形化粧料の割れを防止するために、中皿3と中皿収容凹部20aとの間に隙間(空気層)を設けたり、中皿と中皿収容凹部との間に弾性部材を介在配置する等して、上記振動や衝撃を中皿に伝達させない工夫がなされている。
【0007】
一方、上記コンパクト容器に収納される中皿(レフィル)3の交換用として、図4に示すような保護用の化粧料容器に収納された中皿3が、コンパクト容器とは別のパッケージとして、単体で販売されている。
【0008】
この化粧料容器(レフィル容器)は、交換用中皿3の運搬,販売等に用いられる容器であって、図4のように、化粧料4が充填された中皿3と、透明な合成樹脂製のレフィル容器30と、レフィル容器30の上面を覆う透明な合成樹脂製の蓋体5等とからなる。
【0009】
上記レフィル容器30の上面(使用時の上側面)には、底部31bと側壁部31aとからなる中皿収容凹部31が形成されており、この凹部31内に、化粧料(固形化粧料)4を充填した中皿3が収容されている。なお、図中の符号33は、中皿3を中皿収容凹部31の底部31b(底部31bの上面)に仮固定するための接着剤層であり、符号31cは、上記中皿3をレフィル容器30から取り外す際に、棒等を押し込んで中皿3を持ち上げるために利用する貫通孔である。
【0010】
上記レフィル容器30によれば、レフィル容器30の外側周壁30aの上端と、内側の中皿収容凹部31の側壁部31aの上端とを、薄肉状の連結部32で連結するとともに、この連結部32により容器の底面から離間して支持された中皿収容凹部31に、上記中皿3を収容・保持することによって、運搬時に振動や衝撃等を受けた場合でも、内部の固形化粧料に衝撃等が伝達されず、その割れ等を防止することができる。(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−93103号公報
【特許文献2】特開2004−97806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、コンパクト容器等の従来の化粧料容器は、例えば前記図3のような中枠20を介して中皿3を収納する等、容器本体10の上面に配置される中皿収容凹部20aの位置や数、および、化粧用具収容凹部20bの大きさや形状等のレイアウトが固定化されており、この上に、別途購入した中皿(レフィル)を詰め合わせて収納するように設計されている。しかしながら、近年の調査によれば、上記中皿をコンパクト容器に詰め替えることをせず、化粧料容器を購入時の態様(レフィル容器)のまま使用し続ける等、その利用形態が多様化してきており、それに対応できる、自由な使い方ができる化粧料容器が求められている。ここに改善の余地がある。
【0013】
また、コンパクト容器等の化粧料容器は、携行使用を前提としているため、化粧品メーカー等によっては、なるべく耐衝撃性の高い構造の容器が求められる場合もある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、中皿や化粧用具収容スペースの配置の自由度が高く、耐衝撃性に優れる軽量な化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、化粧料が充填された中皿と、この中皿を収容する中皿収容凹部および化粧に用いる用具を収容する化粧用具収容凹部を有するレフィル容器と、このレフィル容器を収容するレフィル容器収容凹部を有する容器本体とを備え、上記中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を、上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させ、それ自体の底部と上記中皿収容凹部との間に隙間を空けた状態で、レフィル容器の中皿収容凹部内に着脱可能に収容されているとともに、上記レフィル容器は、その上面に、底部と側壁部とからなる中皿収容凹部が形成され、この中皿収容凹部の少なくとも左右両側に、内側側壁部と底部と外側側壁部とからなる化粧用具収容凹部が形成され、これら中皿収容凹部の側壁部上端と化粧用具収容凹部の内側側壁部の上端との間が、可撓性を有する衝撃吸収用の平板部で連結され、上記中皿収容凹部の底部と上記レフィル容器収容凹部との間に隙間を空けた状態で、容器本体のレフィル容器収容凹部内に着脱可能に収容されている構成を第1の要旨とする。
【0016】
また、本発明の化粧料容器は、上記構成の化粧料容器のなかでも、上記レフィル容器の中皿収容凹部の側壁部の一部に、上記中皿取り出し用の切り欠き状凹部が設けられ、上記容器本体のレフィル容器収容凹部の周囲の本体側壁の一部に、上記レフィル容器取り出し用の切り欠き状凹部が形成されている構成を第2の要旨とする。
【0017】
すなわち、化粧料容器のコストや重量の増加を招くことなく、前記課題を解決する方策として、本発明者らは、従来は中皿(レフィル)の運搬にのみ使用され、中身のレフィルを取り出した後は破棄されていたレフィル容器に着目した。そして、樹脂成形体からなるレフィル容器の形状に工夫を凝らし、中皿収容凹部の周りの側壁を左右方向に延設し、その延設部位を容器上面に向けて大きく開口する凹状とするとともに、この凹状部位を、化粧用具を収容するスペースと、左右方向からの衝撃を緩和する緩衝ゾーンとを兼用する領域として利用すれば、レフィル容器および化粧料容器の限られた上面スペースを、無駄なく有効に活用できることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の化粧料容器では、容器本体に着脱(交換)可能に収容されるレフィル容器の上面の平面視中央部に、中皿を収容する中皿収容凹部が形成されており、その左右両側(容器の端部側)に、この中皿収容凹部を挟み込むように化粧用具収容凹部が形成され、これらの間を連結する可撓性の平板部により、上記中皿収容凹部が容器本体から離間した状態(すなわち、宙に浮いた状態)で支持されている。さらに、化粧料が充填された中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させることにより、中皿の底部が中皿収容凹部の底部から離間した状態(宙に浮いた状態)で、上記中皿収容凹部内に着脱(交換)可能に収容・保持されている。このため、容器本体の上下(天地)方向から衝撃や揺れ等を受けた場合、その振動と荷重は、上記のように二重に隙間を空けて保護されている上記中皿に直接伝わらず、上記可撓性の平板部で吸収・緩和される。また、容器本体の左右方向(水平方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合は、上記平板部と中皿収容凹部の外側に位置する化粧用具収容凹部とが、その可撓性により外部からの振動および荷重を吸収・緩和する。さらに、容器本体の前後方向(手前−奥方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合も、上記平板部と中皿収容凹部の側壁部とが、その可撓性により外部からの振動および荷重を吸収・緩和する。これにより、本発明の化粧料容器は、どの方向からの衝撃等に対しても、従来品に比べ耐衝撃性が向上し、携行時や使用時に発生する大きな衝撃等を受けた場合でも、レフィル容器に収容された中皿に充填された化粧料が破損することを防止できる。
【0019】
さらに、上記化粧料容器は、緩衝作用を備える別部材等を用いる必要がないため、軽量な一体型のレフィル容器を、樹脂を用いた射出成形等により、安価に作製することが可能である。しかも、上記中皿収容凹部の左右両側に設けた緩衝用の凹部を、上記のように化粧用具収容凹部として利用できるため、化粧料容器上面のレイアウトを自由に設定できるうえ、このレフィル容器を交換するだけで、化粧料容器内のレイアウトを簡単に変更できるというメリットがある。
【0020】
なお、本発明の化粧料容器は、上記のように、別途購入したレフィル容器をそのまま、容器本体内のレフィル容器収容凹部にセットして使用できることは勿論、レフィル容器内の中皿(レフィル)のみを取り出してコンパクト容器にセットする方法や、レフィル容器の化粧用具収容凹部を利用してレフィル容器を購入時の形態のまま使用する方法等、種々の形態で使用することができる。また、化粧料を使い尽くした場合や、そのレイアウトを変更する場合等、交換の際に無駄になる部分が少なく、ゴミや廃材等の分別が容易であるという利点がある。
【0021】
そして、本発明の化粧料容器のなかでも、上記レフィル容器の中皿収容凹部の側壁部の一部に、上記中皿取り出し用の切り欠き状凹部が設けられ、上記容器本体のレフィル容器収容凹部の周囲の本体側壁の一部に、上記レフィル容器取り出し用の切り欠き状凹部が形成されているものは、治具等を用いずに上記中皿およびレフィル容器を誰でも簡単に取り出すことができ、これらの交換の際の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における化粧料容器の構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は実施形態における化粧料容器の構造を示す断面図であり、(b)はそのP部拡大図である。
【図3】従来の化粧料容器の一構成例を示す分解斜視図である。
【図4】従来の化粧料容器の他の構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態における化粧料容器の構成を示す分解斜視図であり、図2(a)は本実施形態における化粧料容器の構造を示す模式的断面図、図2(b)は図2(a)のP部の拡大図である。
【0025】
本実施形態における化粧料容器は、図1に示すように、ファンデーション,アイシャドウや口紅等の各種化粧料4が充填された中皿(レフィル)3と、この中皿3を収容する中皿収容凹部21および化粧に用いる用具(図示省略)を収容する化粧用具収容凹部22,22が形成されたレフィル容器2と、このレフィル容器2を収容するレフィル容器収容凹部11を有する容器本体1とから構成されている。なお、図1において、符号5は、上記容器本体1にヒンジ連結により開閉可能に取り付けられた蓋体であり、符号6は、その蓋体5の内面に装着された鏡である。
【0026】
そして、上記化粧料容器は、図2に示すように、そのレフィル容器2が、中皿収容凹部21の底部21bとレフィル容器収容凹部11との間に隙間(空間R)を空けた状態で、容器本体1のレフィル容器収容凹部11内に収容され、上記中皿3が、この中皿3の底部3bと上記中皿収容凹部11との間に隙間(空間Q)を空けた状態で、レフィル容器2の中皿収容凹部21内に収容・支持されている。これが、本発明の化粧料容器の特徴である。
【0027】
上記化粧料容器について、図1,図2にもとづいてより詳しく説明すると、中皿3は、樹脂からなる浅皿状の化粧皿であり、中皿底部3bと、この中皿底部3bの縁部から立設された周状の中皿側部3aとから構成され、これらで形成された凹部に、固形化粧料4が充填されている。また、この中皿側部3aの外側側面には、後記するレフィル容器2の中皿収容凹部21の側壁部21aの一部に設けられた、中皿3保持用の凸部21d(係合部)と係合することのできる周状の凹部(溝3c:被係合部)が形成されており、上記中皿収容凹部21に収容された際に、この溝3cに上記凸部21dが嵌り込むことにより、上記中皿3は、中皿収容凹部21の底部21b(底部21bの上面)との間に隙間を空けた状態、すなわち空間Qを空けた状態で保持されるようになっている〔図2(b)参照〕。
【0028】
また、上記レフィル容器2は、例えばポリカーボネート等、比較的軽量でかつ剛性の高い樹脂材料を用いて、射出成形等の成形加工により形成されている。その形状は、図1の斜視図に示すように、上面の中央部に、底部21bと、この底部21bを四方から囲う各側壁部21aとからなる中皿収容凹部21が形成され、この中皿収容凹部21の左右両側に、化粧用具収容凹部22,22が形成されている。なお、上記レフィル容器2における前後(手前奥)方向の側面に設けられている溝状の凹部2a,2a(被係合部)は、後記する容器本体1のレフィル容器収容凹部11の側壁の一部に設けられた可撓性板部11a,11aの凸部およびこれらに対向する凸部11b,11b(いずれも係合部:図1参照)との係合に用いられるものである。
【0029】
上記中皿収容凹部21の側壁部21aの一部には、可撓性を有する舌片21c,21cが1個所に2つずつ、上部(根元側)から下部(先端側)にかけて二股状に分岐する形状に形成され、これら各舌片21cの先端近傍に、上記中皿2を係合保持するための凸部21d(係合部)がそれぞれ形成されている〔図2(b)参照〕。なお、この例(図1)では、上記凸部21d,21d(一対)が、中皿収容凹部21全体で6個所に設けられている。
【0030】
上記化粧用具収容凹部22は、内側側壁部22aと底部22bと外側側壁部22cとから構成されており、図2(b)のように、上記中皿収容凹部21の側壁部21aの上端と、この化粧用具収容凹部22の内側側壁部22aの上端との間が、薄肉の連結部23で連結され、上記中皿収容凹部21が、容器本体1のレフィル容器収容凹部11の底面との間に隙間を空けた状態、すなわち空間Rを空けた状態で支持されている。
【0031】
また、上記中皿収容凹部21の側壁部21a−連結部23−化粧用具収容凹部22の内側側壁部22aの間には、下向きに略U字状(カップ状)の空間Sが形成されており、上記可撓性を有する連結部23の上下方向への振動と、上記中皿3係合用の凸部21dを含む側壁部21a(中皿収容凹部21)の左右方向への振動とを、吸収しやすいように構成されている。
【0032】
さらに、上記連結部23の他方側(図示右側)には、図1および図2(a)に示すように、切り欠き状のレフィル取出用凹部24が設けられている。このレフィル取出用凹部24は、中皿収容凹部21の側壁部21aおよび化粧用具収容凹部22の内側側壁部22aの高さを抑え、これら中皿収容凹部21と化粧用具収容凹部22とが上部で連通するように形成されているもので、上記中皿収容凹部21に収容されている中皿3の取り出しを容易にするためのものである。
【0033】
なお、上記レフィル容器2の側面に設けられている溝状の凹部2a,2aは、このレフィル容器2を単体で輸送あるいは販売・陳列等を行う場合に使用されるカバーの取り付け等にも利用される。例えば、レフィル容器2の上面を覆うスライド式のカバーであれば、上記溝状の凹部2aを、カバーの容器左右方向へのスライドを案内するガイドレールとして利用することができる。勿論、上記カバーの構造は任意であり、このカバーを取り付けるあるいは被せるための構造を、上記レフィル容器2の側面に別途形成してもよい。
【0034】
つぎに、上記容器本体1は、樹脂等を用いて射出成形により形成されたもので、その上面に、上記レフィル容器2を収納するためのレフィル容器収納凹部11が大きく開口している。レフィル容器収納凹部11は、本体底部1bとその周囲に立設された各本体側部1aにより形成されており、この本体側部1aの内側側面の容器前後方向に対向する面の一方(図面では手前側)に、先に述べた、舌片状の可撓性板部11a,11aが設けられ、この可撓性板部11aの先端部位に、上記レフィル容器2係合用の凸部が形成されている。
【0035】
また、上記容器前後方向に対向する面の他方(図面では奥側)には、上記各可撓性板部11aに対向する位置に、同じくレフィル容器2係合用の短いリブ状の凸部11b,11bが設けられている。そして、上記レフィル容器2を、レフィル容器収納凹部11に上方から嵌め入れ、レフィル容器2の両側面に形成された凹部2a,2aに、上記可撓性板部11aの先端の係合用凸部と、その対向面にある上記短いリブ状の凸部11bとをそれぞれ押し込むことにより、上記レフィル容器2をレフィル容器収納凹部11内に収容・保持することができるようになっている。
【0036】
なお、上記レフィル容器収納凹部11を構成する奥側の本体側部1aの一部には、図1に示すように、切り欠き状のレフィル容器取出用凹部11cが設けられている。このレフィル容器取出用凹部11cは、前記レフィル取出用凹部24と同様、その本体側部1aの高さを抑えてレフィル容器収納凹部11と容器外部とが上部で連通するように構成されており、上記レフィル容器収容凹部11に収容されたレフィル容器2を取り出して交換しやすいように工夫がなされている。
【0037】
化粧料容器の蓋体5は、上記容器本体1と同様の樹脂で形成された略板状で、その内面側(容器本体1側)には、鏡6が取り付けられている。この蓋体5は、ヒンジ連結部5aにより、容器本体1の後端側(奥側)に開閉自在に取り付けられている。なお、蓋体5の形状や開閉構造は、容器本体1の構造やデザイン等により適宜変更される。
【0038】
上記のような化粧料容器によれば、レフィル容器2が、中皿収容凹部21の底部21bと容器本体1のレフィル容器収容凹部11との間に隙間(空間R)を空けた状態で収容され、上記中皿3が、この中皿3の底部3bと上記レフィル容器2の中皿収容凹部21との間に隙間(空間Q)を空けた状態で、レフィル容器2の中皿収容凹部21内に収容・保持されている。そのため、本実施形態の化粧料容器は、容器本体1の上下(天地)方向から衝撃や揺れ等を受けた場合、その振動と荷重は中皿3に直接伝わらず、レフィル容器2の連結部23(可撓性の平板部)等で吸収・緩和される。また、容器本体1の水平方向(左右方向および前後方向)から衝撃や揺れ等を受けた場合も、上記レフィル容器2の連結部23と中皿収容凹部21の側壁部21aとの間で、外部からの振動および荷重が吸収・緩和される。したがって、本実施形態における化粧料容器は、どの方向からの衝撃等に対しても、従来品に比べ耐衝撃性が向上し、携行時や使用時に発生する大きな衝撃等を受けた場合でも、中皿3に収容した化粧料4が破損することを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態における化粧料容器は、レフィル容器2の上面の中皿収容凹部21の左右両側に設けられた凹部(22)を、化粧用具を収納する化粧用具収容凹部22として利用することにより、このレフィル容器2を取り出して単体で使用することもできる。さらに、レフィル容器2の交換が簡単であることから、異なるデザインのレフィル容器2への交換も容易で、化粧料容器内のレイアウトを簡単に変更することができる。すなわち、中皿3や化粧用具収容スペース(22)の配置の自由度が高い化粧料容器とすることができる。
【0040】
なお、化粧料容器を構成する容器本体1,レフィル容器2,中皿3および蓋体5等の形成に用いられる樹脂としては、軽量で強度に優れるポリカーボネート樹脂が好ましい。その他にも、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)や、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)等を用いることもできる。
【0041】
また、上記実施形態においては、化粧料容器上面における中皿3および化粧用具収容凹部22のレイアウトの一例を示したが、上記レフィル容器2に形成される中皿収容凹部21および化粧用具収容凹部22の大きさ,数,深さ等の形状と配置は、自由に決定することができる。しかしながら、容器側面(水平方向)から受ける衝撃等を吸収・緩和するためには、少なくとも上記中皿収容凹部21を両側から支持できるように、この中皿収容凹部21の周囲に2つ以上形成することが好ましい。さらに、中皿収容凹部21の側壁部21aの上端と化粧用具収容凹部22の内側側壁部22aの上端との間を繋ぐ連結部23の厚さは、衝撃および振動吸収性の観点から、厚さ0.3〜1.0mmの薄肉状とすることが望ましい。
【0042】
また、容器本体1とレフィル容器2との係合構造は、一例として、レフィル容器2の側面に設けられている溝状の凹部2a,2aと、容器本体1の側壁内面に形成された可撓性板部11a(の凸部)および短いリブ状の凸部11bとの係合を示したが、着脱(交換)の容易な構造であれば、中皿3およびレフィル容器2の形状(外形形状)に合わせて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の化粧料容器は、中皿や化粧用具収容スペースの配置の自由度が高く、耐衝撃性に優れる軽量な化粧料容器とすることができる。また、コンパクト容器としての使用は勿論、レフィル容器を取り出して携行し、その形態で利用することもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 容器本体
2 レフィル容器
3 中皿
4 化粧料
11 レフィル容器収容凹部
21 中皿収容凹部
21d 凸部
22 化粧用具収容凹部
23 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が充填された中皿と、この中皿を収容する中皿収容凹部および化粧に用いる用具を収容する化粧用具収容凹部を有するレフィル容器と、このレフィル容器を収容するレフィル容器収容凹部を有する容器本体とを備え、上記中皿は、その外側側面に形成された被係合用凹部を、上記中皿収容凹部の側壁部に設けられた係合用凸部に係合させ、それ自体の底部と上記中皿収容凹部との間に隙間を空けた状態で、レフィル容器の中皿収容凹部内に着脱可能に収容されているとともに、上記レフィル容器は、その上面に、底部と側壁部とからなる中皿収容凹部が形成され、この中皿収容凹部の少なくとも左右両側に、内側側壁部と底部と外側側壁部とからなる化粧用具収容凹部が形成され、これら中皿収容凹部の側壁部上端と化粧用具収容凹部の内側側壁部の上端との間が、可撓性を有する衝撃吸収用の平板部で連結され、上記中皿収容凹部の底部と上記レフィル容器収容凹部との間に隙間を空けた状態で、容器本体のレフィル容器収容凹部内に着脱可能に収容されていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記レフィル容器の中皿収容凹部の側壁部の一部に、上記中皿取り出し用の切り欠き状凹部が設けられ、上記容器本体のレフィル容器収容凹部の周囲の本体側壁の一部に、上記レフィル容器取り出し用の切り欠き状凹部が形成されている請求項1記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−13665(P2013−13665A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150194(P2011−150194)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)