説明

化粧板の製造方法

【課題】タックシートを使用せずに、工場生産性を大幅に向上させる化粧板の製造方法を提供する。
【解決手段】平板状の基材の表面部及び側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板の製造方法であって、該基材の表面部に第一の接着剤層を介して該化粧シートをラミネートして化粧基板を形成する工程と、該化粧基板の外周部の一部を残して非切削部を設けると共に、少なくとも該化粧基板の側面部の幅で該化粧基板の裏面部から該非切削部の内側を溝加工し、該化粧シート並びに該第一の接着剤層及び/又は基材の薄肉化された部分からなる折り返し部を形成する工程と、該非切削部を除去する工程と、該折り返し部を該化粧基板の側面部に折り返し、第二の接着剤層を介して該折り返し部と該化粧基板の側面部とを接着する工程とを含むことを特徴とする化粧板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の基材の表面部及び側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、ホテル、マンションのロビーや、会議室、オフィスの壁面には、火山性ガラス質複層板や珪酸カルシウム板等の多孔質な不燃性基材の下地の上に、化粧シートの裏面に粘着加工が施してあるタックシートで現場施工したり、下地に目地がある様な場合も同様にタックシートで目地部分も含め現場施工し、見栄えの良い住空間を演出している。
特に目地を設けた壁面で施工数量が多くなる場合は、現場施工でなく工場生産であらかじめ珪酸カルシウム板等の多孔質な不燃性基材の表面を化粧シートでラミネートを行い、さらに前記化粧シートを延長して基板の裏面に折返して接着することにより小口を隠して内装用化粧板とする。この化粧板を現場の壁面に貼り付けるに先立って、ボ−ドにおける化粧板間の目地底となる部分に、目地テ−プを貼着することが提案されている。(特許文献1参照)
【0003】
また、壁面の目地として、縦目地だけでなく、横目地を入れたものが多く施工されており、この場合は、基材の上下左右の小口面(即ち、基材の全側面部)及び所望により裏面の一部を化粧シートで被覆した四方巻き化粧板が用いられている。
この四方巻き化粧板として火山性ガラス質複層板や珪酸カルシウム板等の多孔質な不燃基材を基材として用いる場合は、必要に応じて、基材の表面部及び側面部並びに必要に応じて裏面部の一部にシーラー処理して、(1)タックシートで基材の表面部及び側面部並びに必要に応じて裏面部の一部に化粧シートの巻込みを行なったり、(2)タックシートを使用しない方法としては、通常、基材の表面部に水性接着剤を塗布し、基材サイズより大きめのシートを積層し、コールドプレスを行い、接着力が出るまで養生した後、四方端部、巻込み部分の不要部分を切除した後、小口面に溶剤系の接着剤を塗布したり、両面粘着テープを巻込み部分のシート裏面に貼り付けた後、基材に巻きつけることが行われている。
【0004】
しかし、タックシートを使用した場合や、タックシートを使用しない場合も、手作業が多く多大な労力と時間を要するので、タックシートを使用しない効率的な工場生産可能な化粧板の製造方法が望まれていた。
特に、四方巻きの化粧板は、側面部を着色塗装したものより格段に意匠性が高く、ビル、ホテル、マンションのロビーや、会議室、オフィスの壁面に、隙間を空けながら施工(目隙施工)を行う事により、壁面の立体感、重厚感を出すので、工場生産による化粧板の製造が要望されていた。
【0005】
これに対して、特許文献2には、平板状の基材の表面部及び四方の側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板であって、基材の一組の両端部において該化粧シートが折り返され、接着剤を介して貼着されて覆われ、基材の他の一組の両端部が薄肉化されており、該薄肉化された部分がそれぞれ折り返され、接着剤層を介して基材に接着され、かつ該折り返し部の長さが基材の厚み以上であることを特徴とする化粧板が提案されている。
また、特許文献3には、基材の表面に接着剤aをコートする工程(A)と、化粧シートを該基材の前後左右の少なくとも一部に余白を残した状態で積層する工程(B)と、該基材の側面部及び/又は裏面部の該化粧シートの余白部分に対応する部分に非接触で接着剤bを塗布する工程(C)と、該化粧シートの余白部分を該基材の側面部及び/又は裏面部に圧着しながら巻き込む工程(D)を含む、基材と化粧シートとを有する化粧板の製造方法が提案されている。
これらの方法は、化粧板の工場生産を可能とし、化粧板の生産性を向上させることができる優れた方法であるが、さらなる改良が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−340057号公報
【特許文献2】特開2008−144458号公報
【特許文献3】特開2009−143063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況下で、タックシートを使用せずに、工場生産性を大幅に向上させる化粧板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基材の側面部及び/又は裏面部に化粧シートを効率的に折り返し巻き込むことが出来る方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 平板状の基材の表面部及び側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板の製造方法であって、該基材の表面部に第一の接着剤層を介して該化粧シートをラミネートして化粧基板を形成する工程と、該化粧基板の外周部の一部を残して非切削部を設けると共に、少なくとも該化粧基板の側面部の幅で該化粧基板の裏面部から該非切削部の内側を溝加工し、該化粧シート並びに該第一の接着剤層及び/又は基材の薄肉化された部分からなる折り返し部を形成する工程と、該非切削部を除去する工程と、該折り返し部を該化粧基板の側面部に折り返し、第二の接着剤層を介して該折り返し部と該化粧基板の側面部とを接着する工程とを含むことを特徴とする化粧板の製造方法、
[2] 前記基材が、火山性ガラス質複層板又は珪酸カルシウム板である上記[1]に記載の化粧板の製造方法、
[3] 前記基材が木質系繊維板、パーティクルボード、発泡プラスチックボード及び木紛プラスチックボードから選ばれる基材である上記[1]に記載の化粧板の製造方法、
[4] 前記基材の厚みが3〜10mmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化粧板の製造方法、
[5] 前記第二の接着剤層を構成する接着剤が、ホットメルト接着剤又は反応性ホットメルト接着剤である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化粧板の製造方法、及び
[6] 前記第二の接着剤層が、前記化粧基板の側面部及び/又は裏面巻込み部、あるいは前記折り返し部に、接着剤を非接触で塗布して形成される上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化粧板の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法により、タックシートを使用せずに、工場生産性を大幅に向上させることとなった。特に、本発明の製造方法により、四方巻きの化粧板も高い生産性で工場生産できることとなった。
さらに詳しく述べれば、本発明の製造方法を用いることにより、基材寸法よりやや大きめの化粧シートを積層する工程や化粧シートの不要部分を除去する工程をやめることができ、さらに手作業を減らすことが可能になった。
また、数多くの要求サイズに小量でも対応できる、より柔軟性の高い工場生産ができることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の製造方法における工程(A)〜(E)の一例を示す概略図及び得られる化粧板の一例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の製造方法で得られる化粧板の他の一例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の製造方法における工程(G)の一例を示す部分断面図である。
【図4】本発明における工程(D)の他の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の化粧板の製造方法は、平板状の基材の表面部及び側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板の製造方法であって、該基材の表面部に第一の接着剤層を介して該化粧シートをラミネートして化粧基板を形成する工程と、該化粧基板の外周部の一部を残して非切削部を設けると共に、少なくとも該化粧基板の側面部の幅で該化粧基板の裏面部から該非切削部の内側を溝加工し、該化粧シート並びに該第一の接着剤層及び/又は基材の薄肉化された部分からなる折り返し部を形成する工程と、該非切削部を除去する工程と、該折り返し部を該化粧基板の側面部に折り返し、第二の接着剤層を介して該折り返し部と該化粧基板の側面部とを接着する工程とを含むことを特徴とする。
本発明における平板状の基材とは、平面形状が多角形、好ましくは矩形又は平行四辺形である基材をいう。平面形状が円形や楕円形であると、巻き込むことが困難となるからである。ここで、矩形とは長方形と同義であり、正方形は長方形に包含される。また、菱形は平行四辺形に包含される。
【0012】
本発明の化粧板の製造方法について、図1〜4を用いて工程毎に説明する。図1は、本発明の製造方法における工程(A)〜(E)の一例を示す概略図及び得られる化粧板の一例を示す部分断面図である。
[工程(A)]
本発明の化粧板1の製造方法において、まず、基材10の表面に接着剤aをコート(被覆)し、第一の接着剤層を形成する。接着剤aの塗布方法は、ロールコーター、フローコーター、スプレーコート、加熱ロールコーター(ホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤の場合)等を適宜使用できる。
基材10を所定の寸法に切断した後に接着剤aを基材10にコートしても良いし、接着剤aを大判の基材10にコートした後に基材10を所定の寸法に切断しても良い。
本発明の製造法によれば、大判の汎用寸法(3×6尺サイズ)基材表面に接着剤aを塗布し第一の接着剤層を形成した後、化粧シート20を全面にラミネートすることが好ましい。大判の基材表面に、化粧シートを連続ラミネートするので効率が良く、工場生産に適している。
次に、化粧シート20をラミネートした大判の基材10を、化粧板指定寸法に対し、側面部、裏面巻込み部、及び外側の非切削部分を加味した寸法に、パネルソーで切断し、図1(A)に示す化粧基板30を得る。
【0013】
基材が不燃性の無機基材の場合、アルカリ性基材が多く、表面も粉っぽい。この場合、必要に応じ、接着剤aのコートに先立ち、基材表面にシーラー処理を行っても良い。シーラーは、基材の表層の補強効果と後から使用する接着剤の密着性を向上することができる。
ウレタン系、エポキシ系、アクリル系の溶剤、水系のシーラーが一般的に使用できる。有機系のほか水ガラス系の無機シーラーも使用することができる。
代表的なシーラーとして、湿気硬化型ウレタン樹脂系シーラーが挙げられる。
シーラーの塗布方法は、ロールコート、スポンジロールコート、スプレーコート、カーテンフローコート等各種のコート方式が使用できる。
プラスチック系の場合、接着性が悪いときは、コロナ放電処理をおこなってプライマー処理を行っても良い。
プライマー樹脂としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系等各種の樹脂が使用できる。プライマーのコート方式はロールコート、グラビアコート、グラビアオフセットコート、スプレーコート等各種のコート方式が使用できる。
【0014】
[工程(B)]
次に、工程(A)により得られた化粧基板30の外周部から非切削部31を設けるための幅を残して、化粧基板30の側面部33の幅、乃至側面部33の幅及び裏面巻込み部32aの幅の合計幅で化粧基板30の裏面部32から非切削部31の内側を切削して溝加工して、折り返し部34及び非切削部31を形成する。図1(B−1)は切削装置40を用いて切削しているときを示し、図1(B−2)は溝加工後の化粧基板30を示す。
折り返し部34は、溝加工にて化粧シート20+接着剤a+小量の基材を薄皮状態で残した薄肉化された部分の厚さまで切削して形成することが好ましい。化粧シート20にまで切削すると折り返し部が破れたりするからである。折り返し部34の厚さdは0.5mm以下であることが好ましい。該厚さが0.5mm以下であると、該折り返し部34を折り返した際に、屈曲部分が折れてシートを突き破ることがなく、またシートが切断するという問題がない。基材の薄肉化された部分の厚さは、0.1〜0.4mmであることが好ましい。
四方巻き化粧板を製造する場合は、上記の溝加工を化粧基板30の四辺にそれぞれ行なえば良い。
図2は、本発明の製造方法で得られる化粧板1の他の一例を示す部分断面図である。図2に示すように、化粧基板30の折り返し部34の幅を側面部33の幅と同一にして化粧基板30の裏面部32に一部にまで巻き込まなくても良い。
【0015】
[工程(C)]
次に、図1(C)に示すように溝加工した化粧基板30の非切削部31をカッター等の切断装置50で切断し、除去する。切断に当っては、図1(C)のように非切削部31と切断装置50との間に若干の間隙を設けて切断しても良いし、非切削部31と切断装置50との間に間隙を設けずに切断しても良い。
溝加工した溝の形状は、両側面が垂直となる矩形断面形状が好ましいが、開口上面より底面が幅広の台形断面形状や開口上面より底面が若干幅狭の逆台形断面形状でも良い。ただし、V字溝や開口上面より底面が極端に幅狭の逆台形断面形状は折り返し部34を効率的に形成できないので好ましくない。
[工程(F)]
工程(F)は、必要に応じ設けられる工程であり、工程(B)と工程(C)との間に、又は工程(C)と後述する工程(D)との間に、化粧基板30の折り返し部34の不要部分を切除するために設けられる。
工程(F)は、四方巻き化粧板において、化粧基板30の折り返し部34を側面部33のみならず裏面巻込み部32aまで巻き込む場合、折り返し部34に一部が折り返した時に重ならないように、余分な部分を断裁機切断する。通常、折り返し部34の側面部33の幅から外側を45°に斜めカットにて除去すれば良い。
[工程(G)]
工程(G)は、化粧基板30の折り返し部34を裏面巻込み部32aまで巻き込む場合において、所望により設けられる工程であり、工程(B)と工程(C)との間に、又は工程(C)と後述する工程(D)との間に、裏面巻込み部32aまで巻き込まれた折り返し部34と化粧基板30の裏面部32とを同一平面にするため、裏面巻込み部32aに対応する裏面部32の一部を削り取り、裏面段差部32bを形成するものである。
図3は、本発明の製造方法における工程(G)の一例を示す部分断面図である。この裏面段差部32bを設けることにより、化粧基板30の裏面部32全面が同一平面となり、化粧板1の施工性が高まることになる。
工程(G)は、工程(F)の前に行なっても良いし、後で行なっても良い。
【0016】
[工程(D)]
次に、工程(D)において、化粧基板30の側面部33及び/又は所望により設けられる裏面巻込み部32a、あるいは化粧基板30の折り返し部34に、好ましくは非接触で接着剤bを塗布し、第二の接着剤層を形成する。
図1(D)は、本発明における工程(D)の一例を示す部分断面図である。図1(D)は、化粧基板30の折り返し部34、化粧基板30の側面部33及び所望により設けられる裏面巻込み部32aのいずれにも非接触で接着剤bを塗布し、第二の接着剤層を形成する場合を示す。このように、化粧基板30の基材部分と折り返し部34との両者に塗布すると初期接着力が高くなり巻き込み易くなる。
図4は、本発明における工程(D)の他の一例を示す斜視図である。図4は、化粧基板30の側面部33及び所望により設けられる裏面巻込み部32aの双方に非接触で接着剤bを塗布し、第二の接着剤層を形成する場合を示す。接着剤bの塗布時に、折り返し部34が暴れる場合は図4に示す方法が好ましい。
また、化粧基板30の折り返し部34のみに、好ましくは非接触で、接着剤bを塗布しても良い。
いずれの塗布方法においても、四方巻き化粧板を製造する場合は、上記の塗布を化粧基板30の四辺に亘って行なえば良い。
【0017】
さらに具体的に工程(D)において、非接触で接着剤bを塗布する場合を説明する。例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤bを加熱し、低粘度の溶融状態になったものを、ポンプ(図示しない)で接着剤塗布装置60のコートヘッド61から化粧基板30の所定部分に接着剤bを塗出する。このとき、接着剤bの塗布開始位置及び終了位置は、センサー感知でも良いし、位置のプリセットでも良い。コートヘッド61の移動速さは、5〜60m/分であり、塗布量等は、面の状況に合わせ適宜調整する。移動速さは、部分的に変えても良い。
コートヘッド61は、例えば1軸ロボット(図示しない)に設置され、自動的に塗布作業が行われると良い。コートヘッド61は、1つでも良いし、複数を同時に連動させて用いても良い。1つのコートヘッドで塗布を行う場合は、図1(D)及び図4に示すように、化粧基板30の斜め方向から塗布することで対応できる。斜めの角度は30〜60°が考えられるが、両面を均一に行うには45°での塗布が最適である。複数のコートヘッドで塗布する場合は、0〜90°の塗布が考えられる。
また、接着剤塗布装置60を複数設置し、例えば異なる側面部及び/又は裏面部を同時に塗布すれば、効率よく生産することができる。
また、上記の内容を、コートヘッドを固定し化粧基板30をガイドロールの駆動で移動する事で塗布を行なっても良い。
【0018】
本発明において、非接触で接着剤bを塗布することが好ましい理由の一つは、直交する2面又は3面を同時に効率よく間欠コートにより塗布できることである。
非接触のコート方式としては、ビードコート、ドットコート、スパイラルスプレーコート、スプレーコート、カーテンコート等があるが、化粧基板30の裏面部32の裏面巻込み部32aに均一に接着面を得るためには、塗出後の線又はフィルムをエアーで拡散し、幅広にコートする塗布方法であるスパイラルスプレーコート及びスプレーコートが好ましい。
カーテンコートも非接触であるが、基材の流れ方向の部分の間欠コートが出来ない場合は好ましくない。
化粧基板30の折り返し部34に塗布する場合は、折り返し部34が基材10の薄肉化された部分を有していると、化粧シートとしてプラスチックフィルム、特にオレフィン系フィルムや塩ビフィルムを用いた場合でも、熱でダメージを受け、変形してしまう事が起こり難くなり好ましい。オレフィン系フィルムや塩ビフィルムは、180℃前後の加熱されたホットメルト接着剤を直接塗布すると、熱でダメージを受け易いからである。
【0019】
スパイラルスプレーコートは、中央の穴より塗出されると同時に、出口周辺に、斜めにあいた数箇所の穴より渦巻き状の気流を発生させ、接着剤bが、渦にのり、円軌道を描き、コートヘッド61を移動する事によりスパイラル状の塗布面を形成する方法である。スパイラルスプレーコートを複数使用した場合、スパイラルの径が小さくなり、接着剤のスタート、エンドがより線上に近づく事や、スタート、エンドの巻き込み部の形状を、台形にした場合、その形状に近い塗布形状をスパイラルの合成により再現することができる。
また、スプレーコートは、接着剤塗布装置60のコートヘッド61のスリットより塗出された樹脂を、前後よりホットエアーで拡散し霧化し、幅広に均一なコートにするものである。スプレーコートは、間欠塗工はできるが、塗布終了時の接着剤切れが悪いので、サックバック方式等、見切りを良くすることが好ましい。
【0020】
[工程(E)]
次に、工程(E)において、化粧基板30の折り返し部34を化粧基板30の側面部33及び/又は裏面部32(裏面巻込み部32a)に圧着しながら巻き込む。巻き込み方法としては、多数のローラーを、角度を変えて徐々に巻き込み方法が一般的に使用できる。そのほか、圧着ゴムを使用した折りたたみ方式やローラーの一部に折り曲げガイドをつけた方式でも良い。
化粧基板30の折り返し部34を側面部33の対向する2面に同時に巻き込む方式であれば、2回の巻き込みで四方巻きすることができる。また、1つの側面部33毎に巻き込みする方法により四方巻きする場合は、1辺の巻き込みが完了したら、次の辺で、同様の作業を行い、4回繰り返すことにより4辺の巻き込みが完成する。意匠性を高めるためには、化粧基板30の折り返し部34を側面部33の全ての面に巻き込む四方巻きが好ましい。
前述の工程(D)で塗布された接着剤bのタック性(オープンタイム)があるうちに工程(E)を連続して進行させることが好ましい。
図1(E)は、工程(E)を経て得られた、折り返し部34が裏面巻込み部32aまで巻き込まれた化粧板1の例を示す。
【0021】
本発明の化粧板の製造方法に用いられる基材10は、無機基材、木質系基材、プラスチック基材等のいずれでも良い。但し、不燃性能が必要な場合は、無機基材が好ましい。無機基材は、難燃性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、一般に不燃材として知られるケイ酸カルシウム板、石膏ボード、ロックウール、火山性ガラス複層板(JIS A5440「不燃火山性ガラス質複層板」に準拠)、石綿スレート、パスコボード、セメント系不燃板(軽量セメント板等)、陶磁器、硝子、金属等の板が挙げられる。これらの内、切削性の良好な火山性ガラス質複層板又は珪酸カルシウム板が好ましい。火山性ガラス質複層板としては、例えば大建工業(株)製、商品名「ダイライト」が好適に挙げられ、繊維混入珪酸カルシウム板としては、例えば三菱マテリアル(株)製、商品名「モイス」が好適に挙げられる。
【0022】
また、基材として不燃性能が必要ない場合は、木質系、プラスチック系のボードを使用することができる。木質系としては、MDF(中密度繊維板)、HDF(高密度繊維板)等の木質系繊維板、パーティクルボード、インシュレーションボード、合板、LVL(単板積層材)等が挙げられる。プラスチック系ボードとしてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、ABS樹脂(アクロルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等のボードやその発泡体のボード(発泡プラスチックボード)、木紛プラスチックボード等が挙げられる。
これらの内、木質系繊維板、パーティクルボード、発泡プラスチックボード又は木紛プラスチックボードが取り扱いし易く、切削性も良好であり好ましい。
【0023】
基材の厚みとしては、2〜20mmが好ましく、2〜10mmがさらに好ましく、3〜10mmが特に好ましい。20mm以下であれば、切削効率が高く、10mm以下であれば、切削効率が特に高く好ましい。
【0024】
本発明の化粧板の製造方法に用いられる化粧シート20としては、基材の天面に平面ラミネートが出来、前述の工程(B)の溝加工及び工程(C)の非切削部を除去した状態で端部の側面及び裏面に化粧シートを巻き込むことができるものであれば、樹脂系化粧シート、紙系化粧シート、不織布、布、突き板等の基材シート単体や2種以上を複合した化粧シートが使用できる。塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂層やその発泡体と紙を積層した壁紙等も可能である。また、化粧シートの表面にエンボス加工を施しても良い。
【0025】
樹脂系化粧シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系、エチレン−プロピレン系共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン系共重合体樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル変性ウレタン系樹脂、ポリエステル変性ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体変性ウレタン系樹脂等のポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂等を挙げることができこれらのうち1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
樹脂系化粧シートは、柔軟で、巻き込み加工の追従性が良いので好適である。また、樹脂としては、塩化ビニル系樹脂シートを使った場合、廃棄焼却時の塩酸ガスの発生や、可塑剤の問題等があるので塩化ビニル系樹脂以外の上記の各樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂を好ましく用いることができる。樹脂系化粧シートの表面にエンボス加工を施しても良い。
【0026】
上記の樹脂からなる樹脂層Aと樹脂層Bとを貼り合わせて得られるダブリングシートを用いることもできる。この場合、樹脂層A、及び樹脂層Bに用いられる樹脂は同じでも異なっていても良い。
ダブリングシートの表面にエンボス加工を施しても良く、エンボス加工が施されたダブリングシートはダブリングエンボスシートと呼ばれる。
ダブリングシートは、例えば上記樹脂からなる樹脂層Aの表面にコロナ放電処理等を施してプライマー層を設け、該樹脂層Aに絵柄層(ベタインキ層及び/又は柄インキ層)を印刷形成した後に、上記樹脂からなる樹脂層Bを押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーション等の方法により接着・圧着させて得られる。
また、樹脂層Bの上に、耐摩耗性、耐傷付性や耐汚染性等を付与する目的で表面保護層を設けても良い。樹脂層Aは、一般に着色樹脂シートが用いられるが、無着色シートであっても良い。樹脂層Bは、透明であることが好ましく、一般に透明樹脂シートが用いられるが、透明な樹脂を塗工しても良い。
【0027】
紙系化粧シートの場合、米坪20〜300g/m2の薄用紙、紙間強化紙、ラテックス等を含浸した含浸紙を利用することができる。巻き込み時のシートの強度、紙質の層間強度を考えると含浸紙が良い。樹脂系化粧シートと同様に、表面に印刷層、表面保護層を設けても良い。
不織布としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の繊維を使用する。あるいは複数の繊維を混抄したものでも良い。坪量としては、20〜100g/m2のものが使用できる。樹脂系化粧シートと同様に、表面に印刷層、表面保護層を設けても良い。また、樹脂系フィルムと積層しても良い。
【0028】
突き板とはスライスした木の薄いシートで、通常の突き板の厚みは好ましくは0.05〜1.0mm、より好ましくは0.1〜0.3mm程度である。
突き板単独では、巻き込みができないので、透明プラスチックフィルムを、接着剤を介して積層したものが好ましい。
透明フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等のフィルムが使用できる。フィルムの厚みは、好ましくは0.02〜1mm、より好ましくは0.05〜0.3mm程度のものが使用でき、フィルムを着色したり、フィルムに透明印刷を行ったものが使用できる。
【0029】
本発明に用いられる化粧シート20の表面層として、耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与する目的で表面保護層を設けることが好ましい。
表面保護層としては、例えば熱硬化性樹脂により形成される表面保護層や、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を挙げることができる。
なかでも電離放射線硬化性樹脂組成物、特に電子線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層が特に好ましい。
また、化粧シート20は所望によりベタインキ層及び/又は柄インキ層で構成される絵柄層を設けても良い。
【0030】
本発明において第一の接着剤層を形成するための接着剤aとしては、ウレタン系、酢ビ系、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂)系、アクリル系、合成ゴム系、ポリアミド系、エポキシ系等各種樹脂を、化粧シート20と基材10の種類に合わせ適宜使用できる。また、水系樹脂接着剤、溶剤系樹脂接着剤、反応性ホットメルト接着剤等の無溶剤接着剤を適宜選択できる。
特に、反応性ホットメルト接着剤は、乾燥が不要であり、120℃前後のロールコーターの加熱温度でコートができ、基材10への接着力が短時間で発現し、養生しないでそのまま次工程の加工が可能なことから望ましい。
【0031】
本発明において第二の接着剤層を形成するための接着剤bとしては、熱融着型接着剤のなかでも、溶剤乾燥が不要であり、環境対応、生産性の観点からホットメルト接着剤又は反応性ホットメルト接着剤が好適に挙げられる。このホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とした有機溶剤を全く含まない100%固形分の接着剤であって、常温では固形又は半固形であるが、基材10に加熱溶融塗布し、ホットタック性がある段階で化粧シート20を積層し、冷却固化し、接着が完了する。
【0032】
ホットメルト接着剤としては、スチレン−共役ジエン−スチレンブロック共重合体等のゴム弾性を示す熱可塑性エラストマーをベースとしたゴム系ホットメルト接着剤、ポリオレフィン系樹脂をベースとしたホットメルト接着剤、エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体をベースとしたEVA系樹脂ホットメルト接着剤、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが主構成モノマーであるポリマーを主成分として、粘着型接着が可能なアクリル系ホットメルト接着剤、更には上記以外の反応性ホットメルト接着剤等が汎用されており、これら主成分に対して、必要に応じて、例えば、粘着性付与樹脂、プロセスオイル(可塑化オイル)、軟化剤(可塑剤)、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤等の添加剤が添加されている。
【0033】
ゴム系ホットメルト接着剤の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、A−B−A型ブロック共重合体やA−B型ブロック共重合体等のゴム状のブロック共重合体が挙げられる。ここで、Aはビニル芳香族化合物重合体ブロックを示し、Bは共役ジエン重合体ブロックを示す。
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとのエチレンを主体とする共重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0034】
反応性ホットメルト接着剤は、反応基を分子内に持ったタイプであり、ホットメルトの特性に反応性接着剤の特性をプラスしたホットメルト接着剤である。硬化前は、通常のホットメルト接着剤のように加熱により溶解するが、塗布後、空気中や基材中の水分(湿気)と架橋反応するので、密着性、耐熱性の高い接着が可能となる。一般的な反応性ホットメルト接着剤は、結晶性の高いポリエステル樹脂を骨格とするイソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを主成分とし、通常のホットメルト接着剤中の一種の主成分であるスチレン系共重合体ゴムに加えて必要に応じ粘着付与樹脂が配合されている。
【0035】
反応性ホットメルト接着剤に用いられるウレタンプレポリマーとしては、各種のポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタン系プレポリマーを用いる。ポリオールとしてはポリエステル、ポリエーテル、ブタジエン等のゴムに水酸基を付与した材料等水酸基を1つ以上もつ材料の1種又は2種以上を用いる。これらのポリオールの中で、ポリエステルポリオールを主成分として利用することが初期接着力の向上、広範な被着体に対する適応性の点より特に好ましい。この例としてエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール等公知の2価のアルコールと2価のカルボン酸、例えばアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸等と反応させてポリエステルポリオールを例示することが出来る。これらのアルコールと酸の組合せにより得られるウレタンプレポリマーの結晶性は左右されるが、結晶性はそれ程重要な要因とはならない。ポリエーテルポリオールとしては通常のエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等から合成されたものを用いる。ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート及びこれらの変性物等がありこれらの1種又は2種以上を用いる。
上記ウレタンプレポリマーの[NCO]/[OH]当量比は1.5〜4.0とするのが好ましい。1.5以上であれば、得られるプレポリマーの粘度が大きくなり過ぎることはなく、4.0以下であれば、湿気硬化の際、発泡が著しく生じ接着強度を低下させる恐れがなく好ましい。この様にして得られたウレタンプレポリマーの性状は必ずしも常温で固体である必要はなく、混合するスチレン系共重合ゴム及び又は粘着付与樹脂によってホットメルト接着直後の接着力が適性に得られるならば、その性状は特に制約されない。
【0036】
ホットメルト接着剤(反応性ホットメルト接着剤を除く)の加熱温度は接着剤の種類にもよるが通常160℃〜200℃である。反応性ホットメルト接着剤の加熱温度は100〜130℃である。
ホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤の加熱時の溶融粘度は、好ましくは2000〜15000MPa・s、より好ましくは4000〜8000MPa・sの範囲である。粘度が高いと、スパイラルスプレーコートのパターンが再現できず、また、粘度が低いと初期の接着力がでない。
接着剤bとして用いられる場合における上記のホットメルト接着剤、反応性ホットメルト接着剤の塗布量は好ましくは40〜300g/m2、より好ましくは60〜200g/m2である。塗布量が少ないとや折り返し部34のラミネート接着力が得られず、多すぎると、巻き込んだ部分の表面が凹凸になり意匠的に望ましくない。
【0037】
また、前述の第一の接着剤層を形成するための接着剤aであるが、基材が不燃性の基材で、不燃性を更に向上するために、平均粒径2〜40μmの水酸化アルミニウムを含有する反応性ホットメルト接着剤組成物が好適に用いられる。反応性ホットメルト接着剤組成物は、反応性ホットメルト接着剤(樹脂成分)、平均粒径2〜40μmの水酸化アルミニウム、及び必要に応じて添加される各種副材料からなり、該反応性ホットメルト接着剤組成物中の水酸化アルミニウムの含有量が5〜40質量%である組成物である。
上記の水酸化アルミニウム含有反応性ホットメルト接着剤組成物に用いられる樹脂成分としては、前述のものと同様である。
【0038】
反応性ホットメルト接着剤は、前述したように溶剤乾燥が不要であり、環境対応、生産性の観点から、好ましいものであるが、加工温度の依存性を低減し、塗布面を滑らかにする等の接着適性を改善するために、柔軟な材料(樹脂成分)を使用することが必要となる。このような場合、化粧板の一の層(接着剤層)が柔らかくなるため、化粧板の耐凹み性、耐引き掻き性等の表面特性が低下するといった問題を生じてしまう。このような理由から、これまで反応性ホットメルト接着剤は、表面特性を要する化粧板には適用されていなかった。しかし、本発明の製造方法においては、反応性ホットメルト接着剤に所定の水酸化アルミニウムを適用することで、化粧板に不燃性を付与するのみならず、優れた表面特性を付与することができる。
【0039】
上記の水酸化アルミニウム含有反応性ホットメルト接着剤組成物中の水酸化アルミニウムは、燃焼の際、水を生じるので自己消化性が高くなることから、本発明の不燃性化粧板に良好な不燃性を付与することができる。水酸化アルミニウムの平均粒径は、2〜40μmであることを要し、不燃性の付与の観点から、2〜20μmであれば、より好ましい。水酸化アルミニウムの平均粒径が上記範囲内にあれば、不燃性を十分に付与し、ホットメルト接着剤組成物中の沈降性、及び分散性を好適に確保し、かつ反応性ホットメルト接着剤組成物の良好な塗布性を確保できるので好ましい。
水酸化アルミニウムの平均粒子径は、レーザ散乱法における粒度分布測定法によって求められる体積基準の値であって、より具体的には、レーザ散乱式粒度分布計にて測定した値として求められる値である。
【0040】
上記の水酸化アルミニウム含有反応性ホットメルト接着剤組成物中の水酸化アルミニウムの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。水酸化アルミニウムの含有量が上記範囲内にあれば、十分な不燃性を得ることができ、ホットメルト接着剤組成物の塗布性も良好となる。
【0041】
上記の水酸化アルミニウムとして、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、「ハイジライトH−32」(平均粒子径:8μm,昭和電工(株)社製)、「ハイジライトH−31」(平均粒子径:20μm、昭和電工(株)社製)、「ハイジライトH−21」(平均粒子径:26μm、昭和電工(株)社製)、「B703」(平均粒子径:2μm,日本軽金属(株)社製)、「B103」(平均粒子径:8μm、日本軽金属(株)社製)、「B153」(平均粒子径:15μm,日本軽金属(株)社製)、「B303」(平均粒子径:30μm、日本軽金属(株)社製)、「C301」(平均粒子径:2μm,住友化学(株)社製)、「C303」(平均粒子径:3μm、住友化学(株)社製)、「C308」(平均粒子径:8μm、住友化学(株)社製)等が挙げられる。
【0042】
接着剤aとして用いられる場合における上記の水酸化アルミニウム含有反応性ホットメルト接着剤組成物の塗布量は、25〜80g/m2(固形分基準)が好ましく、30〜60g/m2(固形分基準)がより好ましい。この範囲内であれば、接着性能を良好に保つことができ、化粧板の表面部及び/又は側面部の表面特性及び表面平滑性が向上する。
上記の水酸化アルミニウム含有ホットメルト接着剤組成物を用いて形成された第一接着剤層の厚みは、通常20〜65μm程度であり、25〜50μmがより好ましい。
【0043】
本発明方法により得られる化粧板1は、基材10の表面部及び側面部33を1枚の化粧シートで覆っているため、意匠性が高く、また、耐水性の弱い木質繊維基材等を使用した場合でも、表面だけでなく、側面部及び裏面部の一部が防水性のあるシートで覆われているため、基材10の膨れ等が発生しない。すなわち、本発明方法により得られる化粧板1は、防水性、防湿性に優れ、意匠性の高い、厚みの薄い化粧板である。
【実施例】
【0044】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
厚み6mmの火山性ガラス質複層板上に23gの一般紙及び厚み12μmのアルミ箔と23gの一般紙をウレタン系接着剤でラミネートした3層の積層シートをエチレン酢酸ビニル系接着剤(固形分50g/m2)でラミネートした基材(厚み6.05mm)を準備した。基材サイズは900×1800mmであった。
次に、得られた難燃性基材に水溶性アクリル系樹脂をロールコートで塗布し、乾燥した(固形分量3g/m2)。その後、湿気硬化型ウレタン系反応性ホットメルト接着剤a{水酸化アルミニウム平均粒径:8μm,含有量:17質量%,日立化成ポリマー(株)製}を120℃に加温されたロールコーターで基材側に50g/m2塗布後、この基材の塗布面に厚み120μmの化粧シート(オレフィンシート)をラミネート圧着し、化粧基板を得た。
【0045】
得られた化粧基板を用いて、サイズ40cm×85cmの四方巻き化粧板用として、パネルソーでの切断により、サイズ45cm×90cmの化粧基板を作製した。
次いで、切削装置を用いて化粧基板の外周部から25mmの位置に、巾15mmの溝切り加工を化粧基板の4辺に行なった。このとき、溝部分は、火山性ガラス質層を削り、下面の23gの一般紙の層が空けて見える程度に、均一に切削加工をして、折り返し部を形成した。この折り返し部は化粧シートであるオレフィンシート、第一の接着剤層である反応性ホットメルト接着剤層及び基材の薄肉化(約0.2mm程度)された部分からなる。また、化粧基板の外側の非切削部は幅10mmであった。
このときの切削装置は、ロール状の送り装置に、15mmのトリマー(回転型の切削機)を精度よく設置した装置であり、基材の反りによる切削面の高さ変動をなくすため、トリマーの前後で、基材を圧着するゴムロールを配置した。このロールは、非切削部分も同時に圧着することができ、切削部分の両サイドをしっかり固定することができ、切削時、安定して、火山性ガラス質層を均一に切削することができた。
【0046】
次に、溝加工した化粧基板の非切削部をカッターで切り除去した。さらに、化粧基板の折り返し部の4つのコーナー部を、折り返した時に重ならないように、15mmの正方形を除去後、折り返し部の基材厚みの6mmから上(すなわち、裏面巻込み部に対応する部分)を45°に斜めカットにて除去した。さらに、裏面巻込み部まで巻き込まれた折り返し部と化粧基板の裏面部とを同一平面にするため、裏面巻込み部に対応する裏面部の一部を削り取り、裏面段差部を形成した。
次いで、化粧基板を、ホットメルトの接着剤塗布装置(スパイラルコートガン)及びラッピングロールのついた装置により以下の手順(1)〜(3)で化粧基板の四方端部の巻込みを行って、本発明に係る化粧板を得た。
(1)テーブル、及び基材固定装置、並びにテーブルの横にセットされた1軸ロボット及びその1軸ロボット上に設置された移動ステージに、コートヘッドとしてスパイラルコートガンを設置し、その横にラッピングが可能なロールを8ロール設置した装置を作成した。
このときのスパイラルコートガンのアライメントは、基材設置位置に対して、45°の照射で、直線距離40mmで設置し、図1(D)に示すように、切削した薄皮状態の折り返し部及び化粧基板の巻き込まれる部分を同時に塗布できる様にセットした。
(2)上記の位置に化粧基板をセットし、固定後、化粧基板の端からスパイラルコートガンでホットメルト接着剤bをコートし、化粧基板の端で、ホットメルト塗布をやめ、連続して、ラッピングロールを通し、一辺の巻き込みを行った。
ホットメルト接着剤b:オレフィンゴム系ホットメルト(日立化成ポリマー(株)製、商品名「ハイボン9646」)、軟化点130℃、塗布粘度:6000MPa・s(180℃)
接着剤メルター:ノードソン(株)製、HM−3102V
コートガン:CF201 HAMガン
ノズル:UNI .018
接着剤の加熱温度:180℃、 ホットエアー:190℃
接着剤塗出圧力:0.15MPa、 ホットエアー圧力:0.2MPa
接着剤塗布量:150g/m2
ラミネート速度:10m/分
(3)一辺の巻き込みを行った後、固定をはずし、次の辺で同様の加工を行った。同じ加工を繰返し、全側面部(4辺)の巻き込みを完了し四方巻きの化粧板が得られた。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にしてサイズ45cm×90cmの化粧基板を作製した。
次に、化粧基板の外周部から15mmの位置に、巾15mmの溝切り加工を化粧基板の4辺に実施例1と同じ切削装置で行なった。このとき、切削部分は、火山性ガラス質層を削り、下面の23gの一般紙の層が空けて見える程度に、均一に切削することを試みた。
しかし、下記の(i)及び(ii)のトラブルが発生したので、火山性ガラス質層を削り、下面の23gの一般紙の層が空けて見える程度まで切削することは出来なかった。
(i)切削時の力により、切削部分の底が暴れ、不均一な切削厚みとなった。
(ii)また、切削部分のシートが部分的によれて、シート部分に孔を開けてしまった。
結局、実施例1と同様な折り返し部を形成することができず、四方巻きの化粧板を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の製造方法によれば、タックシートを使用せずに、工場生産性を大幅に向上させることができるので、高い意匠性が付与された四方巻き等の各種化粧板の製造コストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 化粧板
10 基材
20 化粧シート
30 化粧基板
31 非切削部
32 裏面部
32a 裏面巻込み部
32b 裏面段差部
33 側面部
34 折り返し部
40 切削装置
50 切断装置
60 接着剤塗布装置
61 コートヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基材の表面部及び側面部を1枚の化粧シートで覆ってなる化粧板の製造方法であって、該基材の表面部に第一の接着剤層を介して該化粧シートをラミネートして化粧基板を形成する工程と、該化粧基板の外周部の一部を残して非切削部を設けると共に、少なくとも該化粧基板の側面部の幅で該化粧基板の裏面部から該非切削部の内側を溝加工し、該化粧シート並びに該第一の接着剤層及び/又は基材の薄肉化された部分からなる折り返し部を形成する工程と、該非切削部を除去する工程と、該折り返し部を該化粧基板の側面部に折り返し、第二の接着剤層を介して該折り返し部と該化粧基板の側面部とを接着する工程とを含むことを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項2】
前記基材が、火山性ガラス質複層板又は珪酸カルシウム板である請求項1に記載の化粧板の製造方法。
【請求項3】
前記基材が、木質系繊維板、パーティクルボード、発泡プラスチックボード及び木紛プラスチックボードから選ばれる基材である請求項1に記載の化粧板の製造方法。
【請求項4】
前記基材の厚みが3〜10mmである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
【請求項5】
前記第二の接着剤層を構成する接着剤が、ホットメルト接着剤又は反応性ホットメルト接着剤である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
【請求項6】
前記第二の接着剤層が、前記化粧基板の側面部及び/又は裏面巻込み部、あるいは前記折り返し部に、接着剤を非接触で塗布して形成される請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−74623(P2011−74623A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225444(P2009−225444)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】