区画内に流体を含有するためのタンク
タンクは、チャンバ(7)内に、燃料、オイル又はガス等の流体を含む。チャンバの壁は、開口を有する剛体構造により部分的に区画され、その周囲の周りで、剛体構造に取り付けられていて剛体構造内の前記開口を覆う、エラストマー膜(8)により部分的に区画される。取り付けフレーム(9)は、膜及び剛体構造と係合しており、膜の周囲の周りで伸張する。取り付けフレームは、膜と係合する、第1の部分と、膜の外側エッジの外側に配置されていて且つ剛体構造に取り付けられる、第2の部分とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画内に、燃料、油又はガス等の流体を含有するためのタンクに関する。前記タンクは典型的には、航空機等の乗り物に搭載されるが、それだけには限らない。
【背景技術】
【0002】
最も近代的な航空機は現在、機体構造に組み込まれた燃料タンクを使用しており、境界として、翼又は胴体表面、スパー(円部材)及びリブを使用する。これらの境界は、アルミニウム合金や強化プラスティック複合材料等の剛性構造材料により現在製作されている。
【0003】
US5983945は、衝突事故において飛散する、燃料の量を制限する翼タンクライナーを開示する。ネオプレンゴムライナーは、燃料タンク内で、構造から又はタンク自体から支持される。
【0004】
燃料タンクを、航空機トリム(前後方向傾き)のための多数の区画に分割して、操作中に燃料の運動(ピッチ、ロール、ヨーにより発生させられる)を低減し、エンジン燃料供給のための貯蔵セル(小区画)を製造することが必要な場合が良くある。これらの境界は従来、アルミ合金又は強化プラスティック複合材料等の剛性構造材料により現在製作されている。これらの従来の材料は、高引張り強度で且つ高剛性等の多数の利点を有するが、これらの剛性は、特に制限された空間内において、保守又は内部へのアクセス(接近)のために、それらを取り外すことを困難にしている。それらはまた、比較的密度が高く、従って重い。例えば、アルミ合金は典型的には、2.85−3.05Mgm-3の範囲の密度を有し、強化プラスティック複合材料は典型的には、1.65−1.75Mgm-3の範囲の密度を有する。
【0005】
より軽い重量を有していて且つ検査及び保守のためにアクセスがより容易であって且つ圧力パルスに耐える能力を有する、タンクを提供することが望まれると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の形態は、区画内に流体を含むためのタンクを提供しており、区画の境界は、開口を有する剛体構造により、部分的に区画されており、周辺において剛体構造に取り付けられて開口をカバーする、エラストマーの膜により部分的に形成される。
【0007】
剛体構造は、柔軟な要素を有しても良いが、しかし一般的には、エラストマー膜に比べて剛性のより高いものである。従って、本発明は、剛な主要構造の機械的利点を、エラストマー膜の、言い換えれば、低密度(典型的には、1.6Mgm-3より低く、好適には、1.5Mgm-3より低い)で柔軟性の利点に組み合わせる。膜の柔軟性により、剛体構造内の孔を介して区画へのアクセスのために、より容易に取り外すことが出来、その後曲げられるか又は巻き込まれて、制限された空間内に貯蔵することを可能にする。膜の柔軟性はまた、圧力パルスにより生じる荷重を主要構造内に、よりゆっくりと伝えることを可能にする。
【0008】
1つの実施の形態において、剛体構造は、十分な柔軟性を有して、所謂「モーフィング(変形する)」機能を可能にしており、前記モーフィング機能において、1つ以上のアクチュエータは、膜が取り付けられる、剛体構造の少なくとも一部の形状を変化させるように形成される。
【0009】
典型的には、膜を形成する材料は、織物又は不規則な方向性の短い繊維又は任意の別のタイプの補強等の補強要素を具備する。その様な補強は、膜が油圧又は空圧負荷及び構造的負荷の両者を容易に支持することを可能にする。補強の方向及び/又は分布は、1つ以上の方向において、他の方向に対して、剛性を増大させるように形成することが出来る。
【0010】
膜は、一方の側だけに流体を有しても良く、あるいは2つのタンク区画の間に、分割壁の少なくとも一部を形成しても良い、言い換えれば、両側に流体を有しても良い。
【0011】
膜は、均一に厚くても良く、あるいは、剛体構造に取り付けられる、その周辺の周りに比較的厚い領域を具備しても良く、膜は、比較的薄い中央領域を具備しても良い。
【0012】
取り付け構造は、膜と剛体構造に係合し、膜の周辺の周りで伸張することが好ましい。
この構造は、剛体構造に接着又は溶着させられても良く、あるいは、膜の周辺に配置された、複数の固定具により剛体構造に取り付けられて、各固定具は、少なくとも取り付け構造と剛体構造の厚みを貫通することがより好ましい。
【0013】
固定具は、膜を通過しても良い。この場合において、固定具に隣接した部分の破裂を回避するために、補強材料は、固定具孔の周りに設置可能である。しかしより好適には、取り付けフレーム(構造)は、膜と係合する第1の部分と、膜の外側角部の外側に位置していて且つ剛体構造に取り付けられる、第2の部分とを有する。これは、よりコンパクト(小型)な解決案を提供する。取り付け構造の第2の部分は、取り付け構造の厚みを貫通する、複数の孔を具備しており、各孔は、取り付け構造を剛体構造に取り付ける、それぞれの固定具を収容することが好ましい。
【0014】
取り付け構造の第1の部分は、多数の方法で膜と係合しても良く、例えば、それ(第1の部分)は、膜内に封入されても良く、それ(第1の部分)は、膜の1つ又は2つの外面と係合しても良く、及び/又は膜に接着されても良い。
【0015】
膜の少なくとも1つの外面は、取り付け構造と係合する、窪み及び/又は1つ以上の突起を具備しても良い。これらの突起又は窪みは、膜の全周の周りに細長い尾根部又は溝として伸びるように設けられるか、又は長さがより制限されても良い。
【0016】
下記に述べる1つの実施の形態において、膜は、実質的に平らであり、膜として同じ平面に実質的に横たわる、支持構造の要素に取り付けられる。しかし、別の配置が可能であり、例えば、膜は、平らではなくても良く、及び/又はタンクの完全な壁を形成しても良い。
【0017】
下記に述べる本発明の実施の形態において、タンクは、燃料タンクである。しかし、本発明はまた、別のタイプのタンクにおいて使用されても良く、例えば、油圧流体、オイル(例えば、航空機のビルジ(湾曲部)区画において)又は加圧ガス(例えば、航空機の胴体圧力カバー)を貯蔵するためのタンクにおいて使用されても良い。膜材料は、用途によって注意深く選択されなければならない、例えば、耐油圧オイル性膜は、ガラス補強を有するエチレンプロピレンディエンモノマー(EPDM)ゴム及びアルミニウム取り付け構造により形成可能である。
【0018】
下記の本発明の実施の形態において、タンクは航空機のタンクである。しかし、本発明はまた、燃料タンクローリー又は船舶等の別のタイプの輸送手段(又は、乗り物)において使用されても良い。更にタンクは、排水処理システムにおけるサンプ(汚水槽)又は遮蔽物等の非輸送手段の用途において使用されても良い。
【0019】
本発明の実施の形態は、添付の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、燃料タンクの等角投影図である。
【図2】図2は、膜の断面図である。
【図3】図3は、図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図4】図4は、別のクランプ配置の断面図である。
【図5】図5は、別のクランプ配置の断面図である。
【図6】図6は、別のクランプ配置の断面図である。
【図7】図7は、別のクランプ配置の断面図である。
【図8】図8は、薄膜の中央領域を有する膜の断面図である。
【図9】図9は、別のクランプ配置の断面図である。
【図10】図10は、別のクランプ配置の断面図である。
【図11】図11は、モーフィング(変形する)翼箱の第1の模式的断面図である。
【図12】図12は、図11の翼箱の第2の模式的断面図である。
【図13】図13は、取り外される上部及び下部皮膚面を有する翼箱の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、上部表面1と、下部表面2と、主要端部スパー(円部材)3と、垂下端部スパー4と、機内リブ5と、機外リブ6とを具備する、航空機翼箱の構造の一部を示す。要素1-6は、燃料タンクチャンバ(室)7の上部、下部、前部、後部及び側部境界を区画する。機内リブ5は、エラストマー膜8により覆われる、開口を有する。膜8は、1式の固定具孔10を有するアルミニウム製取り付けフレーム9により、機内リブ5に取り付けられ、その周囲の周りをシール(密封)する。
【0022】
図2に示すように、膜8を形成する材料は、エラストマーマトリックス12が染み込まされた補強編物状要素11(この場合は、編物の4つの分離した層)を具備する。エラストマーマトリックス12は、例えば、フッ化シリコンゴムを具備しても良い。これは、腐食性がなく従って塗装又は前処理の必要がない、不活性材料である。堅い材料の内部インターリーフ(間紙)13は、膜内で境界が区切られ、その周囲の周りで伸張する。
【0023】
膜材料は典型的に、1.35 Mgm-3と1.55Mgm-3との間の比較的低い密度を有する。また膜の材料容積は、外部強化リブが追加される必要はないように、従来の材料に比べてより低いもの(低容量)で有り得る。これらの2つの要素は、組み合わされて、実質的な量で、燃料タンクの重量を軽減する。
【0024】
例えば、エラストマーは、1.455Mgm-3の密度のABR4-0090Aに対してフッ化シリコンゴムを具備しており、編物は、約1.465Mgm-3の密度のABR9-0142に対してメタアラミドを具備しても良い。もしアラミド編物が加硫処理することが難しい場合は、ポリエステル又はガラス等の別の編物材料が使用されても良い。
【0025】
もしチャンバ7へのアクセス(接近)が必要である場合は、膜は、取り外され、巻き上げられ、マンホール(図示されない)を介して閉じ込められた翼区画の外へ取り出し可能である。金属製又は合成物製ドアは、マンホールを介して通過するには、通常嵩張り過ぎるので、翼内に残されなければならない。
【0026】
US5983945に述べられるような従来の翼タンクライナとは違って、膜は、機体に固定されており、荷重をその機体に直接的に作用させる。膜は、膜の一端から他端へ荷重を、剛性境界において伝達されるように、伝達可能である。膜は、翼から取り外し可能であるように十分フレキシブル(可撓性)であると同様に、航空機の高いGが生じる操縦により生成される、油圧パルスに耐えるために十分強固でなければならない。400mmの膜による400mmによるテストは、膜が、35mmの膜の中央において変位及び漏洩のない圧縮空気の365.42kPa(53psi)のパルスを十分に含むことが可能であることを示している。
【0027】
図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。複数の固定具ボルトは、膜の周囲の周りに分配されており、各固定具は、図3に示すように、取り付けフレーム9及びリブ5の厚みを貫通している。
【0028】
各ボルトは、ねじ切られた遠位端部14を有するシャフトを有しており、ねじ切られた遠位端部14は、リブ5と、膜8と取り付けフレーム9における孔を貫通する。ボルトの頭部15は、リブ5の面と係合し、ナット16は、シャフトにねじ込まれて、ワッシャー17を支持し、ワッシャー17は順にフレーム9の面を支持する。
【0029】
圧縮式耐腐食性フェルーレ(口金)18は、固定具の荷重を支持する。もし固定具が膜8に直接的に締め込まれる場合には、材料は、冷間クリープの問題が発生し、これは、固定具システムの明白なトルクの緩みとして顕在化する。
【0030】
インターリーフ(間紙)13は、ゴムと編物膜を補強し、ゴムと編物膜において、前記ゴムと編物膜は、固定具孔により弱くなる。インターリーフ13はまた、補強のため二重であるので、インターリーフは、中央固定具ピッチ地点において、引っ張り荷重に変換される、膜における圧力により引き起こされる固定具間の(x方向における)船首方向の湾曲(bowing)力に耐えるような強度を提供しても良い。
【0031】
取り付けフレーム9は、図示されるように、溝状断面を有して、固定具間に強い沈静力(calming force)を提供して、中央固定具ピッチ点において、作用する荷重(y方向において)に対する反作用に対抗しており、これは、許容可能なシーリング(密封)を実現するために、反作用荷重yを超えなければならない。
【0032】
図3に示されるアセンブリ方法は、多数の欠点を有しており、それらの欠点の最も顕著なものは、膜が固定具孔により損傷され、強度が減少することである。第2には、アセンブリは複雑であり、嵩張り、重いので、従って、価格が高くなる。これらの問題に対する幾つかの解決案として、下記するように、図4−7に示されるものがある。
【0033】
図4において、フレキシブルな膜8は、インターリーフ13なしで製作される。その場所において、膜の周囲は、完全に封入された接合ワイア20を含む。溝21は、膜の外面22において成形される。ワイア20が膜の全周の周りで伸長し、溝21に比べてその外側エッジ(角部)25に、より近く配置されることが分かる。
【0034】
アルミニウム製取り付けフレームは、膜の全周の周りで伸長する。取り付けフレームは、溝21内に収容される、戻り部24と、膜の外側エッジ25の外側に配置されてボルトによりリブ5に取り付けられる、周囲部分23とを有する。
【0035】
引っ張り荷重xは、取り付けフレームの戻り部24により所定の場所へ固定されたアンカーとして、膜から取り付けフレームへ結合ワイア20を使用して伝達される。周囲部分23の周辺位置は、固定具荷重がリブ5に直接的に伝達されることを可能にして、フェルーレ(口金)18の必要性を取り除く。ワイア20の修正された断面はやはり、固定具間の強い沈静力を提供する必要があり、中央固定具ピッチ点において、作用する荷重(y方向において)に対する反作用に対抗しており、これは、受容可能なシーリングを実現するために、反作用荷重yを超えなければならない。
【0036】
図4に示す固定装置により、膜が破裂板として作用することを可能にすることが分かる。即ち、長さ方向に大きい燃料圧力パルスは、固定装置に不具合を生じて膜を分離させて、荷重を上部及び下部表面から逸らせて、上部及び下部表面を破裂させる傾向を低減する。
【0037】
図5において、膜8は、接着されたインターリーフ又はワイアを有さず、アセンブリは、最も単純な形状に減少させられる。取り付けフレーム30は、膜8の外面22に直接接着されたアーム31を有しており、従って、フレームは、xとyの両方向において全ての支持部を提供可能である。これは、接着がフレーム30に対する膜8の移動を制限して、その結果、より強いアセンブリを生成することによる。図5は、最も軽い重量で最もコンパクトな解決案であり、たぶん最も低コストの選択可能案である。
【0038】
図6は、取り付けフレーム40が膜8に接合され、膜8内に封入された、接合式膜クランプのための別の選択可能案を提示する。この案は、図5の解決案に比べてより高い接合強度を実現し、より高い荷重が予想される場合に適当である。
【0039】
図7は、取り付けフレーム50が膜8の両外面と係合する、接合式膜クランプのための更に別の選択可能案を提示する。これは、図5の解決案に比べてより高い接合強度を提供し、更に機械的損傷に対してより大きな耐性を有するように、接合区域を囲むエラストマーシール51,52は、フレーム50とリブ間に流体密封シールを提供する。
【0040】
図8は、別の膜60の断面図である。膜60を形成する材料は、エラストマーマトリックスが染み込まされた編物の種々の層を具備する。エラストマーマトリックスは、例えば、フッ化シリコンゴムを具備しても良い。
【0041】
膜60は、膜がその周囲の周りでリブに取り付けられる、比較的厚い領域61と;重量及び材料体積を減少させる、比較的薄い中央領域62とを具備する。中央領域62は、編物の1つ又は2つの層のみを有し、厚みは約0.8-1.5mmであり、外側領域61は、4つの層を有する。強い材料の2つの内部インターリーフ62,63は、膜内において接合され、外側領域の周りで伸張する。中央編物層は、これらの2つのインターリーフの間を通過する。外側領域61の2つの外面は、取り付けフレーム(図示されない)と係合して燃料漏洩を完全にシールする、成形された突起65−68を具備する。
【0042】
図9は、別の膜70と固定アセンブリの断面図である。膜70は、膜60と同様であるが、しかしこの場合において、その上面に唯1つの突起71を有する。図9は、膜70の外側領域のみを示している。膜の中央は、膜60と同様な状態で薄肉であっても良い。
【0043】
取り付けフレーム72は、リブ5に膜70を締結固定する。固定具シャフト73は、フレーム72と、膜70と、リブ5とを貫通する。フレーム72は、突起71を収容する、溝75を区画する曲がり部分74を有する。
【0044】
図10は、更に別の膜80と固定アセンブリの断面図である。膜80は、膜70と同様であり、その上面に1つの突起81を有する。 取り付けフレームは、リブ5に膜80を締結固定する。取り付けフレームは、リブ5に固定される、外側部82と、突起81を収容する、溝84を区画する曲がり部分83を有する、内側部とを有する。
【0045】
図3及び9の設計と比較して、図4−7及び10の設計の最も顕著な利点は、膜が固定孔の導入により危険に晒されないことである。結果として、これらの設計は本質的に、より強靭である。更に、これらの孔の周囲に余分な補強を追加して、ゴム及び編物の破断に耐える必要がないので、より一層重量は軽減される。更に、膜は、固定具を超えて周囲において伸張する必要がなく、その結果、膜は、y方向において、より小さくすることが出来、従って、より軽量である。しかも、固定具のシャフトは、膜を貫通しないので、シャフトをより短くすることが出来、更に重量を軽減できる。結局、アセンブリは、y方向において、より少ない空間を占有する。
【0046】
上記の実施の形態において、膜は、膜として実質的に同じ平面内に設置される、平らなリブ5に取り付けられる。しかし、別の装置が可能であり、例えば、膜はリブ5を完全に置換して、フランジによりスパー3,4及び表面2,3に、その周囲で、取り付けられても良い。
【0047】
その様な別の装置の例が、図11と12に示される。翼箱92は、上部表面1と、下部表面2と、主要端部スパー(円部材)3と、垂下端部スパー4とを具備する。従来の翼箱のリブは、図1に示された膜8と同様に、エラストマー膜90により置換される。各膜90は、図4−10に示される装置の1つと同様な取り付け装置を使用して、膜の周囲において、カバー(表面)1,2及びスパー3,4に接続する。要素1−4及び90は、5つの燃料タンクチャンバの境界を区画する。
【0048】
油圧ラム91は、上部表面及び下部表面1,2間で作用して、拡大及び収縮可能であり、所謂、「モーフィング」翼構造を提供する。唯1基のラムが各チャンバに示されるが、しかし実際には、多数のその様なラムが具備されても良いことが分かる。エラストマー膜90は、上部及び下部の表面の曲がりを収容するように曲がることが出来、且つ長さ方向の燃料圧力パルスを含むように十分に強度がある。
【0049】
膜90における編物状補強は、1つ以上の方向において、強度を増大するのに適合可能である。例えば、膜は、表面1,2間でZ方向においてフレキシブルに形成可能であるが、別の2つの垂直なXとY方向において、より硬い。
【0050】
更に別の装置が、図13に示される。翼箱93は、上部及び下部の表面(図示されない)と、主要端部スパー3と、垂下端部スパー4と、一連の6つの剛体リブ96とを具備する。膜8,90と同様なエラストマー膜97は、長さ方向に伸びている。各膜97は、図4−10に示される装置の1つと同様な取り付け装置を使用して、その周囲において、表面(図示されない)及び隣接する対のリブ96に接続する。要素94−97及び上部と下部表面(図示されない)は、10の燃料タンクチャンバの境界を区画する。膜97は、航空機の破壊から生じる、翼弦方向の燃料圧力パルスから前部スパー94を保護する。
【0051】
本発明は、1つ以上の好適な実施の形態を参照して上記で説明されるが、種々の変更形態及び修正形態が、添付の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱しないで実施されても良いことが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画内に、燃料、油又はガス等の流体を含有するためのタンクに関する。前記タンクは典型的には、航空機等の乗り物に搭載されるが、それだけには限らない。
【背景技術】
【0002】
最も近代的な航空機は現在、機体構造に組み込まれた燃料タンクを使用しており、境界として、翼又は胴体表面、スパー(円部材)及びリブを使用する。これらの境界は、アルミニウム合金や強化プラスティック複合材料等の剛性構造材料により現在製作されている。
【0003】
US5983945は、衝突事故において飛散する、燃料の量を制限する翼タンクライナーを開示する。ネオプレンゴムライナーは、燃料タンク内で、構造から又はタンク自体から支持される。
【0004】
燃料タンクを、航空機トリム(前後方向傾き)のための多数の区画に分割して、操作中に燃料の運動(ピッチ、ロール、ヨーにより発生させられる)を低減し、エンジン燃料供給のための貯蔵セル(小区画)を製造することが必要な場合が良くある。これらの境界は従来、アルミ合金又は強化プラスティック複合材料等の剛性構造材料により現在製作されている。これらの従来の材料は、高引張り強度で且つ高剛性等の多数の利点を有するが、これらの剛性は、特に制限された空間内において、保守又は内部へのアクセス(接近)のために、それらを取り外すことを困難にしている。それらはまた、比較的密度が高く、従って重い。例えば、アルミ合金は典型的には、2.85−3.05Mgm-3の範囲の密度を有し、強化プラスティック複合材料は典型的には、1.65−1.75Mgm-3の範囲の密度を有する。
【0005】
より軽い重量を有していて且つ検査及び保守のためにアクセスがより容易であって且つ圧力パルスに耐える能力を有する、タンクを提供することが望まれると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の形態は、区画内に流体を含むためのタンクを提供しており、区画の境界は、開口を有する剛体構造により、部分的に区画されており、周辺において剛体構造に取り付けられて開口をカバーする、エラストマーの膜により部分的に形成される。
【0007】
剛体構造は、柔軟な要素を有しても良いが、しかし一般的には、エラストマー膜に比べて剛性のより高いものである。従って、本発明は、剛な主要構造の機械的利点を、エラストマー膜の、言い換えれば、低密度(典型的には、1.6Mgm-3より低く、好適には、1.5Mgm-3より低い)で柔軟性の利点に組み合わせる。膜の柔軟性により、剛体構造内の孔を介して区画へのアクセスのために、より容易に取り外すことが出来、その後曲げられるか又は巻き込まれて、制限された空間内に貯蔵することを可能にする。膜の柔軟性はまた、圧力パルスにより生じる荷重を主要構造内に、よりゆっくりと伝えることを可能にする。
【0008】
1つの実施の形態において、剛体構造は、十分な柔軟性を有して、所謂「モーフィング(変形する)」機能を可能にしており、前記モーフィング機能において、1つ以上のアクチュエータは、膜が取り付けられる、剛体構造の少なくとも一部の形状を変化させるように形成される。
【0009】
典型的には、膜を形成する材料は、織物又は不規則な方向性の短い繊維又は任意の別のタイプの補強等の補強要素を具備する。その様な補強は、膜が油圧又は空圧負荷及び構造的負荷の両者を容易に支持することを可能にする。補強の方向及び/又は分布は、1つ以上の方向において、他の方向に対して、剛性を増大させるように形成することが出来る。
【0010】
膜は、一方の側だけに流体を有しても良く、あるいは2つのタンク区画の間に、分割壁の少なくとも一部を形成しても良い、言い換えれば、両側に流体を有しても良い。
【0011】
膜は、均一に厚くても良く、あるいは、剛体構造に取り付けられる、その周辺の周りに比較的厚い領域を具備しても良く、膜は、比較的薄い中央領域を具備しても良い。
【0012】
取り付け構造は、膜と剛体構造に係合し、膜の周辺の周りで伸張することが好ましい。
この構造は、剛体構造に接着又は溶着させられても良く、あるいは、膜の周辺に配置された、複数の固定具により剛体構造に取り付けられて、各固定具は、少なくとも取り付け構造と剛体構造の厚みを貫通することがより好ましい。
【0013】
固定具は、膜を通過しても良い。この場合において、固定具に隣接した部分の破裂を回避するために、補強材料は、固定具孔の周りに設置可能である。しかしより好適には、取り付けフレーム(構造)は、膜と係合する第1の部分と、膜の外側角部の外側に位置していて且つ剛体構造に取り付けられる、第2の部分とを有する。これは、よりコンパクト(小型)な解決案を提供する。取り付け構造の第2の部分は、取り付け構造の厚みを貫通する、複数の孔を具備しており、各孔は、取り付け構造を剛体構造に取り付ける、それぞれの固定具を収容することが好ましい。
【0014】
取り付け構造の第1の部分は、多数の方法で膜と係合しても良く、例えば、それ(第1の部分)は、膜内に封入されても良く、それ(第1の部分)は、膜の1つ又は2つの外面と係合しても良く、及び/又は膜に接着されても良い。
【0015】
膜の少なくとも1つの外面は、取り付け構造と係合する、窪み及び/又は1つ以上の突起を具備しても良い。これらの突起又は窪みは、膜の全周の周りに細長い尾根部又は溝として伸びるように設けられるか、又は長さがより制限されても良い。
【0016】
下記に述べる1つの実施の形態において、膜は、実質的に平らであり、膜として同じ平面に実質的に横たわる、支持構造の要素に取り付けられる。しかし、別の配置が可能であり、例えば、膜は、平らではなくても良く、及び/又はタンクの完全な壁を形成しても良い。
【0017】
下記に述べる本発明の実施の形態において、タンクは、燃料タンクである。しかし、本発明はまた、別のタイプのタンクにおいて使用されても良く、例えば、油圧流体、オイル(例えば、航空機のビルジ(湾曲部)区画において)又は加圧ガス(例えば、航空機の胴体圧力カバー)を貯蔵するためのタンクにおいて使用されても良い。膜材料は、用途によって注意深く選択されなければならない、例えば、耐油圧オイル性膜は、ガラス補強を有するエチレンプロピレンディエンモノマー(EPDM)ゴム及びアルミニウム取り付け構造により形成可能である。
【0018】
下記の本発明の実施の形態において、タンクは航空機のタンクである。しかし、本発明はまた、燃料タンクローリー又は船舶等の別のタイプの輸送手段(又は、乗り物)において使用されても良い。更にタンクは、排水処理システムにおけるサンプ(汚水槽)又は遮蔽物等の非輸送手段の用途において使用されても良い。
【0019】
本発明の実施の形態は、添付の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、燃料タンクの等角投影図である。
【図2】図2は、膜の断面図である。
【図3】図3は、図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図4】図4は、別のクランプ配置の断面図である。
【図5】図5は、別のクランプ配置の断面図である。
【図6】図6は、別のクランプ配置の断面図である。
【図7】図7は、別のクランプ配置の断面図である。
【図8】図8は、薄膜の中央領域を有する膜の断面図である。
【図9】図9は、別のクランプ配置の断面図である。
【図10】図10は、別のクランプ配置の断面図である。
【図11】図11は、モーフィング(変形する)翼箱の第1の模式的断面図である。
【図12】図12は、図11の翼箱の第2の模式的断面図である。
【図13】図13は、取り外される上部及び下部皮膚面を有する翼箱の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、上部表面1と、下部表面2と、主要端部スパー(円部材)3と、垂下端部スパー4と、機内リブ5と、機外リブ6とを具備する、航空機翼箱の構造の一部を示す。要素1-6は、燃料タンクチャンバ(室)7の上部、下部、前部、後部及び側部境界を区画する。機内リブ5は、エラストマー膜8により覆われる、開口を有する。膜8は、1式の固定具孔10を有するアルミニウム製取り付けフレーム9により、機内リブ5に取り付けられ、その周囲の周りをシール(密封)する。
【0022】
図2に示すように、膜8を形成する材料は、エラストマーマトリックス12が染み込まされた補強編物状要素11(この場合は、編物の4つの分離した層)を具備する。エラストマーマトリックス12は、例えば、フッ化シリコンゴムを具備しても良い。これは、腐食性がなく従って塗装又は前処理の必要がない、不活性材料である。堅い材料の内部インターリーフ(間紙)13は、膜内で境界が区切られ、その周囲の周りで伸張する。
【0023】
膜材料は典型的に、1.35 Mgm-3と1.55Mgm-3との間の比較的低い密度を有する。また膜の材料容積は、外部強化リブが追加される必要はないように、従来の材料に比べてより低いもの(低容量)で有り得る。これらの2つの要素は、組み合わされて、実質的な量で、燃料タンクの重量を軽減する。
【0024】
例えば、エラストマーは、1.455Mgm-3の密度のABR4-0090Aに対してフッ化シリコンゴムを具備しており、編物は、約1.465Mgm-3の密度のABR9-0142に対してメタアラミドを具備しても良い。もしアラミド編物が加硫処理することが難しい場合は、ポリエステル又はガラス等の別の編物材料が使用されても良い。
【0025】
もしチャンバ7へのアクセス(接近)が必要である場合は、膜は、取り外され、巻き上げられ、マンホール(図示されない)を介して閉じ込められた翼区画の外へ取り出し可能である。金属製又は合成物製ドアは、マンホールを介して通過するには、通常嵩張り過ぎるので、翼内に残されなければならない。
【0026】
US5983945に述べられるような従来の翼タンクライナとは違って、膜は、機体に固定されており、荷重をその機体に直接的に作用させる。膜は、膜の一端から他端へ荷重を、剛性境界において伝達されるように、伝達可能である。膜は、翼から取り外し可能であるように十分フレキシブル(可撓性)であると同様に、航空機の高いGが生じる操縦により生成される、油圧パルスに耐えるために十分強固でなければならない。400mmの膜による400mmによるテストは、膜が、35mmの膜の中央において変位及び漏洩のない圧縮空気の365.42kPa(53psi)のパルスを十分に含むことが可能であることを示している。
【0027】
図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。複数の固定具ボルトは、膜の周囲の周りに分配されており、各固定具は、図3に示すように、取り付けフレーム9及びリブ5の厚みを貫通している。
【0028】
各ボルトは、ねじ切られた遠位端部14を有するシャフトを有しており、ねじ切られた遠位端部14は、リブ5と、膜8と取り付けフレーム9における孔を貫通する。ボルトの頭部15は、リブ5の面と係合し、ナット16は、シャフトにねじ込まれて、ワッシャー17を支持し、ワッシャー17は順にフレーム9の面を支持する。
【0029】
圧縮式耐腐食性フェルーレ(口金)18は、固定具の荷重を支持する。もし固定具が膜8に直接的に締め込まれる場合には、材料は、冷間クリープの問題が発生し、これは、固定具システムの明白なトルクの緩みとして顕在化する。
【0030】
インターリーフ(間紙)13は、ゴムと編物膜を補強し、ゴムと編物膜において、前記ゴムと編物膜は、固定具孔により弱くなる。インターリーフ13はまた、補強のため二重であるので、インターリーフは、中央固定具ピッチ地点において、引っ張り荷重に変換される、膜における圧力により引き起こされる固定具間の(x方向における)船首方向の湾曲(bowing)力に耐えるような強度を提供しても良い。
【0031】
取り付けフレーム9は、図示されるように、溝状断面を有して、固定具間に強い沈静力(calming force)を提供して、中央固定具ピッチ点において、作用する荷重(y方向において)に対する反作用に対抗しており、これは、許容可能なシーリング(密封)を実現するために、反作用荷重yを超えなければならない。
【0032】
図3に示されるアセンブリ方法は、多数の欠点を有しており、それらの欠点の最も顕著なものは、膜が固定具孔により損傷され、強度が減少することである。第2には、アセンブリは複雑であり、嵩張り、重いので、従って、価格が高くなる。これらの問題に対する幾つかの解決案として、下記するように、図4−7に示されるものがある。
【0033】
図4において、フレキシブルな膜8は、インターリーフ13なしで製作される。その場所において、膜の周囲は、完全に封入された接合ワイア20を含む。溝21は、膜の外面22において成形される。ワイア20が膜の全周の周りで伸長し、溝21に比べてその外側エッジ(角部)25に、より近く配置されることが分かる。
【0034】
アルミニウム製取り付けフレームは、膜の全周の周りで伸長する。取り付けフレームは、溝21内に収容される、戻り部24と、膜の外側エッジ25の外側に配置されてボルトによりリブ5に取り付けられる、周囲部分23とを有する。
【0035】
引っ張り荷重xは、取り付けフレームの戻り部24により所定の場所へ固定されたアンカーとして、膜から取り付けフレームへ結合ワイア20を使用して伝達される。周囲部分23の周辺位置は、固定具荷重がリブ5に直接的に伝達されることを可能にして、フェルーレ(口金)18の必要性を取り除く。ワイア20の修正された断面はやはり、固定具間の強い沈静力を提供する必要があり、中央固定具ピッチ点において、作用する荷重(y方向において)に対する反作用に対抗しており、これは、受容可能なシーリングを実現するために、反作用荷重yを超えなければならない。
【0036】
図4に示す固定装置により、膜が破裂板として作用することを可能にすることが分かる。即ち、長さ方向に大きい燃料圧力パルスは、固定装置に不具合を生じて膜を分離させて、荷重を上部及び下部表面から逸らせて、上部及び下部表面を破裂させる傾向を低減する。
【0037】
図5において、膜8は、接着されたインターリーフ又はワイアを有さず、アセンブリは、最も単純な形状に減少させられる。取り付けフレーム30は、膜8の外面22に直接接着されたアーム31を有しており、従って、フレームは、xとyの両方向において全ての支持部を提供可能である。これは、接着がフレーム30に対する膜8の移動を制限して、その結果、より強いアセンブリを生成することによる。図5は、最も軽い重量で最もコンパクトな解決案であり、たぶん最も低コストの選択可能案である。
【0038】
図6は、取り付けフレーム40が膜8に接合され、膜8内に封入された、接合式膜クランプのための別の選択可能案を提示する。この案は、図5の解決案に比べてより高い接合強度を実現し、より高い荷重が予想される場合に適当である。
【0039】
図7は、取り付けフレーム50が膜8の両外面と係合する、接合式膜クランプのための更に別の選択可能案を提示する。これは、図5の解決案に比べてより高い接合強度を提供し、更に機械的損傷に対してより大きな耐性を有するように、接合区域を囲むエラストマーシール51,52は、フレーム50とリブ間に流体密封シールを提供する。
【0040】
図8は、別の膜60の断面図である。膜60を形成する材料は、エラストマーマトリックスが染み込まされた編物の種々の層を具備する。エラストマーマトリックスは、例えば、フッ化シリコンゴムを具備しても良い。
【0041】
膜60は、膜がその周囲の周りでリブに取り付けられる、比較的厚い領域61と;重量及び材料体積を減少させる、比較的薄い中央領域62とを具備する。中央領域62は、編物の1つ又は2つの層のみを有し、厚みは約0.8-1.5mmであり、外側領域61は、4つの層を有する。強い材料の2つの内部インターリーフ62,63は、膜内において接合され、外側領域の周りで伸張する。中央編物層は、これらの2つのインターリーフの間を通過する。外側領域61の2つの外面は、取り付けフレーム(図示されない)と係合して燃料漏洩を完全にシールする、成形された突起65−68を具備する。
【0042】
図9は、別の膜70と固定アセンブリの断面図である。膜70は、膜60と同様であるが、しかしこの場合において、その上面に唯1つの突起71を有する。図9は、膜70の外側領域のみを示している。膜の中央は、膜60と同様な状態で薄肉であっても良い。
【0043】
取り付けフレーム72は、リブ5に膜70を締結固定する。固定具シャフト73は、フレーム72と、膜70と、リブ5とを貫通する。フレーム72は、突起71を収容する、溝75を区画する曲がり部分74を有する。
【0044】
図10は、更に別の膜80と固定アセンブリの断面図である。膜80は、膜70と同様であり、その上面に1つの突起81を有する。 取り付けフレームは、リブ5に膜80を締結固定する。取り付けフレームは、リブ5に固定される、外側部82と、突起81を収容する、溝84を区画する曲がり部分83を有する、内側部とを有する。
【0045】
図3及び9の設計と比較して、図4−7及び10の設計の最も顕著な利点は、膜が固定孔の導入により危険に晒されないことである。結果として、これらの設計は本質的に、より強靭である。更に、これらの孔の周囲に余分な補強を追加して、ゴム及び編物の破断に耐える必要がないので、より一層重量は軽減される。更に、膜は、固定具を超えて周囲において伸張する必要がなく、その結果、膜は、y方向において、より小さくすることが出来、従って、より軽量である。しかも、固定具のシャフトは、膜を貫通しないので、シャフトをより短くすることが出来、更に重量を軽減できる。結局、アセンブリは、y方向において、より少ない空間を占有する。
【0046】
上記の実施の形態において、膜は、膜として実質的に同じ平面内に設置される、平らなリブ5に取り付けられる。しかし、別の装置が可能であり、例えば、膜はリブ5を完全に置換して、フランジによりスパー3,4及び表面2,3に、その周囲で、取り付けられても良い。
【0047】
その様な別の装置の例が、図11と12に示される。翼箱92は、上部表面1と、下部表面2と、主要端部スパー(円部材)3と、垂下端部スパー4とを具備する。従来の翼箱のリブは、図1に示された膜8と同様に、エラストマー膜90により置換される。各膜90は、図4−10に示される装置の1つと同様な取り付け装置を使用して、膜の周囲において、カバー(表面)1,2及びスパー3,4に接続する。要素1−4及び90は、5つの燃料タンクチャンバの境界を区画する。
【0048】
油圧ラム91は、上部表面及び下部表面1,2間で作用して、拡大及び収縮可能であり、所謂、「モーフィング」翼構造を提供する。唯1基のラムが各チャンバに示されるが、しかし実際には、多数のその様なラムが具備されても良いことが分かる。エラストマー膜90は、上部及び下部の表面の曲がりを収容するように曲がることが出来、且つ長さ方向の燃料圧力パルスを含むように十分に強度がある。
【0049】
膜90における編物状補強は、1つ以上の方向において、強度を増大するのに適合可能である。例えば、膜は、表面1,2間でZ方向においてフレキシブルに形成可能であるが、別の2つの垂直なXとY方向において、より硬い。
【0050】
更に別の装置が、図13に示される。翼箱93は、上部及び下部の表面(図示されない)と、主要端部スパー3と、垂下端部スパー4と、一連の6つの剛体リブ96とを具備する。膜8,90と同様なエラストマー膜97は、長さ方向に伸びている。各膜97は、図4−10に示される装置の1つと同様な取り付け装置を使用して、その周囲において、表面(図示されない)及び隣接する対のリブ96に接続する。要素94−97及び上部と下部表面(図示されない)は、10の燃料タンクチャンバの境界を区画する。膜97は、航空機の破壊から生じる、翼弦方向の燃料圧力パルスから前部スパー94を保護する。
【0051】
本発明は、1つ以上の好適な実施の形態を参照して上記で説明されるが、種々の変更形態及び修正形態が、添付の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱しないで実施されても良いことが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に流体を含む、タンクであって、
前記チャンバの境界は、開口を有する剛体構造により部分的に区画され、
その周囲の周りで、剛体構造に取り付けられていて前記開口を覆う、エラストマー膜により部分的に区画される、ことを特徴とするタンク。
【請求項2】
前記タンクは燃料タンクである、ことを特徴とする請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記膜を形成する材料は、補強要素を具備する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記膜を形成する材料は、1.6Mgm-3に比べてより低い密度を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
前記膜は、フッ化シリコンゴムを具備する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項6】
前記膜は、2つのタンクチャンバ間の分離壁の少なくとも一部を形成する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
前記膜は、前記膜が前記剛体構造に取り付けられる、比較的厚い領域を、その周囲の周りに具備しており、更に比較的薄い中央領域を具備する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記膜と前記剛体構造と係合していて且つ前記膜の周囲の周りで伸張する、取り付けフレームを更に具備する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項9】
前記膜の周囲の周りに分配される、複数の固定具を更に具備しており、
各固定具は、少なくとも前記取り付けフレームと前記剛体構造の厚みを貫通する、ことを特徴とする請求項8に記載のタンク。
【請求項10】
前記取り付けフレームは、前記膜と係合する、第1の部分と、前記膜の外側エッジの外側に配置されていて且つ前記剛体構造に取り付けられる、第2の部分とを有する、ことを特徴とする請求項8または9に記載のタンク。
【請求項11】
前記取り付けフレームの前記第2の部分は、前記取り付けフレームの厚みを貫通する、複数の孔を具備しており、各孔は、前記取り付けフレームを前記剛体構造に取り付けられる、それぞれの固定具を収容する、ことを特徴とする請求項10に記載のタンク。
【請求項12】
前記取り付けフレームの前記第1の部分は、前記膜内に封入される、ことを特徴とする請求項10または11に記載のタンク。
【請求項13】
前記取り付けフレームは、前記膜の1つまたは2つの外面と係合する、ことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項14】
前記取り付けフレームの前記第1の部分は、前記膜の1つまたは2つの外面と係合する、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項15】
前記取り付けフレームは、前記膜に接合される、ことを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項16】
前記膜の少なくとも1つの外面は、前記取り付けフレームと係合する、1つ以上の突起及び/又は窪みを具備する、ことを特徴とする請求項8から15のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項17】
前記膜は、前記取り付けフレームと係合する、1つ以上の窪みと、補強要素とを具備しており、前記補強要素は、前記膜内に封入され、前記膜の周囲の周りで伸張しており、前記窪みに比べて、前記膜の外側エッジのより近くに配置される、ことを特徴とする請求項16に記載のタンク。
【請求項18】
前記膜が取り付けられる前記剛体構造の少なくとも一部分の形状を変更するように形成される、1つ以上のアクチュエータを更に具備する、ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のタンクを具備する、ことを特徴とする航空機。
【請求項1】
チャンバ内に流体を含む、タンクであって、
前記チャンバの境界は、開口を有する剛体構造により部分的に区画され、
その周囲の周りで、剛体構造に取り付けられていて前記開口を覆う、エラストマー膜により部分的に区画される、ことを特徴とするタンク。
【請求項2】
前記タンクは燃料タンクである、ことを特徴とする請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記膜を形成する材料は、補強要素を具備する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンク。
【請求項4】
前記膜を形成する材料は、1.6Mgm-3に比べてより低い密度を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
前記膜は、フッ化シリコンゴムを具備する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項6】
前記膜は、2つのタンクチャンバ間の分離壁の少なくとも一部を形成する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項7】
前記膜は、前記膜が前記剛体構造に取り付けられる、比較的厚い領域を、その周囲の周りに具備しており、更に比較的薄い中央領域を具備する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項8】
前記膜と前記剛体構造と係合していて且つ前記膜の周囲の周りで伸張する、取り付けフレームを更に具備する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項9】
前記膜の周囲の周りに分配される、複数の固定具を更に具備しており、
各固定具は、少なくとも前記取り付けフレームと前記剛体構造の厚みを貫通する、ことを特徴とする請求項8に記載のタンク。
【請求項10】
前記取り付けフレームは、前記膜と係合する、第1の部分と、前記膜の外側エッジの外側に配置されていて且つ前記剛体構造に取り付けられる、第2の部分とを有する、ことを特徴とする請求項8または9に記載のタンク。
【請求項11】
前記取り付けフレームの前記第2の部分は、前記取り付けフレームの厚みを貫通する、複数の孔を具備しており、各孔は、前記取り付けフレームを前記剛体構造に取り付けられる、それぞれの固定具を収容する、ことを特徴とする請求項10に記載のタンク。
【請求項12】
前記取り付けフレームの前記第1の部分は、前記膜内に封入される、ことを特徴とする請求項10または11に記載のタンク。
【請求項13】
前記取り付けフレームは、前記膜の1つまたは2つの外面と係合する、ことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項14】
前記取り付けフレームの前記第1の部分は、前記膜の1つまたは2つの外面と係合する、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項15】
前記取り付けフレームは、前記膜に接合される、ことを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項16】
前記膜の少なくとも1つの外面は、前記取り付けフレームと係合する、1つ以上の突起及び/又は窪みを具備する、ことを特徴とする請求項8から15のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項17】
前記膜は、前記取り付けフレームと係合する、1つ以上の窪みと、補強要素とを具備しており、前記補強要素は、前記膜内に封入され、前記膜の周囲の周りで伸張しており、前記窪みに比べて、前記膜の外側エッジのより近くに配置される、ことを特徴とする請求項16に記載のタンク。
【請求項18】
前記膜が取り付けられる前記剛体構造の少なくとも一部分の形状を変更するように形成される、1つ以上のアクチュエータを更に具備する、ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のタンクを具備する、ことを特徴とする航空機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−500419(P2011−500419A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529457(P2010−529457)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050942
【国際公開番号】WO2009/050510
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050942
【国際公開番号】WO2009/050510
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
[ Back to top ]