説明

医学用超音波ファントム

【課題】より実際に近い超音波検査のトレーニングが可能な医学用超音波ファントムの提供。
【解決手段】 人工皮膚(図示しない。)と、人体の各種器官の形状に造形した人工器官305〜312と、人工組織(図示しない。)と、人工骨構造体313とを有し、人工骨構造体313の内部に人工器官305〜312および人工組織(図示しない。)を組み込み、人工骨構造体313の外面に人工皮膚(図示しない。)を貼り付けて人体に近似させた医学用超音波ファントム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学用超音波ファントムに関し、特に、医学生、研修医等の医療従事者の研修またはトレーニングのための人体模型または機器校正用標準模型として用いるのに適した医学用超音波ファントム(超音波医学用生体近似ファントム)に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の医療においては、超音波検査は必要不可欠となっており、検査を行う者には高度な知識と経験に基づく技術が要求される。従来、検査を行う者の教育および研修は、大学病院等の高度医療機関において知識経験豊かな指導者の下で、実際の患者の身体を使って行われていた。しかし、昨今では患者のプライバシー保護の観点から、時間的にも、経験可能な疾患種数にも制約があるのが実情である。
【0003】
一方、医療開始時の超音波検査装置が正常に作動しているかのチェックをする必要がある。また、超音波検査装置のメーカーにおいても、製造した装置を校正する際に、適切な人体模型が必要であるが、現在は、各社独自の方法、例えば、検査技師が自分の身体を用いてチェックするなどの方法により校正を行っている。
【0004】
従来、寒天、ゼラチン、ゴム、その他の超音波特性が人体に近似する素材を用いて製作したファントムが提案されている。例えば、特許文献1には、粉体を懸濁した高分子ゲル(ポリビニールアルコール)を用いたファントムが提案されている。また、特許文献2には、堅く弾力性のある例えばABSプラスッチック製のケース内に水ベースポリマー等の組織模倣材料を充填したファントムが提案されている。しかしながら、いずれの文献に記載のファントムも人体の臓器の形状や内部構造を再現したものではない。
【0005】
図1および2は、従来のファントムの機能を示す図であり、図1は、従来型医学用超音波ファントムの内部構造を模式的に示した斜視図、図2は、従来型医学用超音波ファントムの超音波画像を模式的に表した図を示している。
【0006】
図1に示すように、従来のファントム100は、例えば、周辺組織に対応する部材101の中に病巣に対応する部材102を埋め込んで構成されている。図2に示すように、従来のファントム200は、例えば、周辺組織に対応する部材202の中に病巣に対応する部材203が埋め込まれ、これをゴムなどの表面被覆材201で覆って構成されている。このように、従来のファントムは、画一的で均一な内部組織に対応する部材の中に病巣や臓器に対応する部材をターゲットとして配置し、その異なる音響特性を利用して、超音波画像を得るものである。
【0007】
特許文献3には、液状シリコンゴムを成形硬化させて臓器模型および人体胴部模型を製作し、この臓器模型を胴部模型に内蔵した人体模型が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−155856号公報
【特許文献2】特開2003−180691号公報
【特許文献3】特開平11−242427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献3で提案されているファントムは、様々な人工臓器を内蔵する点において特許文献1および2で提案されているファントムよりも優れているが、シリコンゴムを使用している。シリコンゴムの音速は1680〜1900m/s程度であるが、超音波検査装置で想定されている人体の音速(1540m/s程度)との違いが大きすぎる。従って、実際の臓器の形状に似せた人工臓器を内蔵させたファントムの超音波画像を得る場合、再現される臓器の形状が実際の臓器とは全く異なるものとなる。シリコンゴムを内蔵したファントムでも、観察方向が1方向のみであれば、シリコンゴムの形状を実際の臓器の形状と異なる形にすることで超音波画像を実際の臓器の形状に似せることができる。しかし、シリコンゴムを前提とする限り、様々な方向から観察しても臓器と同様の形状の超音波画像を得ることは不可能である。また、このファントムは、低周波プローブ(通常、表面から10cm程度の深さの検査に用いられるプローブ)に対応する深部組織検査実習用のものである。
【0010】
しかし、人体には皮膚が存在し、皮下組織の検査には高周波プローブ(通常、表面から3cm程度の深さの検査に用いられるプローブ。表在性プローブともいう。)を用いる必要がある。このため、ファントムは、皮下組織の検査に近似した検査の実習を可能とするべく、臨床的に表在組織を再現したもの、つまり、人工皮膚(超音波色調表現対応人工皮膚)を形成したものとすることが好ましい。
【0011】
以上に述べたように、従来のファントムは、表皮組織や内部組織を実際の人体と対比して観察診断できるような機能が備わっていなかった。言い換えれば、従来、皮下組織、筋肉組織または脂肪組織といった各組織の音響特性(色調表現)を忠実に再現し、且つ外形構造を再現した医学用超音波ファントムは存在しない。そのため、表在性プローブ(高周波プローブ)等を用いた臨床・疾患診断技術の修得には対応できなかった。また、内部構造が複雑になるにつれて、内部の脱気処理については従来製品よりも複雑な製造工程を要する等の課題がある。
【0012】
本発明は、このような従来のファントムの問題を解決するためになされたものであり、超音波色調が実際の皮膚、臓器、内部組織などに近似した人工皮膚、人工臓器、人工内部組織などを用いことにより、より臨床・疾患診断技術の修得に役立つ医学用超音波ファントムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記の目的を達成すべく、下記の(1)〜(8)の医学用超音波ファントムを要旨としている。
【0014】
(1)人工皮膚と、人体の各種器官の形状に造形した人工器官と、人工組織と、人工骨構造体とを有し、人工骨構造体の内部に人工器官および人工組織を組み込み、人工骨構造体の外面に人工皮膚を貼り付けて人体に近似させた医学用超音波ファントム。
【0015】
(2)人工皮膚が、エラストマー中に散乱体を封入し、脱気したエラストマー層と、エラストマー層の両面を覆うフィルム層とを有する上記(1)の医学用超音波ファントム。
【0016】
(3)人工器官が、ゼラチンを主原料とする溶液と、エポキシ系架橋剤と、散乱体とを用いた上記(1)または(2)の医学用超音波ファントム。
【0017】
(4)人工骨格構造体が、樹脂を用いて人体の骨格構造の形状に造形したものであり、その表面に微細な凹凸を有する上記(1)から(3)までのいずれかの医学用超音波ファントム。
【0018】
(5)更に、人工皮下組織、人工筋肉組織および人工脂肪組織を有する上記(1)から(4)までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【0019】
(6)散乱体の添加量を調整することにより、人工皮膚および/または人工器官の超音波画像上の色調を変化させた上記(1)から(5)までのいずれかの医学用超音波ファントム。
【0020】
(7)散乱体として、カーボングラファイト、デンプン粒、脂肪類および繊維組織から選択される一種以上を用いた上記(1)から(6)までのいずれかの医学用超音波ファントム。
【0021】
(8)高周波プローブを用いた臨床・疾患診断に使用する上記(1)から(7)までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【発明の効果】
【0022】
本発明の医学用超音波ファントムは、人体とほぼ同等の超音波画像が得られるので、より実際に近い超音波検査のトレーニングが可能であるため、従来のファントムより高い超音波検査技術の習得が可能である。本発明の医学用超音波ファントムは、特に、高周波プローブを用いた臨床・疾患診断に使用することができる。
【0023】
本発明の医学用超音波ファントムは、人工皮膚と、人体の各種器官の形状に造形した人工器官と、人工組織と、人工骨構造体とを有しているので、従来の医学用超音波ファントムと比較して、人体に近い形状をしているので、実際の検査時における細胞診などの手技の習得、悪性腫瘍等に対処される局所注射などの治療技術の習得などにも使用することができる。
【0024】
また、表在性用プローブの校正用標準器としても有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来型医学用超音波ファントムの内部構造を模式的に示した斜視図
【図2】従来型医学用超音波ファントムの超音波画像を模式的に表した図
【図3】本発明に係る医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)の内部構造の例を示す概略図
【図4】本発明に係る医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)の内部構造の例を示す正面図
【図5】本発明に係る医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)の内部構造の例を示す側面図
【図6】本発明の医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)の例を示す写真
【図7】本発明の医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)の例を示す写真
【図8】人体の頭頸部における内部組織および臓器の解剖図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る医学用超音波ファントムは、人工皮膚と、人体の各種器官の形状に造形した人工器官と、人工組織と、人工骨構造体とを有し、人工骨構造体の内部に人工器官および人工組織を組み込み、人工骨構造体の外面に人工皮膚を貼り付けることにより、人体に近似させたものである。従って、人体とほぼ同等の超音波画像が得られる。このため、より実際に近い超音波検査のトレーニングが可能であるため、従来のファントムより高い超音波検査技術の習得が可能である。
【0027】
本発明の医学用超音波ファントムにおける人工皮膚は、エラストマー(elastmer)中に散乱体を封入し、脱気したエラストマー層と、エラストマー層の両面を覆うフィルム層とを有するものが好ましい。エラストマー層を設けることで、人体の皮膚組織に近い、適度な弾力と柔軟な展伸性を有する人工皮膚とすることができる。ただし、エラストマーは、表面の粘着性が高いため、その劣化を防止するべく、エラストマー層を設ける場合には、その両面を覆うフィルム層を設ける必要がある。
【0028】
エラストマーに散乱体を封入し、脱気することで、実際の皮膚に近似した超音波色調が得られる。なお、散乱体の添加量を調整すれば、超音波色調を変えることができるが、エラストマー層内に気泡が多く残存していると、所望の超音波色調が得られないことがある。このため、エラストマー層は、十分に脱気しておくことが好ましい。気泡は全く存在しないことが好ましい。但し、直径0.1mm以下の気泡であれば、許容できる場合がある。
【0029】
一方、エラストマー層の両面をフィルム層で覆うこととしたのは、エラストマー層および後述する人工器官などの乾燥を防止するためである。フィルム層としては、例えば、ポリエチレンフィルム層などの適度な弾力性と防水性とを兼ね備えたものを用いることができる。
【0030】
本発明に係る医学用超音波ファントムの人工器官は、ゼラチンを主原料とする溶液と、エポキシ系架橋剤と、散乱体とを用いたものであることが好ましい。ゼラチンを主原料とする溶液、エポキシ系架橋剤および散乱体を混合し、各々の器官、更には皮下組織などの任意の形状に成形したものであれば、弾力性においても、超音波色調表現においても、限りなく生体に近い状態を再現することができる。ここで、ゼラチンを主原料とする溶液を用いることにより、生体の基準音速1540m/secに近似させて各部位を再現でき、従来のシリコンやスチレンでは出来なかった微細な組織、コントラスト(音速と減衰)が表現できる。なお、人工器官には人工臓器、即ち、各種臓器の音速を人体に近似させた造形臓器が含まれる。
【0031】
なお、器官としては、例えば、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣、心臓、甲状腺、副腎などがあり、また、組織としては、皮膚、粘膜、脂肪、筋肉、骨、脈管などがある。また、人体にはリンパ液、関節液、血液、尿、胸腹水などの体内液状成分が存在している。
【0032】
本発明に係る医学用超音波ファントムの人工骨格構造体は、ABS樹脂等の樹脂を用いて人体の骨格構造の形状に造形したものであり、その表面に微細な凹凸を有するものが好ましい。人工骨格構造は、人体の骨格構造に近似した超音波画像を得ると共に、医学用超音波ファントムの強度を確保する役割も有しているため、ある程度の強度を有することが好ましい。このため、ABS樹脂等の樹脂を用いるのが好ましいが、表面に凹凸がないものを使用すると、超音波を全反射し、人体の骨格構造に近似した超音波画像が得られない場合がある。従って、人工骨格構造には、超音波を適度に散乱反射させるべく、微細な凹凸を設けることが好ましい。
【0033】
本発明に係る医学用超音波ファントムの人工皮膚の内部には、人工皮下組織、人工筋肉組織および人工脂肪組織を有することが好ましい。人体の皮膚周辺部分には、皮膚層の他、皮下脂肪層などが3層〜5層積層した構造を有しており、通常、これらの総厚さは3〜5mm程度である。従って、人工皮膚層の内部に、人工皮下組織、人工筋肉組織および人工脂肪組織を有するものとし、より人体に近い表在組織とするのが好ましい。特に、人工皮膚およびこれらの組織の総厚さは3mm〜5mmとするのが好ましい。また、超音波の色調表現に対応するべく、それぞれの層の散乱体の添加量を調整することが好ましい。このように、人工皮膚層の内部に、人工皮下組織、人工筋肉組織および人工脂肪組織を存在せしめた医学用超音波ファントムは、表在性プローブを用いた臨床・疾患診断に使用することができる。
【0034】
本発明に係る医学用超音波ファントムにおいては、散乱体の添加量を調整することにより、人工皮膚および/または人工器官の超音波画像上の色調を変化させることが好ましい。これにより、各種人工器官(人工臓器、人工組織、人工血管など)の超音波画像上の色調を変化させることができるため、より実際の人体に近いファントムとなる。なお、同じ人工臓器でも、散乱対の添加量を変えることで、正常な臓器と、病巣組織を持つ臓器とを表現することができる。
【0035】
本発明に係る医学用超音波ファントムにおいては、散乱体として、カーボングラファイト、デンプン粒、脂肪類および繊維組織から選択される一種以上を用いることが好ましい。これらの散乱体は、適度な減衰率を有しているため、各種人工器官の超音波画像を適切に調整することができる。
【0036】
なお、各器官を再現した人工器官を作製する時に、散乱体などの量を微調整して、正常な人工器官と異なる減衰率を有する悪性腫瘍、脂肪腫などの疑似病巣組織を同時に封入すれば、病巣抽出技術の習得も可能となり、その悪性組織の生体検査における穿刺行為も同時に行うことができる。この技術を応用すれば、腹部等の深部モデルや前立腺などの特殊プローブを用いる領域のファントムへの応用が可能となり、幅広くその模擬人体の再現が可能となる。
【実施例1】
【0037】
図8は、人体の頭頸部における内部組織および臓器の解剖図を示している。図8に示すように、頭頸部は、皮膚、甲状腺(甲状腺峡部、甲状腺右葉、甲状腺左葉)、気管、食道、血管(内頸静脈、総頚動脈)などの器官と、胸鎖乳突筋などの筋肉組織、椎体などの骨格構造体などで構成されている。以下、頭頸部の形状および超音波特性を再現した医学用超音波ファントムを例にとって、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は、この実施例に限定されない。
【0038】
図3〜図5には、本発明の医学用超音波ファントムの一例を示す模式図を示しており、図3は概略図、図4は正面図、図5は側面図をそれぞれ示している。なお、図4および図5に示す例では、人工皮膚、人工気管、人工皮下組織、人工筋肉組織、人工脂肪組織など一部の器官および組織を省略している。また、図6および図7は、本発明の医学用超音波ファントムの例を示す写真である。
【0039】
図3の概略図に示すように、本発明の医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)は、例えば、表面層301、皮下脂肪層302および内膜層303で構成される人工皮膚と、人工筋肉304と、人工血管305と、人工甲状腺306と、人工気管307と、人工頸椎308とを積層状に組み込んで構成したものである。本発明の医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)は、より具体的には、例えば、図3および図4に示すような構造をしている。即ち、図4および図5に示すように、本発明の医学用超音波ファントム(頭頸部ファントム)は、人工下顎骨313と、人工舌下腺312と、人工リンパ腺311と、人工舌骨310と、人工甲状軟骨309と、人工甲状腺306と、人工総頚動脈305aと、内頸静脈305bとを有している。
【0040】
それぞれの人工器官および人工組織は、ゼラチンと水及び微粉末の散乱体(超音波反射材)を配合し、エポキシ系架橋剤を用いて、それぞれの器官および組織の形状に成型加工したものである。また、それぞれの人工器官および人工組織においては、散乱体の添加量を変化させて、音速および減衰率を変更した。人工下顎骨313などの骨格構造としては、ABS樹脂を用いた(図6も合わせて参照)。なお、人工甲状軟骨309および気管307についてはABS・アクリルなどの素材により成型させたものを使用した。
【0041】
図7に示すように、人工下顎骨313の外面には、エラストマー中に散乱体を封入し、脱気したエラストマー層と、エラストマー層の両面を覆うフィルム層とを有する人工皮膚を貼り付けて、頭頸部外郭構造とした。頭頸部外郭構造の内部に、前掲の臓器、組織および甲状軟骨、気管などの各器官を積層構造に組み上げて、ゼラチンと架橋材を混合した封入材により一定の強度を保ちながら硬化させその形状を保持した状態で、封入した。封入材は、あまり高架橋率であると使用時の操作性が悪くなり、内部の部位別での弾力性が無くなることから、適切な範囲での架橋率とした。これにより、全体の音速を人体に近似させることが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の医学用超音波ファントムは、人体とほぼ同等の超音波画像が得られるので、より実際に近い超音波検査のトレーニングが可能であるため、従来のファントムより高い超音波検査技術の習得が可能である。本発明の医学用超音波ファントムは、特に、高周波プローブを用いた臨床・疾患診断に使用することができる。
【符号の説明】
【0043】
100 従来の医学用超音波ファントム
101 周辺組織に対応する部材
102 病巣に対応する部材
201 表面被覆材
202 周辺組織に対応する部材
203 病巣に対応する部材
301 人工皮膚(表面層)
302 人工皮膚(皮下脂肪層)
303 人工皮膚(内膜層)
304 人工筋肉
305 人工血管
305a 人工血管(人工内頸静脈)
305b 人工血管(人工総頚動脈)
306 人工甲状腺
307 人工気管
308 人工頚椎
309 人工甲状軟骨
310 人工舌骨
311 人工リンパ腺
312 顎下腺
313 下顎骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工皮膚と、人体の各種器官の形状に造形した人工器官と、人工組織と、人工骨構造体とを有し、人工骨構造体の内部に人工器官および人工組織を組み込み、人工骨構造体の外面に人工皮膚を貼り付けて人体に近似させたことを特徴とする医学用超音波ファントム。
【請求項2】
人工皮膚が、エラストマー中に散乱体を封入し、脱気したエラストマー層と、エラストマー層の両面を覆うフィルム層とを有することを特徴とする請求項1に記載の医学用超音波ファントム。
【請求項3】
人工器官が、ゼラチンを主原料とする溶液と、エポキシ系架橋剤と、散乱体とを用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の医学用超音波ファントム。
【請求項4】
人工骨格構造体が、樹脂を用いて人体の骨格構造の形状に造形したものであり、その表面に微細な凹凸を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【請求項5】
更に、人工皮下組織、人工筋肉組織および人工脂肪組織を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【請求項6】
散乱体の添加量を調整することにより、人工皮膚および/または人工器官の超音波画像上の色調を変化させたことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【請求項7】
散乱体として、カーボングラファイト、デンプン粒、脂肪類および繊維組織から選択される一種以上を用いたことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。
【請求項8】
高周波プローブを用いた臨床・疾患診断に使用するを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の医学用超音波ファントム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−29650(P2010−29650A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150824(P2009−150824)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(308022829)
【出願人】(596132721)財団法人近畿高エネルギー加工技術研究所 (18)
【出願人】(598026183)
【出願人】(508198579)
【Fターム(参考)】