説明

医用画像のための短いアミノアルコール鎖および金属錯体を含む化合物

本発明は、以下の一般式:
[式中:X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立して、L−Y[式中、LはC1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、Yは−CONH2、−CO−NR7R8もしくは−NR7−CO−R8を表す]を表す]の(IIa)および(IIb)から選択される式(II)または(VIa)および(VIb)から選択される式(VI)の化合物あるいはこれらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体またはそれらの混合物または式(VIa)および(VIb)の化合物の薬学的に許容される塩に関する。それはまた、それらの化合物と、常磁性金属または放射性核種との錯体および診断方法におけるそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断用医用画像のための使用の新規化合物およびこれらの化合物を含む薬学的組成物に関する。これらの化合物は、特に、MRIのための造影剤として使用される。
【背景技術】
【0002】
造影製品の患者への投与は、得られる画像の解像度および診断の精度を改善することに寄与する。従って、当業者は、MRI(磁気共鳴画像)のための、線状または大環状分子ガドリニウムキレート、例えば、化合物、DTPA、DTPA BMA、DTPA BOPTA、DO3A、DOTAに基づく非特異的造影製品と称される多くの造影製品を知っている。常磁性または超常磁性金属を含む造影製品は、プロトンの緩和時間を改変し、かつ得られる緩和率の増加は、より強力なシグナルおよびより高い空間解像度を得ることを可能にする。Magnevist(登録商標)(DTPA)、Dotarem(登録商標)(DOTA)またはOmniscan(登録商標)(DTPA BMA)のようなヒト臨床処置において使用されるガドリニウムキレートは、低分子量であり、0.5〜1.5テスラの通常の磁場で3〜4mM−1s−1のGdあたりの緩和率r1を有する。これらの化合物は、適切には非特異的化合物と称され、即ち、高度に特異な項目の標的化のために特異的に設計される化合物と比較して、それらが所定の診断項目に多かれ少なかれ適切である場合でも、広範なスペクトルの診断項目を有する。例えば、先行技術では、癌、炎症性疾患または循環器系疾患のような所定の病状において一般的に過剰発現される1つもしくはそれ以上の生物学的分子を特異的に認識することを目的とする(DOTAまたはDTPA誘導体のような)シグナル部およびターゲティング部(例えば、ペプチド)を含む極めて多くの化合物が開示されている。
【発明の開示】
【0003】
診断画像における効率を増加するために、新規の化合物、特に、その合成がそれほど複雑ではなく、および既に公知の非特異的キレートのそれより有意に良好な緩和率を有する非特異的化合物を見出す必要性が依然として存在する。
【0004】
既知のキレートのうち、式(I):

[式中、Xはカルボン酸もしくはリン酸基を表し、かつRoはアルキルもしくはフェニル基を表すか、または記号Roの1つは生物学的分子との結合を形成する基である]のビシクロポリアザマクロシクロカルボン酸キレートについては、欧州特許第438206号明細書に開示されている。これらの化合物のうち、以下の化合物、本説明の残部に掲載の符号PCTAは、当業者に公知である(Inorganic Chemistry,36(14),2992−3000(1997年)、およびMagn.Reson.Chem.,36,S200−208(1998年))。

【0005】
PCTA型の式(I)の骨格を有する既知の化合物は、約4〜6mM−1s−1Gd−1の緩和率を有する。
【0006】
式(I)の化合物は、キレートにおいて存在するガドリニウムの配位圏(9つの可能な相互作用)を完成するために、それらが1つのキレートあたり2個の水分子の交換を可能にするため有利であることを留意すべきである。これは、PCTA骨格が7つの潜在的な相互作用(4個の窒素原子+3個の酸官能基)に寄与し、ガドリニウムと2個の水分子との間の相互作用をそのまま残す(符号q=2(即ち、9−7))ためである。
【0007】
より具体的には、国際公開公報第93/11800号の明細書は、H、OHまたはC1−C3アルキルから選択されるRo基を伴う式(I)の化合物を開示している。米国特許第5403572号明細書は、Ro基がアルコールであり得る化合物を開示し;これらの化合物の合成には、アルコール鎖の合成および次のアルキル化反応によるこの鎖と大環状分子の窒素原子との結合が関与する。
【0008】
そのような化合物はそのRo基がアルキルまたはアルコールであり、以下に記載のように、かなりばらつきがあり、かつ幾分低い緩和率を示しやすい。
【0009】
さらに、米国特許第6450956号明細書は、Ro=−CH2−CH2−CO−NH−Y[式中、Yは、必然的に、重いアミノアルコール鎖、例えば、約500〜1500の分子量を伴う鎖を表す]を伴う化合物を開示する。約3000の分子量のこれらの化合物は、約20〜30mM−1s−1Gd−1の極めて高い緩和率を有するが、産業上高価な合成および過度に高い粘度についての課題を提示し、それらの投与中にそれらの濃度が極めて高いことはあり得ない。さらに、これらの化合物は、非特異的化合物または低い特異性の化合物に必ずしも所望されない緩徐な拡散薬剤挙動(LDA)のような血管コンパートメントにおける高度に特異的な特性を示すことができる。特に、これらの化合物は中枢神経系に拡散することができる。
【0010】
従って、解決すべき重要な課題は、既に記載または市販されている非特異的化合物と比較して、単純化された化学合成および顕著に改善された緩和率の両方を示す新規化合物を得ることに成功することである。
【0011】
別の課題は、特に、3テスラを超える高い磁場において使用される場合でも悪影響を受けない画像化における効率(緩和率)を有する化合物を得ることである。これは、医用画像デバイスが、場の増加の方へ発達しているためである。DOTA、DTPAまたはDO3A骨格を含む多数の既知の化合物の緩和率は、高い場において顕著に減少することを留意すべきである。
【0012】
驚くべきことに、本出願人は、キレート性カルボキシル官能基に対してα位の鎖に分岐(もはや重くなくかつ複雑ではないが、それとは対照的に、短い)をグラフト化することによって、極めて効率的な製品を得ることに成功した。
【0013】
アミノアルコール鎖を使用する結果は特に有利であり、これは、特に、q=2の値を示す化合物(特に、PCTAおよびDO3A型のキレート)の場合の状況であり、従って、本説明の残部において化合物(II)と称される化合物を形成する。
【0014】
従って、本出願人は、それらが金属と錯体を形成する場合、約9〜15mM−1s−1Gd−1のr1値(即ち、先行の誘導体、特に、PCTA、DO3A、DOTAまたはDTPAに対して2〜3倍)を伴う極めて顕著に改善された緩和率(画像化における効率)および数量効率(製造価格)を有する化合物を得た。
【0015】
これらの化合物(II)は、それらが生物学的ターゲティング部を含まない場合、一度組み合わせると特に顕著であるいくらかの機能的特徴を示す:
・非イオン性:これは、注入しようとする製品の重量オスモル濃度および従って、注入される製品の用量を顕著に制限することが可能であり、これは、患者の満足度(重量オスモル濃度は血漿重量オスモル濃度に近似する)を改善するため、および注入のコストを減少するための造影製品の有利な基準である。
・高い親水性:これは、製品の可能な適切な溶解度および非毒性を可能にする。
・高い緩和率(高い強度のシグナル):緩和率は高く、かつ構造の水酸基による悪影響を受けない(クエンチされない)。
・低い製造価格(特に高い数量効率):化合物、とりわけ化合物IIは、僅か約800〜1000の分子量を伴う約12mM−1s−1Gd−1の高い緩和率を達成することが可能である。
・非特異的化合物生体内分布を得ることを可能にする低い分子量:例えば、特に、血管コンパートメントへの選択的拡散に対応する血液プール薬剤型の所望されない挙動が回避される。
【0016】
本組み合わせ発明におけるガドリニウムに関するカルボキサミド官能基のかなり満足のいく生化学的挙動も、また、アミノアルコール鎖を短くすることが、短い鎖を含む先行技術の他のキレートとは対照的に、極めて良好な緩和率を保持することが可能であることを予想することは全く自明ではなかった。
【0017】
さらに、本出願人は、予想外にも、緩和率は、金属と錯体形成した化合物(II)に対する磁場を伴っても安定であり、特に、米国特許第6440956号明細書の先行の化合物と比較して、かなり有利であることを見出した。
【0018】
従って、本発明は、第1の態様によれば、式(IIa)および(IIb):

[式中:
R1、R2およびR3は、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6はH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2およびX3は、互いに独立して、L−Y[式中、
Lは、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yは、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7はHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8はC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8はC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
DはCHまたはNを表し;
EはCHまたはNを表し;
F1はCHまたはNを表し;
ZはH、またはアリール−アルキル基、C1−C3アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、CH3、CH2−アリールを表し、
K1〜K20は、それぞれ独立して、H、−(CH2j−CH3もしくは−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK3もしくはK4はK5もしくはK6と共に、および/またはK7もしくはK8はK9もしくはK10と共に、またはK13はK14と共に、および/またはK15はK16と共に、および/またはK17はK18と共に、および/またはK19はK20と共に3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]の化合物(II);
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体またはそれらの混合物に関する。
【0019】
従って、本発明は、化合物(II)の異性体、特に、RRS、RSR、RSS異性体を含む。
【0020】
「C1−Cn」は、C1、C2、C3、...Cnから選択される任意の基を意味するものと理解されることを留意すべきである。
【0021】
本発明の趣旨の範囲内において、用語「アルキル」(またはアルキレン)は、炭素原子(好ましくは、1〜5個)の任意の直鎖もしくは分岐鎖および非置換鎖を意味するものと理解される。
【0022】
本発明の趣旨の範囲内において、用語「ヒドロキシアルキル基」は、1つもしくはそれ以上の水酸基を含む上記において規定される任意のアルキル鎖を意味するものと理解される。
【0023】
本発明において使用する用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどを含むがそれらに限定されない5〜8個の炭素原子を含有し、かつ1つもしくはそれ以上の芳香環を有する単環式または二環炭素環系、有利には、フェニルを指す。
【0024】
3つのY鎖がそれぞれ、200未満、有利には、50〜100の間の分子量を有する化合物(II)、および特に、Y鎖がそれぞれ、1〜5個のOH基を含む化合物が特に好適である。本発明はまた、化合物(II)であって、m+p>5、即ち、m=1、2、3とp=1、2、3、4との間の可能な組み合わせのそれぞれから生じる上記化合物を含む。
【0025】
有利な実施によれば、本発明は、式(IIa)[式中、EはN原子を表し、かつDおよびF1はCHを表す]の化合物に関する。
【0026】
特に、緩和率および溶解度についてのデータはまた、DOTAもしくはDTPA骨格を所有する化合物または値q=1を示す他のキレートについて有利である。従って、本発明は、別の態様によれば、短いアミノアルコール鎖のグラフト化の発明概念を適用することによって、式(VIa)または(VIb):

[式中:
R1、R2、R3、R4およびR5は、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6はH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立して、L−Y[式中、
Lは、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yは、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7はHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8はC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8はC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
K13〜K20は、互いに独立して、H、−(CH2j−CH3または−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK13はK14と共に、および/またはK15はK16と共に、および/またはK17はK18と共に、および/またはK19はK20と共に、3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]の化合物(VI);
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体またはそれらの混合物またはこれらの薬学的に許容される塩に関する。
【0027】
従って、本発明は、化合物(VIa)の異性体、特に、RRRR、RSRR、RRSS、RSRS異性体を含む。
【0028】
従って、本発明はまた、無機もしくは有機酸または塩基、特に、キレート上に存在するアミノ基の塩酸塩およびカルボン酸基のナトリウム、カリウムおよびN−メチルグルカミン塩を伴う式(VIa)ならびに(VIb)の薬学的に許容される塩に関する。
【0029】
用語「塩」については、例えば、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第65版、CRC Press,Boca Raton,Fla.,1984年に規定されている。用語「薬学的に許容される塩」は、酸性または塩基性塩、例えば、無機もしくは塩、アミンのような塩基性残基の酸性塩、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩(塩の例:塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸)、特に、メグルミンもしくはリジン塩を形成させることによって、改変される本発明による化合物の誘導体を指す。また特に、カルシウムおよび亜鉛塩を利用してもよい。
【0030】
化合物(VI)であって、それぞれのY鎖が120未満、好ましくは、20〜100の間の分子量を有し、および少なくとも7mM−1s−1Gd−1の水中緩和率を有する上記化合物が好適である。
【0031】
化合物(VIa)および(VIb)は、200を超える分子量を伴う重いアミノアルコール鎖を担持するDOTAおよびDTPA誘導体を含む米国特許第第5712389号明細書に対して有利な改善をなす。
【0032】
全体的に、本発明は、特に:


[式中:
R1、R2、R3、R4およびR5は、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6はH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2、X3、X4およびX5は、互いに独立して、L−Y[式中、
Lは、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yは、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7はHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8はC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8はC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
DはCHまたはNを表し;
EはCHまたはNを表し;
F1はCHまたはNを表し;
ZはH、またはアリール−アルキル基、C1−C3アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、CH3、CH2−アリールを表し、
K1〜K20は、それぞれ独立して、H、−(CH2j−CH3もしくは−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK3もしくはK4はK5もしくはK6と共に、および/またはK7もしくはK8はK9もしくはK10と共に、またはK13はK14と共に、および/またはK15はK16と共に、および/またはK17はK18と共に、および/またはK19はK20と共に3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]から選択される化合物;
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体もしくはそれらの混合物または式(VIa)および(VIb)の化合物の薬学的に許容される塩に関する。
【0033】
有利な実施によれば、本発明は、式(II)または(VI)[式中、X1〜X5は、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8または−(CH2n−NR7−CO−R8[式中、nは1〜3の間であり、R7はHもしくはメチル基を表し、かつR8はC1−C6、有利には、C2−C3、ヒドロキシアルキル基、好ましくは、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1〜4、もしくは−C−(CH2OH)3を表す]を表す]の化合物に関する。
【0034】
有利なことに、X1〜X5は、独立して、−(CH2n−CONR7R8[式中、nは1〜3の間であり、R7はHもしくはメチル基を表し、かつR8はC1−C4ヒドロキシアルキル基、好ましくは、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1もしくは2、または−C−(CH2OH)3を表す]を表す。
【0035】
有利なことに、X1〜X5は、独立して、−(CH2n−CONR7R8[式中、nは1〜3の間であり、R7はHを表し、かつR8は−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1〜4、または−C−(CH2OH)3を表す]を表す。
【0036】
さらに高い可能性として、本出願人は、上記の化合物(II)および(VI)と比較して、機能的等価性(緩和率、物理化学、生体内分布)について研究すべき以下の特徴d)〜f)を示す化合物(II)および(VI)に興味を示した:
d)以下の式(IIc)

[式中、Eは、N、S、O、=Cから選択され;F1は、(−CHR9−)nまたは(=CR9−)nから選択され、ここで、R9は、米国特許第5403572号明細書、カラム63において意図される意味を有する;Dは、N、O、C=O、−ND1から選択され、ここで、D1は、H、C1−C3アルキル、−CH−D2、=C−D2−から選択され、ここで、D2は:H、C1−C3アルキル(任意で1つもしくはそれ以上の水酸基で置換される)、−O−D3(ここで、D3は、任意で水酸基で置換されるC1−C3アルキルであるか、またはD3は−(CH2m−CO−N−D4であり、D4は米国特許第5403572号明細書に類似して選択される)];
e)Lは、アルキル鎖(任意でヒドロキシルもしくはフェニル基で置換される6個までの炭素を含む線状または分岐した炭化水素鎖)であるか、あるいはLは、任意で1つもしくはそれ以上の酸素原子、1つもしくはそれ以上のヒドロキシメチレン(CHOH)基、イミノ基、1つもしくはそれ以上の二重もしくは三重結合によって中断される1〜6個の炭素原子のアルキレン鎖である;
f)Yは、A−Bがカルボキサミド官能基CONHまたはカルボニルアミノ官能基NHCO以外の官能基であり;特に、Aが:−NCS、−NH−NH2、−CHO、アルキルピロカルボニル(−CO−O−CO−アルキル)、アシルアジジル(CO−N3)、イミノカルボネート(−O−C(NH)−NH2)、ビニルスルフリル(−S−CH=CH2)、ピリジルジスルフリル(−S−S−Py)、ハロアセチル、マレイミジル、ジクロロトリアジニルまたはハロゲンから選択される官能基である、A−B−R2鎖であって;
ここで、例えば、A−B基は、−COO−、−OCO−、−NH−CS−NH−、−CH2−S−、−NH−NH−CO−、−CO−NH−NH−、−CH2−NH−、−NH−CH2−、−NH−CS−N−、−CO−CH2−S−、−NH−CO−CH2−S−、−N−CO−CH2−−CH2−S−、−CH=NH−NH−、−NH−NH=CH−、−CH=N−O−または−O−N=CH−型の共有結合を形成する;
【0037】
本出願人はまた、Yがカルバモイル基CONR'2R'3[式中、R'2およびR'3は、それぞれ独立して、ヒドロキシアルキル以外の鎖であり、および特に、アルキル(線状もしくは置換された)、アルコキシ(即ち、アルキル−O−)、アルコキシカルボニル(即ち、アルコキシ−C=O)、シクロアルキル、アルコキシアルキル、アリール(特に、フェニル、ピリジル、フリル)またはアラルキル(特に、アルキル基に結合したアリール基)基から選択される基である]を表す化合物について研究した。
【0038】
別の態様によれば、本発明は、上記で規定される式(II)および(VI)の化合物の多量体(有利には、二量体もしくは三量体)に関する。そのような多量体を生成するために、式(II)または(VI)の化合物は、共に、有利には結合基を介して結合される。特に、これらの結合基は、Dにおいて式(IIa)の化合物に結合させることができる。多様な結合基を使用することができる。本出願人は、特に、式(IIa)[式中、Dは−CH−G基を表し、ここで、Gは、米国特許第5403572号明細書において示される意味を有する]の化合物について研究した。特に、Gは、結合基を介して第1の大環状分子に結合された式(II)の少なくとも1つの第2の大環状分子を表す。使用することができる結合基については、米国特許第5403572号明細書のカラム12〜14に記載されている。本出願人はまた、特に、2を超える大環状分子、および特に、基を含む結合基のような3つの大環状分子(II)に結合することが可能な結合基を含む化合物についても研究した。

【0039】
別の態様によれば、本発明は、結合基の任意の仲介物を介して少なくとも1つのバイオベクターに結合される上記で規定される式(II)または(VI)の化合物を含むベクトル化された(vectorized)化合物に関し、このバイオベクターは、病理学的領域のターゲティングバイオベクターであることが可能である。これは、式(II)または(VI)の化合物が非特異的化合物として特に有利であると説明されているが、例えば、それらをターゲティングバイオベクターに結合することによって、それらをシグナル実体として使用することも可能であるためである。従って、単量体の緩和率、安定性、溶解度の利点は、特定の生成物としての使用と組み合わせられる。
【0040】
結合基は、DもしくはF1において式(IIa)の化合物に結合させることができ、結合基が存在しない場合、任意の結合基または生体分子は、X1〜X3において式(II)の化合物に結合させることができる。この場合、X1〜X3基のうちの少なくとも1つが、生体分子もしくは生体分子に結合させることが可能な官能基であるか;またはDもしくはF1が、生体分子に結合させることが可能な官能基である。
【0041】
任意の結合基または生体分子は、結合基が存在しない場合、X1〜X5において式(VI)の化合物に結合させることができる。この場合、X1〜X5基のうちの少なくとも1つは、生体分子または生体分子に結合させることが可能な官能基である。
【0042】
使用することができる多数のバイオベクターが、例えば、国際公開公報第2004/112839号の明細書、特に、60〜82頁および特に、番号1〜27において開示されており、キレート形成するバイオベクターの結合が、例えば、この書面の特に135〜137頁(参考として援用される)において例示されている。
【0043】
従って、本出願人は、(II)r−(結合基)s−(バイオベクター)tのように記載される式(VIIIa)、および(VI)r−(結合基)s−(バイオベクター)tのように記載される(VIIIb)であって、ここで、典型的に、r、sおよびtは1〜5の間である、の化合物について研究した。
【0044】
使用することができる他の多数のバイオベクターが、例えば、国際公開公報第2005/049005号、国際公開公報第2005/049095号、国際公開公報第2005/042033号および国際公開公報第2001/9188号に開示されている:VEGFおよびアンギオポイエチン受容体を標的化するバイオベクター、フィブリンを標的化するポリペプチド、インテグリンを標的化するためのペプチド、メタロプロテアーゼ(MMP)を標的化するためのペプチド、例えば、KDR/Flk−l受容体またはTie−1 e受容体を標的化するペプチド、G−タンパク質受容体GPCR、特に、コレシストキニン、RGDペプチドを標的化するためのリガンド、アミロイド沈着、カテプシン切断ペプチド、血管新生インヒビターを標的化するための因子、P−セレクチンまたはE−セレクチン、チロシンキナーゼインヒビター、ソマトスタチンアナログのためのターゲティングバイオベクター、GRPまたはボンベシン受容体を標的化するためのペプチド、Topics in Current Chemistry、第222巻、260−274、Fundamentals of Receptor−based Diagnostic Metallopharmaceuticalsに記載のバイオベクター、ならびに特に:
・腫瘍において過剰発現されるペプチド受容体(例えば、LHRH受容体、ボンベシン/GRP、VIP受容体、CCK受容体、タキキニン受容体)、特に、ソマトスタチンアナログまたはボンベシンアナログ、任意でグリコシル化されるオクトレオチド誘導性ペプチド、VIPペプチド、α−MSH、CCK−Bペプチドのためのターゲティングバイオベクター;
・環状RGDペプチド、フィブリンα−鎖、CSVTCR、タフトシン、fMLF、YIGSR(受容体:ラミニン)から選択されるペプチド。
【0045】
特に、1000を超える、好ましくは、10000を超える、100000もしくはそれ以上の特異性を有するインテグリンを標的化するためのベクターを利用してもよく、それら、MRIまたはシンチグラフィーにおいて可能な用途を有し、例えば、J.Med.Chem.,2003,46,4790−4798,Bioorg.Med.Chem.Letters,2004,14,4515−4518,Bioorg.Med.Chem.Letters,2005,15,1647−1650に記載されている。
【0046】
ペプチドに関して、調製、任意の環化およびキレートとの結合は、例えば、キレートと異なる2つのペプチドとの結合についての米国特許第2004/0210041号明細書、特に、15〜20頁に開示されている。
【0047】
それらが、バイオベクターの少なくとも1つの官能基および式(II)または(VI)の化合物の少なくとも1つの官能基と相互作用することが可能である限り、多くの結合基を使用することができる。特に、以下について言及する:
A)−(CH22−フェニル−NH、−(CH23−NH、−NH−(CH22−NH、−NH−(CH23−NH、なしまたは単結合、
B)P1−l−P2(同一もしくは異なる)、P1およびP2は、O、S、NH、なし、−CO2、−NCS、−NCO、−SO3H、−NHCO、−CONH、−NHCONH、−NHCSNH、−SO2NH−、−NHSO2−またはスクアレートから選択される(ここで、l=アルキレン、アルコキシアルキレン、ポリアルコキシアルキレン、アルキレンであって、フェニレン、アルキリデンまたはアルシリデンによって中断される)、
C)(バイオベクターおよび式(II)もしくは(VI)の化合物の)アミノ、ヒドロキシル、チオール、カルボキシル、カルボニル、炭水化物、チオエーテル、2−アミノアルコール、2−アミノチオール、グアニジニル、イミダゾリルまたはフェノール官能基と反応することが可能な米国特許第6264914号明細書において開示される結合基。
【0048】
チオール基と反応することが可能な基として、イミダゾリル、チオエーテル、フェノールまたはアミノ基と作用させるために使用することができる−Z−CH2CO−型(ここで、Z=Br、ClまたはI)のα−ハロアセチル化合物が挙げられる。
【0049】
特に、アミノ基と反応することが可能な基として、以下のものが挙げられる:
・アルキル化化合物:α−ハロアセチル化合物、N−マレイミド誘導体、アリール化合物(例えば、ニトロハロ芳香族化合物)、シッフ塩基の形成が可能なアルデヒドおよびケトン、エピクロロヒドリンのようなエポキシド誘導体、求核剤、アジリジン、スクアリン酸エステルまたはα−ハロアルキルエーテルに関して高度に反応性である塩素を含むトリアジン誘導体。
・アシル化化合物:イソシアネートおよびイソチオシアネート、塩化スルホニル、ニトロフェニルエステルもしくはN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルのようなエステル、酸無水物、アシルアジド、アゾラクトンまたはイミドエステル。
【0050】
カルボキシル基と反応することが可能な基として、ジアゾ化合物(ジアゾ酢酸エステル、ジアゾアセトアミド)、カルボン酸を修飾する化合物(例えば、カルボジイミド)、イソキサゾリウム誘導体(クロロギ酸ニトロフェニル;カルボニルジイミダゾールなど)またはキノリン誘導体が挙げられる。
【0051】
グアニジニル基と反応することが可能な基として、フェニレンジグリオキサールのようなジオン化合物、またはジアゾニウム塩が挙げられる。
D)以下の式の米国特許第6537520号明細書において開示された結合基
(Cr6r7g−(W)h−(Cr6ar7ag'−(Z)k−(W)h'−(Cr8r9g'’−(W)h'’−(Cr8ar9ag'’’
(ここで、この書面において開示された意味を有する)。
E)国際公開公報第2005/009393、17〜20頁において開示された結合基。
【0052】
本出願人はまた、化合物の緩和率を改変する構造における改変をインビボで経験するような生物学的ターゲティングバイオベクター部を含む上記において示される式(VIIIa)または(VIIIb)の化合物についても研究した。SMART概念として先行技術において記載のこの改変は、例えば、酵素切断(プロテアーゼ(メタロプロテアーゼ、カスパーゼ、カテプシンなど)、リパーゼ、ヌクレアーゼなど)または病理学的領域における局所的物理化学的改変によって生じる。
【0053】
本発明はまた、高い親和性を有する式(II)または(VI)の特定の化合物をスクリーニングするための方法であって、ターゲティング部を含む化合物を調製すること、生物学的標的と接触させること、および標的との結合(特に、解離定数)を測定することを含む上記方法に関する。
【0054】
特に有利な別の態様では、本発明は、本発明による式(II)もしくは(VI)の化合物、本発明による多量体または本発明によるベクトル化された化合物、有利には、式(VIIIa)もしくは(VIIIb)とMとの錯体に関し、Mは、原子番号21〜29、42〜44もしくは58〜70(例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、およびイッテルビウム;元素Gd(III)、Mn(II)、ユウロピウムおよびジスプロシウムが特に好適である)の常磁性金属のイオンまたは99Tc、117Sn、111In、97Ru、67Ga、68Ga、89Zr、177Lu、47Sc、105Rh、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、67Cu、90Y、159Gd、149Prおよび166Hoから選択される放射性核種、あるいは原子番号21〜31、39〜49、50、56〜80、82、83もしくは90の重金属のイオンを表す。
【0055】
有利なことに、本発明による錯体は、MがGd3+、Mn2+およびFe3+から選択される常磁性金属のイオン、有利には、Gd3+であるようなものである。
【0056】
有利なことに、本発明による錯体は、以下の式の錯体から選択される:



【0057】
本発明は、特に、非イオン性であり、かつ以下を示す本発明による化合物(II)の錯体に関する:
・少なくとも9mM−1s−1Gd−1、好ましくは、少なくとも10、12、14mM−1s−1Gd−1の水中緩和率、
・400〜600mM、有利には、約500mMのGd濃度について、800〜1200mOsm/kgの間、有利には、約900〜1100、有利には、約1000mOsm/kg(Wescor5220トノメーター、Bioblock)の重量オスモル濃度。
・800〜1300の間、特に、950〜1100の間の分子量、
・10mPa・s(Anton Paar AMVn粘度計)未満、有利には、2〜5mPa・sの間の粘度。
【0058】
本発明によるGd3+との錯体と先行技術の製品との間の比較を以下の表に示す。
【0059】

【0060】
緩和率は、製品の同じ用量に従って投与される商業製品と比較して、約3倍になり、それは、約500mMの用量(典型的に、Dotarem(登録商標)では15mlの注入用量)で生じる。
【0061】
注入される同じ用量のガドリニウムでは、化合物は、Gadovist(登録商標)の2倍効果的であり、1M(即ち、Dotaremの2倍濃縮)で投与することができ、この結果は、Gadovist(登録商標)での生成物(4×1000)と化合物(II)の錯体での生成物(11×500)との比較によって得られる。
【0062】
重鎖を担持し、かつ高い粘度を有するPCTA型の化合物(それらの濃度の範囲が約150mMを超えることは不可能である)とは対照的に、化合物(II)の錯体の満足のいく粘度は、500mMの濃度でそれらを臨床的に使用することを可能にする。
【0063】
化合物(II)の錯体のうち、緩和率r1が40MHz(1T)〜300MHz(7T)の間で実質的に安定である化合物(II)の錯体が特に有利である。用語「40MHz〜300MHzの間で実質的に安定な緩和率」とは、緩和率の維持またはかなり小さな低下を意味するものと理解され、低下は、20%を超えない、好ましくは、10〜20%を超えない。
【0064】
しかし、高い場における安定性についてのこのパラメータが、前記錯体の臨床用途にかなり有利である他の物理化学的特徴によって補われる場合、好適な範囲の上記パラメータのこのような組み合わせは、約3〜7テスラの高い場に対して、例えば、30%のより大きな緩和率r1の低下を経験する顕著な錯体を排除しない。これは、特に、本発明による錯体7の場合であり、緩和率は、20MHzにおいて14.7mM−1s−1Gd−1、40MHzにおいて12.8、300MHzにおいて10.4である。従って、この錯体は、デバイスのプールの重要な部分を表す1〜3Tの間のMRIデバイスに極めて効果的である。
【0065】
驚くべきことに、本出願人は、さらに、約60MHz(1.5T)での化合物(II)の錯体の緩和率の増加(ここで、r1値は約12〜15mM−1s−1Gd−1であり、従って、それらを医療従事者にとって極めて効果的にする)を見出した。20MHz〜60MHzの間での緩和率の増加は、約20%である。
【0066】
特に有利な化合物(II)(特に、上記において詳細に記載した化合物2)は、生理学的条件下においても、イオンの存在を伴い、内因性イオンによる所望されないクエンチ効果を伴わずに安定な緩和率を示すものである。
【0067】
驚くべきことに、本発明者らは、(短いアミノアルコール鎖を担持する)本発明による錯体の緩和率が、短いアルコール鎖でグラフト化されたPCTA骨格を含む化合物のそれより顕著に良好であることを発見した。
【0068】
従って、本出願人は、短いアルコール鎖を示し、かつ短いアミノアルコール鎖を示さない米国特許第5403572号明細書の化合物と比較して得られる結果を比較した。
【0069】
従って、先行技術による比較例8の化合物(−CH(CO2H)−CH2OH分岐位)は、おそらく、キレートの水の交換を妨害する(2個の水分子のうちの1個の環との交換の障害)所望されない分岐の折り畳みにより4.7の緩和率しか有さない。先行技術による比較例9の化合物(−CH(CO2H)−CH2−CH2OH分岐位)は、6の緩和率しか有さなかった。
【0070】
先行技術との比較の結果を、以下の表2において対照する。
【0071】

【0072】
この表はまた、化合物IIの極めて有利な数量効率(比MW/r1=分子量/緩和率)を反映する。とりわけ、PCTAコアを伴う化合物II.aは、組み合わせで極めて良好な緩和率、最適化された数量効率比(約90)および低い重量オスモル濃度を有する。
【0073】
本発明の化合物は、複雑であるかもしくはそれほど安定でないまたは特に、過度に高い重量オスモル濃度の以下の既知の製品との組み合わせでかなり有利である:
・粘度および製造コストの問題を提示する長い鎖を担持するキレート、
・注入される製品とアルブミンのような生物学的高分子との患者における結合を目的とするターゲティング部を含むキレート;インビボ結合は、キレートの固定化の効果による緩和率の増加によって反映される。
【0074】
それらの非イオン性のため、化合物IIは、イオン性(それぞれ1および2個の遊離COOH基)化合物の約1400および2000に匹敵すべきである約1000の重量オスモル濃度を有する。実際に、これは、注入される溶液を濃縮すること、即ち、かなり少ない製品容積(それぞれ、比1400/1000および2000/1000)を患者に注入することが可能であり、彼らの満足度に極めて有利である。実際に、例えば、Dotaremまたは先行技術の他の化合物では、15mlの化合物IIが20mlの代わりに注入され、緩和率は少なくとも2倍良好である。
【0075】
従って、得られる化合物(II)の錯体は、非特異的造影剤(生物学的ターゲティングバイオベクター実態によってベクトル化されない;それにもかかわらず、それらは、血管造影、CNS中枢神経系および変種のような多くの診断項目において有用である)として全体的に適切である。さらに、それらは滅菌することができる。
【0076】
本発明は、さらに、本発明による化合物または本発明による多量体または本発明によるベクトル化された化合物または本発明による錯体、薬学的に許容されるビヒクルおよび任意で処方添加物を含む薬学的組成物に関する。
【0077】
本発明は、特に、脂質ナノ粒子に結合された本発明による化合物または本発明による多量体または本発明によるベクトル化された化合物または本発明による錯体を含む脂質薬学的組成物に関する。
【0078】
有利なことに、これらの脂質組成物は、ミセルまたは類似の脂質粒子のリポソーム型のエマルジョンである。これらの組成物では、好ましくは、本発明による化合物、多量体または錯体は、脂質粒子に結合するための少なくとも1つの脂質親和性基を示すために、改変される。従って、この化合物、この多量体またはこの錯体は、適切な脂質親和性トランスポーターとの化学結合によって、好ましくは、リポソーム、フルオロカーボンナノ粒子、油乳濁液およびミセルから選択される脂質粒子または脂質カプセル化システムに有利に結合される。
【0079】
式(II)あるいは(VI)の化合物は、X1〜X5基の少なくとも1つを、−(CH2a−CONR11R12、あるいは

基[式中、a=1、2もしくは3、R11およびR12は、独立して、H原子または任意で二重結合、O、NH、NR13またはSによって中断される飽和もしくは比飽和、線状もしくは分岐、置換もしくは非置換C7−C30アルキル鎖を表し、ここで、R13はC1−C3アルキルであり、またはR11およびR12は、独立して、

基(ここで、b=0、1もしくは2、およびR10は、任意で置換される少なくとも6個の炭素原子の飽和もしくは非飽和基であり、スペーサーは、−CH2CH2もしくはポリアルキレングリコール基、ホスファチジルエタノールアミンまたはセリンのようなペプチド誘導体を表す)を表す]のような脂質親和性基から選択することによって、基X1〜X5において親和性にすることができる。
【0080】
本発明は、また、診断用組成物、特に、造影剤、より詳細には、本発明による化合物または本発明による多量体または本発明によるベクトル化された化合物または本発明による錯体を含む磁気共鳴画像のための診断用組成物に関する。
【0081】
式(IIa)[式中、X1〜X3は、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8[式中、n=1〜3ならびにR7およびR8は、上記で規定されるとおりである]を表す]の化合物の本発明による金属錯体の調製方法であって、以下の工程を含む:
a)以下の式(IV)

[式中、D、EおよびF1は上記で規定されるとおりである]の縮合大環状分子と、
式R'OOC−CHQ−(CH2n−COOR'[式中、n=1〜3、Qは脱離基、有利には、ハロゲン原子、好ましくは、臭素、または(C1−C3)アルキルスルホン酸、トシル酸もしくはトリフル酸基を表し、かつR'はHまたは(C1−C3)アルキルもしくはベンジル基を表す]の化合物とを、以下の式(V)

のヘキサ酸またはエステルを得るために反応させる工程と;
b)R'がH以外である場合、式(Va)

[式中、D、EおよびF1は上記で規定されるとおりであり、かつnは1〜3の間である]のヘキサ酸を得るために、任意で式(V)のヘキサ酸のエステル官能基を加水分解もしくは水素化する工程と;
c)対応する錯体または塩基とのその塩の1つを得るために、式(Va)のヘキサ酸と、錯体形成させようとする金属の塩もしくは酸化物とを反応させる工程と;
d)式(IIa)[式中、X1〜X3は、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8[式中、n=1〜3ならびにR7およびR8は上記で規定されるとおりである]を表す]のトリアミドを得るために、カルボン酸官能基を活性化する薬剤の存在下で、錯体と、アミノアルコール基または基NHR7R8[式中、R7およびR8は上記で規定されるとおりである]とを反応させる工程。
【0082】
式(IV)の大環状分子は、Inorg.Chem.,32,5257−5265(1993年)に記載のRichmanおよびAtkinsの方法によって調製することができる。
【0083】
窒素原子の置換(段階(a))は、例えば、アルコールのような極性溶媒、または好ましくは、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランのような非プロトン性溶媒中のNaOH、Na2CO3もしくはN(C2H53のような無機もしくは有機塩基溶液の存在下におけるα−ブロモグルタル酸エステルの作用によって、行われる。
【0084】
エステル官能基の加水分解(段階(b))は、水性または水性/アルコール性媒体中の塩基もしくは酸性の作用によって、有利に得られる。
【0085】
錯体形成(段階(c))は、例えば、米国特許第5554748号明細書またはHelv.Chim.Acta,69,2067−2074(1986年)に記載のように、従来どおりに行われる。
【0086】
特に、ガドリニウム錯体を得るために、GdCl3またはGd2O3を、5〜6.5のpHにおいて、水溶液中の式(V)の化合物と反応させることができる。2つの錯体の相対的安定性がそれを可能にする場合、式(Va)または(II)の錯体のカチオンを、特に、イオン交換樹脂と交換することもまた可能である。
【0087】
アミド化反応(段階(d))は、水性媒体中、任意で可溶性カルボジイミド、例えば、J.Org.Chem.,21,439−441(1956年)および26,2525−2528(1961年)もしくは米国特許第3135748号明細書において開示されるアミン基を担持するかまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)カルボジイミド(EDCI)および1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホネートに関するOrg.Synth.,V,555−558において開示される第四級アンモニウム基を担持するもののような活性化剤を伴うジオキサンまたはテトラヒドロフランのような第3の溶媒の存在下で、得ることができる。それは、Bioconjugate Chem.,5,565−576(1994年)に記載のようなN−ヒドロキシスルホスクシンイミド、またはTetrahedron Letters,30,1927−1930(1989年)に記載のテトラフルオロホウ酸2−スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムおよび類似体によって、行うことができる。
【0088】
段階(d)による別のプロセスは、例えば、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(NHS)またはヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を、EDCIのようなカルボジイミドの存在下で、無機カチオン、例えば、アンモニウムまたはナトリウムによる塩化(salification)によって溶解することができる錯体(Va)と反応させることによって、中間体の活性化されたエステルを形成させることからなる。
【0089】
2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)により、水性/アルコール性媒体において反応を行うことができる。アミンNHR7R8は、市販されている公知の化合物であり、または当業者に周知のプロセスによって、調製することができる。
【0090】
別の態様によれば、本発明は、診断方法および上記に記載のような錯体を使用する放射性薬学的処置方法に関する。
【0091】
別の態様によれば、本発明は、診断もしくは放射性薬学的組成物の調製における上記において記載のような化合物または錯体の使用に関する。
【0092】
MRI診断について、通常、溶液における注入による静脈内投与は、典型的に、1〜500μmol Gd/kgの用量で生じる。単位用量は、造影製品の性質、投与経路および患者ならびに特に、研究しようとする障害の性質に依存する。静脈内注入および磁気共鳴による観察について、溶液の濃度は、典型的に、0.001〜1モル/リットルの間であり、場合により、0.001〜0.3ミリモル/キロが患者に投与される。本発明による錯体を含む造影製品は、特に、脳、心臓、肝臓もしくは腎臓のような器官、管系(冠動脈造影、血管造影など)の全部もしくは一部を画像化すること、およびこれらの領域の潅流について研究し、かつ腫瘍、炎症または虚血透過性における異形について特徴付けることを目的とする。
【0093】
放射性薬学的診断について、通常、塩溶液における注入による静脈内投与は、典型的に、70kgの体重あたり1〜100mCi、好ましくは、5〜50mCiの用量で生じる。
【0094】
放射性核種の選択は、特に、その半減期(一般的に、0.5〜8日)、放射性核種の放射エネルギー(特に、β−放射性核)に依存する。放射性同位元素は、適切な既知の方法によって、組み入れられる。99mTcについては、ペプチドの場合の一般的プロトコルが国際公開公報第2005/009393号、25−26頁に記載されている:ペプチド−結合基−キレート非金属コンジュゲートが溶解され、ペプチドにSH基が存在する場合、酸化からチオール基を保護する基が利用され、使用される標識化は、過テクネチウム酸ナトリウムおよびテクネチウムを還元するための還元剤であり、得られる標識されたコンジュゲートが分離される。キレート交換反応を伴うプロトコルについては、26頁に記載されている。
【0095】
バイオベクターとの結合の前にキレートを標識することができることもまた、留意すべきである。例えば、111Inおよび177Luでは、30〜150μgのバイオベクター(ペプチド)−結合基−キレート非金属コンジュゲートおよび20mCiの177LuCl3を含む溶液が調製される。pHは、例えば、6に調整される。溶液は、周囲温度で60分間、インキュベートされる。錯体形成していない177Luは、Na2EDTA溶液を添加することによって、キレート化される。標識された錯体の形成は、イオン交換クロマトグラフィーカラム、例えば、SephadexC25において評価される。調製される溶液は、生理学的pHに調整される。
【0096】
X線造影剤としての使用のための重原子濃度は、典型的に、0.1M〜5Mであって、ここで、静脈内投与による濃度は約0.5〜1.5mmol/kgである。
【0097】
別の態様によれば、本発明は、光学的画像を目的とする組成物の調製における上記において記載のような錯体の使用に関する。
【0098】
本発明はまた、本発明による常磁性金属を含む錯体の合成、患者へのその投与およびMRI画像化を含む画像化方法に関する。本発明はまた、病理学的領域を標的化することが可能な本発明による放射性薬学的錯体の合成、患者へのその投与およびSPECTまたは2次元γシンチグラフィーまたはポジトロン断層撮影(PET法)による画像化を含む画像化方法に関する。
【0099】
本発明はまた、Mが常磁性カチオンを表す場合、磁気共鳴画像のための、またはMが放射性元素を表す場合、核医学のための、またはMがX線を吸収する重原子のカチオンである場合、放射線学のための本発明による錯体を含む組成物に関し、前記組成物は、通常の添加物および経口または非経口経路による投与のためのビヒクルを含むことが可能である。
【0100】
より一般的には、本発明による錯体に対して使用することができる診断用途または任意の治療用途(放射線療法において)のための通常の条件は、国際公開公報第2005/062828号、「診断および治療用途」ならびに「放射線療法」に記載されている。
【0101】
PET、PET−SCANまたは類似の方法による画像化のための放射性核種(その合成は、使用時に、患者への製品の注入の施設の付近以外で可能である)の場合、化合物(II)もしくは(VI)に結合したバイオベクター(例えば、ソマトスタチン)またはバイオベクターに関して「明瞭な(transparent)」挙動を示すPETにおいて使用される他の任意の化合物(例えば、NOTA)を使用することが有利である。より具体的には、この明瞭性は、その生物学的標的に対するバイオベクターの認識(親和性)を有意に妨害しない化合物に存する。この明瞭性は、それが錯体形態にある場合であっても、化合物を遮蔽することが可能であるアミノアルコール鎖の親水性基によって促進される。従って、親水性の鎖の多様な構造および長さを伴うバイオベクターの親和性に対するスクリーニング試験は、式(VIII)の満足のいく製品を選択することを可能にすることができる。さらに、所望される遮蔽効果は、アミノアルコール以外の化学基についても研究することができる。
【0102】
バイオベクターに対するこのような保護効果は、特に、適切な即時的調製プロトコル(特に、放射性核種の使用を極めて顕著に改善することが可能であるゲルマニウム68GeからのMaeckeらのプロトコル)が当業者に公知であるガリウム68Gaの場合、かなり有利である。化合物とガリウムとの結合(例えば、DTPA−ペプチドコンジュゲートに関する米国特許第6071490号明細書に開示されている)は、例えば、10〜100mCiの68Gaを使用して行われる。化合物とバイオベクターとの間の適切な結合基はまた、親和性を保護する所望される遮蔽効果を容易にするために選択することができる。特に、1つの実施によれば、親水性結合基(例えば、PEG誘導体)が利用される。結合基のサイズは、有利なことに、生物学的標的と相互作用するバイオベクターの領域または複数の領域から化合物を離すのに十分長い。
【0103】
本発明はまた、本発明による式(II)または(VI)の化合物の錯体を含む組成物を患者に投与すること、および磁気共鳴により、シンチグラフィーによりまたはX線下で得られる研究しようとする領域を観察することに存する医用画像化方法に関する。
【0104】
本発明の診断用組成物は、本発明の錯体と共に、抗酸化剤、緩衝液、重量オスモル濃度調節剤、安定化剤、カルシウム、マグネシウムもしくは亜鉛の塩、あるいはこれらのカチオンまたは錯体形成化合物の小さな割合の他のキレートのような添加物を含むことができる。処方例は、一般的研究、特に、Remington's Pharmaceutical Science、第18版(1990年)、Mack.Pubに認められる。例えば、処方アジュバント(ラクトース、メチルセルロース、マンニトール)および/または界面活性剤(レシチン、Tween(登録商標)など)を含む滅菌塩水または水溶液を調製することが可能である。
【0105】
(例えば、本発明による式(II)の化合物の錯体のような)非イオン性錯体では、賦形剤、例えば、マンニトールを利用してもよい。
【0106】
薬学的に許容される用量とは、治療または診断用途に適切な用量を指す。
【0107】
本発明は、他で言及しない限り、すべてのキラル、ジアステレオ異性体、ラセミ、特に、シス−トランス、R−S、L−D、記載の化合物の形態を含む。
【0108】
上記の化合物(II)に加えて、本出願人は、以下の式のキレートについて研究した:

[式中、D、EおよびF1は上記で規定されるとおりであり、
有機酸キレート(またはこの有機酸キレートを含む組成物)は、鏡像体過剰率を示し、即ち、キレートの50%を超える(R)異性体または(S)異性体を有する。特に、nは1〜4の間、特に、n=2であり、2つの異性体のうち一方の少なくとも80、85、90または95%の過剰が存在する。そのような過剰は、改善された緩和率を所有する富化されたまたは光学的に純粋な造影剤を得ることに有利であり得る。
【0109】
(A1)では、

基を、3個の窒素原子のいずれかに結合することができる。
【0110】
(A2)では、

基を、3個の窒素原子のいずれかに結合することができる。
【0111】
(A3)では、

基を、3個の窒素原子のいずれかに結合することができる。
【0112】
そのような化合物は、バイオベクターに結合した化合物の合成のために使用することができ、国際公開公報第2005/001415号の明細書の実施例4および5においてDOTAについて開示されている。
【0113】
より一般的には、本出願人は、短いアミノアルコール鎖がグラフト化される任意のキレートについて研究した。これらのキレートは、例えば、DOTMA、NOTA、TETA、TTHA、CYDTA、HPDO3A、PA−DOTA、MeO−DOTA、MXDTPA、DTPA、PDTA、MECAM、CMDOTA、CDTA、CDTPAまたはOTTA型、AAZTA(Inorganic Chemistry、第43巻、第24号、2004年、7588−7590)および直接またはリンカーを介して頂部のアミノアルコール鎖に結合しているそれらの任意の誘導体)であり、それらの命名は、キレートの異性がなんであれ、公知である。
【0114】
さらに、本出願人は、以下の式のPCTA骨格を所有する化合物について研究した。

[式中:
u、vおよびwは独立して1または2である;
それぞれのR13は、独立して、以下の基:
H、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルキルアミノ、アルカノイルまたはアルカノイルオキシ(それぞれ置換することが可能である)から選択されるか、あるいは生体分子とコンジュゲートを形成することもしくは式(VII)のこの化合物の多量体を形成することが可能な官能基あるいは生体分子とコンジュゲートを形成している官能基を表す;
G1、G2およびG3は、独立して、−COOR14、−P(O)(OR14)2、−P(O)(OR14)(R14)、−C(O)N(R14)2または−R15−P(O)−OR14(それぞれのR14はHであり、かつそれぞれのR15は(C1−C4)アルキルもしくはアリールアルキルであるホスフィネート)を表す;
K1〜K12のそれぞれは、独立して、次のもの:H、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルまたは生体分子とコンジュゲートを形成するもしくは式(VII)のこの化合物の多量体を形成することが可能な官能基から選択される]。
【0115】
式(VII)では、以下の定義が適用される:
・「シクロアルキル」は3〜8個の炭素原子の環式炭化水素基を指す。基は、例えば、次のものによって置換されていなくてもまたは置換されていてもよい:アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、カルバモイル、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、スルホンアミドなど;
・「アルコキシ」は−アルキル(O)を指す;
・「アリール」はフェニル、ピリジル、フリル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリルなどを指す。好適な置換アリール基は、1、2もしくは3個のハロゲン、ニトロアミノ、マレイミド、イソチオシアナト、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、カルバモイル、カルボキサミド、アシルアミノまたはカルボキシルによって置換される;
・「アラルキル」は、アルキル基に結合したアリール基を指す;
・「ハロゲン」はブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す;
・「アルカノイル」はアルキル−(C=O)−を指す;
・「アルカノイルオキシ」はアルキル−(C=O)−O−を指す;
・「アルキルアミノ」は−NHRであって、ここで、Rはアルキルである、を指す。
【0116】
本明細書を通して、ヒドロキシアルキル基は、1つもしくはそれ以上の水酸基を含む線状または分岐したアルキル鎖を指す。
【0117】
本発明を、以下の非制限的実施例によって例示する。
【0118】
緩和率測定:
緩和時間T1およびT2を、標準的な手順により、Minispec120デバイス(Bruker)において、20MHz(0.47T)および37℃で決定した。縦緩和時間T1は、反転回復シーケンスを使用して測定され、かつ横緩和時間T2は、CPMG技術によって測定される。
【0119】
緩和率R1(=1/T1)およびR2(=1/T2)を、異なる合計金属濃度(0.1×10−3〜1×10−3mol/lで変動する)について、水溶液中、37℃で算出した。濃度の関数としてのR1またはR2の間の相関関係は線形であり、かつ勾配は緩和率r1(R1/C)またはr2(R2/C)を表し、(1/秒)×(1/mmol/l)、即ち、mM−1.s−1として表現される。
【0120】
化合物を、異なる媒体:水、NaCl、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、イオンのカクテルにおいて調製した。
【0121】
本出願人は、得られる生成物が安定であり、特に、適切なプロトコルによって、金属交換反応を経験しないことを確認した。線状のキレートとは対照的に、特に、ZnCl2の存在下で、生成物は、完全に安定である(標準的プロトコル:生成物の濃度=ZnCl2の濃度=研究した溶液中1.25mM;温度37℃)。
【0122】
実施例1:

200mlの水中1.05molのアンモニアを含む溶液を調製する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の17.5gのガドリニウム錯体、1.96gのHOBT、24.92gのEDCIおよび150mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。24時間後、反応媒体を約70mlに濃縮する。反応媒体を、700mlのエタノール+200mlのエーテルから沈殿させる。固体をろ過して取り出し、次いで、シラン処理シリカRP2上のクロマトグラフィーによって精製し、水で溶出を行う。5.43gの生成物1が得られる。m/z(ES+)=749。
【0123】
実施例2:

40mlの水中0.763gの3−アミノプロパン−1,2−ジオールを含む溶液を調製する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の2gのガドリニウム錯体、0.162gのHOBT、1.99gのEDCIおよび30mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。24時間後、反応媒体を約20mlに濃縮する。反応媒体を、100mlのエタノール+100mlのエーテルから沈殿させる。固体をろ過して取り出し、次いで、RP18シリカ上のクロマトグラフィーによって精製し、水/CH3CN:勾配100%〜90%(v/v)で溶出を行う。980mgの生成物2が得られる。m/z(ES+)=971。
【0124】
実施例3:

40mlの水中0.512gのエタノールアミンを含む溶液を調製する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の2gのガドリニウム錯体、0.162gのHOBT、1.99gのEDCIおよび30mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。24時間後、反応媒体を約20mlに濃縮する。反応媒体を、100mlのエタノール+100mlのエーテルから沈殿させる。固体をろ過して取り出し、次いで、RP18シリカ上のクロマトグラフィーによって精製し、水/CH3CN:勾配100%〜90%(v/v)で溶出を行う。560mgの生成物3が得られる。m/z(ES+)=881。
【0125】
HPLC:Lichrospher RP18カラム、250×4.6mm、流速:1ml/分、201nmにおけるUV検出。
移動相:A:水/B:CH3CN
【0126】

【0127】
rt=10〜11分(いくらかのピーク)
【0128】
実施例4:

110mlの水中6.1gのセリノールを含む溶液を調製する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の11.25gのガドリニウム錯体、1.3gのHOBT、16gのEDCIおよび50mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。24時間後、反応媒体を濃縮して乾燥する。ペーストをエタノール中で硬化させる。固体をろ過して取り出し、次いで、シラン処理シリカRP2上のクロマトグラフィーによって精製し、水で溶出を行う。5.2gの生成物4が得られる。m/z(ES+)=971。
【0129】
HPLC:Lichrospher RP18カラム、250×4.6mm、流速:1ml/分、201nmにおけるUV検出。
移動相:A:水/B:CH3CN
【0130】

【0131】
rt=10〜12分(いくらかのピーク)
【0132】
実施例5:

3.66gのグルカミンを70mlの水に溶解する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の5gのガドリニウム錯体、0.372gのHOBT、4.576gのEDCIおよび50mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。ATで9時間、反応させた後、6gのグルカミンを反応媒体に添加し、HClでpHを6に調整する。0.372gのHOBTおよび4.576gのEDCIを反応媒体に添加する。pHを6に調整する。1晩反応させた後、反応媒体を濃縮する。26gの粗生成物を、Lichrospher RP18カラム上の調製HPLCにより精製する。4.7gの生成物5が得られる。m/z(ES+)=1241
【0133】
実施例6:

2.896gの3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオールを、100mlの水に溶解する。pHをHClで6に調整する。3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリ(α−グルタル酸)の5gのガドリニウム錯体、0.372gのHOBT、4.576gのEDCIおよび75mlのジオキサンを先の溶液に添加する。pHを6に調整する。ATで8時間反応させた後、2.896gの3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオールを反応媒体に添加する。pHをHClで6に調整する。0.372gのHOBTおよび4.576gのEDCIを反応媒体に添加する。pHを6に調整する。1晩反応させた後、反応媒体を濃縮する。29gの粗生成物を、Lichrospher RP18カラム上の調製HPLCにより精製する。3.8gの生成物6が得られる。m/z(ES+)=1213
【0134】
実施例7:

中間体3:
5gの化合物中間体(Int.)1、41gの2−ブロモヘキサン二酸ジエチルエステル(75%の純度)および16gのK2CO3を、400mlのアセトニトリルに溶解する。溶液を、1晩、還流する。それをろ過し、ろ液を濃縮し、次いで、水/HCl混合物において、pH=2で採取する。ろ液をエーテルで洗浄する。水相を中和し、次いで、CH2Cl2で抽出する。有機相を濃縮する。オイル中12gの中間体4が得られる。m/z=806
【0135】
HPLC:カラム:Symmetry,C18,250×4.6mm;
移動相:A:水+TFA(pH=2.8)/B:CH3CN
【0136】

【0137】
rt=34.5分
【0138】
中間体4:
12gの中間体3を、60mlの5N水酸化ナトリウム溶液および60mlのメタノールに溶解する。溶液を、1晩還流し、次いで、濃縮する。続いて、それを、Amberlite IRC50樹脂に通過させることによって中和し、次いで、再度濃縮する。得られるオイルをエタノール中で硬化させる。結晶形態の9.5gの中間体4が、100%の収率で得られる。
【0139】
m/z=638
HPLC:カラム:Symmetry,C18,250×4.6mm
移動相:A:水+TFA(pH=2.8)/B:CH3CN
【0140】

【0141】
rt=18分(2つのピーク)
【0142】
中間体5:
9.5gの中間体4を150mlの水に溶解する。pHを6に調整する。2.73gのGd2O3を溶液に添加し、8時間、60℃に到達させる。溶液を濃縮し、次いで、残渣をエタノール中に採取する。9gの中間体5が白色結晶の形態で得られる。m/z=792.25
【0143】
HPLC:カラム:Symmetry,C18,250×4.6mm
移動相:A:水+TFA(pH=2.8)/B:CH3CN
【0144】

【0145】
rt=18.3〜21mm(4つのピーク)
【0146】
生成物7:
5gの3−アミノプロパン−1,2−ジオールを120mlの水に溶解し、かつpHを6に調整する。9gの中間体5、1.04gのHOBTおよび12.8gのEDCIを先の溶液に添加する。溶液を、pH6で18時間、撹拌する。溶液を蒸発し、得られるオイルをエタノール中に採取し、かつ形成された結晶をろ過して取り出す。得られる結晶を、シラン処理シリカRP2上のクロマトグラフィーによって精製する。2.9gの生成物7を得る。m/z=1012.19
【0147】
HPLC:カラム:Symmetry,C18,250×4.6mm
移動相:A:水+TFA(pH=2.8)/B:CH3CN
【0148】

【0149】
rt=13分(3つのピーク)
【0150】
比較例8および9:先行技術(米国特許第5403572号明細書)の生成物
出願人は、適切なプロトコルを作成していた。
【0151】
比較例8:

Int.3:
3.83gの化合物Int.1および12.82gの無水K2CO3(か焼)を50mlのアセトニトリルに導入する。還流下で30分間撹拌後、15gの2−ブロモプロピオン酸エチル3−ベンジルオキシを添加する。還流下で撹拌しながら2時間15分反応させた後、懸濁液を、まだ温かい状態で焼結ガラス漏斗を介してろ過する。固体をアセトニトリルで洗浄する。ろ液を濃縮し、次いで、150mlの5N HClに採取する。水溶液を、Et2Oで3回、次いで、酢酸エチルで3回、次いで、ジクロロメタンで3回抽出する。ジクロロメタンによる抽出から得られる有機相を合わせ、MgSO4上で乾燥し、次いで、濃縮する。6.4gの生成物Int.3が67%の収率で得られる。m/z(ES+)=826。
【0152】
Int.4:
Int.3を200mlの37%HClに溶解し、次いで、撹拌しながら40℃で9日間、反応させる。反応媒体を濃縮し、次いで、シラン処理シリカRP2上のクロマトグラフィー(水による溶出)によって精製する。2.9gの生成物Int.4が80%の収率で得られる。
m/z(ES+)=468。
【0153】
生成物8:
Int.4を120mlの水に溶解する。pHを5に調整し、次いで、1.134gのGd2O3を添加する。1N HClでpHを5.2〜5.7の間に維持する一方、撹拌しながら40℃で6時間反応させた後、反応媒体を、0.22μmフィルターを介してろ過し、濃縮し、次いで、シラン処理シリカRP2上のクロマトグラフィー(水で溶出)によって精製する。1.4gの生成物8が36%の収率で得られる。m/z(ES+)=625。
【0154】
比較例9:

Int.3:
10gのPCTAおよび39.4gの無水K2CO3(か焼)を、100mlのアセトニトリルに、アルゴン下還流で、溶解する。26.07gのα−ブロモ−γ−ブチロラクトンを添加する。極めて激しい撹拌を伴うアルゴン下での還流で24時間反応させた後、反応媒体をろ過する。固体をアセトニトリルで洗浄する。液を濃縮する。5.8gの生成物を得、次いで、200gのシリカ上で精製し、CH2Cl2/MeOH(9/1)で溶出を行う。1.93gの生成物、Int.3が13%の収率で得られる。
m/z(ES+)=668
【0155】
生成物9:
Int.3を50mlの水に溶解する。pHを5に調整し、かつ温度を60℃にする。0.762gのGd2O3を反応媒体に添加する。80℃で5時間の反応の間、pHを5〜5.5の間で維持する。反応媒体を0.22μmフィルターに介してろ過し、次いで、濃縮する。2.71gの生成物を得、次いで、シラン処理シリカ上のクロマトグラフィーによって精製する。1.38gの生成物9が50%の収率で得られる。
【0156】
実施例10:
実施例2による錯体

を、カルボン酸官能基を含むバイオベクターに、または結合基を使用して間接的にバイオベクターに結合させる。
【0157】
例えば、ペプチドバイオベクター(その特徴を以下の表3において対照する)を、スクアリン酸結合基を使用して結合させる。
【0158】

【0159】
段階1:化合物の形成

実施例2による1gの化合物

をトルエンで乾燥し、次いで、アルゴンブランケット下で20mlの無水DMSOに懸濁する。次いで、篩(1.7eq)上で乾燥させた0.4mlのEt3Nおよび720mgのスクアリン酸ジエチル(Aldrich、2.5eq.)を添加する。混合物を、周囲温度、アルゴンブランケット下で1時間、撹拌する。媒体を、120mlのエーテルから沈殿させる。帯黄色のオイルをエチルエーテルで洗浄する。得られる固体をろ過して取り出し、次いで、ジクロロメタンで洗浄する。
【0160】
ろ過後、700mgの白色固体が得られる。
【0161】
段階2:ペプチド番号1、2または3とスクアリン酸誘導体との結合
段階1において得られる化合物(155.5mg、1.35×10−4mol)を、15mlの水性Na2CO3溶液、pH9.4に溶解する。Na2CO3の添加によりpHを9.4に維持しながら、保護されたペプチド1、2または3(1.6×10−4mol)を導入する。ペプチドが水に不溶である場合、溶解が完了するまで、数滴のDMFを添加する。周囲温度で48時間反応させた後、媒体をエタノール/エチルエーテル混合物から沈殿させる。沈殿物をろ過して取り出し、次いで、乾燥する。
【0162】
段階3:脱保護
段階2において得られる化合物を、90/5/5の割合で、10cm3のTFA/TIS/H2Oの混合物に溶解する。媒体を周囲温度で5時間撹拌し、次いで、溶媒を減圧下で蒸発する。残渣をエチルエーテルに採取し、かつ沈殿物をろ過して取り出し、次いで、乾燥する。続いて、生成物を、Symmetry(登録商標)カラム上の調製HPLCにより精製し、水/TFA pH3/CH3CNからなる溶出を伴う。
【0163】
特定の結合化合物、例えば、化合物10a、10bおよび10c(後にC位において官能基化される)が得られる。

環の窒素原子との選択的結合により、PCTA環のN−官能基化PCTA位におけるアミノアルコール分岐にバイオベクターをグラフト化することもまた可能である。
【0164】
実施例11:DO3A骨格を所有する化合物

60mlの水中2.6gの3−アミノプロパン−1,2−ジオールを含む溶液を調製する。pHをHClで6に調整する。2−[4,7−ビス(1,4−ジカルボキシブチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデシ−1−イル]ヘキサン酸の6gのガドリニウム錯体を先の溶液に添加する。0.71gのスルホ−NHSおよび0.62gのEDCIを添加する前に、pHを再度調整する。pHをモニターし、かつ2N NaOHで6に調整する。1晩ATの後、反応媒体を約20mlまで濃縮し、次いで、100mlのエタノールから沈殿させる。固体をろ過して取り出し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、次いで、水のみによる溶出を伴うシラン処理シリカRP2上で精製する。2.2gの生成物11が得られる。m/z(ES+)=979
HPLC:カラム:Lichrospher RP18、5μm、100Å、250×4.6mm、流速:1ml/分、201nmにおけるUV検出。移動相:A:水(TFA pH=2.8)/CH3CN
【0165】

【0166】
rt=7.8分(2つのピーク)
【0167】
実施例12〜19:
本出願人は、類似の合成に従って、特に、以下の化合物を調製した。
【0168】

【0169】
実施例20:インビボ画像化研究
とりわけ、神経膠腫の検出に対し、極めて有利な結果が得られている。化合物II(実施例2)を、ラット(n=6/生成物)におけるC6神経膠腫の検出について、Dotarem(登録商標)およびMultiHance(登録商標)と比較した。それぞれの動物に、無作為の順番で、同じ用量(0.1mmol/kg)の3つのすべての生成物を投与した。前の注入から残存する造影を回避するために、注射間において最小で4時間の延期を守った。2.35Tシステム(BioSpec24/40,Bruker、独国)上のT1w−Spin Echo配列(TR/TE=498/14.2ms、FOV=4×4cm2、スライス厚2mm、スライス間距離3mm、192×192マトリックス、2累積)により、30分間、増強を追跡した。病変の増強を、定量的(ROI)かつ定性的(blinded cotation)に評価した。すべての病巣が、すべての造影剤によって示された。しかし、3つの造影剤のうち、化合物IIは、病巣と健康な脳との間で2倍を超える顕著なコントラストを誘導した。盲検観察者は、化合物IIを注入したすべてのラットについて、腫瘍と健康な脳との間のコントラストは、特徴的に高いと判断した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:

[式中:
R1、R2、R3、R4およびR5が、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6がH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2、X3、X4およびX5が、互いに独立して、L−Y[式中、
Lが、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yが、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7がHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8がC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8がC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
DがCHまたはNを表し;
EがCHまたはNを表し;
F1がCHまたはNを表し;
ZがH、またはアリール−アルキル基、C1−C3アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、CH3、CH2−アリールを表し、
K1〜K20が、それぞれ独立して、H、−(CH2j−CH3もしくは−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK3もしくはK4がK5もしくはK6と共に、および/またはK7もしくはK8がK9もしくはK10と共に、またはK13がK14と共に、および/またはK15がK16と共に、および/またはK17がK18と共に、および/またはK19がK20と共に、および/またはK18もしくはK19が、3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]の(IIa)および(IIb)から選択される式(II)または(VIa)および(VIb)から選択される式(VI)の化合物;
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体もしくはそれらの混合物または式(VIa)および(VIb)の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項2】
以下の式(IIa)または(IIb)

[式中:
R1、R2およびR3が、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6がH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2およびX3が、互いに独立して、L−Y[式中、
Lが、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yが、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7がHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8がC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8がC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
DがCHまたはNを表し;
EがCHまたはNを表し;
F1がCHまたはNを表し;
ZがH、またはアリール−アルキル基、C1−C3アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、CH3、CH2−アリールを表し、
K1〜K20が、それぞれ独立して、H、−(CH2j−CH3もしくは−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK3もしくはK4がK5もしくはK6と共に、および/またはK7もしくはK8がK9もしくはK10と共に、またはK13がK14と共に、および/またはK15がK16と共に、および/またはK17がK18と共に、および/またはK19がK20と共に、および/またはK18もしくはK19が、3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]によって表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物;
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体またはそれらの混合物。
【請求項3】
(VIa)または(VIb)からなる以下の式(VI):

[式中:
R1、R2、R3、R4およびR5が、互いに独立して、−COOH、−P(O)(OH)2または−R6−P(O)−OH[式中、R6がH原子もしくはC1−C3アルキル基、好ましくは、COOHを表す]を表し;
X1、X2、X3、X4およびX5が、互いに独立して、L−Y[式中、
Lが、C1−C3アルキル基、好ましくは、(CH2nであって、ここで、n=1〜3を表し、
Yが、−CONH2、−CO−NR7R8または−NR7−CO−R8[式中、R7がHもしくはC1−C6アルキル基もしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、かつR8がC1−C6アルキルもしくはC1−C6ヒドロキシアルキル基、特に、C2−C4基、有利には、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−(CH2m−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、m=1〜3、p=1〜4およびm+p=2〜5、もしくは−C−(CH2OH)3を表し、但し、少なくともR7またはR8がC1−C6ヒドロキシアルキル基を表す]を表し;
K13〜K20が、互いに独立して、H、−(CH2j−CH3または−(CH2i−OH[式中、j=0〜3およびi=1〜3]、有利には、Hを表すか、またはK13がK14と共に、および/またはK15がK16と共に、および/またはK17がK18と共に、および/またはK19がK20と共に、3〜6個の炭素原子を有する環を形成する]によって表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物;
あるいは、これらの異性体、エナンチオマーもしくはジアステレオ異性体またはそれらの混合物またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
EがN原子を表し、DおよびF1がCHを表すことを特徴とする、式(IIa)の請求項1および2のいずれか一方に記載の化合物。
【請求項5】
X1〜X5が、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8または−(CH2n−NR7−CO−R8[式中、nが1〜3の間であり、R7がHもしくはメチル基を表し、かつR8がC1−C6、有利には、C2−C3、ヒドロキシアルキル基、好ましくは、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1〜4、もしくは−C−(CH2OH)3を表す]を表すことを特徴とする、式(II)または(VI)の請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
X1〜X3が、独立して、−(CH2n−CONR7R8または−(CH2n−NR7−CO−R8[式中、nが1〜3の間であり、R7がHもしくはメチル基を表し、かつR8がC1−C4ヒドロキシアルキル基、好ましくは、−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1もしくは2、または−C−(CH2OH)3を表す]を表すことを特徴とする、式(IIa)

の請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
X1〜X3が、独立して、−(CH2n−CONR7R8[式中、nが1〜3の間であり、R7がHを表し、かつR8が−CH2−CH2OH、−CHOH−CH2OH、−CH−(CH2OH)2、−CH2−(CHOH)p−CH2OHであって、ここで、p=1〜4、もしくは−C−(CH2OH)3を表す]を表すことを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の多量体、好ましくは、二量体または三量体。
【請求項9】
結合基の任意の仲介物を介してバイオベクターに結合される請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含むベクトル化された(vectorized)化合物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の多量体または請求項9に記載のベクトル化された化合物とMとの錯体であって、Mが、原子番号21〜29、42〜44もしくは58〜70の常磁性金属のイオンまたは99Tc、117Sn、111In、97Ru、67Ga、68Ga、89Zr、177Lu、47Sc、105Rh、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、67Cu、90Y、159Gd、149Prおよび166Hoから選択される放射性核種を表す、錯体。
【請求項11】
常磁性金属のイオンが、Gd3+、Mn2+およびFe3+から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の錯体。
【請求項12】
・少なくとも10mM−1s−1Gd−1、好ましくは、少なくとも12mM−1s−1Gd−1の水中緩和率、
・400〜600mMのGd濃度に対し、800〜1200mOsm/kgの間、好ましくは、約1000mOsm/kgの重量オスモル濃度、ならびに
・20〜300MHzの間、好ましくは、20および120MHzの間で実質的に安定な緩和率、または20MHzを超える、特に、約60MHzでの緩和率の増加、
を示すことを特徴とする、請求項10および11のいずれか一項に記載の錯体。
【請求項13】
以下の式:


の錯体から選択されることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の錯体。
【請求項14】
以下の式:


の錯体から選択されることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の錯体。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の多量体または請求項9に記載のベクトル化された化合物または請求項10〜15のいずれか一項に記載の錯体、薬学的に許容されるビヒクルおよび任意で処方添加物を含む、薬学的組成物。
【請求項16】
脂質ナノ粒子に結合された請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の多量体または請求項9に記載のベクトル化された化合物または請求項10〜14のいずれか一項に記載の錯体を含む、脂質薬学的組成物。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の多量体または請求項9に記載のベクトル化された化合物または請求項10〜14のいずれか一項に記載の錯体を含む、磁気共鳴画像のための診断用組成物。
【請求項18】
式(IIa)[式中、X1〜X3が、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8[式中、n=1〜3ならびにR7およびR8が、請求項1において規定されるとおりである]を表す]の化合物の請求項10〜14のいずれか一項に記載の金属錯体の調製方法であって、以下の工程:
a)以下の式(IV)

[式中、D、EおよびF1が請求項1において規定されるとおりである]の縮合大環状分子と、
式R'OOC−CHQ−(CH2n−COOR'[式中、n=1〜3、Qが脱離基、有利には、ハロゲン原子、好ましくは、臭素、または(C1−C3)アルキルスルホン酸、トシル酸もしくはトリフル酸基を表し、かつR'がHまたは(C1−C3)アルキルもしくはベンジル基を表す]の化合物とを、以下の式(V)

のヘキサ酸またはエステルを得るために反応させる工程と;
b)R'がH以外である場合、式(Va)

[式中、D、EおよびF1が上記で規定されるとおりであり、かつnが1〜3の間である]のヘキサ酸を得るために、任意で、式(V)のヘキサ酸のエステル官能基を加水分解もしくは水素化する工程と;
c)対応する錯体または塩基とのその塩の1つを得るために、式(Va)のヘキサ酸と、錯体形成させようとする金属の塩もしくは酸化物とを反応させる工程と;
d)式(IIa)[式中、X1〜X3が、独立して、−(CH2n−CO−NR7R8[式中、n=1〜3ならびにR7およびR8が請求項1において規定されるとおりである]を表す]のトリアミドを得るために、カルボン酸官能基を活性化する薬剤の存在下で、錯体と、アミノアルコール基または基NHR7R8[式中、R7およびR8が請求項1において規定されるとおりである]とを反応させる工程と;
を含む、方法。

【公表番号】特表2009−513574(P2009−513574A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534029(P2008−534029)
【出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067214
【国際公開番号】WO2007/042506
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(591052505)
【氏名又は名称原語表記】GUERBET
【Fターム(参考)】