説明

医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラム

【課題】同一シリーズの医用画像を異なるシリーズのグループに分割した場合に、医師による医用画像の読影又は参照の効率をあげる。
【解決手段】検像装置は、モダリティから受信した同一シリーズの医用画像データフレーム群を異なるシリーズのグループに分割する場合、ユーザ操作等により指定された胸部の初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加し、合成分割範囲B1を設定する。また、同様に、腹部の初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加し、合成分割範囲B2を設定する。そして、合成分割範囲B1、B2に対応した医用画像データフレーム群のグループを生成し、各グループの医用画像データフレームのシリーズIDを異なる値にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、患者を撮影した医用画像はデジタル化して扱われている。具体的には、CR(Computed Radiography)装置やCT(Computed Tomography)装置、MR(Magnetic Resonance)装置等の医用画像生成装置(以下、「モダリティ」と称す)を用いて、デジタル画像データ(以下、「医用画像データ」と称す)を生成する。そして生成された医用画像データは、PACS(Picture Archiving and Communication System for medical application)と呼ばれるシステム等で記憶管理されている(特許文献1参照)。
【0003】
医用画像データは、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したデータ形式で、医用画像の画像データと、当該画像データに関する付帯情報とから成る。DICOMとは、医用画像の通信及び保存フォーマットに関する標準規格であり、この規格に準拠することで、異なる医療機器間での相互通信性が確保される。
【0004】
ここで、医用画像1枚に対応する医用画像データを医用画像データフレームと称す。また、付帯情報は、患者情報、検査情報及びシリーズ情報を含む。患者情報とは、撮影を行う患者の受付番号や氏名、患者ID、性別等の患者毎に設定されたデータである。検査情報とは、医師がオーダした検査を識別する検査ID、検査部位、撮影方向及び体位といった検査条件を示すデータである。
【0005】
シリーズ情報とは、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)を示すシリーズIDやモダリティの種別を含むデータである。例えば、ある検査において、CT装置で胸部の医用画像を100枚撮影し、その後、腹部の医用画像を100枚撮影したとする。この場合、胸部の医用画像に関する医用画像データフレーム(100フレーム)と、腹部の医用画像に関する医用画像データフレーム(100フレーム)とは、別シリーズになり、それぞれのシリーズIDは異なる値となる。例えば、胸部の医用画像に関する医用画像データフレーム(100フレーム)のシリーズIDは「1」、腹部の医用画像に関する医用画像データフレーム(100フレーム)のシリーズIDは「2」となる。
【0006】
ところで、医療の現場において、医用画像の撮影対象となる患者の負担を軽減するため、胸部の医用画像の撮影と、腹部の医用画像の撮影とを別々に行わず、全身をまとめて撮影する機会が多い。具体的には、CT装置での一回の撮影作業で、胸部から腹部のように人体の上部から下部へと、もしくは腹部から胸部のように人体の下部から上部へと、複数連続的に一連の医用画像を撮影していく。
【0007】
そのため、胸部の医用画像に関する医用画像データフレームと、腹部の医用画像に関する医用画像データフレームとは、同一シリーズとなってしまう。そこで、撮影完了後に適宜、腹部、胸部の医用画像に関する各医用画像データフレームを異なるシリーズのグループに分割する作業が行われている。具体的には、分割する位置(分割位置)を決定し、この分割位置よりも上部の医用画像に関する医用画像データフレームのグループと、下部の医用画像に関する医用画像データフレームのグループとに分ける。
【特許文献1】特開2002−132557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、分割位置が不適切であった場合等、例えば病変部分が分割位置付近にきてしまった場合には、読影医は、分割された二つのグループの医用画像データフレームを参照する必要があり、効率が悪かった。
【0009】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、同一シリーズの医用画像を異なるシリーズのグループに分割した場合に、医師による医用画像の読影又は参照の効率を上げることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の医用画像処理装置は、
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定手段と、
前記第一設定手段により設定された分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定手段と、
を備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記医用画像処理装置は、
ユーザによるキー入力可能な操作手段、
を更に備え、
前記第一設定手段は前記操作手段より入力された操作信号に基づいて分割範囲を設定する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
医用画像データフレームは、スライス画像の画像データと、前記スライス画像に関する付帯情報とを有し、
前記医用画像処理装置は、
前記複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対応した各医用画像データフレームから被写体の撮影部位を特定するための部位特定情報を取得する取得手段、
を更に備え、
前記第一設定手段は前記取得手段により取得された部位特定情報に基づいて分割範囲を設定する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記第一設定手段は、前記取得手段により取得された部位特定情報に基づいて、各部位に対応するように前記分割範囲を設定する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記部位特定情報は前記付帯情報に含まれる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記医用画像処理装置は、
前記画像データを解析して画像信号分布情報を生成する生成手段、
を更に備え、
前記部位特定情報は前記画像信号分布情報である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記医用画像処理装置は、
前記画像データを解析してプロファイルを生成する生成手段、
を更に備え、
前記部位特定情報は前記プロファイルである。
【0017】
請求項8に記載の医用画像処理方法は、
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定工程と、
前記第一設定工程において設定した分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定工程と、
を有する。
【0018】
請求項9に記載のプログラムは、
コンピュータを、
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定手段、
前記第一設定手段により設定された分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、同一シリーズの医用画像を異なるシリーズのグループに分割した場合に、医師による医用画像の読影又は参照の効率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0021】
[医用画像システムのシステム構成]
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、RIS10と、モダリティ20と、検像装置30と、PACS40とから構成されており、各装置は通信ネットワークNを介して、データ通信可能に接続されている。
【0022】
RIS10は、制御部や記憶部、操作部、表示部、通信部等を有するコンピュータにより構成され、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS10は、オペレータによる検査オーダの登録を受け付ける。そして、その登録された検査オーダによって、検査オーダ情報を生成し、モダリティ20及び検像装置30に送信する。
【0023】
検査オーダ情報とは撮影や診断の検査オーダの内容を示すデータであり、患者情報、検査情報及びシリーズ情報を含む。
【0024】
モダリティ20は、CT装置、MRI装置等の医用画像生成装置であり、撮影技師の操作に従って撮影して得られた医用画像のデータ信号と、RIS10から受信した検査オーダ情報とに基づいて、DICOM規格に則したデジタルデータである医用画像データを生成する。モダリティ20は、生成した医用画像データを検像装置30に送信する。本実施形態においては、モダリティ20をCT装置として説明する。尚、ここでいう医用画像とは各モダリティ特有の撮像方法によって生成される画像全般を指す。以下の説明において、医用画像のうち連続断層撮影が可能なCT装置やMRI装置のようなモダリティにより生成される医用画像を、特にスライス画像と称す。
【0025】
図2に、医用画像データの1フレーム(以下、「医用画像データフレーム」と称す)のデータ構造を示す。医用画像データフレームは、医用画像1枚に対応する画像データと当該医用画像に関する付帯情報とで構成される。また、付帯情報は、患者情報、検査情報及びシリーズ情報を含む。
【0026】
1シリーズにおいて、モダリティ20は、例えば、患者(被写体)の連続する数百枚分のスライス画像(複数連続的に撮影された一連のスライス画像)の医用画像データを生成する。つまり、モダリティ20は、1シリーズにおいて、医用画像データフレームを数百フレーム生成し、これらの医用画像データフレームを検像装置30に送信する。
【0027】
検像装置30は、医用画像データの確認又は変更等を行うための医用画像処理装置である。検像装置30は、モダリティ20から医用画像データを受信する。また、RIS10から検査オーダ情報を受信する。
【0028】
受信した医用画像データに対して修正が必要な場合、検像装置30は付帯情報又は画像データを変更し、当該医用画像データをPACS40に送信する。また、受信した医用画像データに対して修正が必要ない場合、検像装置30は付帯情報及び画像データに対して変更を行わず、当該医用画像データをPACS40に送信する。
【0029】
検像装置30が行う処理の具体例としてシリーズ分割処理がある。シリーズ分割処理については後述する。
【0030】
尚、検像装置30は、設定により、RIS10から受信した検査オーダ情報に基づいて、受信した医用画像データに対する修正の必要の有無の判定、付帯情報又は画像データの変更を行うことが可能な構成となっている。
【0031】
PACS40は、医用画像データを保存し、管理する医用画像管理装置である。尚、本実施形態においては、PACS40を1装置として説明する。PACS40は、検像装置30から医用画像データを受信し、当該医用画像データを蓄積記憶する。これらの医用画像データは、図示しないPACS40のクライアント装置からの取得要求に応じて、当該クライアント装置に送信される。そして、当該クライアント装置は、受信した医用画像データに基づいて医用画像や付帯情報を表示する。
【0032】
[検像装置の機能的構成]
図3に、検像装置30の機能的構成を示す。図3に示すように、検像装置30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、ROM(Read Only Memory)35、テンポラリメモリ36等を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
【0033】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成される。制御部31は、ROM35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムに従って検像装置30の各部を統括的に制御する。
【0034】
操作部32は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウスなどのポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0035】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、操作部32からの入力指示やデータ等を表示する。
【0036】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたRIS10、モダリティ20、PACS40等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0037】
ROM35は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、制御部31で実行される各種処理プログラム、各種データ等を記憶する。これらの各種プログラムは、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0038】
テンポラリメモリ36は、モダリティ20から受信した医用画像データフレームを一時的に記憶するためのメモリである。
【0039】
制御部31は、通信部34によってモダリティ20から受信された医用画像データフレームをテンポラリメモリ36に一時的に記憶させる。本実施形態においては、1シリーズあたり、モダリティ20から連続するスライス画像に対応する医用画像データフレームが数百フレーム送信されてくる。制御部31は、これらの医用画像データフレームを全て、テンポラリメモリ36に一時的に記憶させる。
【0040】
制御部31は、テンポラリメモリ36に記憶されている医用画像データフレームを読み出し、当該医用画像データフレームに対してシリーズ分割処理等を行う。そして、これらの医用画像データフレームをPACS40に送信する。
【0041】
[シリーズ分割処理]
次に、シリーズ分割処理の概要について説明する。シリーズ分割処理とは、制御部31が、モダリティ20から受信した、患者の連続する複数枚のスライス画像(複数連続的に撮影された一連のスライス画像)の全範囲を、制御部31により設定された一又は複数の所定の範囲(以下、分割範囲と称す)に分割し、各分割範囲のスライス画像に対応する医用画像データフレーム毎にグループ分けを行う処理である。グループ分けは、各医用画像データフレームのシリーズ情報を書き換えることにより行われる。尚、モダリティ20から受信する、患者の連続する複数枚のスライス画像に対応する各医用画像データフレームのシリーズ情報は、全て同じ値である。
【0042】
ここで、患者の胸部と腹部から成る連続する複数のスライス画像の全範囲を、胸部のスライス画像に対応する分割範囲と、腹部のスライス画像に対応する分割範囲とに分割する場合を考える。このとき、モダリティ20から受信するスライス画像全範囲に対応する医用画像データフレームのシリーズID(シリーズ情報)は1であるとする。
【0043】
この場合、制御部31は、胸部のスライス画像の分割範囲に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを1、腹部のスライス画像の分割範囲に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを2と変更する。
【0044】
その結果、シリーズIDが1である胸部と腹部から成る連続する複数のスライス画像の全範囲に対応する医用画像データフレーム群(全身シリーズ)を、シリーズIDが1である胸部のスライス画像の分割範囲に対応する医用画像データフレーム群(胸部シリーズ)と、シリーズIDが2である腹部のスライス画像の分割範囲に対応する医用画像データフレーム群(腹部シリーズ)とに分割したことになる。
【0045】
また、制御部31は、分割範囲の他に付加範囲を設定し、この付加範囲を分割範囲に付加し新たな分割範囲とする。以下、付加範囲を付加する前の分割範囲を初期分割範囲、付加範囲を付加した新たな分割範囲を合成分割範囲と称す。
【0046】
図4を用いて、制御部31が行う付加範囲を考慮したシリーズ分割処理について詳細に説明する。図4は、付加範囲を考慮したシリーズ分割処理の概念図である。全身スライス画像群SL1は、モダリティ20から受信した、患者の連続する1000枚のスライス画像に対応する医用画像データフレームから成る。この全身スライス画像群SL1の医用画像データフレームは、胸部から腹部のように、人体の上部から下部に向けてのスライス画像に対応するように並べられている。また、全身スライス画像群SL1の医用画像データフレームのシリーズIDは「1」である。
【0047】
ここで、制御部31は、胸部に対応する初期分割範囲(以下、初期分割範囲A1と称す)と、腹部に対応する初期分割範囲(以下、初期分割範囲A2)とを設定する。また、制御部31は、胸部の付加範囲(以下、付加範囲M1)と腹部の付加範囲(以下、付加範囲M2)とを設定する。初期分割範囲A1は、スライス画像1枚目から500枚目、初期分割範囲A2は、スライス画像501枚目から1000枚目である。そして、付加範囲M1は501枚目から550枚目、付加範囲M2は451枚目から500枚目である。つまり、付加範囲M1、M2はそれぞれ、スライス画像50枚分となる。ここで、スライス画像1枚目から500枚目(同様に、501枚目から1000枚目)に向かう方向を連続方向と称す。
【0048】
次に、制御部31は、初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加して、合成分割範囲B1とする。また、初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加して、合成分割範囲B2とする。
【0049】
つまり、制御部31は、初期分割範囲A1に、当該初期分割範囲A1の先端に位置するスライス画像(500枚目)に連続するスライス画像(501枚目から550枚目)の範囲(付加範囲M1)を加えて合成分割範囲B1とする。
【0050】
同様に、制御部31は、初期分割範囲A2に、当該初期分割範囲A2の後端に位置するスライス画像(501枚目)に連続するスライス画像(451枚目から500枚目)の範囲(付加範囲M2)を加えて合成分割範囲B2とする。
【0051】
その結果、合成分割範囲B1は、スライス画像1枚目から550枚目、合成分割範囲B2は、スライス画像451枚目から1000枚目となる。
【0052】
次に、制御部31は、全身スライス画像群SL1に基づいて、合成分割範囲B1のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する。ここで、これらの生成された医用画像データフレームのシリーズIDは「1」である。
【0053】
次に、制御部31は、全身スライス画像群SL1に基づいて、合成分割範囲B2のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する。そして、生成した医用画像データフレームのシリーズIDを「2」に変更する。
【0054】
これらの処理によって、シリーズIDが1の全身スライス画像群SL1の医用画像データフレーム(全身シリーズ)を、シリーズIDが1の合成分割範囲B1に対応する医用画像データフレーム群(胸部シリーズ)と、シリーズIDが2の合成分割範囲B2に対応する医用画像データフレーム群(腹部シリーズ)とに分割したことになる。
【0055】
このように、490枚目から510枚目のような、初期分割範囲A1と初期分割範囲A2の境界の近傍に病変があった場合でも、初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加して、合成分割範囲B1を設定することにより、読影医等は、胸部シリーズの医用画像データフレームを参照して、病変の読影等を行うことができる。また、同様に、初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加して、合成分割範囲B2を設定することにより、読影医等は、腹部シリーズの医用画像データフレームを参照して、病変の読影等を行うことができる。
【0056】
尚、制御部31は、ユーザ操作による操作部32からの操作信号に基づいて、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2、付加範囲M1、付加範囲M2を設定する。
【0057】
例えば、制御部31は、全身スライス画像群SL1の各医用画像データフレームの画像データに基づいて、人体の上部から下部に向けて連続したスライス画像を、表示部33に表示させる。そして、ユーザは、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を操作部32へのキー入力により指定する。そして、制御部31は、操作部32からの操作信号に基づき、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を設定する。
【0058】
また、制御部31は、付加範囲を指定する入力ボックスを表示させる。そして、ユーザは、操作部32へのキー入力により、付加範囲とするスライス画像の枚数を指定する。そして、制御部31は、操作部32からの操作信号に基づき、付加範囲M1、付加範囲M2を設定する。ここで、ユーザが指定する付加範囲M1、M2は、共通の値でもよいし、異なる値としてもよい。
【0059】
[具体的な動作]
図5を用いて、シリーズ分割処理の具体的な動作を示す。まず、通信部34は、被写体の胸部、腹部を含む連続する数百枚のスライス画像の医用画像データフレーム群をモダリティ20から受信する(ステップS1)。
【0060】
そして、制御部31は、ユーザ操作による操作部32からの操作信号に基づき、数百枚のスライス画像における胸部に対応する初期分割範囲A1と、腹部に対応する初期分割範囲A2を設定する(ステップS2)。そして、制御部31は、ユーザ操作による操作部32からの操作信号に基づき、胸部に対応する付加範囲M1と、腹部に対応する付加範囲M2を設定する(ステップS3)。
【0061】
そして、制御部31は、胸部に対応する付加範囲M1を胸部に対応する初期分割範囲A1に付加し、新たな胸部に対応する合成分割範囲B1を設定する(ステップS4)。次に、制御部31は、腹部に対応する付加範囲M2を腹部に対応する初期分割範囲A2に付加し、新たな腹部に対応する合成分割範囲B2を設定する(ステップS5)。
【0062】
そして、制御部31は、ステップS1において受信した医用画像データフレーム群の中から、胸部に対応する合成分割範囲B1のスライス画像に対応する医用画像データフレームをコピーし、シリーズIDが1である合成分割範囲B1のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する(ステップS6)。
【0063】
また、制御部31は、ステップS1において受信した医用画像データフレーム群の中から、腹部に対応する合成分割範囲B2のスライス画像に対応する医用画像データフレームをコピーし、合成分割範囲B2のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する。そして、これらの医用画像データフレームのシリーズIDを2に変更する(ステップS7)。
【0064】
そして、制御部31は、ステップS6、S7において、生成された医用画像データフレームを、胸部シリーズ、腹部シリーズとして、通信部34を介してPACS40に送信する(ステップS8)。
【0065】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、モダリティ20から受信した同一シリーズの医用画像データフレーム群を異なるシリーズのグループに分割する場合、ユーザ操作により指定された胸部の初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加し、合成分割範囲B1を設定する。また、ユーザ操作により指定された腹部の初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加し、合成分割範囲B2を設定する。
【0066】
そのため、初期分割範囲A1と初期分割範囲A2の境界の近傍に病変があった場合等でも、この病変は、合成分割範囲B1、合成分割範囲B2の両範囲にかかるので、胸部シリーズ、腹部シリーズ共に、この病変の画像は含まれることになる。また、この病変の画像が、途中で途切れることがなくなる。そのため、読影医等が、同一シリーズの医用画像データフレームを参照しても、病変の読影に支障をきたすことがない。
【0067】
また、モダリティ20において、全身を一度の撮影で行った場合でも、あたかも初期分割範囲A1と初期分割範囲A2の境界近傍の2部分(具体的には、451枚目〜550枚目のスライス画像)を重ねて撮影したかのようなスライス画像群を得ることができ、撮影効率も高まる。
【0068】
[第1の実施の形態における変形例]
次に、第1の実施の形態における変形例を示す。
【0069】
制御部31は、初期分割範囲A1のスライス画像に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを1、付加範囲M1のスライス画像に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを2、初期分割範囲A2のスライス画像に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを3、付加範囲M2のスライス画像に対応する医用画像データフレームのシリーズIDを4とする。
【0070】
そして、制御部31は、シリーズID「1」と「2」とを、そしてシリーズID「3」と「4」とを対応付ける対応付け情報を生成する。
【0071】
そして、制御部31は、シリーズIDが「1」、「2」、「3」、「4」である各医用画像データフレーム群と、対応付け情報とを通信部34を介してPACS40に送信する。
【0072】
そして、PACS40は、対応付け情報に基づいて、合成分割範囲B1のスライス画像に対応する医用画像データフレーム群と、合成分割範囲B2に対応するスライス画像に対応する医用画像データフレーム群とを生成する。このようにして、PACS40は、付加範囲を考慮したシリーズ分割に対応することができる。
【0073】
更に、PACS40は、シリーズIDが「1」である医用画像データフレーム群、シリーズIDが「3」である医用画像データフレーム群のみを参照することにより、付加範囲を考慮しないシリーズ分割に対応することもできる。
【0074】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について、図6、図7を参照して詳細に説明する。この説明において、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。
【0075】
図6に、医用画像データフレームのデータ構造を示す。医用画像データフレームは、医用画像1枚に対応する画像データと当該医用画像に関する付帯情報とで構成される。また、付帯情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及びスライス位置情報を含む。ここで、スライス位置情報とは、CT装置、MR装置等による連続断層撮影によるスライス位置の情報である。連続断層撮影において、1枚目に撮影されたスライス画像に対応するスライス位置情報の値は、基準位置であり、「0cm」となる。また、2枚目以降に撮影されるスライス位置情報の値は、1枚目の医用画像の撮影位置(基準位置)からの距離となる。例えば「22cm」等の値となる。
【0076】
[シリーズ分割処理]
次に、シリーズ分割処理の概要について説明する。第2の実施の形態では、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を、ユーザ操作によらずにスライス位置情報に基づいて、自動で設定する点が第1の実施の形態と異なる。
【0077】
制御部31は、医用画像データフレームに含まれるスライス位置情報に基づいて、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を設定する。
【0078】
具体的に、制御部31は、一番始めに撮影されたスライス画像に対応する医用画像データフレームから、最後に撮影されたスライス画像に対応する医用画像データフレームへと、順番にスライス位置情報を読み出し(取得し)、当該読み出したスライス位置情報が設定値より大きいか、設定値以下かを判定する。ここで、スライス位置情報は、患者の撮影部位を特定するための部位特定情報となる。また、設定値は、経験則等に基づきユーザ操作等により予め設定される。
【0079】
制御部31は、読み出したスライス位置情報が設定値より大きい場合、一番始めに撮影されたスライス画像から、読み出したスライス位置情報に対応するスライス画像の一つ前のスライス画像までを初期分割範囲A1とする。また、読み出したスライス位置情報に対応するスライス画像から最後に撮影されたスライス画像までを初期分割範囲A2とする。
【0080】
[具体的な動作]
図7を用いて、スライス位置情報に基づいた初期分割範囲A1、初期分割範囲A2の設定処理の具体的な動作を示す。尚、この設定処理は、第1の実施の形態における図5のステップS2に該当する。
【0081】
まず、制御部31は、モダリティ20から受信した、被写体の胸部、腹部を含む連続する数百枚のスライス画像の医用画像データフレーム群のうち、一番始めの医用画像データフレームを処理対象とする(ステップS101)。尚、これらの医用画像データフレームは、被写体の上部から下部に向けたスライス画像に対応する順に並べられている。
【0082】
次に制御部31は、処理対象となっている医用画像データフレームのスライス位置情報を読み出す(ステップS102)。そして制御部31は、読み出したスライス位置情報の値と設定値とを比較する(ステップS103)。比較の結果、スライス位置情報の値が設定値以下の場合(ステップS103;No)、次の処理対象となる医用画像データフレームが有るか判定する(ステップS104)。
【0083】
判定の結果、次の医用画像データフレームが有る場合(ステップS104;Yes)、制御部31は、次の医用画像データフレームを処理対象とし(ステップS105)、スライス位置情報を読み出し(ステップS102)、処理を続行する。
【0084】
ステップS104における判定の結果、次の処理対象となる医用画像データフレームが無い場合(ステップS104;No)、シリーズ分割処理を行わずに当該処理を終了する(ステップS107)。具体的に、制御部31は、第1の実施の形態における図5のステップS3〜S8の処理は行わず、モダリティ20から受信した、被写体の胸部、腹部を含む連続する数百枚のスライス画像の医用画像データフレーム群を全身シリーズとして、通信部34を介してPACS40に送信する。
【0085】
ステップS103における比較の結果、スライス位置情報の値が設定値より大きい場合(ステップS103;Yes)、処理対象となっている医用画像データフレームの一つ前の医用画像データフレームが有るか否かを判定する(ステップS106)。判定の結果、一つ前の医用画像データフレームが無い場合(ステップS106;No)、シリーズ分割処理を行わずに当該処理を終了する(ステップS107)。
【0086】
ステップS106における判定の結果、一つ前の医用画像データフレームが有る場合(ステップS106;Yes)、制御部31は、一番始めの医用画像データフレームから一つ前の医用画像データフレームまでのスライス画像を胸部の初期分割範囲A1とする(ステップS108)。そして、制御部31は、処理対象の医用画像データフレームから最後の医用画像データフレームのスライス画像を腹部の初期分割範囲A2とする(ステップS109)。そして、当該処理を終了する。
【0087】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、検像装置30は、モダリティ20から受信した医用画像データフレームのスライス位置情報と予め定められた設定値とに基づいて、胸部の初期分割範囲A1と腹部の初期分割範囲A2を設定する。
【0088】
そのため、ユーザは、ユーザ操作により胸部の初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を指定する手間が省ける。
【0089】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について、図8〜図10を参照して詳細に説明する。この説明において、第1の実施の形態と異なる部分を説明する。
【0090】
[シリーズ分割処理]
まず、シリーズ分割処理の概要について説明する。第3の実施の形態では、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を、ユーザ操作によらずに画像信号分布情報に基づいて、自動で設定する点が第1の実施の形態と異なる。
【0091】
制御部31は、医用画像データフレームの画像データの画像解析を行い、画像データの画像信号分布情報(ヒストグラム)に基づいて、初期分割範囲A1、初期分割範囲A2を設定する。
【0092】
具体的に、図8に示すように、制御部31は、各医用画像データフレームの画像データに対して、統計解析であるヒストグラム解析を行ってヒストグラムを生成する。ここで、1つのヒストグラムは、1つの医用画像データフレームの画像データに対応する。制御部31は、このヒストグラムに基づいて画像データの部位を特定する。つまり、画像データのヒストグラムが部位特定情報となる。
【0093】
このヒストグラムは、横軸が画像信号レベル(濃度、放射線透過率に対応する)、縦軸が信号レベルに対応する頻度となる。また、ROM35は、「胸部」と「腹部」の境界となるヒストグラムのパターン(以下、「境界ヒストグラムパターン」と称す)を記憶している。
【0094】
制御部31は、ROM35から境界ヒストグラムパターンを読み出す。そして、制御部31は、この境界ヒストグラムパターンと、前記医用画像データフレームの画像データに基づいて生成されたヒストグラムのパターンとを比較する。
【0095】
ここで、制御部31は、被写体の上部から下部へのスライス画像に対応する医用画像データフレームの順番に、当該医用画像データフレームの画像データに基づいて生成されたヒストグラムのパターンと、境界ヒストグラムパターンとの比較を行う。
【0096】
比較の結果、制御部31は、生成されたヒストグラムのパターンと、境界ヒストグラムパターンが一致すると、一番始めの医用画像データフレームのスライス画像から当該生成されたヒストグラムの元となっているスライス画像までを胸部の初期分割範囲A1とする。また、当該生成されたヒストグラムの元となっているスライス画像から最後の医用画像データフレームのスライス画像までを腹部の初期分割範囲A2とする。
【0097】
尚、ヒストグラムのパターンの比較には既知の比較方法を採用し、ヒストグラムのパターンの一致は完全一致に限られない。
【0098】
図9を用いて、制御部31が行う付加範囲を考慮したシリーズ分割処理について詳細に説明する。図9は、付加範囲を考慮したシリーズ分割処理の概念図である。全身スライス画像群SL1は、モダリティ20から受信した、患者の連続する1000枚のスライス画像に対応する医用画像データフレームから成る。この全身スライス画像群SL1の医用画像データフレームは、胸部から腹部のように、人体の上部から下部に向けてのスライス画像に対応するように並べられている。また、全身スライス画像群SL1の医用画像データフレームのシリーズIDは「1」である。
【0099】
制御部31は、1番目の医用画像データフレームのスライス画像の画像データに基づくヒストグラムのパターンから順番に、境界ヒストグラムパターンと比較していく。そして、500番目のヒストグラムのパターンと境界ヒストグラムパターンとが一致したとする。
【0100】
制御部31は、当該一致したパターンのヒストグラムの元となっているスライス画像を分割基準スライス画像D1(分割位置)とする。そして、一番始めの医用画像データフレームのスライス画像から分割基準スライス画像D1までを初期分割範囲A1とする。また、分割基準スライス画像D1から最後の医用画像データフレームのスライス画像までを初期分割範囲A2と設定する。初期分割範囲A1は、スライス画像1枚目から500枚目、初期分割範囲A2は、スライス画像500枚目から1000枚目である。そして、付加範囲M1は501枚目から550枚目、付加範囲M2は450枚目から499枚目である。つまり、付加範囲M1、M2はそれぞれ、スライス画像50枚分となる。
【0101】
次に、制御部31は、初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加して、合成分割範囲B1とする。また、初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加して、合成分割範囲B2とする。つまり、合成分割範囲B1は、スライス画像1枚目から550枚目、合成分割範囲B2は、スライス画像450枚目から1000枚目となる。
【0102】
次に、制御部31は、全身スライス画像群SL1に基づいて、合成分割範囲B1のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する。ここで、これらの生成された医用画像データフレームのシリーズIDは「1」である。
【0103】
次に、制御部31は、全身スライス画像群SL1に基づいて、合成分割範囲B2のスライス画像に対応する医用画像データフレームの複製を生成する。そして、生成した医用画像データフレームのシリーズIDを「2」に変更する。
【0104】
これらの処理によって、シリーズIDが1の全身スライス画像群SL1の医用画像データフレーム(全身シリーズ)を、シリーズIDが1の合成分割範囲B1に対応する医用画像データフレーム群(胸部シリーズ)と、シリーズIDが2の合成分割範囲B2に対応する医用画像データフレーム群(腹部シリーズ)とに分割したことになる。
【0105】
[具体的な動作]
図10を用いて、ヒストグラムに基づいた初期分割範囲A1、初期分割範囲A2の設定処理の具体的な動作を示す。尚、この設定処理は、第1の実施の形態における図5のステップS2に該当する。
【0106】
まず、制御部31は、モダリティ20から受信した、被写体の胸部、腹部を含む連続する数百枚のスライス画像の医用画像データフレーム群の各画像データに対して、ヒストグラム解析を行ってヒストグラムを生成する(ステップS201)。
【0107】
次に、制御部31は、ROM35から境界ヒストグラムパターンを読み出す(ステップS202)。そして、制御部31は、受信した医用画像データフレーム群のうち、一番始めの医用画像データフレームを処理対象とする(ステップS203)。尚、これらの医用画像データフレームは、被写体の上部から下部に向けたスライス画像に対応する順に並べられている。
【0108】
次に、制御部31は、処理対象となっている医用画像データフレームの画像データに基づいて生成されたヒストグラムのパターンと、境界ヒストグラムパターンとを比較する(ステップS204)。比較の結果、生成されたヒストグラムのパターンと、境界ヒストグラムパターンが一致しない場合(ステップS205;No)、次の処理対象となる医用画像データフレームが有るか否か判定する(ステップS206)。
【0109】
判定の結果、次の医用画像データフレームが有る場合(ステップS206;Yes)、制御部31は、次の医用画像データフレームを処理対象とし(ステップS207)、ヒストグラムのパターンの比較を行い(ステップS204)、処理を続行する。
【0110】
ステップS206における判定の結果、次の処理対象となる医用画像データフレームが無い場合(ステップS206;No)、シリーズ分割処理を行わずに当該処理を終了する(ステップS209)。具体的に、制御部31は、第1の実施の形態における図5のステップS3〜S8の処理は行わず、モダリティ20から受信した、被写体の胸部、腹部を含む連続する数百枚のスライス画像の医用画像データフレーム群を全身シリーズとして、通信部34を介してPACS40に送信する。
【0111】
ステップS204における比較の結果、生成されたヒストグラムのパターンと、境界ヒストグラムのパターンが一致する場合(ステップS205;Yes)、処理対象となっている医用画像データフレームが一番始め又は最後の医用画像データフレームであるかを判定する(ステップS208)。判定の結果、一番始め又は最後である場合(ステップS208;Yes)、シリーズ分割処理を行わずに当該処理を終了する(ステップS209)。
【0112】
ステップS208における判定の結果、一番始め且つ最後でない場合(ステップS208;No)、一番始めの医用画像データフレームから処理対象となっている医用画像データフレームまでのスライス画像を胸部の初期分割範囲A1とする(ステップS210)。そして、処理対象の医用画像データフレームから最後の医用画像データフレームのスライス画像を腹部の初期分割範囲A2とする(ステップS211)。そして、当該処理を終了する。ここで、処理対象の医用画像データフレームに対応するスライス画像は、分割基準スライス画像D1となる。
【0113】
以上、第3の実施の形態によれば、検像装置30は、モダリティ20から受信した医用画像データフレーム群の各画像データに対して、ヒストグラム解析を行ってヒストグラムを生成する。そして、生成したヒストグラムと、境界ヒストグラムパターンとに基づいて、胸部の初期分割範囲A1と腹部の初期分割範囲A2を設定する。
【0114】
そのため、ユーザは、ユーザ操作により胸部の初期分割範囲A1、腹部の初期分割範囲A2を指定する手間が省ける。
【0115】
尚、第3の実施の形態では、画像データのヒストグラムを部位特定情報としたが、画像データのプロファイルを部位特定情報としてもよい。
【0116】
ここで、プロファイルとは、画像の任意の線分上の画素値の変化を、横軸に線分上の位置、縦軸に画素値を取ることにより表したものである。
【0117】
この場合、制御部31は、各医用画像データフレームの画像データに基づいて、所定の線分上におけるプロファイルを生成する。ここで、1つのプロファイルは、1つの医用画像データフレームの画像データに対応する。
【0118】
また、ROM35は、「胸部」と「腹部」の境界となるスライス画像の、所定の線分上におけるプロファイルのパターン(境界プロファイルパターン)を記憶している。
【0119】
制御部31は、ROM35から境界プロファイルパターンを読み出す。そして、制御部31は、この境界プロファイルパターンと、前記医用画像データフレームの画像データに基づいて生成されたプロファイルとを比較する。
【0120】
[変形例1]
尚、第1〜3の実施の形態における医用画像システム100の構成を配信サーバ50を加えた構成にして、検像装置30が行うシリーズ分割処理の機能をPACS40に持たせてもよい。
【0121】
具体例を、図11を参照して説明する。図11に示すように、医用画像システム100は、RIS10と、モダリティ20と、検像装置30と、PACS40と、配信サーバ50とから構成されており、各装置は通信ネットワークNを介して、データ通信可能に接続されている。
【0122】
配信サーバ50は、図示しない電子カルテ機能を有した電子カルテ端末等に医用画像データを配信する装置である。配信サーバ50は、電子カルテ端末等から医用画像の閲覧要求を受信すると、PACS40に医用画像データの取得要求を送信する。PACS40は、この取得要求に応じて配信サーバ50に医用画像データを送信する。そして、配信サーバ50は、取得した医用画像データを電子カルテ端末等に配信する。
【0123】
PACS40は、配信サーバ50に医用画像データを送信する際、ユーザ操作により指定された胸部の初期分割範囲A1に付加範囲M1を付加し、合成分割範囲B1を設定する。また、ユーザ操作により指定された腹部の初期分割範囲A2に付加範囲M2を付加し、合成分割範囲B2を設定する。そして、全身シリーズを合成分割範囲B1に対応する胸部シリーズと、合成分割範囲B2に対応する腹部シリーズとに分割する。そして、これらの各シリーズ(各医用画像データフレーム群)を配信サーバ50に送信する。
【0124】
[変形例2]
尚、第1〜3の実施の形態では、シリーズ分割処理において、検像装置30は、シリーズ情報が同一である医用画像データフレームのグループ(全身シリーズ)から、シリーズ情報が異なる2つの医用画像データフレームのグループ(胸部シリーズと腹部シリーズ)にシリーズ分割しているが、シリーズ情報が異なる3つ以上の複数のグループにシリーズ分割するとしてもよい。その際、別の初期分割範囲に両端を囲まれた初期分割範囲において、当該初期分割範囲の両端に付加範囲を付加し、合成分割範囲を生成するとしてもよい。
【0125】
[変形例3]
尚、第2の実施の形態では、検像装置30はスライス位置情報に基づいて、第3の実施の形態ではヒストグラム又はプロファイルに基づいて、シリーズ分割処理を行うとしたが、これらを組み合わせて、シリーズ分割処理を行うとしてもよい。
【0126】
例えば、検像装置30は、まず、スライス位置情報に基づいて、医用画像データフレームの画像データの大まかな部位予測を行い、次に、ヒストグラムに基づいて、医用画像データフレームの画像データの部位を特定して分割位置を決定し、シリーズ分割を行う。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】医用画像データフレームのデータ構成図である。
【図3】検像装置のブロック図である。
【図4】シリーズ分割処理の概念図である。
【図5】シリーズ分割処理のフローチャートである。
【図6】医用画像データフレームのデータ構成図である。
【図7】胸部に対応する初期分割範囲と腹部に対応する初期分割範囲を設定する処理のフローチャート図である。
【図8】スライス画像とヒストグラムの対応を示した概念図である。
【図9】シリーズ分割処理の概念図である。
【図10】胸部に対応する初期分割範囲と腹部に対応する初期分割範囲を設定する処理のフローチャート図である。
【図11】配信サーバを含む医用画像システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0128】
10 RIS
20 モダリティ
30 検像装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 ROM
36 テンポラリメモリ
37 バス
40 PACS
50 配信サーバ
100 医用画像システム
A1 初期分割範囲
A2 初期分割範囲
B1 合成分割範囲
B2 合成分割範囲
D1 分割基準スライス画像
M1 付加範囲
M2 付加範囲
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定手段と、
前記第一設定手段により設定された分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定手段と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記医用画像処理装置は、
ユーザによるキー入力可能な操作手段、
を更に備え、
前記第一設定手段は前記操作手段より入力された操作信号に基づいて分割範囲を設定する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
医用画像データフレームは、スライス画像の画像データと、前記スライス画像に関する付帯情報とを有し、
前記医用画像処理装置は、
前記複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対応した各医用画像データフレームから被写体の撮影部位を特定するための部位特定情報を取得する取得手段、
を更に備え、
前記第一設定手段は前記取得手段により取得された部位特定情報に基づいて分割範囲を設定する、
請求項1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記第一設定手段は、前記取得手段により取得された部位特定情報に基づいて、各部位に対応するように前記分割範囲を設定する、
請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記部位特定情報は前記付帯情報に含まれる、
請求項3又は4に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記医用画像処理装置は、
前記画像データを解析して画像信号分布情報を生成する生成手段、
を更に備え、
前記部位特定情報は前記画像信号分布情報である、
請求項3又は4に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記医用画像処理装置は、
前記画像データを解析してプロファイルを生成する生成手段、
を更に備え、
前記部位特定情報は前記プロファイルである、
請求項3又は4に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定工程と、
前記第一設定工程において設定した分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定工程と、
を有する医用画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
医用画像生成装置により複数連続的に撮影された一連のスライス画像に対し、前記一連のスライス画像の全範囲から、一又は複数の分割範囲を設定する第一設定手段、
前記第一設定手段により設定された分割範囲に、当該分割範囲の連続方向先端且つ/又は後端に位置するスライス画像に連続する一又は複数のスライス画像の範囲を加えて新たな分割範囲を設定する第二設定手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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