医用画像撮像装置、その寝台用の固定ベルトおよびスライダ
【課題】寝台に被検者を固定するベルトを、所望した位置で寝台に固定することができ、かつ、容易に天板へ着脱することができる医用画像撮像装置を提供する。
【解決手段】寝台の天板2上面には、固定ベルト5の端部を固定するための溝4が備えられ、溝4は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルト5の端部には、スライダ6が備えられる。スライダ6のフック10とばね部9は、所定方向に傾斜させると溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では溝の内部空間に係合する。これにより、溝4の開口上部からスライダ6を着脱できる。
【解決手段】寝台の天板2上面には、固定ベルト5の端部を固定するための溝4が備えられ、溝4は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルト5の端部には、スライダ6が備えられる。スライダ6のフック10とばね部9は、所定方向に傾斜させると溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では溝の内部空間に係合する。これにより、溝4の開口上部からスライダ6を着脱できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を固定するためのベルトを備えた医用画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(以下、MRI)装置や、X線CT装置等の医用画像撮像装置は、一般に、撮像装置本体と、被検体を搭載する寝台とを備えている。被検体の撮像部位は、撮像時に動かないように固定ベルトなどで寝台天板に固定される。
【0003】
特許文献1には、固定ベルトの両端に小型の板状部材を取り付け、この板状部材を寝台天板の両側に設けた溝に挿入することにより固定する構成が開示されている。操作者は、固定ベルトの板状部材を溝端部から溝内に挿入し、所望の位置まで溝内を滑らせて移動させ、所望の位置で溝に設けた切り欠きに固定ベルトを係合させる。これにより、所望の位置で固定ベルトを天板に固定することができる。また、別部材の滑り止めを溝に挿入することにより、切り欠きのない位置で、板状部材を溝に固定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検体の撮像部位は、位置および形状が様々であるため、寝台の固定ベルトは、撮像する部位に応じて様々な掛け方ができることが望まれる。また、被検体の天板への乗り降りを妨げないために、固定ベルトと天板との締結部が天板上に突出しない形状であることが望ましい。
【0006】
特許文献1に開示されている構成は、撮像する部位に応じたベルトの掛け方をすることができ、溝の切り欠きに固定ベルトを係合させる使用態様は、天板に突起を生じさせることもない。しかし、固定ベルトの固定位置が溝の切り欠きの間隔単位でしか選択できず、完全に所望の位置とはならない。一方、滑り止めを溝に挿入して板状部材を固定する使用態様であれば、完全に所望の位置で固定ベルトを溝に固定することが可能であるが、滑り止めを溝に着脱する工数が増えるとともに、滑り止めが天板上に突出する。
【0007】
また、特許文献1の構成では、溝の端部から板状部材を溝内に挿入しなくてはならないので、固定ベルトを被検体に装着する際も取り外す際も、固定ベルトを溝の端部までスライドさせなければならず、着脱に手間どることがある。
【0008】
本発明の目的は、寝台に被検者を固定するベルトを、所望した位置で、かつ、容易に天板へ着脱することができる医用画像撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば以下のような医用画像撮像装置が提供される。すなわち、被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、寝台は、被検体を搭載する天板と、天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備える。天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、この溝は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルトの端部には、固定ベルトを溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられている。スライダは、所定方向に傾斜させると溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では溝の内部空間に係合するフックと、このフックを所定方向に傾斜させない方向に付勢するばね部とを有する。
【0010】
上記スライダは、例えば、天板上面よりも上部に突出するヘッドを備えてもよい。この場合、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入されて、スライダが所定方向に傾斜するのを妨げるロック部材をさらに配置することができる。
【0011】
上記ロック部材は、例えば、固定ベルトの端部に固定される構成とすることができる。この場合、スライダは、ヘッドと天板上面との間の空間に連通した貫通孔を備える構成とし、固定ベルトは、貫通孔を貫通して配置され、固定ベルトを締めた際の張力により、ロック部材が、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入される構成とすることができる。
【0012】
上記ロック部材は、例えば、ヘッドを中心に回転可能に取り付けられ、ロック部材を回転させることにより、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入される構成にすることも可能である。一例としては、ロック部材としては、ヘッドを中心に回転するカム機構を用いることができる。
【0013】
また、本発明の第2の態様によれば、以下のような医用画像撮像装置が提供される。すなわち、被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、寝台は、被検体を搭載する天板と、天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備える。天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、溝は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルトの端部には、固定ベルトを溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられている。スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部とフックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【0014】
上記ヘッド部とばね部との間に、貫通孔を設け、固定ベルトを貫通させる構成としてもよい。固定ベルトの先端には、ロック用の棒状部材を固定することができる。ロック用の棒状部材は、ヘッドと天板上面との間に挿入される。
【0015】
ヘッド部には、ヘッド部を中心に回転するカム機構を備えてもよい。カム機構は、ばね部とフック部とを溝に挿入した状態で、ヘッドを中心に回転することによりヘッドと天板上面との間に挿入される。
【0016】
また、本発明の第3の態様によれば、以下のような固定ベルトが提供される。すなわち、上面に溝が備えられた寝台上に、被検体を固定するための固定ベルトであって、ベルトと、ベルトの端部に備えられたスライダとを有する。スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、以下のようなスライダが提供される。すなわち、寝台に形成された溝と係合することにより、被検体用固定ベルトを着脱可能に固定するためのスライダであって、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部とフックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スライダを溝の開口上部から溝内に挿入することができるため、溝の端部までスライダを移動させることなく、溝の所望の位置にスライダを着脱することができる。また、スライダのばね部の付勢によりスライダを溝内に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態のMRI装置のガントリ100および寝台1の斜視図。
【図3】本実施形態の天板2の溝4の断面図。
【図4】図3の溝4に挿入した状態の本実施形態のスライダ6の側面図。
【図5】図4のスライダ6の斜視図。
【図6】図3の溝4に挿入した状態の本実施形態のスライダ6の断面図。
【図7】図6の状態から、スライダ6を溝から取り出す状態を示す断面図。
【図8】(a)および(b)太さの異なる被検体102を一対の固定ベルトで固定した状態を示す断面図。
【図9】(a)二組の固定ベルトを平行に配置して被検体102を固定した状態を示す斜視図、(b)二組の固定ベルトを交差させて配置して被検体102を固定した状態を示す斜視図。
【図10】第2の実施形態の溝4の断面図。
【図11】第3の実施形態のスライダ4を溝に挿入した状態の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態の寝台を備えた医用画像撮像装置について説明する。本実施形態では、医用画像撮像装置がMRI装置である場合について説明するが、X線CT装置やディジタルX線透視装置のように、寝台に被検体を固定する他の医用画像撮像装置についても同様に適用できる。
【0021】
(MRI装置の構成)
まず、図1および図2を用いて本実施形態のMRI装置の全体構成について説明する。図1は、MRI装置の全体構成の概要図である。このMRI装置は、ガントリ100と、被検体102を搭載する寝台1とを備えている。ガントリ100は、静磁場を発生する静磁場発生装置101を有し、その内側には、傾斜磁場コイル111、高周波(RF)コイル113およびシム110が配置されている。傾斜磁場コイル111には、電流を供給する傾斜磁場パワーアンプ112が接続され、RFコイル113には、高周波電力を供給する高周波パワーアンプ114が接続されている。被検体102の撮像部位近傍には受信コイル115が装着されている。受信コイル115には、検出信号を増幅等する高周波増幅回路116が接続されている。傾斜磁場パワーアンプ112、高周波パワーアンプ114および高周波増幅回路116には、コンピュータ117が接続され、これらの動作を制御するとともに、受信コイル115の検出信号を信号処理し画像再構成を行う。コンピュータ117には、ディスプレイ118が接続され、再構成画像の表示および撮像条件の受付画面の表示等を行う。
【0022】
ガントリ100の静磁場発生装置101は、軸方向を水平にした円筒状であり、円筒の内部空間が撮影空間103となる。静磁場発生装置101は、撮影空間103に静磁場を形成する。シム110は、その磁場均一度を所定値以下にするための磁場を発生する。傾斜磁場コイル111は、互いに直交する3軸方向にそれぞれ勾配した磁場を撮像空間103に生じさせる。高周波コイル113は、被検体102の撮像部位に所定周波数の高周波磁界を照射し、撮像部位の核スピンに核磁気共鳴(NMR)を生じさせる。受信コイル115は、被検体102からのNMR信号を検出し、高周波増幅回路116が増幅等した信号をコンピュータ117が処理することにより、画像再構成を行う。
【0023】
寝台1は、被検体102を搭載する天板2と、天板2をスライドさせる駆動部を内蔵した本体3とを備えている。寝台1は、天板2をスライドさせることにより、被検体102の撮像部位を撮影空間103の中心に搬送する。
【0024】
(第1の実施形態)
寝台1の天板2には、被検体102の撮像部位を固定ベルトで固定するための構造が備えられている。以下、これらの構造について説明する。
【0025】
図2のように、天板2の上面の両端部にはそれぞれ、長手方向に平行に溝4が形成されている。図2の溝4のA−A’断面図を図3に示す。図3のように、溝4の底面部の幅WBは、開口部の幅WAよりも広くなるように形成されている。一例としては、WBは20mm弱、WAはWBの半分程度、溝4の深さは、WBの1/3程度にすることができる。
【0026】
一方、図2のように、被検体102を天板2に固定する固定ベルト5は、固定ベルト5の端部を天板2の溝4に挿入して固定するための係合機構を有する。
【0027】
図4〜図6を用いて固定ベルト5の係合機構を説明する。係合機構は、固定ベルト5の端部に挿入された図5の形状のスライダ6と、固定ベルト5の端部に固定されたロック用棒状部材7とを備えている。
【0028】
スライダ6は、固定ベルト5の幅と同程度の幅を有するヘッド8と、ヘッド8の下部に配置され、フック形状に湾曲した板状ばねであるスプリング9と、スプリング9の両脇に配置された一対のフック10とを備える。ヘッド8とスプリング9とフック10は、連結部11により連結されている。ヘッド8とスプリング9との間には、固定ベルト5が貫通する開口12が設けられている。
【0029】
本実施形態では、ヘッド8とスプリング9とフック10と連結部11とを、同一素材により一体に形成している。素材としては、ヘッド8とフック10と連結部11として必要な剛性と、スプリング9として必要な弾性と、溝4に沿ってスライド可能な適度な滑り性を同時に実現できる材料であればよく、例えば、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等の樹脂を用いることができる。また、スライダ6は、必ずしも同一素材により一体に形成しなくてもよく、スプリング9以外の部分をアルミ等の非磁性金属で、スプリング9を弾性樹脂により形成することも可能である。
【0030】
ロック用棒状部材7は、長さが固定ベルト5の幅と同等であり、太さ(厚み)は、抜け落ち防止のためにスライダ6の開口12の幅(z軸方向)よりも大きい。また、ロック用棒状部材7は、中心軸を固定ベルト5の幅方向に一致させて固定ベルト5に強固に固定されている。
【0031】
また、ロック用棒状部材7は、固定ベルト5を引き締める動作により、スライダ6のヘッド8と天板2の上面との間の空間に嵌合し、スライダ6を溝4に固定するロック機構として作用する。
【0032】
ロック用棒状部材7の素材は、大きく変形しない材料であればよく、例えば樹脂や非磁性金属を用いることができる。固定ベルト5の端部に固定する方法としては、各種方法を用いることができる。例えば、ベルトの端部をロック用棒状部材7の外周に巻きつけて縫合する方法を用いることができる。固定ベルト5とロック用棒状部材7とを樹脂等により一体に形成することも可能である。
【0033】
スライダ6の詳しい形状についてさらに説明する。
【0034】
フック10およびスプリング9の形状は、図7のように、スライダ6の中心軸(z軸)61を天板2の法線に対して、フック10の先端方向に向かって(図7の矢印71の向き)傾斜させると、フック10およびスプリング9を溝4内に挿入できる形状に設計されている。しかも、図6のようにスライダ6の中心軸61を傾斜させずに天板2の法線に一致させた状態では、スライダ6を上方向に引っ張っても、フック10およびスプリング9が溝4から抜け出ない形状に設計されている。具体的には、フック10およびスプリング9の溝幅方向(y方向)の最大長さが、溝4の開口の幅WAよりも大きく、底面部の幅WBよりも小さく設計されている。これにより、スライダ6は、フック10の先端方向(矢印71の向き)とは逆向きに傾斜させようとしても、フック10の先端が溝4に引っ掛かって傾斜しない。
【0035】
スプリング9は、溝4の底面に押しつけられることにより、中心軸(z軸)に沿ってフック10を上方に押し上げるように付勢する。この付勢によりフック10は、溝4の開口周囲の内壁に押しつけられるため、スライダ6の傾斜が妨げられ、スライダ6が上方に引っ張られても溝4から抜け出ない姿勢を維持(固定)することができる。
【0036】
図4および図6のように、ヘッド8の中心軸21の位置は、溝幅方向(y軸方向)について、スライダ6の中心軸61よりもフック10の先端側に所定量オフセットされている。これにより、図6のようにスライダ6の中心軸61を天板2の法線に一致させると、天板2の上面とヘッド8との間に空間が形成される。ロック用棒状部材7の太さ(厚み)は、この空間に嵌合可能な大きさに設定されている。固定ベルト5が引っ張られると、その張力によりロック用棒状部材7はヘッド8と天板2との間の空間に挿入される。よって、スライダ6の中心軸61の傾斜がロック用部材7により妨げられ、スライダ6は溝4へ固定(ロック)される。
【0037】
つぎに、被検体102を固定ベルトを用いて固定する際の各部の作用についてさらに説明する。
【0038】
図8(a),(b)のように、固定ベルト5は、所定の幅および長さを有し、素材は布、樹脂および皮革等、所望のものを用いることができる。固定ベルト5は、2本で一対であり、それぞれの一端は被検体102の両側で溝4に固定され、他端が被検体102上で連結具62(面ファスナーやバックル)によって互いに連結される。これにより被検体102を天板2に固定する。
【0039】
固定ベルト5の溝4に固定される側の端部には、固定ベルト5にロック用棒状部材7が固定され、かつ、スライダ6が挿入されている。他端には、図8(a),(b)のように、所望の位置で互いを連結するための連結具62が備えられている。
【0040】
スライダ6は、傾斜させることにより溝4の所望の位置に、溝4の上面開口からフック10およびスプリング9を挿入することができる。よって、操作者は、溝4の固定ベルト5を取り付けたい位置で、溝4の開口上部からスライダ6を溝4内に挿入する。これにより、スプリング9が溝4の底面に当たり、そのばね力により、フック10を上方へ押し上げて溝4の内壁に押し付ける。この作用により、スライダ6は溝4に固定され、固定ベルト5を上方に引っ張っても、スライダ6は溝4から抜け出ない。
【0041】
この状態では、スプリング9のばね力によりフック10が溝4の内壁に押し付ける力のみでスライダ6が固定されているので、内壁とフック10との間に生じる摩擦力に抗して、操作者がスライダ6を溝4に沿ってスライドさせることが可能であり、操作者は位置を調節することができる。この状態では、スライダ6が図7の矢印71の向きに傾斜するとスライダ6が溝4から外れる。
【0042】
次に、操作者が被検体102の左右から、一対の固定ベルト5を引っ張って、図8(a),(b)のように被検体102の大きさに合わせて中央で固定ベルト5を連結具62により連結すると、固定ベルト5は、図6の矢印の向きに引っ張られ、その張力によりロック用棒状部材7がヘッド8と天板2との間に挿入される。これにより、スライダ6は図7の矢印71の向きには傾斜できなくなるため、スライダ6が溝4から抜け出ることはできず、スライダ6の位置は固定(ロック)される。すなわち、被検体102に固定ベルト5を締める動作により、スライダ6を固定(ロック)することできる。
【0043】
ロックされた状態で被検体102が左右に動き、スライダ6の上に乗りかかるようになったとしても、スライダ6が天板2上に突出している高さ(z軸)は、わずか10mm程度であり、かつ、スライダ6のヘッド8および連結部11の上部は丸みを持っているため、被検体102に痛みや違和感を与えない。また、被検体がスライダ6の上に乗りかかるようになった場合には、固定ベルト5の端部が強く引っ張られるため、ロック用棒状部材7は、ますますヘッド8と天板2との間の空間に強く入り込む。よって、スライダ6が矢印71の方向に傾斜することはできず、スライダ6が溝4から外れることはない。
【0044】
一方、被検体102から固定ベルト4を外す場合には、操作者は、まず固定ベルト5の連結具62を外す。これにより、固定ベルト5にかかっている張力がなくなるため、操作者は図7の矢印71の方向にスライダ6を簡単に傾斜させることができる。この動作により図7のようにロック用棒状部材7はヘッド8と天板2との間の空間から押し出され、スライダ6を溝4から取り外すことができる。
【0045】
このように、本実施形態の固定ベルト5のスライダ6を用いることにより、天板9の溝4の任意の位置で、溝4の開口にスライダ6を挿入して、スライダ6を天板に固定することができる。また、スライダ6を傾斜させることにより、溝4の開口から上方にスライダ6を取り外すことができる。よって、着脱時に溝4の端部までスライダ6を移動させる必要がなく、スライダ6を固定するための治具等を別途挿入する必要もなく、簡単に短時間で被検体102の撮像部位に固定ベルト5を取り付けることができる。
【0046】
また、スライダ6を溝4の任意の位置に固定できるため、被検体102の撮像部位の位置に応じて、固定ベルト5をミリ単位で移動させて、所望の位置に配置できる。よって、図9(a)、(b)等のように、所望の位置で、所望の掛け方で固定ベルト5を掛けて被検体102の撮像部位を固定することができる。
【0047】
さらに、固定ベルト5を被検体102に締める動作により、ロック用棒状部材7をスライダ6と係合させてロックすることができる。よって、ロックをかけるための特別な動作が不要である。また、被検体102が左右に動いた場合であっても、固定ベルト5が引っ張られてさらに強くロック用棒状部材7がスライダ6に挿入されるため、スライダ6が外れない。
【0048】
スライダ6の幅(x軸)は、固定ベルト5の幅にフック10の幅分だけ両側に張り出しただけであるため、複数組の固定ベルト5を図9(a),(b)のように固定する場合、複数のスライダ6を近接配置することが可能であり、複数組の固定ベルト5を近接して配置できる。
【0049】
なお、本実施形態では、スプリング9の幅(x軸)を固定ベルト5と同等としているため、固定ベルト5の両側にフック10が張り出す構成であるが、スプリング9の幅を狭くすることにより、スライダ6の全体の幅を狭めることも可能である。
【0050】
また、本実施形態ではスプリング9の両側にフック10を配置した構成であるが、この構成に限定されるものではなく、フック10を中央に配置し、その両側にスプリングを配置する構成にすることも可能である。
【0051】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、溝4の内壁面の形状が第1の実施形態と異なる。第1の実施形態では、図3のように、溝4の内側面を傾斜させた形状であったが、第2の実施形態では、図10に示すように、溝4の内壁側面を天板2に垂直にする。
【0052】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に溝4の底面部の幅WBよりも開口部の幅WAが狭くなるように設計する。これにより、図10のように、第1の実施形態と同様に、スライダ6を溝4に固定することができる。すなわち、スライダ6を挿入すると、スプリング9が溝4の底面に押し付けられてフック10を押し上げるように付勢し、フック10が溝4の開口周辺の内壁に引っかかることによりスライダ6が固定される。
【0053】
また、スライダ6を傾斜させることにより、溝4から取り外すことができる。
【0054】
他の構成および作用効果は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
(第3の実施形態)
図11に第3の実施形態のスライダ6を示す。第3の実施形態のスライダ6は、第1の実施形態のロック用棒状部材7の代わりに、ロック用カム機構51をスライダ6と一体に備えている。
【0056】
ロック用カム機構51は、図11のように先端が凸形状51aであり、基部がスライダ6のヘッド8の周りを回転する。このカム機構51の回転軸は、ヘッド8の中心軸と同軸である。また、ロック用カム機構51の基部51bには、固定ベルト5の一端が固定されている。
【0057】
第3の実施形態のスライダ6は、傾斜させて溝4に挿入した後、操作者がロック用カム機構51を図11の矢印53の方向に回転させることにより、先端の凸形状51aをヘッド21と天板2の間に挿入し、スライダ6をロックすることができる。
【0058】
また、操作者がロック用カム機構51を矢印53とは逆方向に回転させることにより、先端の凸形状51aをヘッド21と天板2との間から外すことができ、ロックを解除できる。これにより、スライダ6を傾斜させて溝4から取り出すことができる。
【0059】
また、ロック用カム機構51には、固定ベルト5の端部が固定されているので、ロック用カム機構51の回転に固定ベルト5の張力を利用することができる。
【0060】
他の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0061】
1:寝台、2:天板、3:本体、4:溝、5:固定ベルト、6:スライダ、7:ロック用棒状部材、8:ヘッド、9:スプリング、10:フック、11:開口、61:中心軸、21:中心軸、51:ロック用カム機構、62:連結具、100:ガントリ、101:静磁場発生装置、102:被検体、103:撮像空間、110:シム、111:傾斜磁場コイル、113:高周波コイル、115:重心コイル、117:コンピュータ、118:表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を固定するためのベルトを備えた医用画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(以下、MRI)装置や、X線CT装置等の医用画像撮像装置は、一般に、撮像装置本体と、被検体を搭載する寝台とを備えている。被検体の撮像部位は、撮像時に動かないように固定ベルトなどで寝台天板に固定される。
【0003】
特許文献1には、固定ベルトの両端に小型の板状部材を取り付け、この板状部材を寝台天板の両側に設けた溝に挿入することにより固定する構成が開示されている。操作者は、固定ベルトの板状部材を溝端部から溝内に挿入し、所望の位置まで溝内を滑らせて移動させ、所望の位置で溝に設けた切り欠きに固定ベルトを係合させる。これにより、所望の位置で固定ベルトを天板に固定することができる。また、別部材の滑り止めを溝に挿入することにより、切り欠きのない位置で、板状部材を溝に固定することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−57335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検体の撮像部位は、位置および形状が様々であるため、寝台の固定ベルトは、撮像する部位に応じて様々な掛け方ができることが望まれる。また、被検体の天板への乗り降りを妨げないために、固定ベルトと天板との締結部が天板上に突出しない形状であることが望ましい。
【0006】
特許文献1に開示されている構成は、撮像する部位に応じたベルトの掛け方をすることができ、溝の切り欠きに固定ベルトを係合させる使用態様は、天板に突起を生じさせることもない。しかし、固定ベルトの固定位置が溝の切り欠きの間隔単位でしか選択できず、完全に所望の位置とはならない。一方、滑り止めを溝に挿入して板状部材を固定する使用態様であれば、完全に所望の位置で固定ベルトを溝に固定することが可能であるが、滑り止めを溝に着脱する工数が増えるとともに、滑り止めが天板上に突出する。
【0007】
また、特許文献1の構成では、溝の端部から板状部材を溝内に挿入しなくてはならないので、固定ベルトを被検体に装着する際も取り外す際も、固定ベルトを溝の端部までスライドさせなければならず、着脱に手間どることがある。
【0008】
本発明の目的は、寝台に被検者を固定するベルトを、所望した位置で、かつ、容易に天板へ着脱することができる医用画像撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば以下のような医用画像撮像装置が提供される。すなわち、被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、寝台は、被検体を搭載する天板と、天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備える。天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、この溝は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルトの端部には、固定ベルトを溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられている。スライダは、所定方向に傾斜させると溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では溝の内部空間に係合するフックと、このフックを所定方向に傾斜させない方向に付勢するばね部とを有する。
【0010】
上記スライダは、例えば、天板上面よりも上部に突出するヘッドを備えてもよい。この場合、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入されて、スライダが所定方向に傾斜するのを妨げるロック部材をさらに配置することができる。
【0011】
上記ロック部材は、例えば、固定ベルトの端部に固定される構成とすることができる。この場合、スライダは、ヘッドと天板上面との間の空間に連通した貫通孔を備える構成とし、固定ベルトは、貫通孔を貫通して配置され、固定ベルトを締めた際の張力により、ロック部材が、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入される構成とすることができる。
【0012】
上記ロック部材は、例えば、ヘッドを中心に回転可能に取り付けられ、ロック部材を回転させることにより、ヘッドと天板上面との間の空間に挿入される構成にすることも可能である。一例としては、ロック部材としては、ヘッドを中心に回転するカム機構を用いることができる。
【0013】
また、本発明の第2の態様によれば、以下のような医用画像撮像装置が提供される。すなわち、被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、寝台は、被検体を搭載する天板と、天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備える。天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、溝は、開口幅が底面幅より小さい。固定ベルトの端部には、固定ベルトを溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられている。スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部とフックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【0014】
上記ヘッド部とばね部との間に、貫通孔を設け、固定ベルトを貫通させる構成としてもよい。固定ベルトの先端には、ロック用の棒状部材を固定することができる。ロック用の棒状部材は、ヘッドと天板上面との間に挿入される。
【0015】
ヘッド部には、ヘッド部を中心に回転するカム機構を備えてもよい。カム機構は、ばね部とフック部とを溝に挿入した状態で、ヘッドを中心に回転することによりヘッドと天板上面との間に挿入される。
【0016】
また、本発明の第3の態様によれば、以下のような固定ベルトが提供される。すなわち、上面に溝が備えられた寝台上に、被検体を固定するための固定ベルトであって、ベルトと、ベルトの端部に備えられたスライダとを有する。スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、以下のようなスライダが提供される。すなわち、寝台に形成された溝と係合することにより、被検体用固定ベルトを着脱可能に固定するためのスライダであって、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、ばね部と並べて配置されたフックと、ばね部とフックの上部を連結するヘッド部とを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スライダを溝の開口上部から溝内に挿入することができるため、溝の端部までスライダを移動させることなく、溝の所望の位置にスライダを着脱することができる。また、スライダのばね部の付勢によりスライダを溝内に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態のMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態のMRI装置のガントリ100および寝台1の斜視図。
【図3】本実施形態の天板2の溝4の断面図。
【図4】図3の溝4に挿入した状態の本実施形態のスライダ6の側面図。
【図5】図4のスライダ6の斜視図。
【図6】図3の溝4に挿入した状態の本実施形態のスライダ6の断面図。
【図7】図6の状態から、スライダ6を溝から取り出す状態を示す断面図。
【図8】(a)および(b)太さの異なる被検体102を一対の固定ベルトで固定した状態を示す断面図。
【図9】(a)二組の固定ベルトを平行に配置して被検体102を固定した状態を示す斜視図、(b)二組の固定ベルトを交差させて配置して被検体102を固定した状態を示す斜視図。
【図10】第2の実施形態の溝4の断面図。
【図11】第3の実施形態のスライダ4を溝に挿入した状態の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態の寝台を備えた医用画像撮像装置について説明する。本実施形態では、医用画像撮像装置がMRI装置である場合について説明するが、X線CT装置やディジタルX線透視装置のように、寝台に被検体を固定する他の医用画像撮像装置についても同様に適用できる。
【0021】
(MRI装置の構成)
まず、図1および図2を用いて本実施形態のMRI装置の全体構成について説明する。図1は、MRI装置の全体構成の概要図である。このMRI装置は、ガントリ100と、被検体102を搭載する寝台1とを備えている。ガントリ100は、静磁場を発生する静磁場発生装置101を有し、その内側には、傾斜磁場コイル111、高周波(RF)コイル113およびシム110が配置されている。傾斜磁場コイル111には、電流を供給する傾斜磁場パワーアンプ112が接続され、RFコイル113には、高周波電力を供給する高周波パワーアンプ114が接続されている。被検体102の撮像部位近傍には受信コイル115が装着されている。受信コイル115には、検出信号を増幅等する高周波増幅回路116が接続されている。傾斜磁場パワーアンプ112、高周波パワーアンプ114および高周波増幅回路116には、コンピュータ117が接続され、これらの動作を制御するとともに、受信コイル115の検出信号を信号処理し画像再構成を行う。コンピュータ117には、ディスプレイ118が接続され、再構成画像の表示および撮像条件の受付画面の表示等を行う。
【0022】
ガントリ100の静磁場発生装置101は、軸方向を水平にした円筒状であり、円筒の内部空間が撮影空間103となる。静磁場発生装置101は、撮影空間103に静磁場を形成する。シム110は、その磁場均一度を所定値以下にするための磁場を発生する。傾斜磁場コイル111は、互いに直交する3軸方向にそれぞれ勾配した磁場を撮像空間103に生じさせる。高周波コイル113は、被検体102の撮像部位に所定周波数の高周波磁界を照射し、撮像部位の核スピンに核磁気共鳴(NMR)を生じさせる。受信コイル115は、被検体102からのNMR信号を検出し、高周波増幅回路116が増幅等した信号をコンピュータ117が処理することにより、画像再構成を行う。
【0023】
寝台1は、被検体102を搭載する天板2と、天板2をスライドさせる駆動部を内蔵した本体3とを備えている。寝台1は、天板2をスライドさせることにより、被検体102の撮像部位を撮影空間103の中心に搬送する。
【0024】
(第1の実施形態)
寝台1の天板2には、被検体102の撮像部位を固定ベルトで固定するための構造が備えられている。以下、これらの構造について説明する。
【0025】
図2のように、天板2の上面の両端部にはそれぞれ、長手方向に平行に溝4が形成されている。図2の溝4のA−A’断面図を図3に示す。図3のように、溝4の底面部の幅WBは、開口部の幅WAよりも広くなるように形成されている。一例としては、WBは20mm弱、WAはWBの半分程度、溝4の深さは、WBの1/3程度にすることができる。
【0026】
一方、図2のように、被検体102を天板2に固定する固定ベルト5は、固定ベルト5の端部を天板2の溝4に挿入して固定するための係合機構を有する。
【0027】
図4〜図6を用いて固定ベルト5の係合機構を説明する。係合機構は、固定ベルト5の端部に挿入された図5の形状のスライダ6と、固定ベルト5の端部に固定されたロック用棒状部材7とを備えている。
【0028】
スライダ6は、固定ベルト5の幅と同程度の幅を有するヘッド8と、ヘッド8の下部に配置され、フック形状に湾曲した板状ばねであるスプリング9と、スプリング9の両脇に配置された一対のフック10とを備える。ヘッド8とスプリング9とフック10は、連結部11により連結されている。ヘッド8とスプリング9との間には、固定ベルト5が貫通する開口12が設けられている。
【0029】
本実施形態では、ヘッド8とスプリング9とフック10と連結部11とを、同一素材により一体に形成している。素材としては、ヘッド8とフック10と連結部11として必要な剛性と、スプリング9として必要な弾性と、溝4に沿ってスライド可能な適度な滑り性を同時に実現できる材料であればよく、例えば、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等の樹脂を用いることができる。また、スライダ6は、必ずしも同一素材により一体に形成しなくてもよく、スプリング9以外の部分をアルミ等の非磁性金属で、スプリング9を弾性樹脂により形成することも可能である。
【0030】
ロック用棒状部材7は、長さが固定ベルト5の幅と同等であり、太さ(厚み)は、抜け落ち防止のためにスライダ6の開口12の幅(z軸方向)よりも大きい。また、ロック用棒状部材7は、中心軸を固定ベルト5の幅方向に一致させて固定ベルト5に強固に固定されている。
【0031】
また、ロック用棒状部材7は、固定ベルト5を引き締める動作により、スライダ6のヘッド8と天板2の上面との間の空間に嵌合し、スライダ6を溝4に固定するロック機構として作用する。
【0032】
ロック用棒状部材7の素材は、大きく変形しない材料であればよく、例えば樹脂や非磁性金属を用いることができる。固定ベルト5の端部に固定する方法としては、各種方法を用いることができる。例えば、ベルトの端部をロック用棒状部材7の外周に巻きつけて縫合する方法を用いることができる。固定ベルト5とロック用棒状部材7とを樹脂等により一体に形成することも可能である。
【0033】
スライダ6の詳しい形状についてさらに説明する。
【0034】
フック10およびスプリング9の形状は、図7のように、スライダ6の中心軸(z軸)61を天板2の法線に対して、フック10の先端方向に向かって(図7の矢印71の向き)傾斜させると、フック10およびスプリング9を溝4内に挿入できる形状に設計されている。しかも、図6のようにスライダ6の中心軸61を傾斜させずに天板2の法線に一致させた状態では、スライダ6を上方向に引っ張っても、フック10およびスプリング9が溝4から抜け出ない形状に設計されている。具体的には、フック10およびスプリング9の溝幅方向(y方向)の最大長さが、溝4の開口の幅WAよりも大きく、底面部の幅WBよりも小さく設計されている。これにより、スライダ6は、フック10の先端方向(矢印71の向き)とは逆向きに傾斜させようとしても、フック10の先端が溝4に引っ掛かって傾斜しない。
【0035】
スプリング9は、溝4の底面に押しつけられることにより、中心軸(z軸)に沿ってフック10を上方に押し上げるように付勢する。この付勢によりフック10は、溝4の開口周囲の内壁に押しつけられるため、スライダ6の傾斜が妨げられ、スライダ6が上方に引っ張られても溝4から抜け出ない姿勢を維持(固定)することができる。
【0036】
図4および図6のように、ヘッド8の中心軸21の位置は、溝幅方向(y軸方向)について、スライダ6の中心軸61よりもフック10の先端側に所定量オフセットされている。これにより、図6のようにスライダ6の中心軸61を天板2の法線に一致させると、天板2の上面とヘッド8との間に空間が形成される。ロック用棒状部材7の太さ(厚み)は、この空間に嵌合可能な大きさに設定されている。固定ベルト5が引っ張られると、その張力によりロック用棒状部材7はヘッド8と天板2との間の空間に挿入される。よって、スライダ6の中心軸61の傾斜がロック用部材7により妨げられ、スライダ6は溝4へ固定(ロック)される。
【0037】
つぎに、被検体102を固定ベルトを用いて固定する際の各部の作用についてさらに説明する。
【0038】
図8(a),(b)のように、固定ベルト5は、所定の幅および長さを有し、素材は布、樹脂および皮革等、所望のものを用いることができる。固定ベルト5は、2本で一対であり、それぞれの一端は被検体102の両側で溝4に固定され、他端が被検体102上で連結具62(面ファスナーやバックル)によって互いに連結される。これにより被検体102を天板2に固定する。
【0039】
固定ベルト5の溝4に固定される側の端部には、固定ベルト5にロック用棒状部材7が固定され、かつ、スライダ6が挿入されている。他端には、図8(a),(b)のように、所望の位置で互いを連結するための連結具62が備えられている。
【0040】
スライダ6は、傾斜させることにより溝4の所望の位置に、溝4の上面開口からフック10およびスプリング9を挿入することができる。よって、操作者は、溝4の固定ベルト5を取り付けたい位置で、溝4の開口上部からスライダ6を溝4内に挿入する。これにより、スプリング9が溝4の底面に当たり、そのばね力により、フック10を上方へ押し上げて溝4の内壁に押し付ける。この作用により、スライダ6は溝4に固定され、固定ベルト5を上方に引っ張っても、スライダ6は溝4から抜け出ない。
【0041】
この状態では、スプリング9のばね力によりフック10が溝4の内壁に押し付ける力のみでスライダ6が固定されているので、内壁とフック10との間に生じる摩擦力に抗して、操作者がスライダ6を溝4に沿ってスライドさせることが可能であり、操作者は位置を調節することができる。この状態では、スライダ6が図7の矢印71の向きに傾斜するとスライダ6が溝4から外れる。
【0042】
次に、操作者が被検体102の左右から、一対の固定ベルト5を引っ張って、図8(a),(b)のように被検体102の大きさに合わせて中央で固定ベルト5を連結具62により連結すると、固定ベルト5は、図6の矢印の向きに引っ張られ、その張力によりロック用棒状部材7がヘッド8と天板2との間に挿入される。これにより、スライダ6は図7の矢印71の向きには傾斜できなくなるため、スライダ6が溝4から抜け出ることはできず、スライダ6の位置は固定(ロック)される。すなわち、被検体102に固定ベルト5を締める動作により、スライダ6を固定(ロック)することできる。
【0043】
ロックされた状態で被検体102が左右に動き、スライダ6の上に乗りかかるようになったとしても、スライダ6が天板2上に突出している高さ(z軸)は、わずか10mm程度であり、かつ、スライダ6のヘッド8および連結部11の上部は丸みを持っているため、被検体102に痛みや違和感を与えない。また、被検体がスライダ6の上に乗りかかるようになった場合には、固定ベルト5の端部が強く引っ張られるため、ロック用棒状部材7は、ますますヘッド8と天板2との間の空間に強く入り込む。よって、スライダ6が矢印71の方向に傾斜することはできず、スライダ6が溝4から外れることはない。
【0044】
一方、被検体102から固定ベルト4を外す場合には、操作者は、まず固定ベルト5の連結具62を外す。これにより、固定ベルト5にかかっている張力がなくなるため、操作者は図7の矢印71の方向にスライダ6を簡単に傾斜させることができる。この動作により図7のようにロック用棒状部材7はヘッド8と天板2との間の空間から押し出され、スライダ6を溝4から取り外すことができる。
【0045】
このように、本実施形態の固定ベルト5のスライダ6を用いることにより、天板9の溝4の任意の位置で、溝4の開口にスライダ6を挿入して、スライダ6を天板に固定することができる。また、スライダ6を傾斜させることにより、溝4の開口から上方にスライダ6を取り外すことができる。よって、着脱時に溝4の端部までスライダ6を移動させる必要がなく、スライダ6を固定するための治具等を別途挿入する必要もなく、簡単に短時間で被検体102の撮像部位に固定ベルト5を取り付けることができる。
【0046】
また、スライダ6を溝4の任意の位置に固定できるため、被検体102の撮像部位の位置に応じて、固定ベルト5をミリ単位で移動させて、所望の位置に配置できる。よって、図9(a)、(b)等のように、所望の位置で、所望の掛け方で固定ベルト5を掛けて被検体102の撮像部位を固定することができる。
【0047】
さらに、固定ベルト5を被検体102に締める動作により、ロック用棒状部材7をスライダ6と係合させてロックすることができる。よって、ロックをかけるための特別な動作が不要である。また、被検体102が左右に動いた場合であっても、固定ベルト5が引っ張られてさらに強くロック用棒状部材7がスライダ6に挿入されるため、スライダ6が外れない。
【0048】
スライダ6の幅(x軸)は、固定ベルト5の幅にフック10の幅分だけ両側に張り出しただけであるため、複数組の固定ベルト5を図9(a),(b)のように固定する場合、複数のスライダ6を近接配置することが可能であり、複数組の固定ベルト5を近接して配置できる。
【0049】
なお、本実施形態では、スプリング9の幅(x軸)を固定ベルト5と同等としているため、固定ベルト5の両側にフック10が張り出す構成であるが、スプリング9の幅を狭くすることにより、スライダ6の全体の幅を狭めることも可能である。
【0050】
また、本実施形態ではスプリング9の両側にフック10を配置した構成であるが、この構成に限定されるものではなく、フック10を中央に配置し、その両側にスプリングを配置する構成にすることも可能である。
【0051】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、溝4の内壁面の形状が第1の実施形態と異なる。第1の実施形態では、図3のように、溝4の内側面を傾斜させた形状であったが、第2の実施形態では、図10に示すように、溝4の内壁側面を天板2に垂直にする。
【0052】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に溝4の底面部の幅WBよりも開口部の幅WAが狭くなるように設計する。これにより、図10のように、第1の実施形態と同様に、スライダ6を溝4に固定することができる。すなわち、スライダ6を挿入すると、スプリング9が溝4の底面に押し付けられてフック10を押し上げるように付勢し、フック10が溝4の開口周辺の内壁に引っかかることによりスライダ6が固定される。
【0053】
また、スライダ6を傾斜させることにより、溝4から取り外すことができる。
【0054】
他の構成および作用効果は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0055】
(第3の実施形態)
図11に第3の実施形態のスライダ6を示す。第3の実施形態のスライダ6は、第1の実施形態のロック用棒状部材7の代わりに、ロック用カム機構51をスライダ6と一体に備えている。
【0056】
ロック用カム機構51は、図11のように先端が凸形状51aであり、基部がスライダ6のヘッド8の周りを回転する。このカム機構51の回転軸は、ヘッド8の中心軸と同軸である。また、ロック用カム機構51の基部51bには、固定ベルト5の一端が固定されている。
【0057】
第3の実施形態のスライダ6は、傾斜させて溝4に挿入した後、操作者がロック用カム機構51を図11の矢印53の方向に回転させることにより、先端の凸形状51aをヘッド21と天板2の間に挿入し、スライダ6をロックすることができる。
【0058】
また、操作者がロック用カム機構51を矢印53とは逆方向に回転させることにより、先端の凸形状51aをヘッド21と天板2との間から外すことができ、ロックを解除できる。これにより、スライダ6を傾斜させて溝4から取り出すことができる。
【0059】
また、ロック用カム機構51には、固定ベルト5の端部が固定されているので、ロック用カム機構51の回転に固定ベルト5の張力を利用することができる。
【0060】
他の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0061】
1:寝台、2:天板、3:本体、4:溝、5:固定ベルト、6:スライダ、7:ロック用棒状部材、8:ヘッド、9:スプリング、10:フック、11:開口、61:中心軸、21:中心軸、51:ロック用カム機構、62:連結具、100:ガントリ、101:静磁場発生装置、102:被検体、103:撮像空間、110:シム、111:傾斜磁場コイル、113:高周波コイル、115:重心コイル、117:コンピュータ、118:表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、
前記寝台は、被検体を搭載する天板と、当該天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備え、
前記天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、当該溝は、開口幅が底面幅より小さく、
前記固定ベルトの前記端部には、該固定ベルトを前記溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられ、
前記スライダは、所定方向に傾斜させると前記溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では前記溝の内部空間に係合するフックと、前記フックを前記所定方向に傾斜させない方向に付勢するばね部とを有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用画像撮像装置において、前記スライダは、前記天板上面よりも上部に突出するヘッドを備え、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されて前記スライダが前記所定方向に傾斜するのを妨げるロック部材をさらに有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記固定ベルトの前記端部に固定され、
前記スライダは、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に連通した貫通孔を備え、
前記固定ベルトは、前記貫通孔を貫通して配置され、前記固定ベルトを締めた際の張力により、前記ロック部材が、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記ヘッドを中心に回転可能に取り付けられ、前記ロック部材を回転させることにより、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記ヘッドを中心に回転するカム機構であることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項6】
被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、
前記寝台は、被検体を搭載する天板と、当該天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備え、
前記天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、当該溝は、開口幅が底面幅より小さく、
前記固定ベルトの前記端部には、該固定ベルトを前記溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられ、
前記スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の医用画像撮像装置において、前記ヘッド部と前記ばね部との間には、貫通孔が設けられ、前記固定ベルトは、前記貫通孔を貫通していることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の医用画像撮像装置において、前記固定ベルトの先端には、ロック用の棒状部材が固定され、当該ロック用の棒状部材は、前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項9】
請求項6に記載の医用画像撮像装置において、前記ヘッド部には、前記ヘッド部を中心に回転するカム機構が備えられ、該カム機構は、前記ばね部とフック部とを前記溝に挿入した状態で、前記ヘッドを中心に回転することにより前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項10】
上面に溝が備えられた寝台上に、被検体を固定するための固定ベルトであって、
ベルトと、該ベルトの端部に備えられたスライダとを有し、
前記スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とする固定ベルト。
【請求項11】
請求項10に記載の固定ベルトにおいて、前記ヘッド部と前記ばね部との間には、貫通孔が設けられ、前記ベルトは、前記貫通孔を貫通し、
前記ベルトの先端には、ロック用の棒状部材が固定され、当該ロック用の棒状部材は、前記ばね部とフック部とを前記溝に挿入した状態で、前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする固定ベルト。
【請求項12】
寝台に形成された溝と係合することにより、被検体用固定ベルトを着脱可能に固定するためのスライダであって、
弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とするスライダ。
【請求項1】
被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、
前記寝台は、被検体を搭載する天板と、当該天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備え、
前記天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、当該溝は、開口幅が底面幅より小さく、
前記固定ベルトの前記端部には、該固定ベルトを前記溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられ、
前記スライダは、所定方向に傾斜させると前記溝の開口を通過でき、傾斜させていない状態では前記溝の内部空間に係合するフックと、前記フックを前記所定方向に傾斜させない方向に付勢するばね部とを有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用画像撮像装置において、前記スライダは、前記天板上面よりも上部に突出するヘッドを備え、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されて前記スライダが前記所定方向に傾斜するのを妨げるロック部材をさらに有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記固定ベルトの前記端部に固定され、
前記スライダは、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に連通した貫通孔を備え、
前記固定ベルトは、前記貫通孔を貫通して配置され、前記固定ベルトを締めた際の張力により、前記ロック部材が、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記ヘッドを中心に回転可能に取り付けられ、前記ロック部材を回転させることにより、前記ヘッドと前記天板上面との間の空間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の医用画像撮像装置において、前記ロック部材は、前記ヘッドを中心に回転するカム機構であることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項6】
被検体を搭載する寝台を有する医用画像撮像装置であって、
前記寝台は、被検体を搭載する天板と、当該天板上に被検体を固定するための固定ベルトとを備え、
前記天板上面には、固定ベルトの端部を固定するための溝が備えられ、当該溝は、開口幅が底面幅より小さく、
前記固定ベルトの前記端部には、該固定ベルトを前記溝に取り外し可能に固定するためのスライダが備えられ、
前記スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の医用画像撮像装置において、前記ヘッド部と前記ばね部との間には、貫通孔が設けられ、前記固定ベルトは、前記貫通孔を貫通していることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の医用画像撮像装置において、前記固定ベルトの先端には、ロック用の棒状部材が固定され、当該ロック用の棒状部材は、前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項9】
請求項6に記載の医用画像撮像装置において、前記ヘッド部には、前記ヘッド部を中心に回転するカム機構が備えられ、該カム機構は、前記ばね部とフック部とを前記溝に挿入した状態で、前記ヘッドを中心に回転することにより前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項10】
上面に溝が備えられた寝台上に、被検体を固定するための固定ベルトであって、
ベルトと、該ベルトの端部に備えられたスライダとを有し、
前記スライダは、弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とする固定ベルト。
【請求項11】
請求項10に記載の固定ベルトにおいて、前記ヘッド部と前記ばね部との間には、貫通孔が設けられ、前記ベルトは、前記貫通孔を貫通し、
前記ベルトの先端には、ロック用の棒状部材が固定され、当該ロック用の棒状部材は、前記ばね部とフック部とを前記溝に挿入した状態で、前記ヘッドと前記天板上面との間に挿入されることを特徴とする固定ベルト。
【請求項12】
寝台に形成された溝と係合することにより、被検体用固定ベルトを着脱可能に固定するためのスライダであって、
弾性のある板状部材をフック形状に湾曲させたばね部と、前記ばね部と並べて配置されたフックと、前記ばね部と前記フックの上部を連結するヘッド部とを有することを特徴とするスライダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−152465(P2012−152465A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15642(P2011−15642)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]