説明

医用装置および配信システム

【課題】オペレータの作業負担を軽減する。
【解決手段】被検者13を撮影したときの環境を記憶しておく。そして、被検者を再び撮影する場合、オペレータは、過去に被検者13を撮影したときの環境が記憶部9に記憶されているか否かを確認するために、患者番号PID=056を入力する。患者番号PID=056に対応付けられた環境が記憶されている場合、条件設定手段101は、患者番号PID=056に対応する環境が再現されるように、被検者13を再び撮影するときの環境を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者を撮影する医用装置、および配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置などの医用装置の普及によって、被検者の病気の早期発見や、より的確な診断ができるようになった。しかし、一方で、被検者の中には、医用装置の撮影に不安感を感じたり、苦手意識をもつ人も多い。例えば、磁気共鳴イメージング装置で撮影を行う場合、被検者はマグネットのボア内に搬入されるが、ボアの空間は狭いので、閉所恐怖症の人は不安感を感じることが多い。そこで、ボアの中にディスプレイを備え、ディスプレイに画像を表示させることで被検者が感じる不安感を低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、被検者の不安感を軽減する方法として、ボアの中を明るくするためのボアライトを備える方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−190112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ディスプレイに画像を表示する場合、被検者によって、表示する画像の好みに違いがある。また、ボアライトを点灯させる場合、眩しいくらい明るい光を好む人もいれば、薄暗い光を好む人もいる。したがって、オペレータは、被検者に、画像の好みやボアライトの明るさの好みを聞き、被検者の好みに合うように、ディスプレイの画像やボアライトの明るさを手動で設定している。しかし、被検者を撮影した後、日時を改めて、同じ被検者を撮影することがある。この場合に、オペレータが、再び被検者に好みを聞いて、ディスプレイの画像やボアライトの明るさを手動で設定するのは、オペレータの作業負担を考えると、好ましいことではない。そこで、オペレータの作業負担を軽減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、被検者を撮影したときに設定された環境に関する条件を、前記被検者を特定するための情報に対応付けて記憶する記憶部と、
前記被検者を再び撮影する場合、前記記憶部から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、前記被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する条件設定手段と、
を有する医用装置である。
【0006】
本発明の第2の態様は、被検者を撮影する複数の医用装置と、前記複数の医用装置の各々に、前記被検者を撮影するときの環境に関する条件を送信するサーバと、を有する配信システムであって、
前記サーバは、
前記複数の医用装置のうちのいずれかの医用装置で前記被検者を撮影したときの環境に関する条件を、前記被検者を特定するための情報に対応付けて記憶する記憶部と、
記複数の医用装置のうちのいずれかの医用装置で前記被検者を再び撮影する場合、前記記憶部から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、前記被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する条件設定手段と、
を有する、配信システムである。
【発明の効果】
【0007】
前記被検者を再び撮影する場合、前記記憶部から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、前記被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する。したがって、被検者を再び撮影する場合、環境に関する条件を設定するときのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の形態の磁気共鳴イメージング装置100の概略図である。
【図2】マグネットルームの側面図である。
【図3】被検者13を撮影するときのフローを示す図である。
【図4】項目の設定の一例を示す図である。
【図5】記憶部9に記憶された環境に関する条件を概略的に示す図である。
【図6】被検者13がマグネットルーム1に案内されたときの様子を示す図である。
【図7】被検者13がマグネットルーム1に案内されたときの様子を示す図である。
【図8】被検者13にヘッドフォン24を装着したときの様子を示す図である。
【図9】ヘッドフォン24から流れる音楽が、「ドボルザークの新世界」に変更された様子を示す図である。
【図10】第2の形態における記憶部を概略的に示す図である。
【図11】第2の形態において被検者を撮影するときのフローを示す図である。
【図12】記憶部9が、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて環境に関する条件A3を記憶した様子を示す図である。
【図13】記憶部9が、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて、変更後の環境に関する条件A3′を記憶した様子を示す図である。
【図14】本発明の第3の形態の配信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下の形態に限定されることはない。
【0010】
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態の磁気共鳴イメージング装置100の概略図、図2は、マグネットルームの側面図である。尚、図2には、マグネットの断面が示されている。
【0011】
MRI装置100は、磁場を発生するマグネット2およびテーブル3を有している。マグネット2およびテーブル3は、マグネットルーム1に配置されている。
【0012】
マグネット2は、被検者13が搬入されるボア2aを有している。また、マグネット2には、超伝導コイル、勾配コイル、およびRFコイルなどが内蔵されている。
【0013】
マグネット2の前面2bには、LEDライト21が取り付けられている。LEDライト21は、被検者13の好みの明るさおよび色合いで照明することができるライトである。したがって、LEDライト21は、被検者13がマグネットルーム1に入ったときに、被検者13の緊張を和らげる効果を有している。
【0014】
マグネット2のボア2aの開口部付近には、ボアライト22が取り付けられている。ボアライト22は、ボア2aの内部を明るくするためのものである。ボア2aの内部を明るくすることによって、暗い場所が苦手な人の不安感を軽減することができる。
【0015】
また、マグネット2のボア2aには、クーリング装置1aから空気が供給される。クーリング装置1aは、空気の風量、温度を調整することができるので、ボア2aの中を、被検者13にとって快適な温度にすることができる。また、クーリング装置1aは、空気を媒体として、ボア2a内に香り(アロマ)を供給できるようにも構成されている。したがって、被検者13をリラックスさせることができる。
【0016】
更に、マグネット2のボア2aの内壁には、ディスプレイ23が取り付けられている。ディスプレイ23には、被検者13の好みの画像が表示される。
【0017】
マグネットルーム1には、テーブル3も配置されている。テーブル3は、被検者13を支持するクレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア2aに移動できるように構成されている。したがって、クレードル3aの移動によって、被検者13をボア2aに搬入することができる。
【0018】
また、MRI装置100は受信コイル4を有している。受信コイル4は被検者13の腹部に取り付けられており、被検者13からの磁気共鳴信号を受信する。更に、被検者13には、ヘッドフォン24が装着されている。被検者13は、ヘッドフォン24からオペレータ14の指示を聞くことができる。尚、オペレータ14が被検者13に指示をするとき以外は、ヘッドフォン24には、被検者13の好みの音楽が流れている。
【0019】
MRI装置100は、更に、シーケンサ5、送信器6、勾配磁場電源7、受信器8、記憶部9、中央処理装置10、操作部11、および表示部12を有している。
【0020】
シーケンサ5は、中央処理装置10の制御を受けて、被検者13を撮影するための情報を送信器6および勾配磁場電源7に送る。
【0021】
送信器6は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、RFコイルを駆動する駆動信号を出力する。
【0022】
勾配磁場電源7は、シーケンサ5から送られた情報に基づいて、勾配コイルを駆動する駆動信号を出力する。
【0023】
受信器8は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、信号処理により得たれたデータを中央処理装置10に出力する。
【0024】
記憶部9は、被検者13を撮影したときに設定された条件を記憶する。記憶部9に記憶される条件については後述する。
【0025】
中央処理装置10は、シーケンサ5および表示部12に必要な情報を伝送したり、受信器8から受け取ったデータに基づいて画像を再構成するなど、MRI装置100の各種の動作を実現するように、MRI装置100の各部の動作を制御する。中央処理装置10は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。
中央処理装置10は、条件設定手段101および検索手段102などを有している。
【0026】
条件設定手段101は、被検者13を撮影するときの環境に関する条件を設定する。
検索手段102は、記憶部9の中から、オペレータ14が入力した患者番号PIDに対応付けられた条件を検索する。
【0027】
中央処理装置10は、条件設定手段101および検索手段102の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、この手段として機能する。
【0028】
操作部11は、オペレータ14により操作され、種々の情報を中央処理装置10に入力する。表示部12は種々の情報を表示する。
MRI装置100は、上記のように構成されている。
【0029】
次に、MRI装置100を用いて被検者13を撮影するときの手順について説明する。
図3は、被検者13を撮影するときのフローを示す図である。
【0030】
ステップST1では、オペレータ14は、過去に被検者13を撮影したことがあるか否かを確認する。ここでは、被検者13の撮影は、今回が初めてであるとする。したがって、ステップST2に進む。
【0031】
ステップST2では、オペレータ14は、被検者13を撮影する前に、被検者13を撮影するときの環境に関する条件を設定する。第1の形態では、環境に関する条件として、以下の(1)〜(9)を設定する。

(1)ボアライト22の明るさおよび色合い
(2)クーリング装置1aの風量および温度
(3)LEDライト21の明るさと色合い
(4)ヘッドフォン24の音量と音程
(5)マグネットルーム1の照明1bの明るさ
(6)マグネットルーム1の温度
(7)クーリング装置1aから供給される香り
(8)ヘッドフォン24から流れる音楽
(9)ディスプレイ23に表示される画像
【0032】
オペレータ14は、上記の項目(1)〜(9)について、被検者13の好み等を考慮して設定する。被検者13の好みが分からない場合は、被検者13に事前に聞いておく。上記の項目の設定の一例を、図4に示す。
【0033】
オペレータ14は、操作部12を操作し、各項目(1)〜(9)を図4に示すように設定するための情報を入力する。この情報が入力されると、条件設定手段101(図1参照)は、被検者13を撮影するときの環境に関する条件を、図4に示すように設定する。このようにして、被検者13を撮影するときの環境に関する条件が設定される。環境に関する条件が設定されたら、ステップST3に進む。
【0034】
ステップST3では、記憶部9は、条件設定手段101により設定された環境に関する条件を記憶する(図5参照)。
【0035】
図5は、記憶部9に記憶された環境に関する条件を概略的に示す図である。
記憶部9は、条件設定手段101により設定された環境に関する条件を、被検者13を特定する情報に対応付けて記憶する。本形態では、被検者13を特定する情報として、患者番号PIDが使用されている。図5では、ステップST2で設定された環境に関する条件は、患者番号PID=056に対応付けて記憶されている。そして、ステップST4に進む。
【0036】
ステップST4では、オペレータ14は、被検者13をマグネットルーム1に案内する(図6および図7参照)。
【0037】
図6および図7は、被検者13がマグネットルーム1に案内されたときの様子を示す図である。
【0038】
マグネットルーム1の照明1bは最も明るく設定されており、マグネットルーム1の温度は23度に設定されている。したがって、マグネットルーム1の照明1bの明るさ、およびマグネットルーム1の温度は、被検者13の好みになっているので、被検者13が撮影直前に感じる緊張感を和らげることができる。
【0039】
また、LEDライト21も被検者13の好みに設定されているので、LEDライト21の光によっても、被検者13の緊張を和らげることができる。
【0040】
オペレータ14は、被検者13をマグネットルーム1に案内した後、被検者13をテーブル3に寝かせて受信コイル4を設置し、更に、被検者13にヘッドフォン24を装着する(図8参照)。ヘッドフォン24からは、被検者13の好みの音楽が流れているので、被検者13の緊張を和らげることができる。被検者13をテーブル3に寝かせたら、ステップST5に進む。
【0041】
ステップST5では、被検者13をボア2aに搬入し(図1および図2参照)、スキャンを行う。
【0042】
ボアライト22の明るさおよび色合いは、強点灯および白色系に設定されているので、暗い場所が苦手な人でも、安心して撮影を受けることができる。また、クーリング装置1aの風量および温度は、被検者13の好みに調整されているので、被検者13は快適な温度で撮影を受けることができる。更に、ボア2aには、クーリング装置1aから、微かなバラの香りが供給されているので、被検者13は、リラックスして撮影を受けることができる。
【0043】
ヘッドフォン24からは、被検者13の好みの音楽(ビバルディの四季)が流れており、ディスプレイ23は、被検者13の好みの画像(日本の風景100選)が表示されている。したがって、被検者13が閉所恐怖症であっても、被検者13が感じる不安感を軽減することができる。尚、オペレータ14は、スキャン中に被検者13に所定の指示をしたい場合は、ヘッドフォン24又はディスプレイ23を通じて被検者13に指示をする。ヘッドフォン24を通じて指示をする場合、ヘッドフォン24に流れている音楽が中断し、被検者13はヘッドフォン24からオペレータ14の指示を聞くことできる。また、ディスプレイ23を通じて指示をする場合、ディスプレイ23に表示されている画像が中断し、ディスプレイ23にオペレータ14の指示が表示される。したがって、オペレータ14は、必要な指示を確実に被検者13に知らせることができる。尚、ヘッドフォン24の音程は「高音強調」に設定されているので、老人などの耳の遠い人であっても、オペレータ14の指示を聞き取ることができる。
【0044】
被検者13のスキャンを終了したら、オペレータ14は、ボア2aから被検者13を搬出し、フローを終了する。
【0045】
次に、再検査などで、被検者13を再び撮影する場合について説明する。被検者13を再び撮影する場合についても、図3に示すフローを参照しながら説明する。
【0046】
ステップST1では、オペレータ14は、過去に被検者13を撮影したことがあるか否かを確認する。被検者13は過去に撮影されているので、ステップST6に進む。
【0047】
ステップST6では、オペレータ14は、過去に被検者13を撮影したときの環境に関する条件が記憶部9に記憶されているか否かを確認する。この確認を行うために、オペレータ14は、被検者13の患者番号PID=056を入力する。被検者13の患者番号PID=056が入力されると、検索手段102(図1参照)は、記憶部9の中から、患者番号PID=056に対応付けられた条件を検索する。患者番号PID=056に対応付けられた条件が記憶されていない場合ステップST2に進み、一方、患者番号PID=056に対応付けられた条件が記憶されている場合ステップST7に進む。記憶部9には、図5に示すように、患者番号PID=056に対応付けられた条件が記憶されている。したがって、ステップST7に進む。
【0048】
ステップST7では、条件設定手段101が、記憶部9から、患者番号PID=056に対応する条件を読み出し、読み出された条件を、被検者13を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する。環境に関する条件を設定した後、ステップST4に進む。
【0049】
ステップST4では、オペレータ14は、被検者13をマグネットルーム1に案内する。マグネットルーム1の照明1bおよび温度は、被検者13が前回の撮影を受けたときと同様に設定されている。したがって、マグネットルーム1の照明1bの明るさおよび温度は、被検者13の好みになっているので、被検者13が撮影直前に感じる緊張感を和らげることができる。
【0050】
また、LEDライト21も、前回と同様に被検者13の好みに設定されているので、LEDライト21の光によっても、被検者13の緊張を和らげることができる。オペレータ14は、被検者13をマグネットルーム1に案内したら、被検者13をテーブル3に寝かせて、受信コイル4を設置し、ヘッドフォン24を装着する。次に、ステップST5に進む。
【0051】
ステップST5では、被検者13をボア2aに搬入し、スキャンを行う(図1および図2参照)。ボアライト22の明るさおよび色合いは、前回と同様に、強点灯および白色系に設定されているので、暗い場所が苦手な人でも、安心して撮影を受けることができる。また、クーリング装置1aの風量および温度も、前回と同様に、被検者13の好みに調整されているので、被検者13は快適な温度で撮影を受けることができる。更に、ボア2aには、前回と同様に、微かなバラの香りが供給されているので、被検者13は、リラックスして撮影を受けることができる。
【0052】
ヘッドフォン24からは、前回と同様に、被検者13の好みの音楽(ビバルディの四季)が流れており、ディスプレイ23は、被検者13の好みの画像(日本の風景100選)が表示されている。したがって、被検者13が閉所恐怖症であっても、被検者13が感じる不安感を軽減することができる。被検者13のスキャンが撮影したら、フローを終了する。
【0053】
本形態では、被検者13を撮影したときの環境に関する条件を、患者番号PIDに対応付けて記憶している。そして、オペレータ14は、被検者13を再び撮影する場合には、患者番号PIDを入力するだけで、被検者13を過去に撮影したときの環境を再現することができる。したがって、オペレータ14は、被検者13を撮影するたびに、被検者13の好みに合うように、環境に関する条件(音楽や画像の種類など)を設定する必要がなく、オペレータ14の作業負担を軽減することができる。
【0054】
また、オペレータ14は、必要に応じて、患者番号PIDに対応付けられた条件を変更してもよい。例えば、前回の撮影では、ヘッドフォン24から流れる音楽として、ビバルディの四季が設定されたが、今回の撮影では、被検者13が別の音楽を望む場合がある。この場合、オペレータ14は、操作部11を操作して、ヘッドフォン24から流れる音楽を、被検者13が望む別の音楽に設定するための情報を入力する。この情報が入力されると、条件設定手段101は、入力された情報に従って、環境に関する条件を変更する。図9には、ヘッドフォン24から流れる音楽が、「ドボルザークの新世界」に変更された様子が示されている。したがって、被検者13が前回とは異なる環境で撮影を受けたいと希望する場合でも、容易に対応することができる。
【0055】
尚、第1の形態では、環境に関する条件として、(1)〜(9)の項目が挙げられているが、(1)〜(9)以外の項目を加えてもよい。例えば、マグネットルーム1の壁にディスプレイを設けて、被検者13の好みに応じた画像を表示してもよいし、マグネットルーム1に被検者13が好きなBGMを流すようにしてもよい。
【0056】
(2)第2の形態
第2の形態では、記憶部9には、図10に示すように、性別と年齢層に対応付けて、被検者を撮影するときの環境に関する条件が記憶されている。女性の場合には、年齢層ごとに、環境に関する条件A1〜A7が記憶されており、男性の場合には、年齢層ごとに、環境に関する条件B1〜B7が記憶されている。図10には、環境に関する条件A3の一例が具体的に示されている。次に、第2の形態において被検者を撮影するときのフローについて説明する。
【0057】
図11は、第2の形態において被検者を撮影するときのフローを示す図である。
ステップST1では、オペレータ14は、過去に被検者13を撮影したことがあるか否かを確認する。ここでは、被検者13の撮影は、今回が初めてであるとする。したがって、ステップST21に進む。
【0058】
ステップST21では、オペレータ14は、被検者13に関する情報(第2の形態では、性別および年齢)を入力する。被検者13の性別は女性、年齢は25歳とする。被検者13の性別および年齢が入力されると、検索手段102は、記憶部9の中から、被検者13の性別および年齢に対応付けられた条件を検索する。入力された性別および年齢は、「女性および25歳」であるので、環境に関する条件A3が検索結果として得られる。この検索結果が得られた後、ステップST22に進む。
【0059】
ステップST22では、条件設定手段101が、環境に関する条件A3を、被検者13を撮影するときの環境に関する条件として設定する。この設定を行ったら、ステップST23に進む。
【0060】
ステップST23では、オペレータ14は、ステップST22で設定された環境に関する条件A3を変更する必要があるかどうかを判断する。特に変更する必要がないと判断した場合、ステップST3に進む。ステップST3では、記憶部9が、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて、環境に関する条件A3を記憶する。図12に、記憶部9が、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて、環境に関する条件A3を記憶した様子を示す。
【0061】
環境に関する条件A3を記憶したら、ステップST4およびST5に進み、フローを終了する。ステップST4およびST5は、第1の形態と同じであるので説明は省略する。
【0062】
一方、ステップST23において、オペレータ14は、環境に関する条件を変更する必要があると考えた場合(例えば、被検者13から要望を受けた場合)、環境を変更すると判断する。この場合、ステップST24に進む。
【0063】
ステップST24では、オペレータ14は、条件設定手段101が設定した環境に関する条件A3を変更する。例えば、被検者13が、ディスプレイ23に表示される画像を別の画像に変えて欲しいと要望した場合、オペレータ14は、操作部11を操作し、別の画像に変えるための情報を入力する。この情報が入力されると、条件設定手段101は、入力された情報に従って、ディスプレイ23に表示される画像を別の画像に変更する。したがって、被検者13の好みに合った環境を実現することができる。環境に関する条件を変更したら、ステップST3に進み、記憶部9は、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて、変更後の環境に関する条件A3′を記憶する。図13に、記憶部9が、被検者13の患者番号PID=056に対応付けて、変更後の環境に関する条件A3′を記憶した様子を示す。図13では、ディスプレイ23に表示される画像が、「日本の名水100選」に変更された様子が示されている。したがって、被検者13の要望に容易に対応することができる。
【0064】
変更後の環境に関する条件A3′を記憶したら、ステップST4およびST5に進み、フローを終了する。
【0065】
尚、再検査などで、被検者13を再び撮影する場合は、第1の形態と同様に、ステップST1→ステップST6→ステップST7→ステップST4→ステップST5の順でフローが進む。
【0066】
第2の形態では、性別および年齢の組み合わせごとに、環境に関する条件が対応付けられている。したがって、オペレータ14は、被検者の撮影に適した環境が分からなくても、被検者の性別と年齢を入力すれば、被検者13の不安感を軽減できそうな環境を実現することができる。尚、第2の形態では、被検者に関する情報として、性別および年齢が用いられているが、性別のみを用いてもよいし、年齢のみを用いてもよい。また、性別および年齢とは異なる情報を、被検者に関する情報として用いてもよい。
【0067】
(3)第3の形態
図14は、本発明の第3の形態の配信システムを示す図である。
【0068】
配信システム200は、複数の医用装置100_1〜100_nと、サーバ201とを有している。
【0069】
複数の医用装置100_1〜100_nには、MRI装置、CT装置、PET装置などが含まれている。
【0070】
サーバ201は、医用装置100_1〜100_nで被検者を撮影するときの環境に関する条件を設定し、設定した条件を、医用装置100_1〜100_nに配信する。サーバ201は、条件設定手段101、検索手段102、および記憶部9を有している。条件設定手段101、検索手段102、および記憶部9は、第1の形態と同じであるので、説明は省略する。
【0071】
第3の形態では、複数の医用装置100_1〜100_nが、サーバ201を共有している。したがって、例えば、医用装置100_iでは患者番号PID=056の被検者13を撮影したことがなくても、別の医用装置で患者番号PID=056の被検者13を撮影していれば、記憶部9には、患者番号PID=056の被検者13を撮影したときの環境に関する条件が記憶されている。この場合、医用装置100_iが、サーバ201に、患者番号PID=056を送ると、検索手段102が、記憶部9から、患者番号PID=056に対応付けられた条件を検索する。条件設定手段101は、記憶部9から、患者番号PID=056に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する。そして、サーバ201は、患者番号PID=056に対応付けられた条件を、医用装置100_iに送信する。したがって、過去に撮影したことがない被検者であっても、その被検者に適した環境を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 マグネットルーム
1a クーリング装置
2 マグネット
2a ボア
2b 前面
3 テーブル
3a クレードル
4 受信コイル
6 送信器
7 勾配磁場電源
8 受信器
9 記憶部
10 中央処理装置
11 操作部
12 表示部
13 被検者
14 オペレータ
21 LEDライト
22 ボアライト
23 ディスプレイ
24 ヘッドフォン
100 MRI装置
101 条件設定手段
102 検索手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を撮影したときに設定された環境に関する条件を、前記被検者を特定するための情報に対応付けて記憶する記憶部と、
前記被検者を再び撮影する場合、前記記憶部から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、前記被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する条件設定手段と、
を有する医用装置。
【請求項2】
前記記憶部の中から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を検索する検索手段、を有する請求項1に記載の医用装置。
【請求項3】
前記条件設定手段は、
オペレータの操作に応じて、環境に関する条件を変更する、請求項1又は2に記載の医用装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記被検者に関する情報に対応付けて、前記被検者を撮影するときの環境に関する条件を記憶しており、
前記検索手段は、
前記記憶部の中から、前記被検者に関する情報に対応付けられた条件を検索する、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項5】
前記被検者に関する情報には、性別又は年齢が含まれている、請求項4に記載の医用装置。
【請求項6】
前記医用装置は、磁場を発生するマグネットを有し、
前記マグネットは、前記被検者が搬入されるボアを有する、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項7】
前記マグネットは、マグネットルームに設置されており、
前記環境に関する条件には、前記マグネットルームの照明の明るさと、前記マグネットルームの温度とが含まれている、請求項6に記載の医用装置。
【請求項8】
前記ボアの内側を冷却するためのクーリング装置を有しており、
前記環境に関する条件には、前記クーリング装置の風量および温度が含まれている、請求項6又は7に記載の医用装置。
【請求項9】
前記マグネットは、前記ボアを明るくするためのボアライトを有し、
前記環境に関する条件には、ボアライトの明るさおよび色合いが含まれている、請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項10】
前記マグネットは、LEDライトを有しており、
前記環境に関する条件には、前記LEDライトの明るさおよび色合いが含まれている、請求項6〜9のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項11】
前記環境に関する条件には、前記被検者に装着されるヘッドフォンの音量および音程が含まれている、請求項6〜10のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項12】
前記環境に関する条件には、前記ヘッドフォンから流れる音楽が含まれている、請求項11に記載の医用装置。
【請求項13】
前記マグネットは、前記ボアの内壁に取り付けられたディスプレイを有しており、
前記環境に関する条件には、前記ディスプレイに表示される画像が含まれている、請求項6〜12のうちのいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項14】
被検者を撮影する複数の医用装置と、前記複数の医用装置の各々に、前記被検者を撮影するときの環境に関する条件を送信するサーバと、を有する配信システムであって、
前記サーバは、
前記複数の医用装置のうちのいずれかの医用装置で前記被検者を撮影したときの環境に関する条件を、前記被検者を特定するための情報に対応付けて記憶する記憶部と、
記複数の医用装置のうちのいずれかの医用装置で前記被検者を再び撮影する場合、前記記憶部から、前記被検者を特定するための情報に対応付けられた条件を読み出し、読み出された条件を、前記被検者を再び撮影するときの環境に関する条件として設定する条件設定手段と、
を有する、配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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