説明

医療ヘッドギア

少なくとも(i)皮膚に面する生地層と(ii)最も外側の生地層と(iii)生地層間に位置するプラスチックまたは金属層を含む医療ヘッドギア生地。好ましくは、これらの層ならびに生地内に存在してもよい任意のさらなる層は、少なくとも実質的に積層体の構造を有する実質的に一体の生地を形成するために熱形成される。好ましくは、生地はまた、生地層間に位置する発泡層を含む。好ましくは、プラスチック層(iii)を有する一実施形態では、プラスチック層は、ナイロン、プラスチックストリップの形態である。好ましくは、金属層(iii)を有する一実施形態では、金属層は、アルミニウムストリップの形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国仮特許出願、すなわち、2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,924号、2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,917号、および2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,913号に対する優先権を主張し、先の特許関連文書は全て、参照により、そのそれぞれの全体が本明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、医療ヘッドギア生地に関し、より詳細には、睡眠時無呼吸を治療するヘッドギアに関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠時無呼吸などの呼吸状態を治療する医療ヘッドギアは、状態の性質および重症度に応じて変わる。いくつかの従来の睡眠時無呼吸ヘッドギア設計では、ヘッドギアは、中間硬質性(柔軟性がある状態と屈曲性がある状態との間のどこかの状態)を有する材料から作製され、それにより、この硬質性は、以降で述べる定義によって規定されるように「硬質(rigid)」ではない。図1は、3つの層、すなわち、(i)外側ナイロンLYCRA(登録商標)層102、(ii)呼吸可能発泡層104、(iii) 皮膚に面するナイロンLYCRA(登録商標)層106を有する1つの従来の睡眠時無呼吸ヘッドギア生地100についての部分断面分解図を示す。3つの層102、104、106は、図1に(分解形態で)示す3層積層体を形成するために炎積層される。
【0004】
従来、ヘッドギア100は、炎積層によって作られている。炎積層は、特定の用途のための機能を提供するために、生地および/または発泡体/ネオプレンを永久的に接合するために、通常テキスタイル業界で使用されるプロセスである。より具体的には、ポリウレタン(PU)発泡体および2つのナイロン/スパンデックス混合物は、3層複合体を形成する。PUは、炎積層マシンの一方の側に給送され、同じ側に、生地も給送される。発泡体の上部表面は、粘着性がある状態を生成するために、直接炎に接触することによって溶融される。溶融した発泡体および生地は、次に、2つの材料を共に圧搾するために圧縮ローラを通して給送され、溶融した発泡体を生地の細孔内に押込める。冷却されるにつれて、接着物が形成される。このプロセスは、その後、他の生地を発泡体に接着するために繰返される。
【0005】
熱形成は、靴の中敷などの積層体製品を作るために使用される従来のプロセスであるが、医療ヘッドギア生地および/または睡眠時無呼吸ヘッドギア生地を作るために慣例的に使用されるとは思われていない。
【0006】
米国特許第6,019,101号(「Cotner」)は、睡眠時無呼吸の治療用の鼻マスクを開示する。Cotnerのマスクは、弾性的にコンプライアントな材料から作られたストラップおよび塑性変形可能な鼻クリップを含む。変形可能鼻クリップは、薄いアルミニウムから製造されてもよい。
【0007】
米国特許第6,269,814号(「Blaszczykiewicz」)は、伸縮性があり呼吸可能で積層されたネオプレン代替物から作られた顎ストラップを含む睡眠時無呼吸ヘッドギアを開示する。顎ストラップの内部表面は、LYCRA(登録商標)生地から作られる。顎ストラップの外部表面は、UBLループ材料から作られる。
【0008】
米国特許第6,470,886号(「Jestrabek-Hart」)は、2つのパネルを含む睡眠時無呼吸を治療するヘッドギアを開示する。各パネルは、以下の層、すなわち、(i)軟質で屈曲性がある手触りがよい布の皮膚に面する層、(ii)プラスチック層(耳を取り囲む領域だけ)、(iii) 軟質で屈曲性がある発泡体層、および(iv)表面層の外側の布を含む。直ぐに明確にはならないが、表面層の外側の布、層(iv)は、フック・ループファスナ生地(特に、フック面)で作られた材料層によって、覆われる、部分的に覆われる、かつ/または、置換えられてもよいことが明らかである。Jestrabek-Hartの図5に示すように、Jestrabek-Hartヘッドギア生地は、そのプラスチック層の一方の面だけに発泡体を有する。この構造は、プラスチック層が外側生地を通して裂けることを可能にする可能性がある。同様に、この構造は、発泡体を持たないプラスチック層の面に低い程度の軟質性を有することになる。
【0009】
米国特許第6,805,117号(「Ho」)は、メッシュに似たパネルおよび後部(rear)接合部片を含むヘッドギアを開示する。パネルは、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物から作られる。後部接合部片は、LYCRA(登録商標)積層化発泡体またはネオプレンから作られる。
【0010】
米国特許第7,047,972号(「Ging」)は、ヨークおよびストラップを含む呼吸マスクを開示する。ストラップは、積層化生地および発泡体で作られる。Gingは、1つの商業的に入手可能な材料が、Accumed, Inc.(米国)によって製造された「ブレス-O-プレン(Breath-O-Prene)」(商標)であることを開示している。ヨークは、ストラップに取付けられ、ナイロンまたはポリプロピレンなどのある程度硬質のプラスチックで作られる。Gingのマスクのヨークは、ストラップの外側に取付けられ、ストラップ自体の積層体構造内に埋め込まれないことが留意される。Gingの生地は、その埋め込みプラスチックを留めるために、ソーイングまたはクランピングなどの別個の取付け機構を必要とすると思われる。同様に、Gingは、ヘッドギアまたは睡眠時無呼吸ヘッドギアではなくマスクを対象とする。
【0011】
米国特許出願公開第2006/0081250号(「Bordewick」)は、マスクホルダおよび安定化バンドを含む鼻マスクを開示する。マスクホルダは、ガラス充填ナイロンなどの硬質または半硬質材料から作られる。
【0012】
米国特許出願公開第2007/0181135号(「Baker」)は、睡眠時無呼吸を治療するヘッドギア組立体を開示する。Bakerの組立体は、冠状ストラップおよび顎ストラップを含む。顎ストラップおよび冠状ストラップは、軟質の水分ウィッキング生地を有する、両面上に積層された呼吸可能な弾性発泡体材料で作られる。外側生地は、LYCRA(登録商標)スパンデックスおよび銀などの抗菌剤を含む。
【0013】
関連技術セクションディスクレーマの説明:特定の出版物が、関連技術セクションの本説明において先に論じられる範囲内で、これらの議論は、論じられた出版物(たとえば、公開特許)が、特許法の目的のために従来技術であるという承認として考えられるべきではない。たとえば、論じられた出版物の一部または全ては、時間的に十分に早期でない可能性がある、時間的に十分に早期に開発された主題を反映しない可能性がある、かつ/または、特許法の目的のために、つまるところ従来技術になるのに十分に有効でない可能性がある。特定の出版物は、関連技術セクションの本説明において先に論じられる範囲内で、参照により、そのそれぞれの全体が本文書に全て組込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,924号
【特許文献2】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,917号
【特許文献3】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,913号
【特許文献4】米国特許第6,019,101号
【特許文献5】米国特許第6,269,814号
【特許文献6】米国特許第6,470,886号
【特許文献7】米国特許第6,805,117号
【特許文献8】米国特許第7,047,972号
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0081250号
【特許文献10】米国特許出願公開第2007/0181135号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の実施形態は、少なくとも(i)皮膚に面する生地層と(ii)最も外側の生地層と(iii)生地層間に位置する「硬質(rigid)」(定義の章を参照)プラスチック材料などの硬質材料層を含む医療ヘッドギア生地を対象とする。好ましくは、これらの層ならび生地内に存在してもよい任意のさらなる層は、少なくとも実質的に積層体の構造を有する実質的に一体の生地を形成するために熱形成される。好ましくは、生地はまた、生地層間に位置する発泡層を含む。好ましくは、プラスチック層(iii)を有する一実施形態では、プラスチック層は、ナイロン、プラスチックストリップの形態である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の種々の実施形態は、以下の目的、特徴、および/または利点、すなわち、
(1)本発明のヘッドギア生地で作られるヘッドギアにおいて、より肉厚でより快適な形状を生成するための熱形成による積層、
(2)人間の頭部の丸みにより自然に適合する本発明のヘッドギア生地で作られるヘッドギアを生成するための熱形成による積層、
(3)患者の顔からの隙間を提供するための、ヘッドギア生地における金属層の使用、
(4)患者の顔に快適さを提供するための、ヘッドギア生地における金属層の使用、
(5)ヘッドギアにおいてかさばりを低減するかまたはなくすための、硬質プラスチック層の使用、
(6)ヘッドギアの呼吸マスク部分に接続するための、外部プラスチック部品を置換えるための、硬質プラスチック層および/または金属層の使用、
(7)別個のナイロン硬化部材および/またはヨークを置換えるための、硬質プラスチック層および/または金属層の使用、
(8)組立体の複雑さを低減するための、好ましくは生地と一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(9)組立てられた生地が分解される可能性を減らすための、好ましくは生地と一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(10)より魅力的な視覚的外観を有する、より清潔に見えるヘッドギアを作るための、好ましくは生地と一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(11)ストラップ腕に直進の剛性を付加するための、硬質プラスチック層の使用、
(12)ヘッドギアの調整可能性を高めるための、金属層の使用、および/または、
(13)皮膚に沿って逃げる加圧空気量が減少するかまたはなくなるように、睡眠時無呼吸ヘッドギアを十分しっかり顔に当てて保持するのに役立つための、特にストラップ腕セクションにおける改善された硬質性
の1つまたは複数を示す可能性がある。
【0017】
本発明は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を読むことによってより完全に理解され、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術の医療ヘッドギア生地の部分断面図である。
【図2】本発明による医療ヘッドギア生地の第1の実施形態の部分断面図である。
【図3】本発明による医療ヘッドギア生地の第2の実施形態の部分断面図である。
【図4】本発明による医療ヘッドギア生地の第3の実施形態の部分断面図である。
【図5】本発明による睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の部分断面図である。
【図6】本発明による第1の睡眠時無呼吸ヘッドギアの実施形態と第2の睡眠時無呼吸ヘッドギアの実施形態の両方に相当する睡眠時無呼吸ヘッドギアの全体幾何形状の上面正投影図を示す。
【図7】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態の斜視図を示す。
【図8】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態の斜視図を示す。
【図9】睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の上面正投影図を示す。
【図10】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の斜視図を示す。
【図11】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
I.ヘッドギア生地構造
理解されるように、本発明の実施形態は、同時に、ヘッドギアデバイスに安定性および完全性を提供しながら、装着者に快適さおよび屈曲性を示す材料で作製されたヘッドギア生地およびデバイスを提供する。
【0020】
ヘッドギアの実施形態は、種々の材料層から作製される。ヘッドギアのセクションまたは部分に応じて、層が、変わってもよく、または、変わらなくてもよい。図2(一定比例尺に従っていない)が参照され、図2は、皮膚に面する生地層206と、発泡層208と、硬質材料層210と、外側生地層212とを含む医療ヘッドギア生地200を示す。皮膚に面する生地層は、皮膚に面する表面202を含む(参照数字201は、皮膚、頭皮、またはこの生地が面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。皮膚に面する層は、皮膚にとって快適な任意の軟質の生地から作製されてもよい。生地はまた、伸縮性、弾性、および/またはウィッキング特性を示してもよい。例は、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物およびマイクロファイバニット生地を含むが、それに限定されない。この層の主要な利益は、人の皮膚との最小の摩擦を提供することである。ニット生地は、多孔性で、空気流が発汗を低減することを可能にすることが好ましい。皮膚に面する生地は、組立体の次の層への、水分のウィッキングすなわち輸送を促進する化学物質によって処理されてもよい。
【0021】
発泡体層208は、クッション作用を提供し、好ましくは呼吸可能であり、水分が、毛管引力によって皮膚から外部雰囲気へ去ることを可能にするのを補助する。発泡体は、限定はしないがポリウレタン発泡体を含む、セクション104について上述した発泡体などの多孔性ストレッチエラストマ発泡体から作製されてもよい。
【0022】
硬質材料層210は、外部支持体または構造(通常、外部表面上の同様な構造に適用される硬化部材またはヨークなど)についての必要性無しで、構造に完全性を提供する任意の硬質材料である。材料は、構造に対して完全性を提供するのに十分な強度を有するが、同様にある程度の屈曲性を可能にする任意のプラスチック、複合、金属、またはセラミック材料であってよい。材料の例は、熱可塑性材料および繊維強化熱可塑性材料を含むが、それに限定されない。熱可塑性材料の例は、ポリアミドを含むが、それに限定されない。ポリアミドの例は、ナイロン6およびナイロン12を含むが、それに限定されない。
【0023】
硬質材料210は、硬質材料210が並置される層あるいは硬質材料210の上または下に配置される層(すなわち、層206、208、212)の寸法に比べて寸法(すなわち、周長)が小さくすることができることにより、硬質材料210の鋭いエッジが、人の皮膚に対して刺激をもたらして、組立てられた構造のエッジを通過して延びないよう、組立体の中心に置かれるようにすることができる。この硬質材料は、以下のヘッドギア幾何形状の章でさらに述べるように、人の顔および頭頂部へのデバイスの固有でかつ適切な設置を提供するために、組立体、特に、ヘッドギアデバイスのストラップ腕セクションに対してある程度の剛性を提供する。
【0024】
外側生地層212は、外側表面204を含み、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物またはマイクロファイバニット生地などの層206を作製するのに使用される材料と同様の材料であってよい。外側生地層212は、さらに、ヘッドギアを人の所定場所に保持する力を生成するために、フック材料と係合する手段を提供する一連の小さなループなどの取付け手段を含んでもよい。構造200は、例に過ぎず、さらなる層、または、図2に示すのと異なる順序で配設される層を含んでもよい。たとえば、層208および210の順序は逆であってもよい。
【0025】
皮膚刺激のいかなる機会も減少させるため、皮膚から離れて位置する1つだけのシームまたはエッジを有する完成品を外側生地層212上に提供するために、層が、以下でさらに述べるように、共に熱形成されるかまたは熱硬化されることが好ましい。熱形成が好ましいが、本明細書の実施形態は、この作製プロセスに限定されず、いくつかの変形は、隣接する層の一部または全てが、互いに全く積層されないことを含んでもよい。同様に、一体構造を形成するために、隣接する層の全てが、共に積層される実施形態では、炎積層などの他の積層プロセスが使用されてもよい。
【0026】
生地200は、良好な直進の剛性を有し、直進の剛性とは、プラスチック層が、特定の方向にヘッドギアのあるセクション(たとえば、ストラップ腕セクション)を向けるのに役立つことを意味し、それが、睡眠時無呼吸ヘッドギア顔マスクなどの顔マスクにとって、生地200を使用した医療ヘッドギアの組立てを容易にするのに役立ち得る。これは、より広い範囲の患者の頭部サイズに対処するために、大量の異なるサイズのヘッドギアについての必要性を不要にし得る。ヘッドギアの任意の特定のセクションに限定しないが、生地200などの層状構造は、以下のヘッドギア幾何形状の章でさらに論じられるヘッドギアのストラップ腕セクションで使用されることが好ましい。
【0027】
図3(一定比例尺に従っていない)は、皮膚に面する生地層306と、発泡層308と、金属層310と、外側生地層312とを含む医療ヘッドギア生地300を示す。皮膚に面する生地層306は、皮膚に面する表面302を含む(参照数字301は、皮膚、頭皮、またはこの生地が面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。発泡層308は、好ましくは、呼吸可能であり、層208に関連して先に論じたのと同じ材料から作製されてもよい。金属層310は、好ましくは、アルミニウムで作られ、さらに一層好ましくは、亜鉛めっきしたアルミニウムで作られる。外側生地層312は、外側表面304を含み、好ましくは、上記層212を作製するのに使用されるのと同様の材料から作られる。生地または構造200について先に述べたように、層308および310などの生地または構造300における層の順序は、逆であってもよい。同様に、さらなる層が存在してもよい。
【0028】
構造200または生地200の場合と同様に、皮膚刺激のいかなる機会も減少させるため、皮膚から離れて位置する1つだけのシームまたはエッジを有する完成品を外側生地層312または表面304上に提供するために、構造または生地300の層が、以下でさらに述べるように、共に熱形成されるかまたは熱硬化されることが好ましい。熱形成が好ましいが、本明細書の実施形態は、この作製プロセスに限定されず、いくつかの変形は、隣接する層の一部または全てが、互いに全く積層されないことを含んでもよい。同様に、一体構造を形成するために、隣接する層の全てが、共に積層される実施形態では、炎積層などの他の積層プロセスが使用されてもよい。
【0029】
生地300は、良好な成形性を有する。金属層は、(i)少数のサイズのヘッドギアがより広い範囲の患者頭部サイズに対処するのに役立ち、(ii)快適さのための隙間および間隔を生成するのに役立つ。
【0030】
図4(一定比例尺に従っていない)は、皮膚に面する生地層356と、発泡層358と、金属層360と、硬質プラスチック層362と、外側生地層364とを含む医療ヘッドギア生地350を示す。皮膚に面する生地層は、皮膚に面する表面352を含む(参照数字351は、皮膚、頭皮、またはこの生地が面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。層356、358、360、362、および364について使用される材料は、生地200および300の作製で使用される材料と同じかまたは同様であってよく、同じセクションは、先に論じたように、同じかまたは同様の生地を使用し得る。
【0031】
図5は、冠状セクション524およびストラップセクション526を含むヘッドギア500の部分断面図を示す。冠状セクション524は、第1の冠状セクション層502と、第2の冠状セクション層504と、第3の冠状セクション層506と、第4の冠状セクション層508とを含む。接合部510は、冠状セクション524をストラップセクション526に接続する。ストラップセクション526は、第1のストラップ腕セクション層512と、第2のストラップ腕セクション層514と、第3のストラップ腕セクション層516と、第4のストラップ腕セクション層518と、第5のストラップ腕セクション層520と、ファスナ層522とを含む。図5はまた、層が、図6に示すヘッドギアセクション524、526、528に対してどこに位置するかを示す。
【0032】
第1の冠状セクション層および第4の冠状セクション層502および508はそれぞれ、好ましくは、軟質で伸縮性がある生地、先に論じた材料または生地/構造200、300、および350と同じかまたは同様のものから作られる。あるいは、第4の冠状セクション層508の一部または全ては、睡眠無呼吸顔マスク(図示せず)などのヘッドギアへの他のコンポーネントの取付けを容易にするために、フック・ループファスナ材料などのファスナ材料から作られてもよい。第2の冠状セクション層504は、好ましくは、10lb密度の発泡体などの比較的高い密度の発泡体から作られる。第3の冠状セクション層506は、好ましくは、7lb密度の発泡体などの比較的低い密度の発泡体から作られる。
【0033】
第1のストラップ腕セクション層および第5のストラップ腕セクション層512および520はそれぞれ、好ましくは、軟質で伸縮性がある生地から作られる。あるいは、第5のストラップ腕セクション層の一部または全ては、睡眠時無呼吸顔マスク(図示せず)などのヘッドギアへの他のコンポーネントの取付けを容易にするために、フック・ループファスナ材料などのファスナ材料から作られてもよい。この代替法の下では、ファスナ生地が第5層として既に存在することになるため、ファスナ層522を有するファスナセクション528は、もはや必要とされない可能性がある。第2および第4のストラップ腕セクション層514、518はそれぞれ、好ましくは、7lb密度の発泡体などの比較的低い密度の発泡体から作られる。第3のストラップ腕セクション層516は、生地200に関連して先に論じたように、硬質プラスチック層などの硬質材料である。別法としてまたは付加的に、この層516は、生地300に関連して先に論じたように、金属、セラミック、または複合層であり得る。
【0034】
先に論じた層のそれぞれの厚さ、強度、および硬度は、特定のヘッドギアデバイスについて必要とされるサイズおよび強度に応じて変わってもよい。
【0035】
II.全体ヘッドギア幾何形状
先に論じた医療ヘッドギア生地は、いろいろな幾何学的に形作られたヘッドギア設計で使用されてもよい。本発明の一部の好ましい実施形態では、異なる積層体構造を有する異なる生地が、ヘッドギアの異なるセクションについて使用される。
【0036】
図6は、本発明による2つの例示的な睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態500および第2の実施形態600に共通の睡眠時無呼吸ヘッドギア全体幾何形状の上面正投影図を示す。図6に示すように、ヘッドギア500は、冠状セクション524、4つのストラップ腕セクション526a、526b、526c、526d、およびファスナセクション528を含む。図6に示すように、ヘッドギア600は、冠状セクション624、4つのストラップ腕セクション626a、626b、626c、626dを含む。
【0037】
ヘッドギア500とヘッドギア600との間の主要な差は、ヘッドギア500が、そのストラップ腕セクションに生地300を使用し、一方、ヘッドギア600が、そのストラップ腕セクションに生地200を使用することである。この全体の幾何形状500、600が好ましいが、本発明による医療デバイスヘッドギア生地の使用は、図6に示されるものに必ずしも限定されない。ストラップ腕および冠状セクションを含むこのヘッドギア幾何形状設計は、複数のセクションを有し、異なるセクションが異なる厚さを有するため、3Dヘッドギアと呼ばれることがある。
【0038】
図7および8は、患者の顔からの隙間および/または患者の顔に対する快適さを提供するために、ヘッドギア生地300における金属層の使用によって容易にされる多用途性を示す。
【0039】
図9〜11は、生地200から作られ硬質プラスチック層を含むヘッドギア600が、本明細書で述べる利点をもたらすのに役立つために、どのように形作られ、操作され得るかを示す。
【0040】
III.生地形成プロセス
炎積層は、本発明に従って医療ヘッドギア生地を作るために使用され得るが、好ましいプロセスではない。好ましい熱形成プロセスは、3層複合体を形成するために、ポリウレタン(PU)発泡体および2つのナイロン/スパンデックス混合物を利用する。PUは、積層マシンの一方の側に給送され、同じ側に、生地も給送される。発泡体の上部表面は、粘着性がある状態を生成するために、直接炎に接触することによって溶融される。溶融した発泡体および生地は、次に、2つの材料を共に圧搾するために圧縮ローラを通して給送され、溶融した発泡体を生地の細孔内に押込める。冷却されるにつれて、接着物が形成される。このプロセスは、その後、他の生地を発泡体に接着するために繰返される。熱形成は、以前に積層した複合体を取得し、熱(炎ではない)および圧力の組合せを利用して、複合体内で永久的な形状および可変の高さを生成する。
【0041】
本発明の医療ヘッドギアに似た多層製品の場合、最終複合体は、通常、2つの別個の2層積層体サブ組立体を取得し、これらのサブ組立体間にプラスチックを挿入し、これらの層間にある程度の接着剤を噴霧し、次に、サブ組立体を共に熱形成することによって生成される。熱形成プロセスからの熱および圧力は、その後、接着剤の反応を引起こし、サブ組立体および挿入物を共に接着する。熱形成は、患者の快適さを増すために、より大きな厚さと柔らかさをヘッドギアに提供する。熱形成プロセスは、生地200などのプラスチック層を有する医療ヘッドギア生地、または、生地300などの金属層を有する生地を作るために使用され得る。
【0042】
本明細書で述べる生地およびヘッドギアは、装着者の頭部上での安定性およびコントロールを維持しながら、装着者に快適さと屈曲性を提供する全てがテキスタイルで、完璧に柔らかくドレープ性があるデバイスを提供する。生地およびデバイスの完全性は、内的に提供されるのであって、デバイスに快適さを付加するために外的に提供されるのではない。生地の皮膚表面側には縫い目もシームも存在しない。したがって、本明細書で述べる生地およびデバイスによって、皮膚刺激が低減される、かつ/または、軽減される。
【0043】
定義
以下の定義は、特許請求の範囲の解釈および構築を容易にするために提供される。
【0044】
本発明:本発明の少なくとも一部の実施形態を意味する。本文書を通して「本発明(present invention)」の種々の特徴に対する参照は、特許請求される全ての実施形態または方法が、参照される特徴を含むことを意味しない。
【0045】
第1、第2、第3など(「序数(ordinal)」):別途述べない限り、序数は、(たとえば、あるグループの種々のメンバーを)区別するかまたは識別するのに役立つだけである。序数の単なる使用は、連続する数値の制限も連続性の(serial)制限も意味しない。
【0046】
硬質プラスチック:発泡体より少なくとも実質的に硬質である任意のプラスチック層である。
【0047】
先に設けられた定義が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)通常の平易で慣れ親しんだ意味に矛盾しない範囲内で、上記定義は、本質的に補助であると考えられるものとする。先に設けられた定義が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)通常の平易で慣れ親しんだ意味に矛盾する範囲内で、上記定義が、コントロールするものとする。先に設けられた定義が、ある局面において、通常の平易で慣れ親しんだ意味より広い場合、上記定義は、相応して特許請求の範囲を広くすると考えられるものとする。
【0048】
特許権者が、適用可能な法律の下で、自分自身の辞書編集者として働く範囲内で、先に定義された言葉を除いて、特許請求の範囲のセクションに現れる全ての言葉が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)その通常の平易で慣れ親しんだ意味をとるものとし、また、本明細書において特に定義されるものと考えられないものとすることがさらに指示される。特許請求の範囲で使用される言葉または用語が、2つ以上の代替の通常の平易で慣れ親しんだ意味を有する状況では、技術的実現可能性に矛盾せずかつ明細書と直接的に矛盾しない最も広い定義がコントロールするものとする。
【0049】
別途明示的に特許請求の範囲の言語で提供されない限り、不可能性または著しい実現可能性の問題が、記載のステップ順序(または、記載のステップ順序の一部分)が使用されることを左右する範囲内でだけ、方法ステップまたはプロセス特許請求の範囲のステップが、特許請求の範囲でステップが記載される順序と同じ時間的順序で実施される必要があるだけである。ステップ順序に関するこの広い解釈は、特許請求されるステップの代替の時間順序付けが、本文書で特に述べられるかまたは論じられるかによらず使用される。
【符号の説明】
【0050】
200、300、350 医療ヘッドギア生地
202、302、352 皮膚に面する表面
204、304、354 外側表面
206、306、356 皮膚に面する生地層
208、358 発泡層
210 硬質材料層
212、312、364 外側生地層
308 発泡層
310、360 金属層
362 硬質プラスチック層
500、600 ヘッドギア
502、504、506、508 冠状セクション層
510 接合部
512、514、516、518、520 ストラップ腕セクション層
522 ファスナ層
524、624 冠状セクション
526 ストラップセクション
528 ファスナセクション
526a、526b、526c、526d、626a、626b、626c、626d ストラップ腕セクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療ヘッドギア生地であって、
皮膚に面する生地層と、
外側生地層と、
前記生地層間に位置する硬質材料層とを備える医療ヘッドギア生地。
【請求項2】
隣接する層は全て、一体積層体構造を形成するために互いに熱硬化される請求項1に記載の生地。
【請求項3】
前記硬質材料は、プラスチック、金属、セラミック、または複合材料を含む請求項1に記載の生地。
【請求項4】
前記プラスチック材料は、熱可塑性材料を含む請求項3に記載の生地。
【請求項5】
前記熱可塑性材料は、ポリアミドを含む請求項4に記載の生地。
【請求項6】
前記ポリアミドは、ナイロン6またはナイロン12を含む請求項5に記載の生地。
【請求項7】
前記複合材料は、繊維強化複合材料を含む請求項3に記載の生地。
【請求項8】
前記金属は、アルミニウムを含む請求項3に記載の生地。
【請求項9】
前記生地層間に位置する発泡層をさらに備える請求項1に記載の生地。
【請求項10】
前記皮膚に面する生地層は、軟質の伸縮性生地を含む請求項1に記載の生地。
【請求項11】
前記外側層は、ニット生地を含む請求項1に記載の生地。
【請求項12】
前記皮膚に面する生地層および前記外側生地層は、軟質のナイロン生地を含む請求項1に記載の生地。
【請求項13】
前記熱硬化された一体積層体構造は前記外側生地層上にシームを備え、前記皮膚に面する生地層はシームレスである請求項2に記載の生地。
【請求項14】
ヘッドギアデバイスであって、
冠状セクションと、
ストラップセクションとを備え、
前記冠状セクションおよび前記ストラップセクションは、皮膚に面する生地層と、外側生地層と、前記生地層間に位置する発泡層とを備え、
前記ストラップセクションは、前記生地層間に位置する硬質材料層をさらに備えるヘッドギアデバイス。
【請求項15】
隣接する層は全て、一体積層体構造を形成するために互いに熱硬化される請求項14に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項16】
前記硬質材料は、プラスチック、金属、セラミック、または複合材料を含む請求項14に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項17】
前記プラスチック材料は、熱可塑性材料を含む請求項16に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項18】
前記熱可塑性材料は、ポリアミドを含む請求項17に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項19】
前記ポリアミドは、ナイロン6またはナイロン12を含む請求項18に記載の生地ヘッドギアデバイス。
【請求項20】
前記複合材料は、繊維強化複合材料を含む請求項16に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項21】
前記金属は、アルミニウムを含む請求項16に記載のヘッドギアデバイス生地。
【請求項22】
前記皮膚に面する生地層および前記外側生地層は、軟質の伸縮性生地を含む請求項15に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項23】
前記皮膚に面する生地層および前記外側生地層は、軟質のナイロン生地を含む請求項15に記載のヘッドギアデバイス。
【請求項24】
冠状セクションおよびストラップセクションを有するヘッドギアデバイスを作製するプロセスであって、
冠状セクションを形成するために、皮膚に面する生地層、外側生地層、および前記生地層間に位置する発泡層を共に熱形成するステップと、
ストラップセクションを形成するために、皮膚に面する生地層、外側生地層、前記生地層間に位置する発泡層、および前記生地層間に位置する硬質材料層を共に熱形成するステップとを含むプロセス。
【請求項25】
前記冠状セクションおよび前記ストラップセクションは、接合部において共に形成される請求項24に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−521732(P2011−521732A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511854(P2011−511854)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/045669
【国際公開番号】WO2009/148956
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD