説明

医療情報処理装置及びプログラム

【課題】記憶媒体に記憶された医用画像又は医療情報を統括的に管理することができる医療情報処理装置を提供する。
【解決手段】医療情報処理装置10では、メディアドライバ17においてメディアMに記憶されているデータを読み取ると、制御部11はその読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれているか否かを判別する。当該医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別された場合、制御部11は前記読取データをデータメモリ16に記憶させる。次に、制御部11はデータメモリ16に記憶された医用画像又は医療情報から日付情報を抽出し、当該日付情報に基づいて前記医用画像又は医療情報を時系列に並べた管理表を生成し、表示部13上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像又は医療情報の表示、情報処理等を行う医療情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カード型の記憶媒体に患者の身長や体重等の他、血液検査や尿検査等の検査結果のデータを保存し、診察に利用することが行われている(例えば、特許文献1、2、3参照)。例えば、患者が転院する際にこの記憶媒体を転院先の医師に提供する場面が挙げられる。医師はコンピュータ端末によりこの記憶媒体からデータを読み出して表示することにより、患者の体質や過去の検査結果等を把握することができる。
【特許文献1】特開平9−325999号公報
【特許文献2】特開平8−96047号公報
【特許文献3】特開昭63−165958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような記憶媒体を患者が持ち帰る場合には、その記憶媒体の管理が問題となる。例えば、病院毎、或いは診療科毎に記憶媒体が発行されると、診察や検査の度に患者が管理しなければならない記憶媒体が増えてゆく。追記型の記憶媒体を用いて複数の病院や診療科で共通に記憶媒体を使用することも考えられるが、患者はその都度記憶媒体を持参しなければならず煩雑である。また、持参するのを忘れることも想定される。
【0004】
さらに、記憶媒体が多数あると、閲覧したい所望のデータが何れの記憶媒体に記憶されているのかがすぐには分からず、一度コンピュータ端末によってデータを読み取って表示しなければならない。記憶しているデータの内容を記載したラベルを各記憶媒体に貼付しておくことも考えられるが、逐一その作業を行うのは面倒である。
また、一連の検査結果のデータ等を個々の記憶媒体によって管理することになるため、記憶媒体間のデータの関連性が把握できない。よって、ある検査と関連して過去行われた検査の結果を閲覧したい場合にも、個々の記憶媒体のデータ読取を行わなければならず、効率的にデータを利用することができない。
【0005】
本発明の課題は、記憶媒体に記憶された医用画像又は医療情報を統括的に管理することができる医療情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
表示手段及び記憶手段を備えた医療情報処理装置において、
可搬型の記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取手段と、
前記読み取られた読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれているか否かを判別し、当該医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別された場合、前記読取データを前記記憶手段に記憶させる情報制御手段と、
前記記憶された医用画像又は医療情報から日付情報を抽出し、当該日付情報に基づいて前記医用画像又は医療情報を時系列に並べた管理表を生成し、前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療情報処理装置において、
前記医用画像又は医療情報には、医用画像の撮影又は診察が行われた、病院又は診療科の情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医用画像又は医療情報から前記病院又は診療科の情報を抽出し、当該病院又は診療科の情報に基づいて病院毎に又は診療科毎に前記管理表を生成し、各管理表を切替表示させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医療情報処理装置において、
前記医療情報には、診察の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記診察予定に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて診察の実施予定の日付及び実施内容を通知する通知情報を生成し、前記管理表上の前記診察予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の医療情報処理装置において、
前記医療情報には、定期健康診断の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記定期健康診断に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて定期健康診断の実施予定の日付及び実施内容を通知する表示情報を生成し、前記管理表上の前記実施予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の医療情報処理装置において、
前記医療情報には、献血の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記献血に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて献血の実施予定の日付及び実施内容を通知する表示情報を生成し、前記管理表上の前記実施予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の医療情報処理装置において、
前記表示制御手段は、前記実施予定の日付までの残り時間を計時し、当該残り時間が所定時間に達すると、当該実施予定の日付を通知する表示情報を生成し、前記管理表上に表示させることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の医療情報処理装置において、
前記医療情報には、診察費に係る会計情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から会計情報を抽出し、当該会計情報に基づいて所定期間分の診察費の合計を算出し、前記管理表上に表示させることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の医療情報処理装置において、
前記医療情報には、処方箋の内容を示す処方箋情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から処方箋情報を抽出し、当該処方箋情報に基づいて前記管理表上に処方箋の内容を表示させることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、
コンピュータを、
表示手段、
記憶手段、
可搬型の記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取手段、
前記読み取られた読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれているか否かを判別し、当該医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別された場合、前記読取データを前記記憶手段に記憶させる情報制御手段、
前記記憶された医用画像又は医療情報から日付情報を抽出し、当該日付情報に基づいて前記医用画像又は医療情報を時系列に並べた管理表を生成し、前記表示手段上に表示させる表示制御手段、
として機能させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、9に記載の発明によれば、記憶媒体から読み取った読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別すると、当該読取データを医療情報処理装置の記憶手段に記憶するので、複数の記憶媒体が提供された場合でも、記憶媒体内のデータを順次医療情報処理装置に取り込んで統括的に管理することが可能となる。従って、各記憶媒体からデータを読み取って所望のデータを検索したり、表示したりといったことが不要となる。また、一括管理している医用画像又は医療情報を時系列に表示するので、閲覧者は複数の記憶媒体に個別に記憶されていた医用画像又は医療情報を全体的に把握することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、閲覧者は病院毎又は診療科毎に医用画像又は医療情報を閲覧することができ、各医用画像又は医療情報を整理することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、閲覧者は診察予定についてその日付及び実施内容を容易に把握することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、閲覧者は定期健康診断の実施予定についてその日付及び実施内容を容易に把握することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、閲覧者は献血の実施予定についてその日付及び実施内容を容易に把握することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、閲覧者に実施予定日が近いことを注意喚起することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、閲覧者は医療機関で要した診察費について容易に把握することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、閲覧者は医療機関において処方された処方箋の内容を容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における医療情報処理装置10及び医療情報提供システム1を示す。
医療情報提供システム1は、病院等の医療機関に設置されるものであり、HIS(Hospital Information System)5、モダリティ6、PACS(Picture Archiving and Communication System)2等がネットワークNを介して接続されているものである。ネットワークNの通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠している。
【0024】
医療情報提供システム1は、モダリティ6によって生成された医用画像や、HIS5、PACS2のサーバ3等によって生成された医療情報をDB(Data Base)4に保存し、サーバ3においてこれを管理、提供するものである。
【0025】
HIS5は、病院内の情報を統括的に管理するための情報管理システムである。HIS5では検査の予約入力を受け付けて撮影オーダ情報と呼ばれる検査撮影に関する指示情報を生成する他、薬の処方箋、診察費の会計等の入力を受け付けて処方箋情報、会計情報等の医療情報を生成、管理する。
【0026】
モダリティ6は、検査撮影を行って医用画像のデータを生成するものである。モダリティ6としては、X線撮影装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等が挙げられる。
前記撮影オーダ情報には検査対象の患者に関する情報や検査に関する指示情報、撮影により生成する医用画像に関する指示が含まれる。モダリティ6における撮影はこの撮影オーダ情報に基づいて行われる。モダリティ6は撮影により生成した医用画像をPACS2のサーバ3に送信する。
【0027】
PACS2は、ネットワークを介して医用画像のやりとりが可能な医用画像管理システムである。PACS2は、サーバ3の他、画像処理装置や読影用の端末装置等(図示せず)を備えて構成されており、各装置間をネットワークで接続している。
【0028】
PACS2では、モダリティ6から医用画像が入力されるとサーバ3において当該医用画像をデータベース化してDB4に保存する。データベース化は撮影オーダ情報に基づいて行う。すなわち、撮影オーダ情報から医用画像に関する基本情報を抽出し、医用画像を個々に特定する情報として医用画像のヘッダ領域に書き込み、付帯させることによりデータベース化するものである。
【0029】
なお、医用画像の保存はDICOM規格に従って行う。DICOM規格は、医用画像の配信、医用画像の保存フォーマット等に係る規格であり、この規格を適用することにより異なる装置間での医用画像の交換が可能となる。保存フォーマットでは、医用画像のヘッダ領域に医用画像に関する基本情報を書き込み、付帯させる際の規格が定められている。この付帯情報には、医用画像がDICOM規格に従って保存されている旨の宣言を初めとして、図2に示すような医用画像に関する基本情報が含まれる。
【0030】
図2に示すように、医用画像に関する基本情報には患者情報H1、検査情報H2、シリーズ情報H3、画像詳細情報H4が含まれている。各情報H1〜H4にはその情報を個々に識別するため、患者情報H1には患者情報LID、検査情報H2には検査情報LID、シリーズ情報H3にはシリーズ情報LID、画像詳細情報H4には画像詳細情報LIDと呼ばれる識別情報が付与されている。患者情報LIDを検査情報H2に、検査情報LIDをシリーズ情報H3に、また患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LIDを画像詳細情報H4に対応付けることにより、各情報H1〜H4を関連付けている。
【0031】
患者情報H1は、患者の名前(ASCII、カナ、漢字)、患者ID、患者の生年月日、性別等の患者に関する情報である。患者情報H1には上述した患者情報LIDが付与されている。
【0032】
検査情報H2は、検査を行った検査日付や時刻、検査時のコメント等、検査に関する情報である。検査情報H2には検査情報LIDが付与されている。また、画像管理のために発行された検査インスタンスUID、その検査情報に対応する患者情報LIDが検査情報H2と対応付けられている。
【0033】
シリーズ情報H3は、撮影を行ったモダリティの種類を示す名称、そのモダリティのシリーズ番号、モダリティを操作した操作者の名前、そのモダリティで読取可能な最小画素値、最大画素値、検査部位等のモダリティや撮影に関する情報である。また、シリーズ情報H3には、画像管理のために発行されたシリーズインスタンスUID、シリーズ情報H3に対応する検査情報LIDが対応付けられている。
【0034】
画像詳細情報H4は、画像が生成された際に付された画像番号、画像が生成された画像日付及び画像時刻、割り当てビット等のビット情報、原画像、DICOM圧縮画像、JPEG圧縮画像、サムネイル画像の各画像へのファイルパス名、圧縮率等の画像管理や画像生成に関する情報である。画像詳細情報H4には、その画像詳細情報H4に対応する患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LIDが対応付けられる。また、画像管理のために発行された検査インスタンスUID、シリーズインスタンスUID及び医用画像のファイル保存場所を示すアドレスを組み合わせて構成されるSOPインスタンスUIDが対応付けられる。検査インスタンスUID、シリーズUID、画像保存アドレスは個々の医用画像によって異なるものとなるので、このように構成されたSOPインスタンスUIDは全ての医用画像を個別に特定することができるIDとなる。
【0035】
なお、PACS2では上記医用画像の他、医療情報をDB4に保存し管理する。医療情報とは医療に関する情報をいい、例えば処方箋情報、会計情報の他、読影用の端末で作成された読影レポート情報や電子カルテ情報等がある。また、過去に行った診察に関する診察情報や、次回の診療予定、定期健康診断又は献血の実施予定等の患者に対して通知すべき通知情報等も含む。なお、上記の医用画像に関する基本情報(患者情報H1、検査情報H2、シリーズ情報H3、画像詳細情報H4)も医療情報の一つである。
【0036】
PACS2では、DB4に保存されている医用画像又は医療情報をサーバ3が上記読影用の端末装置等に配信する処理を行う。また、サーバ3は患者に配布するためのメディアMに医用画像又は医療情報を記憶させ、保存する。メディアMに記憶された医用画像又は医療情報は、患者宅に設置された医療情報処理装置10において閲覧可能である。
【0037】
メディアMは、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、小型メモリ等の可搬型の記憶媒体である。メディアMへの医用画像及び医療情報の書き込みは、PDI(Portable Data for Imaging)規格に従って行う。PDIはIHE(Intergrateing the Healthcare Enterprise)又はIHE−J(IHE-Japan)によるガイドラインにおいて定められているものである。IHE、IHE−JはDICOM規格の他、HL7と呼ばれる医療機器の相互接続のために決められた規格を、臨床現場のワークフローに即して用いるために定められたガイドラインである。PDIはこのIHE及びIHE−Jのうち、医用画像を可搬型の記憶媒体に保存して利用する場合のデータ運用に関して定めたガイドラインである。
【0038】
図3に、上記PDIにより定められたメディアMのデータ構造を示す。
メディアMでは、メディアM内に保存されるデータの種類(医用画像、医用画像及び医療情報の表示画面に用いるコンテンツ、その他の医療情報)により、主にDICOMDIRファイル、DICOMディレクトリ、IHE−PDIディレクトリ、Otherディレクトリが設けられる。DICOMディレクトリはDICOM規格に従って生成された医用画像(これをDCMファイルという)についてのディレクトリであり、DICOMDIRファイルは当該医用画像の索引情報が記述されたものである。IHE−PDIディレクトリはXHTML、JPEG、GIF形式で保存されるコンテンツファイルについてのディレクトリである。Otherディレクトリは医療情報その他のファイルについてのディレクトリとなる。
【0039】
図4に、メディアMに記憶される医療情報の例を示す。
図4(a)は過去に行った診察に関する診察情報の例であり、図4(b)は患者への通知情報の例である。
図4(a)に示すように、診察情報にはその診察が行われた日付を示す日付情報が含まれる他、診察が行われた病院、診療科、検査を実施した場合にはその検査ID、診察における診察費、処方箋等の情報が含まれる。なお、1回の診察につき、1の診察情報が生成されるものとする。
また、図4(b)に示すように、通知情報には次回の診察の実施予定、健康診断の実施予定、献血の実施予定等を通知するものがある。各通知情報にはその実施予定日付を示す日付情報の他、実施内容を示す情報が含まれる。通知情報についても、通知すべき1の事柄につき、1の通知情報が生成されるものとする。
【0040】
次に、医療情報処理装置10について説明する。
医療情報処理装置10は、医用画像又は医療情報の閲覧に用いられるものである。医療情報処理装置10としてはPC(Personal Computer)等の一般的なコンピュータ装置が適用可能である。
図4に、医療情報処理装置10の構成を示す。
医療情報処理装置10は、図4に示すように制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、プログラムメモリ15、データメモリ16、メディアドライバ17等を備えて構成されている。
【0041】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。制御部11はプログラムメモリ15に記憶されている制御用のプログラムを読み出し、当該プログラムとの協働により各種演算を行ったり、各部の動作を集中制御したりする。
【0042】
操作部12は、キーボードやマウス等を備え、これらが操作されるとその操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。
【0043】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、制御部11の表示制御に従ってLCD上に医用画像、医療情報等を表示する。
【0044】
通信部14は、通信用インターフェイスを備えて構成され、制御部11の制御に従ってインターネット等のネットワーク上の外部装置に接続し、通信を行う。
【0045】
プログラムメモリ15は、制御部11によって実行されるプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータ、データ等を記憶している。
【0046】
データメモリ16は、メディアMから読み取った医用画像、医療情報等の各種データを記憶するためのメモリである。
【0047】
メディアドライバ17は、制御部11の読取制御に従ってメディアMに記憶されているデータを読み出す処理を実行する。また、制御部11の書込制御に従ってメディアMに各種データを書き込む処理を実行する。
【0048】
次に、上記医療情報処理装置10の動作について説明する。
患者に医用画像や読影レポート、電子カルテ等の医療情報を提供する場合、サーバ3によって医用画像又は医療情報をメディアMに書き込むことが可能である。医師は当該メディアMを患者に提供することにより、患者自身の医用画像又は医療情報を提供することができる。患者は自宅の医療情報処理装置10においてメディアM内のデータを読み込み、表示を行わせることにより、医用画像又は医療情報を閲覧することが可能である。
【0049】
以下、図6を参照して、メディアM内のデータの読み取り、表示を行う際に医療情報処理装置10において実行される閲覧表示処理を説明する。閲覧表示処理はメディアMがメディアドライバ17に挿入されたことを制御部11において検出すると開始されるものとする。
【0050】
図6に示す閲覧表示処理では、まず制御部11の読取制御に従ってメディアドライバ17がメディアMに記憶されているデータの読取処理を実行する(ステップS1)。次制御部11では読み取られたデータ(以下、読取データという)を解析し、当該データは医用画像又は医療情報のデータであるか否かを判断する(ステップS2)。メディアMがPDI規格に従ってデータが書き込まれたものである場合、図3に示すようなデータ構造を呈している。よって、制御部11は図3に示すDICOM DIRファイルを参照することにより、読取データにDICOMによる医用画像が含まれていると判別することができる。同様に、Otherディレクトリを参照することにより、読取データに医療情報が含まれているか否かを判断することができる。
【0051】
読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれていない場合(ステップS2;N)、そのデータ種に応じた処理に移行する。例えば、一般の音楽データ等である場合には音楽データの再生処理に移行する。
一方、読取データが医用画像又は医療情報であると判断された場合(ステップS2;Y)、制御部11は当該読取データを内部メモリであるデータメモリ16に記憶させる(ステップS3)。
【0052】
次いで、制御部11はデータメモリ16に記憶された医療情報のうち診察情報を読み出す。そして、診察情報から日付情報を抽出するとともに、当該診察情報に対応する診察アイコン及び詳細リストを生成する(ステップS4)。診察アイコンは過去に行われた診察の日付を示す表示情報であり、詳細リストを表示するための操作用アイコンである。詳細リストはその診察内容の詳細を示す表示情報である。制御部11は過去に診察が複数回行われており、診察情報が複数ある場合には各診察情報について診察アイコン及び詳細リストを生成する。このとき、診察情報から抽出した日付情報に基づいて、診察アイコンの表示態様をその診察が行われた日付を表したものとする。一方、診察情報に含まれる診察内容の情報に基づいて、詳細リストの表示態様をその診察内容を表したものとする。
【0053】
診察時に検査撮影を行っており、その検査撮影による医用画像がある場合、制御部11はデータメモリ16から当該医用画像のデータを読み出し、医用画像のサムネイル画像を生成する(ステップS5)。検査撮影による医用画像の有無の判断は、診察内容の情報に含まれる検査IDを参照することにより行う。診察内容の情報に検査IDが含まれている場合、データメモリ16に記憶した医用画像のヘッダ領域を参照し、前記検査IDと一致する検査IDを有する医用画像を検索し読み出す。一方、検査IDの情報が含まれていない場合には検査撮影はなかったものと判断してサムネイル画像の生成は行わない。
【0054】
次に、制御部11は診察内容の情報から診察費の会計情報を抽出し、この診察費の会計情報に基づいて所定期間内、例えば1年分等の診察費の合計を算出する。合計は診療科毎の小計と、それら小計の全ての総計とを算出する(ステップS6)。
【0055】
制御部11はさらにデータメモリ16から通知情報を読み出し、この通知情報から日付情報を抽出するとともに、当該通知情報に対応する通知アイコン、詳細リストを生成する(ステップS7)。通知アイコンは今後実施を予定している診察、検査、健康診断、献血等の実施予定の日付を示す表示情報であり、詳細リストの表示操作を行うための操作用アイコンである。制御部11は日付情報に基づいて実施予定の日付を表した通知アイコンを生成する。また、通知情報に含まれる実施内容の情報に基づいてその実施内容の詳細を表した詳細リストを生成する。
【0056】
次いで、制御部11は診察情報に基づいて診察を行った病院、診療科を特定する。診察情報が複数ある場合には各診察情報についてその診察が行われた病院、診療科の特定を行う。そして、生成した診察アイコン及びその詳細リスト、通知アイコン及びその詳細リストを特定した病院毎及び診療科毎に分類する。そして、診察情報及び通知情報から抽出した日付情報に基づいて診察アイコン及び通知アイコンを時系列に並べ、かつ診療科毎に分類して並べた管理表を生成する。管理表は病院毎に生成し、各病院の管理表を切替表示可能に表示部13上に表示させる(ステップS8)。なお、健康診断や献血のように診療科に無関係のものについては分類せずに表示させる。
【0057】
図7に、上記管理表の表示例を示す。
図7に示すように、管理表dは年月を示す列と診療科を示す行からなる表である。ここでは歯科、内科、外科の3つの診療科に分類されている。なお、管理表dは病院毎に生成されており、図7に示す管理表dは「A病院」に対応する管理表が表示されている例を示すものである。「B病院」についての管理表を表示させる際には「B病院」のインデックス部分k2をクリック操作する。制御部11では当該クリック操作に応じてA病院の管理表からB病院の管理表に切り替えて表示させる。
管理表dの右端には「06」年の診察費の合計が表示されている。d52は各診療科の診察費の小計を示し、d51はその総計を示している。
【0058】
管理表d上には診察アイコンd11、定期健康診断の通知アイコンd21、次回の診察予定の通知アイコンd31、献血の通知アイコンd41が表示されている。診察アイコンd11には診察を行った日付(「5/25」等)が、通知アイコンd21、d31、d41には実施予定の日付が表示されている。診察アイコンd11及び次回の診察予定の通知アイコンd31は、その診察に係る診療科の行に分類されて配置され、健康診断の通知アイコンd21、献血の通知アイコンd41のように診療科に無関係のものについては全診療科に跨って配置され、表示されている。なお、アイコンの種別が視覚的に見分けられるように種別に応じて色分けする等してもよい。
【0059】
このように表示された管理表dにおいて、診察アイコンd11又は通知アイコンd21、d31、d41が操作されると(ステップS9;Y)、制御部11は操作された診察アイコンd11又は通知アイコンd21、d31、d41に対応する詳細リストをその操作されたアイコンd11、d21、d31、d41に対応付けて表示させる。また、診察アイコンd11については医用画像のサムネイル画像を生成している場合、詳細リストととともに当該サムネイル画像を表示させる(ステップS10)。
【0060】
例えば、図7に示す管理表dにおいて、「5/25」の日付で表されている診察アイコンd11が操作されると、図7に示すように当該診察アイコンd11に対応する詳細リストd12及びサムネイル画像d13がこの診察アイコンd11に対応付けて表示されることとなる。詳細リストd12には病院(A病院)、診療科(内科)、検査撮影を行ったモダリティ、撮影枚数(CR×2)、処方箋(○×錠処方)、診察費(5200円)の情報が表示されている。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、メディアMから読み取ったデータに医用画像又は医療情報が含まれていると判断すると、当該読取データを医療情報提供装置10の内部メモリに記憶させる。すなわち、メディアM内のデータを順次医療情報処理装置10に蓄積することができる。従って、提供されたメディアMが複数ある場合でも、その複数のメディアM内の医用画像又は医療情報を医療情報処理装置10において一括管理することができる。これにより、複数のメディアM内の医用画像又は医療情報のデータを逐一読み取って所望のデータを検索したり、表示したりといった煩雑な作業は不要となる。
【0062】
また、一括管理している医療情報、例えば診察情報、通知情報から日付情報を抽出し、この日付情報に基づいて診察情報や通知情報を示すアイコンを時系列に並べた管理表を生成して表示する。よって、管理表を閲覧することにより患者等の閲覧者は一括管理している医療情報を全体的に把握することができる。また、アイコンの操作により対応する診察情報、通知情報の内容や医用画像のサムネイル画像をさらに表示するので、閲覧者は各医療情報の内容を詳細に知ることができる。
【0063】
また、通知情報には次回の診察予定や健康診断の実施予定、献血の実施予定等の通知情報が含まれる。よって、閲覧者は管理表によりこれらの予定を予め知って管理することができ、過去の診察についての情報管理を行うだけでなく、スケジュール管理を行うことも可能となる。
【0064】
なお、上記実施形態は本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、診察時の内容について電子カルテや読影レポート等の他の医療情報についても閲覧可能にすることも可能である。この場合、診察情報においてその診察に関連する電子カルテ、読影レポートのファイル名を登録しておく。表示時には当該ファイル名から対応する電子カルテ、読影レポートを読み出し、診察アイコンの操作に応じて読み出した電子カルテ、読影レポートを表示させる。これにより、診察に関連して作成された電子カルテや読影レポート等も閲覧することができる。
【0065】
また、次回の診察予定等の実施予定に関する通知情報については、実施予定の日付を通知することとしてもよい。この場合、制御部11において実施予定の日付までの残り時間を計時し、残り時間が例えば1日等、所定時間に達したときに「明日は歯科の診察予定日になります」等のメッセージによる表示情報を生成し、これを管理表上に表示させる。メッセージにより患者等の観察者に対し実施予定日である旨を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態における医療情報処理装置及び医療情報提供システムを示す図である。
【図2】医用画像に付帯される各種情報例を示す図である。
【図3】メディアにおいて医用画像及び医療情報を記憶する際のデータ構成例を示す図である。
【図4】(a)医療情報の一つである診察情報のデータ構成例を示す図である。(b)医療情報の一つである通知情報のデータ構成例を示す図である。
【図5】医療情報処理装置の内部構成を示す図である。
【図6】医療情報処理装置により実行される閲覧表示処理を説明するフローチャートである。
【図7】管理表の表示例を示す図である。
【図8】管理表の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 医療情報提供システム
2 PACS
3 サーバ
5 HIS
6 モダリティ
10 医療情報処理装置
11 制御部
16 データメモリ
17 メディアドライバ
M メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段及び記憶手段を備えた医療情報処理装置において、
可搬型の記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取手段と、
前記読み取られた読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれているか否かを判別し、当該医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別された場合、前記読取データを前記記憶手段に記憶させる情報制御手段と、
前記記憶された医用画像又は医療情報から日付情報を抽出し、当該日付情報に基づいて前記医用画像又は医療情報を時系列に並べた管理表を生成し、前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医療情報処理装置。
【請求項2】
前記医用画像又は医療情報には、医用画像の撮影又は診察が行われた、病院又は診療科の情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医用画像又は医療情報から前記病院又は診療科の情報を抽出し、当該病院又は診療科の情報に基づいて病院毎に又は診療科毎に前記管理表を生成し、各管理表を切替表示させることを特徴とする請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項3】
前記医療情報には、診察の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記診察予定に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて診察の実施予定の日付及び実施内容を通知する通知情報を生成し、前記管理表上の前記診察予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療情報処理装置。
【請求項4】
前記医療情報には、定期健康診断の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記定期健康診断に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて定期健康診断の実施予定の日付及び実施内容を通知する表示情報を生成し、前記管理表上の前記実施予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項5】
前記医療情報には、献血の実施予定の日付及び実施内容に関する通知情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から前記献血に関する通知情報を抽出し、当該通知情報に基づいて献血の実施予定の日付及び実施内容を通知する表示情報を生成し、前記管理表上の前記実施予定の日付に対応する位置に表示させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記実施予定の日付までの残り時間を計時し、当該残り時間が所定時間に達すると、当該実施予定の日付を通知する表示情報を生成し、前記管理表上に表示させることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項7】
前記医療情報には、診察費に係る会計情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から会計情報を抽出し、当該会計情報に基づいて所定期間分の診察費の合計を算出し、前記管理表上に表示させることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項8】
前記医療情報には、処方箋の内容を示す処方箋情報が含まれ、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された医療情報から処方箋情報を抽出し、当該処方箋情報に基づいて前記管理表上に処方箋の内容を表示させることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の医療情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
表示手段、
記憶手段、
可搬型の記憶媒体に記憶されているデータを読み取る読取手段、
前記読み取られた読取データに医用画像又は医療情報のデータが含まれているか否かを判別し、当該医用画像又は医療情報のデータが含まれていると判別された場合、前記読取データを前記記憶手段に記憶させる情報制御手段、
前記記憶された医用画像又は医療情報から日付情報を抽出し、当該日付情報に基づいて前記医用画像又は医療情報を時系列に並べた管理表を生成し、前記表示手段上に表示させる表示制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−71122(P2008−71122A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249304(P2006−249304)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】