医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラム
【課題】 医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築して、医師及び患者が必要な情報を容易に得られることができる医療情報支援システム、医療情報支援方法及び医療情報支援プログラムを提供すること。
【解決手段】 患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する端末装置7と、前記端末装置7からの入力情報を記憶する患者情報データベース4aと、患者情報データベース4aの情報を分類して記憶する治療情報データベース5aと、治療情報データベース5aに記憶されたデータの統計処理を行う治療情報データベースサーバ5とを備えるようにする。
【解決手段】 患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する端末装置7と、前記端末装置7からの入力情報を記憶する患者情報データベース4aと、患者情報データベース4aの情報を分類して記憶する治療情報データベース5aと、治療情報データベース5aに記憶されたデータの統計処理を行う治療情報データベースサーバ5とを備えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床の中長期的、総合的なエビデンスを構築し、医師、患者が必要な医療情報を容易に得ることができる医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、診療所などの医療機関においては、自機関で行われた過去の治療内容だけでなく、その患者に対して他の医療機関でなされた治療内容などを知っておくことが患者の治療にあたって重要である。このため、複数の医療機関とデータセンタとで構成される地域医療情報システムによる医療情報、データの共有化が例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
また、医療は、医学的事実に対する臨床的、学問的な証拠、裏付け(以下エビデンスという)に基づいて患者に提供されるべきであるが、新規治療薬や保険外の治療法、民間療法と呼ばれるものなどは、比較試験によって構築された正規のエビデンスに乏しく、それゆえに、限られた研究施設で限定された適応の下の研究医療や、最近の免疫細胞療法などのように、患者のニーズはあっても、主治医サイドで提案、許可のされない治療法が多々ある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−6341
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日のように、治療法が多様化してきた世の中では、主治医や一つの病院の枠の中で治療経過を一元的に管理することは不可能であり、患者の転院や医師の転勤といった問題も加わって、患者ごとの細切れの治療経過を断片的に解析するだけでは、母数の少ない短期的なデータが得られるのみである。
【0006】
特許文献1に開示されている地域医療情報システムにおいては、患者の医療情報、データの共有化は計られるが、治療法の他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができなかった。このためインフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てることができなかった。
【0007】
また、患者自身が自分と同じ病気について、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療法、患者の人数、治療経過、副作用情報、生存率、転帰、治療の体験談等を容易に得ることができなかった。このため、病気についての医療情報が少ないため、患者や家族がどの治療法の組み合わせを選択すべきか、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計についての検討を行うことができなかった。
【0008】
更に、患者またはその家族が、医療機関が管理する医療情報システムに治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を提供することもできなかった。
【0009】
また、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行えることが求められている。
【0010】
そこで本発明は、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築して、医師及び患者が必要な情報を容易に得られることができる医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による医療情報支援システムは、患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力手段と、前記患者情報入出力手段からの入力情報を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段の情報を分類して記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されたデータの統計処理を行う統計処理手段と、前記統計処理手段の結果を出力する医療情報出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなる端末装置であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による医療情報支援システムの前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段、前記統計処理手段および前記医療情報出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなるデータベースを有するサーバで構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、患者の電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による医療情報支援システムの前記第2の記憶手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする。
【0021】
本発明による医療情報支援方法は、患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力ステップと、前記患者情報入出力ステップからの入力情報を記憶する第1の記憶ステップと、前記第1の記憶ステップで記憶された情報を分類して記憶する第2の記憶ステップと、前記第2の記憶ステップで記憶されたデータの統計処理を行う統計処理ステップと、前記統計処理ステップの結果を出力する医療情報出力ステップからなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明による医療情報支援方法の前記第2の記憶ステップは、前記第1の記憶ステップに記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする。
【0029】
本発明による医療情報支援プログラムは、ネットワークを介して接続された端末装置から入力された検索語を受け付ける手順と、治療情報を分類して記憶しているデータベースから前記検索語に該当するデータを読み出す手順と、前記データベースから読み出したデータの集計、統計処理を行う手順と、前記統計処理の結果を前記端末装置に送信する手順とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築することにより、主治医の行う治療法が他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができる。
【0031】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、患者は、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療までさまざまな経歴の患者群の人数、治療経過、副作用情報、生存率、転帰、治療の体験談等の情報をインターネット上のホームページの患者サイトにアクセスし、自分がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの参考と、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計などに役立てることができる。
【0032】
また、同様に医師も自らが行う治療が行われている頻度、治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を入手することにより、インフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てる際の情報源とすることができる。
【0033】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行うことで、その患者の受けた治療の総体としての治療結果と短期、長期効果と副作用発生状況などを把握することができる。
【0034】
また、医師が端末装置から検索語を設定することにより、医療情報支援システムのデータベースから統計処理の行われたデータを取り出すことができるため、治療法の効果、副作用について知ることができる。
【0035】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師または患者がネットワークに接続された端末装置から必要な医療情報を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下図面を参照して、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムの実施の形態について説明する。なお、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムは、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築して、医師及び患者がそれらの情報を容易に得ることができるようにしたものである。
【0037】
以下に図1を用いて、医療情報支援システムの構成について説明する。図1は、医療情報支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、医療情報支援システム1は、医師、患者または患者の家族が操作する1又は2以上の端末装置7と、通信網8としてのWAN(Wide Area Network)と、端末装置7からの患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置7からの問い合わせ等に応答可能な医療情報支援装置2を有する。図1に示すように、端末装置7は通信網8であるWANに接続されており、また、医療情報支援装置2は、中継装置としてのルーター9を介して通信網8であるWANに接続されている。
【0038】
図1に示す端末装置7は、パーソナルコンピュータからなり、パーソナルコンピュータの記憶装置にはブラウザ(閲覧ソフトウェア)が組み込まれており、このブラウザを利用してパーソナルコンピュータの表示部に情報が表示される。また、パーソナルコンピュータのキーボード、マウス等の入力装置により医療情報支援装置2への患者情報、治療情報等を入力できるようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、通信網8としてのWANはインターネットで構成されている。しかして、本実施の形態によるWANは、インターネットに限らず、その他のネットワークにより通信可能なものであればよく、通信網8として機能するものであればよい。
【0040】
図1に示す医療情報支援装置2は、端末装置7から入力された患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置7からの問い合わせに応答するようになっており、医師、患者等に医療情報の支援、サービスを行うものである。医療情報支援装置2は、記憶装置内に登録者情報データベース3aを有するウェブサーバ3と、記憶装置内に患者情報データベース4aを有する患者情報データベースサーバ4と、記憶装置内に治療情報データベース5aを有する治療情報データベースサーバ5とを備えている。
【0041】
ウェブサーバ3は、医療情報支援装置2のサービスに登録しているメンバー固有のIDとパスワード等を管理するサーバであり、端末装置7からデータベースにアクセスする際に、閲覧許可を求めたユーザーが真に利用登録者であるかを認証するためのものである。また、医療情報支援装置2は、ウエブサイト形式で運営されており、医師、患者等は、ウェブサーバ3のホームページにアクセスして医療情報の提供、医療情報の入手を行うようになっている。ウェブサーバ3の登録者情報データベース3aは、医療情報支援装置2のサービスを利用する登録者の情報、すなわち氏名、ID、パスワード等を格納しているデータベースである。
【0042】
患者情報データベースサーバ4は、通信網8を介して接続された端末装置7から入力された患者情報を患者情報データベース4aに格納し、利用者の要求に応じて患者情報データベース4aに格納された患者の情報をウェブサーバ3を経由して端末装置7に出力するためのサーバである。
【0043】
第1の記憶手段としての患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aは、患者ID、患者のパスワード、患者氏名、年齢、性別、初診日、診断日、病名、治療歴等を格納するデータベースである。また、治療に対する患者のコメントや日記もこのデータベースに格納することができる。また、患者情報データベース4aは、患者の電子カルテまたは電子カルテから必要な項目を選択した情報を格納している。
【0044】
統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、通信網8を介して接続された端末装置7へ利用者の検索要求に応じて、治療情報データベース5aに格納された治療情報に統計処理を行って、ウェブサーバ3を経由して端末装置7に出力するサーバである。その際、医師、患者等の個人情報が出力されないよう選別を行うことが可能となっている。
【0045】
第2の記憶手段としての治療情報データベースサーバ5の治療情報データベース5aは、患者情報データベース4aから氏名、ID、パスワード等の個人の情報を除き、癌治療等の医療データを患者情報データベース4aから抽出して格納したデータベースである。
【0046】
医療情報支援装置2の治療情報データベースサーバ5は、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aに格納されている患者の医療データから病名、治療法等のデータを抽出して、項目毎に識別可能な形式で治療情報データベース5aに格納するように構成されている。なお、患者情報データベース4aに格納されている患者の氏名、住所等の個人情報のデータは除去して治療情報データベース5aに格納することができるようになっている。
【0047】
なお、図1に示す医療情報支援システム1の医療情報支援装置2は、登録者情報データベース3aを有するウェブサーバ3と、患者情報データベース4aを有する患者情報データベースサーバ4と、治療情報データベース5aを有する治療情報データベースサーバ5とで構成しているが、本発明による医療情報支援システム1は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、1つのサーバの記憶装置に登録者情報データベース3a、患者情報データベース4aおよび治療情報データベース5aを格納した構成でもよい。
【0048】
次に、本発明による医療情報支援システムを用いて医師が治療法を決定する際に必要な医療情報、また患者がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの医療情報を入手するための、臨床データの入力およびその臨床データのデータベース化について述べる。
【0049】
医師が治療法を決定し、また患者に治療法について説明する際に有用となる情報としては、例えば癌に関する治療では、癌種、ステージごとの治療法の使用頻度および治療法ごとの経過治療効果、副作用、QOL(Quality of Life、生活の質)等の経過情報があげられる。以下に癌治療における臨床データの入力およびその臨床データのデータベース化について述べる。なお、以下に述べる内容は、癌治療に限らず他の治療に対しても適用することができる。
【0050】
現在癌の治療を行う際、多くの場合、癌治療のガイドラインに沿って癌種ごとの治療法が選択されている。それら診療ガイドラインに沿って行っている場合には、選択肢の中からステージごとの現在行っている治療法を選択するようにする。診療ガイドラインに沿っていないものについては事例ごとに言葉で入力する。
【0051】
これらのデータを患者情報データベース4aに記憶しておく。
【0052】
なお、癌治療の診療ガイドラインについては癌種によって冊子が発行されている。例えば、肺癌診療ガイドラインとしては、Evidence−based Medicine(EBM)の手法による肺癌の診療ガイドライン、乳癌では乳癌診療ガイドラインがあげられる。
【0053】
患者情報データベース4aから癌種、ステージごとの治療法を集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの癌種、ステージごとの治療法を数をカウントすることにより、癌種、ステージごとの治療法の頻度を知ることができる。
【0054】
また、その治療法の効果は、短期効果と長期効果に分けて確認するようにするようにする。その治療法における短期効果は、1ヶ月から6ヶ月間の画像診断による腫瘍の大きさの変化、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認することにより判定する。
【0055】
例えば癌の画像診断では、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)ガイドラインに準拠した形式で入力する。RECISTガイドラインでは、レントゲンなどの画像から、腫瘍の大きさを測定し、それが数ヶ月後にどのように変化したかを下記のグレードで表現する。
【0056】
グレードは、PD(Progressive Disease、進行)、SD(Stable Disease、安定)、Long SD(Long Stable Disease、長期安定(6ヶ月以上の安定))、MR(Minimal Response、やや有効)、PR(Partial Response、部分奏効):、CR(Complete Response、完全奏効)の6つに分類される。その治療法における効果を上記グレードで患者情報データベース4aに記憶しておく。
【0057】
治療法の短期効果の判定は、患者情報データベース4aから治療法におけるグレードを集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの治療法におけるグレードの数をカウントして、グレードの数から行うことができる。
【0058】
また、血液中の腫瘍マーカーの変化を調べて、その治療法の短期効果を確認することができる。血液検査によって腫瘍マーカーの量の変化を調べ、測定日とその数値を患者情報データベース4aに記憶しておく。患者情報データベース4aから腫瘍マーカーの測定日とその数値を集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの時間経過と腫瘍マーカー量の平均値をグラフ化する。癌が小さくなれば、腫瘍マーカーの量も変化するため、時間経過と腫瘍マーカー量の平均値をグラフ化することで短期効果の目安とすることができる。
【0059】
また、治療法における長期効果は、5年間の画像診断による腫瘍の大きさの変化、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認することにより判定する。
【0060】
画像診断では、レントゲン写真などから腫瘍の面積を測定し、登録時の腫瘍の面積と比較し、短期効果のときと同様にRECISTのガイドラインに準拠した形式で患者情報データベース4aに記憶する。また、血液中の腫瘍マーカーは、血液検査により腫瘍マーカー量を測定し、数値を患者情報データベース4aに記憶する。
【0061】
治療法における長期効果の判定は、5年間までの画像診断による腫瘍の面積、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認して行う。但し、乳癌の場合は10年間の推移を確認することにより判定する。
【0062】
また、治療効果の指標として生存曲線が使用される。生存曲線は、治療をはじめてからその患者が何年間生存していたかをグラフしたものである。治療の種類、治療をはじめた日、転帰(患者の状態。患者が生存しているか、亡くなったかの確認)を患者情報データベース4aに記憶する。生存曲線は、患者情報データベース4aがら治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して、統計処理をおこなってグラフ化する。なお、カプランマイヤーの検定(Kaplan−Meier method)等により、データの有意性を出しておくとより有効なデータとして用いることができる。
【0063】
また、治療法ごとの副作用の種類、強さ、発生日、因果関係を患者情報データベース4aに記憶する。例えば、癌治療学会の副作用標記報告様式に則って、主治医が記載するようにする。
【0064】
副作用標記報告様式によれば、1.副作用の項目は、嘔吐、寒気、発熱などであり、2.副作用のグレードは、それぞれの項目の強さを数値化したもの、3.副作用が発生した日にちは、治療を行ってから何日後に副作用が現れたか、4.治療との因果関係は、治療と副作用の間に因果関係があるか、ある、なし、濃い、薄い、不明などがあげられる。患者情報データベース4aからこれらのデータを読み出して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aのデータを統計処理することによってその治療を行った場合の副作用についての情報を得ることができる。
【0065】
治療法ごとのQOLは、主治医が患者を観察し数値を入力する場合と、患者が自分の状態を患者サイトから入力する場合とがある。数値を入力場合には、一般的によく使用されるのがPS(Performance Status)と呼ばれるもので、主治医が患者を観察して0から4の数値で記録する。数値0から4の内容は以下の内容となっている。数値0は、無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。数値1は、軽度の症状があり肉体労働は制限を受けるが歩行軽労働や坐業はできる。例えば軽い家事事務など。数値2は、歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助がいることもある。軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居している。数値3は、身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。数値4は、身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。
【0066】
また、患者が入力する項目は、食事、睡眠、行動、気分、痛みについてであり、それぞれの項目について○×式で患者個人サイトから入力して患者情報データベース4aに記憶する。例えば、1週間にいくつ○がついているかをカウントすることによってQOLを評価する。
【0067】
以上述べた臨床データのデータベース化は、患者情報データベース4aに記憶している患者の医療データから病名、治療法での経過等のデータを抽出して、項目毎に識別可能な形式で治療情報データベース5aに格納することにより行われる。医師または患者からの検索要求に対して、統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aに記憶されている検索要求の項目に関連するデータを読み出して、データの集計、統計処理を行ってその結果を表形式、グラフ形式等で出力することによって行われる。
【0068】
例えば、端末装置7から医療情報支援装置2に、ある病種に対する治療法における副作用に関する検索要求が入力されたときには、統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aに記憶されている病種を検索して、該当する病種の治療法を選択し、その治療方法を受けた人数および治療法の副作用の症例ごとの集計を行い、患者数、副作用の症例ごとの人数を算出する。算出された結果は、表、グラフ形式で出力する。なお、治療情報データベースサーバ5は、統計処理用のプログラムをライブラリー形式で内蔵しており、統計処理の内容によって処理プログラムが選択されて適宜処理されるようになっている。
【0069】
以上述べたように、臨床データは、ガイドライン等に沿って数値化、記号化して患者情報データベース4aに記憶して、統計処理することにより、治療効果等の数値化、グラフ化が容易に行うことができるため、医師が治療法を決定し、また患者に治療法について説明する際に有用な医療情報を提供することができる。
【0070】
次に、医療情報支援システム1による患者の治療を担当する医師の利用形態について図2乃至図5を用いて説明する。図2は、医療情報支援装置2にアクセスして、医師が患者の電子カルテ等を読み出して、電子カルテ等に治療法、治療経過等の医療情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【0071】
図2に示すように、医師は最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS1)。なお、医療情報のウェブサーバ3に未登録の場合には、登録を行うようにする。登録した医師にはIDとパスワードが付与される。
【0072】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に医師のページに入るか、患者のページに入るかのメッセージが表示され、クリックにより医師のページを選択する(ステップS2)。
【0073】
医師のページを選択すると図3のようなIDとパスワードの入力要求の画面が端末装置7の表示部に表示され、端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS3)。
【0074】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS4)、真に登録者である場合には図4に示す医師の個人ページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0075】
IDとパスワードの照合後に、IDから医師個人ページが検索されて、端末装置7の表示部に図4に示す医師個人ページが表示される(ステップS5)。
【0076】
図4に示すように、医師個人ページには、患者情報に関する新規登録、経過記録、転院、連係の選択肢が表示される。選択する患者情報は、担当する患者の医師の立場を選択しておく。図4に示すように、主治医、共同主治医、従治医、セカンドオピニオン、主治医交代から選択するようにする。
【0077】
患者情報の新規登録のサブメニューである新規、追加の入力を行う場合には、入力する患者を選択し(ステップS6)、当該患者のID、パスワードを入力するようにする(ステップS7)。患者のID、パスワードの入力要求は、患者の電子カルテ等の内容が不正に改ざんされることを防止するためである。
【0078】
患者ID、パスワードが入力されるとウェブサーバ3は登録者情報データベース3aに照会し(ステップS8)、ID及びパスワードが正しく、医師が当該患者の主治医であれば、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aからデータを呼び出して(ステップS9)、患者の電子カルテを端末装置7の表示部に表示する(ステップS10)。図5は、患者の電子カルテを読み出す際の端末装置7の表示部に表示される画面を示し、図6は、端末装置7の表示部に表示される患者の電子カルテの個人情報の画面を示す図である。
【0079】
患者の電子カルテのページで必要事項を入力する(ステップS11)。入力した患者の電子カルテのデータは、患者情報データベース4aに格納し、保存する(ステップS12)。
【0080】
次に、医療情報支援システム1による患者の治療を担当する医師の医療情報の検索について図7乃至図10を用いて説明する。医療情報の検索は、癌治療等のデータベースに蓄積されたデータの中から医師の要望にあわせてデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置7の表示部に表示するものである。
【0081】
図7は、医療情報支援装置2にアクセスして、データベースに蓄積されたデータの中から必要なデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置7の表示部に表示するまでの流れを示すフローチャートである。
【0082】
医師は、最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS20)。
【0083】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に表示される医療情報検索の項目をクリックにより医療情報検索のページを選択する(ステップS21)。医療情報検索のページを選択すると図3に示すIDとパスワードの入力要求の画面が表示され、端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS22)。
【0084】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS23)、真に登録者である場合には医療情報検索のページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0085】
端末装置7に医療情報ページが表示される(ステップS24)。医療情報検索のページに自分の知りたい情報についての検索語を入力すると(ステップS25)、治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aから該当する情報についてデータを読み出す(ステップS26)。治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aから読み出したデータの集計、統計処理を行い(ステップS27)、治療情報データベースサーバ5は統計処理の結果をウェブサーバ3を経由して、端末装置7に送信して、端末装置7の表示部に検索結果を表示する(ステップS28)。図8乃至図10は、端末装置7の表示部に表示された検索結果の一例を示す図である。図8は、病種の病名における治療法の種類、患者数、経過情報、延命率等の検索結果の一例を示す図である。図9は、治療法での副作用の症例、人数を表およびグラフで表示した一例を示す図である。また、図10は、治療法での生存曲線をグラフ化した一例を示す図である。
【0086】
医療情報支援システム1による医療情報の検索によって、現在癌治療において主流となっている治療法、自らが選択している治療法の延命率などのデータを入手することが可能となり、治療方針を組みなおすための情報を得ることができる。また、患者に対して治療の説明を行う際に客観的なデータとして提示することが可能である。
【0087】
なお、図7に示す、医療情報の検索は、患者、患者の家族が利用できるようになっている。患者の希望により治療情報データベース5aから統計処理を施したデータを閲覧することも可能となっている。患者サイトには患者個人ページと情報検索ページの2つのタイプが存在する。患者はブラウザ等によりホームページに接続し、患者または家族はIDとパスワードを入力してホームページにアクセスする。ホームページの患者のページを選択して、情報検索ページに接続するようにする。図7に示、すステップS24以下の手順で医療情報の検索が行えるようになっている。
【0088】
患者は疾患部位、治療法に関する検索語を入力すると、治療情報データベースサーバ5は治療情報データベース5aから当該疾患部位、治療法について抽出を行い、統計処理を施したうえで端末装置7に表示する。
【0089】
このサイトにより患者は現在自分が受けている治療がどのような位置付けにあるのかを知ることができる。また、例えば、これから癌の治療を行うことになった患者にとって、治療経過や副作用の状況を調べることができるため、自分の希望にあわせた治療法を選択するための一つの情報源とすることができる。
【0090】
次に、患者が病状の経過状況、QOL等の情報を医療情報支援装置2に入力する形態について説明する。このサイトでは患者が食欲、活動状況等のQOLに関わる情報を入力し、入力された情報は患者情報データベースサーバ4を介して患者情報データベース4aに格納する。図11は、医療情報支援装置2にアクセスして、患者が経過状況、QOL等の情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【0091】
図11に示すように、患者は最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS40)。
【0092】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に表示される患者個人の項目をクリックして患者個人のページを選択する(ステップS41)。
【0093】
医療情報検索のページを選択すると、図12に示すIDとパスワードの入力要求の画面が表示され、患者またはその家族が端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS42)。
【0094】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS43)、真に登録者である場合には医療情報検索のページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0095】
端末装置7に患者個人のページが表示される(ステップS44)。このページでは患者が食欲、活動状況等のQOLに関わる情報を入力する。また、質問画面に対する回答、感想等を日記形式で入力するようにする(ステップS45)。入力された情報は患者情報データベースサーバ4を介してデータベース内の患者情報データベース4aに格納され、保存される(ステップS46)。
【0096】
なお、患者が入力した日常生活に関するデータは公開、非公開を選択することができるようになっている。公開を選択した場合には治療データベース5aにデータがコピーされ、該患者の疾患部位、治療法に連結して格納される。
【0097】
これにより、患者からのデータが患者情報データベース4aに蓄積される。同じ疾患部位、治療法を行っている患者は、他の患者の副作用や食欲等について、知ることができ、自分だけがこのようになっているのではないかという不安に悩まされることがなくなる。また、これから同様の治療をはじめようとしている患者にとってその療法に関する患者側の情報を入手することが可能となる。
【0098】
更に、主治医はこの情報を見ることによって診察外の時間においても患者の状態を知ることが可能となる。
【0099】
また、本発明による医療情報支援システムでは、患者の初診時または各治療期間(クール)終了後の治療効果の判定を行うための評価シートの作成ができるようになっている。図13は、評価シートの一例を示す図である。評価シートの各項目は、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aに格納されている患者の電子カルテから該当する項目のデータを読み出して、転記するようにする。これにより、評価シートの作成が短時間で行え、また、人による評価シート作成時の転記ミス等を防ぐことができる。
【0100】
以上述べたように、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築することにより、主治医の行う治療法が他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができる。
【0101】
また、患者は、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療までさまざまな経歴の癌患者群の人数、治療経過、副作用情報、生存率、治療の体験談等の情報をインターネット上のホームページの患者サイトにアクセスし、自分がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの参考と、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計などに役立てることができる。
【0102】
また、同様に医師も自らが行う治療が行われている頻度、治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を入手することにより、インフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てる際の情報源としたりすることができる。
【0103】
また、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行うことで、その患者の受けた治療の総体としての治療結果と短期、長期効果と副作用発生状況などを把握することができる。
【0104】
また、医師または患者がネットワークに接続された端末装置から必要な医療情報を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】医療情報支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】医療情報支援装置にアクセスして、医師が患者の電子カルテ等を読み出して、電子カルテ等に治療法、治療経過等の医療情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【図3】端末装置の表示部に表示されるIDとパスワードの入力要求の画面を示す図である。
【図4】端末装置の表示部に表示される医師の個人ページの最初の画面を示す図である。
【図5】患者の電子カルテを読み出す際の端末装置の表示部に表示される画面を示す図である。
【図6】端末装置の表示部に表示される患者の電子カルテの個人情報の画面を示す図である。
【図7】医療情報支援装置にアクセスして、データベースに蓄積されたデータの中から必要なデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置の表示部に表示するまでの流れを示すフローチャートである。
【図8】病種の病名における治療法の種類、患者数、経過情報等検索結果の一例を示す図である。
【図9】治療法での副作用の症例、人数を表およびグラフで表示した一例を示す図である。
【図10】治療法での生存曲線をグラフ化した一例を示す図である。
【図11】医療情報支援装置2にアクセスして、患者が経過状況、QOL等の情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【図12】端末装置の表示部に表示されるIDとパスワードの入力要求の画面を示す図である。
【図13】患者の初診時または各治療期間(クール)終了後の治療効果の判定を行うための評価シートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 医療情報支援システム
2 医療情報支援装置
3 ウェブサーバ
3a 登録者情報データベース
4 患者情報データベースサーバ
4a 患者情報データベース
5 治療情報データベースサーバ
5a 治療情報データベース
7 端末装置
8 通信網
9 ルーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床の中長期的、総合的なエビデンスを構築し、医師、患者が必要な医療情報を容易に得ることができる医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院、診療所などの医療機関においては、自機関で行われた過去の治療内容だけでなく、その患者に対して他の医療機関でなされた治療内容などを知っておくことが患者の治療にあたって重要である。このため、複数の医療機関とデータセンタとで構成される地域医療情報システムによる医療情報、データの共有化が例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
また、医療は、医学的事実に対する臨床的、学問的な証拠、裏付け(以下エビデンスという)に基づいて患者に提供されるべきであるが、新規治療薬や保険外の治療法、民間療法と呼ばれるものなどは、比較試験によって構築された正規のエビデンスに乏しく、それゆえに、限られた研究施設で限定された適応の下の研究医療や、最近の免疫細胞療法などのように、患者のニーズはあっても、主治医サイドで提案、許可のされない治療法が多々ある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−6341
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日のように、治療法が多様化してきた世の中では、主治医や一つの病院の枠の中で治療経過を一元的に管理することは不可能であり、患者の転院や医師の転勤といった問題も加わって、患者ごとの細切れの治療経過を断片的に解析するだけでは、母数の少ない短期的なデータが得られるのみである。
【0006】
特許文献1に開示されている地域医療情報システムにおいては、患者の医療情報、データの共有化は計られるが、治療法の他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができなかった。このためインフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てることができなかった。
【0007】
また、患者自身が自分と同じ病気について、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療法、患者の人数、治療経過、副作用情報、生存率、転帰、治療の体験談等を容易に得ることができなかった。このため、病気についての医療情報が少ないため、患者や家族がどの治療法の組み合わせを選択すべきか、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計についての検討を行うことができなかった。
【0008】
更に、患者またはその家族が、医療機関が管理する医療情報システムに治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を提供することもできなかった。
【0009】
また、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行えることが求められている。
【0010】
そこで本発明は、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築して、医師及び患者が必要な情報を容易に得られることができる医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による医療情報支援システムは、患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力手段と、前記患者情報入出力手段からの入力情報を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段の情報を分類して記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されたデータの統計処理を行う統計処理手段と、前記統計処理手段の結果を出力する医療情報出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなる端末装置であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による医療情報支援システムの前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段、前記統計処理手段および前記医療情報出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなるデータベースを有するサーバで構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、患者の電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による医療情報支援システムの前記患者情報入出力手段は、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による医療情報支援システムの前記第2の記憶手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による医療情報支援システムの前記統計処理手段は、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする。
【0021】
本発明による医療情報支援方法は、患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力ステップと、前記患者情報入出力ステップからの入力情報を記憶する第1の記憶ステップと、前記第1の記憶ステップで記憶された情報を分類して記憶する第2の記憶ステップと、前記第2の記憶ステップで記憶されたデータの統計処理を行う統計処理ステップと、前記統計処理ステップの結果を出力する医療情報出力ステップからなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明による医療情報支援方法の前記患者情報入出力ステップは、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明による医療情報支援方法の前記第2の記憶ステップは、前記第1の記憶ステップに記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明による医療情報支援方法の前記統計処理ステップは、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする。
【0029】
本発明による医療情報支援プログラムは、ネットワークを介して接続された端末装置から入力された検索語を受け付ける手順と、治療情報を分類して記憶しているデータベースから前記検索語に該当するデータを読み出す手順と、前記データベースから読み出したデータの集計、統計処理を行う手順と、前記統計処理の結果を前記端末装置に送信する手順とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築することにより、主治医の行う治療法が他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができる。
【0031】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、患者は、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療までさまざまな経歴の患者群の人数、治療経過、副作用情報、生存率、転帰、治療の体験談等の情報をインターネット上のホームページの患者サイトにアクセスし、自分がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの参考と、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計などに役立てることができる。
【0032】
また、同様に医師も自らが行う治療が行われている頻度、治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を入手することにより、インフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てる際の情報源とすることができる。
【0033】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行うことで、その患者の受けた治療の総体としての治療結果と短期、長期効果と副作用発生状況などを把握することができる。
【0034】
また、医師が端末装置から検索語を設定することにより、医療情報支援システムのデータベースから統計処理の行われたデータを取り出すことができるため、治療法の効果、副作用について知ることができる。
【0035】
また、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師または患者がネットワークに接続された端末装置から必要な医療情報を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下図面を参照して、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムの実施の形態について説明する。なお、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムは、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築して、医師及び患者がそれらの情報を容易に得ることができるようにしたものである。
【0037】
以下に図1を用いて、医療情報支援システムの構成について説明する。図1は、医療情報支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、医療情報支援システム1は、医師、患者または患者の家族が操作する1又は2以上の端末装置7と、通信網8としてのWAN(Wide Area Network)と、端末装置7からの患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置7からの問い合わせ等に応答可能な医療情報支援装置2を有する。図1に示すように、端末装置7は通信網8であるWANに接続されており、また、医療情報支援装置2は、中継装置としてのルーター9を介して通信網8であるWANに接続されている。
【0038】
図1に示す端末装置7は、パーソナルコンピュータからなり、パーソナルコンピュータの記憶装置にはブラウザ(閲覧ソフトウェア)が組み込まれており、このブラウザを利用してパーソナルコンピュータの表示部に情報が表示される。また、パーソナルコンピュータのキーボード、マウス等の入力装置により医療情報支援装置2への患者情報、治療情報等を入力できるようになっている。
【0039】
また、図1に示すように、通信網8としてのWANはインターネットで構成されている。しかして、本実施の形態によるWANは、インターネットに限らず、その他のネットワークにより通信可能なものであればよく、通信網8として機能するものであればよい。
【0040】
図1に示す医療情報支援装置2は、端末装置7から入力された患者情報、治療情報等をデータベースに格納し、また端末装置7からの問い合わせに応答するようになっており、医師、患者等に医療情報の支援、サービスを行うものである。医療情報支援装置2は、記憶装置内に登録者情報データベース3aを有するウェブサーバ3と、記憶装置内に患者情報データベース4aを有する患者情報データベースサーバ4と、記憶装置内に治療情報データベース5aを有する治療情報データベースサーバ5とを備えている。
【0041】
ウェブサーバ3は、医療情報支援装置2のサービスに登録しているメンバー固有のIDとパスワード等を管理するサーバであり、端末装置7からデータベースにアクセスする際に、閲覧許可を求めたユーザーが真に利用登録者であるかを認証するためのものである。また、医療情報支援装置2は、ウエブサイト形式で運営されており、医師、患者等は、ウェブサーバ3のホームページにアクセスして医療情報の提供、医療情報の入手を行うようになっている。ウェブサーバ3の登録者情報データベース3aは、医療情報支援装置2のサービスを利用する登録者の情報、すなわち氏名、ID、パスワード等を格納しているデータベースである。
【0042】
患者情報データベースサーバ4は、通信網8を介して接続された端末装置7から入力された患者情報を患者情報データベース4aに格納し、利用者の要求に応じて患者情報データベース4aに格納された患者の情報をウェブサーバ3を経由して端末装置7に出力するためのサーバである。
【0043】
第1の記憶手段としての患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aは、患者ID、患者のパスワード、患者氏名、年齢、性別、初診日、診断日、病名、治療歴等を格納するデータベースである。また、治療に対する患者のコメントや日記もこのデータベースに格納することができる。また、患者情報データベース4aは、患者の電子カルテまたは電子カルテから必要な項目を選択した情報を格納している。
【0044】
統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、通信網8を介して接続された端末装置7へ利用者の検索要求に応じて、治療情報データベース5aに格納された治療情報に統計処理を行って、ウェブサーバ3を経由して端末装置7に出力するサーバである。その際、医師、患者等の個人情報が出力されないよう選別を行うことが可能となっている。
【0045】
第2の記憶手段としての治療情報データベースサーバ5の治療情報データベース5aは、患者情報データベース4aから氏名、ID、パスワード等の個人の情報を除き、癌治療等の医療データを患者情報データベース4aから抽出して格納したデータベースである。
【0046】
医療情報支援装置2の治療情報データベースサーバ5は、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aに格納されている患者の医療データから病名、治療法等のデータを抽出して、項目毎に識別可能な形式で治療情報データベース5aに格納するように構成されている。なお、患者情報データベース4aに格納されている患者の氏名、住所等の個人情報のデータは除去して治療情報データベース5aに格納することができるようになっている。
【0047】
なお、図1に示す医療情報支援システム1の医療情報支援装置2は、登録者情報データベース3aを有するウェブサーバ3と、患者情報データベース4aを有する患者情報データベースサーバ4と、治療情報データベース5aを有する治療情報データベースサーバ5とで構成しているが、本発明による医療情報支援システム1は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、1つのサーバの記憶装置に登録者情報データベース3a、患者情報データベース4aおよび治療情報データベース5aを格納した構成でもよい。
【0048】
次に、本発明による医療情報支援システムを用いて医師が治療法を決定する際に必要な医療情報、また患者がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの医療情報を入手するための、臨床データの入力およびその臨床データのデータベース化について述べる。
【0049】
医師が治療法を決定し、また患者に治療法について説明する際に有用となる情報としては、例えば癌に関する治療では、癌種、ステージごとの治療法の使用頻度および治療法ごとの経過治療効果、副作用、QOL(Quality of Life、生活の質)等の経過情報があげられる。以下に癌治療における臨床データの入力およびその臨床データのデータベース化について述べる。なお、以下に述べる内容は、癌治療に限らず他の治療に対しても適用することができる。
【0050】
現在癌の治療を行う際、多くの場合、癌治療のガイドラインに沿って癌種ごとの治療法が選択されている。それら診療ガイドラインに沿って行っている場合には、選択肢の中からステージごとの現在行っている治療法を選択するようにする。診療ガイドラインに沿っていないものについては事例ごとに言葉で入力する。
【0051】
これらのデータを患者情報データベース4aに記憶しておく。
【0052】
なお、癌治療の診療ガイドラインについては癌種によって冊子が発行されている。例えば、肺癌診療ガイドラインとしては、Evidence−based Medicine(EBM)の手法による肺癌の診療ガイドライン、乳癌では乳癌診療ガイドラインがあげられる。
【0053】
患者情報データベース4aから癌種、ステージごとの治療法を集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの癌種、ステージごとの治療法を数をカウントすることにより、癌種、ステージごとの治療法の頻度を知ることができる。
【0054】
また、その治療法の効果は、短期効果と長期効果に分けて確認するようにするようにする。その治療法における短期効果は、1ヶ月から6ヶ月間の画像診断による腫瘍の大きさの変化、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認することにより判定する。
【0055】
例えば癌の画像診断では、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)ガイドラインに準拠した形式で入力する。RECISTガイドラインでは、レントゲンなどの画像から、腫瘍の大きさを測定し、それが数ヶ月後にどのように変化したかを下記のグレードで表現する。
【0056】
グレードは、PD(Progressive Disease、進行)、SD(Stable Disease、安定)、Long SD(Long Stable Disease、長期安定(6ヶ月以上の安定))、MR(Minimal Response、やや有効)、PR(Partial Response、部分奏効):、CR(Complete Response、完全奏効)の6つに分類される。その治療法における効果を上記グレードで患者情報データベース4aに記憶しておく。
【0057】
治療法の短期効果の判定は、患者情報データベース4aから治療法におけるグレードを集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの治療法におけるグレードの数をカウントして、グレードの数から行うことができる。
【0058】
また、血液中の腫瘍マーカーの変化を調べて、その治療法の短期効果を確認することができる。血液検査によって腫瘍マーカーの量の変化を調べ、測定日とその数値を患者情報データベース4aに記憶しておく。患者情報データベース4aから腫瘍マーカーの測定日とその数値を集計して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aの時間経過と腫瘍マーカー量の平均値をグラフ化する。癌が小さくなれば、腫瘍マーカーの量も変化するため、時間経過と腫瘍マーカー量の平均値をグラフ化することで短期効果の目安とすることができる。
【0059】
また、治療法における長期効果は、5年間の画像診断による腫瘍の大きさの変化、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認することにより判定する。
【0060】
画像診断では、レントゲン写真などから腫瘍の面積を測定し、登録時の腫瘍の面積と比較し、短期効果のときと同様にRECISTのガイドラインに準拠した形式で患者情報データベース4aに記憶する。また、血液中の腫瘍マーカーは、血液検査により腫瘍マーカー量を測定し、数値を患者情報データベース4aに記憶する。
【0061】
治療法における長期効果の判定は、5年間までの画像診断による腫瘍の面積、血液中の腫瘍マーカーの変化等の推移を確認して行う。但し、乳癌の場合は10年間の推移を確認することにより判定する。
【0062】
また、治療効果の指標として生存曲線が使用される。生存曲線は、治療をはじめてからその患者が何年間生存していたかをグラフしたものである。治療の種類、治療をはじめた日、転帰(患者の状態。患者が生存しているか、亡くなったかの確認)を患者情報データベース4aに記憶する。生存曲線は、患者情報データベース4aがら治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して、統計処理をおこなってグラフ化する。なお、カプランマイヤーの検定(Kaplan−Meier method)等により、データの有意性を出しておくとより有効なデータとして用いることができる。
【0063】
また、治療法ごとの副作用の種類、強さ、発生日、因果関係を患者情報データベース4aに記憶する。例えば、癌治療学会の副作用標記報告様式に則って、主治医が記載するようにする。
【0064】
副作用標記報告様式によれば、1.副作用の項目は、嘔吐、寒気、発熱などであり、2.副作用のグレードは、それぞれの項目の強さを数値化したもの、3.副作用が発生した日にちは、治療を行ってから何日後に副作用が現れたか、4.治療との因果関係は、治療と副作用の間に因果関係があるか、ある、なし、濃い、薄い、不明などがあげられる。患者情報データベース4aからこれらのデータを読み出して治療情報データベース5aに格納し、治療情報データベース5aのデータを統計処理することによってその治療を行った場合の副作用についての情報を得ることができる。
【0065】
治療法ごとのQOLは、主治医が患者を観察し数値を入力する場合と、患者が自分の状態を患者サイトから入力する場合とがある。数値を入力場合には、一般的によく使用されるのがPS(Performance Status)と呼ばれるもので、主治医が患者を観察して0から4の数値で記録する。数値0から4の内容は以下の内容となっている。数値0は、無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。数値1は、軽度の症状があり肉体労働は制限を受けるが歩行軽労働や坐業はできる。例えば軽い家事事務など。数値2は、歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助がいることもある。軽労働は出来ないが、日中の50%以上は起居している。数値3は、身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。数値4は、身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。
【0066】
また、患者が入力する項目は、食事、睡眠、行動、気分、痛みについてであり、それぞれの項目について○×式で患者個人サイトから入力して患者情報データベース4aに記憶する。例えば、1週間にいくつ○がついているかをカウントすることによってQOLを評価する。
【0067】
以上述べた臨床データのデータベース化は、患者情報データベース4aに記憶している患者の医療データから病名、治療法での経過等のデータを抽出して、項目毎に識別可能な形式で治療情報データベース5aに格納することにより行われる。医師または患者からの検索要求に対して、統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aに記憶されている検索要求の項目に関連するデータを読み出して、データの集計、統計処理を行ってその結果を表形式、グラフ形式等で出力することによって行われる。
【0068】
例えば、端末装置7から医療情報支援装置2に、ある病種に対する治療法における副作用に関する検索要求が入力されたときには、統計処理手段としての治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aに記憶されている病種を検索して、該当する病種の治療法を選択し、その治療方法を受けた人数および治療法の副作用の症例ごとの集計を行い、患者数、副作用の症例ごとの人数を算出する。算出された結果は、表、グラフ形式で出力する。なお、治療情報データベースサーバ5は、統計処理用のプログラムをライブラリー形式で内蔵しており、統計処理の内容によって処理プログラムが選択されて適宜処理されるようになっている。
【0069】
以上述べたように、臨床データは、ガイドライン等に沿って数値化、記号化して患者情報データベース4aに記憶して、統計処理することにより、治療効果等の数値化、グラフ化が容易に行うことができるため、医師が治療法を決定し、また患者に治療法について説明する際に有用な医療情報を提供することができる。
【0070】
次に、医療情報支援システム1による患者の治療を担当する医師の利用形態について図2乃至図5を用いて説明する。図2は、医療情報支援装置2にアクセスして、医師が患者の電子カルテ等を読み出して、電子カルテ等に治療法、治療経過等の医療情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【0071】
図2に示すように、医師は最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS1)。なお、医療情報のウェブサーバ3に未登録の場合には、登録を行うようにする。登録した医師にはIDとパスワードが付与される。
【0072】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に医師のページに入るか、患者のページに入るかのメッセージが表示され、クリックにより医師のページを選択する(ステップS2)。
【0073】
医師のページを選択すると図3のようなIDとパスワードの入力要求の画面が端末装置7の表示部に表示され、端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS3)。
【0074】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS4)、真に登録者である場合には図4に示す医師の個人ページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0075】
IDとパスワードの照合後に、IDから医師個人ページが検索されて、端末装置7の表示部に図4に示す医師個人ページが表示される(ステップS5)。
【0076】
図4に示すように、医師個人ページには、患者情報に関する新規登録、経過記録、転院、連係の選択肢が表示される。選択する患者情報は、担当する患者の医師の立場を選択しておく。図4に示すように、主治医、共同主治医、従治医、セカンドオピニオン、主治医交代から選択するようにする。
【0077】
患者情報の新規登録のサブメニューである新規、追加の入力を行う場合には、入力する患者を選択し(ステップS6)、当該患者のID、パスワードを入力するようにする(ステップS7)。患者のID、パスワードの入力要求は、患者の電子カルテ等の内容が不正に改ざんされることを防止するためである。
【0078】
患者ID、パスワードが入力されるとウェブサーバ3は登録者情報データベース3aに照会し(ステップS8)、ID及びパスワードが正しく、医師が当該患者の主治医であれば、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aからデータを呼び出して(ステップS9)、患者の電子カルテを端末装置7の表示部に表示する(ステップS10)。図5は、患者の電子カルテを読み出す際の端末装置7の表示部に表示される画面を示し、図6は、端末装置7の表示部に表示される患者の電子カルテの個人情報の画面を示す図である。
【0079】
患者の電子カルテのページで必要事項を入力する(ステップS11)。入力した患者の電子カルテのデータは、患者情報データベース4aに格納し、保存する(ステップS12)。
【0080】
次に、医療情報支援システム1による患者の治療を担当する医師の医療情報の検索について図7乃至図10を用いて説明する。医療情報の検索は、癌治療等のデータベースに蓄積されたデータの中から医師の要望にあわせてデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置7の表示部に表示するものである。
【0081】
図7は、医療情報支援装置2にアクセスして、データベースに蓄積されたデータの中から必要なデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置7の表示部に表示するまでの流れを示すフローチャートである。
【0082】
医師は、最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS20)。
【0083】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に表示される医療情報検索の項目をクリックにより医療情報検索のページを選択する(ステップS21)。医療情報検索のページを選択すると図3に示すIDとパスワードの入力要求の画面が表示され、端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS22)。
【0084】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS23)、真に登録者である場合には医療情報検索のページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0085】
端末装置7に医療情報ページが表示される(ステップS24)。医療情報検索のページに自分の知りたい情報についての検索語を入力すると(ステップS25)、治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aから該当する情報についてデータを読み出す(ステップS26)。治療情報データベースサーバ5は、治療情報データベース5aから読み出したデータの集計、統計処理を行い(ステップS27)、治療情報データベースサーバ5は統計処理の結果をウェブサーバ3を経由して、端末装置7に送信して、端末装置7の表示部に検索結果を表示する(ステップS28)。図8乃至図10は、端末装置7の表示部に表示された検索結果の一例を示す図である。図8は、病種の病名における治療法の種類、患者数、経過情報、延命率等の検索結果の一例を示す図である。図9は、治療法での副作用の症例、人数を表およびグラフで表示した一例を示す図である。また、図10は、治療法での生存曲線をグラフ化した一例を示す図である。
【0086】
医療情報支援システム1による医療情報の検索によって、現在癌治療において主流となっている治療法、自らが選択している治療法の延命率などのデータを入手することが可能となり、治療方針を組みなおすための情報を得ることができる。また、患者に対して治療の説明を行う際に客観的なデータとして提示することが可能である。
【0087】
なお、図7に示す、医療情報の検索は、患者、患者の家族が利用できるようになっている。患者の希望により治療情報データベース5aから統計処理を施したデータを閲覧することも可能となっている。患者サイトには患者個人ページと情報検索ページの2つのタイプが存在する。患者はブラウザ等によりホームページに接続し、患者または家族はIDとパスワードを入力してホームページにアクセスする。ホームページの患者のページを選択して、情報検索ページに接続するようにする。図7に示、すステップS24以下の手順で医療情報の検索が行えるようになっている。
【0088】
患者は疾患部位、治療法に関する検索語を入力すると、治療情報データベースサーバ5は治療情報データベース5aから当該疾患部位、治療法について抽出を行い、統計処理を施したうえで端末装置7に表示する。
【0089】
このサイトにより患者は現在自分が受けている治療がどのような位置付けにあるのかを知ることができる。また、例えば、これから癌の治療を行うことになった患者にとって、治療経過や副作用の状況を調べることができるため、自分の希望にあわせた治療法を選択するための一つの情報源とすることができる。
【0090】
次に、患者が病状の経過状況、QOL等の情報を医療情報支援装置2に入力する形態について説明する。このサイトでは患者が食欲、活動状況等のQOLに関わる情報を入力し、入力された情報は患者情報データベースサーバ4を介して患者情報データベース4aに格納する。図11は、医療情報支援装置2にアクセスして、患者が経過状況、QOL等の情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【0091】
図11に示すように、患者は最初に、端末装置7からブラウザ等によりウェブサーバ3の医療情報支援のホームページに接続する(ステップS40)。
【0092】
ホームページにアクセスすると、端末装置7の表示部に表示される患者個人の項目をクリックして患者個人のページを選択する(ステップS41)。
【0093】
医療情報検索のページを選択すると、図12に示すIDとパスワードの入力要求の画面が表示され、患者またはその家族が端末装置7からIDとパスワードの入力を行う(ステップS42)。
【0094】
ウェブサーバ3は入力されたIDとパスワードが正しいかを登録者情報データベース3aに照会し(ステップS43)、真に登録者である場合には医療情報検索のページに接続する。入力されたIDとパスワードが登録者情報データベース3aに登録されていないときには、IDとパスワードの再入力の要求を端末装置7に送信する。
【0095】
端末装置7に患者個人のページが表示される(ステップS44)。このページでは患者が食欲、活動状況等のQOLに関わる情報を入力する。また、質問画面に対する回答、感想等を日記形式で入力するようにする(ステップS45)。入力された情報は患者情報データベースサーバ4を介してデータベース内の患者情報データベース4aに格納され、保存される(ステップS46)。
【0096】
なお、患者が入力した日常生活に関するデータは公開、非公開を選択することができるようになっている。公開を選択した場合には治療データベース5aにデータがコピーされ、該患者の疾患部位、治療法に連結して格納される。
【0097】
これにより、患者からのデータが患者情報データベース4aに蓄積される。同じ疾患部位、治療法を行っている患者は、他の患者の副作用や食欲等について、知ることができ、自分だけがこのようになっているのではないかという不安に悩まされることがなくなる。また、これから同様の治療をはじめようとしている患者にとってその療法に関する患者側の情報を入手することが可能となる。
【0098】
更に、主治医はこの情報を見ることによって診察外の時間においても患者の状態を知ることが可能となる。
【0099】
また、本発明による医療情報支援システムでは、患者の初診時または各治療期間(クール)終了後の治療効果の判定を行うための評価シートの作成ができるようになっている。図13は、評価シートの一例を示す図である。評価シートの各項目は、患者情報データベースサーバ4の患者情報データベース4aに格納されている患者の電子カルテから該当する項目のデータを読み出して、転記するようにする。これにより、評価シートの作成が短時間で行え、また、人による評価シート作成時の転記ミス等を防ぐことができる。
【0100】
以上述べたように、本発明による医療情報支援システム、医療情報支援方法および医療情報支援プログラムによれば、医師、患者がインターネット等の通信網を介して、治療法、治療経過等の医療データの提供を行い、医療データの蓄積を行ってデータベース化し、中長期的、総合的なエビデンスを構築することにより、主治医の行う治療法が他の医療機関で実施されている頻度、その治療法の臨床的裏付けデータ、副作用や再発等の治療経過の医療情報を得ることができる。
【0101】
また、患者は、単独の治療からいろいろな治療を組み合わせた治療までさまざまな経歴の癌患者群の人数、治療経過、副作用情報、生存率、治療の体験談等の情報をインターネット上のホームページの患者サイトにアクセスし、自分がどの治療法の組み合わせを選択すべきかの参考と、治療中の自己管理、自己の状態の把握、自己の将来設計などに役立てることができる。
【0102】
また、同様に医師も自らが行う治療が行われている頻度、治療経過、治療を受けた患者の感想等の情報を入手することにより、インフォームドコンセントの際に客観的なデータを提示したり、あるいは治療計画を組み立てる際の情報源としたりすることができる。
【0103】
また、患者の転院、医師の転勤などの事情により他の医師に主治医が変更となった場合には、新たな主治医が患者のデータを引き継ぎ、経過の追尾を行うことで、その患者の受けた治療の総体としての治療結果と短期、長期効果と副作用発生状況などを把握することができる。
【0104】
また、医師または患者がネットワークに接続された端末装置から必要な医療情報を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】医療情報支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】医療情報支援装置にアクセスして、医師が患者の電子カルテ等を読み出して、電子カルテ等に治療法、治療経過等の医療情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【図3】端末装置の表示部に表示されるIDとパスワードの入力要求の画面を示す図である。
【図4】端末装置の表示部に表示される医師の個人ページの最初の画面を示す図である。
【図5】患者の電子カルテを読み出す際の端末装置の表示部に表示される画面を示す図である。
【図6】端末装置の表示部に表示される患者の電子カルテの個人情報の画面を示す図である。
【図7】医療情報支援装置にアクセスして、データベースに蓄積されたデータの中から必要なデータの抽出、統計処理を行い、処理結果を端末装置の表示部に表示するまでの流れを示すフローチャートである。
【図8】病種の病名における治療法の種類、患者数、経過情報等検索結果の一例を示す図である。
【図9】治療法での副作用の症例、人数を表およびグラフで表示した一例を示す図である。
【図10】治療法での生存曲線をグラフ化した一例を示す図である。
【図11】医療情報支援装置2にアクセスして、患者が経過状況、QOL等の情報を入力して患者データベースに格納するまでの流れを示すフローチャートである。
【図12】端末装置の表示部に表示されるIDとパスワードの入力要求の画面を示す図である。
【図13】患者の初診時または各治療期間(クール)終了後の治療効果の判定を行うための評価シートの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 医療情報支援システム
2 医療情報支援装置
3 ウェブサーバ
3a 登録者情報データベース
4 患者情報データベースサーバ
4a 患者情報データベース
5 治療情報データベースサーバ
5a 治療情報データベース
7 端末装置
8 通信網
9 ルーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力手段と、前記患者情報入出力手段からの入力情報を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段の情報を分類して記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されたデータの統計処理を行う統計処理手段と、前記統計処理手段の結果を出力する医療情報出力手段とを備えたことを特徴とする医療情報支援システム。
【請求項2】
前記患者情報入出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなる端末装置であることを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項3】
前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段、前記統計処理手段および前記医療情報出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなるデータベースを有するサーバで構成されていることを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項4】
前記患者情報入出力手段は、患者の電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項5】
前記患者情報入出力手段は、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項6】
前記患者情報入出力手段は、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項7】
前記第2の記憶手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項8】
前記統計処理手段は、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項9】
前記統計処理手段は、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項10】
前記統計処理手段は、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項11】
患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力ステップと、前記患者情報入出力ステップからの入力情報を記憶する第1の記憶ステップと、前記第1の記憶ステップで記憶された情報を分類して記憶する第2の記憶ステップと、前記第2の記憶ステップで記憶されたデータの統計処理を行う統計処理ステップと、前記統計処理ステップの結果を出力する医療情報出力ステップからなることを特徴とする医療情報支援方法。
【請求項12】
前記患者情報入出力ステップは、電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項13】
前記患者情報入出力ステップは、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項14】
前記患者情報入出力ステップは、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項15】
前記第2の記憶ステップは、前記第1の記憶ステップに記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項16】
前記統計処理ステップは、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項17】
前記統計処理ステップは、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項18】
前記統計処理ステップは、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項19】
ネットワークを介して接続された端末装置から入力された検索語を受け付ける手順と、治療情報を分類して記憶しているデータベースから前記検索語に該当するデータを読み出す手順と、前記データベースから読み出したデータの集計、統計処理を行う手順と、前記統計処理の結果を前記端末装置に送信する手順とを実行することを特徴とする医療情報支援プログラム。
【請求項1】
患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力手段と、前記患者情報入出力手段からの入力情報を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段の情報を分類して記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されたデータの統計処理を行う統計処理手段と、前記統計処理手段の結果を出力する医療情報出力手段とを備えたことを特徴とする医療情報支援システム。
【請求項2】
前記患者情報入出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなる端末装置であることを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項3】
前記第1の記憶手段、前記第2の記憶手段、前記統計処理手段および前記医療情報出力手段は、ネットワークを介して接続されているコンピュータからなるデータベースを有するサーバで構成されていることを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項4】
前記患者情報入出力手段は、患者の電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項5】
前記患者情報入出力手段は、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項6】
前記患者情報入出力手段は、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項7】
前記第2の記憶手段は、前記第1の記憶手段に記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項8】
前記統計処理手段は、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項9】
前記統計処理手段は、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項10】
前記統計処理手段は、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の医療情報支援システム。
【請求項11】
患者の個人情報、治療情報、治療経過情報の入力および医療情報を表示する患者情報入出力ステップと、前記患者情報入出力ステップからの入力情報を記憶する第1の記憶ステップと、前記第1の記憶ステップで記憶された情報を分類して記憶する第2の記憶ステップと、前記第2の記憶ステップで記憶されたデータの統計処理を行う統計処理ステップと、前記統計処理ステップの結果を出力する医療情報出力ステップからなることを特徴とする医療情報支援方法。
【請求項12】
前記患者情報入出力ステップは、電子カルテの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項13】
前記患者情報入出力ステップは、治療効果判定のガイドラインの該当項目を選択して入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項14】
前記患者情報入出力ステップは、患者のQOLを項目別にグレード化した数値で入力するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項15】
前記第2の記憶ステップは、前記第1の記憶ステップに記憶されている患者の個人情報のデータを除去して記憶するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項16】
前記統計処理ステップは、病種ごとの各ステージにおける治療法の頻度、治療効果を集計するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項17】
前記統計処理ステップは、治療法ごとの効果、副作用またはQOLを集計するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項18】
前記統計処理ステップは、治療の種類ごとの治療をはじめた日、転帰を集計して治療ごとの生存曲線をグラフ化するようにしたことを特徴とする請求項11記載の医療情報支援方法。
【請求項19】
ネットワークを介して接続された端末装置から入力された検索語を受け付ける手順と、治療情報を分類して記憶しているデータベースから前記検索語に該当するデータを読み出す手順と、前記データベースから読み出したデータの集計、統計処理を行う手順と、前記統計処理の結果を前記端末装置に送信する手順とを実行することを特徴とする医療情報支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−221471(P2006−221471A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35202(P2005−35202)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(598086844)株式会社メディネット (10)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(598086844)株式会社メディネット (10)
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