説明

医療機器用のユーザ設定情報管理装置及び方法

【課題】リプロセスが行われて再使用される医療機器に対して、リプロセス後に最新のユーザ設定情報を再設定するために有効なユーザ設定情報管理装置及び方法を提供する。
【解決手段】情報管理端末28とDBサーバ29は、内視鏡のレンタル支援システムを構成する。情報管理端末28は、リプロセスセンタにおいて内視鏡11に対して実施される作業記録を管理する。オーダ管理テーブル46には、使用済みの内視鏡11がリプロセスセンタに入庫したことを表す入庫情報が記録される。ユーザ設定管理テーブル47には、ユーザ毎に内視鏡11に対して設定されたユーザ設定情報が記録される。ユーザ設定管理テーブル47には、入庫した内視鏡11から読み取られたユーザ設定情報のユーザ設定管理テーブル47への入力が実施されたことを表す受付情報が記録される。情報管理端末28は、入庫情報と受付情報に基づいて入力作業が実施されたか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に設定されるユーザ設定情報を管理するユーザ設定情報管理装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被検体内に挿入される挿入部の先端に撮像素子を配設し被検体内の画像を撮像する内視鏡が知られている。使用済みの内視鏡は、洗浄及び消毒が施されて繰り返し使用される。特許文献1及び2には、内視鏡などの医療機器を貸し出すレンタルサービス及びそのサービスを提供するためのレンタル支援システムが提案されている。内視鏡のレンタルサービスは、レンタル業者が医療施設からのオーダに基づいて、内視鏡を貸し出すサービスであり、レンタル支援システムは、貸し出しのオーダのオンラインによる受け付け、受け付けたオーダや在庫の管理を、コンピュータシステムを利用して実現するものである。
【0003】
貸し出し先から回収された使用済みの内視鏡は、レンタル業者が運営するリプロセスセンタにおいて、洗浄や消毒、修理、機能チェックなど、内視鏡を再使用可能な状態にするリプロセスが施される。リプロセスが施された処理済みの内視鏡はリプロセスセンタの保管庫で保管される。貸し出しのオーダがあった場合には、リプロセスセンタから出庫されて貸し出し先に配送される。
【0004】
特許文献2及び特許文献3には、貸し出した内視鏡の使用量を測定して、保守点検の時期を把握する技術が開示されている。レンタルサービスを行うに当たっては、特許文献1〜3に記載されているような、在庫状況、保守点検の時期といった情報を把握して管理する技術が不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−362164号公報
【特許文献2】特開2002−304584号公報
【特許文献3】特開2001−046326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、内視鏡には、ユーザが使いやすいようにユーザの好みに応じて種々の設定が行えるカスタマイズ機能が設けられているものがある。カスタマイズ機能には、体腔内に挿入される挿入部の柔軟性(硬度)を調節する硬度調節機能や、操作ボタンに割り当てる機能を変更する変更機能などがある。硬度調節は、例えば、特開平10−179509号公報に記載されているように、内視鏡に設けられる調節つまみの操作によって行われる。操作ボタンの機能の割り当ては、内視鏡が接続されたプロセッサ装置の設定画面から設定操作が行われて、内視鏡に設けられたEEPROMやICタグなどの内蔵メモリに設定情報が記憶される。
【0007】
レンタル用の内視鏡は、同じユーザに対して毎回同じシリアル番号(機器ID)の内視鏡が貸し出されるとは限らないため、調節つまみの設定位置や内蔵メモリ内の設定情報などのユーザ設定情報は、レンタル内視鏡のリプロセスの過程でリセットされる。また、同じユーザに対して同じ機器IDの内視鏡を貸し出す場合には、ユーザ設定情報のリセットは必ずしも必要ではないが、リプロセスの過程において調節つまみの設定位置がずれてしまったり、内蔵メモリ内の設定情報が消去されてしまうこともある。そのため、ユーザは、レンタルした内視鏡に対して毎回ユーザ設定を行う必要が生じるが、医療現場においては急患の対応など緊急性が要求される場面が多く、また、医療従事者は繁忙を極めているため、ユーザ設定の時間を確保しにくい。
【0008】
そこで、内視鏡のレンタルサービスの事業化に当たっては、リプロセスセンタにおいてユーザ毎にユーザ設定情報を管理して、出庫の際に貸し出し先に応じたユーザ設定情報を再設定して、内視鏡を貸し出すことが検討されている。
【0009】
ユーザ設定情報の管理方法としては、例えば、ユーザに予めユーザ設定情報を申告してもらい、申告を受けた情報を情報管理端末に登録する方法が考えられる。出庫の際には、情報管理端末から登録された情報が読み出されて内視鏡に再設定される。
【0010】
しかし、同じユーザであっても時期によってユーザ設定情報の内容が変化する場合も多い。せっかくユーザ設定情報を再設定しても古い内容では意味がないので、登録されるユーザ設定情報には最新の内容が反映されていることが求められる。この対策として、ユーザ設定情報の内容が変更された場合には、その旨を随時ユーザに申告してもらう方法が考えられるが、繁忙を極める医療現場のユーザにそうした申告を要求しても、失念等による申告漏れが多いことが予想され、実効性のある対策にならない。
【0011】
上記従来文献には、こうしたユーザ設定情報を管理する対策については明示も示唆もなく、何ら考慮されていない。そのため、リプロセス後の出庫の際に最新のユーザ設定情報を再設定するために有効な、ユーザ設定情報を管理する方策が模索されていた。
【0012】
本発明は、こうした背景に鑑みてなされたもので、リプロセスが行われて再使用される医療機器に対して、リプロセス後に最新のユーザ設定情報を再設定するために有効な、医療機器用のユーザ設定情報管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明のユーザ設定情報管理装置は、使用済みの医療機器を再使用可能にするリプロセスを行う処理場へ前記医療機器が入庫する毎に記録され、前記医療機器が処理場に入庫したことを表す入庫情報と、前記処理場への入庫直前に前記医療機器を使用したユーザのユーザIDとを関連付けて記憶する第1記憶手段と、前記医療機器から読み取られ、前記医療機器に対して前記ユーザが設定済みのユーザ設定情報の入力を受け付ける受付手段と、前記ユーザID毎に、前記ユーザ設定情報と前記受付手段が前記入力を受け付けたことを表す受付情報とを関連付けて記憶する第2記憶手段と、前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段からそれぞれ読み出した、同じユーザIDに対応する前記入庫情報と前記受付情報に基づいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを判定する第1判定処理を実行する判定手段と、前記判定手段が、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されていないと判定した場合に警告する警告手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
ここで、「リプロセス」には、医療機器の洗浄、消毒、滅菌、修理(分解、部品交換を伴うものを含む)、及び電気的あるいは機械的な機能チェックの少なくとも1つが含まれる。「警告」は、画面にメッセージを表示したり、ランプを点灯させるなど視覚的なメッセージによるものの他、音声信号による音声メッセージによるもの、振動など触覚を刺激するメッセージによるものを含む。「入庫情報」及び「受付情報」は、入庫日時、受付日時の他、入庫済みか否か、受付済みか否かといった二値の情報を含む。「処理場」は、医療機器のレンタルサービスやリプロセス代行サービスのサービス業者が運営するリプロセスセンタの他、医療施設が保有する洗浄室を含む。
【0015】
前記ユーザ設定情報の入力には、前記ユーザ設定情報の新規入力、入庫時において前記第2記憶手段に既に記憶されている前記ユーザ設定情報の更新入力、及び入庫時において前記第2記憶手段に既に記憶されている前記ユーザ設定情報と入庫した前記医療機器から読み取られる前記ユーザ設定情報とを目視で照合する照合作業が実施されたことを表す照合記録の入力の3つの入力のうち少なくとも1つの入力が含まれる。
【0016】
前記入庫情報は入庫日時、前記受付情報は受付日時であり、前記判定手段は、前記第1判定処理において、前記第1記憶手段と第2記憶手段を参照して、同じユーザIDに対応する最新の入庫日時と最新の受付日時を読み出し、読み出した前記受付日時と前記入庫日時とを比較して、前記受付日時が前記入庫日時以後である場合に、前記ユーザ設定情報の入力が実施されたと判定することが好ましい。
【0017】
前記入庫情報が入力される入庫画面をディスプレイに表示する表示制御手段を備えており、前記判定手段は、前記入庫画面において前記入庫情報が入力されたときに、前記第1判定処理を実行することが好ましい。
【0018】
前記判定手段は、前記入庫情報が入力された後、前記第1判定処理を所定時間間隔で繰り返し実行することが好ましい。
【0019】
リプロセスが施された処理済みの前記医療機器の機器IDを含み、前記医療機器に対して、出庫先のユーザIDに対応する前記ユーザ設定情報の再設定作業が実施されたことを表す再設定情報を記憶する第3記憶手段を備えていることが好ましい。
【0020】
前記判定手段は、前記再設定情報を調べて、前記再設定作業が実施されたか否かを判定する第2判定処理を実行することが好ましい。
【0021】
出庫日時を含む出庫情報が入力される出庫画面をディスプレイに表示する表示制御手段を備えており、前記判定手段は、前記出庫画面において前記出庫情報の入力が行われる際に、前記第2判定処理を実行することが好ましい。ここで、「出庫情報の入力が行われる際」には、出庫情報の入力が行われたときの他、出庫画面が起動されたときを含む。
【0022】
出庫される医療機器の機器ID及び出庫先のユーザIDを指定する、出庫指示の通知を受信する受信手段を備えており、出庫指示の通知を受信した後、前記第2判定処理を所定時間間隔で繰り返し実行することが好ましい。
【0023】
前記判定手段は、第2記憶手段内のユーザ設定情報の検索が行われたときに、前記第1判定処理を実行することが好ましい。
【0024】
前記医療機器は、異なる複数の出庫先に貸し出されるレンタル医療機器を含むことが好ましい。
【0025】
本発明の医療機器用のユーザ設定情報管理方法は、使用済みの医療機器を再使用可能にするリプロセスを行う処理場へ前記医療機器が入庫する毎に記録され、前記医療機器が処理場に入庫したことを表す入庫情報と、前記処理場への入庫直前に前記医療機器を使用したユーザのユーザIDとを関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1記憶ステップと、前記医療機器から読み取られ、前記医療機器に対して前記ユーザが設定済みのユーザ設定情報の入力を受け付ける受付ステップと、前記ユーザID毎に、前記ユーザ設定情報と前記受付ステップにおいて前記入力が受け付けられたことを表す受付情報とを関連付けて第2記憶手段に記憶させる第2記憶ステップと、前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段からそれぞれ読み出した、同じユーザIDに対応する前記入庫情報と前記受付情報に基づいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを判定する第1判定処理を実行する判定ステップと、前記判定ステップにおいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されていないと判定された場合に警告する警告ステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする医療機器用のユーザ設定情報管理方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、リプロセスを行う処理場に医療機器が入庫したことを表す入庫情報と、医療機器から読み取られるユーザ設定情報の受付情報に基づいて、医療機器が入庫される毎にユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを判定し、未実施の場合には警告を行うようにしたから、ユーザ設定情報の入力作業の作業忘れを防止し、リプロセス後に医療機器に再設定されるユーザ設定情報を最新の状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】内視鏡のレンタルサービスの概要の説明図である。
【図2】カスタマイズ機能を備えた内視鏡の説明図である。
【図3】リプロセスセンタにおける作業フローの説明図である。
【図4】オーダ管理端末、情報管理端末、DBサーバの概略構成図である。
【図5】情報管理端末の構成図である。
【図6】オーダ管理テーブルの説明図である。
【図7】ユーザ設定管理テーブルの説明図である。
【図8】在庫管理テーブルの説明図である。
【図9】入庫画面の説明図である。
【図10】入庫情報を入力後の入庫画面の説明図である。
【図11】ユーザ設定情報入力画面の説明図である。
【図12】入庫情報の受付手順を示すフローチャートである。
【図13】第1判定処理のフローチャートである。
【図14】出庫画面の説明図である。
【図15】出庫情報を入力後の出庫画面の説明図である。
【図16】ユーザ設定情報再設定画面の説明図である。
【図17】出庫情報の受付手順を示すフローチャートである。
【図18】第2判定処理のフローチャートである。
【図19】第1判定処理のタイミング異なる第2実施形態のフローチャートである。
【図20】第2実施形態の出庫情報の受付手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
内視鏡11のレンタルサービスの概要を示す図1において、レンタル業者12は、病院や診療所などの医療施設13からのオーダに基づいて、医療施設13に対して内視鏡11を貸し出すレンタルサービスを提供する。レンタル業者12は、オーダ元の医療施設13に内視鏡11を配送し、医療施設13において使用された使用済みの内視鏡11を回収する。レンタル業者12は、回収した使用済みの内視鏡11に対して、洗浄、消毒、修理、機能チェックなどのリプロセスを施して、再使用可能な状態にするリプロセスセンタ14を運営している。リプロセスセンタ14は、回収された使用済みの内視鏡11の入庫作業、リプロセス、リプロセスが施された処理済みの内視鏡11の保管、及び出庫作業などの作業を行う。
【0029】
医療施設13は、プロセッサ装置や光源装置からなる周辺装置15を保有しており、レンタルした内視鏡11を周辺装置15に接続して使用する。プロセッサ装置は、内視鏡11で撮像した撮像信号をモニタへ表示するための画像処理を施す。光源装置は、キセノンランプやレーザ光源などの光源を有しており、内視鏡11に照明光を供給する。
【0030】
図2に示すように、内視鏡11は、体腔内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端部分に連設された操作部17と、プロセッサ装置や光源装置に接続するためのユニバーサルコード18とを備えている。挿入部16は、複雑に曲がりくねった消化管内に挿入されるために主要部分が可撓性に富む可撓管部16aで構成されている。可撓管部16aの先端にはアングル部16bが設けられており、その先端には、被写体を撮像するCCDやCMOSなどのイメージセンサ(図示せず)が内蔵された先端部16cが設けられている。挿入部16内には、光ファイバをバンドル化したライトガイド、イメージセンサに接続され駆動信号や撮像信号を送信するための信号ケーブル、送気・送水チャンネル、鉗子などの処置具を挿通するとともに、吸引チャンネルとしても機能する鉗子チャンネルなどが配設されている。
【0031】
アングル部16bは、湾曲することにより先端部16cの向きを上下左右に変化させる。可撓管部16a内には、アングルワイヤが挿通されており、アングルワイヤの基端側は、操作部17に設けられたノブ17aに、先端側はアングル部16b内の節輪とそれぞれ係合される。ノブ17aが回転操作されると、アングルワイヤを通じて操作力がアングル部16bに伝達されて、アングル部16bが湾曲する。
【0032】
可撓管部16aは、帯状の金属片を螺旋状に巻き付けた螺旋管を、金属細線により編組された網状管で覆い、網状管の外周面を樹脂製の外皮で被覆したものである。内視鏡11は、可撓管部16aの硬度を調節する硬度調節機構を備えている。硬度調節機構は、特開平10−179509号公報などに記載されているように、可撓管部16a内に軸方向に沿って配設された、密着バネからなるコイルパイプ19と、コイルパイプ19に挿通されたワイヤ20とからなり、ワイヤ20の牽引操作によってコイルパイプ19を軸方向に伸縮させることで、可撓管部16aの硬度を調節する機構である。
【0033】
ワイヤ20が牽引されると、コイルパイプ19が圧縮されることにより曲げ方向に対する剛性が上がるので、可撓管部16aの硬度が上がる。操作部17には、ワイヤ20の牽引量を調節するための調節つまみ21が設けられており、調節つまみ21の操作によってユーザの好みに応じて硬度を変化させることができる。操作部17には、調節つまみ21の外周近傍に、目盛り22が設けられており、目盛り22は、調節つまみ21の設定位置の目安として利用される。
【0034】
操作部17には、ノブ17aや調節つまみ21の他、送気・送水を行うための送気・送水ボタン17b、鉗子チャンネルを通じて吸引を行うための吸引ボタン17c、及びシャッタボタンやズームボタンとして機能する機能ボタン17d、17eなどの各種操作ボタンが設けられている。機能ボタン17d、17eへの機能の割り当ては、例えば、機能ボタン17dをシャッタボタンに、機能ボタン17eをズームボタンに、あるいはその逆にというように、ユーザの好みに応じて変更できるようになっている。
【0035】
機能ボタン17d、17eへの機能の割り当ては、プロセッサ装置を通じて行われ、割り当て内容を表す設定情報は、操作部17に内蔵されたEEPROMやICタグなどの内蔵メモリ23に格納される。さらに、内視鏡11は、イメージセンサから出力される撮像信号のゲインの設定値を変更することで、モニタに表示される観察画像の輝度やカラーバランスを調節することが可能である。ゲイン設定値も、プロセッサ装置を通じて設定され、内蔵メモリ23に格納される。
【0036】
このように、内視鏡11は、調節つまみ21による可撓管部16aの硬度調節、機能ボタン17d、17eの機能割り当て、イメージセンサのゲイン設定について、ユーザ設定が可能なカスタマイズ機能を備えている。
【0037】
図1において、レンタル支援システム10は、レンタル業者12が行う業務を、コンピュータを用いて支援するシステムである。レンタル支援システム10は、オーダ受付端末27と、情報管理端末28と、DB(データベース)サーバ29と、これら各端末27、28、DBサーバ29をLAN(ローカルエリアネットワーク)30で通信可能に接続したネットワークシステムである。
【0038】
オーダ受付端末27は、病院やクリニックなどの医療施設からの内視鏡のレンタルのオーダをインターネットなどのネットワークを経由して受け付けて、受け付けたオーダを管理する。オーダには、レンタルを希望する内視鏡の種類や機種、貸出希望日、貸出期間、及び医療施設のIDといった情報が含まれる。
【0039】
情報管理端末28は、リプロセスセンタ14に設置され、リプロセスセンタ14で実施される作業記録の管理や、レンタルに供する内視鏡11の在庫管理に用いられる。リプロセスセンタ14における入庫から出庫までの間には、作業スタッフによって、図3に示す作業が実施される。こうした作業の履歴が情報管理端末28を使用して管理される。まず、リプロセスセンタ14に内視鏡11が入庫すると情報管理端末28に内視鏡11が入庫したことを表す入庫情報が、内視鏡11毎に入力される。情報管理端末28は、この入力を受け付けてDBサーバ29に入庫情報を格納する。
【0040】
次に、入庫した内視鏡11からユーザ設定情報の読み取りが行われる。ユーザ設定情報は、内視鏡11のカスタマイズ機能によって設定されたユーザ設定情報(調節つまみ21の設定位置、機能ボタン17d、17eの割り当て内容、ゲイン設定値)であり、入庫直前に使用したユーザによって内視鏡11に設定されたものである。入庫時に読み取られるユーザ設定情報は、ユーザが設定した最新の情報であるので、次回同じユーザに内視鏡11を貸し出すときには、そのユーザ設定情報が再設定された状態で出庫することが望ましい。
【0041】
ユーザ設定情報のうち、調節つまみ21の設定位置は、作業スタッフの目視によって内視鏡11から読み取られる。機能ボタン17d、17eの割り当て内容、及びゲイン設定値については、リーダライタ41(図5参照)を通じて内蔵メモリ23から読み取られる。読み取られたユーザ設定情報は、情報管理端末28に入力されて、情報管理端末28は入力されたユーザ設定情報を受け付けてDBサーバ29に格納する。
【0042】
リプロセスは、洗浄消毒装置による洗浄・消毒の他に、修理や機能チェックが含まれる。レンタル用の内視鏡11では、1つの内視鏡11が不特定多数のユーザに使用されるため、リプロセスの過程において、内視鏡11に設定されたユーザ設定情報のリセットが行われる。リプロセスを施したことを表すリプロセス情報は、リプロセスの作業内容を記録するリプロセス管理装置(図示せず)を経由して情報管理端末28に入力される。情報管理端末28は入力されたリプロセス情報を受け付けてDBサーバ29に格納する。
【0043】
リプロセスが完了した処理済みの内視鏡11は次回の出庫までの間、保管庫で保管される。そして、医療施設13からオーダが入ると、そのオーダに対して、出庫する内視鏡の選定と選定された内視鏡の割り当てが行われる。オーダ受付端末27は、出庫先のユーザ名、ユーザID、出庫予定日、割り当てた内視鏡11の機器IDなどの情報を含む出庫指示を、情報管理端末28に向けて発行する。情報管理端末28が出庫指示の通知を取得すると、その通知がディスプレイに表示され、出庫指示の内容が作業スタッフによって確認される。作業スタッフは、出庫指示の内容に従って出庫準備を開始する。出庫準備においては、出庫指示で指定された機器IDの内視鏡11が保管庫から運び出される。
【0044】
リプロセスが処理済みの内視鏡11は、ユーザ設定情報がリセットされているので、出庫対象に割り当てられた内視鏡11に対しては、出庫先のユーザのユーザ設定情報の再設定が行われる。作業スタッフは、情報管理端末28を使用して、出庫先として指定されたユーザIDのユーザ設定情報をDBサーバ29から読み出す。このユーザ設定情報が出庫対象の内視鏡11に再設定される。再設定作業が実施されると、再設定作業を実施したことを表す再設定情報が情報管理端末28に入力される。情報管理端末28は、入力された再設定情報を受け付けて、DBサーバ29に格納する。再設定作業が終了すると、情報管理端末28に出庫情報が入力される。情報管理端末28は、入力された出庫情報を受け付けて、DBサーバ29に格納する。
【0045】
DBサーバ29には、オーダ受付端末17が受け付けたオーダや、情報管理端末28が管理するリプロセスセンタ14における作業記録や、内視鏡11の在庫情報を格納するためのDBが構築されており、DBサーバ29は、オーダ受付端末27及び情報管理端末28からの要求に応じて、DB内の情報検索やDBの更新を行う。
【0046】
図4に示すように、オーダ受付端末27、情報管理端末28、DBサーバ29を構成するコンピュータは、基本的な構成はほぼ同じであり、それぞれ、CPU31、メモリ32、ストレージデバイス33、ネットワークI/F34、I/Oポート35,及びコンソール36を備えている。これらはデータバス37を介して接続されている。コンソール36は、ディスプレイ38と、キーボードやマウスなどの操作デバイス39とからなる。
【0047】
ストレージデバイス33は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)であり、制御プログラムやアプリケーションプログラム(以下、APという)40が格納される。また、DBが構築されるサーバには、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス33として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、サーバ本体に内蔵されるものでもよいし、サーバ本体とは別に設けられ、サーバ本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
【0048】
メモリ32は、CPU31が処理を実行するためのワークメモリである。CPU31は、ストレージデバイス33に格納された制御プログラムをメモリ32へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。ネットワークI/F34は、LAN30との間の伝送制御を行うインタフェースである。I/Oポート35は、周辺機器を接続して、周辺機器との間でデータの入出力を行うためのポートであり、USB、IEEE1394、RS−232Cなどの規格に準拠したものである。
【0049】
オーダ受付端末27には、AP40として、オーダの受付や管理を行うクライアントプログラムがインストールされている。クライアントプログラムが起動されると、オーダ受付端末27のディスプレイには、GUI(Graphical User Interface)による操作画面が表示される。操作画面には、オーダの入力、表示、出庫指示の発行を行うためのオーダ管理画面(図示せず)が含まれる。
【0050】
DBサーバ29には、AP40として、クライアントからの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。DBサーバ29のCPUは、サーバプログラムを実行することにより、データの格納処理部及び検索処理部として機能する。格納処理部は、オーダ受付端末27や情報管理端末28などのクライアントからのデータの格納要求に応じて、各DBへの格納処理を実行する。また、検索処理部は、オーダ受付端末27や情報管理端末28からの配信要求に応答して、要求されたデータをDBから検索して、検索したデータを要求元へ配信する。
【0051】
情報管理端末28には、AP40として、入庫、リプロセス、出庫という、リプロセスセンタ14において実施される作業記録などを管理するための情報管理プログラムがインストールされている。情報管理端末28のCPU31は、情報管理プログラムが起動されると、図5に示すように、受付処理や判定処理を行う制御部28aとして機能する。制御部28aは、情報管理端末28のディスプレイ38に、GUI(Graphical User Interface)による操作画面を表示する。これらの操作画面を通じて、入庫情報、出庫情報、及びユーザ設定情報の入力や、再設定情報の表示や出力が行われる。入力された情報は、DBサーバ29に格納される。
【0052】
リーダライタ41は、内視鏡11の内蔵メモリ23に格納されている設定情報の読み取りと、内蔵メモリ23への書き込みとを行うためのものである。リーダライタ41は、例えば、内蔵メモリ23がICタグであればタグリーダライタである。リーダライタ41は、情報管理端末28のI/Oポート35に接続される。
【0053】
DBサーバ29には、オーダ管理テーブル46、ユーザ設定管理テーブル47、在庫管理テーブル48などのデータベースを構成するテーブルデータが格納されている。
【0054】
図6に示すように、オーダ管理テーブル46は、オーダの内容を表すオーダ情報を記録したレコードが格納されるテーブルであり、各レコードはオーダ単位で生成される。1件のレコードは、「オーダ番号」、「ステータス」、「出庫予定日(貸出予定日)」、「出庫日時(返却日時)」、「入庫予定日(返却予定日)」、「入庫日時(返却日時)」、内視鏡の「機器ID」、「ユーザ名」、「ユーザID」といったデータ項目が格納されるフィールドを有する。「ステータス」は、オーダのステータスを表すもので、具体的な内容としては、レンタルの場合には、例えば、「オーダ受付済み」、「貸出中」、「出庫待ち」、「返却済み」といった情報が書き込まれる。
【0055】
ユーザ名は、出庫先(貸出先)の名称であり、ユーザIDは、ユーザ名毎に予め付与される。ユーザ名は、例えば、「B病院 山田医師」というように、内視鏡11を使用する医師単位で付与されており、ユーザ設定情報は医師単位で管理される。ユーザIDは、ユーザ名に対応して、医療施設の施設コード(B病院の場合は「2314」)と医師コード(山田医師の場合は「016」)の組み合わせによって付与される。クリニック(診療所)など医師(ユーザ)が一人しかいない小規模な医療施設の場合は、ユーザ名やユーザIDから医師名や医師コードを省略してもよい。本例(「Aクリニック」や「Gクリニック」)では、ユーザ名から医師名が省略されているが、ユーザIDについては医師コードが省略されずに、施設コードと医師コードが与えられている。
【0056】
「入庫日時」と「出庫日時」は、本実施形態における入庫情報と出庫情報である。入庫日時と出庫日時は、情報管理端末28を通じて入力されて、オーダ管理テーブル46のレコードに書き込まれる。「オーダ番号」、「出庫予定日」、「入庫予定日」などの他の項目は、オーダ受付端末27を通じて入力されて書き込まれる。
【0057】
図6において、オーダ番号が「10001」のオーダは、ステータスが「返却済み」であり、機器IDが「ES010」の内視鏡11が「10/02/07 9:00」にリプロセスセンタ14から出庫され、「Aクリニック」で使用された後、10/02/17に返却されて、「10/02/17 11:00」にリプロセスセンタ14に入庫したことを表している。オーダ番号が「10015」のオーダは、ステータスが「貸出中」であり、リプロセスセンタ14に返却(入庫)されていないので、入庫日時が空欄になっている。オーダ番号が「10031」の出庫先を「Aクリニック」とするオーダは、ステータスが「出庫待ち」の状態であるため、出庫日時は空欄であるが、既に機器IDが「ES070」の内視鏡11の割り当てが終了していることを表している。
【0058】
図7に示すように、ユーザ設定管理テーブル47は、ユーザ設定情報を管理するための情報が記録されたレコードを格納するテーブルであり、各レコードはユーザID単位で生成される。1件のレコードは、「ユーザ名」、「ユーザID」、「ユーザ設定情報」、「受付日時」といったデータ項目を格納するフィールドを有する。各レコードには、「ユーザID」が含まれているため、オーダ管理テーブル46内のユーザIDが共通するレコードとの相互参照が可能である。「ユーザ設定情報」のフィールドには、ユーザ設定情報の内容が記述された情報ファイルのファイル名とその格納先のアドレスが書き込まれる。ファイル名には、Aクリニックならば(「1234−001」)というようにユーザIDが付されている。なお、ユーザ設定管理テーブル47とは別の情報ファイルに、ユーザ設定情報の内容を記述した例で説明しているが、別の情報ファイルを設けなくてもよく、ユーザ設定管理テーブル47内のレコードにユーザ設定情報の内容を記述するフィールドを設けて、そのフィールドにユーザ設定情報の内容を格納してもよい。
【0059】
「受付日時」は、内視鏡11から読み取られたユーザ設定情報の入力が行われ、情報管理端末28がその入力を受け付けた受付日時である。「受付日時」は、本実施形態における受付情報である。「Aクリニック」のユーザ設定情報は、「10/02/17 11:10」に受け付けられていることを表している。図6のオーダ管理テーブル46において、オーダ番号が「10001」の「Aクリニック」のオーダは、入庫日時が「10/02/17 11:00」となっているので、「Aクリニック」のユーザ設定情報の受付日時は、入庫日時(11:00)の10分後にユーザ設定情報の入力が行われたことを表している。
【0060】
ユーザ設定情報の入力には、新規入力、入庫時においてユーザ設定管理テーブル47に既に記憶されているユーザ設定情報を更新する更新入力、及び入庫時においてユーザ設定管理テーブル47に既に記憶されているユーザ設定情報と、入庫した内視鏡11から読み取られるユーザ設定情報とを作業スタッフが目視で照合する照合作業が実施されたことを表す照合記録の入力の3つの入力のうち少なくとも1つの入力が含まれている。ユーザ設定管理テーブル47のレコードは、情報管理端末28を通じて新規入力が行われたときに生成される。
【0061】
これら新規入力、更新入力、照合記録の入力のいずれかが行われたときにその受付日時が、該当するユーザIDのレコードに書き込まれる。「受付日時」は、新しい入力がある毎に随時更新され、最新の受付日時のみが保存される。もちろん、最新の受付日時だけでなく、過去の受付日時を保存して受付履歴を残しておいてもよい。
【0062】
図8に示すように、在庫管理テーブル48は、レンタル業者12が在庫として保有する内視鏡11が現在どのようなステータスにあるかを管理するためのものである。在庫管理テーブル48には、内視鏡11の機器ID単位でレコードが生成される。在庫管理テーブル48のレコードは、レンタル業者12が保有する内視鏡11が追加される毎に新規に生成される。
【0063】
1件のレコードは、「機器ID」、「ステータス」、「再設定情報」というデータ項目を格納するフィールドを有する。「機器ID」は、内視鏡11の1本毎に付されたシリアルナンバーである。「ステータス」は、内視鏡11がリプロセス中であれば「リプロセス中」、貸出中であれば「貸出中」、リプロセスが完了して貸出可能な状態であれば「待機中」といった情報が書き込まれる。各レコードには「機器ID」が含まれているため、オーダ管理テーブル46内の共通する機器IDを持つレコードとの相互参照が可能である。
【0064】
「再設定情報」は、内視鏡11を出庫する前に、内視鏡11に対してユーザ設定情報の再設定作業が実施されたことを表す情報である。再設定作業が実施された場合には「再設定済み」、未実施の場合には「未実施」という情報が書き込まれる。再設定済みの場合には、再設定されたユーザ設定情報に対応するユーザIDも併せて書き込まれる。これにより、各内視鏡11に現在設定されているユーザ設定情報がどのユーザのものかを確認することができる。
【0065】
例えば、機器IDが「ES040」のレコードは、その内視鏡11が貸出中であり、その内視鏡11に対して、出庫前に、ユーザIDが「5978−021(E病院 田中医師)」(図5及び図6参照)のユーザ設定情報の再設定作業が実施されたことを表している。また、機器IDが「ES070」のレコードは、ステータスが「待機中」となっているが、既にユーザIDが「1234−001(Aクリニック)」(図5及び図6参照)のユーザ設定情報が再設定済みであることを表している。
【0066】
図9〜図11を用いて、情報管理端末28で入庫情報及びユーザ設定情報の入力を行う場合の操作画面について説明する。図9及び10に示す入庫画面51は、入庫情報の入力を行うための操作画面である。入庫画面51には、オーダ情報を表示するオーダ表示領域51aが設けられている。
【0067】
オーダ表示領域51aには、オーダ番号を選択する選択ボックス51bが設けられている。選択ボックス51bは、例えば、右端の矢印がポインタ49でポイントされると、オーダ管理テーブル46に登録済みの複数のオーダ番号を表示する選択メニューをプルダウン形式で表示する。そして、その選択メニューから1つのオーダ番号を選択させてオーダ番号を入力させる。1つのオーダ番号(本例では「10001」)が選択されると、制御部28aが、DBサーバ29を介してオーダ管理テーブル46から選択されたオーダ番号のレコードを読みして、オーダ表示領域51aに表示する。
【0068】
オーダ表示領域51aには、レコードに含まれる項目のうち、ユーザ名、ユーザID、入庫予定日、入庫日時、機器IDの項目を表示する表示欄が設けられている。入庫日時が入力される前においては、図9に示すように入庫日時の表示欄が空欄になっている。また、入庫画面51には、オーダ表示領域51aの下方には、入力ボタン51c、呼び出しボタン51d、OKボタン51e、キャンセルボタン51f、閉じるボタン51gが設けられている。OKボタン51eは、入力内容を確定するためのボタンであり、キャンセルボタン51fは、入力内容をキャンセルするボタンであり、閉じるボタン51gは、入庫画面51を閉じるボタンである。
【0069】
入力ボタン51cは、入庫日時の入力を行うための入力ボタン51cである。入力ボタン51cがポインタ49で指定されてクリック操作が行われると、制御部28aは、情報管理端末28に内蔵のシステムタイマから現在時刻を読み出して、図9に示すように表示欄に入庫日時を表示する。OKボタン51eがクリック操作されると、図6に示すように、入力した入庫日時(「10/02/17 11:00」)がオーダ管理テーブル46内の選択されたオーダ番号(「10001」)のレコードに書き込まれる。
【0070】
呼び出しボタン51dは、図11に示すユーザ設定情報入力画面53を呼び出すための画面呼び出しボタンである。入庫画面51には、後述する第1判定処理によって、ユーザ設定情報の入力が実施されていない場合に、警告メッセージ52が表示される。警告メッセージ52には、例えば、「ユーザ設定情報の入力作業が未実施です」という警告内容と、「入力作業を実施してください」という入力作業を促す内容が含まれる。警告メッセージ52は、例えば、呼び出しボタン51dを指し示してそこに誘導する矢印を持つ吹き出し形状で表示される。
【0071】
呼び出しボタン51dがクリック操作されると、操作画面が入庫画面51からユーザ設定情報入力画面53に移行する。図11に示すように、ユーザ設定情報入力画面53には、ユーザ名、ユーザIDを入力するための入力領域53a、内蔵メモリ内の設定情報を入力するための入力領域53b、調節つまみの設定位置を入力する入力領域53c、入力内容を確定して受付処理の実行指示する入力ボタン53d、入力内容をキャンセルするキャンセルボタン53e、入庫画面51に復帰させる戻るボタン53fが設けられている。
【0072】
入庫画面51において、呼び出しボタン51dがクリック操作されると、制御部28aは、入庫画面51で選択されているオーダ番号(「10001」)のオーダにおいて指定されているユーザIDのユーザ設定情報のレコードを、DBサーバ29を介してユーザ設定管理テーブル47から読み出す。ユーザ設定管理テーブル47に既に対応するユーザIDのレコードが記憶されている場合(前回入力されたユーザ設定情報がある場合)には、そのレコードが読み出されて、ユーザ設定情報入力画面11の各入力領域53a〜53cにそれぞれの項目の情報が表示される。ユーザ設定管理テーブル47に対応するユーザIDのレコードが無い場合には、各入力領域53a〜53cは空欄で表示される。
【0073】
各入力領域53a〜53cが空欄の場合には、ユーザ設定情報が新規入力される。入力領域53aには、キーボードによってユーザ名やユーザIDが入力される。入力領域53bには、取り込みボタン53hが設けられている。取り込みボタン53hは、リーダライタ41(図5参照)に対して、内視鏡11の内蔵メモリ23内の設定情報を情報管理端末28へ取り込む指示をするためのボタンである。
【0074】
取り込みに際しては、まず、作業スタッフによって、リーダライタ41と内視鏡11が通信可能な状態にセットされる。例えば、内蔵メモリ23がICタグの場合には、リーダライタ41が内視鏡11の内蔵メモリ23の近傍へ翳される。この状態で、取り込みボタン53hがクリック操作されると、リーダライタ41によって内視鏡11の内蔵メモリ23内の設定情報が情報管理端末28に取り込まれ、取り込まれた設定情報が入力領域53bに表示される。入力領域53cには、調節つまみ21の設定位置が、目盛り22(図2参照)で目視確認されて、目視で読み取られた目盛り22の数字(「5」)がキーボードから入力される。
【0075】
更新入力の場合には、前回入力したユーザ設定情報がユーザ設定管理テーブル47にあるので、入力領域53cには、前回入力した調節つまみ21の設定位置が表示される。前回の設定位置と、内視鏡11に現在設定されている調節つまみ21の設定位置とが作業スタッフの目視によって照合される。変更がある場合には、キーボードによって変更された値が入力領域53cに入力される。入力領域53bにも、前回入力された設定情報が表示されるが、内蔵メモリ23に現在設定されている設定情報は目視確認できないので、前回入力済みの設定情報との目視による照合はできない。そのため、内蔵メモリ23の設定情報については、更新入力の場合でも、取り込みボタン53hのクリック操作によってリーダライタ41を通じて取り込みが行われる。入力領域53bの表示は、取り込まれた設定情報の表示に更新される。
【0076】
入力ボタン53dがクリック操作されると、入力領域53b及び53cに入力された内容が確定し、確定した内容のユーザ設定情報の受付処理が実行される。制御部28aは、新規入力の場合には、入力されたユーザ設定情報に対応するレコードをユーザ設定管理テーブル47に新規に生成して書き込む。更新入力の場合には、既に記憶済みのレコードを新たに入力された内容で上書き更新する。変更がある項目だけ更新し、変更が無い項目については更新しなくてもよい。そして、新規入力又は更新入力のいずれの場合でも、受付処理が実行された受付日時が対応するレコードに書き込まれる。
【0077】
なお、本例では、入力領域53bや入力領域53cの表示が、新たに入力された内容で更新表示される例で説明したが、入力領域53bや入力領域53cに変更前と変更後の2つの表示欄を設けて、前回入力済みの変更前の内容と今回入力する変更後の内容を対照できるようにしてもよい。
【0078】
図12及び13に示すフローチャートを用いて、情報管理端末28が実行する、入庫情報及びユーザ設定情報の受付処理の処理手順を説明する。図12に示すフローチャートに示すように、入庫画面51の起動指示があると、制御部28aは、入庫画面51をディスプレイ38に表示し(ステップ(S)100)、オーダ番号の選択を待機する(S110)。オーダ番号が選択されると(S110でY)、選択されたオーダのレコードを、DBサーバ29を介してオーダ管理テーブル46から読み出して、オーダ表示領域51aにオーダ情報を表示する(S120)。そして、入庫情報(入庫日時)の入力を待機する(S130)。
【0079】
入力ボタン51cがクリック操作されると(S130でY)、制御部28aは、システムタイマから現在日時を読み出して、入庫日時欄に表示する。OKボタン51eがクリック操作されると、制御部28aは、表示された入庫日時(10/02/17 11:00)を確定し、受付処理を実行する。受付処理の実行により、入力された入庫情報(入庫日時)は、DBサーバ29を介してオーダ管理テーブル46の対応するレコードに書き込まれる。制御部28aは、入庫情報が入力されると、それに対応するオーダのユーザID、すなわち、入庫画面51に表示中のユーザID(本例においては「1234−001」)を読み出し(S140)、読み出したユーザIDに基づいて第1判定処理を実行する(S150)。
【0080】
図13に示すように、第1判定処理において、制御部28aは、同じユーザIDの最新の入庫日時と、最新の受付日時を読み出す(S151)。入庫日時は、入庫画面51(図10)において入力された入庫日時が当該ユーザIDの最新の入庫日時である。受付日時は、DBサーバ29を介してユーザ設定管理テーブル47から読み出される。受付日時のフィールドは、最新の受付日時のみが記録されているので、レコードに記録されている受付日時が最新の受付日時である。
【0081】
制御部28aは、最新の受付日時と最新の入庫日時とを比較して、最新の受付日時が最新の入庫日時以後か否かを判定する(S152)。制御部28aは、最新の受付日時が最新の入庫日時以後である場合(S152でY)に、ユーザ設定情報の入力作業が実施されたと判定する(S153)。入庫日時は、使用済みの内視鏡11がリプロセスセンタ14に入庫される毎に記録されるので、最新の入庫日時よりも最新の受付日時が後であれば、使用済みの内視鏡11がリプロセスセンタ14に入庫した後に、リプロセスセンタ14において、ユーザ設定情報の入力作業が実施されていることを意味する。
【0082】
一方、最新の受付日時が最新の入庫日時より前である場合(S152でN)は、制御部28aは、最新の入庫後にユーザ設定情報の入力作業が実施されていない(未実施)と判定する(S154)。最新の受付日時が最新の入庫日時より前である場合は、その受付日時は、入庫した内視鏡11がユーザに貸し出される前に実施された前回の入力作業、つまり、前回出庫前に実施された入力作業の実施日付であるので、今回の入庫後にユーザ設定情報の入力作業が実施されていないと判定する。
【0083】
図12に戻って、制御部28aは、第1判定処理において、ユーザ設定情報の入力作業が実施されていると判定した場合(S160でY)には、別のオーダの入庫情報の入力を待機する(S190)。一方、未実施と判定された場合(S160でN)には、図10に示すように、入庫画面51に警告メッセージ52を表示する警告処理を実行する(S170)。入庫情報を入力した時点(入力ボタン51cがクリック操作された時点)では、ユーザ設定情報の入力作業は実施されていないので(図3参照)、入力ボタン51cがクリック操作された直後に、警告メッセージ52が表示されることになる。そのため、警告メッセージ52によって、作業スタッフに対してユーザ設定情報の入力作業を促すことができる。
【0084】
制御部28aは、警告処理を開始した後、予め決められた所定時間間隔で第1判定処理(S150)を繰り返す。この処理は、ユーザ設定情報の入力作業が実施されるまで継続されるので、入力作業が実施されるまでの間、入庫画面51には、警告メッセージ52が継続して表示される。これにより、ユーザ設定情報の入力作業の作業忘れが確実に防止される。
【0085】
次に、図14〜16を用いて、情報管理端末28で出庫情報及びユーザ設定情報の再設定を行う場合の操作画面について説明する。図14及び15に示す出庫画面56は、入庫情報の入力を行うための操作画面である。出庫画面56には、オーダ情報を表示するオーダ表示領域56aが設けられている。オーダ表示領域56aには、オーダ番号を選択する選択ボックス56bが設けられている。選択ボックス56bは、入庫画面51の選択ボックス51bと同様であり、プルダウン形式のメニューから1つのオーダ番号を選択させて入力させるものである。
【0086】
1つのオーダ番号(「10031」)が選択されると、制御部28aが、DBサーバ29を介して、オーダ管理テーブル46から選択されたオーダのレコードを読み出して、オーダ表示領域56aに表示する。オーダ表示領域56aには、レコードに含まれる項目のうち、ユーザ名、ユーザID、出庫予定日、出庫日時、機器IDの項目を表示する表示欄が設けられている。出庫日時が入力される前においては、出庫日時の表示欄が空欄になっている。
【0087】
本例において選択されているオーダ(「10031」)は、出庫先がAクリニックであり、出庫対象には、機器IDが「ES070」の内視鏡11が割り当てられている。図6に示すように、同じAクリニックを出庫先とする前回のオーダ(「10001」)では、機器IDが「ES010」の内視鏡11が割り当てられていたのに対して、今回のオーダ(「10031」)では、機器IDが「ES070」の内視鏡11が割り当てられている。レンタルサービスにおいては、このように同じユーザに対して異なる内視鏡11が貸し出される場合があり得る。
【0088】
また、出庫画面56には、オーダ表示領域56aの下方に、入力ボタン56c、呼び出しボタン56d、OKボタン56e、キャンセルボタン56f、閉じるボタン56gが設けられている。OKボタン56eは、入力内容を確定するためのボタンであり、キャンセルボタン56fは、入力内容をキャンセルするボタンであり、閉じるボタン56gは、出庫画面56を閉じるボタンである。
【0089】
入力ボタン56cは、出庫情報(出庫日時)の入力を行うための入力ボタン56cであり、入力ボタン56cがポインタ49で指定されてマウスによるクリック操作が行われると、情報管理端末28に内蔵のシステムタイマから現在時刻が読み出されて、図15に示すように表示欄に出庫日時が表示される。OKボタン56eがクリック操作されると、入力した出庫日時がオーダ管理テーブル46内の選択されたオーダ(「10031」)のレコードに書き込まれる。
【0090】
呼び出しボタン56dは、図16に示すユーザ設定情報の再設定画面57を呼び出すための画面呼び出しボタンである。出庫画面56には、後述する第2判定処理によって、ユーザ設定情報の再設定が実施されていない場合に、警告メッセージ58が表示される。警告メッセージ58には、例えば、「ユーザ設定情報の再設定作業が未実施です」という警告内容と、「再設定作業を実施してください」という再設定作業を促す内容が含まれる。警告メッセージ58は、例えば、入庫画面51の警告メッセージ52と同様に、呼び出しボタン56dを指し示してそこに誘導する矢印を持つ吹き出し形状で表示される。
【0091】
呼び出しボタン56dがクリック操作されると、操作画面がユーザ設定情報再設定画面57に移行する。図16に示すように、ユーザ設定情報再設定画面57には、ユーザ名、ユーザIDを表示するための表示領域57a、内蔵メモリ内の設定情報を表示するための表示領域57b、調節つまみの設定位置を表示する表示領域57c、再設定ボタン57d、戻るボタン57eが設けられている。
【0092】
出庫画面56において、呼び出しボタン56dがクリック操作されると、制御部28aは、出庫画面56において選択されているオーダ番号(「10031」)に対応するユーザIDをDBサーバ29に対して送信して、ユーザ設定管理テーブル47内のそのユーザIDのレコードの配信を要求する。ユーザ設定管理テーブル47に既に対応するユーザIDのレコードが記憶されている場合には、そのレコードが読み出されて、各表示領域57a〜57cにそれぞれの項目の情報が表示される。
【0093】
表示領域57bには、内蔵メモリ23に再設定すべき、ゲイン設定値及び機能ボタンの割り当て内容が表示される。表示領域57bには、書き出しボタン57hが設けられている。書き出しボタン57hは、表示領域57bに表示されている設定情報をリーダライタ41に出力して、リーダライタ41を通じて内視鏡11の内蔵メモリ23へ書き出すための操作ボタンである。
【0094】
書き出しに当たっては、上述した取り込みの場合と同様に、まず、作業スタッフによって、リーダライタ41と内視鏡11が通信可能な状態にセットされる。この状態で、再設定ボタン57dがクリック操作されると、制御部28aは、表示領域57bに表示された設定情報を、リーダライタ41に出力し、リーダライタ41は、出力された設定情報を内蔵メモリ23に書き出す。こうして内蔵メモリ23に表示領域57bに表示された設定情報が再設定される。
【0095】
一方、表示領域57cには、調節つまみ21(図2参照)の設定位置が表示されている。作業スタッフは、内視鏡11の目盛り22を読みながら、調節つまみ21を操作して、表示領域57cに表示されている設定位置(「5」)に合わせる。これにより、調節つまみ21の設定位置が再設定される。
【0096】
再設定ボタン57dは、再設定作業を実施したことを表す再設定情報を入力するための操作ボタンである。再設定作業が完了すると、作業スタッフによって再設定ボタン57dがクリック操作される。再設定ボタン57dがクリック操作されると、制御部28aは、出庫情報(出庫日時)を入力したオーダから出庫対象の内視鏡11の機器ID(「ES070」)を読み出して、その機器IDに対応する在庫管理テーブル48のレコードに再設定情報を書き込む。この再設定情報には、出庫先のユーザID(「1234−001」)も併せて書き込まれる。
【0097】
図17及び18に示すフローチャートを用いて、情報管理端末28が実行する、出庫情報の受付処理の処理手順を説明する。図17のフローチャートに示すように、出庫画面56の起動指示があると、制御部28aは、出庫画面56をディスプレイ38に表示し(ステップ(S)200)、オーダ番号の入力を待機する(S210)。オーダ番号が入力されると(S210でY)、選択されたオーダのレコードを、DBサーバ29を介してオーダ管理テーブル46から読み出して、オーダ表示領域56aに表示する(S220)。そして、出庫情報(出庫日時)の入力を待機する(S230)。
【0098】
入力ボタン56cがクリック操作されると(S230でY)、制御部28aは、システムタイマから現在日時を読み出して、出庫日時欄に表示する。OKボタン56eがクリック操作されると、制御部28aは、表示された出庫日時(10/02/20 11:00)の入力を確定し、受付処理を実行する。受付処理の実行により、入力された出庫日時は、DBサーバ29を介してオーダ管理テーブル46のオーダ番号が「10031」のレコードに書き込まれる。制御部28aは、出庫情報が入力されると、そのオーダの機器ID、すなわち、出庫画面56に表示中の機器ID(「ES070」)を読み出し(S240)、読み出したユーザIDに基づいて第2判定処理を実行する。
【0099】
図18に示すように、第2判定処理において、制御部28aは、読み出した機器IDに対応する再設定情報の有無を調べる(S251)。制御部28aは、DBサーバ29を介して、在庫管理テーブル48内の該当する機器IDのレコードから再設定情報を読み出す。再設定情報が無い場合(S251でN)には、再設定作業が未実施であると判定する(S254)。一方、再設定情報が有る場合(S251でY)には、再設定情報に含まれるユーザIDとオーダで指定された出庫先のユーザIDが一致しているか否かを判定する(S252)。一致していない場合(S252でN)には、出庫先のユーザIDに対応する適正なユーザ設定情報が再設定されていないことを意味するので、ユーザ設定情報の再設定作業が未実施であると判定する(S254)。一方、一致している場合(S252でY)には、ユーザ設定情報の再設定作業が実施されたと判定する(S253)。
【0100】
図17に戻って、制御部28aは、第2判定処理において、ユーザ設定情報の再設定作業が実施されていると判定した場合(S260でY)には、別のオーダの出庫情報の入力を待機する(S280)。一方、再設定作業が実施されていないと判定された場合(S260でN)には、図15に示すように、出庫画面56に警告メッセージ58を表示する警告処理を実行する(S270)。出庫情報を入力した時点(入力ボタン56cがクリック操作された時点)では、ユーザ設定情報の再設定作業は実施されていないので(図3参照)、入力ボタン56cがクリック操作された直後に、警告メッセージ58が表示されることになる。そのため、警告メッセージ58によって、作業スタッフに対してユーザ設定情報の再設定作業を促すことができる。これにより、再設定作業の作業忘れが防止され、ユーザ設定情報が再設定されていない状態で内視鏡11が出庫されることが防止される。
【0101】
以上で説明したように、第1実施形態の情報管理端末28では、まず、使用済みの内視鏡11がリプロセスセンタ14へ入庫する入庫時に行われる入庫作業において、内視鏡11が入庫する毎に記録される最新の入庫日時と、そのオーダのユーザIDと同じユーザ設定情報の最新の受付日時とに基づいて第1判定処理を行っている。そして、第1判定処理によって、入庫時において行われるべきユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを調べて、未実施の場合には警告を行うようにしたから、入力作業の作業忘れを防止することができる。また、第1判定処理は、入庫する毎に記録される入庫情報に基づいて行われるので、ユーザ設定管理テーブル47内のユーザ設定情報を常に最新の状態に保つことが可能である。
【0102】
また、入庫情報が入力された後、ユーザ設定情報の入力作業が行われるまでの間、所定時間間隔で繰り返し第1判定処理が行われるから、作業忘れをより確実に防止することができる。また、警告メッセージ52は、入庫情報の入力が行われる入庫画面51に表示されるので、作業忘れの防止効果が高い。
【0103】
次に、リプロセスが完了後の出庫作業において、在庫管理テーブル48に再設定情報を記憶させ、出庫先の内視鏡に対して、再設定作業がなされたかを判定する第2判定処理を実行し、再設定情報が無い場合に警告するようにしたから、再設定作業の作業忘れを防止することができる。また、再設定情報にはユーザIDも記録されており、第2判定処理においてユーザIDの照合も行っているから、出庫先のユーザに応じた適正なユーザ設定情報が再設定されているかについても判定することができる。
【0104】
「第2実施形態」
第1実施形態の第1判定処理は、入庫画面51において入庫情報が入力されることを契機として実行される例で示したが、図19に示すように、入庫情報の入力の有無とは無関係にユーザ設定情報が検索されたときに第1判定処理を行うようにしてもよい。情報管理端末28は、起動中、検索指示の入力を待機する(S300)。指定されたユーザIDの検索指示が入力されると(S300でY)、制御部28aは、第1判定処理を実行する(S310)。第1判定処理の内容は、第1実施形態と同様である。そして、第1判定処理の判定結果に基づいて、ユーザ設定情報の入力作業が実施されている場合(S320でY)には、ユーザ設定情報の内容を画面に表示する(S340)。一方、ユーザ設定情報の入力作業が実施されていない場合(S320でN)に警告処理をする(S330)。警告処理では、第1実施形態と同様の警告メッセージ52が画面に表示される。
【0105】
ユーザ設定情報の検索は、ユーザ設定情報の内容の確認や、ユーザ設定情報の再設定作業を準備する段階で行われる場合が多いと考えられるので、検索時に第1判定処理を実行することは実行タイミングとして好適である。もちろん、第2実施形態と第1実施形態を組み合わせても可である。そうすれば、ユーザ設定情報の入力作業の作業忘れをより確実に防止できる。また、リプロセスが開始されるときに、洗浄消毒装置などからリプロセスの開始の通知を情報管理端末28に送信するようにして、情報管理端末28がその通知を受けたときに、第1判定処理を実行するようにしてもよい。このように、第1判定処理のタイミングは、種々変形が可能である。
【0106】
「第3実施形態」
第3実施形態は、オーダ受付端末27が発行した出庫指示の通知を情報管理端末28が受けたことを契機として、第1判定処理と第2判定処理を実行する例である。情報管理端末28は、オーダ受付端末27からの出庫指示の通知を待機する(S400)。
【0107】
出庫指示の通知を受信した場合(S400でY)、出庫指示の通知からユーザIDを読み出し(S410)、図13に示す第1判定処理を実行する(S420)。第1判定処理の判定結果に従って、ユーザ設定情報の入力作業が実施されていない場合(S430でN)には、警告メッセージ52(図10参照)を画面に表示する(S440)。入力作業が実施されている場合(S430でY)は、出庫指示の通知から機器IDを読み出して(S450)、図18に示す第2判定処理を実行する(S460)。第2判定処理の判定結果に従って、ユーザ設定情報の再設定作業が実施されていない場合(S470でN)は、警告メッセージ58(図15参照)を画面に表示する(S480)。この後、再設定作業が実施されるまで、警告処理を予め決められた所定時間間隔で繰り返す(S490)。再設定作業実施されるまでの間、警告メッセージ58の表示が継続される。
【0108】
出庫先を指定する出庫指示の通知が未受信の段階では、再設定作業は実施されていないので(図3参照)、1回目の第2判定処理の判定結果は未実施となり、警告メッセージ58が表示されることになる。出庫準備作業は、出庫指示によって開始される(図3参照)。そして、出庫先は出庫指示によって明らかになるので、出庫指示の通知を受けたタイミングは、第2判定処理の実行可能な最も早いタイミングとなる。したがって、第2判定処理のタイミングとしては第3実施形態のタイミングが最も好ましい。また、第3実施形態では、第1判定処理も行われるので、再設定すべきユーザ設定情報が最新の状態にあるかを確認することもできる。なお、上記第1〜第3の各実施形態の組み合わせももちろん可である。
【0109】
また、上記実施形態では、第1判定処理の判定の基礎とする受付情報と入庫情報として、それぞれ最新の受付日時及び最新の入庫日時を例に説明したが、第1判定処理は、日時以外の情報でも可能である。
【0110】
例えば、内視鏡11の入庫情報を「入庫済み」又は「未入庫」の二値で記録し、ユーザ設定情報の受付情報を「実施済み」又は「未実施」の二値のいずれかで記録する。この場合、ユーザ設定情報の入力作業を実施した場合には、ユーザ設定管理テーブル47の受付情報に「実施済み」が記録される。そして、内視鏡11が出庫され、再び入庫する前までに出庫先のユーザIDに対応するユーザ設定管理テーブル47の受付情報を「実施済み」から「未実施」に戻す。次回入庫した時点では、受付情報は「未実施」となっているので、入庫後にユーザ設定情報の入力作業が実施されるまでの間、第1判定処理の判定結果は、未実施と判定されるので、警告が行われる。
【0111】
また、上記実施形態では、第2判定処理について、再設定情報を「実施済み」と「未実施」の二値で判定を行うようにしたが、再設定情報として、再設定日時を記録し、第2判定処理を、再設定日時と入庫日時に基づいて行ってもよい。この場合、同じ機器IDの最新の再設定日時と最新の入庫日時とを比較して、最新の再設定日時が最新の入庫日時以後であるか否かを調べて、再設定日時が入庫日時以後である場合に、「実施済み」と判定され、再設定日時が最新の入庫日時よりも前である場合に、「未実施」と判定される。
【0112】
上記実施形態では、本発明のユーザ設定情報管理装置を、レンタルサービスに適用する例で説明したが、レンタルサービス以外でも、例えば、医療施設が保有する内視鏡の洗浄消毒を含むリプロセスについて、医療施設からの委託を受けて代行するリプロセス代行サービスに適用してもよい。リプロセス代行サービスの場合は、リプロセスセンタへの内視鏡の入庫は医療施設からの預かり、リプロセスセンタからの出庫は医療施設への返却、となる。
【0113】
リプロセスにおいては、分解や部品交換を伴う修理が行われる場合があるので、その過程において内視鏡に設定されているユーザ設定情報がリセットされてしまう場合がある。リプロセス代行サービスにおいても、内視鏡を医療施設に返却する場合には、ユーザ設定情報を入庫時の状態に戻して返却するのが望ましい。そのため、リプロセス代行サービスの場合も、ユーザ設定情報を管理する必要がある。
【0114】
ただし、リプロセス代行サービスの場合は、内視鏡の保有者が医療施設(ユーザ)であり、レンタル業者が内視鏡を保有し、1つの内視鏡が不特定多数のユーザに貸し出されるレンタルサービスと異なる。こうした違いから、レンタルサービスの方が、ユーザ設定情報の管理方法が複雑化するため、本発明はレンタルサービスの場合に特に有効である。理由は以下の通りである。
【0115】
リプロセス代行サービスでは、入庫した内視鏡に設定されているユーザ設定情報を、そのまま、出庫時に同じ内視鏡に再設定してユーザに返却すればよい。つまり、リプロセス代行サービスの場合は、内視鏡の機器IDとそれを使用するユーザIDが1対1で対応するため、機器IDとユーザIDを区別する必要はない。
【0116】
これに対して、レンタルサービスの場合は、1つの内視鏡が不特定多数のユーザに使用されることを予定しているので、上記実施形態で説明した通り、1つの内視鏡に対して出庫毎に異なるユーザ設定情報を再設定する必要がある。つまり、レンタルサービスの場合は、機器IDとユーザIDは1対1で対応しないため、機器IDとユーザIDを区別して取り扱う必要が生じる。そのため、リプロセス代行サービスの場合と比べて、ユーザ設定情報を管理するしくみが複雑化する。
【0117】
例えば、リプロセス代行サービスの場合は、機器IDとユーザIDが1対1で対応しているため、機器ID単位でレコードが生成されるテーブル(例えば在庫管理テーブル)にユーザ設定情報を登録しておけば、そのテーブルとは別にユーザID単位でレコードが生成されるテーブル(例えばユーザ設定管理テーブル)を持たなくて済むが、レンタルサービスの場合は、機器IDとユーザIDが1対1で対応しないため、ユーザID単位でレコードが生成されるテーブルが必ず必要になる。このように、情報管理のしくみが複雑化するほどコンピュータシステムを利用する必要性は高い。したがって、本発明は、リプロセス代行サービスと比較して、レンタルサービスの場合に特に有効である。
【0118】
また、リプロセス代行サービスとレンタルサービスの両方を提供する事業者がユーザ設定情報を管理する場合に本発明を適用してもよい。本発明によれば、レンタルサービスとリプロセスサービスが混在する場合でも、両者を区別することなく、同じ処理フロー、同じプログラムで統一的にユーザ設定情報を管理することができるので、コンピュータシステムを構築するコスト負担を軽減できる。
【0119】
また、上記実施形態では、医療施設とは別のレンタル業者のリプロセスセンタでユーザ設定情報を管理する例で説明したが、もちろん、医療施設内の内視鏡洗浄室などのリプロセスを行う処理場においてユーザ設定情報を管理する場合に使用してもよい。もちろん、レンタルサービスの場合は、取り扱う内視鏡の本数が1つの医療施設と比較して多いので、本発明はレンタルサービスの場合に特に有効である。
【0120】
また、上記実施形態では、内視鏡のユーザ設定情報として、内視鏡の内蔵メモリに格納される設定情報のようにリーダライタによって読み取りが可能なユーザ設定情報と、調節つまみの設定位置などのように作業スタッフの目視によって読み取られるユーザ設定情報の2種類の情報を読み取る例で説明している。このうち、リーダライタによって読み取り可能なユーザ設定情報については、例えば、入庫情報の入力が行われたときに、内蔵メモリからの読み取りが自動的に行われ、出庫情報の入力が行われたときに、内蔵メモリへの書き出しが自動的に行われるというように、入庫情報や出庫情報が情報管理端末へ入力されたことを契機として、情報管理端末の制御部がリーダライタを介して内蔵メモリからのユーザ設定情報の読み取りと内蔵メモリへのユーザ設定情報の書き出しを自動的に実行するようにしてもよい。
【0121】
上記実施形態では、内視鏡のユーザ設定情報として、イメージセンサのゲイン設置値、機能ボタンの割り当て内容、硬度調節の設定位置を例に説明したが、これらに代えて、あるいは、これらに加えて、他のユーザ設定情報を使用してもよい。
【0122】
また、例えば、内視鏡の内蔵メモリに記憶されるユーザ設定情報は、内視鏡のユーザ設定情報に限らず、プロセッサ装置や光源装置など内視鏡と接続される周辺装置のカスタマイズ機能によって設定されるユーザ設定情報でもよい。
【0123】
例えば、プロセッサ装置のカスタマイズ機能としては、モニタに表示する観察画面の色合いや輝度をユーザの好みに応じて設定できる機能がある。こうしたプロセッサ装置で設定したユーザ設定情報が内視鏡の内蔵メモリに格納される。内視鏡がプロセッサ装置と接続されると内視鏡の内蔵メモリからプロセッサ装置がユーザ設定情報を読み込んで、読み込んだユーザ設定情報に従ってモニタの色合いや輝度を自動設定する。プロセッサ装置は、複数のユーザに共用されることが多いので、プロセッサ装置のユーザ設定情報を内視鏡の内蔵メモリに格納し、これを自動的にプロセッサ装置が読み込む機能は、ユーザにとってメリットが大きい。
【0124】
また、処理場においてリプロセスされる医療機器として内視鏡を例に説明したが、プロセッサ装置や光源装置などの内視鏡の周辺装置でもよい。もちろん、内視鏡や周辺装置などの内視鏡検査機器に限らず、例えば、携帯用のデジタルX線検査機器である電子カセッテでもよい。
【0125】
上記実施形態では、本発明のユーザ設定情報管理装置を、受付手段、判定手段、警告手段を構成する情報管理端末28と、記憶手段を構成するDBサーバ29からなるコンピュータシステムで構成した例で説明したが、情報管理端末28は1台に限らず、複数台あってもよい。また、DBが構築される記憶手段としては、DBサーバ29以外でもよく、例えば、NAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)といったネットワークを介して接続するストレージデバイスを使用してもよい。また、情報管理端末28に内蔵のハードディスクドライブからなるストレージデバイスにDBを構築して、これを記憶手段としてもよい。このように、ユーザ設定情報管理装置を実現するコンピュータシステムの物理構成は適宜変更が可能である。
【0126】
また、上記実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶことはもちろんである。
【0127】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0128】
10 レンタル支援システム
27 オーダ受付端末
28 情報管理端末
28a 制御部(判定手段、警告手段、表示制御手段)
29 DBサーバ
31 CPU
36 コンソール
38 ディスプレイ
39 操作デバイス
46 オーダ管理テーブル(第1記憶手段)
47 ユーザ設定管理テーブル(第2記憶手段)
48 在庫管理テーブル(第3記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの医療機器を再使用可能にするリプロセスを行う処理場へ前記医療機器が入庫する毎に記録され、前記医療機器が処理場に入庫したことを表す入庫情報と、前記処理場への入庫直前に前記医療機器を使用したユーザのユーザIDとを関連付けて記憶する第1記憶手段と、
前記医療機器から読み取られ、前記医療機器に対して前記ユーザが設定済みのユーザ設定情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記ユーザID毎に、前記ユーザ設定情報と前記受付手段が前記入力を受け付けたことを表す受付情報とを関連付けて記憶する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段からそれぞれ読み出した、同じユーザIDに対応する前記入庫情報と前記受付情報に基づいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを判定する第1判定処理を実行する判定手段と、
前記判定手段が、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されていないと判定した場合に警告する警告手段とを備えていることを特徴とする医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項2】
前記ユーザ設定情報の入力には、前記ユーザ設定情報の新規入力、入庫時において前記第2記憶手段に既に記憶されている前記ユーザ設定情報の更新入力、及び入庫時において前記第2記憶手段に既に記憶されている前記ユーザ設定情報と入庫した前記医療機器から読み取られる前記ユーザ設定情報とを目視で照合する照合作業が実施されたことを表す照合記録の入力の3つの入力のうち少なくとも1つの入力が含まれることを特徴とする請求項1に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項3】
前記入庫情報は入庫日時、前記受付情報は受付日時であり、
前記判定手段は、前記第1判定処理において、前記第1記憶手段と第2記憶手段を参照して、同じユーザIDに対応する最新の入庫日時と最新の受付日時を読み出し、読み出した前記受付日時と前記入庫日時とを比較して、前記受付日時が前記入庫日時以後である場合に、前記ユーザ設定情報の入力が実施されたと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項4】
前記入庫情報が入力される入庫画面をディスプレイに表示する表示制御手段を備えており、
前記判定手段は、前記入庫画面において前記入庫情報が入力されたときに、前記第1判定処理を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記入庫情報が入力された後、前記第1判定処理を所定時間間隔で繰り返し実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項6】
リプロセスが施された処理済みの前記医療機器の機器IDを含み、前記医療機器に対して、出庫先のユーザIDに対応する前記ユーザ設定情報の再設定作業が実施されたことを表す再設定情報を記憶する第3記憶手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記再設定情報を調べて、前記再設定作業が実施されたか否かを判定する第2判定処理を実行することを特徴とする請求項7記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項8】
出庫日時を含む出庫情報が入力される出庫画面をディスプレイに表示する表示制御手段を備えており、
前記判定手段は、前記出庫画面において前記出庫情報の入力が行われる際に、前記第2判定処理を実行することを特徴とする請求項7記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項9】
出庫される医療機器の機器ID及び出庫先のユーザIDを指定する、出庫指示の通知を受信する受信手段を備えており、
出庫指示の通知を受信した後、前記第2判定処理を所定時間間隔で繰り返し実行することを特徴とする請求項7又は8記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項10】
前記判定手段は、第2記憶手段内のユーザ設定情報の検索が行われたときに、前記第1判定処理を実行することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項11】
前記医療機器は、異なる複数の出庫先に貸し出されるレンタル医療機器を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の医療機器用のユーザ設定情報管理装置。
【請求項12】
使用済みの医療機器を再使用可能にするリプロセスを行う処理場へ前記医療機器が入庫する毎に記録され、前記医療機器が処理場に入庫したことを表す入庫情報と、前記処理場への入庫直前に前記医療機器を使用したユーザのユーザIDとを関連付けて第1記憶手段に記憶させる第1記憶ステップと、
前記医療機器から読み取られ、前記医療機器に対して前記ユーザが設定済みのユーザ設定情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記ユーザID毎に、前記ユーザ設定情報と前記受付ステップにおいて前記入力が受け付けられたことを表す受付情報とを関連付けて第2記憶手段に記憶させる第2記憶ステップと、
前記第1記憶手段及び前記第2記憶手段からそれぞれ読み出した、同じユーザIDに対応する前記入庫情報と前記受付情報に基づいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されたか否かを判定する第1判定処理を実行する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、前記ユーザ設定情報の入力作業が実施されていないと判定された場合に警告する警告ステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする医療機器用のユーザ設定情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−186802(P2011−186802A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51668(P2010−51668)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】