説明

医療機器管理装置及び医療機器管理システム

【課題】医療機器の安全使用を確保するための医療機器管理装置等を提供すること。
【解決手段】医療機器10の種類情報を含む機器情報61a及び稼働履歴情報を有する医療機器情報格納部61等と、医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報63aを医療機器の種類情報と関連付けて複数種類有する異常有無判断基準情報格納部63と、を有し、異常有無判断基準情報は、稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて医療機器の異常を判断できる情報となっており、異常判断部57が種類情報に基づき異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する前記稼働履歴情報を、当該医療機器の稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっており、異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、異常情報を当該医療機器の修理担当者の機器への送信する構成となっている医療機器管理装置50。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、病院等に配置される人工心肺装置、血糖値測定器、輸液装置等の医療機器の稼働状況等を管理するための医療機器管理装置及び医療機器管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等には、人工心肺装置、血糖値測定器、輸液装置等の医療機器が配置されている。そして、これらの医療装置,医療機器等は、患者の治療,生体情報の収集等に使用するためのものであり、安全に使用できるよう日頃より医療機器の安全管理が求められている。
具体的には、各病院等には医療機器管理業務の専門家である臨床工学技士等により医療機器が管理されることが好ましいが、管理業務専任の技士は少なく、診療業務との兼任で業務負担が重くなるという問題がある。
一方、医療機器の安全管理を医療機器メーカーが担うことも考えられるが、人的な面で対応が難しいという問題がある。
【0003】
ところで、医療機器とは異なる空調設備等の場合は、各空調設備とサーバをネットワークを介して、その異常を管理するシステムは提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−181302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、医療機器は、人の治療等に用いられる機器であったり、人の生体情報を収集する機器であり、その管理には、通常の電気製品とは異なり、高度な安全管理が求められるためシステム等の構築が困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、医療機器の安全使用を確保するための医療機器管理装置及び医療機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、本発明にあっては、医療機器と通信可能に接続されている医療機器管理装置であって、医療機器から取得した当該医療機器の種類情報を含む機器情報及び稼働履歴情報を格納する医療機器情報格納部と、医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報を前記医療機器の前記種類情報と関連付けて複数種類格納する異常有無判断基準情報格納部と、を有し、前記異常有無判断基準情報は、前記稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて前記医療機器の異常を判断できる情報となっており、異常判断部が前記種類情報に基づき前記異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する前記稼働履歴情報を、当該医療機器の前記稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっており、前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、異常情報を当該医療機器の修理担当者の機器へ送信する構成となっていることを特徴とする医療機器管理装置により達成される。
【0008】
前記構成によれば、医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報を医療機器の種類情報と関連付けて複数種類格納する異常有無判断基準情報格納部と、を有し、異常有無判断基準情報は、稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて医療機器の異常を判断できる情報となっており、異常判断部が種類情報に基づき異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する稼働履歴情報を、当該医療機器の稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっている。
このため、医療機器の種類に応じて、その種類毎に異常を検知するために最適な稼働履歴情報、例えば、温度等の情報に基づき、当該医療機器の異常を判断することができるので、医療機器の異常を細やかに判断できる。したがって、医療機器の安全管理をより確実に行うことができ、医療機器の安全使用を確保することができる。
【0009】
好ましくは、前記異常情報には、当該医療機器の異常の程度を示す異常程度情報が含まれていることを特徴とする医療機器管理装置である。
【0010】
前記構成によれば、異常情報には、当該医療機器の異常の程度を示す異常程度情報が含まれているので、通知を受けた修理担当者は、当該異常の程度、例えば、緊急を要するか否か等を直ちに判断することができる。
【0011】
好ましくは、前記異常程度情報は、当該機器の前記種類情報のみから求められる機器種類異常程度情報、当該機器の使用歴のみから求められる機器使用歴異常程度情報及び当該機器の前記種類情報及び当該機器の前記稼働履歴情報に基づいて求められる具体的異常程度情報を統合した総合異常程度情報であることを特徴とする医療機器管理装置である。
【0012】
前記構成によれば、異常程度情報は、当該機器の前記種類情報のみから求められる機器種類異常程度情報、当該機器の使用歴のみから求められる機器使用歴異常程度情報及び当該機器の種類情報及び当該機器の稼働履歴情報に基づいて求められる具体的異常程度情報を統合した総合異常程度情報である。
このため、前記異常程度情報は、機器毎の修理等の緊急性を判断する際、当該稼働履歴情報の異常だけでなく、機器の種類や使用の期間も考慮される。
例えば、人工心肺装置等の医療機器は、血糖値測定器等の医療機器より緊急性の程度が高く、医療機器の使用歴が浅い場合は緊急性が高い等の事情を併せて考慮して緊急性を判断することができる。
したがって、修理担当者は、医療機器の異常の緊急性をより正確に判断することができる。
【0013】
好ましくは、前記異常有無判断基準情報は、前記医療機器の故障の有無を判断する故障判断基準情報と、前記医療機器の保守の必要性の有無を判断する保守判断基準情報を含むことを特徴とする医療機器管理装置である。
【0014】
前記構成によれば、異常有無判断基準情報は、前記医療機器の故障の有無を判断する故障判断基準情報と、前記医療機器の保守の必要性の有無を判断する保守判断基準情報を含むので、医療機器の故障異常のみならず、故障に至らない保守の必要性も自動的に判断する。
このため、修理担当者は、故障又は保守の必要性を迅速に知ることができ、医療機器の安全使用をより確実に確保することができる。
【0015】
好ましくは、前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、その結果情報を記憶する結果情報記憶部を有し、前記異常判断部が、前記異常情報を当該医療機器の修理担当者に送信する前に、前記結果情報記憶部を参照し、同種の結果情報が所定期間内に発生していたか否かを判断し、発生していない場合に前記異常情報を当該医療機器の修理担当者の機器への送信する構成となっていることを特徴とする医療機器管理装置である。
【0016】
前記構成によれば、異常判断部が、異常情報を当該医療機器の修理担当者に送信する前に、結果情報記憶部を参照し、同種の結果情報が所定期間内に発生していたか否かを判断し、発生していない場合に異常情報を当該医療機器の修理担当者の機器への送信する構成となっている。このため、修理担当者への重複した連絡を回避することができる。
【0017】
上記課題は、本発明にあっては、医療機器と、前記医療機器と通信可能に接続されている医療機器管理装置と、前記医療機器の修理担当者の機器と、を有する医療機器管理システムであって、前記医療機器管理装置は、前記医療機器から取得した当該医療機器の種類情報を含む機器情報及び稼働履歴情報を格納する医療機器情報格納部と、医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報を前記医療機器の前記種類情報と関連付けて複数種類格納する異常有無判断基準情報格納部と、を有し、前記異常有無判断基準情報は、前記稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて前記医療機器の異常を判断できる情報となっており、異常判断部が前記種類情報に基づき前記異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する前記稼働履歴情報を、当該医療機器の前記稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっており、前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、異常情報を当該医療機器の修理担当者の前記機器へ送信する構成となっていることを特徴とする医療機器管理システムにより達成される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、医療機器の安全使用を確保するための医療機器管理装置及び医療機器管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態にかかる医療機器管理システムを示す概略図である。
【図2】図1の医療機器の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図1の管理サーバの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図4】図3の各種データ記憶部内のデータを示す概略ブロック図である。
【図5】医療機器管理システムの主な動作等を示す概略フローチャートである。
【図6】医療機器管理システムの主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図7】医療機器管理システムの主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図8】医療機器管理システムの主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図9】医療機器管理システムの主な動作等を示す他の概略フローチャートである。
【図10】機器情報テーブルを示すデータ例である。
【図11】故障判断基準テーブルを示すデータ例である。
【図12】機器形式基準優先度係数テーブルを示すデータ例である。
【図13】機器使用歴基準優先度係数テーブルを示すデータ例である。
【図14】総合優先度ランク判断テーブルを示すデータ例である。
【図15】判断結果テーブルを示すデータ例である。
【図16】修理担当者テーブルを示すデータ例である。
【図17】保守判断基準テーブルを示すデータ例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態にかかる医療機器管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、医療機器管理システム1は、例えば、病院等に配置される医療機器10a乃至10cを有している。この医療機器10aは、例えば、心肺装置、輸液ポンプ,シリンジポンプ等の輸液装置、血管内を測定する超音波イメージング装置、血管内を測定する赤外線イメージング装置、血糖値測定器等となっている。
これら医療機器10a等は、病院内では例えば、LAN等で接続されていると共に、外部に対しては、図1に示すようにインターネット2と接続されている。
また、図1に示すように、病院の医療機器10a等を管理するための医療機器管理装置である例えば、管理サーバ50が、例えば、中央管理センターに配置され、この管理サーバ50は、インターネット2を介して病院内の医療機器10a等と通信可能に接続されている。
【0022】
また、図1に示すように、病院内の医療機器10a等の製造会社である医療機器メーカー内に配置されている修理担当者用のPC(personal computer)3もインターネット2と接続され、管理サーバ50及び医療機器10a等と相互に通信可能な状態となっている。
さらに、本実施の形態では、上記修理担当者用携帯電話4もインターネット2と接続されている。
このため、医療機器10a等の状況を管理している管理サーバ50が、医療機器10a等の故障等を検知した場合は、その情報を直ちにインターネット2を介して、修理担当者用PC3や修理担当者用携帯電話4に通知することができる構成となっている。
【0023】
図1の医療機器10a等、管理サーバ50、修理用担当者用PC3及び修理担当者用携帯電話4は、コンピュータ等を有し情報を制御等している。
このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、例えばバス等を介して配置されている。
このバスは、すべてのデバイスを接続する機能を有し、アドレスやデータパスを有する内部パスである。CPUは所定のプログラムの処理を行う他、バスに接続されたROM等を制御している。ROMは、各種プログラムや各種情報等を格納している。RAMは、プログラム処理中のメモリの内容を対比したり、プログラムを実行するためのエリアとしての機能を有する。
【0024】
図2は、図1の医療機器10a等の主な構成を示す概略ブロック図であり、図3は、図1の管理サーバ50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、医療機器10a等は、医療機器側制御部11を有し、医療機器側通信装置12、ディスプレイ13及び入力装置14等がこの医療機器側制御部11と接続され、制御されている。
また、図2に示すように、医療機器10a等は、当該医療機器10a等の機器番号、機器形式、機器名称、販売年月日、配置されている病院のID、医療機器会社の修理担当者番号、ソフトウエアバージョン等の機器情報を格納する機器情報格納部15を有している。
さらに、医療機器10a等は、その動作履歴である例えば、温度、使用回数等の稼働履歴情報を格納する稼働履歴情報格納部16を有し、医療機器側制御部11によって制御されている。
【0025】
また、図3に示すように、管理サーバ50は、管理サーバ側制御部51を有し、管理サーバ側通信装置52、ディスプレイ53、入力装置54及び時刻を計時する時刻部55等が、この管理サーバ側制御部51と接続されている。
また、図3に示すように、管理サーバ50は、定期チェック動作実行部(プログラム)56、異常判断部である例えば、故障判断部(プログラム)57及び保守判断部58、そして、その他の各種データ記憶部59を有し、これらは、管理サーバ側制御部51に接続されている。
図4は、図3の各種データ記憶部59内のデータを示す概略ブロック図である。
なお、図3の各プログラム及び図4の各種データについては、後で詳細に説明する。
【0026】
図5乃至図9は、医療機器管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
以下、図5乃至図9のフローチャートに沿って医療機器管理システム1の動作等を説明すると共に、図1乃至図4等の構成等も併せて説明する。
【0027】
上述のように、図1に示す管理サーバ50は、インターネット2を介して、病院内の医療機器10a等と通信可能な状態にあり、管理サーバ50は、医療機器10a等を24時間毎に監視する。
具体的には、図5のST1に示すように、前回の医療機器10a等へのアクセスから24時間経過したか否かを判断する。すなわち、図3の定期チェック動作実行部(プログラム)56が、図4の定期チェック時間情報格納部60に格納されている情報である例えば、24時間を参照すると共に、図3の時計部55等をも参照して、24時間経過を判断する。
【0028】
ST1で24時間経過したと判断された場合は、ST2へ進む。ST2では、管理サーバ50が、医療機器10a等に、当該医療機器10a等の機器情報及び稼働履歴情報を送信するように要求する。
【0029】
ST2の要求を受信した医療機器10a等は、ST3で、その要求に応じて、機器情報及び稼働履歴情報を送信する。具体的には、医療機器10a等は、図2の機器情報格納部15に格納されている機器番号、機器形式、機種名称、販売年月日、病院ID、修理担当者番号、ソフトウエアバージョン等の機器情報を送信する。
また、医療機器10a等は、図2の稼働履歴情報格納部16に格納されている温度、使用回数等の稼働履歴情報を送信する。
なお、機器情報は、管理サーバ50が、一度受信すれば、その後情報に変更がないため、その後は受信せず、稼働履歴情報のみを受信することになる。
【0030】
次いで、ST4に進む。ST4では、管理サーバ50は、医療機器10a等から受信した機器情報を図4の機器情報テーブル格納部61に格納し、医療機器10a等から受信した稼働履歴情報を図4の稼働履歴情報テーブル格納部62に格納する。
図10は、機器情報テーブル格納部61に格納された機器情報テーブル61aを示すデータ例である。
図10に示すように、機器情報テーブル61aには、例えば、機器No.(機器情報)、機器形式、機器名称、販売年月日、病院ID、修理担当者No.(情報)及びソフトウエアバージョン等が記憶されている。
なお、機器情報テーブル格納部61及び稼働履歴情報テーブル格納部62が医療機器情報格納部の一例となっている。
【0031】
次いで、ST5へ進む。ST5では、図3の管理サーバ50の故障判断部(プログラム)57が動作し、図10の機器情報テーブル61aの当該医療機器の種類情報である例えば、「機器形式」のデータを参照する。図10の場合は、機器形式が「ABC」となる。
次いで、ST5では、故障判断部(プログラム)57が、異常有無判断基準情報格納部である例えば、図4の故障判断基準テーブル格納部63を参照する。この故障判断基準テーブル格納部63には、図11に示すように、故障判断基準情報である例えば、故障判断基準テーブル63aが格納されている。
図11は、故障判断基準テーブル63aを示すデータ例である。
具体的には、機器形式毎の故障を判断するための情報が格納されている。例えば、機器形式が「ABC」の場合は、その判断項目が「温度」であり、故障判断値は5℃で、判断方法は「以下」と定められている。
したがって、この例では、機器形式が「ABC」の場合は、温度が5℃以下か否かで、当該医療機器10a等の故障の有無を判断することになる。
このように、故障判断基準テーブル63aの情報は、医療機器10a等の「機器形式」情報と関連づけてられている。
【0032】
そこで、ST5では、先ず、故障判断部(プログラム)57が、図10の「機器形式」と同一の機器形式のデータを図11から探し、その場合の判断項目、上記の例では「温度」を取得する。
【0033】
次いでST6へ進む。ST6では、故障判断部(プログラム)57が、ST5で取得した判断項目である「温度」に対応する情報、すなわち、「温度」情報を図4の稼働履歴情報テーブル格納部62の稼働履歴情報エーブルから探すと共に、図11の故障判断基準テーブル63aから故障判断値及び判断方法を取得する。
【0034】
次いで、ST7へ進む。ST7では、当該医療機器10a等の稼働履歴情報の例えば、「温度」情報が、図11の故障判断値及び判断方法、例えば、「5℃以下」であるか否かを判断する。
【0035】
ST7で、「5℃以下」と判断されれば、当該医療機器10a等は、故障と判断される。このように、本実施の形態では、当該医療機器10a等の種類に応じて異なる故障判断項目を有し、当該判断項目により故障の有無を判断するので、医療機器10a等の種類に応じたきめ細やかな故障判断をすることができ、医療機器10a等の安全使用を確保することができる。
【0036】
一方、ST7で、当該医療機器10a等が故障でないと判断された場合は、保守の必要があるか否かを判断するため、図5に示すように「保守判断工程」が実施される。
この「保守判断工程」については後述する。
【0037】
また、ST7で、当該医療機器10a等が故障と判断された場合は、ST8以下へ進む。ST8以下では、当該医療機器10a等の故障の緊急度等の程度が判断される。
【0038】
先ず、ST8では、当該医療機器10a等の具体的な故障の程度を判断する。具体的には、故障判断部(プログラム)57が動作して、図11の故障判断基準テーブル63aの当該機器形式における具体的異常程度情報である「故障優先度係数」を参照し、この「故障優先度係数」、図11の例では、例えば、「2」が、図4の当該故障優先度係数情報格納部に格納される。
これにより、当該医療機器10a等の故障、上記例では、機器形式「ABC」における「温度」異常の故障判断結果における故障の優先度が特定される。
【0039】
次いで、ST9へ進む。ST9では、故障判断部(プログラム)57が動作して、図4の機器形式基準優先度係数テーブル格納部65を参照して、機器種類異常程度情報である例えば、機器優先度係数を取得する。すなわち、図4の機器形式基準優先度テーブル格納部65には、図12に示す、機器形式基準優先度係数テーブル65aが格納されており、このテーブルでは、機器形式に対応した、機器固有の優先度係数が示されている。
例えば、医療機器10a等が人工心肺装置のように治療上極めて重要な場合は、その機器優先度係数が比較的高く、一方、医療機器10a等が血糖値測定装置等の場合は比較的低く設定されている。
したがって、この機器優先度係数により、故障した医療機器10a等の緊急度等を判断することができるようになっている。
図12は、機器形式基準優先度係数テーブル65aを示すデータ例である。
【0040】
上記例では、機器形式が「ABC」であるため、図12の機器形式基準優先度係数テーブル65aを参照し、機器優先度係数「2」を取得して、図4の当該機器形式基準優先度係数情報格納部66に格納する。
【0041】
次いで、ST10へ進む。ST10では、故障判断部(プログラム)57が動作して、図10の機器情報テーブルの「販売年月日」の情報と図3の時計部55の「年月日」の情報を取得して、その差を求め、当該医療機器10a等の「使用期間データ」を演算し、その結果を図4の使用期間データ格納部67に格納する。
【0042】
次いで、ST11へ進む。ST11では、故障判断部(プログラム)57が動作して、図4の機器使用歴基準優先度係数テーブル格納部68を参照する。この機器使用歴基準優先度係数テーブル格納部68には、例えば、機器使用歴基準優先度係数テーブル68aが格納されている。
この機器使用歴基準優先度係数テーブル68aは、図13に示すように、医療機器10a等の使用期間に応じた機器使用歴異常程度情報である使用歴基準優先度係数が示されており。当該医療機器10a等の使用期間に応じた故障対応の緊急度等が容易に判断できる構成となっている。
したがって、故障判断部(プログラム)57が、図4の使用期間データ格納部67のデータを、機器使用歴基準優先度係数テーブル68aに当てはめることで、容易に当該医療機器10a等における使用歴基準優先度係数を求めることができる構成となっている。
図13は、機器使用歴基準優先度係数テーブル68aを示すデータ例である。
ST11では、このようにして求めた使用歴基準優先度係数を、図4の当該機器使用歴基準優先度係数情報格納部69に格納される。
【0043】
これで、医療機器管理システム1は、対象とする医療機器10a等の故障対応の緊急度等として3つの指標を取得することになる。すなわち、当該医療機器10a等の温度等の判断項目における故障対応の緊急度等の程度情報(当該故障優先度係数情報)、当該医療機器10a等の機器種類による故障対応の緊急度等の程度情報(当該機器形式基準優先度係数情報)及び当該医療機器10a等の使用期間による故障対応の緊急度等の程度情報(当該機器使用歴基準優先度係数情報)である。
そこで、本実施の形態では、これらの3つの指標を統合し、最終的な故障対応の緊急度等の指標を演算する。
【0044】
具体的には、ST12で、故障判断部(プログラム)57が、当該故障優先度係数情報格納部64、当該機器形式基準優先度係数情報格納部66及び当該機器使用歴基準優先度係数情報格納部69内のデータを参照し、これらを統合(例えば、各係数を加えて、「6」等の数値とする)して、当該総合優先度係数情報(例えば、「6」)を作成し、図4の当該総合優先度係数情報格納部70に格納する。
【0045】
次いで、ST13へ進む。ST13では、故障判断部(プログラム)57が、図4の当該総合優先度係数情報格納部70と総合優先度ランク判断テーブル格納部71を参照する。
この総合優先度ランク判断テーブル格納部71には、図14に示すように、総合優先度係数情報に対応する総合異常程度情報(異常程度情報)である例えば、総合優先度ランク情報を示す総合優先度ランク判断テーブル71aが格納されている。この総合優先度ランク情報は例えば、「高、中、低」という3段階で示されている。
したがって、故障判断部(プログラム)57は、図4の当該総合優先度係数情報格納部70内の数値、例えば、「6」を、図14の総合優先度ランク判断テーブル71aに当てはめることで、容易に総合優先度ランクを把握することができる。上記の例では数値が「6」なので、総合優先度ランクは「高」となる。
図14は、総合優先度ランク判断テーブル71aを示すデータ例である。
【0046】
また、ST13では、このようにして求められた総合優先度ランク情報は、図4の当該総合優先度ランク情報格納部72に格納される。
これにより、対象とする医療機器10a等の故障対応の緊急度等としての上記3つの指標を統合した最終的な故障対応の緊急度等の指標を取得することができる。
【0047】
次いで、ST14へ進む。ST14では、故障判断部(プログラム)57が、上述の判断結果を、図4の結果情報記憶部である例えば、判断結果テーブル格納部73に格納する。
図15は、判断結果テーブル格納部73内の判断結果テーブル73aを示すデータ例である。図15に示すように、判断結果テーブル73aには、「機器No.」、「判断項目」、「判断結果」、「判断日」及び「優先度ランク」が記憶されることになる。
【0048】
次いで、ST15へ進む。ST15では、故障判断部(プログラム)57が、図4の判断結果テーブル格納部73内の判断結果テーブル73a(図15参照)を参照して、今回判断した対象の医療機器10a等と同一の「機器No.」で、「判断結果」が「故障」である直近のデータが存在するか否かをチェックする。
【0049】
そして、ST16で、かかるデータが存在した場合、ST17へ進み、故障判断部(プログラム)57が、かかる直近の判断結果テーブル73aの「判断日」と今回の「判断日」を比較し、その差分を演算して、その期間データを取得する。
そして、ST18へ進み、その期間が所定期間以内、例えば7日以内であるかを判断し、7日を超えている場合はST19へ進む。
【0050】
ST19では、故障判断部(プログラム)57が動作し、図10の機器情報テーブル61aの「修理担当者No.」及び図16の修理担当者テーブル格納部74の修理担当者テーブル74aを参照し、修理担当者のメールアドレス等の連絡先を取得する。
そして、機器形式、機器名称、病院名、判断項目、総合優先度ランク等の情報を異常情報である、例えば、故障情報として,図1の修理担当者PC3及び/又は修理担当者用携帯電話4に送信する。
図16は、修理担当者テーブル74aを示すデータ例である。
【0051】
したがって、かかる故障情報を受け取った修理担当者は、対象の医療機器10a等の故障の有無のみならず故障の緊急度等も即座に把握することができるので、迅速な対応をすることができる。
また、本実施の形態では、今回判断した対象の医療機器10a等と同一の「機器No.」で、「判断結果」が「故障」である直近のデータが存在し、当該データの判断日が7日以内の場合は、修理担当者に連絡されない構成となっている。
したがって、重複する故障情報を重ねて通知することがないので、修理担当者が混乱することを未然に防ぐことができる。
【0052】
ところで、図7で、対象とする医療機器10a等が、故障ではないと判断された場合、本実施の形態では、当該医療機器10a等について保守の必要性があるか否かを判断する。この保守必要性判断工程を図8及び図9を用いて説明する。
【0053】
先ず、図8のST31に示すように、図3の保守判断部(プログラム)58が動作し、図4の保守判断基準テーブル格納部75内の保守判断基準情報である図17に示す保守判断基準テーブル75aを参照し、判断項目(例えば、温度)に対応する稼働履歴情報(例えば、「温度」)(図4の稼働履歴情報テーブル格納部62)を取得し、図17の保守必要判断値(例えば、10℃)及び判断方法(例えば、以下)を参照する。
図17は、保守判断基準テーブル75aを示すデータ例である。
【0054】
そして、ST32で、稼働履歴情報である例えば、判断項目(パラメータ)の1つとしての「温度」が、「10℃以下」であるか判断し、以下の場合は、保守が必要と判断する。
【0055】
次いで、ST33へ進む。ST33では、保守判断部(プログラム)58が動作し、図17の保守判断基準テーブル75aの「保守優先度係数」のデータを求め、図4の当該保守優先度係数情報格納部76に格納する。
【0056】
以下、ST34乃至ST36の内容は、上述したST9乃至ST11と同様の内容であり、同様に、「当該機器形式基準優先度係数」及び「当該機器使用歴基準優先度係数」が求められる。
そして、ST37では、「当該保守優先度係数情報」、「当該機器形式基準優先度係数」及び「当該機器使用歴基準優先度係数」により、総合優先度係数情報が生成される。
【0057】
ST38乃至ST44は、上述のST13乃至ST19と同様の内容に処理を行い、「保守必要性情報」が、その保守の必要性の優先度指標である「総合優先度ランク」と共に修理担当者に知らされることになる。
【0058】
したがって、本実施の形態では、故障情報だけでなく、保守必要性情報も、その保守必要性の優先度の程度指標と共に修理担当者に報知されるので、医療機器10a等の安全使用をより確実なものとすることができる。
【0059】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0060】
1・・・医療機器管理システム、2・・・インターネット、3・・・修理担当者用PC、4・・・修理担当者用携帯電話、10a乃至10c・・・医療機器、11・・・医療機器側制御部、12・・・医療機器側通信装置、13・・・ディスプレイ、14・・・入力装置、15・・・機器情報格納部、16・・・稼働履歴情報格納部、50・・・管理サーバ、51・・・管理サーバ側制御部、52・・・管理サーバ側通信装置、53・・・ディスプレイ、54・・・入力装置、55・・・時刻部、56・・・定期チェック動作実行部(プログラム)、57・・・故障判断部(プログラム)、58・・・保守判断部、59・・・各種データ記憶部、60・・・定期チェック時間情報格納部、61・・・機器情報テーブル格納部、62・・・稼働履歴情報テーブル格納部、63・・・故障判断基準テーブル格納部、64・・・当該故障優先度係数情報格納部、65・・・機器形式基準優先度係数テーブル格納部、66・・・当該機器形式基準優先度係数情報格納部、67・・・使用期間データ格納部、68・・・機器使用歴基準優先度係数テーブル格納部、69・・・当該機器使用歴基準優先度係数情報格納部、70・・・当該総合優先度係数情報格納部、71・・・総合優先度ランク判断テーブル格納部、72・・・当該総合優先度ランク情報格納部、73・・・判断結果テーブル格納部、74・・・修理担当者テーブル格納部、75・・・保守判断基準テーブル格納部、76・・・当該保守優先度係数情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器と通信可能に接続されている医療機器管理装置であって、
医療機器から取得した当該医療機器の種類情報を含む機器情報及び稼働履歴情報を格納する医療機器情報格納部と
医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報を前記医療機器の前記種類情報と関連付けて複数種類格納する異常有無判断基準情報格納部と、を有し、
前記異常有無判断基準情報は、前記稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて前記医療機器の異常を判断できる情報となっており、
異常判断部が前記種類情報に基づき前記異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する前記稼働履歴情報を、当該医療機器の前記稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっており、
前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、異常情報を当該医療機器の修理担当者の機器へ送信する構成となっていることを特徴とする医療機器管理装置。
【請求項2】
前記異常情報には、当該医療機器の異常の程度を示す異常程度情報が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の医療機器管理装置。
【請求項3】
前記異常程度情報は、当該機器の前記種類情報のみから求められる機器種類異常程度情報、当該機器の使用歴のみから求められる機器使用歴異常程度情報及び当該機器の前記種類情報及び当該機器の前記稼働履歴情報に基づいて求められる具体的異常程度情報を統合した総合異常程度情報であることを特徴とする請求項2に記載の医療機器管理装置。
【請求項4】
前記異常有無判断基準情報は、前記医療機器の故障の有無を判断する故障判断基準情報と、前記医療機器の保守の必要性の有無を判断する保守判断基準情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の医療機器管理装置。
【請求項5】
前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、その結果情報を記憶する結果情報記憶部を有し、
前記異常判断部が、前記異常情報を当該医療機器の修理担当者に送信する前に、前記結果情報記憶部を参照し、同種の結果情報が所定期間内に発生していたか否かを判断し、発生していない場合に前記異常情報を当該医療機器への修理担当者の機器の送信する構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の医療機器管理装置。
【請求項6】
医療機器と、
前記医療機器と通信可能に接続されている医療機器管理装置と、
前記医療機器の修理担当者の機器と、を有する医療機器管理システムであって、
前記医療機器管理装置は、
前記医療機器から取得した当該医療機器の種類情報を含む機器情報及び稼働履歴情報を格納する医療機器情報格納部と
医療機器の異常の有無の判断基準である異常有無判断基準情報を前記医療機器の前記種類情報と関連付けて複数種類格納する異常有無判断基準情報格納部と、を有し、
前記異常有無判断基準情報は、前記稼働履歴情報の少なくとも一つの情報に基づいて前記医療機器の異常を判断できる情報となっており、
異常判断部が前記種類情報に基づき前記異常有無判断基準情報を特定し、特定された当該異常有無判断基準情報が指定する前記稼働履歴情報を、当該医療機器の前記稼働履歴情報から取得し、その異常の有無を判断する構成となっており、
前記異常判断部が、当該医療機器の異常ありと判断したとき、異常情報を当該医療機器の修理担当者の前記機器へ送信する構成となっていることを特徴とする医療機器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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