説明

医療用インプラント

少なくとも部分的に生体適合性であって固有電気抵抗ρを有する導電性ポリマーを含んだ医療用インプラントであり、前記ポリマーを介した電流の通流によって加熱可能および軟化可能である性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1前段に記載の医療用インプラントと、請求項70前段に記載の医療用インプラントを備えた装置と、請求項71前段に記載の骨接合方法と、請求項81前段に記載のさらに別の骨接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人骨あるいは動物の骨への固定の目的のための骨接合方法および類似の方法のために生体適合性かつ熱可塑性の材料を使用することは既知の技術であり、例えば熱接着ピストル(例えば米国特許第5290281号明細書)と同様な外部熱付加あるいはウッドウェルディング社の国際公開第2006/002569号パンフレットに従った超音波エネルギーを使用するポリマーの液化等の多様な方式が実施されている。勿論これらの技術は問題点も伴っている。外部の熱源(熱接着ピストル)による加熱によって、骨との結合が進行する間にインプラントを再度冷却しないようにするためにインプラントを極めて迅速に挿入する必要があり、その理由はインプラントが極低い熱容量を有していてまたその熱可塑性材料が軟化した状態のみにおいて例えば骨の間隙に進入し得るためである。材料が冷却されると同時に骨との結合はそれ以上進行しなくなる。また早急な硬化を防止するために必要な熱可塑性材料の過大な加熱も材料ならびに(骨)組織の両方を損傷し得るため問題である。さらに、(本来好適なように)インプラントから組織への移行領域のみが加熱されるものではなく、加熱および軟化されることが望ましくない領域が熱源と加熱目標領域の間に存在するためその領域も加熱されてしまう。冷却後の熱可塑性樹脂の除去は困難であり、周囲の組織を過剰に加熱することなく実施することは殆ど不可能である。上記の各問題点は、例えば赤外線等の電磁放射線の照射においても発生する。
【0003】
上述の外部熱源に関係する問題点は超音波エネルギーを直接的に付加する液化の場合は発生しないが、骨が充分な機械的強度を備えていて(振動する)熱可塑性樹脂が骨との接触領域において軟化することが必要であるという難点があり、また骨の機械的な損傷の危険性がある。熱可塑性樹脂の確実な溶融を保証するためには原則的に可能な限り高密度の骨組織が存在する必要がある。特に骨接合された領域等の骨内へのポリマーの良好な融着が望まれる個所においてポリマーの溶融が極めて不充分に達成される可能性があり、溶融度が不足すると機械的な結合が達成されない。超音波技術の別の問題点は骨との結合が達成されポリマーが硬化した後に再度の溶融が不可能であることであり、すなわち大きな労力(例えば穿孔、破断、溶融、分解の待機)を伴わずにインプラントを再び除去することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5290281号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/002569号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点について改善を図るものである。従って本発明の目的は、内部の熱生成によって軟化させることができる医療用インプラントを提供することである。特に外部熱源を使用する従来の技術に比べて、過剰な熱による組織(以下においては大抵の場合骨を例にして説明する)の損傷のリスクを低減する。固定性能の骨質への依存性を大幅に削減する。導電性のポリマーは電流の付加によって再び軟化させ少なくとも部分的に除去することを可能にする。
【0006】
本発明に係る医療用インプラントを使用することによって(ポリマーを軟化させるための)実質的な熱効果がインプラントの内部およびインプラントと骨の間の移行部分上で生成されるため上記のリスクが低減される。電流によるエネルギー放出はインプラントが骨と接触する部分においてインプラントの内部に集中し、また比較的小さな導電性インプラントの有効断面積のためその部分(理想的には接触部分)において最大の電流密度に対して最大の熱生成が達成される。この効果はインプラントと電線の適宜な設計によってさらに強化することができる。さらに、ポリマーは適宜な組成とすれば溶融後にその電気抵抗を10−10の係数で低減させることができ、その結果通流する電流によってそれ以上は顕著に発熱しないことが知られている。従ってこのシステムは熱的および機械的にある程度自己調節型になり周囲の組織を損傷しないようにする。別の実施形態においては、抵抗の上昇も場合によって(例えばポリマー粒子を相互に融着させるために)好適であることが証明された。
【0007】
さらに、インプラントあるいはインプラントと骨の移行領域の導電性を骨のものに比べて低く選択すれば骨の加熱が小さくなり、それによって骨を保護することができる。
【0008】
必要に応じて冷却剤、洗浄液あるいはガス/空気によって骨を選択的に冷却することも可能である。
【0009】
本発明に係る医療用インプラントは多様なインプラント形式で実施することができ、特にネジ、ピン、クリップ、プロング、プレート、釘、スパイクワイヤ、ケージ、茎スクリュー(釘)、ステント、エキスパンダ、穿孔具、皮膚接合材、薬剤キャリア、遺伝子剤キャリア、生物活性因子(例えば成長因子、骨成長促進物質、鎮痛剤等)のキャリア、別のインプラントの支持体、ダボ、クランプ、パール、歯科インプラント、歯根インプラント、チューブ、管、糸、チューブあるいは管内の糸、組織、ウェブ、メリヤス、ストッキング、バンド、粗織物、結糸繊維、繊維フロック、顆粒、チェーン、スレッディングアイレットを備えたあるいは備えないアンカとして実施することができる。このインプラントは移植後に診断、刺激あるいはモニタリングのための身体上あるいは体内の電極として機能することができる。同じ要素を、一時的に電流を付加するが直接発熱しないように作用し後に選択的に除去することもできる内蔵のワイヤ、ピン、あるいはその他の導電体(同じ材質あるいは金属等のその他の材質からなる)によって加熱することもできる。これらの導電性の要素はその後残留させ生体吸収可能(例えばマグネシウム製)に形成することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により上記の課題は、請求項1の特徴を有する医療用インプラント、請求項70の特徴を有する医療用インプラントを含んだ装置、請求項71記載の骨接合方法、ならびに請求項81記載の別の骨接合方法によって解決される。
【0011】
本発明に係る医療用インプラントは、導電体内あるいは導電体同士の移行領域上において(電気回路内の)最も(オーム)抵抗が大きい場所を電流が通流する際に熱が発生するという効果を利用する。本発明に係る医療用インプラントにおいて特別なことは、それ自体が導電性であるかあるいは添加物によって導電性になるよう処理されたポリマー、特に熱可塑性材料を加熱するために電流を使用することである。意外なことにその種の熱可塑性かつ導電性のポリマーの補助によって、熱可塑性樹脂の軟化および適宜なインプラントの設計を通じて人間あるいは動物の骨に対する結合を好適には外科手術中に形成することが達成される。電気回路中の最も抵抗が大きい個所すなわち電圧降下が最も大きい個所において最大の発熱が生じるため、材料を所要の個所のみで軟化させるように特殊に加熱工程を制御することも可能になる。電流は最も抵抗が小さい経路を通流して回路を形成することに留意する必要がある。最も抵抗が大きい場所がその種の回路の最も抵抗が大きい個所に相当し、インプラント中の所要の領域を介して電流が通流するように強制されその他の方向には通流し得ないようにインプラントを設計する必要がある。それ以外の領域においてインプラント材料は局部絶縁体として機能し、従って軟化は少なくなる。人間あるいは動物の身体特に骨は電流回路において導体として機能するために極めて好適な導電体であることが知られており、後述する実施例において驚くほど温度上昇が少ないものである。そのことが溶融した状態において抵抗が低下するポリマーによってさらに補完される。
【0012】
特殊な実施形態においてインプラントは回路の1つの極(直流)上あるいは相導体(交流、高周波電流の場合)上に設置することができ、一方身体(骨)上に大面積の電極を介して他方の極あるいはゼロ電位線が設置される。電流は電極を介してインプラントに通流し、さらにインプラントを介して接触面/接触個所から身体例えば骨に通流し、その後中性電極を介して流出する。電流は所要の最大電気(オーム、誘導、あるいは容量)抵抗もしくは最大電圧降下の個所においてインプラントを加熱して軟化させる。
【0013】
それに代えて患者の体を介さずに適宜に装着された2つの極(バイポーラ)の間でインプラントを介して直接電流を通流させることもでき、それによってインプラントはこの場合も抵抗が最大の個所/領域で加熱され軟化/溶融する。
【0014】
以下に本明細書の全体中で頻繁に使用される用語の概念を定義する:
電流:本発明は電極によって適宜に付加されインプラント中を通流する電流をインプラントの加熱および軟化のために使用する。電流は金属中の直流電流のように電子が通流するオーム電流とすることができる。移動させる電荷担体として陽子あるいはその他の帯電粒子も考えられる。電流は塩溶液中の電流のようなイオン移動とすることもできる。電池のように電子あるいは荷電体の移動を可能にする化学反応を使用することもできる。勿論誘導あるいは容量電流も含まれ、その実施形態において容量性荷電体移動が好適な電流通流方式である。また電流が多様な方式で通流することもでき、例えば骨中でイオン流として通流しポリマー中においては例えば同時に電子流として通流することができる。電流あるいは電圧は、直流、交流、特に好適には高周波交流(無線周波)として使用することができる。さらに、スパークを本発明の実施形態において使用することもできる。
【0015】
溶融/軟化/可塑化:本発明においてインプラントの溶融、軟化あるいは可塑化としては、最初は(通常手によって)使用可能に可塑性に変形可能ではなかったインプラントが身体内で中程度(通常手による)圧力付加によって変形可能になり本発明の方式で使用可能になるまで電流自体あるいはそれによって発生する熱によってインプラントを軟化させることが理解される。
【0016】
抵抗および導電性:“電気抵抗”および“導電性”としては使用される電流方式に対する面積抵抗率(オーム/スクウェア)、体積導電率(S/cm)あるいは絶対抵抗が理解される。それらの定義は変更可能であって限定的なものではない。特に本発明は必要な軟化のために充分な電流を形成するために充分な材料の導電性を達成することを目標とし、そうでなければ充分に大きな電圧降下を生じさせそれによってインプラントを軟化させるために充分に大きなエネルギー放出をインプラント内で発生させるために所定の抵抗が必要となる。理想的には、周囲の組織を損傷しない(加熱を小さくする)ようにするためにその周囲の組織よりも著しく低い導電性を目標とすべである。最後に、導電性は電流方式、電圧、材料断面積、および材料の体積導電率/抵抗率の関数となり、実施形態に適応させる必要がある。複素交流計算においては“抵抗”という概念が“レジスタンスR”と“リアクタンスX”の成分を有するいわゆる“インピーダンス”である複素数によって代替される。
【0017】
中性電極:“中性電極”としては交流電流の場合においてゼロ電位線あるいは接地線に接続される極が理解される。
【0018】
モノポーラ:“モノポーラ”としては身体を介して電流通流(皮膚上あるいはその他の身体部分上のゼロ電位線、“中性電極”あるいは接地線介し大面積の電極による)が実施され交流電圧は典型的にインプラントを介して供給される、実施形態が理解される。極を逆にすることもできる。
【0019】
バイポーラ:ここで“バイポーラ”としてはインプラントの近傍に設置された2つの電極(例えば2つの極を有する電気ピンセット)を介した電流の流入および流出が理解される。これの利点は身体を介した電流の通流を削減あるいは回避し得ることである。
【0020】
有機半導体:“有機半導体”は、一方で電荷移動錯体の一群、他方ではポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等ならびにそれらの誘導体である導電性ポリマーの一群を示す。それらのポリマーは常に任意の混合物あるいはそれらの純粋なトランス形あるいはシス形の形態で存在することができる。
【0021】
自己導電性ポリマー:添加物なしで導電性であるポリマーが理解され、追加的に同様に導電性のコポリマー(例えばラクチドとピロールのコポリマー)も含まれる。
【0022】
導電性に形成されたポリマー:特にミクロあるいはナノ領域の粉末、自己導電性のポリマー、低分子物質、あるいは液体等の添加物を含み、その添加物によって導電性にされたポリマーが理解される。このグループからは、繊維マット、ループ状繊維、ワイヤ、糸、針等の巨視的な構成成分を含んでいてポリマー自体は非導電性でそのポリマー内に含まれた追加的な構成成分のみが発熱してそれによって周囲のポリマーを軟化させるようなポリマーは除外される。
【0023】
本発明に係る医療用インプラントは多様な課題の解決を可能にするものであり、そのうちいくつかの課題について以下に記述する。
【0024】
課題A:移植の最中の電流による医療用インプラントの選択的あるいは全体的な加熱および軟化あるいは液化:
ここで例えばピンを使用する場合、導電性のピンの末端(骨と反対側の)に接続された電極と前記の導電性のピン自体とさらに身体(例えば骨)への接触個所と身体を介して中性電極への回路が形成される。インプラントと骨の間の接触個所において最大の電圧降下(最大抵抗)が発生し、熱可塑性樹脂が加熱されて軟化ないし液状になる。ピンの中核は、それが全くあるいは極僅かにしか加熱されず硬質状態を維持するように設計される。従ってピンは例えば小さめのサイズを有するように予め穿設された穴内に挿入することができ、軟化した導電性の熱可塑性樹脂が骨中の間隙内に圧入される。電流の遮断後熱可塑性樹脂が冷却されて急速(1ないし2分未満)に硬化し、機械的な結合が形成される。
【0025】
課題B:インプラントを移植中に変形するための熱可塑性樹脂を含んだインプラントの選択的あるいは全体的な加熱
ここで例えば導電性のピンに対してその輪郭内に高い抵抗を有する領域を設けて再び回路内に設置し、その高い抵抗を有する領域上でピンを加熱する。その部分においてピンが変形することができる。
【0026】
課題C:導電性の熱可塑性樹脂を含んだインプラントの身体内への局部的な固定の形成
例えば射出成形等の適宜な製法によって内部応力を備えるようにピンを形成する。ピン全体を加熱することによって熱可塑性樹脂が柔軟化してピンが短くなるとともに直径が増大し、それによって周囲の組織内あるいは組織上での固定が達成される。
【0027】
課題D:導電性の熱可塑性樹脂を含んだ複数のインプラントを相互に溶着させることによるインプラント間の局部的な結合の形成
これは別々に身体内に挿入することができる2つの熱可塑性インプラント部材の結合において実施される。その際に結合される両方(あるいは複数)のインプラント部材を介して必要な電流が通流し得るよう配慮する必要がある。両方(あるいは複数)のインプラント部材を挿入した後インプラント部材を接触個所で軟化させる電流を通流させ、圧力の付加によって結合することができる。そのようにして例えば結び目を形成しないようにするため糸を接着することができ、その際例えば双極性の電流源によって電流が直接結合個所を通流することができる。
【0028】
課題E:中空組織のライニング
血管、腸、胃、骨、尿管、膀胱、子宮、胆嚢、卵管、膣、尿道等は上述のインプラント材料から形成された医療用インプラントによって例えばステントの形態でライニングしそれによって例えば機械的に補強することができる。その際内部応力を有するステントを加熱膨張によって変形するか、あるいは軟化した状態のステントを例えば気球の膨張による機械的圧力の付加によって変形することができる。
【0029】
課題F:軟質組織あるいは骨の締め付けあるいは被覆
例えばインプラント材料から胃壁を(開口リングとして)形成し、電流付加によって変形可能にして閉鎖式のリングに結合することができる。同様にポリマーバンドをセルクラージュ材料として使用することもできる。
【0030】
課題G:皮膚閉鎖
比較的低い融点を有する好適なポリマーを例えば機械的な皮膚閉鎖のためあるいはECG電極取り付けのために直接皮膚上に接着することもできる。
【0031】
課題H:身体内への挿入後にインプラント材料の切開によって変形可能なインプラントの製造
ここで使用される上述のインプラント材料は電流によって選択的に切断あるいは切開することができるインプラントを製造するために使用することもでき、従って特に高電圧あるいは大電流で比較的小さく“鋭い”電極を有する電気焼灼器を使用して例えば導電性の糸を切断することもできる。変形したあるいは溶融したピンは例えば骨表面上で切断するかあるいは骨の表面に対して平坦になるまで変形させることができる。そのようにして薬剤キャリアを開放して作用成分を放出させることができる。
【0032】
本発明に係る医療用インプラントを軟化あるいは液化させるためには任意の方式の電流が適しており、特に直流、交流、誘導電流(マイクロ波)、三相電流、多相/多極電流、および一般的な電気焼灼器の電流パターンが好適である。
【0033】
電流誘導は多様な方式で実施することができ、例えば2つの電極(“バイポーラ”)を使用し熱可塑性樹脂あるいは(“モノポーラ”)身体を介した直接的な電流誘導、容量性、オーム性あるいはイオン電流による電流誘導、スパーク(アーク)による電流誘導によって実施することができる。電流源としては例えば電気焼灼器、VAPR(ジョンソンアンドジョンソン社の商品名)、あるいはマイクロ波発振器等の電流源が適している。
【0034】
高周波の交流電圧の場合好適な交流電圧の周波数は:20kHz超、特に300kHzないし3MHz(無線周波数)である。典型的な電流源の平均出力は:小型のピンあるいは固定要素(直径0.1ないし5.0mm)に対して:約0.1ないし50.0ワット、特に0.5ないし10.0ワットである。大型の補綴物の固定あるいは大型の骨損傷の充填のためには1ないし2000ワットとなる。個々のパルスが付加される間のピーク出力は5kWもしくはさらに大きいものとなり得る。一般的な電圧は:20Vないし3000V、特に20ないし300Vとなる。一般的な電流強度は:0.01ないし100.00アンペア、特に0.05ないし10.00アンペアとなる。交流電圧の形態(無線周波数交流電流)は:正弦波、矩形波、台形波等、さらに非対称形あるいは対称形、パルス状あるいは連続状となる。一般的なパルス長は:0.1msないし50msとなる。
【0035】
特に、回路の抵抗/インピーダンス(オーム)、電流(アンペア)、および放出される出力(ワット)の測定、インプラントあるいは周囲の組織の温度の直接的(例えば温度センサ)あるいは間接的(例えば赤外線カメラ)な測定によって電流強度を制御し得ることに配慮する必要がある。それによって過剰な加熱を防止し、インプラントをその他の組織やインプラント(糸)と同様に保護することができる。電気焼灼手段はしばしばそのため(一定あるいは調整された出力放出のため)に使用可能な制御機構を最初から備えている。別の可能性は、インプラントの機械的な抵抗を変形に際して測定し、それに従って電気出力を調節することである。別の調節作用としてポリマーの抵抗変化を加熱あるいは軟化に際して使用しそれによって加熱を制御することができる(上述参照)。
【0036】
本発明に係る医療用インプラントのための生体適合性かつ生分解性のポリマーは:ポリαヒドロキシエステル、ポリオルトエステル、ポリアンヒドライド、ポリフォスファゼン、ポリ(プロピレンフマレート)、ポリエステルアミド、ポリエチレンフマレート、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、炭酸トリメチレン、ポリジオキサン、ポリヒドロキシブチレート、ならびにそれらの共重合体および混合物の一群から選択することができる。
【0037】
本発明に係る医療用インプラントのための生体適合性であるが生分解性ではない熱可塑性ポリマーは:ポリエチレン、ポリスチロール、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルホンの一群の中から選択することができる。
【0038】
本発明に係る医療用インプラントのための熱可塑性のポリマーは例えば下記の一群の物質から選択することができ、その際添加物の指標に応じて融点を低下させる必要がある:
アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアクリル、セルロイド、アセチルセルロース、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、フッ素樹脂、イオノマー、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル(PANあるいはアクリロニトリル)、ポリアミド(PAあるいはナイロン)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリルエーテルケトン(PAEKあるいはケトン)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンクロリネート(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリスルホン(PSU)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(PHEMA)。
【0039】
医療用インプラントの個々の領域の所要の温度安定性は、個々の材料の導電性、融点ならびに固有電気抵抗に従った材料の選択によって変化させることができる。
【0040】
本発明に係る医療用インプラントのために使用する熱可塑性材料がそれ自体全体的に導電性でない場合、適宜な導電性要素(例えばケーブル、導電体、鉄製あるいはチタン製の芯)との組合せによって少なくとも部分的に導電性の熱可塑性樹脂に改質することができ、それによって電流を導通させる電極として適用することができる。その際患者の身体と電気的に接触する接触領域を完全あるいは部分的に導電性の熱可塑性樹脂によって被覆することができる。前記の接触領域が部分的に導電性の熱可塑性樹脂によって被覆される場合、それ以外の表面は非導電性であることが好適である。このことは適宜な材料選択あるいは適宜な被覆、例えばヒドロキシアパタイトまたはその他の例えば骨導電性、骨誘電性、あるいは骨形成性の材料によって達成することができる。
【0041】
以下に本発明に係る医療用インプラントの適用に際しての処理ステップについて詳細に記述する:
a)骨の準備、例えばボアホールの形成;
b)前記ボアホール内への固定要素の設置;
c)インプラントの(熱可塑性の)ポリマーの加熱;
d)固定する組織内へのインプラントの圧入;
e)例えば能動的冷却によって支援することができるインプラントの冷却。
【0042】
好適な実施形態において、250℃未満の加熱温度で軟化が生じるようにポリマーが選択される。
【0043】
別の実施形態においては、150℃未満、特に100℃未満の加熱温度で軟化が生じる。この実施形態の利点は組織の損傷を防止する身体(人間あるいは動物)内への移植が可能になることである。
【0044】
さらに別の実施形態においては、インプラントを加熱するためにポリマー自体以外のインプラント構成成分が含まれない。この実施形態は、インプラントの製造および使用に際して利便性が高いことを特徴とする。
【0045】
別の実施形態においては、医療用インプラントが電極を固定するための手段を含む。
【0046】
さらに別の実施例においては、前記手段がポリマーの表面上の窪みあるいは隆起から形成される。
【0047】
別の実施形態においては、前記手段は固有電気抵抗ρ<ρを有する材料から形成される。この実施形態の利点は、これによって電流が優先的にポリマーを介して通流し電極を固定するための手段を介しては通流せず、従って固定手段が同時に溶融しないことである。
【0048】
別の実施形態においては、ポリマーが半導体、特に有機半導体である。
【0049】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが拡張された共役二重結合(extensively conjugated double bonds)を有する分子鎖を含む。
【0050】
さらに別の実施形態においては、固有電気抵抗ρが500Ω・cm超、特に1500Ω・cm超となる。
【0051】
別の実施形態においては、固有電気抵抗ρが3000Ω・cm超、特に10000Ω・cm超となる。
【0052】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが少なくとも10−1Ω/スクウェア、特に少なくとも10Ω/スクウェアの面抵抗を有する。
【0053】
別の実施形態においては、ポリマーが最大でも1012Ω/スクウェア、特に最大でも10Ω/スクウェアの面抵抗を有する。
【0054】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが少なくとも10−11S/m、特に少なくとも10−4S/mの体積導電率を有する。
【0055】
別の実施形態においては、ポリマーが最大でも10S/m、特に最大でも10S/mの体積導電率を有する。通常体積導電率は0.1S/mとなる。
【0056】
さらに別の実施形態においては、ポリマーの溶融あるいはインプラントの加熱によってインプラント中の電気抵抗が低下する。
【0057】
別の実施形態においては、溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において電気抵抗が少なくとも0.5、特に10の係数で低下する。
【0058】
別の実施形態においては、溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において電気抵抗が100超の係数で低下する。この実施形態の利点はこれによって既に溶融された領域がそれ以上加熱されず、周囲の組織が保護されることである。
【0059】
さらに別の実施形態においては、ポリマーの溶融あるいはインプラントの加熱によってインプラント中の電気抵抗が増大する。
【0060】
さらに別の実施形態においては、溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において電気抵抗が少なくとも0.5、特に10の係数で上昇する。
【0061】
別の実施形態においては、ポリマーが等方性とされる。
【0062】
別の実施形態においては、ポリマーが異方性とされる。
【0063】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが熱可塑性材料とされる。
【0064】
さらに別の実施形態においては、熱可塑性材料がポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリアリーレン、ポリスピロ−ビフルオレン、ポリジアルキルフルオレン、ポリチオフェン、またはポリピロールの一群の中から選択される。
【0065】
別の実施形態においては、熱可塑性材料が以下の一群の中から選択される:
− それ自体導電性である熱可塑性ポリマー;
− 非導電性のポリマー(マトリクス)と導電化を可能にする充填剤あるいは添加剤との混合物;
− 導電性および非導電性のポリマーから合成されるコポリマー;
− 電気付加あるいは加熱によって化学反応(例えば重合)または物理反応(例えば形状変化)を誘発することができる導電性のポリマー;
− 電気付加あるいは加熱によって化学反応(例えば重合)または物理反応(例えば形状変化)を誘発することができる導電性の非ポリマー。その種の材料は例えばセラミック、ゲル、コラーゲン等の有機あるいは無機自然物質、またはペースト状の組成で液体中に付加され熱活性化によって硬化する化学物質とすることができる;
− 上記の材料の組合せ。
【0066】
さらに別の実施形態においては、医療用インプラントがポリマーの他に特に以下の一群の中から選択される別の材料からなるインプラント部材をさらに含む:金属、炭素、セラミック、PEEK、好適にはポリメチルメタクリレートの基から選択される非熱可塑性のポリマー、および/またはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムあるいは骨セメント等の無機材料。
【0067】
別の実施形態においては、ポリマーがそれ自体導電性である。
【0068】
さらに別の実施形態においては、ポリマーの導電性が適宜なドーピングによって達成される。
【0069】
別の実施形態においては、ポリマーが導電性のセラミック、特にガラス状あるいは非晶質の構造と組み合わされる。
【0070】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが非導電性のポリマーに対する導電性添加物質の付加によって得られる。適宜な添加物質は例えば:好適には3ないし50%の煤状物質(“カーボンブラック”);好適には3ないし50%で可能な限り均等にポリマー内に分散された最大1mmの長さの炭素繊維;好適には0.1ないし5%の炭素ナノチューブ;特に鉄、チタン、金、マグネシウム、鋼鉄等の金属粒子;特にNaCl、バリウム、マグネシウム塩等の塩;タンパク質および骨物質;脂質;ケイ酸塩である。全ての導電性の添加物質は、球体、フロック等の形態で添加することができる。
【0071】
別の実施形態においては、導電性の添加物質が粒子、顆粒、任意の外形を有する粒子蓄積体の形態からなる任意の導電性の固形あるいは流体材料から形成される。
【0072】
さらに別の実施形態においては、導電性の添加物質が以下の材料から選択される:
− 例えば鉄、マグネシウム、金、銀、合金あるいはアマルガム等の金属材料;
− 煤、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素粒子;
− 所要の大きさで電気の通流を可能にするために水分を急速に吸収することができる塩あるいは物質。その種の塩は例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、あるいはマグネシウム塩から形成することができる;
− 例えばピロール、アニリン、フッ素ジアルキル、チオフェン、またはエチレンジオキシチオフェンのポリマーから選択される導電性のポリマー;
− シリコーン等の生体適合性オイル;
− 特に塩溶液等の水性溶液。
【0073】
導電性が所要の目的に適合するように充填剤/添加剤の分量を目的とする適用形態に適応させる必要があり、例えば加熱された材料が熱可塑性、流動性、あるいは液状になるか、または特定の化学反応の導入に際して材料が硬化するように材料の電気抵抗を適応させる。
【0074】
別の実施形態においては、ポリマーが開孔質の構造を有する。この実施形態の利点は、そのことによって骨の治癒が促進され、また導電性の液体、ゲル、あるいはその他の物質の保持が可能になることである。
【0075】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが毛細管を有する。それによって、導電性を変化させるために身体の塩溶液あるいはその他の溶液が浸透することが可能になるという利点が達成される。
【0076】
別の実施形態においては、ポリマーが親水性の特性を有する。
【0077】
さらに別の実施形態においては、医療用インプラントが均質な材料から形成される。
【0078】
別の実施形態においては、前記の均質な材料が内部構造を有していない。
【0079】
さらに別の実施形態においては、ポリマーがインプラント被覆層の形態で存在する。
【0080】
別の実施形態においては、インプラントの表面の一部のみがポリマーによって被覆される。
【0081】
さらに別の実施形態においては、ポリマーがそれぞれ異なった固有電気抵抗ρを有する区域群を特に表面被覆の形態で含む。
【0082】
別の実施形態においては、被覆層が変動的な層厚を有する。
【0083】
さらに別の実施形態においては、インプラント全体あるいはポリマーのみが部分的に非導電性の材料によって被覆される。その結果、被覆の実施によって電流通流の経路を設定し得るという利点が達成される。前記非導電性の層は絶縁材として機能し短絡を防止するものである。
【0084】
別の実施形態においては、非導電性の材料が骨伝導性、骨誘導性、あるいは骨形成性の特性を有する。
【0085】
さらに別の実施形態においては、非導電性の材料がポリラクチドあるいはヒドロキシアパタイトである。
【0086】
別の実施形態においては、ポリマーが生体適合性かつ導電性の少なくとも2種類の異なった熱可塑性材料からなる混合物を含む。この実施形態は、一様なインプラント形状を有しながら異なった抵抗を有する複数群が得られることを特徴とする。前記の導電性熱可塑性材料はポリマー、ゲル、ペースト、ワックスの形態で存在し得る。
【0087】
さらに別の実施形態においては、医療用インプラントが固形の形態を有する。この実施形態の利点は、インプラントに対してより良好に外部圧力を付加し得ることである。
【0088】
別の実施形態においては、ポリマーが顆粒形態で存在する。それによって、ポリマーをその方式で間隙あるいは空洞内に充填しそこで固化させ得るという利点が達成される。
【0089】
さらに別の実施形態においては、医療用インプラントが繊維から形成され、その際ポリマーが好適には繊維の被覆として機能する。前記繊維はフロック状、湾曲形状、あるいは連結形とすることができ、また個々に糸、網、布地、あるいは袋体として存在することができる。この実施形態の利点は、織物/繊維状のインプラントを所要の形状に成形するとともに電流によって固化/固着し得ることである。
【0090】
別の実施形態においては、医療用インプラントが開孔質の発泡体あるいは海綿体の形態で存在する。
【0091】
別の実施形態においては、医療用インプラントが特に骨ネジ、骨杆体、骨ダボ、ピン、プレート、ダボ、ホース(管)、糸、ホース/管の糸、あるいは(スレッディングアイレットを備えた)アンカの形態の骨固定要素として形成される。
【0092】
別の実施形態においては、ポリマーが棒形状に形成されるとともに、電極と結合された金属棒あるいは電極上に固定的に取り付けられたピンを軸方向に摺動可能に収容するために適した中央縦穴を有する。
【0093】
別の実施形態においては、末端部分を除いて絶縁材が設けられていて縦穴内に収容可能である金属棒あるいは金属ワイヤをインプラントが含む。
【0094】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが棒形状に形成されるとともに非導電性の周囲絶縁層を含む。
【0095】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが棒形状に形成されるとともにより高い抵抗を有する第2の導電性ポリマーからなる外側ブシュを備える。
【0096】
別の実施形態においては、ポリマーがパールとして形成されるとともにワイヤの形態の電極と取り外し可能に結合可能である。
【0097】
別の実施形態においては、医療用インプラントが歯科インプラントあるいは歯根インプラントとして形成される。
【0098】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが少なくとも部分的に軟化した状態で存在する。
【0099】
別の実施形態においては、前記軟化した状態がポリマーを介して通流する電流によって形成される。
【0100】
さらに別の実施形態においては、前記電流が外部電流源によって生成される。
【0101】
別の実施形態においては、電流源が交流電源である。
【0102】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが20000Hz超、特に300000Hz超の周波数vを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能である。
【0103】
別の実施形態においては、ポリマーが0.001ないし10アンペアの電流強度Iを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能である。
【0104】
さらに別の実施形態においては、ポリマーが20ないし300ボルトの電圧Uを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能である。
【0105】
別の実施形態においては、軟化される容積Vのポリマーが出力密度P=0.005ないし5ワット/mmの交流電流によって約0.1ないし10秒以内に加熱可能および軟化可能である。その際付加されるエネルギーEは約E=0.0005ないし50ワット秒/mmとなる。
【0106】
別の実施形態においては、ポリマーが均一な導電性を備えておらず、その導電性が好適にはインプラントの表面上においてインプラントの内部よりも低くなる。両方の実施形態(バイポーラおよびモノポーラ)において本発明に係るインプラントは外側に向かって電気絶縁性の領域を備えることができ、すなわちモノポーラで使用されるピンにおいては例えば導電性のシャフトを非導電性の層で被覆し、インプラントの先端のみが身体に対して導電性の接触を有するようにすることができる。それによって、インプラントが例えばまずその先端上でのみ軟化して骨内で溶融しその間ピンのシャフトはその安定性を保持することが達成される。それによって選択的なポリマーの加熱が可能になり、特に電流によって溶融、液化、あるいは軟化することが必要な個所、特に患者の組織と接触するインプラントの表面を標的とした加熱が可能になるという利点が達成される。
【0107】
別の実施形態においては、医療用インプラントの導電性ポリマーが外部から電気エネルギーを付加されそれによって加熱されるような内部構成要素、内部構造あるいは繊維を含まない。
【0108】
別の実施形態においては、医療用インプラントの導電性ポリマー内の熱生成がその導電性ポリマーを介した電流通流のみによって達成される。
【0109】
別の実施形態においては、医療用インプラントの導電性ポリマー全体にその均一な加熱が達成されるように電流が通流する。
【0110】
別の実施形態においては、医療用インプラントの導電性ポリマー全体にその不均一な加熱が実施されるように電流が通流する。
【0111】
本発明の方法の好適な実施形態において、患者の身体がそれ自体回路の中性電極として使用される。
【0112】
本発明の方法の別の実施形態においては、医療用インプラントが回路内において2つの骨の間に接続される。これは骨−熱可塑性樹脂−骨の医療用インプラント適用形態に適している。
【0113】
本発明の方法の別の実施形態においては、回路の一電極が骨片に結合され第2の電極は該当する骨あるいは患者の身体のその他の部分に結合される。
【0114】
本発明の方法の別の実施形態においては、回路の一電極が骨片に結合され第2の電極は前記骨片と骨の間に挿入された医療用インプラントに結合される。
【0115】
本発明の方法のさらに別の実施形態においては、移植個所が骨穿孔部とされる。
【0116】
本発明の方法の別の実施形態においては、医療用インプラントが軟化していない状態において骨穿孔部より大きな寸法となる。
【0117】
本発明の方法のさらに別の実施形態においては、医療用インプラントが軟化していない状態において骨穿孔部より大きな寸法を有していないが内部予圧を有している。予圧の付加は例えば射出成形による製造中に実施することができる。
【0118】
本発明の方法の別の実施形態においては、導電性のポリマーが棒体の形状でインプラントの絶縁化された中空部内に挿入され、好適には導電性のコアを備える。
【0119】
本発明の方法のさらに別の実施形態においては、放射方向の流出穴を有する中空部を備えたインプラント内に導電性のポリマーが挿入される。
【0120】
別の実施形態においては、椎骨形成術のための医療用インプラントの適用が実施される。
【0121】
さらに別の実施形態においては、インプラントの鎖錠および/または心合せ、特に骨内に挿入した後の脊髄釘固定のための医療用インプラントの適用が実施される。
【0122】
さらに別の実施形態においては、軟化が40℃超の加熱温度で生じるようにポリマーが選択される。
【0123】
例1(プレート骨接合)
1mmの厚みを有するポリ−D,L−ラクチドから形成された吸収性の骨接合プレートを固定すべき骨片上に取り付け必要な穴を骨内に穿設した。この例は2.0mmのネジに対応する穴を有するプレートに関するものである。1.7mmの穴を骨内に穿設した。その後2.0mmの直径を有する導電性のピンを市販の電気焼灼器に接続された電極上に装着した。そのピンは15%のカーボンブラックが混合されたポリ−D,L−ラクチドから形成した。
【0124】
患者は通常の方式で電気焼灼器の中性電極に接続した。ピンはプレートのネジ穴を予め穿設された孔内に取り付け電流を付加した(出力5ワット)。導電性のピンを介して電流が通流してそれを加熱した。骨とピンの移行部分において最大の電圧降下が生じるためピン内に最大の熱が発生し、それによってピンが特にその表面上で軟化した。そこで電極への緩やかな圧力によって骨中に予め穿設された穴内にピンを圧入することができ、熱可塑性材料が近傍の海綿状の骨の骨梁間隙内に流入した。電流の遮断後ポリマーが再び冷却され1分未満の間に硬化した。ここでいくらかオーバーサイズの(すなわちプレート穴より幅が大きい)ヘッドを有するピンがプレートを所要の場所に保持した。
【0125】
例2(プレート骨接合)
例1に対する変更例において上記のピンと同等な導電性の熱可塑性樹脂から製造された骨プレートを使用した。ピンは上記の例と同様に装着した。プレートも穴の領域において導電性でありその部分においてプレートとヘッドの溶融が可能になるため、ピンのヘッドがプレートと接触すると同時にプレートとピンの間の溶着が発生した。冷却後ピンとプレートが互いに固定的に結合し、その結合が角度固定式になった。
【0126】
例3(骨アンカ)
ここで解決すべき課題は、糸によって腱またはその他の骨断片を保持するための骨内の糸の固定であった。そのため3mmないし15mmの直径を有する穴を骨内に深く穿設した。骨の穴内に高い融点を有する糸を挿入した。その穴の上にその穴よりもいくらか太いアンカを装着した。そのアンカは1000Ω/スクウェアの導電性を有するポリピロールから形成した。
【0127】
例1と同様に電気焼灼器によってアンカに電流を付加し、電流の通流によって軟化した後骨内に圧入した。電流の遮断後ポリマーが硬化し、アンカが骨内で糸と共に保持された。
【0128】
例4(骨アンカ)
例3と異なって横断孔を介して糸をアンカ内に挿入し、その後アンカを骨内に挿入してそこで電極と固定した。その後破断した腱を糸によって固定した。ここで糸は牽引力によって保持した。同時に実施した電流の点入によってアンカが部分的に溶融し、小さな圧力によって糸に接着しそれによって骨内での固定力が得られた。約30秒以内の冷却後糸の牽引力を解除することができた。通常は必要である結び目が省略された。
【0129】
例5(補綴物の移植)
チタン製の歯科インプラントにおいて遠心側の1/3を導電性の熱可塑性樹脂によって被覆した。そのためインプラントを25%のカーボンブラックを含んだポリ−D,L−ラクチド溶液で複数回浸漬し、その際各浸漬工程の間に乾燥させた。上方の2/3の表面は絶縁のために小さな分子量を有する急速溶解性のポリラクチド−コグリコリドによって同様に浸漬した。
【0130】
歯根先端と逆方の側部は電流源に接続した。インプラントをアンダーサイズに予穿設された穴内に設置して電流を点入した。電流が電極を介してインプラント内に通流しさらにポリマーならびに骨を介して流出すると同時に遠心側の末端の被覆が軟化し、インプラントを圧力によって穴に深く圧入することができた。骨内におけるポリマーの硬化によって負荷耐久性を有する骨とインプラントの間の一次結合が達成された。ポリラクチド−コグリコリドからなる被覆は数日内に分解されその後チタンインプラント上の骨の成長が可能になる。
【0131】
例6(血管クリップ)
クリップは止血のために血管を締めつける機能した。これは主に2本のアームと1個のヒンジとから形成した。アームは1個のバイポーラのクランプによって把持され血管がその間に保持された。アームに電流を付加して圧接した。電流によってヒンジが軟化しクリップの湾曲が可能になった。ヒンジと逆側の各アームの末端が互いに当接した際にそこにも電流が通流して両方のアームの溶融と所要の結合が達成された。
【0132】
例7(糸クリップ)
この実施形態においては、結び目を回避するために例6で記述したものと同様なクリップを糸の固定のために使用した。クリップは7mmの縦の長さを有し、同様な長さの2本のアームから形成した。アームの横径は3×3mmであった。
【0133】
例8(椎骨形成術)
第一腰椎の圧迫骨折を被った患者において、茎(局部麻酔された)を介して背側から4mmの直径を有する穴を椎体内に穿設した(長さ約4cm)。その穴を介して背側から未だ電流を付加せずにポリピロールを添加しそれによって1200Ω/スクウェアの導電性を達成したポリ−D−L−ラクチドのピン(直径3.9mm)を挿入した。ピン自体は外側に0.5mmの厚さのポリ−D−L−ラクチドからなる絶縁層が被覆され、0.6mmの直径の中央縦穴を備えていた。この縦穴内に電極と接続された0.55mmの金属棒(手術用スチール)が存在する。ここで電極に通電してピンを椎体内に挿入した。ピンがその先端上に絶縁層を有していないため、その部分で骨と接触して溶融する。ピンをさらに押し込むことによって(電極の位置を中央に保持、すなわちピンを壁厚の管のようにして電極上に深く押し被せる)、椎体へのポリ−D−L−ラクチドの充填を達成することができた。ピンは溶融に際して連続的にその先端上の絶縁層を喪失し、従ってピンの材料を継続的に溶融することによって椎体内にさらに押し込むことができた。2分間の冷却後椎体は負荷耐久性を有するとともに痛みが消えた。
【0134】
例9(電極設計)
ここでは極めて好適なインプラントと電極の構成について記述する:電極は例8と同様に電流が付加される個所の近くに挿入し得るように設計する。勿論この例においても電極は絶縁層を有していてその先端の7mmの長さのみが露出して導電性になっている。例8と同様に電極を中空のピン(15%のカーボンブラックを含んだポリラクチド製)内に挿入し、茎を介して椎体内に挿入した。ここで、電極を介して中空のピンを少ない抵抗で椎体内に挿入することができた。ここでは例8と異なってピンが茎壁に対して絶縁されていないが、電極が先端のみに電流を付加するためその先端のみが溶融する。臨床結果は例8と同様である。発展型の実施形態においては、電極の先端に温度センサを設けて、熱を測定するとともに制御回路を使用して電流源を制御することもできた。それによって過剰な発熱を追加的に防止することができた。
【0135】
例10(損傷充填)
例9で記述したものと同様なピンを骨の損傷の充填、ここでは脛骨頭損傷の充填のために使用した。そのため脛骨頭骨折を被った患者において直径4mmの穴を腹側から皮膚を介して患部に向かって穿設した(長さ2cm)。電流を付加しながらこの穴を介して骨の髄腔および海綿空間内にピンを挿入し、それによって複合骨接合術と同様な安定的な骨が形成された。その後その場所に挿入されたネジが溶融されたポリマー内で効果的に固定された。骨接合材料あるいは補綴物の存在下においてポリマーを追加的に溶融して流入させることによって同様な安定性が達成されることが判明した。
【0136】
例11(複合骨接合)
骨粗鬆症による大腿骨頸骨折の状況において、下記のように改良されたダイナミックヒップスクリューを大腿骨頸に移植した:内部に3mmの直径を有する追加的な縦孔を備えネジ山が設けられている先端部上に1mmの直径を有する10個の放射穴が設けられ、それによって中央孔と骨との間の交流が可能にされた。この中央孔内に例9と同様に絶縁化された2.9mmの直径を有するピンを挿入し、後方から電流を付加した。電流の付加によってピンがネジの内部で溶融して液化したポリマーが穴に沿って外の骨内に浸透し、それによってインプラントが保持された骨の補強が達成された。ポリマーの硬化後(2分)ネジは負荷耐久性となった。
【0137】
例12(ステント)
血管拡張の状況において、レントゲン医師が大腿口を介して心臓カテーテルを大腿血管内に設置しそのカテーテルを収縮した腎動脈内に挿入する。カテーテルの先端上には気球が取り付けられ、その周りに折り畳まれたポリピロール製のステント(直径1.5mm、長さ2cm)が設けられる。気球自体はモノポーラ導体でありステント内に折り畳まれて存在する。ここで気球に電流が付加され、その電流がステントを介して通流しこれを加熱および柔軟化する。ここで気球を膨張させて適正な血流が達成されるまでステントを延伸させることができる。電流を遮断しステントを冷却して硬化させ(40秒以内)、血管が開いたまま保持される。
【0138】
例13(メモリ効果)
射出成形によって骨アンカに予圧をもたせて製造する(PLA/ポリアニリン)。この冷却された状態においてアンカは直線状である(長さ10mm、直径3mm)。アイレットによってアンカの上部1/3に通された糸により、予め穿設された外踝の穴内に緩やかな圧力でアンカが押し込まれる。モノポーラで供給される電流による熱作用のためアンカの柔軟化がもたらされ湾曲する。それによってアンカが骨穴内に嵌合し機械的保持力が発生する。アンカ上の糸は30秒後に負荷をかけられるようになり、靭帯再形成のために使用することができる。
【0139】
例14(釘鎖錠)
骨接合のために大腿髄内釘を大腿骨内に挿入する。しかしながら患者は86歳で鎖錠を行うには遠心側において骨が脆弱過ぎるため、外科医は4mmの穴を側方から皮膚を介して釘に向かって穿設した。導電性樹脂からなる3.5mmのピンが穴を介して釘まで押し込まれた。ここでピンにモノポーラで電流を付加して髄管内に押し込み、その結果釘上でピンが継続的に溶融して流れ出して中空の髄管内に充満し、その際釘が埋め込まれた。インプラント材料が良好に髄腔内に分配されるように比較的高い出力(70ワット)を選択し、また過度に急速に冷却して硬化しないように高い熱容量を有するポリマーを選択した。電流の遮断後釘が確実に大腿骨の中心に固定された。
【0140】
次に、本発明ならびにその追加構成について添付の一部概略化した図面ならびに複数の実施例を参照しながら以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明に係る医療用インプラントの一実施形態を示した縦断面図である。
【図2a】本発明に係る医療用インプラントの第2の実施形態を示した縦断面図である。
【図2b】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した縦断面図である。
【図3a】歯科インプラントとして形成された本発明に係る医療用インプラントの別の実施形態の溶融工程前の状態を示した横断面図である。
【図3b】図3aの実施形態の移植実施後の状態を示した横断面図である。
【図4】股関節補綴物として形成された本発明に係る医療用インプラントの別の実施形態の移植実施後の状態を示した縦断面図である。
【図5a】本発明に係る医療用インプラントの別の実施形態を示した構成図である。
【図5b】図5aの実施形態の移植実施後の状態を示した構成図である。
【図6a】本発明に係る医療用インプラントの別の実施形態を示した構成図である。
【図6b】図6aの実施形態の移植実施後の状態を示した構成図である。
【図7a】本発明に係る医療用インプラントの別の実施形態を示した構成図である。
【図7b】図7aの実施形態の移植実施後の状態を示した構成図である。
【図8a】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図8b】図8aの実施形態の移植実施後の状態を示した断面図である。
【図9a】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図9b】図9aの実施形態の移植実施後の状態を示した断面図である。
【図10】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図11a】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図11b】図11aの実施形態の移植実施中の状態を示した断面図である。
【図11c】図11aおよび図11bの実施形態の移植実施後の状態を示した断面図である。
【図12】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図13】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図14】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図15a】本発明に係る医療用インプラントのさらに別の実施形態を示した断面図である。
【図15b】図15aの実施形態の移植実施中の状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0142】
図1に示された実施形態において、医療用インプラントが周囲に絶縁層1を備えたピン2を含み椎骨形成の適用形態で使用される(例9)。予め穿設された穴10を介して治療される椎体12の茎内にポリピロールとポリ−D,L−ラクチドの混合物からなるピン2が未だ電流を付加せずに背側から挿入される。
【0143】
ピン2は外側が0.5mmの厚さのポリ−D,L−ラクチドからなる絶縁層1によって被覆され、また0.6mmの直径の中央縦穴13を有している。この縦穴13内に電極15に接続された0.55mmの直径の金属棒14(手術用スチール)が存在している。ピン2を挿入した後電流が点入され、ピン2は接続された電極15と共に椎体12内に押し込まれる。ピン2は先端部に絶縁層を備えていないためその位置で骨と接触して溶融する。ピン2をさらに押し込むことによって(電極15の位置を中央に保持、すなわちピン2を壁厚の管のようにして電極15上に深く押し被せる)、椎体12内のポリ−D−L−ラクチドからなる充填物3を形成することができる。2分間の冷却後椎体は負荷耐久性を有するとともに痛みが消える。治療される患者の身体を介した電流の通流は、ゼロ位線18(中性線あるいはアース)を介して皮膚あるいは患者のその他の身体上において大面積の電極を使用して“モノポーラ”で実施され、その際交流電圧は通常医療用インプラントを介して供給される。別の実施形態において絶縁層1を伴わずにピン2を形成することもでき、穴10内に挿入された絶縁性の管あるいは絶縁性のホースを通じて押し込むことができる。
【0144】
図2aに示された実施形態は医療用インプラントと電極15の構成のみに関して図1に示された実施形態と異なっており、すなわち異なった電極デザインを有している(例10)。電極15は図1と同様に電流が付加される個所の近くに挿入し得るように設計する。勿論ここでも電極15は低抵抗の絶縁体16を有していてその先端17の7mmの長さのみが露出して導電性になっている。図1と同様に電極15を中空のピン2(15%のカーボンブラックを含んだポリラクチド製)内に挿入し、それと共に茎を介して椎体12内に挿入する。ここでは図1と異なってピン2が茎壁に対して絶縁されていないが、電極15が先端のみに電流を付加するためその先端のみが溶融する。発展型の実施形態(図示されていない)においては電極15の先端17に温度センサを設け、熱を測定するとともに制御回路を使用して電流源を制御することもできる。それによって過剰な発熱を追加的に防止することができる。治療される患者の身体を介した電流の通流は、ゼロ位線18(中性線あるいはアース)を介して皮膚6上において大面積の電極を使用して“モノポーラ”で実施される。別の実施形態が図2bに示されており、これはピン2が電極15を被包する低抵抗の導電性ポリマーからなる内側ブシュ4とそれと同軸でより高抵抗の導電性ポリマーからなる外側ブシュ5を含む点において図2aのものと異なっている。さらに、外側ブシュ5は椎体12内に挿入される前方の末端が閉鎖されている。高い抵抗のためピン2を介した電流伝送の間に外側ブシュ5が発熱し変形する。
【0145】
図3aおよび図3bに示された実施形態はチタン製の歯科インプラント30を含んでおり、その骨31内に挿入される断片が導電性の熱可塑性樹脂からなる層34によって被包されている。そのため歯科インプラント30の骨31内に挿入される断片を25%のカーボンブラックを含んだポリ−D,L−ラクチド溶液に複数回浸漬させ浸漬工程の合間に乾燥させる。遠心側の末端32とは逆方の被覆されていない末端33は電流源25に接続する。歯科インプラント30をアンダーサイズに予穿設された穴10内に設置して電流を点入した(図3a)。電極15を介して歯科インプラント30、ポリマーからなる層34および骨31に電流が通流すると同時に層34が遠心側から軟化し、歯科インプラント30を圧力によって穴10に深く押し込むことができる。歯科インプラント30を穴10内に押し込む際に層34を形成する熱可塑性樹脂が骨31の間隙内に圧入され、それによって歯科インプラント30と骨31の間の機械的結合が達成される。ポリマー、すなわち骨31中の層34の硬化によって骨31と歯科インプラント30の間の負荷耐久性の一次結合が達成される(図3b)。
【0146】
図4に示された実施形態は股関節補綴物50として形成された医療用インプラントを含む。股関節補綴物50は、導電性金属からなる大腿要素51を含み、その大腿要素の大腿骨55の髄腔54内に挿入されるシャフト53が図3aおよび図3bに示された実施形態と同様に導電性ポリマーからなる層34によって被覆され、さらに同様に導電性金属からなる関節カップ52を含み、これも関節窩に接触する外面が導電性ポリマーからなる層34によって被覆されている。大腿要素51は被覆されていないネック56あるいは関節頭57上で電流源25′に接続される。同様に関節カップ52が第2の電流源25″に接続される。大腿要素51をアンダーサイズに穿設された髄腔54内に挿入し、関節カップ52を関節窩内に挿入する。電流が点入され電極15、大腿要素51、ポリマーからなる層34、および大腿骨55を介した電流の通流が発生すると同時に、層34が内部発熱によって軟化する。第2の回路においては、第2の電極15、関節カップ52および寛骨を介した電流の通流が発生し、それにより層34が外側の関節カップ52上において内部発熱によって軟化する。ここで大腿要素51を圧力によって髄腔54内に深く押し込むことができる。大腿要素51を髄腔54内に圧入する際に層34を形成する熱可塑性樹脂が骨中の間隙内に圧接され、それによって大腿要素51と骨の間の機械的な結合が形成される。同様に関節カップ52が関節窩内に押し込まれ、その際に軟化した層34が関節カップ52上において骨中の間隙内に圧接され、同様に関節カップ52と骨の間の機械的な結合が形成される。大腿骨55内の大腿要素51上と関節窩内の関節カップ52上におけるポリマー、すなわち層34の硬化によって骨と股関節補綴物50の間の負荷耐久性の一次結合が達成される。
【0147】
図5aおよび図5bには別の実施形態が示されており、それにおいてはピン2が例えば射出成形等の適宜な製造方法によって内部応力を備え、冷却された状態において長さLと直径Dを有するものとなる(図5a)。極A,B間の電流でピン2全体を加熱することによって熱可塑性樹脂が柔軟化してピン2が短くなるとともに直径が増大し(図5b)、それによって周囲の組織内あるいは組織上における固定が達成される。
【0148】
図6aおよび図6bに示されている実施形態においては医療用インプラントがクリップ60として形成されている。クリップ60はU字型に形成されて2本のアーム61,62を含み、それらの自由端63がいずれも導電性ポリマーから形成された要素64を有する。このアーム61,62に比べて太く形成されたエレメント64が電極15′,15″を使用して回路に接続される(図6a)。電流源の点入後にクリップ60を押し合わせ、すなわち両方の要素64を互いに圧接させる。電流によって両方の要素64が加熱されてそれらが互いに接触している接触個所上で軟化し、従って圧力の負荷によって接合させて溶着によって互いに結合させることができる(図6b)。
【0149】
図7aおよび図7bに示されているクリップ70は、クリップ70が導電性のポリマーから一部材として製造される点において図6aおよび図6bに示された実施例と異なっている。アーム70,71をバイポーラのクランプ74によって把持して、電極15′,15″を介して電流を付加しながら圧接する。電流によってアーム71,72を結合しているヒンジ73が軟化し、クリップ70の曲折が可能になる。ヒンジ73と逆側のアーム71,72の末端が互いに当接するとそこにも電流が伝達され、それによってアーム71,72に比べて太くなっている末端部上における両方のアーム71,72の溶融と所要の結合が達成される。
【0150】
図8aおよび図8bに示されている実施形態において、医療用インプラントが高い融点を有する材料からなる糸80と導電性のポリマーからなるアンカ83を含む。糸80は例えば腱またはその他の骨断片を保持するために骨81上に固定される。そのため直径3mmの穴82を15mmの深さで骨81内に穿設する。この骨81の穴82内に糸80を挿入する。その後前記穴82上にこの穴82よりもいくらか大きな直径を有するアンカ83を取り付ける。例1と同様に電気焼灼器を使用してこのアンカ83に電流を付加し、電流によって軟化させた後骨81内に押し込む。電流の遮断後ポリマーが硬化しアンカ83は糸80と共に骨81内に固定される。
【0151】
図9aおよび図9bには骨94の損傷の充填に適した医療用インプラントの実施形態が示されている。図1の実施形態と同様にピン2を使用し、そのピン2が電極15と結合された金属棒14を収容するためのものであって前記ピン2の先端上で閉鎖されていている中央空洞91を備えている。金属棒14はピン2の溶融後に再び除去されるようにするかあるいは吸収性の材料から形成することができる。例えば脛骨損傷を充填するため、脛骨頭骨折を被った患者において直径4mmの穴95を腹側から皮膚を介して患部に向かって穿設する(長さ2cm)。この穴95を介してピン2を金属棒14と共に電流を付加しながら骨の髄腔および海綿空間内に挿入し、それによって複合骨接合術と同様にピン2を溶融して充填物93を形成することによって安定的な骨が形成される。その後充填物93内に挿入されたネジ(図示されていない)が溶融されその後硬化したポリマー内で効果的に固定される。
【0152】
図10には医療用インプラントのポリマーがパール102として形成される実施形態が示されている。このパール102は、骨103から骨片101が割れ落ちることによって生じる空洞内に挿入することができる。空洞内への骨片101の嵌合とパール102の溶融による骨片101と骨103の結合ならびに骨片101と骨103中の間隙内へのポリマーの圧入は、2つの異なった方式AおよびBによって実施することができる。方式Aにおいて第1の電極15′がパール102に結合され、一方第2の電極15″は骨片101上に固定される。電流源の点入後、この電流源から第1の電極15′、パール102に電流が流れてこのパール2を加熱し、さらに第2の電極15″を介して通流する。方式Bにおいては第1の電極15′が骨片101上に固定され、一方第2の電極15″は骨103上に固定される。ここで電流源の点入後、電極15′、骨片101、パール102に電流が流れてこのパール102を加熱し、さらに骨103および第2の電極15″を介して通流する。
【0153】
図11aないし図11cに示された実施形態は、骨プレート110を骨111上に固定するために適している導電性のポリマーから形成されたピン2を含んでいる。骨プレート110は1mmの厚みを有するポリ−D,L−ラクチドから形成された吸収性の骨接合プレートである。骨片を固定するために骨プレート110を固定すべき骨片上に取り付け、それを骨111上に固定するために必要な穴112を骨111内に穿設する。この実施例は2.0mmのネジ用のネジ穴113を備えた骨プレート110に係る。骨111内に穿設された穴112は1.5mmの直径を有する。導電性のピン2は2.0mmの直径を有していてその後方の直径が拡大されたヘッド115上で電極15に接続され、その電極が市販の電気焼灼器に接続される。その電気焼灼器の中性電極は一般的な方式で患者の身体上に接続される(図11a)。ピン2は骨111内に挿入すべき先端部114が骨プレート110のネジ穴113に挿通され、骨111内に予め穿設された穴112上に設置して電流が付加される。導電性のピン2を介した電流伝送によってそのピンが加熱される。骨111とピン2の間の移行部分上に最大の電圧降下が生じるためそこでピン2内に最大の熱が発生し、それによってピン2が特にその表面で軟化する。電極15に圧力をかけることによってピン2が骨111内に予め穿設された穴112内に押し込まれ、熱可塑性材料が近傍の海綿状の骨の骨梁間隙内に流入する(図11b)。電流の遮断後ポリマーが再び冷却され硬化する。骨プレート110のネジ穴113に比べて大きな直径を有するピン2のヘッド115が骨プレート110内に保持される(図11c)。
【0154】
図12および図13には、例えば金属あるいは導電性ポリマー等の低抵抗の材料とより高い抵抗を有する導電性ポリマーからなる被覆層122,132からなるコア121,131を有するピン2がそれぞれ示されている。図12の被覆層122はブシュ形状に形成されるとともにピン2のシリンダ状部分123上に延在している。ピン2の先端部124ならびに電極に接続される逆側の後端部125は被覆層122を備えずに形成されている。図13の被覆層132はピン2の前方部分133上に部分的に設けられ、先細となっているピン2の前方部分133をその先端部134を含めて被包している。図12および図13に従って形成されたピン2によれば、変形を達成するために熱可塑性樹脂を選択的に加熱することが可能になる。図12のピン2において、ブシュが絶縁体として作用し電流がその先端部を介して通流するため、ピン2はその細い先端部124上で加熱される。図13のピン2は回路中の大きな抵抗を有する帯域、すなわち被覆層132上で加熱され変形する。
【0155】
図14には、図9aおよび図9bに関して記述した骨94の損傷の充填における図12のピン2の適用形態が示されている。
【0156】
図15aおよび図15bには、医療用インプラントがダイナミックヒップスクリュー150と導電性ポリマーからなるピン2を備えてなる実施形態が示されている。ダイナミックヒップスクリュー150は、股関節頭まで到達する先端上に(ネジ切りされた)骨ネジ穴152を有する中空のシャフト151を備える。骨ネジ穴152の領域内に放射状の穿孔部153が設けられ、それによってシャフト151の中央空洞部154と周囲部が放射方向に連通している。空洞部154は穿孔部153の領域を除いて絶縁層155を有している。このダイナミックヒップスクリュー150は骨粗鬆症による大腿骨頸骨折の状況において大腿骨頸を貫通して移植する。中央空洞部154内に例9と同様に絶縁化された2.9mmの直径を有するピン2が挿入され、そのダイナミックヒップスクリュー150の骨ネジ穴152と逆側の後端が電極15を介して電流源25に接続される。電流の付加によってピン2がヒップスクリュー150の内部で溶融して液化したポリマーが穿孔部153を介して外の骨156内に浸透し、それによってインプラントが保持された骨156の補強が達成される。ポリマーの硬化後ヒップスクリューは負荷耐久性となる(図15b)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に生体適合性であって固有電気抵抗ρを有する導電性ポリマーを含んでなり、前記ポリマーを介した電流の通流によって加熱可能および軟化可能である性質を有することを特徴とする、医療用インプラント。
【請求項2】
250℃未満の加熱温度で軟化が生じるようにポリマーを選択することを特徴とする請求項1記載の医療用インプラント。
【請求項3】
150℃未満、特に100℃未満の加熱温度で軟化が生じるようにすることを特徴とする請求2記載の医療用インプラント。
【請求項4】
インプラントを加熱するためにポリマー自体以外のインプラント構成成分が含まれないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項5】
電極を固定するための手段を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項6】
前記手段がポリマーの表面上の窪みあるいは隆起から形成されることを特徴とする請求項5記載の医療用インプラント。
【請求項7】
前記手段は固有電気抵抗ρ<ρを有する材料から形成されることを特徴とする請求項5または6記載の医療用インプラント。
【請求項8】
ポリマーが半導体、特に有機半導体であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項9】
ポリマーが拡張された共役二重結合を有する分子鎖を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項10】
固有電気抵抗ρが500Ω・cm超、特に1500Ω・cm超であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項11】
固有電気抵抗ρが3000Ω・cm超、特に10000Ω・cm超であることを特徴とする請求項10記載の医療用インプラント。
【請求項12】
ポリマーが少なくとも10−1Ω/スクウェア、特に少なくとも10Ω/スクウェアの面抵抗を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項13】
ポリマーが最大でも1012Ω/スクウェア、特に最大でも10Ω/スクウェアの面抵抗を有することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項14】
ポリマーが少なくとも10−11S/m、特に少なくとも10−4S/mの体積導電率を有することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項15】
ポリマーが最大でも10S/m、特に最大でも10S/mの体積導電率を有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項16】
ポリマーの溶融あるいはインプラントの加熱によってインプラント中の電気抵抗が低下することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項17】
溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において少なくとも0.5、特に10の係数で電気抵抗が低下することを特徴とする請求項16記載の医療用インプラント。
【請求項18】
溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において100超の係数で電気抵抗が低下することを特徴とする請求項16または17記載の医療用インプラント。
【請求項19】
ポリマーの溶融あるいはインプラントの加熱によってインプラント中の電気抵抗が増大することを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項20】
溶融したあるいは加熱されたインプラントの状態において少なくとも0.5、特に10の係数で電気抵抗が上昇することを特徴とする請求項19記載の医療用インプラント。
【請求項21】
ポリマーが等方性であることを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項22】
ポリマーが異方性であることを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項23】
ポリマーが熱可塑性材料であることを特徴とする請求項1ないし22のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項24】
熱可塑性材料がポリアセチレン、ポリアニリン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリアリーレン、ポリスピロ−ビフルオレン、ポリジアルキルフルオレン、ポリチオフェン、またはポリピロールの一群の中から選択されることを特徴とする請求項23記載の医療用インプラント。
【請求項25】
熱可塑性材料が以下の一群の中から選択されることを特徴とする請求項23記載の医療用インプラント:
− それ自体導電性である熱可塑性ポリマー;
− 非導電性のポリマー(マトリクス)と導電化を可能にする充填剤あるいは添加剤との混合物;
− 導電性および非導電性のポリマーから合成されるコポリマー;
− 電気付加あるいは加熱によって化学反応(例えば重合)または物理反応(例えば形状変化)を誘発することができる導電性のポリマー;
− 電気付加あるいは加熱によって化学反応(例えば重合)または物理反応(例えば形状変化)を誘発することができる導電性の非ポリマー(その種の材料は例えばセラミック、ゲル、コラーゲン等の有機あるいは無機自然物質、またはペースト状の組成で液体中に付加され熱活性化によって硬化する化学物質とすることができる);
− 上記の材料の組合せ。
【請求項26】
ポリマーの他に特に:金属、炭素、セラミック、PEEK、好適にはポリメチルメタクリレート基から選択される非熱可塑性のポリマー、および/またはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムあるいは骨セメント等の無機材料の一群の中から選択される別の材料からなるインプラント部材をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし25のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項27】
ポリマーがそれ自体導電性であることを特徴とする請求項1ないし26のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項28】
ポリマーの導電性が適宜なドーピングによって達成されることを特徴とする請求項1ないし27のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項29】
ポリマーが導電性のセラミック、特にガラス状あるいは非晶質の構造と組み合わされることを特徴とする請求項1ないし28のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項30】
ポリマーが非導電性のポリマーに対する導電性添加物質の付加によって得られることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項31】
導電性の添加物質が粒子、顆粒、任意の外形を有する粒子蓄積体の形態からなる任意の導電性の固形あるいは流体材料から形成されることを特徴とする請求項30記載の医療用インプラント。
【請求項32】
導電性の添加物質が以下の材料から選択されることを特徴とする請求項30または31記載の医療用インプラント:
− 例えば鉄、マグネシウム、金、銀、合金あるいはアマルガム等の金属材料;
− 煤、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素粒子;
− 所要の大きさで電気の通流を可能にするために水分を急速に吸収することができる塩あるいは物質(その種の塩は例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、あるいはマグネシウム塩から形成することができる);
− 例えばピロール、アニリン、フッ素ジアルキル、チオフェン、またはエチレンジオキシチオフェンのポリマーから選択される導電性のポリマー;
− シリコーン等の生体適合性オイル;
− 特に塩溶液等の水性溶液。
【請求項33】
ポリマーが開孔質の構造を有することを特徴とする請求項1ないし32のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項34】
ポリマーが毛細管を有することを特徴とする請求項1ないし33のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項35】
ポリマーが親水性の特性を有することを特徴とする請求項1ないし34のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項36】
均質な材料から形成されることを特徴とする請求項1ないし35のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項37】
均質な材料が内部構造を有していないことを特徴とする請求項36記載の医療用インプラント。
【請求項38】
ポリマーがインプラント被覆層の形態で存在することを特徴とする請求項1ないし37のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項39】
インプラントの表面の一部のみがポリマーによって被覆されることを特徴とする請求項38記載の医療用インプラント。
【請求項40】
ポリマーがそれぞれ異なった固有電気抵抗ρを有する複数区域を特に表面被覆の形態で含むことを特徴とする請求項1ないし39のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項41】
被覆層が変動的な層厚を有することを特徴とする請求項38ないし40のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項42】
インプラント全体あるいはポリマーのみが部分的に非導電性の材料によって被覆されることを特徴とする請求項1ないし41のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項43】
非導電性の材料が骨伝導性、骨誘導性、あるいは骨形成性の特性を有することを特徴とする請求項42記載の医療用インプラント。
【請求項44】
非導電性の材料がポリラクチドあるいはヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項42記載の医療用インプラント。
【請求項45】
ポリマーが生体適合性かつ導電性の少なくとも2種類の異なった熱可塑性材料からなる混合物を含むことを特徴とする請求項1ないし44のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項46】
固形の形態を有することを特徴とする請求項1ないし45のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項47】
ポリマーが顆粒形態で存在することを特徴とする請求項1ないし45のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項48】
医療用インプラントが繊維から形成され、その際ポリマーが好適には繊維の被覆として機能することを特徴とする請求項1ないし47のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項49】
医療用インプラントが開孔質の発泡体あるいは海綿体の形態で存在することを特徴とする請求項1ないし48のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項50】
医療用インプラントが特に骨ネジ、骨杆体、骨ダボ、ピン(2)、プレート、ダボ、ホース(管)、糸(80)、ホース/管の糸、あるいは(スレッディングアイレットを備えた)アンカの形態の骨固定要素として形成されることを特徴とする請求項1ないし49のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項51】
ポリマーが棒形状に形成されるとともに、電極(15)と結合された金属棒(14)あるいは電極上に固定的に取り付けられたピンを軸方向に摺動可能に収容するために適した中央縦穴(13)を有することを特徴とする請求項1ないし50のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項52】
末端部分を除いて絶縁材(16)が設けられていて縦穴(13)内に収容可能である金属棒(14)あるいは金属ワイヤを含むことを特徴とする請求項51記載の医療用インプラント。
【請求項53】
ポリマーが棒形状に形成されるとともに非導電性の周囲絶縁層(1)を含むことを特徴とする請求項1ないし52のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項54】
ポリマーが棒形状に形成されるとともにより高い抵抗を有する第2の導電性ポリマーからなる外側ブシュ(5)を備えることを特徴とする請求項1ないし52のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項55】
ポリマーがパール(102)として形成されるとともにワイヤの形態の電極(15)と取り外し可能に結合可能であることを特徴とする請求項1ないし50のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項56】
歯科インプラント(30)あるいは歯根インプラントとして形成されることを特徴とする請求項1ないし50のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項57】
ポリマーが少なくとも部分的に軟化した状態で存在することを特徴とする請求項1ないし56のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項58】
軟化した状態がポリマーを介して通流する電流によって形成されることを特徴とする請求項57記載の医療用インプラント。
【請求項59】
電流が外部電流源(25)によって生成されることを特徴とする請求項58記載の医療用インプラント。
【請求項60】
電流源(25)が交流電源であることを特徴とする請求項59記載の医療用インプラント。
【請求項61】
ポリマーが20000Hz超、特に300000Hz超の周波数vを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能であることを特徴とする請求項1ないし60のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項62】
ポリマーが0.001ないし10アンペアの電流強度Iを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能であることを特徴とする請求項1ないし61のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項63】
ポリマーが20ないし300ボルトの電圧Uを有する交流電流によって加熱可能および軟化可能であることを特徴とする請求項1ないし62のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項64】
軟化される容積Vのポリマーが出力密度P=0.005ないし5ワット/mmの交流電流によって約0.1ないし10秒以内に加熱可能および軟化可能であることを特徴とする請求項1ないし63のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項65】
ポリマーが均一な導電性を備えておらず、その導電性が好適にはインプラントの表面上においてインプラントの内部よりも低くなることを特徴とする請求項1ないし64のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項66】
医療用インプラントの導電性ポリマーが外部から電気エネルギーを付加されそれによって加熱されるような内部構成要素、内部構造あるいは繊維を含まないことを特徴とする請求項1ないし65のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項67】
医療用インプラントの導電性ポリマー内の熱生成がその導電性ポリマーを介した電流通流のみによって達成されることを特徴とする請求項1ないし66のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項68】
医療用インプラントの導電性ポリマー全体にその均一な加熱が達成されるように電流が通流することを特徴とする請求項1ないし67のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項69】
医療用インプラントの導電性ポリマー全体にその不均一な加熱が実施されるように電流が通流することを特徴とする請求項1ないし67のいずれかに記載の医療用インプラント。
【請求項70】
特に骨プレート(110)等のインプラントと、そのインプラントを貫通する1つあるいは複数の穴(113)と、その穴(113)内への挿入に適した少なくとも1つの請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラントを含んでなり、前記医療用インプラントが溶融されていない状態において前記穴(113)に対して超過寸法を有することを特徴とする装置。
【請求項71】
(A)請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラントを移植個所に設置し;
(B)前記医療用インプラントと前記移植個所に接している少なくとも1つの骨とを1つの電気回路内に結合し;
(C)前記電気回路内を通流する電流によって前記医療用インプラントのポリマーをそれが軟化するまで加熱し;
(D)少なくとも部分的に軟化した前記医療用インプラントを前記移植個所に挿入する、
各ステップからなることを特徴とする骨接合方法。
【請求項72】
患者の身体がそれ自体回路の中性電極として使用されることを特徴とする請求項71記載の方法。
【請求項73】
医療用インプラントが回路内において2つの骨の間に接続されることを特徴とする請求項71または72記載の方法。
【請求項74】
回路の一電極(15′)が骨片(101)に結合され第2の電極(15″)は対応する骨(103)あるいは患者の身体のその他の部分に結合されることを特徴とする請求項73記載の方法。
【請求項75】
回路の一電極が骨片に結合され第2の電極は前記骨片と骨の間に挿入された医療用インプラントに結合されることを特徴とする請求項73記載の方法。
【請求項76】
移植個所が骨穿孔部とされることを特徴とする請求項71ないし75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
医療用インプラントが軟化していない状態において骨穿孔部より大きな寸法を有することを特徴とする請求項76記載の方法。
【請求項78】
医療用インプラントは軟化していない状態において骨穿孔部に対して超過寸法を有していないが内部予圧を有していることを特徴とする請求項76記載の方法。
【請求項79】
導電性のポリマーが棒体の形状でインプラントの絶縁化された中空部内に挿入され、好適には導電性のコアを備えることを特徴とする請求項71または72記載の方法。
【請求項80】
放射方向の流出穴を有する中空部を備えたインプラント内に導電性のポリマーが挿入されることを特徴とする請求項79記載の方法。
【請求項81】
(A)特に骨プレート(110)等の骨固定装置であって前記骨プレートがそれを貫通する1つあるいは複数の穴(113)を有してなる骨固定装置を移植個所上に設置し;
(B)前記骨固定装置の穴(113)に対して超過寸法を有する請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラントを前記穴(113)のうちの1つの上に設置し;
(C)前記骨固定装置と前記医療用インプラントと前記移植個所に接している少なくとも1つの骨とを1つの電気回路内に結合し;
(D)前記電気回路内を通流する電流によって前記医療用インプラントのポリマーをそれが軟化するまで加熱し;
(E)少なくとも部分的に軟化した前記医療用インプラントのポリマーを前記骨固定装置の穴(113)を介して挿入することによって前記骨固定装置を前記移植個所に固定する、
各ステップからなることを特徴とする骨接合方法。
【請求項82】
請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラントの椎骨形成術への適用。
【請求項83】
インプラントの鎖錠および/または心合せ、特に骨内に挿入した後の脊髄釘固定のための請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラントの適用。
【請求項84】
軟化が40℃超の加熱温度で生じるようにポリマーが選択されることを特徴とする請求項1ないし69のいずれかに記載の医療用インプラント。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【公表番号】特表2010−531680(P2010−531680A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513597(P2010−513597)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000324
【国際公開番号】WO2009/003294
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510004435)シナジー バイオサージカル アクチエンゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】