説明

医療用ハンドピースホルダ及びこれを備えた医療用診療装置

【課題】簡易な構成でありながら、チューブ全体の荷重を医療用ハンドピースに懸架させないようにして軽快なハンドピース操作を可能とし、ハンドピースの操作性を更に向上させる医療用ハンドピースホルダを提供する。
【解決手段】ハンドピースホルダ1からハンドピース2を取り上げる際に、フレキシブルチューブ2cを容易に繰り出し可能とする中径部1eaと、この中径部1eaに滑らかに連なって形成された小径部1ebとを備え、小径部1ebを中径部1eaに対してハンドピース2を診療のために移動させる方向に設置し、かつ、小径部1ebの内径を、この小径部1ebに挟まれたフレキシブルチューブ2cが重力によって落下するのを阻止する弾性抗力を生ずる程度の内径とした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、水や空気などの作動媒体を用いて診療を行い、この作動媒体を供給する管路を有するフレキシブルチューブを備えた医療用ハンドピースを保持する医療用ハンドピースホルダ、及び、この医療用ハンドピースホルダを備えた医療用診療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医科、歯科などの医療分野においては、水や空気などの作動媒体を供給する管路を有するフレキシブルチューブを備えた医療用ハンドピースによって、水や空気を供給しながら診療を行う場合がある。
【0003】
医療用ハンドピースホルダは、この医療用ハンドピースを保持し、必要な際には、このハンドピースを容易に取り出し、診療に用いることができるようにするものである。
【0004】
図6(a)(b)は、このような医療用ハンドピースホルダの一例を示すもので、本出願人が登録実用新案公報第3072923号で提案したものである。
【0005】
この医療用ハンドピースホルダ101は、開口を備えた底部101aに、上面部101bが略半球状に膨出して形成されており、この上面部101bの前面部分から底部101aの斜め後側に向けてハンドピース抜出孔101cが開口され、上面部101bの後面部分にハンドピース102の一部を上方から支持するカバー部101dが連成されているとともに、底部101aには、フレキシブルチューブ103のチューブ部103bの通過を許容する隙間101jを形成するようにして、ハンドピース挿通空間101eとフレキシブルチューブ挿通空間101fとを分離する仕切突起101gが突設されている。
【0006】
フレキシブルチューブ挿通空間101fを形成する底部101aの適所には、挿通空間101fの一部を狭くするように係止突起101faが形成され、この係止突起101faに、ハンドピース102に接続されたフレキシブルチューブ103の継手部103aが係止支持された状態で、ハンドピース102がハンドピースホルダ101のハンドピース抜出孔101c内に配設されるようになっている。
【0007】
フレキシブルチューブ挿通空間101fの内幅寸法は、ハンドピース102に接続されるフレキシブルチューブ103の継手部103aの外径より小さく、かつ、チューブ部103bの外径よりは大きい寸法とされている。また、ハンドピース挿通空間101eの内幅寸法は、ハンドピース102を容易に挿通させる寸法となっている。
【0008】
医療用ハンドピースホルダ101の背面部101hには、T字形の係止爪101i、101iが外向きに突設されていて、この係止爪101i、1iがトレーテーブルのホルダポケットの係止孔(不図示)に係入係止されて、着脱交換自在に取り付けられるようになっている。
【0009】
フレキシブルチューブ103を接続したハンドピース102は、このチューブ103の継手部103aが底部101aのフレキシブルチューブ挿通空間101fで、ハンドピース102の基端部がカバー部101dによって、上下で2点支持されるようになっているので、ハンドピース102の殆どの部分を露出させた使い勝手の良い状態で安定的に収容支持できるものであった。
【0010】
また、ハンドピース102の後端に接続したフレキシブルチューブ103のチューブ部103bは、仕切突起101gによってハンドピース挿通空間101eと分離形成されたフレキシブルチューブ挿通空間101f内で保持されるので、ハンドピース102をホルダ101から繰出し、繰戻しする操作も、ストレスなくスムーズに行え、頻繁な操作にも適したものであった。
【0011】
また、フレキシブルチューブ103だけを残して、ハンドピース102を交換する際にも、チューブ103は、継手部103aとフレキシブルチューブ挿通空間101fの内幅寸法と係止突起101faの相互作用によりハンドピースホルダ101に係止された状態を維持し、抜け落ちないので、ハンドピース102の交換がし易いものであった。
【0012】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の医療用ハンドピースホルダ101のハンドピース102を通過させる最小空間となるフレキシブルチューブ挿通空間101fは、フレキシブルチューブ103の外径より広い幅となっているので、このホルダ101から繰り出したハンドピース102には、このホルダ101からの繰り出し部分だけでなく、フレキシブルチューブ103の根元からの重量が全部懸架されることとなり、ハンドピース102の軽快な操作の支障となっていた。
【0013】
この対策として、ハンドピースホルダのチューブ繰り出し部に固定ストッパを設け、チューブの繰り出し根元を保持する方法があるが、この方法では、チューブを繰り出し長さを簡単に変更したいという要請に応えることができなかった。
【0014】
一方、繰り出し長さを可変としながら、チューブの繰り出し根元を保持する方法として、実公平7−7952号公報に記載された治療用インストルメントホルダが提案されている。
【0015】
このものは、ハンドピースのチューブを、コロ保持部で支えてハンドピースへのチューブ荷重を軽減しようとするものであったが、コロ保持部までのチューブ重量を完全にキャンセルできるものでもなく、また、コロ保持部という複雑な機構を必要とするものであった。
【0016】
また、同様の解決手段として、本出願人は、特公平6−69470号公報で、歯科用ハンドピースのチューブ保持具を提案している。
【0017】
このものは、空気供給を調節して空気袋を膨張収縮させ、この空気袋でフレキシブルチューブを保持開放するものであり、繰り出し長さを可変としながら、チューブの繰り出し根元を保持するこができたが、空気袋や、これへの供給空気の調節手段などが必要となり、簡易化が望まれていた。
【0018】
本考案は、上記のような問題を解決しようとするもので、簡易な構成でありながら、チューブ全体の荷重を医療用ハンドピースに懸架させないようにして軽快なハンドピース操作を可能とし、ハンドピースの操作性を更に向上させる医療用ハンドピースホルダ及びこの医療用ハンドピースホルダを備えた医療用診療装置を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の医療用ハンドピースホルダは、作動媒体を用いて診療を行い、この作動媒体を供給する管路を有するフレキシブルチューブを備えた医療用ハンドピースを保持する医療用ハンドピースホルダであって、 診療のために、前記ハンドピースホルダから前記ハンドピースを取り上げる際に、前記フレキシブルチューブを容易に繰り出し可能とする中径部と、この中径部に滑らかに連なって形成された小径部とを備え、前記小径部を前記中径部に対して前記ハンドピースを診療のために移動させる方向に設置し、かつ、前記小径部の内径を、この小径部に挟まれた前記フレキシブルチューブが重力によって落下するのを阻止する弾性抗力を生ずる程度の内径としたことを特徴とする。
【0020】
このハンドピースホルダは、ハンドピースを自由に繰り出しガイドする中径部に対してハンドピースを診療のために移動させる方向に小径部を連設して、この小径部をフレキシブルチューブが滑り落ちない程度に支える程度の内径としている。
【0021】
したがって、術者が診療のために、ハンドピースを上方へ持ち上げる際には、フレキシブルチューブは中径部にあって、チューブの繰り出しを妨げることがない。一方、診療部位へハンドピースを移動させると、それに連なってフレキシブルチューブも中径部から小径部へ移動し、この小径部で挟まれて落下が阻止されるようになっているので、ハンドピースには、この小径部から伸び出している部分のチューブの重量だけが懸架するので、軽快にハンドピースを使用することができ、ハンドピースの操作性が向上する。
【0022】
また、ホルダの構成も、中径部に内径の異なる小径部を連設するだけで、コロや空気袋などの可動部分を必要としないので、簡単である。
【0023】
請求項2に記載の医療用ハンドピースホルダは、請求項1に記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記中径部の内径が前記フレキシブルチューブの外径より大きく、前記ハンドピースのチューブ継手部の外径より小さいことを特徴とする。
【0024】
このハンドピースホルダは、中径部の形状をより具体的に規定したもので、これをチューブ継手部の外径より小さいとしたので、ハンドピースがこの継手部により中径部で支えられて保持され、ハンドピースの本体部分がホルダから露出して、ハンドピースを容易に取り出すことができるので、操作性がよい。
【0025】
請求項3に記載の医療用ハンドピースホルダは、請求項1または2のいずれかに記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記小径部の前記中径部の反対側に大径部を連設し、この大径部の内径が前記ハンドピースのチューブ継手部の外径より大きいことを特徴とする。
【0026】
このハンドピースホルダは、中径部、小径部に連設して、更に大径部を設けたもので、この部分の内径をチューブ継手部が通過可能の寸法としたので、この継手部を含めたフレキシブルチューブをホルダから取り外すことができ、チューブの交換が容易になる。
【0027】
請求項4に記載の医療用ハンドピースホルダは、請求項3に記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記中径部から前記小径部への移行部は、前記フレキシブルチューブの移動が滑らかに行われる緩移行部となっており、、前記小径部から前記大径部への移行部は、前記フレキシブルチューブの移動が容易には行われない狭移行部となっていることを特徴とする。
【0028】
このハンドピースホルダは、中径部から小径部へは緩移行部とされ、フレキシブルチューブの移動が容易であり、ハンドピースを持ちながら、その位置を移動させるだけで、容易にフレキシブルチューブを中径部と小径部の間を移動させることができ、チューブの自由繰り出し繰戻しと、落下防止保持を容易に切り換えることができる。
【0029】
また、緩移行部は、多少はフレキシブルチューブの外径より小さい対面寸法となっており、意識的にチューブに移動力を与えない限りはチューブが移動するといったことがなく、治療専念中に、落下防止保持状態が解除されるということが起こりにくい。
【0030】
一方、小径部から大径部へは狭移行部とされ、フレキシブルチューブの移動が容易には行われないようになっており、通常の操作で、フレキシブルチューブが大径部へ移動することがない。
【0031】
請求項5に記載の医療用診療装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の医療用ハンドピースホルダを備えたことを特徴とする。
【0032】
この診療装置は、請求項1〜4の医療用ハンドピースホルダを備えたので、これらの効果を医療装置として発揮する。
【0033】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0034】
図1は、本考案の医療用ハンドピースホルダの一例を示すもので、(a)は外観正面図、(b)は外観側面図、(c)は要部説明図である。
【0035】
この医療用ハンドピースホルダ1は、診療の際に必要な機器を保持し、術者サイドに設置されるサイドテーブル3(図2参照)に取り付けられて使用されるものであり、その基本構造、外形は、図6で説明した従来のハンドピースホルダ101と同様であるが、フレキシブルチューブを挿通させるチューブ挿通孔1eが従来のものと大きく異なっており、このチューブ挿通孔1eが中径部1ea、小径部1eb、大径部1ec、緩移行部1ed、狭移行部1eeから構成されていることを特徴とする。
【0036】
この医療用ハンドピースホルダ1は、開口を備えた底部1aに、上面部1bが略半球状に膨出して形成されており、この上面部1bの前面部分から底部1aへ向けてハンドピース受け孔1cが開口され、底部1aには、上面部1bにほぼ対応する半球状の下面部1dが形成され、この下面部1dには、上面部のハンドピース受け孔1cに対応する形でチューブ挿通孔1eが設けられている。
【0037】
また、上面部1bに直交するように背面部1fが設けられ、この背面部1fには、この医療用ハンドピースホルダ1を、サイドテーブル3に着脱可能に取り付けるための取付片1gが設けられている。
【0038】
チューブ挿通孔1eについて、図1(c)を用いて詳しく説明する。この図では、このホルダ1に収容保持されるハンドピース2(図2参照)のフレキシブルチューブを符号2cで、チューブ継手部を符号2bで示し、これらとチューブ挿通孔1eの各部分に対するチューブ継手部2b、フレキシブルチューブ2cの大きさの関係を、実線、二点鎖線で示している。
【0039】
また、この図は、フレキシブルチューブ2cが中径部1eaにある場合の状態を示しており、このフレキシブルチューブ2cだけが実線となっており、他の部分については、想像線であるので、二点鎖線としたものである。
【0040】
チューブ挿通孔1eの中径部1eaは、図1(c)に示すように、その内径がフレキシブルチューブ2cの外径より大きく、ハンドピース2のチューブ継手部2bの外径より小さい。したがって、ハンドピース2をホルダ1に戻した際に、チューブ継手部2bがこの中径部1eaで阻止されて、それより下に滑り落ちることがなく、安定して、ホルダー1に収容保持される。
【0041】
また、図2の収容状態のハンドピース2を見ると解るように、ホルダ1に収容された状態で、ハンドピース1の本体部2aが露出した状態であるので、ハンドピース2を取り出しやすい。
【0042】
なお、この中径部1eaの内径は、チューブ継手部2bの外径より大きくともよい。その場合には、代替手段として、チューブ継手部2bに当接するような止め突起などを設けるようにすればよい。
【0043】
小径部1ebの内径は、自由状態のチューブ2cの外径より所定の寸法だけ小さい径となっており、図1(c)に示すように、この小径部1ebに挟まれたチューブ2cは楕円形に変形して、チューブ2c自身が重力によって落下するのを阻止する弾性抗力を生じている。
【0044】
また、この小径部1ebは、図2で示すように、中径部1eaに対してハンドピースを診療のために移動させる方向に設置してある。
【0045】
したがって、術者が診療のために、ハンドピース2を上方へ持ち上げる際には、フレキシブルチューブ2cは中径部1eaにあって、チューブの繰り出しを妨げることがない。
【0046】
一方、診療部位へハンドピース2を移動させると、それに連なってフレキシブルチューブ2cも中径部1eaから小径部1ebへ移動し、この小径部1ebで挟まれて落下が阻止されるようになっているので、ハンドピース2には、この小径部から伸び出している部分のチューブの重量だけが懸架するので、軽快にハンドピース2を使用することができ、ハンドピースの操作性が向上する。
【0047】
大径部1ecの内径は、ハンドピース2のチューブ継手部2bの外径より大きくなっているので、この部分をチューブ継手部2bが通過可能であり、継手部2bを含めたフレキシブルチューブ2cをホルダ1から取り外すことができ、チューブ2cの交換が容易になる。
【0048】
緩移行部1edは、中径部1eaから小径部1evへの移行部であるが、図1(c)で解るように、フレキシブルチューブ2cの移動が滑らかに行われるような寸法、形状となっており、フレキシブルチューブ2cの移動が容易であり、ハンドピース2を持ちながら、その位置を移動させるだけで、容易にフレキシブルチューブ2cを中径部1eaと小径部1ebの間を移動させることができ、チューブの自由繰り出し繰戻しと、落下防止保持を容易に切り換えることができる。
【0049】
また、緩移行部1edは、多少はフレキシブルチューブ2cの外径より小さい対面寸法となっており、意識的にチューブ2cに移動力を与えない限りはチューブ2cが移動するといったことがなく、治療専念中に、落下防止保持状態が解除されるということが起こりにくい。
【0050】
狭移行部1eeは、小径部1ebから大径部1ecへの移行部であるが、図1(c)で示すように、ここを通過するには、フレキシブルチューブ2cが大幅に扁平変形する必要があり、その移動が容易には行われないようになっている。
【0051】
したがって、通常の操作で、フレキシブルチューブ2cが大径部1ecへ移動することがない。
【0052】
また、このチューブ挿通孔1eは、上述したように、その形状、つまり、各部の内径あるいは対面寸法だけが異なるだけで、同一の素材で一体成形(例えば、樹脂一体成形)されるものであるので、コロや空気袋などの可動部分を必要とせず、簡単に構成することができる。
【0053】
こうして、このハンドピースホルダ1によって、ハンドピース1の操作性が総合的に向上しているのが解る。
【0054】
なお、チューブ挿通孔1eの中径部1ea、小径部1eb、大径部1ec、緩移行部1ed、狭移行部1eeの寸法は、フレキシブルチューブ2cなどの外径、弾性に対応して決められるものである。
【0055】
例えば、フレキシブルチューブ2cが、シリコンチューブの外周にパリレーン加工をしたもので構成され、内部に電気線、信号線、それぞれ弾性素材から構成された空気管路、水管路を有し、外径が10.4mmの場合、かつ、チューブ継手部2bの外径が14.5mmの場合、中径部1eaの内径は16.0mm、小径部1ebの内径は9.8mm、大径部1ecの内径20.0mm、緩移行部1edの最小対面間隔は9.3mm、狭移行部1eeの最小対面間隔は5.0mmとするのが望ましい。
【0056】
図2は、図1のハンドピースホルダの使用態様を示すもので、(a)は診療中の状態を示す図、(b)はフレキシブルチューブが小径部に挟まれ落下阻止されている状態を示す図、(c)はフレキシブルチューブが中径部にあって自由な状態を示す図である。なお、これより、既に説明した部分と同じ部分については、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0057】
図2(a)において、符号Dはハンドピースホルダ1に収容されたハンドピース2を用いて診療を行う術者、符号HDは診療実習用の頭部模型、符号4は患者を載置する診療台、符号4eはハンドピース2などを駆動操作するためのフートコントローラであり、この例は、本発明の診療用ハンドピースホルダを歯科用に用いた例を示している。
【0058】
また、図2(b)、(c)は、ハンドピース2が繰り出された状態のハンドピースホルダ1部分の拡大図であり、特に、図2(b)は、診療中の図2(a)の拡大図である。
【0059】
図2(a)、(b)から解るように、診療中は、ハンドピース2のフレキシブルチューブ2cが、診療用ハンドピースホルダ1の小径部1ebに挟まれて落下阻止された状態となっとり、このホルダ1から上部のチューブ2c部分には多少の弛みが生じ、このホルダ1から下部のチューブの重量が術者の手に影響していないことが解る。
【0060】
こうして、術者は、余分なフレキシブルチューブの重さの影響を受けることなく、診療を行うことができる。
【0061】
一方、更に、ホルダ1から繰り出されたチューブ2cの長さを調節したい場合は、術者が、ハンドピース2の本体部2aを持った状態で、本体部2aをホルダ1側に動かすだけで、図2(c)の状態となり、チューブ2cが非拘束の自由状態となり、容易にチューブ2cの繰り出しあるいは繰戻しをすることができる。
【0062】
この調節が済んだ後は、単に、治療方向にハンドピース2の本体部2aを移動させるだけで、図2(b)の状態となる。
【0063】
このように、本発明によると、ハンドピースの操作性が非常に良くなる。
【0064】
図3は、本考案の医療用ハンドピースホルダを備えたサイドテーブルの一例を示す外観斜視図である。
【0065】
このサイドテーブル3は、図2に示されたものと同じものであるが、フリーアーム(不図示)に設置され、術者サイドの好みの位置に位置させることができ、本発明の医療用ハンドピースホルダ1は、このようなサイドテーブル3に着脱可能に設置されて、非常に便利よく用いることができる。
【0066】
図4は、本考案の医療用ハンドピースホルダを備えたサイドテーブルの他例を示す外観斜視図である。
【0067】
このサイドテーブル3Aは、図3のサイドテーブル3と同様に、好みの位置に位置させることができ、また、同様に医療用ハンドピースホルダ1Aが設けられているが、この例では、ホルダ1Aはほぼ横一列に、そのチューブ挿通孔1eが傾いた状態で設けられ、また、ホルダ1Aに収容されたハンドピース2は、収容状態でより水平に近い姿勢で保持されるようになっている。
【0068】
本発明のホルダの特徴とするチューブ挿通孔1eは、上記の説明で理解されるように、チューブの水平移動に対応して、各部が配置されており、原則として、チューブ挿通孔1eは水平方向に一致するのが望ましいが、この水平移動を利用できる範囲では、一定程度傾いていてもよく、上記のようなホルダ1Aの配置とすることも可能である。
【0069】
図5は、本考案の医療用ハンドピースホルダを備えた医療用診療装置の一例を示す外観斜視図である。この図は、図2に示された診療装置の全体外観構成を示すものである。
【0070】
医療用診療装置10の診療台4は、患者の頭部を支えるヘッドレスト4a、腰部を支えるメインレスト4b、脚部を支えるフットレスト4c、メインレスト4bを支え、上下に昇降させる昇降台4d、上述のフートコントローラ4eを備えている。また、この診療装置は、術者用椅子5A、補助者用椅子5Bを備えている。
【0071】
このような構成で、この診療装置10は、歯科診療を好適に行うことができるが、本発明の医療用ハンドピースホルダ1をサイドテーブル3に備えることで、このホルダ1の効果を診療装置として発揮する。
【0072】
【考案の効果】
請求項1に記載の医療用ハンドピースホルダによれば、ハンドピースを自由に繰り出しガイドする中径部に対してハンドピースを診療のために移動させる方向に小径部を連設して、この小径部をフレキシブルチューブが滑り落ちない程度に支える程度の内径としているので、術者が診療のために、ハンドピースを上方へ持ち上げる際には、フレキシブルチューブは中径部にあって、チューブの繰り出しを妨げることがない。一方、診療部位へハンドピースを移動させると、それに連なってフレキシブルチューブも中径部から小径部へ移動し、この小径部で挟まれて落下が阻止されるようになっているので、ハンドピースには、この小径部から伸び出している部分のチューブの重量だけが懸架するので、軽快にハンドピースを使用することができ、ハンドピースの操作性が向上する。
【0073】
また、ホルダの構成も、中径部に内径の異なる小径部を連設するだけで、コロや空気袋などの可動部分を必要としないので、簡単である。
【0074】
請求項2に記載の医療用ハンドピースホルダによれば、請求項1の効果に加え、中径部の形状をより具体的に規定したもので、これをチューブ継手部の外径より小さいとしたので、ハンドピースがこの継手部により中径部で支えられて保持され、ハンドピースの本体部分がホルダから露出して、ハンドピースを容易に取り出すことができるので、操作性がよい。
【0075】
請求項3に記載の医療用ハンドピースホルダによれば、請求項1または2のいずれかの効果に加え、中径部、小径部に連設して、更に大径部を設けたもので、この部分の内径をチューブ継手部が通過可能の寸法としたので、この継手部を含めたフレキシブルチューブをホルダから取り外すことができ、チューブの交換が容易になる。
【0076】
請求項4に記載の医療用ハンドピースホルダによれば、請求項3の効果に加え、中径部から小径部へは緩移行部とされ、フレキシブルチューブの移動が容易であり、ハンドピースを持ちながら、その位置を移動させるだけで、容易にフレキシブルチューブを中径部と小径部の間を移動させることができ、チューブの自由繰り出し繰戻しと、落下防止保持を容易に切り換えることができる。
【0077】
また、緩移行部は、多少はフレキシブルチューブの外径より小さい対面寸法となっており、意識的にチューブに移動力を与えない限りはチューブが移動するといったことがなく、治療専念中に、落下防止保持状態が解除されるということが起こりにくい。
【0078】
一方、小径部から大径部へは狭移行部とされ、フレキシブルチューブの移動が容易には行われないようになっており、通常の操作で、フレキシブルチューブが大径部へ移動することがない。
【0079】
請求項5に記載の医療用診療装置によれば、請求項1〜4の医療用ハンドピースホルダを備えたので、これらの効果を医療装置として発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の医療用ハンドピースホルダの一例を示すもので、(a)は外観正面図、(b)は外観側面図、(c)は要部説明図
【図2】図1のハンドピースホルダの使用態様を示すもので、(a)は診療中の状態を示す図、(b)はフレキシブルチューブが小径部に挟まれ落下阻止されている状態を示す図、(c)はフレキシブルチューブが中径部にあって自由な状態を示す図
【図3】本考案の医療用ハンドピースホルダを備えたサイドテーブルの一例を示す外観斜視図
【図4】本考案の医療用ハンドピースホルダを備えたサイドテーブルの他例を示す外観斜視図
【図5】本考案の医療用ハンドピースホルダを備えた医療用診療装置の一例を示す外観斜視図
【図6】従来の医療用ハンドピースホルダの使用態様を示すもので、(a)は外観正面図、(b)は外観側面図
【符号の説明】
1 医療用ハンドピースホルダ
1ea 中径部
1eb 小径部
1ec 大径部
1ed 緩移行部
1ee 狭移行部
2 医療用ハンドピース
2a ハンドピース本体
2b チューブ継手部
2c フレキシブルチューブ
10 医療用診療装置

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】作動媒体を用いて診療を行い、この作動媒体を供給する管路を有するフレキシブルチューブを備えた医療用ハンドピースを保持する医療用ハンドピースホルダであって、診療のために、前記ハンドピースホルダから前記ハンドピースを取り上げる際に、前記フレキシブルチューブを容易に繰り出し可能とする中径部と、この中径部に滑らかに連なって形成された小径部とを備え、前記小径部を前記中径部に対して前記ハンドピースを診療のために移動させる方向に設置し、かつ、前記小径部の内径を、この小径部に挟まれた前記フレキシブルチューブが重力によって落下するのを阻止する弾性抗力を生ずる程度の内径としたことを特徴とする医療用ハンドピースホルダ。
【請求項2】請求項1に記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記中径部の内径が前記フレキシブルチューブの外径より大きく、前記ハンドピースのチューブ継手部の外径より小さいことを特徴とする医療用ハンドピースホルダ。
【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記小径部の前記中径部の反対側に大径部を連設し、この大径部の内径が前記ハンドピースのチューブ継手部の外径より大きいことを特徴とする医療用ハンドピースホルダ。
【請求項4】請求項3に記載の医療用ハンドピースホルダにおいて、前記中径部から前記小径部への移行部は、前記フレキシブルチューブの移動が滑らかに行われる緩移行部となっており、、前記小径部から前記大径部への移行部は、前記フレキシブルチューブの移動が容易には行われない狭移行部となっていることを特徴とする医療用ハンドピースホルダ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の医療用ハンドピースホルダを備えたことを特徴とする医療用診療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】実用新案登録第3087141号(U3087141)
【登録日】平成14年4月24日(2002.4.24)
【発行日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【考案の名称】医療用ハンドピースホルダ及びこれを備えた医療用診療装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−17(U2002−17)
【出願日】平成14年1月8日(2002.1.8)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)