説明

医療用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持するための、並びに、操作するための方法およびシステム

【課題】本発明は、医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具(2)をクリーニングおよび維持(保守)するための方法およびシステムに関するものである。
【解決手段】ハンドヘルド器具(2)は、細長いグリップスリーブ(4)を伴い、このグリップスリーブには要素が駆動装置に関連して配置され、特に、たとえばシャフト(8)が回転可能に支持されている。ハンドヘルド器具(2)をクリーニングおよび維持する目的で、それを通して異なるメディアが導かれる。この関係において、第1メディア、たとえば油が駆動装置の要素を囲むパワー伝達領域(10)を通して単に導かれる一方、他方で、第2メディア、たとえばクリーニング剤がハンドヘルド器具(2)内でもさらに少なくとも一つのさらなるキャビティ(16)を通して導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ハンドヘルド(手持ち型)器具、特に歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)するための方法に関するものである。そのハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持する目的で、それを通して異なるメディア(媒体、媒質)が導かれる。さらに本発明は、医療用ハンドヘルド(手持ち型)器具、特に歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)するためのシステムに関するものである。そのハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、システムは、ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持する目的で、それを通して異なるメディアが導かれるように設計されている。さらに本発明は、医療用ハンドヘルド(手持ち型)器具、特に歯科用ハンドヘルド器具を操作するための方法およびシステムに関するものである。そのハンドヘルド器具は、細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持される。
【背景技術】
【0002】
アングルピースの形態の対応する歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持の目的のために、第1ステップで駆動装置(ドライブアレンジメント)の回転可能に支持された要素をクリーニング剤(清浄剤)やクリーニング液(清浄液)により清浄し、後続の第2ステップでそれらを潤滑化し、あるいは油をさすことが知られている。この方法において、クリーニング剤および油は、駆動装置(ドライブアレンジメント)の回転可能に支持されている要素の周囲に直接延びるアングルピースのキャビティ領域を通して導かれる(案内される)。このアングルピースは、クリーニング剤および油によって灌流されるこれらキャビティ領域のほかに、接合ギャップ(接合の隙間)を介してアングルピースの外部空間と接続されたさらなるキャビティ領域を含む。これらさらなるキャビティ領域は、光ガイド手段、冷却ガイド、およびセンサラインとパワー(動力)ラインのためのダクトにより互いに接続され、同時にほとんど気密に保護され、あるいはクリーニング剤および油によって灌流される第1に称呼されたキャビティ領域から分離されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このクリーニングおよび維持(保守)のための知られた方法では、さらなるキャビティ領域は、結果的には扱われない。したがって、病原体、たとえばアングルピースの歯科用アプリケーションの範囲内におけるさらなるキャビティ領域に浸透しているウィルスが、クリーニングおよび保守によって除去されず、その結果として、ユーザーおよび患者に対して感染が発生するリスクを許容するというリスクがある。
【0004】
本発明の基礎となる目的は、対応する方法またはシステムを改善することにある。特に、この手段によって、対応するハンドヘルド器具の内部の微生物の汚染や汚れの回避、または少なくとも減少が可能となる。
【0005】
本発明によれば、この目的は、独立請求項に記載されている主題で達成される。本発明の特定の実施形態は従属請求項において特定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)するために方法が提供される。そのハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持する目的で、それを通して異なるメディアが導かれる。この方法において、第1メディアが駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲むパワー(動力)伝達領域を通して単に導かれる一方、他方で、第2メディアが前記のハンドヘルド器具内でもさらに少なくとも一つのさらなるキャビティを通して導かれる。
【0007】
さらなるキャビティを通しての第2メディアの伝導により、さらなるキャビティのクリーニングおよびその結果としてハンドヘルド器具全体の改善されたクリーニングが可能となる。
【0008】
駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲むパワー伝達領域の場合、それはハンドヘルド器具のキャビティ領域であってもよく、このキャビティ領域は、駆動装置(ドライブアレンジメント)の少なくとも一つの回転可能に支持された要素、たとえばシャフトの周囲に直接的に拡張している(延びている)。少なくとも一つのさらなるキャビティの場合、それはハンドヘルド器具のさらなるキャビティ領域であってもよく、このさらなるキャビティ領域は、少なくとも一つの接合ギャップを介してハンドヘルド器具の外部空間と接続されると同時に、光ガイド手段および/または冷却ガイドおよび/またはセンサラインとパワーラインのための少なくとも一つのダクトによって互いに接続されている。
【0009】
第1メディアの場合、それは好適には駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素の潤滑剤、たとえば油あるいは油分散液であり、第2メディアの場合、それは好適にはクリーニング剤(清浄剤)、特にクリーニング液(清浄液)である。クリーニング剤を用いて、特に、さらなるキャビティから細菌を除去することが可能である。
【0010】
有益には、パワー伝達領域はさらなるキャビティと連通しており、この接続は第1メディアが通って導かれるときに橋渡しされる。特に、パワー伝達領域を通して第1メディアを導く過程において、第1メディアの接続は閉じたままに保つことができる。その結果、第1メディアがさらなるキャビティに入り込まないことが可能となっている。特に、このように、油がさらなるキャビティに入り込み、その後、少なくとも一つの接合ギャップを通り抜けてハンドヘルド器具の外表面上に至り、その結果として、たとえば、油でハンドヘルド器具のグリップ領域を汚すような状況を回避することができる。
【0011】
メディアは、好適には様々な供給容器から引き出される。その場合、供給容器の結合(付着、取り付け)領域は、そこを介して対応するメディアがハンドヘルド器具に導かれており、異なって構成されている。結合領域を適切に異なる構成とすることにより、接続が第1のメディアを含む第1の貯蔵容器の結合(付着)によって閉じられ、また、接続が第2のメディアを含む第2の貯蔵容器の結合(付着)によって閉じられないという構成を確保することが可能である。その結果、方法はさらに信頼性が高くなり、加えて対応するシステムが簡素化される。
【0012】
本発明の第2の観点によれば、システムが医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)するために提供される。そのハンドヘルド器具は、細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持されている。これに関連して、ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)する目的で、システムはその器具を通して異なるメディアを導くように設計される。このシステムは、第1メディアが駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲むパワー伝達領域を通して単に導かれる一方、他方で、第2メディアが前記のハンドヘルド器具内でもさらに少なくとも一つのさらなるキャビティを通して導かれる。
【0013】
第1メディアの場合、それは好適には駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を潤滑化するための潤滑剤であり、第2メディアの場合、それは好適にはクリーニング剤である。
【0014】
パワー伝達領域は有益には、さらなるキャビティと連通しており、システムは、この接続が、第1メディアが通って導かれるときに橋渡しされるように設計される。
【0015】
システムは好適には複数のメディアのための様々な貯蔵容器を示し、この場合、貯蔵容器の結合(付着)領域は、そこを介して対応するメディアがハンドヘルド器具に導かれており、異なって構成されている。
【0016】
本発明の第3の観点によれば、本発明によるシステムとまた医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具の構成の組み合わせが提供される。この場合、ハンドヘルド器具は好適にはパワー伝達領域とさらなるキャビティ間の接続ダクトを示す。
【0017】
本発明の第4の観点によれば、方法が医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具を操作するために提供される。そのハンドヘルド器具は、細長いグリップスリーブを示し、このフリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持されている。この方法においては、気体(ガス状)、好ましくは無菌または、純粋な媒体が、駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲うパワー伝達領域を通して、過剰な圧力により推進されて導かれる。
【0018】
その結果、細菌の侵入および/またはハンドヘルド器具の汚れを防止あるいは少なくとも軽減させることが可能である。
【0019】
メディアは好適には消毒剤である。その結果、細菌の特に顕著な減退を達成することが可能である。
【0020】
有益には、過剰な圧力の下限および/または上限は、事前に定義(規定)される。その結果、細菌減退を達成する目的のためという趣旨で、過剰の圧力の生成のための成果、特に良好な比(割合)が可能である。下限は好適には1hPaと10hPa間の量、たとえば5hPaである。
【0021】
対応するシステムが、医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具を操作するために提供される。そのハンドヘルド器具は、細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持されている。このシステムは、気体(ガス状)、好ましくは無菌または、純粋なメディアが、駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲うパワー伝達領域を通して、過剰な圧力により推進させて導くための手段を示す。
【0022】
そのシステムは、好適には操作中または歯科や外科の練習期間が比較的長い期間にわたって恒久的に一定の方法で、医療や歯科用器具で過剰な圧力を維持するように設計される。過剰の圧力は、器具や診察室が操作(動作)状態におかれたときに開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電動要素のペグ状結合要素に取り付けられた歯科用アングルピースの断面図である(一部のみ示されている)。
【図2】電動要素上に装着されたさらなる歯科用アングルピースの断面からの詳細である。
【図3】図2に対応する断面図であって、アングルピースが、たとえば潤滑剤のスプレー缶上に装着されている。
【図4】図2に対応する断面図であって、アングルピースが、たとえば保守機械の結合(付着、取り付け)領域上に装着されている。
【図5】図2に対応する断面図であって、アングルピースが、たとえばクリーニング液のスプレー缶上に装着されている。
【図6】本発明のさらなる観点に関連する見取り図であって、それによれば、気体(ガス状)、好ましくは無菌のメディア、たとえば気体状(ガス状)の滅菌メディアあるいは純粋な気体あるいは気体状(ガス状)の消毒剤が、ハンドヘルド器具を通して導かれる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明は、以下の実施形態に基づき、図面に関連付けてさらに詳細に説明される。
【0025】
本発明を説明する目的で、図1で始めるため、ハンドヘルド器具2は、歯科用アングルピースの形状で断面で描かれた例示的な方法で示されている。ハンドヘルド器具2は細長いグリップスリーブ4を示す。
【0026】
示されている例の場合、ハンドヘルド器具2は回転ツール(図1には描かれていない)、たとえばドリルを駆動する目的のために提供されてもよい。この目的のため、ハンドヘルド器具2はツール出口開口部14あるいは、もっと正確には、ドリル出口開口部が示されてもよい。
【0027】
ツールを駆動する目的のための備えがあってもよく、特に、ハンドヘルド器具2は電動要素(モータ要素)12、たとえば電気モータ要素との接続により駆動され、特にハンドヘルド器具2を電動要素12の結合に適合させることによって駆動される。図1において、電動要素12の前方の領域が単に描かれている。これはペグ状結合要素24、たとえばおおよそ環状の円筒壁領域であってもよい。ハンドヘルド器具2は、後部の凹部あるいは、より正確には端部領域に形成された凹部を示してもよい。その凹部は、ハンドヘルド器具2のツール出口開口部14の反対側に位置し、結合ソケット15の形で形成され、結合ソケットは電動要素12の結合要素24を受け入れるように設計されている。
【0028】
グリップスリーブ4において、駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連した要素、特に、回転可能に支持された要素、たとえばシャフト6およびさらなるシャフト8が配置されている。この回転可能に支持された要素は、特に、電動要素12からツールにパワーを伝達するために設計されてもよい、
【0029】
グリップスリーブ4の細長い形状により、―ツールの出口開口部14の反対側あるいは、より正確には“後部(リア)”領域において位置するハンドヘルド器具2の少なくともある領域において細長い形状により、ハンドヘルド器具2の長手方向軸Lを定義(規定)することが可能である。結合ソケット15は、例示的は方法で図に示されるように、この長手方向軸Lに平行に延び、あるいは波が手方向軸Lの周囲に延びて形成されてもよい。示されるように、結合ソケット15は、長手方向軸Lに対して深さtを示してもよい。
【0030】
ハンドヘルド器具2は、駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲うパワー伝達領域10を示す。これに関連して、それは特に駆動装置(ドライブアレンジメント)の少なくとも一つの回転可能に支持された要素の周囲、すなわち、たとえばシャフト6および/またはさらなるシャフト8の周囲に直接延びるキャビティ領域であってもよい。図1において、パワー伝達領域10のいくつかの部分は符号10で示されている。示された例の場合、パワー伝達領域10は結合ソケット15から連続してツールの出口開口部14まで延びてもよい。
【0031】
示された例の場合、回転可能に支持された要素の一つ、ここではシャフト6が結合ソケット15に延びてもよく、そのため、パワー伝達領域10は結合ソケット15によって囲まれている領域内に部分的に延びる。図1において、パワー伝達領域10のこの部分はさらに符号10´により示されている。
【0032】
通常、ハンドヘルド器具2の正常な動作(通常動作)において、電動要素12から発せられる冷却用空気あるいは抑制用空気は、ハンドヘルド器具12のツール出口開口部14まで導かれ、特にそのような方法で、つまり、この手段によって、過剰の圧力がパワー伝達領域10において生成される。このようにして、作業中における汚れや細菌のパワー伝達領域10への侵入を防止することができる。
【0033】
この点において、技術の状況から、ハンドヘルド器具2をクリーニングおよび維持(保守)する目的のために、異なるメディアを、そこを通して導くことが知られている。この方法で、第1ステップにおいて、クリーニング液がパワー伝達領域10を通して導かれ、続くステップにおいて、油あるいは油分散液が導かれる。
【0034】
ハンドヘルド器具2はさらに、さらなるキャビティ16を示す。後者の場合、それはハンドヘルド器具のさらなるキャビティ領域であってもよく、それらのさらなるキャビティ領域は、少なくとも一つの接合ギャップを介してハンドヘルド器具2の外部空間Aと接続されると同時に、光ガイド手段および/または冷却ガイドおよび/またはセンサラインおよび/またはパワーラインのための少なくとも一つのダクトによって互いに接続されている。そのさらなるキャビティ16の場合、ある要素、特に駆動装置(ドライブアレンジメント)の回転可能に支持された要素に直ちに接していないさらなるキャビティであってもよい。そのさらなるキャビティ16の場合、デッドスペースであってもよい。
【0035】
示された例の場合、さらなるキャビティ16は図1においてさらに符号16´で示されている部分を含んでもよく、その部分は長手方向軸Lに対して結合ソケット15の外に放射状に拡張している。
【0036】
先行技術によれば、さらなるキャビティ16のクリーニングは提供されておらず、そのため、ハンドヘルド器具2の処置アプリケーションの範囲内で、汚れや細菌が少なくとも一つの接合ギャップ(隙間)を通ってさらなるキャビティ16に侵入し、次のクリーニングおよび保守の過程において一緒に、保持して捕えかつ引っ張り出されることがなく、すなわち、さらなるキャビティ16内に残ってしまうということが起こり得る。この結果、感染の潜在的な危険性が生じ、ハンドヘルド器具2によって処置しているハンドヘルド器具2のユーザーおよび患者の両方に感染の危険性が生じる。
【0037】
本発明によれば、クリーニングの目的のためおよび維持(保守)の目的のために、第1メディア、特に駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を潤滑化する潤滑剤、たとえば油あるいは油発散液は単にパワー伝達領域10を通って導かれるだけで、すなわち、特にさらなるキャビティ16を通って導かれない。一方、第2メディア、特にクリーニング剤は、ハンドヘルド器具2内で、さらに少なくとも一つのさらなるキャビティ16も通って導かれる。その結果、さらなるキャビティ16のクリーニングが可能となる。
【0038】
特に、それに応じて、ハンドヘルド器具2をクリーニングするための第1ステップにおいて、第2メディア(特にクリーニング剤)がパワー伝達領域10およびさらなるキャビティ16の両方を通して導かれ、続くステップにおいて、特に、直ちに続くステップにおいて、第1メディア(特に、油あるいは油発散液)が単にパワー伝達領域10を通って導かれるだけで、すなわち、特にさらなるキャビティ16を通って導かれない、という備えがあってもよい。このようにして、第1メディアがその後少なくとも一つの接合ギャップ(隙間)を通って漏れ出て、これによってハンドヘルド器具2の表面が油で濡れあるいは汚くなるという状態を回避することが可能となる。
【0039】
有益には、パワー伝達領域は、さらなるキャビティ16と連通している。図2において、そのようなタイプの接続が例示的な方法で示されている。この目的のため、ハンドヘルド器具2は少なくとも一つの接続ダクト18を示してもよく、この接続ダクトは好適には、この接続ダクト18を灌流する第2メディア(クリーニング剤)がさらなるキャビティ16に侵入できるような方法で、結合ソケット15をさらなるキャビティ16に接続するように設計される。その接続はそれに応じて少なくとも一つの接続ダクト18によって構成されていてもよい。
【0040】
例においては、接続ダクト18は結合ソケット15の深さbで長手方向軸Lに対して放射状に外側に延びて形成され、参照符号16´によってさらに示されているさらなるキャビティ16の一部につながっている。その結果、接続ダクト18を特に短く設計可能である。結合ソケット15の深さaは深さbより少なく(浅く)、示されている例では、冷却空気ガイドの前部シール部(密封部)が形成されている。(図1に描かれたハンドヘルド器具2において、接続ダクト18が描かれていない。)
【0041】
ハンドヘルド器具2は、好適には、少なくとも一つの接続ダクト18が、パワー伝達領域10からくる第2メディア(クリーニング剤)がさらなるキャビティ16に侵入できる唯一可能な遷移点を構成するような方法で設計される。少なくとも一つの接続ダクト18から離れて、有益には、それに応じて、少なくとも実質的に、あるいはほとんど気密に保護され、あるいはパワー伝達領域10から分離するように設計される。
【0042】
駆動接続の提供として、ハンドヘルド器具2が、電動要素12が取り付けられており、あるいはそれに結合されているときに、少なくとも一つの接続ダクト18は、有益には、ハンドヘルド器具2の長手方向軸Lに対して、領域B内で電動要素(モータ要素)12の結合を通して、あるいはより正確にはペグ状結合要素24が延びて形成される。
【0043】
装着された電動要素12を伴う、第2メディア(クリーニング剤)のパワー伝達領域10からさらなるキャビティ16への通過あるいは流れのために、電動要素12において、特にペグ状結合要素24あるいはその環状の円筒壁領域において、少なくとも一つの開口部20が提供されてもよい。その開口部は、ハンドヘルド器具2が、電動要素12が取り付けられ、あるいはその結合要素24に取りつけられて提供されているとき、第2メディア(クリーニング剤)が少なくとも一つの開口部20から少なくとも一つの接続ダクト18に流れ、続いてさらなるキャビティ16に流れるような方法で設計される。
【0044】
記述されている少なくとも一つの開口部20と電動要素12との接続により、ハンドヘルド器具2の正常な動作において、電動要素12から放出される冷却用空気あるいは抑制用空気は、さらなるキャビティ16に浸透し、その結果、汚れや細菌のさらなるキャビティ16への侵入を妨げる。
【0045】
ハンドヘルド器具2の維持の目的のために、その記載されている接続は好適には、第1メディア(油、油分散液)が通って導かれるときに橋渡しされ、あるいは閉じたままとされる。このように、特に簡単な方法で、第1メディア(油、油分散液)がさらなるキャビティ16に入り込み、その後、少なくとも一つの接合ギャップを通り抜けてハンドヘルド器具2の外表面上に至るような状況を回避することができる。
【0046】
この目的のため、有益には、メディアが、様々な貯蔵容器から引き出されるような備えがあってもよい。この場合、この貯蔵容器の結合(付着)領域は、そこを介して対応するメディアがハンドヘルド器具2に導かれており、異なって構成されている。特に、維持(保守)の目的にために、第1メディア(油、油分散液)を含み、第1結合(付着)領域を示す第1貯蔵容器を使用するような備えがあってもよく、この第1結合(付着)領域は、接続あるいは、より正確には、接続ダクト18を閉じ、同時に第1メディアがパワー伝達領域10に流出することを可能とするような方法で結合ソケット15に挿入さるように設計される。クリーニングの目的のため、第2メディア(クリーニング液)を含み、第2結合(付着)領域を示す第2貯蔵容器を使用するような備えがあってもよく、この第2結合(付着)領域は、接続あるいは、より正確には、接続ダクト18´を閉じず、同時に第2メディアがパワー伝達領域10およびさらなるキャビティ16の両方に流出するような方法で結合ソケット15に挿入さるように設計される。
【0047】
図3において、そのような第1貯蔵容器の第1結合(付着)領域30はスプレー容器(全体として示されていない)の形状で例示的な方法で描かれている。第1結合(付着)領域30は好適には、結合(取り付け)状態で、結合ソケット15の深さcで長手方向軸Lに対して、たとえば容器(缶)ニップル(継ぎ手)の形状の密封部(封止部)31を示す。こにより、接続の閉鎖あるいは、より正確には接続ダクト18の閉鎖が保証される。深さcは、接続ダクト18に位置する上記した深さbより大きく(深く)、こにより、第1結合(付着)領域30による特に簡単で信頼性のある接続の閉鎖が可能となる。
【0048】
図4において、深さdにおいて、結合ソケット15あるいはその内壁に関連したリング状シールの形態の密封部32を示す第1結合(付着)領域30´のさらなるの例が描かれている。深さdは、上記した注釈に対応して、接続ダクト18に位置する上記した深さbよりさらに大きく(深く)なる。
【0049】
図5において、第2貯蔵容器の第2結合(付着)領域34は、クリーニング剤を含むさらなるスプレー容器(缶)の形状で例示的な方法で描かれている。第2結合(付着)領域34は第2メディア(クリーニング剤)のための第1出口領域を示し、この第1出口領域は少なくとも一つの接続ダクト18に直接つながる。並びに第2結合(付着)領域は第2メディアのための第2出口領域を示し、この第2出口領域はパワー伝達領域10に直接つながる。提供されている第2結合(付着)領域34が結合ソケット15に挿入されていると、接続あるいは、さらに正確には接続ダクト18はこの手段によって閉鎖されず、第2メディアは、記載した空間10,16をフラッシュする(どっと流す)ため、第2貯蔵容器からパワー伝達領域10および第2キャビティ16に流れ出すことができる。
【0050】
医療用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持(保守)するための本発明に係るシステムが、上記の説明の意味において、クリーニングおよび維持(保守)のためにハンドヘルド器具2を通して異なるメディアを導くために設計されている。これによって、第1メディアがパワー伝達領域10を通して単に導かれる一方、第2メディアがハンドヘルド器具2内でさらに、さらなるキャビティ16を通して導かれる。それに対応して、このシステムは、ハンドヘルド器具2を通して記載したメディアを導くための適切な手段を示す。
【0051】
このシステムは有益には、複数のメディアのための記載した様々な貯蔵容器を含み、この場合、貯蔵容器の結合(付着)領域は、そこを介して対応するメディアがハンドヘルド器具2に導かれており、異なって構成されている。特に、システムは、それに対応して、上述したように、第1メディアのための第1貯蔵容器を示してもよく、第1貯蔵容器は第1結合(付着)領域30あるいは30´を示す。同様に、システムは上述したように、第2メディアのための第2貯蔵容器を示してもよく、第2貯蔵容器は第2結合(付着)領域34を示す。
【0052】
システムは有益には、本発明に係る組み合わせをもたらすために、ハンドヘルド器具2と組み合わせてもよい。この場合において、ハンドヘルド器具2は、上述した接続、すなわち、たとえば接続ダクト18を示すことが可能である。さらに、システムあるいは組み合わせは、それに応じて、有益には、電動要素12を含んでもよく、その結合要素24は、少なくとも一つの開口部20を示す。
【0053】
外科(手術)用ハンドピースおよびアングルピースの操作の過程において、技術の状況に応じて、冷却用空気あるいは抑制用空気は、汚染された空気における処置領域の微生物汚染を防止するために、意図的に不要とされる。しかし、まさに、そのようなタイプの外科(手術)用ハンドヘルド器具の場合、体液による浸透、また、生理食塩水による浸透の特に高い危険性がある。したがって、それらハンドヘルド器具は患者の処置中に特に激しく汚れ、その結果、再調整や清浄をし、特に大変な努力で維持する必要がある。
【0054】
本発明のさらなる観点によれば、図6の断面で描かれている対応するハンドピース2´の操作の過程において、そのハンドピースは、細長いグリップスリーブ4´を示し、スリーブには要素6´が駆動装置(ドライブアレンジメント)に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、気体(ガス状)、無菌のメディアが、駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲うパワー伝達領域10´´を通して、過剰な圧力により推進されて導かれる。このようにして、ハンドヘルド器具2´の汚れを十分に削減することが可能である。メディアの場合、特に、抑制用空気であってもよい。
【0055】
特に、外科(手術)用アプリケーションの場合、外科(手術)的処置中におけるメディアの導入は、連続的に作動されてもよい。これは微生物汚染をさらに削減する。
【0056】
メディアの場合、それは好適には消毒剤(消毒メディア)であり、こにより、細菌数のより大規模な削減を達成できる。
【0057】
好適には、過剰な圧力のための下限および/または上限は、事前に定義(規定)される。下限は、最低でも必要があると認めるときは、その保護作用の機能として定義してもよい。好適には、下限は1hPaと10hPa間の量、たとえば5hPaである。この圧力を超えない汚染された液体は、ハンドヘルド器具2´に浸透することはできない。
【0058】
過剰な圧力のための上限は、以下の要因の機能(効用)として定義されてもよい:医療事故(メディカルハザード)、騒がせる騒音(ノイズ)の生成、患者の不安感、および/または流れにさらされる処置者の不安感、技術的な制限(供給)として、特に、冷却または乾燥する場合である。好適には、過剰圧力バルブがハンドヘルド器具2´に提供されている、あるいは提供されてもよく、このバルブは、それが過剰な圧力の上限を超えた場合に開かれるように設計されている。このようにして、患者に与える対応するダメージを特に抑制することができる。
【0059】
図6において矢印40で示されているように、ハンドヘルド器具2´にメディアを供給する目的にため、(分離される)無菌ホースが、おそらく一度だけ使用可能であり、対応する電動要素´の結合領域に結合される(取り付けられるような)備えがあってもよい。続いて、無菌メディア、たとえば濾過された空気は、そのホースを通して流れるように切り替えることができる。さらに、すでにあらかじめ滅菌されているハンドヘルド器具2´は、メディアの流入の場合、取り付けることでき、提供される駆動接続とすることができる。続く操作中に、過剰の圧力下のメディアの供給は常時オンに切り替えたままであり、その結果、細菌は侵入することができない。この場合、汚れの発生時ではそれだけで多かれ少なかれ、激しい外部汚れかもしれないので、続く再調整は明らかに少ない労力で可能である。
【0060】
結合点に配されているメディアあるいは抑制用空気は、矢印40´で示されているように、大部分は前部にむかって退出し、矢印40´´で示されるように、後部に向かってより少ない程度で退出する。絶対的に滅菌しないモータに存在している可能性がある細菌は、メディアとともに処置(手術)部位から一緒に運び去られる。ホースおよび電動要素12´は、最も厳格な消毒剤の要件を満たす必要はない。
【0061】
わずかな過剰な圧力が必要とされるので、灌流するメディア量は、非常に小さく抑えることができる。その量は、騒がせる騒音(ノイズ)が実質的に生成されない、あるいは少なくとも著しくないような方法で選択することができる。
【0062】
また、抑制用空気が終日(まる1日)絶え間なく(永続的に)ハンドヘルド器具を灌流するような備えがあってもよい。微生物の汚染は、唯一外部表面に発生する可能性があり、必要がある場合、簡単な拭き取りによって相対的に無菌を維持することができる。
【0063】
好適に、メディアあるいは抑制用空気は、上述したように“第2メディア”に関連しているが、パワー伝達領域およびさらなるキャビティの両方を通って、特に好適にはハンドヘルド器具のすべてのキャビティを通って導かれる備えがある。
【0064】
医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具2´を操作するための対応するシステムは、上述した意味において、気体(ガス状)、無菌のメディアを、駆動装置(ドライブアレンジメント)の要素を囲うパワー伝達領域を通して、過剰な圧力により推進させて導くための手段を示す。システムは、好適には、メディアを、適当なさらなるキャビティ、特に好適にはハンドヘルド器具のすべてのキャビティを通って導くように設計される。さらに、前述のホースあるいは適切なホースの取り付け部は、たとえば電動要素12´に提供されてもよい。
【0065】
さらに言及すべきことは、本発明はまた、たとえばボールベアリングや摩擦点等のように摩耗する場合があるハンドヘルド器具の部品(コンポーネント)と構造の耐用年数への影響と関連するそれに対応するハンドヘルド器具の衛生状態と清浄度に関して有利である。パーティクル(粒子)フィルタによって清浄されている空気を利用することによって、この方法で、対応する部品(コンポーネント)と構造の達成すべき耐用年数の増大が可能である。これは、特に、歯科用器具の場合にも成り立つ。後者は特に高いダスト負荷に実際にさらされているので、この観点は、このコンテキストでは特に重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具(2)をクリーニングおよび維持するための方法であって、
このハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブ(4)を示し、このグリップスリーブには要素(6,8)が駆動装置に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、
ハンドヘルド器具(2)をクリーニングおよび維持する目的で、それを通して異なるメディアが導かれる方法において、
第1メディアが前記駆動装置の前記要素を囲むパワー伝達領域(10)を通して単に導かれる一方、他方で、第2メディアが前記ハンドヘルド器具内でもさらに少なくとも一つのさらなるキャビティ(16)を通して導かれる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1メディアの場合、それは前記駆動装置の前記要素を潤滑化するための潤滑剤であり、前記第2メディアの場合、それはクリーニング剤である
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記パワー伝達領域(10)は、前記さらなるキャビティ(16)と連通しており、この接続が、第1メディアが通って導かれるときに橋渡しされる
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記メディアは、様々な供給容器から引き出され、前記供給容器の結合領域は、そこを介して対応するメディアが前記ハンドヘルド器具に導かれており、異なって構成されている
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持するためのシステムであって、
このハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブを示し、このグリップスリーブには要素が駆動装置に関連して配置され、特に、回転可能に支持され、
ハンドヘルド器具をクリーニングおよび維持するため、それを通して異なるメディアが導かれるように設計されているシステムにおいて、
第1メディアが前記駆動装置の前記要素を囲むパワー伝達領域を通して単に導かれる一方、他方で、第2メディアが前記ハンドヘルド器具内でもさらに少なくとも一つのさらなるキャビティを通して導かれる
ことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
前記第1メディアの場合、それは前記駆動装置の前記要素を潤滑化するための潤滑剤であり、前記第2メディアの場合、それはクリーニング剤である
ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシステムであって、
前記パワー伝達領域は、前記さらなるキャビティと連通しており、この接続が、第1メディアが通って導かれるときに橋渡しされる
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
システムは、前記メディアのための様々な供給容器を示し、前記供給容器の結合領域は、そこを介して対応するメディアが前記ハンドヘルド器具に導かれており、異なって構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項5から8のいずれかい一に係るシステムとまた医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具から構成された組み合わせ。
【請求項10】
医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具(2´)を操作するための方法であって、
このハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブ(4´)を示し、このグリップスリーブには要素(6´)が駆動装置に関連して配置され、特に、回転可能に支持された方法において、
気体(ガス状)、好ましくは無菌または、純粋なメディアが、前記駆動装置の前記要素を囲うパワー伝達領域(10´´)を通して、過剰な圧力により推進されて導かれる
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記メディアは消毒剤である
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法であって、
前記過剰な圧力の下限および/または上限は、事前に定義(規定)される
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記下限は1hPaと10hPa間の量、たとえば5hPaである
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
医療用ハンドヘルド器具、特に歯科用ハンドヘルド器具(2´)を操作するためのシステムであって、
このハンドヘルド器具は細長いグリップスリーブ(4´)を示し、このグリップスリーブには要素(6´)が駆動装置に関連して配置され、特に、回転可能に支持されたシステムにおいて、
前記駆動装置の前記要素を囲うパワー伝達領域(10´´)を通して、過剰な圧力により推進される気体(ガス状)、好ましくは無菌または、純粋なメディアを導くための手段を示す
ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239904(P2012−239904A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114199(P2012−114199)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(305039194)カルテンバッハ ウント ホイクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (36)
【氏名又は名称原語表記】Kaltenbach & Voigt GmbH
【Fターム(参考)】