説明

医療用接着テープ及びそれから作製される医療用物品

本発明は、メタロセンポリプロピレンコポリマーの不織布基材と、その基材の少なくとも片側にコーティングされた医療用感圧性接着剤と、を含む、医療用接着テープを提供する。薬剤と、本発明の医療用接着テープと、を含む、医療用物品も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用接着テープ及びそれから作製される医療用物品、具体的には基材材料として不織布を含む医療用接着テープ、及びそれから作製される医療用物品、例えば医療用包帯に関する。
【背景技術】
【0002】
(消費者)ケア分野において、不織布接着テープは、その良好な性能、低価格及び便利な加工性などの利点のため、広く使用されている。不織布接着テープの原材料には、レーヨン糸、ポリエステル、レーヨン糸/ポリエステルの混合物、及びポリプロピレンなどが挙げられる。例えば、中国特許第2267786Y号は、巻取り筒を含む空気透過性の医療用接着テープを開示しており、不織布の片側に医療用ベース接着剤が付けられ、不織布のもう片側に接着剤が付けられている。医療用ベース接着剤は、接着剤と不織布との間に挟まれている。接着剤は、医療等級のアクリル感圧性接着剤であり、不織布は、従来型のZiegler−Nattaポリプロピレン不織布である。しかしながら、上述の原材料で作製される接着テープはすべて、(1)弾性が小さいため、関節などのよく動く部分には適用できない、(2)液体に対する遮断性が小さいので、テープは、適用部分上にある外部からの液体の作用又は内部薬液の浸潤を阻止することができない、という、2つの共通した不利点を有する。
【0003】
この点を考慮して、上述の問題の一部を解決することを目指すいくつかの発明が行なわれてきた。例えば、欧州特許第1097185号は、包帯、硬膏及びテープなどのための基材材料として、メタロセン触媒ポリエチレン(エチレンとα−オレフィンとのコポリマー)の不織布を紹介している。しかしながら、一般的に、ポリエチレン粒子は、結晶化度が高く、加工が困難であり、特にメタロセン触媒ポリエチレンは、スパンボンド法による不織布の製造に使用することができない。市販のポリエチレン不織布のいくつかは、フラッシュスパン法によって調製できるが、これらは粘性がありすぎ、弾性を欠くため、引き伸ばすのが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、現時点において、簡単な加工性、良好な弾性及び液体遮断性を有する医療用接着テープ、並びにそれから作製される、不織布接着テープなどの医療用物品を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、簡単な加工性、良好な弾性及び液体遮断性を有する医療用接着テープを提供することである。
【0006】
本発明の一態様として、本発明は、
(1)メタロセンポリプロピレンコポリマーで作製された不織布基材と、
(2)その基材の少なくとも片側にコーティングされた医療用感圧性接着剤と、を含む、医療用接着テープを提供する。
【0007】
別の態様として、本発明は、上述の医療用接着テープと、薬剤と、を含む、医療用物品を提供する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、従来の接着テープ及び物品と比較して、本発明の医療用接着テープ及びそれから作製される物品は、弾性がより高く、より快適な感触を皮膚にもたらすため、曲がった関節及びよく動く任意の部分に適用することができる。基材は、外部からの水分の浸漬を完全に防ぎ、内部液(例えば、創傷液)の浸潤を低減するほど強い耐水性を有し、これは短期間の遮断に特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による、不織布の片面接着テープの概略図。
【図2】本発明の一実施形態による、包帯として使用される不織布接着テープの概略図(左側は断面図、右側は正面図)。
【図3】硬膏として使用される弾性で耐水性のある不織布接着テープの概略図(左側は断面図、右側は正面図)。
【図4】救急絆創膏として使用される弾性で耐水性のある不織布接着テープの概略図(左側は断面図、右側は正面図)。
【0010】
本発明は、図及び実施例を考慮しながら、以下に詳細に記載される。これらの説明及び実施例は全て例示的な実施形態であり、決して本発明を限定するものではないことに留意すべきである。本明細書において、部、百分率、比率などの内容の全ては、特に指定のない限り、重量に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、
(1)メタロセンポリプロピレンコポリマーで作製された不織布基材と、
(2)その基材の少なくとも片側にコーティングされた医療用感圧性接着剤と、を含む、医療用接着テープを提供する。
【0012】
本発明は、上述の医療用接着テープと、薬剤と、を含む、医療用物品を更に提供する。
【0013】
本発明で使用される用語「物品」には、例えば、包帯、硬膏及び救急絆創膏などを挙げることができる。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、本発明の接着テープで使用されるメタロセンポリプロピレンコポリマーの不織布基材は、以下の特徴:20〜100g/mのグラム重、0.05〜0.4mmの厚さ、長手方向及び横断方向において最大85%以上までの弾性回復率、並びに25cm水柱以上の不織布の静水圧値を有する。
【0015】
本発明において、用語「メタロセンポリプロピレンコポリマー」とは、メタロセン触媒を使用してオレフィン重合により生成された、プロピレンと少なくとも1つの追加のα−オレフィンとのコポリマーを意味する。本発明において、プロピレンとの共重合を行なうのに適用できるα−オレフィンには、エチレン、ブチレン、アミレン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、デシレン、ドデセンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、本発明に適用できるメタロセンポリプロピレンコポリマーは、150,000〜250,000の重量平均分子量、2.5以下の分子量分布、0.5〜35g/10分のメルトフローレート、3〜30%の結晶化度、15.2〜27.6MPaの引張り強度、100〜1,500%の伸張率、80〜97%の弾性回復率、−20〜−30℃のT及び40〜160℃のTを有する。とりわけ好ましい特定の実施形態によれば、本発明に適用できるメタロセンポリプロピレンコポリマー中のプロピレン単位は、65%以上、より好ましくは70%以上のモル分率を有する。
【0016】
メタロセン触媒ポリオレフィンの不織布に関しては、メタロセンポリエチレン材料と比較して、メタロセンポリプロピレン材料は、いくつかの以下に述べる利点を有する:(1)より優れた引張り強度及びより優れた耐摩耗性を有する、(2)層化の確率が大きく低減する、及び(3)加工ウィンドウ(例えば、温度範囲)が広い。
【0017】
オレフィン重合のメタロセン触媒は、通常、主触媒であるメタロセン化合物及び共触媒であるルイス酸からなる触媒系である。メタロセン化合物は、メタロセンの周期調整において遷移金属原子により形成される有機金属錯体化合物である。オレフィン触媒としてメタロセンが使用される場合、その特殊構造のために、コモノマーを均一に分散させる、ポリオレフィンの微視的立体化学構造を正確に制御する、比較的低い結晶化度のコポリマーを調製できる、などといった利点を有する。良好な弾性を有するポリオレフィンエラストマーは、メタロセン触媒のこれらの特徴を利用して調製することができる。メタロセンポリオレフィンエラストマーは、低価格、高弾性、及び他の材料との良好な適合性といった特徴を有する。
【0018】
ポリプロピレンエラストマーの調製に使用されるメタロセン触媒系としては、架橋メタロセン触媒系、非架橋メタロセン触媒系、モノメタロセン触媒系及びメタロセン/ホウ化物触媒系が挙げられる。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、プロピレンのモル分率が65%以上であるExxonMobil Companyにより供給されるVistamaxxシリーズの特殊なプロピレン−エチレンコポリマーエラストマーが使用されるのが好ましい。例えば、メタロセンポリプロピレンコポリマーエラストマーに関しては、メタロセンにより触媒された、プロピレンとα−オレフィンとのランダムコポリマーの弾性繊維及びそのプロセスが説明される米国特許第6476172 B1号に更に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、メタロセンポリプロピレンコポリマーエラストマーに関しては、以下を参照することもできる:
rac−anti−Et(Me)(Ind)TiCl、rac−anti−Et(Me)(Ind)TiCl/rac−syn−Et(Me)(Ind)TiClの等モル混合物及びrac−anti−Et(Me)(Ind)TiMeの非対称架橋メタロセン触媒を使用して結晶性非昌質立体セグメント化構造を有する熱可塑性ポリプロピレンエラストマーを合成したChien JらのPolymer Chemistry,1991,28(11):1603〜1607。
【0019】
MeC(Cp)(Ind)TiCl、MeC(Cp)(Ind)ZrCl、MeC(Cp)(Ind)HfCl、MeSi(Cp)(Ind)ZrCl及びMeSi(Cp)(Ind)HfCl(ここで、Cpはシクロペンタジエニルである)のメタロセン触媒を使用してポリプロピレンエラストマーを合成したGauthier W JらのMacromolecules,1995,28(11):3779〜3786。
【0020】
MeSi(Flu)ZrClMeSi(Flu)ZrMe2vの対称アキラル架橋メタロセン触媒を使用して最大100,000〜400,000の重量平均分子量並びに良好な弾性的及び光学的性能を有する完全に非昌質のポリプロピレンエラストマーを合成したResconi LらのChemical Reviews,2000,100(4):1253〜1345。
【0021】
(2−PhInd)ZrCl、(2−PhInd)HfCl、(2−PhInd)Zr(CHPh)及び(2−PhInd)Hf(CHPh)の架橋振動のないメタロセン触媒を使用してポリプロピレンエラストマーを合成したCoates GのChemical Reviews,2000,100(4):1223〜1252。
【0022】
Alを含むMRメタロセン触媒(ここで、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、Rは、CHPh、MeCH又はPhCMeCHである)をキャリアとして使用してポリプロピレンエラストマーを合成したCollete J WらのMacromolecules,1989,22(10):3851〜3858。
【0023】
Alを含むMAr[例えば、Ti(CCH]メタロセン触媒をキャリアとして使用して立体セグメント化ポリプロピレンエラストマーを合成したTullock C WらのJournal of Polymer Science.Part A.Polymer Chemistry,1989,27(9):3063〜3081。
【0024】
メタロセンポリプロピレンコポリマーは、既知の不織布製造技術を用いて簡単に不織布に作製することができる。好ましい実施形態の不織布には、例えば、スパンボンド法により製造されるMarnix弾性不織布が挙げられる(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)。Marnixは、特殊なエラストマーVistamaxx(ExxonMobil Chemical Companyにより製造されるメタロセンプロピレン−エチレンコポリマー)を主な原材料として取り入れるスパンボンドプロセスを利用して製造される新しい不織布製品である。これは、不織布及び弾性布地の利点を兼ね備え、柔らかい感触並びに弾性を有する。これは、最大200〜500%までの伸長率、及び90%以上の弾性回復率を有する。Vistamaxxは、150,000〜250,000の分子量、2.5以下の分子量分布、0.5〜35g/10分のメルトフローレート、3〜30%の結晶化度、15.2〜27.6MPaの引張り強度、100〜1,500%の伸長率、80〜97%の弾性回復率、−20〜−30℃のT、及び40〜160℃のTを有する。Vistamaxx中のプロピレン単位のモル分率は、65%以上である。その静水圧値は最大25〜70cmであり、これは不織布の特定の厚さによって変化し得る。一般に、不織布が厚いほど、静水圧値が高くなる。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、本発明の接着テープに使用される医療用感圧性接着剤は、アクリルエステル又はゴムベースの感圧性接着剤である。いくつかの実施形態によれば、コーティングされた乾燥接着剤の厚さは、10〜100g/mである。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本発明に有用な感圧性接着剤の接着力は、以下の試験を満たすものである:鋼板に対する接着力を試験するために、接着剤でコーティングされた基材として25マイクロメートルの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する時、この感圧性接着剤の接着力は0.1N/mmより大きくなければならない。これは、本発明に使用される不織布が耐水性を有し、耐水性はグラム重の増分、即ち不織布の厚さの増分とともに増大するからである。したがって、接着テープは、感圧性接着剤が鋼板に対して0.1N/mmより大きい最小剥離力を有する場合に限り、感圧性接着剤と不織布の表面とを再びよく組み合わせることによって調製することができる。更に、同じコーティング坪量の前提条件の下で、不織布の表面上での再組み合わせに関する簡単から困難までの程度は、以下の順序である:溶媒タイプの合成ゴム接着剤>学溶媒タイプのアクリルエステル接着剤>水性アクリルエステル接着剤。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、使用される前に、メタロセンポリプロピレン不織布は、例えば湿潤性を改善して接着剤との界面結合能力を増大させるために、布地上での表面性能を変更するように、表面処理が施されてもよい。既知の表面処理法は全て、本発明に適用できる。その例としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本発明は、以下のプロセスによって実施することができる。
【0029】
感圧性接着剤を剥離紙にコーティングし、炉に入れて乾燥させる。ローラーの補助の下で、感圧性接着剤を不織布基材と再び組み合わせ、接着剤層を不織布に移した。
【0030】
接着テープの製造以外に、本発明は、包帯、硬膏(例えば、漢方硬膏)及び救急絆創膏(例えば、応急処置用救急絆又は包帯)などの製品の製造にも使用することができる。しかしながら、本発明が、産業界において弾性の耐水性接着テープを必要とする状況にも適用できる、例えば電子及び通信市場に応用できる工業用接着テープとして使用できることを理解すべきである。
【0031】
本発明では、まず、テープ基材としてメタロセンポリプロピレンコポリマーの不織布及び医療等級の感圧性接着剤を使用して、医療用接着テープが調製される。この基礎材料で作製される医療用接着テープ及びそのテープで作製される医療用物品は両方とも、弾性、耐水性、及び皮膚への快適な感触といった利点を同時に有する。その上、加工プロセスは単純であり、製品はヒトの皮膚に更によく貼り付きかつより広い用途範囲を有する。接着テープなどの本発明による医療用物品が、よく動く関節に適用されるとき、完全に張力がない状態でよく動く部分に貼り付けられることができ、医療用液体は、テープに浸透してテープのユーザー/着用者の衣類を汚すことがない。更に、ユーザは、硬膏の薬剤の作用に影響を及ぼさずに通常にシャワーを浴びることができる。
【実施例】
【0032】
試験方法:
弾性回復率の試験方法
FZ/T 70006−2004 Standardに従って、多目的電子張力計(Instron5569,Instron Company,Shanghai,China)を使用する。作業は以下のように行なう:(1)2.54cm×10cmのサンプルを張力計のクランプに固定させ、(2)1Nの力をサンプルに適用し、その時点でのサンプルの長さをLとして記録し、(3)サンプルを一定の伸長(本発明では20%の伸長)まで引張るように張力計を操作してから1分間維持し、その時点でのサンプルの長さをL01として記録し、(4)張力を解除し、サンプルを自然の状態に戻し、3分間おき、(5)1Nの張力をサンプルに再び適用し、その時点でのサンプルの長さをL’として記録する。
【0033】
測定された弾性回復率=(L01−L’)/(L01−L)×100%
静水圧の試験方法
ISO811:1981 1 Standardに従って、水圧増加速度60cm/分及び温度20℃(標準大気圧)のYG825型の布地静水圧試験機(Ningbo Textile Instrument Factory,Ningbo,China)を使用した。作業は以下のように行なう:規格に従って、10cm×10cmより大きい面積のサンプルを切り取り、試験機に固定し(接着テープに関しては、接着剤面を下にして固定した)、(2)60cm/分の水圧増加速度を選択し、(3)開始ボタンを押すと水圧が安定に増加し始め、不織布の表面に第3の水滴が現れ始めるか、又は第3の浸潤位置が現れ始めた時、その圧力を記録し静水圧とする。
【0034】
実施例1:接着テープ
30.0g/mの乾燥接着剤坪量のPS−57E水性アクリルエステル接着剤(Xi’an Tianyun Industrial Co.Ltd.,Xian,China)を、120g/mの坪量の片面剥離紙(Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)にコーティングし、炉に入れて乾燥させた。ミリングローラーの影響下で、それを20g/mの坪量及び60μmの厚さのMarnix弾性不織布(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)と組み合わせ、接着層を不織布に移した。得られた不織布テープは、鋼板に関する0.311N/mmの剥離力、31.2cmの静水圧、並びに長手方向及び横断方向においてそれぞれ95.33%及び92.38%の弾性回復率を有する。調製されたテープを図1に示した。接着テープは、上から下に、メタロセンポリプロピレンコポリマーの不織布の層1、及び医療用感圧性接着剤の層2を含む、二重層構造であった。肘関節又は膝関節に適用されるとき、得られた接着テープは、優れた柔軟性及び快適性を有し、また歪曲はなかった。更に、既知の不織布接着テープの引張った感触がないため、関節部分の普通の動きは影響されなかった。この接着テープは、通常7日間以上継続して貼付された。適用プロセス中、毎日のシャワーが実施された(毎回約30分間)。
【0035】
実施例2:接着テープ
30.0g/mの乾燥接着剤坪量のPS−58E水性アクリルエステル接着剤(Xi’an Tianyun Industrial Co.Ltd.,Xian,China)を、120g/mの坪量の片面剥離紙(Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)にコーティングし、炉に入れて乾燥させた。ミリングローラーの影響下で、それを40g/m及び117μmの厚さのMarnix弾性不織布(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)と組み合わせ、接着層を不織布に移した。得られた不織布テープは、鋼板に対する0.462N/mmの剥離力、38.0cmの静水圧、並びに長手方向及び横断方向においてそれぞれ94.13%及び91.68%の弾性回復率を有していた。
【0036】
実施例3:接着テープ
43.8g/mの乾燥接着剤坪量のアクリルエステル接着剤(米国再発行特許第24960号(Ulrich)に従って調製された、重量比が95.5/4.5のイソオクチルアクリレート−アクリル酸コポリマー接着剤)を、120g/mの坪量の片面剥離紙(Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)にコーティングし、炉に入れて乾燥させた。ミリングローラーの影響下で、それを60g/mの坪量及び180μmの厚さのMarnix弾性不織布(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)と組み合わせ、接着層を不織布に移した。得られた不織布テープは、鋼板に関する0.240N/mmの剥離力、57.0cmの静水圧、並びに長手方向及び横断方向においてそれぞれ93.55%及び90.82%の弾性回復率を有していた。
【0037】
実施例4:接着テープ
38.4g/mの乾燥接着剤坪量の合成ゴム接着剤(約25%のポリスチレン−イソプレン−スチレンコポリマー(Kraton 1117(Kraton LLC,Houston,Texas))、約25%の芳香族で修飾されたC5樹脂接着促進剤、約49%のトルエン−ヘプタン混合溶媒、及び約0.1%の酸化防止剤を含有)を、120g/mの坪量の片面剥離紙(Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)にコーティングし、炉に入れて乾燥させた。ミリングローラーの影響下で、それを80g/mの坪量及び245μmの厚さのMarnix弾性不織布(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)と組み合わせ、接着層を不織布に移した。得られた不織布テープは、鋼板に関する1.141N/mmの剥離力、64.5cmの静水圧、並びに長手方向及び横断方向においてそれぞれ93.00%及び88.02%の弾性回復率を有していた。
【0038】
実施例5:接着テープ
49.8g/mの乾燥接着剤坪量の合成ゴム接着剤(約25%のポリスチレン−イソプレン−スチレンコポリマー(Kraton 1117(Kraton LLC,Houston,Texas))、約25%の芳香族で修飾されたC5樹脂接着促進剤、約49%のトルエン−ヘプタン混合溶媒、及び約0.1%の酸化防止剤を含有)を、120g/mの坪量の片面剥離紙(Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)にコーティングし、炉に入れて乾燥させた。ミリングローラーの影響下で、それを100g/mの坪量及び308μmの厚さのMarnix弾性不織布(National Bridge Industrial Co.Ltd.,Shenzhen,China)と組み合わせ、接着層を不織布に移した。得られた不織布テープは、鋼板に関する1.481N/mmの剥離力、68.9cmの静水圧、並びに長手方向及び横断方向においてそれぞれ91.00%及び87.67%の弾性回復率を有していた。
【0039】
実施例6:接着テープを基にした包帯
本実施例で使用した材料は、以下の通りであった:
枠紙(坪量125g/m、Naiheng Paper Co.Ltd.,Guangzhou,China)、
弾性不織布、接着剤、コットンパッド(Huilong Hygienic Material Co.Ltd.,Shanghai,China)、及び
剥離紙(坪量100g/m、Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)。
【0040】
包帯は、図2に示される弾性の耐水性不織布テープを使用して調製された(左側は断面図、右側は正面図)。この包帯の構造は、上から下に、枠紙の層3(切断線8を含む)、40g/mの弾性不織布の層4、30g/mのPS−57E水性アクリルエステル接着剤の層5、コットンパッドの層6、及び100g/mの片側剥離紙の層7の5層構造を含んでいた。
【0041】
加工プロセスは、以下の通りであった:(1)不織布接着テープを、コーティングによって調製し、(2)得られた接着テープを、打抜き機の巻戻しローラー上に置き、(3)4m/分の速度で、ダイカット形状の枠紙を不織布の表面と一緒に200℃のホットローラーによって合わせ、第1の剥離紙を剥がし、(4)接着面にコットンパッドを加え、製品剥離紙を貼り付け、(5)最終製品を形に打ち抜いた。
【0042】
得られた包帯は、枠紙に関して3.2g/mmの解放力、接着面に対して1.2g/mmの解放力を有し、鋼板に対する接着面の剥離力は0.372N/mmであった。
【0043】
実施例7:接着テープを基にした硬膏
本実施例で使用した材料は、以下の通りであった:
弾性不織布、接着剤、コットンパッド(Huilong Hygienic Material Co.Ltd.,Shanghai,China)、及び
剥離紙(坪量130g/m、Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)。
【0044】
弾性の耐水性不織布テープを使用して調製された硬膏が、図3に示された(左側は断面図、右側は正面図)。
【0045】
この硬膏の構造は、上から下に、80g/mの弾性不織布の層9、30g/mのAK2247合成ゴム接着剤の層10、コットンパッドの層6、及び130g/mの片側剥離紙の層11の4層構造を含んでいた。
【0046】
加工プロセスは、以下の通りであった:(1)不織布接着テープを、コーティングによって調製し、(2)得られたテープを、打抜き機の巻戻しローラー上に置き、(3)第1の剥離紙を剥がし、(4)接着面にコットンパッドを加え、製品剥離紙を貼り付け、(5)最終製品を形に打ち抜いた。
【0047】
得られた硬膏は、0.7g/mmの解放力を有し、鋼板に対する接着面の剥離力は1.110N/mmであった。
【0048】
実施例8:接着テープを基にした救急絆創膏
本実施例で使用した材料は、以下の通りであった:
枠紙(坪量125g/m、Naiheng Paper Co.Ltd.,Guangzhou,China)、
弾性不織布、接着剤、コットンパッド(Huilong Hygienic Material Co.Ltd.,Shanghai,China)、及び
剥離紙(坪量100g/m、Baoyan Industrial Technical Co.Ltd.,Shanghai,China)。
【0049】
弾性の耐水性不織布テープを使用して調製された救急絆創膏が、図4に示された(左側は断面図、右側は正面図)。この救急絆創膏の構造は、上から下に、枠紙の層3(切断線8を含む)、40g/mの弾性不織布の層4、30g/mのPS−57E水性アクリルエステル接着剤の層5、コットンパッドの層6、及び100g/mの片側剥離紙の層7の5層構造を含んでいた。加工プロセスは、以下の通りであった:(1)不織布テープを、コーティングによって調製し、(2)得られたテープを、打抜き機の巻戻しローラー上に置き、(3)4m/分の速度で、ダイカット形状の枠紙を不織布の表面と一緒に200℃のホットローラーによって合わせ、第1の剥離紙を剥がし、(4)接着面にコットンパッドを加え、製品剥離紙を貼り付け、(5)最終製品を形に打ち抜いた。
【0050】
得られた救急絆創膏は、枠紙に関して3.0g/mmの解放力、接着面に関して1.1g/mmの解放力を有し、鋼板に対する接着面の剥離力は0.301N/mmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)メタロセンポリプロピレンコポリマーで作製された不織布基材と、
(b)前記基材の少なくとも片側にコーティングされた医療用感圧性接着剤と、を含む、医療用接着テープ。
【請求項2】
前記不織布基材が、以下の特徴:20〜100g/mの坪量、0.05〜0.4mmの厚さ、及び25cm水柱以上の前記不織布の静水圧値を有する、請求項1に記載の医療用接着テープ。
【請求項3】
前記不織布基材が、長手方向及び横断方向において最大85%以上までの弾性回復率を有する、請求項2に記載の医療用接着テープ。
【請求項4】
前記ポリプロピレンが、150,000〜250,000の重量平均分子量、2.5以下の分子量分布、0.5〜35g/10分のメルトフローレート、3〜30%の結晶化度、15.2〜27.6MPaの引張り強度、100〜1,500%の伸張、80〜97%の弾性回復率、−20〜−30℃のT及び40〜160℃のTを有する、請求項1に記載の医療用接着テープ。
【請求項5】
前記ポリプロピレンのプロピレン単位のモル分率が65%以上である、請求項1に記載の医療用接着テープ。
【請求項6】
前記ポリプロピレン不織布が、スパンボンド法で調製された不織布である、請求項1に記載の医療用接着テープ。
【請求項7】
前記ポリプロピレン不織布が、コロナ処理、プラズマ処理、及び火炎処理から選択される表面処理法により処理される、請求項1に記載の医療用接着テープ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療用接着テープと、薬剤と、を含む、医療用物品。
【請求項9】
前記物品が、包帯、硬膏、又は救急絆創膏の形態である、請求項8に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−506298(P2012−506298A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533268(P2011−533268)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/061292
【国際公開番号】WO2010/048155
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】