説明

医療用接続端子ユニット

【課題】 患者へのストレスを軽減することができる医療用接続端子ユニットを提供する。
【解決手段】 長尺材から成るフレーム3を、壁面2aに長手方向をほぼ水平にして固定する。フレーム3には、医療用ガスが供給される接続端子4aが設けられるとともに、カバー本体5が装着される。カバー本体5は、上壁部40、前壁部42、下壁部43、2つの側壁部44,45を有し、前壁部42の外表面には予め定める表示情報を表示する表示シート6を設ける。表示シート6によって表示される予め定める表示情報として、絵柄および文字などの任意の情報を表示されるので、患者の関心を表示情報へ誘導し、医療用接続端子ユニット1に対する恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などを緩和する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小児病棟などの病室に好適に実施することができ、治療または処置に用いられる酸素ガスなどの医療用ガスが導かれるアウトレット、電力を供給する強電用接続端子およびナースコールなどの電気信号などの弱電用接続端子などを装備した医療用接続端子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な従来技術の医療用接続端子ユニットは、たとえば特許文献1に開示されている。この従来技術の医療用接続端子ユニットは、壁面に取付けられ、水平な長手方向に延びるフレームと、フレームに実装される接続端子と、接続端子が接続口を開口から露出させた状態で収容され、接続端子とともにフレームを覆うカバー体とを有する。
【0003】
フレームは、背面板と、背面板から前方に突出する上仕切板と、上仕切板の下方で背面板から前方に突出する下仕切板とを含む。このようなフレームは、たとえばアルミニウムまたはその合金などの金属材料から成り、押出成形によって長尺材として製造される。
【0004】
カバー体は、長手方向に平行な第1対称面に関して対称な上下の一対のカバー部材、長手方向に垂直な第2対称面に関して対称な左右の一対の側板とを有する。カバー部材はアルミニウムまたはその合金などの金属製であって押出成形によって製造される。また各側板は、たとえばABS樹脂などの合成樹脂製であり、射出成形によって製造される。カバー部材と各側板とは、接着剤などによって一体的に固定される。
【0005】
このような医療用接続端子ユニットは、フレームの上仕切板と下仕切板との間の中間収納空間が横方向にセパレータによって仕切られ、交流電源のコンセントなどの強電用接続端子と、ナースコールおよびテレビジョン受信機などの通信信号線が接続される弱電用接続端子と、医療用ガスおよび吸引力が導かれる接続端子との間がそれぞれ仕切られ、これらの接続端子は、各接続口がカバー体に形成される開口を介して外部に露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−316918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術の医療用接続端子ユニットは、病室の各ベッド毎に壁面に設けられており、各接続端子がカバー体の開口を介して外部に露出している。特に、医療用ガスが導かれる接続端子および吸引力が導かれる接続端子は、患者自身への治療や処置に直接用いられるため、患者に恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などを生じさせる場合があり、このことは患者が小児である場合に顕著である。
【0008】
このように病室において、患者に恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などを生じさせることは、患者にとって負の情動因子として作用し、ストレスになる場合があるため、従来から、ストレスを軽減することができる医療用接続端子ユニットが望まれている。
【0009】
したがって本発明の目的は、患者へのストレスを軽減することができる医療用接続端子ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、長尺材から成り、予め定める壁面に長手方向をほぼ水平にして固定されるフレームと、
フレームに設けられ、医療用ガスが供給される接続端子と、
フレームに装着されるカバー本体であって、
フレームを上方から覆う上壁部、
フレームを前方から覆い、接続端子の少なくとも一部が露出する開口が形成される前壁部、
フレームを下方から覆う下壁部、
フレームを長手方向一方側から覆う一方の側壁部、および
フレームを長手方向他方側から覆う他方の側壁部を有するカバー本体と、
カバー本体の前壁部の外表面に設けられ、予め定める表示情報を表示する表示手段とを含むことを特徴とする医療用接続端子ユニットである。
【0011】
また本発明は、前記上壁部は、各側壁部間にわたって凹凸状に湾曲して延びる天板と、天板の前記予め定める壁面側に配置される一側部から上方に突出する立上がり壁部とを有し、
天板には、長手方向に沿って延びる透孔が形成され、
フレームには、前記透孔に天板の下方から光を照射する照明手段が設けられることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記表示手段が、前記予め定める表示情報が表示され、前記前壁部の外表面に着脱可能に貼付けられるフィルムを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、前記表示手段が、前記予め定める表示情報を表示可能な液晶表示パネルを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、前記予め定める表示情報が、患者の情動を鎮静するための絵柄であることを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、前記予め定める表示情報が、患者に関する患者関連情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フレームは、長尺材から成り、予め定める壁面に長手方向をほぼ水平にして固定される。フレームには、医療用ガスが供給される接続端子が設けられるとともに、カバー本体が装着される。カバー本体は、フレームを上方から覆う上壁部、フレームを前方から覆い、接続端子の少なくとも一部が露出する開口が形成される前壁部、フレームを下方から覆う下壁部、フレームを長手方向一方側から覆う一方の側壁部、およびフレームを長手方向他方側から覆う他方の側壁部を有し、前壁部の外表面には予め定める表示情報を表示する表示手段が設けられる。
【0017】
このように医療用接続端子ユニットの前壁部に表示手段が設けられ、この表示手段によって予め定める表示情報、たとえば絵柄および文字などの任意の情報を表示情報として表示することができるので、このような表示情報が表示されない場合に比べて、患者の関心を表示情報へ誘導し、医療用接続端子ユニットの治療や処置を行う際に用いられる医療用機器としての外観上の認識を不明確化ないしは曖昧化して、恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などを緩和し、患者などである利用者へのストレスを軽減することができる。
【0018】
また本発明によれば、カバー本体の上壁部は、天板が各側壁部間にわたって凹凸状に湾曲し、この天板の一側部から立上がり壁部が上方に突出し、照明手段からの光が前記凹凸状に湾曲した天板の透孔に照射されるように構成されるので、前記透孔から外部へ光を放出し、その放出された光の一部が立上がり壁部に投射され、医療用機器としての恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などが緩和され、間接照明などとしての機能させることができる。
【0019】
さらに本発明によれば、表示手段が前壁部の外表面に着脱可能に貼付けられるフィルムによって実現されるので、フィルムの損傷、絵柄の変更などのために異なるフィルムに容易に交換することができ、利便性およびメンテナンス性を向上することができる。
【0020】
さらに本発明によれば、表示手段が予め定める表示情報を表示可能な液晶表示パネルによって実現されるので、動画および静止画のいずれによっても予め定める表示情報を表示することができる。また、予め定める表示情報は、絵柄、写真、文字などの任意のキャラクタを表示可能であるので、表示内容を多様化し、目的に応じた表示態様で多種の内容を容易に表示することができる。
【0021】
さらに本発明によれば、予め定める表示情報として、患者の情動を鎮静するための絵柄が用いられるので、患者ごとの臨床上の効果の相違はあっても、患者のストレスをより確実に軽減することができる。
【0022】
さらに本発明によれば、予め定める表示情報として、患者に関する患者関連情報が用いられるので、患者ごとに異なる内容を表示して、患者および医療担当者への必要な情報を提供し、治療または療養を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態の医療用接続端子ユニット1を示す斜視図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た拡大断面図である。
【図3】医療用接続端子ユニット1からカバー体7を外した状態を示す断面図である。
【図4】カバー体7が外された医療用接続端子ユニット1の内部構造を示す正面図である。
【図5】カバー体7の正面図である。
【図6】図5の上方から見たカバー体7の平面図である。
【図7】図5の下方から見たカバー体7の底面図である。
【図8】図5の背後から見たカバー体7の背面図である。
【図9】医療用接続端子ユニット1の電気的構成を示す電気回路図である。
【図10】照明手段50の配線系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の一実施形態の医療用接続端子ユニット1を示す斜視図であり、図2は図1の切断面線II−IIから見た拡大断面図である。本実施形態の医療用接続端子ユニット1は、たとえば病院の小児病棟の病室の壁2に、患者ベッド毎に設けられ、患者である小児にとって、自己の治療に使われる医療用機器が、自己のベッドの枕元に近接して設置されていることによる恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感など、治療にとって有害因子となる精神的負荷を有効に軽減し、本来の治療や処置、療養を円滑に行うために有利に実施することができる。
【0025】
医療用接続端子ユニット1は、長尺材から成り、予め定める壁面である前記病室の壁2の壁面2aに、長手方向をほぼ水平にして固定されるフレーム3と、フレーム3に設けられ、医療用ガスが供給される複数(本実施形態では2)の接続端子4a,4bと、フレーム3に装着されるカバー本体5と、カバー本体5の前壁部42の外表面に設けられ、予め定める表示情報を表示する表示手段としての表示シート6とを含む。
【0026】
前記表示シート6は、予め定める表示情報が表示され、カバー本体5の後述する前壁部42の外表面に着脱可能に貼付けられる合成樹脂製のフィルムから成る。前記予め定める表示情報は、患者の情動を鎮静するための絵柄であり、本実施形態では、軌道上を走行する蒸気機関車をアニメーション化した絵柄が、コンピュータグラフィックス(Computer
Graphics:略称CG)によって描かれている。この絵柄においては、前記2つの接続端子4a,4bを機関車の前後の車輪に見立て、その中央に各接続端子4a,4bを模した車輪の絵柄が描かれ、各接続端子4a,4bの外見上の存在感を希薄化させている。
【0027】
このような絵柄を前記表示情報としてフィルムに印刷し、前記カバー本体5の前壁部42に貼付けることによって、入院中の患者、特に小児にとって、自己への治療や処置を行う際に用いられる医療用機器としての存在感が希薄となり、恐怖感、嫌悪感、違和感、不安感が小児に誘起されることを回避することができる。
【0028】
前記表示シート6としては、ポリエチレン(Polyethylene Terephthalate;略称PET)製フィルムを基層とし、その表面に前述の絵柄を印刷して透明なポリカーボネート製の表面フィルムで被覆し、裏面に粘着剤を塗布した多層シートによって実現されてもよい。また表示シート6は、抗菌剤の塗布などによって抗菌加工されたフィルムを用いるようにしてもよい。本発明の他の実施形態では、前記基層は、前記ポリエチレン製フィルムに代えて、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride;略称PVC)製シートが用いられてもよい。また前記被覆層は、前記ポリカーボネート製フィルムに代えて、アクリル樹脂製フィルムが用いられてもよい。
【0029】
このような表示シート6と、この表示シート6が貼付けられるカバー本体5とを含んで、カバー体7が構成される。前記表示シート6は、粘着層によってカバー本体5の前面壁42に着脱可能に貼付けられているので、表示シート6が劣化、損傷または汚損したとき、あるいは患者に適した絵柄に変更する必要が生じたときなどには、表示シート6をカバー本体5の前面壁42から容易に引き剥がして、新たな表示シート6に交換することができる。また、リハビリテーションなどを行うために、たとえば数字、漢字、アルファベットなどの文字または文字列もしくは花、昆虫などの各種の絵柄が表示された複数の表示シート6を予め準備しておき、所定期間ごとに段階的に交換するようにしてもよい。
【0030】
図3は医療用接続端子ユニット1からカバー体7を外した状態を示す断面図であり、図4はカバー体7が外された医療用接続端子ユニット1の内部構造を示す正面図である。前記フレーム3は、背面板12と、背面板12から前方(図3の左方)に突出する上仕切板13と、上仕切板13の下方で背面板12から前方に突出する下仕切板14とを含む。
【0031】
背面板12の上端部15には、壁面2aから前方に離間し、壁面2aに向かって開口して長手方向に延びる凹部17が形成される。この凹部17は、上端部15から壁面2aに向かって下方に傾斜した係合片18を有する。上端部15の最も上方に配置される上端部分15aは、後述の立上がり壁部47の背面に長手方向に平行に固定される係合部材39を下方から支持した状態で係合し、カバー本体5がフレーム3に着脱可能に装着される。このようなフレーム3は、たとえばアルミニウム合金の押出し形材から成り、長尺材として製造される。
【0032】
壁面2aには、取付け部材20がビス21によって固定される。取付け部材20は、前記ビス21の軸部が挿通する取付け部22と、取付け部22の上端部から上方(図3の上方)になるにつれて前方(図3の左方)に傾斜して延びる係合受部23とを有する。係合受部23には、フレーム3の係合片18が上方から係合して掛け止められる。また、フレーム3の背面板12の下端部24は、ビス25によって壁2に固定される。こうしてフレーム3がその長手方向をほぼ水平にして、壁面2aに固定される。
【0033】
背面板12の上端部15と上仕切板13との間には、上収納空間26が形成される。また背面板12の前方でかつ上下の仕切板13,14間には、中間収納空間27が形成される。背面板12と下仕切板14とによって下収納空間28が形成される。
【0034】
中間収納空間27には、各接続端子4a,4bが収容される。各接続端子4a,4bは、大略的に直円柱状であって、基部30に環状に操作具31が軸線方向に移動可能に装着され、基部30と操作具31との間には圧縮コイルばね32が装着される。圧縮コイルばね32は、操作具31を基部30から軸線上で離反する方向にばね付勢し、操作者が操作具31を前記ばね力に抗して押圧することによって、基部30に中央に設けられる接続孔33に挿入状態で気密に係止されていたプラグ(図示せず)の係止状態を解除して、接続孔33から引抜いて離脱させることができる。
【0035】
基部30には、図示しない圧力容器から医療用ガスを導く配管34が接続される。医療用ガスは、酸素ガス、笑気ガスおよび空気などであるが、本実施形態では、一方の接続端子4aに酸素ガスが配管34によって供給される。他方の接続端子4bには、該接続端子4bの基部30に接続された配管35によって、図示しない吸引源からの吸引力が導かれる。
【0036】
図5はカバー体7の正面図であり、図6は図5の上方から見たカバー体7の平面図であり、図7は図5の下方から見たカバー体7の底面図であり、図8は図5の背後から見たカバー体7の背面図である。なお、図5〜図8は、図解を容易にするため、表示シート6は省略して示されている。カバー体7は、前述したように、カバー本体5と表示シート6とを含む。カバー本体5は、フレーム3を上方から覆う上壁部40と、フレーム3を前方から覆い、接続端子4a,4bの少なくとも一部が露出する開口41a,41bが形成される前壁部42と、フレーム3を下方から覆う下壁部43と、フレーム3を長手方向一方側から覆う一方の側壁部44と、フレーム3を長手方向他方側から覆う他方の側壁部45を有する。カバー本体5は、たとえばABS樹脂などの合成樹脂製であり、圧空成形または射出成形等によって一体成形される。
【0037】
カバー本体5の上壁部40は、各側壁部44,45間にわたって凹凸状に湾曲して延びる天板46と、天板46の壁面2a側に配置される一側部から上方に突出する立上がり壁部47とを有する。天板46には、長手方向に沿って延びる透孔48が形成される。フレーム3には、前記透孔48に天板46の下方から光を照射する照明手段50が設けられる。
【0038】
図9は照明手段50の配線系統図である。前記照明手段50は、光源ユニット51と、ブリッジ整流器52と、平滑コンデンサ53と、抵抗器54と、可変抵抗器55とを含む。
【0039】
光源ユニット51は、直列に接続された複数(本実施形態では4)の発光素子56a〜56dによって構成される。各発光素子56a〜56dは、たとえば出力が約0.6Wの発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称LED)によって実現され、順方向にバイアスされることによって白色で発光するように構成される。そのため、本実施形態では、天板46の透孔48が、帯状の透光性合成樹脂から成る可撓性の照明用カバー部材49によって天板46の下方から覆われている。このような照明用カバー部材49は、天板46の下面に接着剤による接着によって固定されてもよく、天板46の透孔48に近接する部位に、前記照明用カバー部材49の幅方向両側部が長手方向に移動自在に嵌まり込む嵌合片を、図2の仮想線46aで示されるように形成して、照明用カバー部材49を天板46に着脱可能に設け、異なる色の照明用カバー部材49に交換することができるように構成されてもよい。
【0040】
ブリッジ整流器52は、たとえば4つのダイオードを使って整流するブリッジ形全波整流回路によって実現される。ブリッジ整流器52の2つの入力端には、配線57,58がそれぞれ接続され、各配線57,58には電源用入力端子59,60がそれぞれ設けられる。各電源用入力端子59,60には、図示しない変圧器によって商用交流電源の約100Vの交流電圧から約22.4Vの交流電圧に変換した交流電力が与えられる。
【0041】
ブリッジ整流器52の2つの出力端には、配線61,62がそれぞれ接続される。一方の配線61には、抵抗器54が直列に介在され、この抵抗器54とブリッジ整流器52の一方の出力端との間には、平滑コンデンサ53の正極側端子が接続される。他方の配線62には、平滑コンデンサ53の負極側端子が接続される。また、一方の配線61の抵抗器54と光源ユニット51との間には、可変抵抗器55が介在される。この可変抵抗器55によって各発光素子56a〜56dに印加される印加電圧を変化させ、各発光素子56a〜56dの発光輝度を同時に変化させて、明るさを調整することができる。
【0042】
このような照明手段50は、光源ユニット51とともに共通なプリント基板上に実装され、筐体に収容された状態で、前記天板46の下面またはフレーム3の上仕切板13に、光源ユニット51からの光を透孔48へ照射させるように設置され、1つの照明ユニットとして実現される。
【0043】
図10は医療用接続端子ユニット1の電気的構成を示す電気回路図である。医療用接続端子ユニット1は、照明手段50に電源電力を供給するための照明用電力線70と、照明用電力線70に介在され、照明手段50への電力を供給/遮断するための電源スイッチ71と、外部機器に電力を供給するための接続端子である2つのコンセント72,73と、一方のコンセント72へ電力を供給するための外部機器用電力線74と、外部機器用電力線74から分岐し、他方のコンセント73へ電力を供給するための第2の外部機器用電力線75と、各電力線74,75と並列に配線される接地配線70a,74a,75aと、これらの電力線70,74,75および接地配線70a,74a,75aが接続される端子板76とをさらに含んで構成される。
【0044】
前記電源スイッチ71および各コンセント72,73は、前述の図7に示すように、カバー本体5の下壁部43に形成される開口78を塞ぐ合成樹脂製の底板79に取付けられ、外部から視認しにくい位置に設けられている。これによって医療用接続端子ユニット1の意匠上の美観を向上するとともに、医療用機器としての違和感、恐怖感、嫌悪感、不安感などの軽減が図られている。
【0045】
以上のように本実施形態によれば、フレーム3は、長尺材から成り、壁面2aに長手方向をほぼ水平にして固定され、医療用ガスが供給される接続端子4aおよび吸引力が導かれる接続端子4bが設けられ、カバー本体5が着脱可能に装着される。カバー本体5は、フレーム3を上方から覆う上壁部40、フレーム3を前方から覆い、接続端子4a,4bの少なくとも一部が露出する開口41a,41bが形成される前壁部42、フレーム3を下方から覆う下壁部43、フレーム3を長手方向一方側から覆う一方の側壁部44、およびフレーム3を長手方向他方側から覆う他方の側壁部45を有し、前壁部42の外表面には予め定める表示情報を表示する表示シート6が設けられる。表示シート6には、前壁部42の開口41a,41bに対応する位置に同様な開口6a,6bが形成される。
【0046】
このように医療用接続端子ユニット1の前壁部42に表示シート6が設けられ、この表示シート6によって予め定める表示情報、たとえば絵柄および文字などの任意の情報を表示情報として表示することができるので、このような表示情報が表示されない場合に比べて、患者の関心を表示情報へ誘導し、医療用接続端子ユニット1の医療用機器としての外観上の認識を不明確化ないしは曖昧化して、恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などを緩和し、患者である利用者へのストレスを軽減することができる。
【0047】
また、カバー本体5の上壁部40は、天板46が各側壁部44,45間にわたって凹凸状に湾曲し、この天板46の一側部から立上がり壁部47が上方に突出し、照明手段50からの光が前記凹凸状に湾曲した天板46の透孔48に照射されるように構成されるので、前記透孔48から外部へ光を放出し、その放出された光の一部が立上がり壁部47に投射される。これによってもまた、医療用接続端子ユニット1の医療用機器としての恐怖感、違和感、嫌悪感、不安感などが緩和され、間接照明などとして機能させることができる。
【0048】
さらに、表示シート6が前壁部42の外表面に着脱可能に貼付けられるフィルムによって実現されるので、フィルムの損傷、絵柄の変更などのために異なるフィルムに容易に交換することができ、利便性のメンテナンス性を向上することができる。
【0049】
さらに、予め定める表示情報として、前述のように、患者の情動を鎮静するための絵柄が用いられるので、個体による臨床上の効果の相違はあっても、患者のストレスをより確実に軽減することができる。
【0050】
本発明の他の実施形態では、表示シート6に代えて予め定める表示情報を表示可能な液晶表示パネルによって表示手段が実現されてもよい。これによって、動画および静止画のいずれによっても予め定める表示情報を表示することができる。また、予め定める表示情報は、任意のキャラクタの絵柄、写真、文字などをカラー表示可能であるので、表示内容を多様化し、目的に応じた表示態様で多種の内容を容易に表示することができる。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態では、予め定める表示情報として、患者に関する患者関連情報、たとえば検査日程、投薬時間、患者名、担当医名、食事制限の有無などが絵柄とともに、または単独で表示されてもよい。これによって、患者ごとに異なる内容を表示して、患者および医療担当者への必要な情報を提供し、治療または療養を支援することができる。
【0052】
本発明のさらに他の実施形態では、前記立上がり壁部47の正面側に臨む表面に、前記表示シート6と同様に、絵柄が表記された表示シートを表示手段として剥離可能に:貼着するようにしてもよく、液晶表示パネルを設けて、任意の静止画、動画、メッセージまたはそれらを組み合わせて表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 医療用接続端子ユニット
2 病室の壁
2a 壁2の壁面
3 フレーム
4a,4b 接続端子
5 カバー本体
6 表示シート
7 カバー体
12 背面板
13 上仕切板
14 下仕切板
15 背面板12の上端部
17 凹部
18 係合片
26 上収納空間
27 中間収納空間
28 下収納空間
30 基部
31 操作具
32 圧縮コイルばね
33 接続孔
34,35 配管
40 上壁部
41a,41b 開口
42 前壁部
43 下壁部
44 一方の側壁部
45 他方の側壁部
46 天板
47 立上がり壁部
48 透孔
50 照明手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺材から成り、予め定める壁面に長手方向をほぼ水平にして固定されるフレームと、
フレームに設けられ、医療用ガスが供給される接続端子と、
フレームに装着されるカバー本体であって、
フレームを上方から覆う上壁部、
フレームを前方から覆い、接続端子の少なくとも一部が露出する開口が形成される前壁部、
フレームを下方から覆う下壁部、
フレームを長手方向一方側から覆う一方の側壁部、および
フレームを長手方向他方側から覆う他方の側壁部を有するカバー本体と、
カバー本体の前壁部の外表面に設けられ、予め定める表示情報を表示する表示手段とを含むことを特徴とする医療用接続端子ユニット。
【請求項2】
前記上壁部は、各側壁部間にわたって凹凸状に湾曲して延びる天板と、天板の前記予め定める壁面側に配置される一側部から上方に突出する立上がり壁部とを有し、
天板には、長手方向に沿って延びる透孔が形成され、
フレームには、前記透孔に天板の下方から光を照射する照明手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の医療用接続端子ユニット。
【請求項3】
前記表示手段は、前記予め定める表示情報が表示され、前記前壁部の外表面に着脱可能に貼付けられるフィルムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の医療用接続端子ユニット。
【請求項4】
前記表示手段は、前記予め定める表示情報を表示可能な液晶表示パネルを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の医療用接続端子ユニット。
【請求項5】
前記予め定める表示情報は、患者の情動を鎮静するための絵柄であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の医療用接続端子ユニット。
【請求項6】
前記予め定める表示情報は、患者に関する患者関連情報であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の医療用接続端子ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−100890(P2012−100890A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252343(P2010−252343)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(390010342)エア・ウォーター防災株式会社 (56)
【Fターム(参考)】