説明

医療用洗浄チューブ

【課題】送水機の圧迫部に装着する被圧迫部を含めチューブ全体を一体的に交換ができるようにした医療用チューブを提供する。
【解決手段】中間に送水機20の圧迫部に装着する被圧迫部3を有するチューブ本体2を設け、該チューブ本体2の一端に洗浄液収容容器の栓部に突き刺す接続針4を、他端に洗浄液の吐出ノズル5をそれぞれ備え、洗浄容器側と吐出ノズル側とを一体化したものであること、また、前記吐出ノズル5が、出血部を覆うラッパ状で、小穴を持つ集液体5aで覆われ、該集液体を排液回収チューブに連繋し、洗浄と、洗浄後の排液処理(回収)が容易であること、さらに、前記集液体5aが、銃把状のニギリになり持ち易くし、操作を楽にするように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外傷による出血部(患部)や手術時の出血部(患部)等の洗浄或いは状況確認のために使用して好適な医療用洗浄チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から患部の洗浄装置として知られているものに、実開平4−124121号公報があった。これは洗浄容器に貯留された洗浄液を、供給チューブを通してポンプで吸引し、加湿器を経て第2の供給チューブから患部に向けてノズルから吐出させて洗浄を行い、この患部洗浄に使った排液は、回収チューブを介して接続した吸引ノズルを介して排液容器に回収するようになっていた。したがって、この装置は、手術時の出血部(患部)等の洗浄或いは患部の状況確認のためには有効な装置であった。
【特許文献1】実開平4−124121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記装置、特に、洗浄チューブは、患者の患部を洗浄するもので、供給チューブは、衛生上も、院内感染防止上も、1回の洗浄毎に、或いは1回の手術毎に交換することが望ましいが、上記装置では、供給チューブは、加温器を介して洗浄容器側と、吐出ノズル側との2つに分かれていたため、加温器ごとの交換は簡易ではなかったし、供給チューブを製造し、医療機関に納入している業者も、洗浄容器側及び吐出ノズル側を別個に作成しなければならず困難な製造を強いられていた。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解消するためのもので、その目的とするところは、送水機の圧迫部に装着する被圧迫部を含めチューブ全体を一体的に交換ができるようにした医療用チューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る医療用チューブは、中間に送水機の圧迫部に装着する被圧迫部を有するチューブ本体を設け、該チューブ本体の一端に洗浄液収容容器の栓部に突き刺す接続針を、他端に洗浄液の吐出ノズルをそれぞれ備えたことを特徴とし、洗浄容器側と吐出ノズル側とを一体化するように構成した。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係る医療用チューブは、前記吐出ノズルが、出血部を覆うラッパ状で、小穴を持つ集液体で覆われ、該集液体を排液回収チューブに連繋したことを特徴とし、出血部を集液体で覆うことにより洗浄を確実にすると同時に、洗浄後の排液処理(回収)が容易であり、傷口状況の確認も即時にできるように構成した。
【0007】
さらに、請求項3に記載の発明に係る医療用チューブは、前記集液体が、銃把状のニギリになっていることを特徴とし、吐出ノズルを持ち易くするとともに、操作を楽にするように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄容器側と吐出ノズル側を一体化しているので、患部の洗浄装置に使用するときは一体的に交換でき、面倒さがない。したがって、1回の使用ごとの交換が容易なことから、衛生管理上も、また、院内感染防止上にも極めて有効であるなど各種の優れた効果を奏するものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、出血部を集液体で覆うことにより洗浄を確実にすると同時に、洗浄後の排液処理が容易であり、傷口状況の確認も即時にできるから、洗浄の継続及び完了が容易であり、その後の処置にも有効であるという優れた効果を奏するものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、吐出ノズルの操作が楽になることから、洗浄を確実に行えるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1はチューブ本体の構造を示す斜視図、図2は吐出ノズルとラッパ状の集液体を示す拡大断面図、図3は図2のA−A′線断面図で、(a)は噴水口が1個、(b)は噴水口が無数、図4は使用時を説明した略示的斜視図、図5はポンプ部のハウジングを開いた場合の拡大斜視図である。
【0012】
本願チューブ1は、図1の如く、チューブ本体2の中間に、送水機20の圧迫部(チューブポンプ)21に装着するための被圧迫部3を有している。該チューブ本体2の一端には、洗浄液収容容器30の栓部31に突き刺す接続針4を備え、他端には、人体40の出血部41を洗う洗浄液の吐出ノズル5を備えている。前記チューブ本体2の中間に備えた被圧迫部3は可撓性(復元性)を有するプラスチックチューブからなり、他の部分は折れ曲がりし難い程度に強度を有するプラスチックチューブになっている。前記洗浄液は生理食塩水か純水が用いられる。
【0013】
前記接続針4は、図上では、チューブ本体2の他端寄りに設けた分岐点2′から延びた2つの分岐チューブ2a、2bの端部にそれぞれ備えられているとともに、その分岐チューブ2a、2bの途中には適時締め付け(流動規制)できる締付手段2a′、2b′が嵌められている。2つの分岐チューブは、例えば、容量の小さい2つの洗浄液収容容器30を使用し、これらに同時に接続することもあるためである。
【0014】
前記吐出ノズル5は、図2の如く、人体40に接触させて出血部41を覆うラッパ状にして、小穴5a″を持つ集液体5aの基部5a′内に設けられ、該基部5a′内は、図3(a)、(b)の如く、前記吐出ノズル5の周囲に設けた通路5bを介して回収チューブ5cに連繋している。該回収チューブ5cは延長チューブ5dを介して吸引機50の流入部51に連繋し、該吸引機の出力部52は回収容器53に連繋している(図4参照)。すなわち、ラッパ状の集液体5aは、柔軟でよく出血部41を覆うことができ、洗浄を確実にすると同時に出血部に当たって血・液の混合液(排液)の飛散を防止している。洗浄後の排液を、前述の如く、吸引機50により即時に引くようにしたのは、傷口状況の確認をより早く、より効果的に行うためである。前記集液体5aの小穴5a″は、ラッパ内が真空にならないようにするためである。また、小穴5a″を複数設けておき(図示けず)、ラッパ状カバー(図示せず)を移動させて当該小穴の個数の増減が図れるようにすることもある。
【0015】
前記吐出ノズル5のフェイス面5′に設けた噴出口5″は、図3(a)の如く、1個にして、出血部41に集中して噴射洗浄できるようにすることも、また、同図(b)の如く、フェイス面5′に無数の噴出口5″を設けて出血部41とその周囲を含む広い範囲の洗浄に効果的に使用できる。このフェイス面5′はオペレーターが適時切り換えできるようにしてもよい。なお、図示していないが、フェイス面5′に設けた噴出口5″には、出血部41に板状に噴出できるもの、リング状に噴出できるもの、さらには、フェイス面5′を工夫して螺旋状に噴出できるようにすることも可能である。
【0016】
前記ラッパ状の集液体から回収チューブを、実施例では、拳銃の銃把状のニギリ6で覆い、吐出ノズル5の把持及び操作をし易くしている。該ニギリ6は、てのひらから親指と、中指、薬指、小指とで挟むように把持できる胴部6aと、人指し指を当てる段部6bを設けてなる。このニギリ6は、手指にフィットするならば、その形状は問わないし、材質も自由に決定してよい。実施例ではプラスチック材料で作っている。
【0017】
前記送水機20の圧迫部(チューブポンプ)21は、図5の如く、前面フレーム22から突出させたリング凸部23にカバー24を着脱自在に設ける。該カバー24内には、被圧迫部3を装着(セット)するハウジング25と、該ハウジング25内に回転可能に取り付けたホイール26と、該ホイール26の前後板間に軸支したローラ27が備えられている。しかして、前記ハウジング25とホイール26との間に、前記被圧迫部3を挿入すると、該被圧迫部3はハウジング25の内壁とホイール26のローラ27とにより圧迫され(しごかれ)、その圧迫作用により洗浄液収容容器30から洗浄液が吸引し、吐出ノズル5より一定の勢いをもって洗浄液を吐出させ得るようになっている。
【0018】
前記ハウジンク25は、前記カバー24とともに、送水機20の前面フレーム22から取り外せるから、前記被圧迫部3の装着(セット)が楽に行える。このハウジング25と、前面フレーム22のリング凸部23との結合は、互いに当接し、当接面を一定角度ずらすことによりに一体化できるようになっている。このとき、前記ホイール26の非円形の中心孔(図示せず)が、リング凸部23の中央に突出している出力軸28に嵌合して一体化することとなる。
【0019】
また、前記ハウジング25を外して前記被圧迫部3を装着(セット)するに際し、前記被圧迫部3の出口となる半筒部25a、25bの一方を、例えば、赤色に着色することにより区別しておき、かつ、その着色側がチューブ本体2の一端側(接続針側)と決めておけば、装着時にチューブ本体2の方向を間違えることがない。
【0020】
前記ホイール26を回転させる出力軸28は、前記前面フレーム22に設けたコンセント22′にプラグを介して接続したコード29′を介して取り付けたフットペタル29の踏み込み操作により回転及び停止するようになっている。したがって、医療従事者(オペレータ)は、足(フット)を使って操作するだけで送水作業ができるため、両手はフリーになっている。
【0021】
次に、本願チューブ1の作用を説明する。外科手術、たとえば、ひざ間接や股関節のインプラント手術において、出血部を洗浄して患部の確認や処置を容易にする。すなわち、インプラントを削ることもあり、出血部には削り滓などが付着し、外見からでは手術の状態がわからない。そこで、出血部の状態を把握するため、本願チューブ1を用意した。
【0022】
まず、チューブ本体2の中間に設けた被圧迫部3を、送水機20の圧迫部(チューブポンプポ)21に装着する。この装着は、送水機20の前面フレーム22からハウジンク25をカバー24とともに外すことにより楽に行え、装着後はハウジング25をカバー24とともにもどし、ホイール26の非円形の中心孔をリング凸部23の中央に突出している出力軸28に嵌合一体化する。ついで、チューブ本体2の一端に設けた接続針(2個のうち1個は閉じたまま)4を、生理食塩水を装填している洗浄液収容容器30の栓部31に突き刺す。しかる後、他端の吐出ノズル5を片方の手で持って出血部41に向け、フットペタル29を踏むと、ハウジング25とホイール26との間に、挿入されている被圧迫部3はハウジング25の内壁とホイール26のローラ27とにより圧迫され、その圧迫作用により洗浄液収容容器30からの洗浄液を吸引し、吐出ノズル5より一定の勢いをもって洗浄液を吐出させ、送水する。これにより、出血部41が洗浄され、出血部の状況の確認が効果的に行われる。
【0023】
次いで、インプラント手術において、加工された骨の加工断面よりの出血部を洗浄して人口間接の接着を容易にするために使用する。この場合にも、本願チューブ1を用意して行うこととなる。この手術の場合においても、本願チューブ1は、上述の如く、用意され、出血部を洗浄して骨の加工断面の状態を確認することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本願チューブ1は、外傷による出血部(患部)や手術時の出血部(患部)等の洗浄或いは傷口状況確認のために使用して好適である。特に、送水、出血部の確認のために有効である。しかも、本願チューブ1は医療用具として病院等の医療機関は勿論、介護施設や養護施設などにおけるチョットした外傷による出血部の洗浄及び傷口状況確認のためにも広く利用できるなど産業上の利用可能性は極めて高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】チューブ本体の構造を示す斜視図である。
【図2】吐出ノズルとラッパ状の集液体を示す拡大断面図である。
【図3】図2のA−A′線断面図で、(a)は噴水口が1個、(b)は噴水口が無数である。
【図4】使用時を説明した略示的斜視図である。
【図5】ポンプ部のハウジングを開いた場合の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 本願チューブ
2 チューブ本体
2′ 分岐点
2a、2b 分岐チューブ
2a′、2b′ 締付手段
3 被圧迫部
4 接続針
5 吐出ノズル
5a ラッパ状の集液体
5a′ 基部
5a″ 小穴
5b 通路
5c 回収チューブ
5d 延長チューブ
5′ フェイス面
5″ 噴出口
6 銃把状のニギリ
6a 胴部
6b 段部
20 送水機
21 圧迫部(チューブポンプ)
22 前面フレーム
22′ コンセント
23 リング凸部
24 カバー
25 ハウジング
25a、25b 通過部
26 ホイール
27 ローラ
28 出力軸
29 フットペタル
29′ コード
30 洗浄液収容容器
31 栓部
41 出血部
50 吸引機
51 流入部
52 出力部
53 回収容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間に送水機の圧迫部に装着する被圧迫部を有するチューブ本体を設け、該チューブ本体の一端に洗浄液収容容器の栓部に突き刺す接続針を、他端に洗浄液吐出ノズルをそれぞれ備えたことを特徴とする医療用洗浄チューブ。
【請求項2】
前記吐出ノズルが、出血部を覆うラッパ状で、小穴を持つ集液体で覆われ、該集液体を排液回収チューブに連繋したことを特徴とする請求項1に記載の医療用洗浄チューブ。
【請求項3】
前記集液体が、銃把状のニギリになっていることを特徴とする請求項2に記載の医療用洗浄チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−110449(P2012−110449A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260681(P2010−260681)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000147785)フォルテ グロウ メディカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】