説明

医療用途の酸化窒素の生成方法及び生成装置

酸化窒素を生成して患者に直接送達するための方法及びシステム。患者に又は患者に密接して配置される反応チャンバーが供給され、該反応チャンバー内の反応物が互いに反応して所定量の酸化窒素を生成する。反応物の少なくとも1種を反応チャンバー内に計り入れることによって反応を制御して、患者によって必要とされる通りに所定量の酸化窒素を生成する。反応物は亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム、及び還元剤、例えばアスコルビン酸、マレイン酸又はその混合物を含み得る。酸化窒素を生成し、それに密接している患者に直接酸化窒素を送達することによって、NO2の形成を最小限にする。反応物の一方又は両方が液体形態でよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、酸化窒素(NO)を生成して患者に投与するための方法及びシステム、さらに詳細には、患者に近接してNOを生成して即時送達するための方法及びシステムに関する。
【0002】
〔発明の背景〕
ZapolとFrostellの米国特許第5,485,827号「肺血管収縮及び喘息を治療するための方法及び装置“Methods and Devices for Treating Pulmonary Vasoconstriction and Asthma”」に、肺高血圧症の患者を治療するための吸入による酸化窒素(NO)ガスの投与が記載されている。
現在、新生児の持続性肺高血圧症の治療のため酸化窒素ガスが常用されており、肺高血圧症の臨床又は心エコー証拠と関係がある低酸素呼吸不全(HRF)の満期又は満期近く(>34週)の新生児の治療に必要と示されている。HRFの赤ん坊では、肺の血管が収縮し、酸素添加のため肺を通じて血液を心臓が汲み上げることを困難にしている。酸化窒素は肺血管拡張薬であり、心臓と肺がそうでなければ十分な酸素添加血液を体組織に運ぶことができないであろう新生児の肺の血管を弛緩させる。
米国特許第6,432,077号に記載されているような患者の皮膚の表面感染を治療するためにNOを使用する他の臨床適用もある。
米国特許第5,670,127号「酸化窒素の製造方法“Process for the Manufacture of Nitric Oxide”」(Lien-Lung Sheu)は、気-液接触反応器内で硝酸水溶液を気体の二酸化イオウと反応させて100%のNOガスを製造することによって、医療用途の酸化窒素NOを製造する方法を開示している。この方法で使用するすべての反応物質は取り扱いが危険であり、従って、プロセスを厳密に制御しなければらならないことに留意することが重要である。この方法で製造されるNOは100%に近く、これを不活性な希釈剤、好ましくは窒素とブレンドして、現在100〜800ppmのNOの範囲の安全かつ使用に適した濃度の加圧ガス源を生成している。この方法は百万分率(ppm)レベルのシリンダー濃度を使用するので、大きい加圧シリンダー(直径約175mmと高さ910mm、16Lの濡容積と18Kgの重量)を必要とし、かさばり、重く、かつ大きい加圧ガスシリンダーの取り扱いに付随する理論上の問題及び安全要求をもたらす。シリンダーを150バールに加圧して約2000Lの使用可能ガスを保持する。しかし、800ppmのNOガス濃度では、全薬物量は0.066モルであり、たった2グラムの重さである。従って、薬物パッケージングはそこに含まれる薬物の重さの9,000倍に相当することが分かる。
【0003】
酸化窒素は容易に酸素(O2)と化合して、既知の毒性ガスである二酸化窒素(NO2)を形成するので、ガスシリンダーは酸素で汚染されないことが非常に重要である。この理由のため、シリンダー内で使用する希釈ガスは酸化窒素に不活性、すなわち酸化窒素を酸化しないものである。いくつかのこのような不活性ガスが知られているが、主にコストを基準として窒素、N2を利用することが好ましい。
気体NOを調剤するための送達装置は、患者の呼吸できる気体内にNO源気体を送達して、正確かつ制御できる様式で患者の肺に1〜80ppmの範囲の濃度を与えなければらならい。該装置は、NO2の形成を最小限にする様式でもNO源気体を送達しなければらならない。NO2の形成に関連するパラメーターはNO濃度の二乗、O2濃度及びそれらの間に起こる反応の時間である。NO送達装置では一般的にO2濃度は制御できず、NO源気体は固定濃度なので、反応が起こる時間だけが可変である。
ガスシリンダーからの酸化窒素(NO)の送達用装置は、正確な用量のNOを確実に患者に送達しなければらならないのみならず、送達から患者が呼吸するまでの時間を最小限にして、安全でないレベルのNO2の形成を防止しなければらならない。この2つの機能を果たすベッドサイドNO送達装置の例が米国特許第US 5,558,083号に記載されている。これは、人工呼吸器のような気体送達システムに依存している患者に一定濃度のNOを送達できる方法を示している。US 6,089,229、US 6,109,260、US 6,125,846、及びUS 6,164,276には、より小型の携帯式NO送達装置が開示されており、許容しうる低レベルでNO2レベルを維持しながらパルスモードでNOを送達できる方法が記載されている。これらのパルス装置は、コンパクトかつ軽量の送達装置の製造を可能にするが、まだ、送達すべきNO用のNOシリンダーの容積と重さが必要である。
【0004】
酸化窒素を生成し、分配し、かつ加圧シリンダーから安全に患者に投与する現在の方法の周辺の挑戦のため、NOを局所生成してそれを患者に即時送達するためいくつかの代替解決法が提案されている。当該代替解決法のいくつかとして、アーク放電を用いて空気からNOを生成後それを患者に送達する方法(US 5,396,882);不活性ガスでチャンバーをパージしながら硝酸溶液中で銅イオンの電量還元を確立することによって吸入用NOを生成する方法(US 5,827,420);酸素と窒素を含有するチャンバー内でコロナ放電を用いてNOを生成する方法(EP 0719159);反応チャンバーを400〜800℃に加熱しながらプラズマ化学反応法を用いて高効率のNO生産を得る方法(US 6,296,827);及び熱を用いて有機窒素含有化合物、例えばアンモニアを分解してNOを形成する方法(US 6,758,214)が挙げられる。
しかし、提案された各解決法は、加圧ガスシリンダーの容積と重さを取り扱わなければならないというよりは、患者に直接送達するためのNOの生成に特定の欠点があり、すべての提案解決法は、患者にNOを即時送達するため、うまく携帯できて安全なNO生成システムに必要な少なくとも1つの要件を満たすことができない。これらの要件として、(1)容易な取扱いのためのコンパクトサイズ(<100mm×150mm×50mm);(2)容易な携帯性のための軽量(<2Kg)、(3)安全性の懸念を提起するであろう毒性の化合物又は副生成物がないこと、(3)使用するいずれの反応物も容易に入手可能であり、かつ如何なる特別な貯蔵又は取扱い要件も有すべきでないこと、(4)必要な場合バッテリー操作が可能なような低電力消費、(5)患者がちょうど必要な量のNOの正確な制御できる生成及び(6)NOを早く生成して、NO2が生成せずに患者に送達できることが挙げられる。
従って、患者への即時送達用NOの局所生成のための方法及び装置であって、以前に試された解決法の欠点と困難さを克服し、かつ該システムの望ましい特徴をもすべて有する方法及び装置があれば有利であろう。
【0005】
〔発明の概要〕
この発明は、コンパクトで、軽量であり、毒性反応化合物を必要とせず、低電力を使用し、速くかつ制御できるNO生成を提供する、患者への即時送達用NOの局所生成のための方法及び装置を開示する。本発明の一般局面は、制御できる量の亜硝酸塩、好ましくは亜硝酸ナトリウムと、還元剤、好ましくはアスコルビン酸及びマレイン酸の少なくとも1種を所望量の水の存在下で合わせて、哺乳動物に必要な量のNOを生成してから、該哺乳動物に即時送達することによって、哺乳動物、すなわちヒト又は動物への即時送達用の酸化窒素(NO)を生成する方法である。好ましくは、本発明によって生成されるNOは哺乳動物による吸入用に送達される。哺乳動物にNOを送達する直前に装置内でNOを生成することによって、NO2形成の時間が最小限に維持される。本発明のこれら及び他の特徴は、以下の詳細な説明を添付図面と共に解釈すると、さらに容易に明らかになるだろう。
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、水の存在下で亜硝酸塩と還元剤を用いて気体形態のNOを生成する。典型的実施形態では、亜硝酸塩源は亜硝酸ナトリウムであり、還元剤はアスコルビン酸及びマレイン酸の少なくとも1種、好ましくはアスコルビン酸である。これらの典型的反応物は、NOを生成するために使用する物質が両方とも無毒であることを保証する。すなわち、アスコルビン酸はビタミンCであり、亜硝酸ナトリウムはハム等、肉を保存用に処理する際に使用される。従って、下流に通過して最終的に患者に届く毒性物質の危険なしで、患者に近接して反応化合物を使用できる。本明細書では、用語「患者」はヒト又は動物、好ましくはヒトを意味する。さらに、すべての反応化合物は水に溶けるので、その等モル量を含有する溶液を容易に調製することができる。本発明に従って亜硝酸ナトリウムとアスコルビン酸によって生成される場合のNOを生じさせる反応を下記式1で表すことができる。
2NaNO2+2C6H8O6→2NO+2NaC6H7O6+H2O+1/2O2 式1
式1に従ってNOを生成するために使用する反応化合物は、食品業界で広く使用されており、本明細書で上述したように想定される量では無毒である。
【0007】
本発明の一実施形態は、1モル過剰のアスコルビン酸(固体形態で、又は水溶液として)上に制御された量で液滴として置かれる亜硝酸ナトリウムの水溶液を使用する装置である。好ましくは、非常に微細な液滴を使用することによって、反応を迅速に進行させて、こうして形成されたNOを吸入又はアプリケーションに利用できる。
反応から供給されるNOの量は、他方の反応物と接触させる液体の正確な量を制御することによって管理される。反応チャンバー内に分配される液体は、好ましくは亜硝酸塩及び/又は還元剤の水溶液である。亜硝酸塩と還元剤が両方とも固体状態で基板上にある場合、反応を開始かつ制御するために分配される液体は水だろう。
本発明によりNOを生成するために利用する水溶液は、異なるモル強度の亜硝酸ナトリウムを含み、必要な液体リザーバーの大きさはモル濃度と逆に変化する。例えば、亜硝酸ナトリウムの6モル濃度水溶液を利用すると、上述した16Lのシリンダー内に含まれるのと同モル数のNOを生成するであろう溶液の量はただ12mLだけで、重さはたった12.4グラムである。溶液用のプラスチックパッケージ/ハウジング(インクジェットプリンタカートリッジと同様)を考えると、その大きさは約30mm×45mm×45mmで、重さは約20グラム、又は総重量33グラムであろう。NO用のガスシリンダーと比較すると分かるように、これは薬物パッケージの大きさと重さに関して有意な改善を与える。
【0008】
分配すべき液体の量を決定するため、患者に必要なNOの量を数量化する必要がある。肺高血圧を下げるために患者が吸入するNO濃度の典型的範囲は5〜80ppmのNOである。患者の1呼吸当たりの典型的な肺胞換気量は静止時で約300〜400mLである。従って、下式2から1呼吸当たり必要なNOの量を計算できる。
N=P.V/(Ru.T) (2)
ここで、
Nは気体のモル数である(モル)
Pは気体の絶対圧である(ジュール/m3)
Vは特定気体の体積である(m3)
Ruは一般気体定数、8.315(ジュール/(gmole.絶対温度(K))
Tは絶対温度である(K)
大気圧(101,315ジュール/m3)及び温度として20℃(293K°)を仮定して、体積をmL(×10-6m3)で表すと、式(2)が下式(3)に変形する。
N=4.16×10-5.V (モル) (3)
式(3)を用いて、下式(4)で指定される濃度の患者の肺胞換気量に対して送達すべきNO気体のモル数を計算することができる。
NNO=CNO.10-6.4.16×10-5.Va (4)
ここで、
CNOはNOの濃度である(ppm)
Vaは肺胞換気量である(mL)
例えば必要なNO濃度が5ppmで、肺胞換気量が300mLの場合、1呼吸当たり患者肺胞に送達すべきNOのモル量は以下の通りだろう。
NNO=5×10-6.4.16×10-5.300=250×10-9モル又は62ナノモル。
亜硫酸ナトリウムの分子量は69である。従って、1モル濃度溶液は1リットル当たり69グラムの亜硝酸ナトリウムを含む。上記反応が100%の効率であり、かつ亜硝酸塩から生成されるすべてのNOが気体形態であると仮定すると、1モル濃度の亜硝酸ナトリウムの溶液1nL毎に1ナノモルのNO気体が生成するだろう。
溶液の強度を高めることによって必要な液体の量を減らすことができる。例えば、2モル濃度溶液を使用した場合、必要な液体の量を50パーセントだけ減らせるだろう。厳密に正しい大きさの1滴として、又は必要量まで添加する小サイズの数滴として液体の量を生じさせることができる。
従って、本発明によりNOの形成を正確に制御して、送達すべきNOの所望濃度及び患者の肺胞換気量に特有の考慮を払って個々の患者を治療できることが明白である。
2つの反応化合物を結びつける工程はいくつかの方法で達成される。好ましくは、水溶液中の反応物を適切な液体分配手段で他方の反応物(液体又は固体形態でよい)に送達することができる。別の実施形態では、亜硝酸塩と還元剤が両方とも固体形態で基板上にあり、制御された量の水を基板上に分配して、制御された量の反応物を反応させることによって、制御された量のNOを生じさせる。
【0009】
図1には、反応物の一方を水溶液として使用し、他方が固体である場合の使用可能なシステムの概略図が示される。図1の典型的実施形態では、液体反応物源10が見られ、これは亜硝酸塩の水溶液でよい。反応物源10から制御可能マイクロポンプ12の形態の液体分配手段で液体亜硝酸塩が引き出され又は汲み出されて、該液体亜硝酸塩が、反応チャンバー16を閉じているハウジング14に入る。ハウジング14は、その中に室内空気又は他のキャリヤーガスを許可する入口18と、NOを積んだキャリヤ−ガスを反応チャンバー16から放出して当該気体を患者に送達するための出口20をも形成している。液体分配手段又はマクロポンプ12は、ナノリットル量の液体を分配するために使用できるいくつかの異なる技術を通じて構成され得る。
1つの可能な技術は、短時間開いて、開放相の間に小オリフィス(0.1〜0.25mm径)を通じて加圧リザーバーから液体を送達させる個々のマイクロポンプを含むことができる。マイクロポンプ12の別の技術は、要求される微細液滴を送達するためにインクジェット様式のプリンタヘッド(圧電又は熱)の使用が考えられる。典型的インクジェットプリンタヘッドは10〜100ピコリットル(100×10-12L)の液滴サイズを有し、本発明の実施で必要なサイズよりかなり小さいだろう。しかし、このようなインクジェットプリンタヘッドは、プリントヘッド毎に100個までのオリフィスを有し、かつ12MHzまでの速度で液滴を送達できる。従って、複数のオリフィスから複数の液滴を送達することによって、必要な総量を非常に迅速に送達できる。例えば、上記例で62nLを送達するためには、同時に6滴/オリフィスを送達する100個のオリフィスが必要だろう。
ポリエチレン等の基材のディスク22は、反応表面、すなわちディスクの上面24上にコーティングされた他方の反応物、すなわち還元剤の薄層を有するので、液体亜硝酸塩の液滴はディスク22の上面24上の還元剤のコーティングをたたいて、上で説明したように反応を起こさせることによってNOガスを形成し、該MOガスが出口20を通って患者の気道に入る。このプロセスを続けるため、液滴からの各局所反応後にディスク22を回転させて、マイクロポンプ12の位置がディスク22の外側から直線経路に沿って内側に動いてスパイラルを生じさせることによって、ディスク22の上面24に存在する利用可能なすべての反応物を使用することができる。分かるように、反応は、反応液を反応チャンバー16内に入れて、固体反応物と接触させる速度によって制御される。
【0010】
図2には、液体反応物が固体反応物と接触する代替実施形態の概略図が示される。図2に示される実施形態では、基本成分は同じであり、同一識別番号を付してあるが、この実施形態では、可動性のテープ26上で反応が起こる。それ自体では、各液滴がマイクロポンプ12から落ちると、テープ26の上面28にコーティングされている他方の反応物の薄層を液滴がたたいて、反応が起こる。各液滴の反応後、テープ26が動いて固体反応物コーティングの別の領域を与えて、次の液滴を受け取ることができる。テープの幅が広い場合、マイクロポンプ12の位置は、テープ26の移動の方向に対して直角である側部の直線経路に沿って動いて、テープ26の上面28に存在するすべての利用可能な反応物を使用し得る。
【0011】
さて図3では、両反応物が液体形態で存在する場合のシステムの概略図が示され、この場合もやはり、単一の液体分配手段を利用する。従って、図3には、液体反応物源10が見られ、これは液体亜硝酸塩化合物、例えば亜硝酸ナトリウムの水溶液でよい。この場合もやはり、制御可能なマイクロポンプ12の形態の液体分配手段によって液体反応物源10から液体亜硝酸塩が引き出され又は汲み出されるので、該液体亜硝酸塩は、反応チャンバー16を閉じているハウジング14に入る。しかし、この実施形態では、他方の反応物、すなわち還元剤は液体形態であり、ハウジング14内に形成されたリザーバー30内にある。
マイクロポンプ12から、その上の亜硝酸塩の液滴が液体還元剤中に落下して、液体還元剤と反応してNOガスを形成し、これが出口20を通って患者の気道に移行する。液体還元剤の供給はリザーバーを利用するので、マイクロポンプ12の位置を動かす必要がないことが分かるだろう。この場合もやはり、反応物間で起る反応、ひいてはNOの生成は、反応するために存在する亜硝酸塩があるときだけ反応が起こるので、亜硝酸塩の液滴を反応チャンバー16内に導入して液体酸還元剤と反応させる速度を制御することによって制御される。
【0012】
次に図4は、図3の実施形態の代替実施形態の典型的実施形態であり、部分的に液体還元剤の表面下に配置される外面を有するローラー32がある。このローラー32が回転すると、マイクロポンプ12からの液体亜硝酸塩の液滴を受けるように配置されたリザーバー30から新鮮な液体還元剤が連続的にもたらされる。それ自体では、液体亜硝酸塩の液滴がローラー32の外面の上部をたたいてその上にある液体還元剤と反応すると、ローラー32が回転して、次の液滴を受ける位置に液体還元剤の新たな供給をもたらすことができる。反応速度を高めるため、ローラー32の外面を粗くして局部表面積を増やすことができる。
【0013】
図5には、両反応物が水溶液であり、かつ1対の液体分配手段があるシステムの概略図が示されている。従って、分かるように、亜硝酸塩源34と還元剤源36があり、両方ともマイクロポンプ38及び40によってそれぞれ亜硝酸塩源34及び還元剤源36から移されるそのそれぞれの液体を有する。次に、それぞれの液滴が反応チャンバー16内の反応表面42上に分配される。反応表面42を動かしてこれらの2つの液滴を確実に同じ位置に置おいて、反応物の個々の液滴が相互に反応できるようにする移動システムがある。この移動システムは、マイクロポンプ38及び40、又は反応表面42、或いはその両方を動かして、それぞれの液滴の正確な配置を確実にして、NOを生成するための反応を与えることができる。
該移動システムの例として、反応表面42は回転ディスク、回転シリンダー又はテープ前進機構でよく、それぞれ図2〜4に関して述べられ、これらを使用して、第1の沈着液滴と第2の沈着液滴の位置を配列し、又は正しく合わせることができる。さらに、指標基材の表面を加熱して反応速度を高め、かついずれの残存水をも蒸発させることができる。
前記いずれの装置又はシステムにおいても、NOが生成された後、残存する反応副生物、例えばアスコルビン酸ナトリウムを液体分配手段から除去して、次反応と干渉しないようにしなければらならない。上述した解決法のいくつかは反応副生物を除去するための設計において固有の手段を有する。例えば、図2の実施形態では、テープ26はその次の指標位置に進行しながら、液体分配手段から副生化合物を自動的に除去してテープ26上に副生化合物を蓄積する。同様に、図4の実施形態のローラー32が回転して上部に液体反応物を新たに供給するとき、当該移動は反応表面から副生化合物をも除去する。
しかし、両液体反応物が制御様式で分配される図5の実施形態では、副生成物を除去する何らかの手段を加えなければならない。これは回転シリンダーでよく、該回転シリンダーを加熱して副生成物を乾燥させて固体形態にし、それを擦り取ってシリンダー下の保持チャンバー内に入れることができる。この保持チャンバーは活性炭のような中和化合物を有して、いずれのさらなる反応をも停止させ、かつ該保持チャンバーから反応チャンバーへ戻すいずれのクロスオーバーをも維持することもできる。これを達成する別の手段は保持チャンバーを有し、低圧で該保持チャンバーから気体を汲み上げ、気体洗浄装置に気体を通した後、大気に排出することである。
【0014】
上述したように、NO2は毒性なので、NO2の生成及びNOと共に患者に当該化合物が投与されるのを防止しなければらならないことから、NO2レベルの蓄積の問題があり得る。その目的のために、いくつかの解決法を利用できる。1つの該解決法は、洗い流し時間を減らすように極端に小さく、かつ停滞した気体を蓄積させてNO2を形成させ得る領域がないデザインの反応チャンバーを構築することである。
別の解決法は、酸素中で反応チャンバーを通る気流を低くしてNO2反応速度を下げることである。気流から優先的に酸素と水蒸気を反応チャンバーの前に通すことができる膜分離技術(図6)でこれを達成することができる。従って、図6で分かるように、本発明のNO生成装置に気体を供給する膜分離管44がある。そして、膜分離管44の入口46から出口48へ空気が動くとき、「高速気体」である水蒸気と酸素は、膜分離管44の壁を通じて迅速に浸透し、かつ窒素を膜の穴を通過させて本発明のNO反応用に供給する。
さらなる解決法として、NO2気体洗浄装置を加えて、チャンバーの下流でNO2を除去することができる。NO2を除去するために使用可能な材料は、イオウポリマー(EU 0763500A2参照)又はソーダ石灰である。
本発明が、生成されたNOを患者に投与できるいくつかのシステムがある。最も簡単な手段は、患者が反応チャンバーを介して吸い込んで、吸入器のように、生成されたNOを患者が直接取り入れることである。患者は、簡単にボタンを押してNOを生成してから、反応チャンバーから直接気体混合物を吸入する。
患者がボタンを押さなくても、患者が呼吸をしたときを検出して、装置に信号を送ってNOを発生させるセンサー手段を有することができる。患者の吸気作用のこの検出は、圧力降下又は流れの兆候によってでよい。
【0015】
患者に近接した反応チャンバーのある簡単な吸入器に代えて、図7には、自発的に呼吸する患者用の気体送達システムが示され、これはフィルター52を介して室内空気を吸い込み、かつ当該空気を反応チャンバー54を通じて汲み上げるポンプ50を有する。図6の膜分離管44について説明したような様式で、かつ該目的のためにいくらかの酸素を除去するため、反応チャンバー54の上流に配置される膜分離管56があってもよい。ポンプ50が反応チャンバー54の上流に示されているが、二者択一的に反応チャンバー54の下流に配置して、反応チャンバー54を通じて空気を引くことができることに留意すべきである。
導管58はNO含有気体を反応チャンバー54から患者60に送達し、鼻カニューレ62のような患者の装置を用いて患者60にNOを投与することができる。鼻カニューレは、患者に補充空気流を与え、ひいては患者の気道によるシールを形成しないでので、患者が呼吸するときに追加の室内空気が取り入れられる。導管58は、呼吸検出器として働いて患者が吸い込んでいる時、ひいてはNOを生じさせる時を検出するための呼吸誘発センサー64を含むこともできる。ポンプ50は継続的に作動するか、又はNOが生成しているときだけ作動して、パルスモードで働いて反応チャンバー54を介して気流を送達し、気体の流れがNOをピックアップしてNOを鼻カニューレ62を通じて、ひいては患者60に運ぶ。それ自体では、ポンプ50の作動を制御するポンプ制御66があり得る。さらに、前述したように、生成されるNOの量を制御して所望量のNOを患者60に供給するように、反応チャンバー54内で起こる反応を制御する液体分配制御68がある。これも分かるように、導管58内には、反応チャンバー54から離れるNOの濃度を決定するためのNOセンサー70がある。
【0016】
次に図8には、患者が人工呼吸器で機械的に呼吸しているときに使うためのNO送達システムの概略図がある。図8で分かるように、この場合もやはり、室内空気をフィルター52を介して吸い込み、かつ反応チャンバー54の下流にある任意の膜分離管56で反応チャンバー54を介して当該空気を汲み上げるポンプ50がある。導管58は、患者60にNO含有気体を投与できる反応チャンバー54からNO含有気体を送達する。この導管58は、患者の呼吸を検知する呼吸誘発センサー64及び図7について述べたように利用できるポンプ制御66をも含み得る。上述したように、生成されるNOの量を制御して患者60に所望濃度のNOを供給するように、反応チャンバー54内で起こる反応を制御する液体分配制御68もある。しかし、この実施形態では、鼻カニューレの代わりに、患者の装置は、吸気リム76を通じて人工呼吸器74によって投与される気体に伴ってNO含有気体を差しはさむ、気管内チューブ又はフェースマスク72でよい。患者60から吐かれた気体は患者60から呼気リム78を介して運ばれて人工呼吸器74に戻る。以前と同様、NOセンサー70が存在して、患者60に送達される気体の流れ内のNOの濃度を決定する。明らかなように、人工呼吸器の代わりに他の気体送達システム、例えば流量計からの気体で満たされる呼吸バッグ、又は持続的陽気道圧(constant positive airway pressure)(CPAP)(気流はブロワーからである)を利用できる。
【0017】
〔NO生成チャンバーデザインの例〕
以下の例は、NOを生成するために種々の反応化合物源(固体及び液体の両方)を使用する反応チャンバーデザインの種々の構成を示す。各場合の試験構成は図9に示される通りであり、NOを生成するときに反応が起こる反応チャンバー80を含む。ポンプ82は、連続的に室内空気を入口84経由で引き入れて、NOの生成中に反応が起こる反応チャンバー82を通過させる。反応チャンバー80の下流に、全気体流領量を測定する流量センサー86があり、かつ化学発光分析器88が出口90から通る気体中のNOの分析を行う。化学発光分析器88は60ミリ秒の応答時間を有するので、実時間測定値を与えるのに十分速いが、該測定値がチャートレコーダーに利用できるまでに処理時間の2秒のラグがある。
各場合、液体分配手段は、スパイク電圧制御回路を用いてVHSマイクロ分配バルブ(The Lee Company)を供給する小加圧(3.4×104Pa(5psi))液体リザーバーだった。1秒当たり1回脈動するとき、分配される液体の平均量を45分にわたって重量測定によって決定した。
【0018】
〔実施例1〕
図3の装置を用いて第1の実施例を行った。亜硝酸ナトリウム水溶液(1モル濃度溶液)を、液体還元剤のリザーバーのあるチャンバー内に直接分配した。還元剤は、1モル濃度のマレイン酸を添加した、アスコルビン酸の1モル濃度溶液だった。反応チャンバーを通る流れ(Qc)は0.5L/分の空気であり、マイクロポンプは毎秒1パルス当たり48nLを送達した。
結果:
反応チャンバーからのNOの平均濃度は、図10に示されるように約123ppmだった。
式4を用いて、生成されているNOの量を計算できる。ここで、Vaは以下によってmLで与えられる1秒当たりの流量である:
Va=Qc.1000/60=0.5.1000/60=8.3mL/秒。
VNO=CNO.10-6.4.16×10-5.Va 式4
VNO=123.4.16.8.3/100=42.5ナノモル
反応の速度はそれほど速くなく、NO出力は別個のパルスを示すのではなく、混ざり合って連続出力になる。試験中、反応は還元剤の表面下いくらかの距離のところで起こっており、気体の泡が生じ、かつ表面に達するのにいくらかの時間がかかることが分かった。これが、還元剤溶液からNOガスがゆっくり泡立つとき、おそらく出力にタイムラグを生じさせたのだろう。
【0019】
〔実施例2〕
この次の例は、回転シリンダーを用いてチャンバーのトップに還元剤の層をもたらし、その上に亜硝酸ナトリウム水溶液(1モル濃度溶液)を分配する、チャンバーデザインを有する図4の装置を用いて実施した。このデザインは、実施例1で見られるような還元剤の表面下で生じるNOの泡に付随する遅延を減らせた。チャンバーを通る流れは0.5L/分の空気であり、この場合マイクロポンプは1パルス当たり42nL送達していた。各パルス後、回転式反応表面が回転して新しい還元剤を分配手段にもたらす。400グリップの紙やすりで回転式反応表面を粗くして、より良い還元剤保持力を与えた。このデザインでは反応チャンバーサイズも小さく、この場合もやはりNO出力の応答時間がスピードアップした。
結果:
図11のチャート上で見られるように、反応の応答時間は、送達される亜硝酸ナトリウム溶液の各液滴に対応するNOの別個のパルスを有するロットクイッカー(lot quicker)だった。各パルスの全反応時間は1秒未満だった。ピークNO濃度は約300ppmで、1秒間にわたる平均濃度は約117ppmだった。これは約40ナノモルのNOの出力に相当するが、明らかなように、実質的に短い反応時間内だった。
【0020】
〔実施例3〕
この実施例では、亜硝酸塩と還元剤が両方とも、反応チャンバーの底部の同じ位置に液滴が沈着するように配置されたマイクロ分配バルブで分配された。装置は図5に示される通りだった。この例では、亜硝酸ナトリウムは2モル濃度溶液であり、還元剤は、アスコルビン酸の1.5モル濃度溶液と0.5モル濃度のマレイン酸だった。マイクロポンプは、1パルス当たり42nLの亜硝酸ナトリウムを送達し、第2のポンプは1パルス当たり54nLの還元剤を送達し、両方とも毎秒同時に脈動した。反応チャンバーを通る気流は0.360L/秒の空気だった。
結果:
システムがまず始動したとき、実施例2のように出力がピークだったが、反応チャンバー床上に液体が蓄積するにつれて実施例1のように出力が増し、出力はより長い反応時間及び送達されているNOの平均出力を有した。遅速の定常状態条件では、平均出力は385ppmのNOだった。
0.36L/分の気流に基づき、これは96ナノモル/パルスのNO出力に相当する。
【0021】
〔実施例4〕
この実施例では、図1の装置を用いて実施し、液体亜硝酸ナトリウム(6モル濃度溶液)を固体還元剤(アスコルビン酸中1モル濃度及びマレイン酸中1モル濃度の溶液をポリエチレンディスク上で蒸発させることによって還元剤の結晶化薄膜を形成することによって形成された)上に分配した。
チャンバーを通る気流は5L/分の空気だった。
マイクロポンプは1パルス当たり6モル濃度の亜硝酸ナトリウムを43nL送達した。
結果:
反応チャンバーからのNO出力の結果216ppmのNOスパイクのピーク濃度となり、約1秒間持続し、1秒の時間にわたって73ppmという平均濃度に相当する。気流5l/分の空気では、これは252ナノモル/パルスという1パルス当たりのNO計算送達量に相当し、予測値43nL×6モル濃度(送達される258ナノモルの亜硝酸ナトリウムに等しい)に非常に近い。
【0022】
最後に図12には、患者に投与すべきNO濃度を設定する能力をシステムが有するNO送達システムがある。図12で分かるように、この場合もやはり、フィルター94を介して室内空気を吸い込んで反応チャンバー96を通じて当該空気を汲み上げるポンプ92があり、反応チャンバー96の上流には任意の膜分離管98が配置される。導管100は反応チャンバー96からNO含有ガスを送達して、NO含有ガスを患者102に投与することができる。患者102に送達される気体の流れ中のNOの濃度を決定するためのNOセンサー104がある。図8のシステムと同様、人工呼吸器106が気管内チューブ又はフェースマスク110を用いて吸気リム108経由で患者に呼吸させると同時に、一方患者から吐き出された気体は呼気リム112経由で人工呼吸器106に戻る。
NO反応チャンバー96内で生成されるNOの量を制御するように、反応チャンバー96内で起こる反応を制御する液体分配制御114と、ポンプ92を制御するポンプ制御116もある。この実施形態では、吸気リム108内に、人工呼吸器106によって患者102に当該吸気リム108を介して供給されている呼吸空気の流量を測定するための流量センサー118も配置される。
従って、この実施形態では、患者102に投与すべきNOの所望濃度を使用者が入力できるように入力装置120を備える。患者102への流れが流量センサー118から分かるので、液体分配制御114は、NO反応チャンバー内で生成されるNOを制御して当該既知流量と合わせて、入力装置120で使用者が設定したNO濃度を送達することができる。
【0023】
当業者は、NOを生成して患者の気道内に直接導入するための改良された方法及びシステムをもたらすであろう、本発明のNO生成システム及びNOの生成方法に行い得る多くの適応及び変更を容易に認識するであろうが、すべて添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲及び精神内である。従って、本発明は添付の特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ制限されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を実施するために使用できる装置の概略図である。
【図2】本発明を実施するために使用できる代替装置の概略図である。
【図3】本発明を実施するために使用できる別の代替装置の概略図である。
【図4】本発明を実施するために使用できるなおさらなる代替装置の概略図である。
【図5】本発明を実施するために使用できるさらに別の代替装置の概略図である。
【図6】本発明で使用できる膜分離の斜視図である。
【図7】自発呼吸している患者で本発明を使用するためのシステムの概略図である。
【図8】人工呼吸器で機械的に呼吸している患者で本発明を使用するためのシステムの概略図である。
【図9】本発明の試験を実施するための試験装備の概略図である。
【図10】本発明を使用する実施例1のNO濃度の試験結果を示す。
【図11】本発明を使用する別の実施例のNO濃度の試験結果を示す。
【図12】NO濃度設定能力を備えた、本発明の使用のためのさらなるシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化窒素(NO)を生成して哺乳動物に送達するための方法であって、以下の工程:
前記哺乳動物と連絡している反応チャンバーを供給する工程;
反応してNOを生成する反応物を前記反応チャンバー内に供給する工程;及び
前記反応物の少なくとも1種の量を制御して、前記哺乳動物に即時送達するための所定量のNOを生成する工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記反応を制御する工程が、前記反応物の少なくとも1種の前記反応チャンバーへの導入を制御する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の反応物が液体形態であり、かつ前記反応チャンバー内に液滴の形態で導入される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記反応チャンバー内に反応物を供給する工程が、すべての反応物を液体形態で供給する工程を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記反応物を供給する工程が、前記反応チャンバー内の反応表面上で固体形態の反応物を供給する工程及び前記液体形態の液滴を前記固体形態の反応物と接触させる工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記反応表面を移動させて、連続的な液滴を前記反応表面上の異なる点で前記固体形態の反応物と接触させる工程を含んでなる請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記反応物が亜硝酸塩と還元剤である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記亜硝酸塩が亜硝酸ナトリウムであり、かつ前記還元剤がアスコルビン酸及びマレイン酸の少なくとも1種である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記NOが前記哺乳動物によって吸入され、かつ前記所定量が前記哺乳動物の肺胞換気量及び前記哺乳動物に送達すべきNOの所望濃度に基づいて計算される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
哺乳動物にNOを導入するための装置であって、以下の要素:
前記哺乳動物と流体的に連絡している反応チャンバー;
反応してNOを形成する反応物を前記反応チャンバー内に導入するためのシステム;及び
前記反応チャンバー内の前記反応物間の反応を制御して、前記哺乳動物への送達用の所定量のNOを生じさせるための制御システム
を含んでなる装置。
【請求項11】
前記反応物を導入するためのシステムが、反応物の水溶液を前記反応チャンバー内に液滴の形態で導入するのに適合された液体分配システムを含む、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記制御システムが、前記液滴が前記反応チャンバー内に導入される速度を制御することによって前記反応を制御する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記反応チャンバーが、前記水溶液を含有するのに適合されたリザーバーを含む、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記反応チャンバーが反応表面を含み、かつ前記反応物の1つが前記反応表面に固体形態でコーティングされる、請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記反応物を導入するためのシステムが、他方の反応物の水溶液を前記反応チャンバー内に液滴の形態で導入するのに適合された液体分配システムを含み、前記制御システムが、前記反応表面上の異なる位置で前記液滴を受け取らせる手段を含んでなる請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記手段が、前記反応表面を動かすのに適合された移動システムを含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記移動システムが前記反応表面を回転させる、請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記移動システムが、直線経路に沿って前記反応表面を動かす、請求項16記載の装置。
【請求項19】
前記制御システムが、複数の反応物を前記反応チャンバー内に制御された速度で導入する、請求項10記載の装置。
【請求項20】
前記NOが前記哺乳動物によって吸入され、かつNOの前記所定量が哺乳動物の肺胞換気量の測定値及び前記哺乳動物に導入すべきNOの所望量に基づいて計算される、請求項10記載の装置。
【請求項21】
前記反応チャンバー内に導入される前記反応物が亜硝酸塩と還元剤を含む、請求項10記載の装置。
【請求項22】
前記亜硝酸塩が亜硝酸ナトリウムであり、かつ前記還元剤がアスコルビン酸及びマレイン酸の少なくとも1種である、請求項21記載の装置。
【請求項23】
酸化窒素を生成して患者の装置を通じて患者に導入するためのシステムであって、該システムは、反応して酸化窒素を生じさせる反応物用の反応チャンバーと、生成される酸化窒素の量を所定量に制御するための制御手段とを含んでなる酸化窒素生成装置を含み、前記酸化窒素生成装置は前記患者の装置に又は前記患者の装置に近接して配置され、前記反応チャンバー内で生成された酸化窒素を前記患者の装置に直接供給する、前記システム。
【請求項24】
前記酸化窒素生成装置が、前記反応チャンバー内に前記反応物の1つを水溶液として液滴の形態で導入する液体分配器を含む、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記システムが、周囲空気を吸い込んで、該周囲空気を前記反応チャンバーに強制的に通して、前記反応チャンバー内で生成した酸化窒素をピックアップするためのポンプをさらに含む、請求項23記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、連続的又は断続的操作のため前記ポンプの作動を制御するためのポンプコントローラーを含む、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
前記システムが、前記反応チャンバー内に吸い込まれた前記空気の酸素含量を減らすための膜フィルター手段をさらに含み、前記膜フィルター手段が、前記ポンプと前記反応チャンバーとの間を流体的に連絡する位置にある、請求項25記載のシステム。
【請求項28】
前記システムが、前記患者の装置を通じて前記患者に吸気を供給するための人工呼吸器をさらに含み、かつ前記酸化窒素が、前記人工呼吸器からの吸気に伴って前記患者の装置内に導入される、請求項23記載のシステム。
【請求項29】
前記酸化窒素が前記患者によって吸入され、かつ前記酸化窒素の所定量が前記患者の肺胞換気量の測定値及び前記患者に供給すべき酸化窒素の所望濃度に基づいて計算される、請求項23記載のシステム。
【請求項30】
前記システムが、前記患者に供給される気体からNO2を除去するための装置をさらに含む、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
患者に送達すべき酸化窒素の所望濃度を入力するための入力装置と、前記人工呼吸器によって供給される気体の流量を決定するための流量センサーとをさらに含み、前記患者に送達される酸化窒素の量が、前記入力装置に入力される所望濃度に基づく、請求項28記載のシステム。
【請求項32】
患者に供給すべき酸化窒素の所望濃度を入力するための入力装置と、気体送達システムから前記患者の装置を通じて前記患者に向かっている気体の流量を決定するための流量センサーとをさらに含み、前記患者に送達される酸化窒素の量が、前記濃度と気体の側方流動に基づく、請求項23記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−526606(P2009−526606A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555249(P2008−555249)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/002228
【国際公開番号】WO2008/076136
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(508086999)イノ セラピューティックス リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】