説明

医薬製剤

本発明は、原薬含有サブユニットを複数含んでなる単一または多成分医薬剤形の溶融押出および射出成形に適した、新規な薬剤的に許容される高分子組成物に関し、原薬含有サブユニットはカプセル区画および/または、原薬を含むポリマーの固体マトリックスを含んでなる固体サブユニットであり、かつ構築された剤形において共に結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な薬剤的に許容される高分子ブレンドを用いた、射出成形される単一または多成分剤形の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投薬のための様々な型の医薬剤形が知られている。一般に経口投薬を意図した医薬カプセルがよく知られている。このようなカプセルは一般に、薬剤的に許容される、例えばゼラチンのような経口摂取可能であるポリマー材料の外層壁を含んでなるが、カプセル壁のためにはその他の材料、例えばデンプンおよびセルロースに基づくポリマーもまた知られている。このようなカプセルは一般に、カプセル形成剤による薄膜を形成し、次にこれを乾燥させることによって作られる軟壁を有する。射出成形により作られる硬壁カプセルもまた知られており、例えば米国特許第4,576,284号;米国特許第4,591,475号;米国特許第4,655,840号;米国特許第4,738,724号;米国特許第4,738,817号、および米国特許第4,790,881号(全てWarner Lambertへ付与)を参照されたい。これらにはゼラチン、デンプン、およびその他のポリマーにより作られるカプセルの特異的構成、ならびにそれらを親水性ポリマー−水混合物の射出成形により製造する方法が開示される。米国特許第4,576,284号には、成形によって満たされたカプセル上にin situで形成される、カプセルを閉鎖するキャップを持つこのようなカプセルが特に開示される。米国特許第4,738,724号には、硬カプセルの形および成形品について広範囲に開示される。
【0003】
各区画が、異なる薬物放出特性を有するか、または例えば異なる原薬もしくは製剤を含む型のものを含む多区画カプセルもまた、例えば、特に米国特許第4,738,724号(Warner-Lambert);米国特許第5,672,359号(University of Kentucky);米国特許第5,443,461号(Alza Corp.);国際公開第95/16438号(Cortecs Ltd.);国際公開第90/12567号(Helminthology Inst.);独国特許第−A−3727894号、およびベルギー特許第900950号(Warner Lambert);仏国特許第2524311号、およびオランダ特許第7610038号(Tapanhony NV);仏国特許第1,454,013号(Pluripharm);米国特許第3,228,789号(Glassman);ならびに米国特許第3,186,910号(Glassman)において知られている。米国特許第4,738,817号には、米国特許第3,228,789号および米国特許第3,186,910号における水可塑化ゼラチンによって作られたものと同様の構成を持つ、多区画カプセルが開示される。米国特許第4,738,817号(’817)、Witter et al.、米国特許第4,790,881号(’881)、Wittwer et al.、および欧州特許第0 092 908号、Wittwer, F.の全てには、ゼラチンおよびその他の賦形剤により製造される射出成形カプセルが開示される。Wittwer et al.の’817および’881では、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロース、結晶セルロース、ポリエチレングリコール、酢酸セルロースフタレート(CAP)のような親水性ポリマー、およびポリビニルピロリドンによるカプセルもまた製造される。
【0004】
原薬(drug substance)が固形溶液として分散、包埋、または溶解される固体ポリマーのマトリックスを含んでなる医薬剤形もまた知られている。このようなマトリックスは射出成形過程により形成されてよい。この技術については、Cuff G, and Raouf F, Pharmaceutical Technology, June (1998)の96〜106ページで考察されている。このような剤形のための幾つかの特異的な製剤については、特に米国特許第4,678,516号;米国特許第4,806,337号;米国特許第4,764,378号;米国特許第5,004,601号;米国特許第5,135,752号;米国特許第5,244,668号;米国特許第5,139,790号;米国特許第5,082,655号;米国特許第5,552,159号;米国特許第5,939,099号;米国特許第5,741,519号;米国特許第4,801,460号;米国特許第6,063,821号;国際公開第99/27909号;カナダ特許第2,227,272号;カナダ特許第2,188,185号;カナダ特許第2,211,671号;カナダ特許第2,311,308号;カナダ特許第2,298,659号;カナダ特許第2,264,287号;カナダ特許第2,253,695号;カナダ特許第2,253,700号;およびカナダ特許第2,257,547号に開示される。
【0005】
米国特許第5,705,189号は、薬物コーティング、およびカプセルの製造における熱可塑剤(thermoplastic agents)の使用のための、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸メチルの共重合体の群に向けられる。射出成形過程の間またはその後に出現する反りもしくはその他の歪みに関する、カプセル形成の質についての情報は提示されていない。
【0006】
薬剤的に許容される高分子ブレンドが熱溶融押出によって適切な剤形に製造されるか、または適切な剤形に射出成形される、カプセルのような多区画であってよい医薬剤形が製造されることが望ましいであろう。剤形としてのこの医薬高分子組成物は、有効薬剤を含む可能性のある各部分に異なった生理化学的特性を与え得る。このように、単に各区分の製造に適切なポリマー(単数または複数)を選択することにより、迅速型、即時型、遅延型、パルス性、または改変型の放出性能を生み出し得る、便利な剤形を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】有効薬剤を含み、壁の厚さ0.4mm、長さ9.0mm、直径7.7mmであるカプセル殻の溶解特性を、900mlの0.1N HCl中において100rpmで行うUSP2法によって示した図である。剤形成分は、Eudragit RL 100リンカーと共に、低粘度HPC 87w/w%、オパドライ ホワイト(Opadry White) 2w/w%、ステアリルアルコール 5w/w%、ドデシル硫酸ナトリウム 1w/w%、およびグリセロール 5w/w%により構成される。
【0008】
【図2】壁の厚さ0.4mm、長さ9.0mm、直径7.7mmであるカプセル殻の溶解特性を、900mlの0.1N HCl中において100rpmで行うUSP2法によって示した図である。剤形成分は、Eudragit RL 100リンカーと共に、低粘度HPC 83%w/w、グリセロール 5%w/w、Pharmacoat 603としてのHPMC 5%w/w、パルミチン酸スクロース 5%w/w、TiO2 1%w/w、およびSDS 1%w/wにより構成される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度グレードのヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量である界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上(dissolution modifying)賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物;ここで、崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/wであり、膨潤性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/wであり、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/wであり、水溶性充填剤が存在する場合、その量は約5〜約10%w/wであり;かつ、所望によりその他の薬剤的に許容される賦形剤を含んでなるカプセル殻、固体サブユニット、クロージャー、またはリンカーサブユニットのような成形品を製造するための新規な医薬組成物に関する。
【0010】
本発明はまた、上記製剤により構成されるカプセル殻、固体サブユニット、クロージャー、またはリンカーサブユニット、およびこれらの構築されたサブユニットにより構成される多成分剤形、またはそれらの適切な製剤のその他のサブユニットを製造する方法に関する。
【0011】
本発明は、新規医薬組成物、熱溶融押出技術におけるそれらの使用、および射出成形カプセル殻、リンカー、スペーサー、多成分射出成形カプセル殻、リンカーまたはスペーサー、多成分医薬剤形の製造、ならびに本出願の請求項および記述に定義されるその他の態様を提供する。
【0012】
本発明の別の態様は、代替の、改良された医薬剤形を提供するものであり、この医薬剤形は、薬剤的に許容されるポリマーの新規製剤および前記剤形に適した賦形剤を用い、患者の特異的な投与要求に適応する剤形においてより高い柔軟性を特に提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、射出成形による、新規な薬剤的に許容される高分子ブレンドを含んでなる多成分剤形を製造する方法を提供するものである。これらの多成分剤形は、薬剤的に許容される有効薬剤、またはそれによる放出のための薬剤の含有に適する。
【0014】
本明細書に記載されるように、本発明に従った熱溶融押出組成物、およびカプセル殻、リンカー、またはその他のサブユニットのような射出成形剤形が、低粘度グレードのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とその他の薬剤的に許容される賦形剤との医薬組成物を含んでなるために提供される。低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の市販されている適切なグレードの一つは、Nisso Americaにより生産されるHPC−SSLである。HPC−SSLは、約2.0〜2.9mPasの粘度を有する。その他の市販されているHPCのグレードは、Nisso SL(約3〜5.9mPas)およびNisso L(約6〜10mPas)を含む。本明細書における目的のための低粘度グレードHPCは2〜<60mPasの範囲であり、これによって、in vitroまたはin vivoにおける試験の際に、薬物内容を即時放出する剤形が提供される。一般的にはHPCの粘度が高いほど、得られる射出成形成分の放出特性は長くなり得る。一態様によれば、低粘度グレードHPCは2.0〜約10mPasの範囲にある。別の態様によれば、低粘度グレードHPCは2.0〜約5.9mPasの範囲にある。別の態様によれば、低粘度グレードHPCは2.0〜約2.9mPasの範囲にある。本明細書における製剤の主要なポリマーとして使用されるHPCについて調べる別の方法は、HPCの分子量にもよる。一般にHPCの分子量が小さいほど、HPCの粘度は低い。
【0015】
カプセルもしくはリンカー、またはその他のサブユニットは、組成物において約20〜約92%w/wの量である低粘度HPCを含んでなる。別の態様によれば、組成物中の低粘度HPCの量は約45〜92%w/wである。別の態様によれば、低粘度HPCの量は約60〜約90%w/wである。別の態様によれば、低粘度HPCの量は約80〜約90%w/wである。
【0016】
HPC−SSLは、最初に押出され、所望であれば次に様々なカプセル成分または剤形に射出成形できる製剤を作り出すため、様々なその他の賦形剤との組み合わせにより処方される。組成物はさらに溶解向上(dissolution modifying)賦形剤(DME)を、本明細書に記載されるDMEの分類により決定されるように、約2%w/w〜約60%w/wの量含んでいてよい;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;所望により、約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤;および所望により、約1%〜約10%w/wの量で存在するプロセシング剤;および所望により、約0.2〜約1%w/wの量で存在する乳白剤。
【0017】
製剤中の界面活性剤の含有により、in vitroでの溶解率試験における射出成形カプセル殻の溶解時間が短縮することが見出された。
【0018】
成形された医薬剤形は、それぞれが所望により原薬を含む区画である複数のサブユニットを含んでいてよい。この場合、各区画は隣接する区画から物理的に分離されている。分離は、同じ組成物もしくはいずれかのカプセル区画のポリマーであり得るかまたはあり得ない薬剤的に許容されるポリマー材料から作られる、壁またはリンカーサブユニットによる。少なくとも一つのサブユニットが原薬を含むカプセル区画である場合、その壁の厚さは約0.1〜0.8mmの範囲である。別の態様によれば、壁の厚さは約0.3〜0.8mmの範囲である。別の態様によれば、壁の厚さは約0.3〜0.5mmの範囲である。壁の厚さは、製品に望まれる性質および溶解放出特性に依存して調整されてよい。壁の厚さの増大は、成分の反りを減少させるために必要な場合もあり、またはこれに加えてさらなる賦形剤の改変が必要であり得る。
【0019】
本発明の多成分剤形は、それが異なる放出特性を有する異なるサブユニットの様々な組み合わせにより構成可能なことによる、高度な多用途性を与える。例えば、実質的な即時放出であるサブユニットは、第二の実質的な即時放出、またはパルス放出サブユニットのような持続放出サブユニットと組み合わせてよい。リンカーサブユニットまたはエンドキャップもまた、カプセル殻成分と同じかまたは異なる放出特性であってよい。
【0020】
本発明のその他の目的および利点は、以下の記述から明らかになるであろう。
本発明は、低粘度ヒドロキシプロピルセルロースである薬剤的に許容されるポリマーおよび様々な薬剤的に許容される賦形剤による新規組成物に向けられ、この高分子組成物は、積層または多成分剤形にみられるような、所望により共に利用できる1以上の成分に射出成形されてよい。高分子ブレンドは、成形成分自体が経口投与のための有効薬剤もまた含み得るか、または成形成分がその腔内に有効薬剤を含み得る、単一成分に射出成形されてよいことが認識される。
【0021】
本発明はまた、本明細書に記載される新規な薬剤的に許容される高分子ブレンドを含んでなる成分上への、薬剤的に許容される薄膜コーティングの適用にも関する。当該技術分野において公知であるように、薄層コーティングは遅延放出製剤またはpH制御製剤であってよい。適切なコーティングはオパドライ(Opadry)(登録商標)およびEudragit L30D-55を含むがこれらに限定されない。例えばL30D-55の適用に代表される腸溶コーティングは、GMP Aerocoater column coaterのような標準的設備を用いて適用されてよい。成分重量の増大は、公称約3%〜約5%w/wである。
【0022】
本明細書の薬剤的に許容される剤形に望まれる性状の一つは、in vitroおよび最適にはin vivoにおける一貫した溶解特性の提供である。
【0023】
本明細書における使用に適した多成分剤形の一つは、国際公開第01/08666号、現在は米国特許第7,163,693号、同様に米国特許出願公開第2006/0057201号に開示され、その内容は参照として本明細書に取り込まれる。本発明の剤形の別の部分と共に使用されてよい剤形の部分、例えば国際公開第02/060385号、国際公開第02/060384号、国際公開第05/089726号、および国際公開第05/009380号に開示されるような、カプセル区画壁、固体サブユニット、一般には円柱状のサブユニットであるエンドキャップクロージャーまたはリンカーサブユニットを得るために、その他の適切な製剤が用いられてよい。その他のサブユニット剤形は、その内容が参照として本明細書に取り込まれる国際公開第2009/050189号、国際公開第2009/050190号、国際公開第2009/050192号、国際公開第2009/050193号により包含されるもの;およびその内容が参照として本明細書に取り込まれる米国特許第D481456号、米国特許第D493518号、米国特許第D516714号、米国特許第D506545号、米国特許第D501550号、および米国特許第D501549号のようなカプセル殻態様についてのその他のデザイン特許を含む。
【0024】
本発明の剤形の部分、例えばカプセル区画壁、一般には固体サブユニット、クロージャー、またはリンカーサブユニットは、経口摂取のための薬剤的に許容される高分子ブレンドを含んでなり、この高分子ブレンドは要求される形、例えばカプセル区画壁、固体サブユニット、クロージャーエンドキャップまたはリンカーに成形することができる。ポリマー材料を望まれる形に成形するための好ましい方法は、熱または冷ランナー射出成形過程であり得る射出成形によるものである。このような過程に適した射出成形装置は、当該技術分野において公知である。
【0025】
医薬剤形は、互いに結合し、かつ本明細書に記載されるような薬剤的に許容されるポリマー材料で作られた壁によって少なくとも一つの隣接する区画から物理的に分離されるカプセル区画を複数含んでなってよく、隣接する区画は構築された剤形内で共に連絡し、少なくとも患者への投与の前に連絡によって共に保持され、1以上の区画は原薬を含む。一態様によれば、構築された剤形は、1カプセル区画および1リンカーサブユニットを含む少なくとも2のサブユニットを持つ。別の態様によれば、少なくとも3のサブユニットが存在し、これらは、例えば2カプセル区画および1リンカーサブユニットを含んでなる配列において、構築された剤形内で直線的に配置され得る2カプセル区画;または1カプセル区画および1エンドクロージャーキャップおよび一般には1の固体リンカーサブユニットを含んでなる。別の態様によれば、カプセル区画は、上記のように4以上のサブユニットを有し得る構築された剤形の一部である。適切には、2以上のカプセル区画が存在する場合、カプセル区画のうちの一つは持続放出成分である材料により作られてよく、すなわちこのためにカプセル区画壁は溶解、バーストするか、またはそうでなければ、遅延の後、例えば区画が腸に達した際にその内容を放出するために破壊される。適切には、その他のカプセル区画は即時放出成分である材料により作られてよく、すなわちこのためにカプセル区画壁は溶解、バーストするか、またはそうでなければ、その内容を即時に、または事実上即時に放出するために破壊される。
【0026】
カプセル区画の1以上は例えば実質的に円柱状であってよく、この語は、縦軸を横切る円、楕円、または偏円の断面を持つ形、および平行または先細りを持つ形、例えば、少なくともそれらの範囲の一部を覆って円錐形に先細りする側壁による形を含む。このような実質的に円柱状のカプセル区画は、構築された剤形の全体もまた実質的に円柱形であるように、その縦方向に配置される末端の一方または両方において連絡可能な部分を提供し得る。
【0027】
記述したように、低粘度HPCポリマーは、ステアリルアルコールのような潤滑剤;膨張剤;SDSまたはプルロニック群薬剤のような界面活性剤;乳糖またはPEGのような膜孔形成/チャネリング剤;および着色剤または色素を含むがこれらに限定されないさらなる賦形剤と共に混合されてよい。
【0028】
高分子組成物は最初に溶融押出過程を通して溶融され、溶融の流れ、強度、脆弱性、柔軟性、弾性およびその他の成形特性を補助するためのさらなる添加物または賦形剤もまた含んでよく、限定はされないがこれらのさらなる賦形剤は可塑剤および加工助剤を含むことが認識される。
【0029】
製剤の表面張力を減少させるため、製剤への界面活性剤の取り込みが望まれる。界面活性剤の取り込みにより、胃腸液への暴露に従ってポリマー成分表面の水和性が改善され、それによって成分の迅速かつ完全な溶解が促進され得ると信じられている。界面活性剤の取り込みは、製剤の粘性にもまた影響し得る。界面活性剤の選択はHLB値により導かれてよいが、これは必ずしも有用な判断基準ではない。HLBが高めの界面活性剤はTween(登録商標)80(HLB=10)、プルロニックF68(HLB=28)、およびSDS(HLB>40)であり;プルロニックF92およびF127のようなHLB値が低めの界面活性剤もまた用いられてよい。BASF、米国、により製造されるプルロニックはポロクサマーの同義語である。例えばプルロニックF68の分子量は8,400である。プルロニックF127の分子量は12,600である。プルロニックは、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体である。
【0030】
本明細書で用いられる界面活性剤はオリゴマー表面改質剤(oligomeric surface modifier)(OSM)とも呼ばれることがあり、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体とも称される市販のプルロニック(登録商標)群のようなエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体;レシチン;Aerosol OT(登録商標)のようなジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;本明細書でドデシル硫酸ナトリウムまたはSDSとも称され、Texapon(登録商標)K12のような商標名で複数の供給業者から市販されている、ラウリル硫酸ナトリウム;Polyoxyl 40(登録商標)のような非イオン性の水素化ヒマシ油;Tween 20、60、および80のようなポリソルベート;Span(登録商標)、Capmul(登録商標)、Sorbester(登録商標)、およびTriton X-200のような、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタンエステル、ポリグリセリンエステル、モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリドエステル;ポリエチレングリコール;モノステアリン酸グリセリン;およびショ糖脂肪酸エステルを含むがこれらに限定されない。適切には、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、およびラウリン酸由来のものであるような市販の薬剤的に許容されるグレードのショ糖脂肪酸エステルが、Surfhope SE(非イオン性乳化剤)の商標名で三菱化学フーズから入手可能である。これらは全て、様々なw/w%量のモノ、ジ、トリ−、およびテトラ−エステルを含んでなるエステル組成物を有する製品において入手できるエステルである。
【0031】
適切には、製剤は界面活性剤の型に依存して、約1〜約10%w/wの界面活性剤を所望により含んでよい。界面活性剤がショ糖脂肪酸エステル誘導体である場合、約5〜約10%w/wの界面活性剤が存在し得る。一態様によれば、ショ糖脂肪酸エステル誘導体はパルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、またはラウリン酸スクロースである。別の一態様によれば、ショ糖脂肪酸エステル誘導体はパルミチン酸スクロース(例えばSurfhope D1616)である。一態様によれば、界面活性剤がSDSである場合、約0.1〜3%w/w、適切には約1%w/wの量である。
【0032】
オリゴマー表面改質剤(oligomeric surface modifiers)が適切に選択された場合、これはさらに吸収促進薬として作用する。本明細書での使用のための適切な吸収促進薬は、キトサン、レシチン、レクチン、およびビタミンE−TPGS、ならびにそれらの組み合わせまたは混合物を含むがこれらに限定されない。適切には、これらの吸収促進薬は約1〜約20%w/wの範囲である。
【0033】
溶融において、組成物の流れおよび粘度の特性を補助するために可塑剤が用いられてよい。可塑剤は成形部分の柔軟性を増大、かつ溶融粘度を減少させる場合もあり、これが次に押出および射出成形過程を補助する。本発明に用いられてよい適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル、グリセロール、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、分留ココナッツ油、またはヒマシ油;およびそれらの組み合わせまたは混合物を含む。
【0034】
本発明の一態様によれば、組成物中に可塑剤グリセロールが使用される。本発明の一態様によれば、組成物中に可塑剤クエン酸トリエチルが使用される。
【0035】
適切には、可塑剤は約1〜約8%w/wの量で存在する。本発明の一態様によれば、可塑剤は約2.5〜約7.5%w/wの量で存在する。別の態様によれば、可塑剤は約5%w/wからの量で存在する。本発明の一態様によれば、可塑剤クエン酸トリエチルは、適切には約2.5〜約7%w/w、好ましくは約5%の量で存在する。別の態様によれば、可塑剤トリアセチンは約5〜約8%w/wの量で存在する。
【0036】
本発明の一態様によれば、可塑剤グリセロールは、適切には約2.5〜約7%w/w、適切には約5%の量で存在する。
【0037】
溶解向上(Dissolution modifying)賦形剤/薬剤は、修飾の解除、サブユニットまたは剤形の浸食および/または膨張特性の変更を補助するものである。デンプングリコール酸ナトリウム(Explotab(登録商標))、クロスカルメロースナトリウムNF(FMC Biopolymerより生産されているAc-Di-Sol(登録商標))、架橋PVP(コリドン(Kollidon)-CL)、コポビドン(BASFより市販されているコリドン VA 64)、またはColorcon、米国より市販されているStarch 1500(登録商標)のようなアルファ化デンプンに代表される公知の崩壊剤のような、多数の異なるクラスの薬剤が使用されてよい。
【0038】
適切には、製剤に崩壊剤が存在する場合、約1〜約10%w/wの範囲である。本発明の別の態様によれば、崩壊剤は約2〜約5%w/wである。
【0039】
本明細書で用いられる別のクラスの溶解向上(dissolution modifying)賦形剤は、ポリ(エチレン)オキシド(PEO)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースのような可溶性固体、またはKlucel(登録商標)製品のライン、例えばKlucel EF、Klucel EXF、Klucel LFグレードのようにより大きな分子量および粘度を有する異なる分子量のヒドロキシプロピルセルロースの添加、およびJFまたはGFのようなより小さな分子量とより大きな分子量グレードとの混合物;主にK値が低めのグレード(K12、K15、K17、K25、またK30〜K9も)であるポリビニルピロリドン(PVP、ポビドン,USPとしても知られる);およびそれらの組み合わせまたは混合物である。適切には、可溶性固体が存在する場合、約1〜65%w/wの範囲である。
【0040】
異なる分子量のHPCの源の一つは、Hercules Incorporatedの一部門であるAqualonより市販されるKlucel(登録商標)である。Klucel HPCは、その意図される使用により決定される様々なグレードで生産される。適切なKlucelポリマーは、Klucel EF、Klucel JH、Klucel LF、およびKlucel GFである。Klucel Eは150〜700(EF pharm/EXF Pharmに対し、300~600mPas)の範囲の粘度および約80,000の分子量を持つ;Jは150〜400の粘度および約140,000の分子量を持ち、Lは75〜150の範囲の粘度および約95,000の分子量を持つ;ならびにGは75〜400の範囲の粘度および約370,000の分子量を持つ。一般に、HPCの粘度に影響を与えるより多くの重要な因子の一つは、溶液中のポリマーの濃度であることに留意されたい。
【0041】
ヒプロメロースとも呼ばれる市販HMPCの一つは、信越化学工業株式会社、日本、により製造されるPharmacoat(商標)603である。Pharmacoat(商標)603は、2910USP指定の代替型、2.4〜3.6mPasの表示粘度、207の透湿性、28.0〜30.0%のメトキシル含有量、および7.0〜12.0%(USP)のヒドロキシプロポキシル含有量を有する。同様の粘度を有する市販ヒプロメロースおよび代替物の別の源は、Colorcon、ニュージャージー州、米国、から入手できるオパドライ(商標)ラインの製品、およびDow Chemical Company、ミシガン州、からのMethocel(商標)ラインの製品である。Opadry(商標)ラインの幾つかは、本明細書で有用であり得る二酸化チタンのような着色剤もまた含むことが認識される。本発明の一態様は、約1〜約6%w/wの量であるOpadry(商標)の含有である。オパドライ(商標)の適切なグレードの一つはオパドライ ホワイトである。別の代替態様は、約2〜約6%w/wの量で存在するHPMCの製剤への含有、およびそれとは別に0.25〜2%w/w、適切にはおおよそ1%w/wの量で二酸化チタンの追加の含有である。
【0042】
適切な溶解向上(dissolution modifying)賦形剤の別のクラスは、低分子量溶質、例えばデンプンのようなウィッキング剤のクラス、または約2.5〜約15%w/wの範囲で存在する、キシリトールまたはマンニトールのような非還元糖のクラスを含むがこれらに限定されない。
【0043】
適切な溶解向上(dissolution modifying)賦形剤の別のクラスは、約2.5〜約20%w/w、あるいは約5〜約10%w/wの範囲で適切に存在する、乳糖、ソルビトールのような水溶性充填剤を含む。
【0044】
溶解向上賦形剤の別のクラスは、約5〜約10%w/wの量で存在する塩化ナトリウムのような無機塩である。本発明の一態様によれば、水溶性充填剤、例えば乳糖のような、製剤に添加する少なくとも一つ以上の溶解向上賦形剤、およびHPMCのような可溶性固体が存在する。一態様によれば、水溶性充填剤は10〜20%の量、およびHPMCは約2〜6%w/wの量で存在する。
【0045】
本発明の一態様として、1以上のクラスの溶解向上賦形剤が共に用いられてよいことが認識される。本発明の一態様として、溶解向上(dissolution modifying)賦形剤の1クラス内の1を超える賦形剤が共に用いられてよいこともまた認識される。溶解向上賦形剤の1クラス内の1を超える賦形剤、および溶解向上賦形剤の1を超えるクラスが、それらのいずれの組み合わせまたは混合物により本明細書に存在し得ることもまた認識される。
【0046】
一般に加工助剤として分類される追加の試薬は、タルクのような補強剤を含む。適切には、加工助剤は約0.5〜約10%w/wの量で存在する。別の態様によれば、加工助剤は約0.5〜約5%w/wの量で存在する。
【0047】
本発明の一態様によれば、構築のための射出成形成分を産生するために、射出成形型からの放出促進に有用である少なくとも一つの潤滑剤が製剤中に含まれる。内部潤滑剤は、押出過程における金型壁、および射出成形過程における型壁を潤滑にするものである。本発明の別の態様によれば、成形成分には歪みや反りが無く、医薬有効薬剤の試作品製造に適している。別の態様によれば、成形成分には歪みや反りが無く、かつ商業的使用、同様に医薬有効薬剤の試作品製造のための増進された安定性において化学的および物理的に安定である。本明細書での使用に適切な型加工潤滑剤または流動促進剤は、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、二酸化ケイ素、およびそれらの組み合わせまたは混合物を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の一態様は、ステアリン酸またはステアリルアルコールの適切な潤滑剤としての使用である。別の態様はステアリルアルコールの使用である。適切には、Crodacol S95(Croda Oleochemicals)のような市販グレードのステアリルアルコールが本明細書中で使用される。製剤中の潤滑剤の量は約2〜約15%w/wである。別の態様によれば、潤滑剤は約2.5〜約10%w/wであり、かつ別の態様によれば潤滑剤は約5%w/wである。
【0049】
適切には、潤滑剤は型加工潤滑剤として作用しなければならず、かついずれの型の歪みまたはいずれの金属イオンの混入も起こしてはならない。
【0050】
本発明の最終産物、すなわちカプセル殻、およびまたはその他の成分およびサブユニットは、さらに構築特性を含んでよいか、かつ/または組成物中に材料を含んでよく、単純な機械的結合かまたは共に溶接されることによってそれらが共に結合できることを容易にする。このような機能を補助する適切な材料は、ポリマー成分の強力な機械的または溶接された結合の形成を助ける、炭素(例えば0.2〜0.5%)、酸化第一鉄のような酸化鉄(例えば0.2〜0.5%)、または二酸化チタン(例えば0.5〜2%、好ましくは1%w/w)のような乳白剤材料である。場合によっては市販の溶解向上(dissolution modifying)賦形剤の製造品にこのような乳白剤が含まれ得ることが認識される。
【0051】
一態様によれば、低粘度HPCが70〜90%、あるいは85〜90%w/w;可塑剤が2.5〜7%w/w;潤滑剤が2.5〜10%w/w;界面活性剤が0.1〜3%、およびHPMCが約1〜6%w/wの量で存在する。
【0052】
一態様によれば、低粘度HPCが70〜90%、あるいは85〜90%w/w;可塑剤が2.5〜7%w/w;潤滑剤が2.5〜10%w/w;界面活性剤が0.1〜3%、および少なくとも一つの異なる分子量またはより高い粘度のHPCが約5〜25%w/wの量で存在する。
【0053】
一態様によれば、低粘度HPCが70〜90%、あるいは85〜90%w/w;可塑剤が2.5〜7%w/w;潤滑剤が2.5〜10%w/w;界面活性剤が0.1〜3%、および膨張剤が約15〜20%w/wの量で存在する。
【0054】
一態様によれば、低粘度HPCが約87%w/w;グリセロールが約5%w/w;ステアリルアルコールが約5%、SDSが約1%、Opadryが約2%、または代わりに二酸化チタンが1%w/wおよびHPMCが約1%w/wそれぞれの量で存在する。
【0055】
一態様によれば、低粘度HPCが約83;約5%w/w;ステアリルアルコールが約5%、SDSが約1%;HPMCが約5%w/w、二酸化チタンが約1%w/wの量で存在する。
【0056】
一態様によれば、溶解向上(dissolution modifying)賦形剤が可溶性固体HPMCである場合、これは約1〜6%w/wの量であり、かつ組成物は二酸化チタンである乳白剤を含んでなり、これは約0.2〜約1%w/wの量である。この組み合わせはグリセロール、ステアリルアルコール、またはステアリン酸である潤滑剤と共に使用されてよい。適切には、これはさらに界面活性剤と組み合わされる。適切には、界面活性剤はSDSまたはショ糖脂肪酸エステルであってよい。別の態様によれば、界面活性剤はSDSである。
【0057】
例えば、複数のサブユニットのそれぞれ、例えばカプセル区画、固体サブユニット、またはそれらの組み合わせは、同じかまたは異なるポリマー(単数または複数)を含んでなってよい。例えば、複数のサブユニットのそれぞれ、例えばカプセル区画、リンカーサブユニット、またはそれらの組み合わせは、同じかもしくは異なる原薬を含んでなるかまたは含んでよい。例えば各サブユニットは同じ原薬を含んでよいが、内容を患者の消化管内へ、異なる比率で、患者への投与後の異なる時間において、または患者の消化管システムの異なる場所において放出する。あるいは、各サブユニットは異なる原薬を含んでよく、それらはそれぞれ同じかもしくは異なる比率、または投与後の時間、または患者の消化管システムの場所において放出され得る。
【0058】
例えば、患者に2以上の原薬または製剤の組み合わせが投与され得るように、2以上のサブユニット、例えば2つのカプセル区画それぞれが、異なる原薬、および/または異なる原薬製剤、および/または異なる製剤中の同じ薬物を含んでよい。
【0059】
本発明の剤形は、特異的な投与要件に対して調整された剤形を提供するため、薬物内容および/または薬物内容放出特性の異なるサブユニットが共に構築されることを可能にする。
【0060】
各サブユニット、ならびにこれによる全体的な構築された剤形の寸法および形は、それに含まれる材料の性質および量、および意図される投与様式、および意図される受容者により決定されてよい。例えば経口投与が意図される剤形は、経口投与が意図される公知のカプセルと同様の形およびサイズであり得る。
【0061】
剤形は、経口投与に適した1以上の原薬を含む経口剤形としての提示に特に適しており、かつこのような原薬の全ての型に適すると思われる。
【0062】
いずれのカプセル区画に含まれる原薬も、いずれの適切な形態、例えば粉末、顆粒、ペレット、成形体、マイクロカプセル、ゲル、シロップ、または液体として、カプセル区画壁材料が後の3つの形態の液体内容に対して十分に不活性であるという条件で存在し得る。区画の内容、例えば原薬は、用量ピン(dosating pins)、充填ピン(tamping pins)、金型充填または用手のような、カプセル充填のために従来から使用されているような標準法によって区画内へ導入される。
【0063】
記述したように、サブユニットはそれらの薬物内容放出特性において互いに異なってよく、これは様々な方法により達成され得る。例えば、1以上のリンカーサブユニットおよび/またはカプセル区画は実質的に即時放出、すなわちそれらの薬物内容を摂取により、または胃への到達により実質的に直ちに放出するものであってよい。これは例えば、溶解、崩壊するか、またはそうでなければ、薬物内容を実質的に即時に放出するために破壊されるマトリックスポリマー、またはカプセル区画壁により達成され得る。
【0064】
1以上の固体サブユニットおよび/またはカプセル区画は持続放出サブユニットであってよい。好ましくはこれらは、その薬物内容を放出するために薄壁カプセルよりもさらにゆっくりと溶解または分散する可能性のある、ポリマーの大部分のマトリックスとしてのリンカーサブユニットである。あるいは、区画を含むカプセルは、サブユニットを覆う腸溶コーティングを含んでなる即時放出サブユニットであってよい。
【0065】
1以上のリンカーサブユニットおよび/またはカプセル区画は、例えばそれらの薬物内容を患者の消化管システム内の特定の予め決定された点において放出するパルス放出サブユニットであってよい。これは、特定のEudragit(登録商標)ポリマー、例えば酸に不安定なアミノメタクリレートコポリマーUSP/NF(Eudragit E100とも称される)、Eudragit FS30Dもしくは4155F、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC−AS)によるような、規定されたpH環境においてのみ溶解または分散するポリマー材料の使用により達成されてよい。
【0066】
上記のカプセル区画−リンカー−カプセル区画剤形において、一つのカプセル区画は事実上即時放出であってよく、もう一方は持続、遅延、またはパルス放出カプセル区画であってよい。これを達成するため、例えば一つのカプセル区画は、カプセル区画が胃または消化管の上部においてその薬物内容を放出する原因となるポリマー材料で作られてよく、かつリンカー(第2区画のためのクロージャーとして作用する)および第2の区画自体は、材料、例えばそれらの薬物内容を腸環境のみにおいて放出する上記の腸溶ポリマーで作られてよい。
【0067】
消化管内でサブユニットがその原薬内容を放出する時間または場所の調節は、サブユニット材料のポリマー組成物により達成され得る。例えば、異なる(例えば隣接する)区画または固体サブユニットの壁は、異なる薬物放出特性を持つ異なる区画を付与するように、異なっているかまたはそうでなければそれらの溶解もしくは崩壊特性の異なるポリマーで作られてよい。
【0068】
例えばマトリックス、壁、またはクロージャー材料は、原薬を胃内で放出するために胃のpHにおいて溶解または分散するポリマーであってよい。あるいは、異なる区画の壁材料は、異なる区画が異なる放出特性を持つように異なっていてよい。
【0069】
例えば、リンカーまたはクロージャーサブユニットまたはカプセル区画はそれぞれに、腸内に原薬を放出するために小腸もしくは大腸のpHにおいて溶解または分散する腸溶ポリマーを含んでなる、マトリックスまたは壁またはクロージャーを有してよい。適切なこのようなポリマーは上に、例えば米国特許第5,705,189号への参照により記載されている。
【0070】
加えて、または代わりに、壁材料は、より厚い壁区画がより薄い壁区画よりもさらにゆっくりと崩壊するように区画の間の厚さが異なっていてよい。
【0071】
加えて、または代わりに、区画壁またはクロージャーは、優先的に溶解し、かつそれにより原薬内容の放出の開始時間および/または比率を決定し得る脆弱な領域または点と共に設計され得る。例えばこのような脆弱な点は、穴、例えば小穴(例えば区画壁またはクロージャー内のレーザードリルの穴)を含んでなってよく、これらの穴は閉鎖されている、および/または、消化管内の予め決定された点において溶解するポリマー材料、例えば腸溶ポリマー材料の薄膜で覆われる。例えばこのような脆弱な点は、カプセル区画が形成される成形操作の間に形成されるカプセル区画壁内の薄い部分を含んでなってよい。
【0072】
サブユニットはさらに、または代わりに、それらの薬物放出特性を改変する表面またはその他の構築上の特性を有し得る。例えばリンカーサブユニットは、表面の領域を変化させるために内部腔またはチャネルを備えてよい。例えばリンカーサブユニットは、中空の円柱、ドーナツ、または環状体の形であってよい。このような形は、液体溶媒中で一次溶解または浸食へ向かう傾向があること、かつそれに応じて、その中に分散される薬物内容の一次放出へ向かう傾向のあることが知られる。
【0073】
「薬剤的に許容される薬剤」は、本明細書中に記載される薬物、タンパク質、ペプチド、核酸、栄養剤を含むがこれらに限定されない。この語は治療用有効薬、生物活性薬、有効薬、治療薬、治療用タンパク質、診断薬、または本明細書中に記載される薬物を含み、かつ医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)に対する欧州連合の指針によるガイドラインに従う。このような物質は、疾病の診断、治癒、緩和、治療、もしくは予防における、または身体の構造および機能に影響を与える、薬理活性またはその他の直接効果を備えることが意図される。この物質は、疾病の診断に使用され得るか、または消化管領域の構造および機能に関する情報を得るための造影剤および/または放射性標識化合物のような診断薬もまた含んでよい。この物質は哺乳類またはヒトにおいて使用され得る。本明細書に記載される医薬組成物は、1以上の薬剤的に許容される有効薬、生物活性薬、有効薬、治療薬、治療用タンパク質、診断薬、または内部に分布する薬物もしくは成分を所望により含んでなってよい。有効薬の水溶性は米国薬局方により定義される。従って、そこに定義される極めて溶けやすい、溶けやすい、やや溶けやすい、およびやや溶けにくいの基準に合致する有効薬は、本発明に包含される。
【0074】
本明細書で用いられる「有効薬」、「薬物成分」、または「薬物」との語は、全て互換的に使用される。「成形(mold)」および「成形(mould)」との語は、本明細書で互換的に使用される。
【0075】
適切な原薬は、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫薬、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝固剤、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制剤、抗甲状腺薬、抗ウィルス薬、抗不安鎮静剤(催眠剤および神経遮断剤)、収斂剤、ベータアドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および代用物、心変力薬(cardiac inotropic agents)、副腎皮質ステロイド、鎮咳薬(去痰薬および粘液溶解薬)、診断薬、利尿薬、ドーパミン作動薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫製剤、脂質調節剤、筋弛緩剤、副交感神経刺激薬、副甲状腺カルシトニンおよびビスホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイド類を含む)、抗アレルギー薬、刺激薬および食欲抑制薬、交感神経作動薬、甲状腺薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ニューロキニン阻害剤、CSBP/RK/p38阻害剤、抗精神病薬、血管拡張薬、およびキサンチンを含むがこれらに限定されない、様々な公知の薬物クラスから選択できる。
【0076】
好ましい原薬は、経口投与が意図されるものを含む。これらの薬物のクラスおよび各クラス内の種のリストについての記述はMartindale, The Extra Pharmacopoeia, Twenty-ninth Edition, The Pharmaceutical Press, London, 1989に見出すことができ、その開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。原薬は市販されており、および/または当該技術分野において公知の技術により製造できる。
【0077】
高分子ブレンドは公知の医薬品ポリマーから好ましく選択できる。これらのポリマーの物理化学特性、同様に最終的な射出成形成分の寸法は、迅速な溶解、即時放出、遅延放出、持続放出のような改変放出、制御放出、またはパルス放出などのような剤形の特性を決定付けるであろう。
【0078】
ポリマーブレンドは、選択された成分が押出機の供給ホッパ内へ送り込まれる、熱溶融押出を生じるための公知の方法により作られる。本明細書のブレンドの熱溶解押出を生じるために適切な公知の機器は市販されている。
【0079】
従って本発明の一態様は、少なくとも一つの:
(a)原薬を維持するように構成される内部空間を少なくとも部分的に定める第1の壁部分を含む殻であって、前記第1の壁部分が消化管環境内での溶解のために構成される殻、または
(b)実質的に円柱状の外表面を有する第2の壁部分を含むリンカーであって、前記第2の壁部分が消化管環境内での溶解するように構成されるリンカー
を含んでなる剤形であり、ここで、
第1および第2の壁部分はそれぞれ、約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;および崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、およびそれらの組み合わせまたは混合物;崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/w、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/w、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/w、または水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wであり;かつ、所望により、加工助剤および/または乳白剤を含んでなる押出材料から製造される。
【0080】
本発明の別の態様は、押出材料から製造される壁部分を有する少なくとも一つの小成分(subcomponent)を含んでなる剤形であって、ここで、押出材料が、約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;および崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、およびそれらの組み合わせまたは混合物;ここで、崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/w、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/w、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/w、または水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wであり;かつ、所望により、加工助剤および/または乳白剤を含んでなる。
【0081】
本発明の別の態様は、消化管環境内で溶解するように構成される壁部分を含んでなる剤形であり、壁部分は、約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;および崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、およびそれらの組み合わせまたは混合物;ここで、崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/w、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/w、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/w、または水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wであり;かつ、所望により、加工助剤および/または乳白剤を含んでなる押出材料から製造される。
【0082】
本発明の別の態様は:
a)原薬を保持する内部空間を少なくとも部分的に定め、かつ消化管環境内で溶解するように構成される壁を含むカプセル殻、および
b)実質的に円柱状の外表面を有し、かつ消化管環境内で溶解するように構成される壁を含むリンカー
を含んでなる剤形であって、
少なくとも一つのカプセル殻またはリンカーは押出材料から製造され、
押出材料は、約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤;約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤;および崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物;ここで、崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/wであり、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/wであり、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/wであり、または水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wであり;かつ、所望により、加工助剤および/または乳白剤を含んでなる。
【0083】
本発明の別の態様は、中空カプセル、エンドキャップ、またはリンカーとして構成される剤形成分であり、該成分は押出または射出成形医薬組成物から本質的になり、押出または射出成形医薬組成物は、約20〜約92%w/wの量である低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);約1〜約10%w/wの量である界面活性剤;約1%〜約20%w/wの量である可塑剤;約2%〜約15%w/wの量である潤滑剤;および崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上(dissolution modifying)賦形剤、およびそれらの組み合わせまたは混合物;崩壊剤が存在する場合、その量は約10〜約60%w/w、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/w、または水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wであり;かつ、所望により、加工助剤および/または乳白剤を含んでなる。
【実施例】
【0084】
これより本発明は以下の実施例への参照により記述されるが、これらの実施例は単に実例であり、本発明の範囲を限定とするものとして解釈されてはならない。他に記載のない限り、全ての温度は摂氏温度で記載され;全ての溶媒は得られる最高の純度である。
【0085】
以下の実施例は本明細書に記載される発明の代表的製剤である。様々な製剤は全てHPC−SSLを用いて作られた。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
【表9】

【0095】
【表10】

【0096】
【表11】

【0097】
【表12】

【0098】
【表13】

【0099】
【表14】

【0100】
【表15】

【0101】
【表16】

【0102】
【表17】

【0103】
【表18】

【0104】
【表19】

【0105】
【表20】

【0106】
【表21】

【0107】
【表22】

【0108】
【表23】

【0109】
【表24】

【0110】
【表25】

【0111】
【表26】

【0112】
【表27】

【0113】
【表28】

【0114】
【表29】

【0115】
【表30】

【0116】
【表31】

【0117】
【表32】

【0118】
【表33】

【0119】
【表34】

【0120】
【表35】

【0121】
【表36】

【0122】
【表37】

【0123】
【表38】

【0124】
【表39】

【0125】
【表40】

【0126】
【表41】

【0127】
【表42】

【0128】
【表43】

【0129】
【表44】

【0130】
【表45】

【0131】
【表46】

【0132】
【表47】

【0133】
製造
上記製剤の粉末賦形剤(例えば、HPC−SSLの使用に代表される低粘度HPC、ステアリルアルコール、および溶解向上(dissolution modifying)ポリマーなど)は、ビンブレンダーまたは造粒機を用いて混合された。いずれの液体賦形剤もこの段階において、または後で押出段階の間に混合物に添加することができる。熱溶融押出は一般的にPrism 16mmまたはLeistritz 27mm共回転ツインスクリュー押出機において行われ、金型から供給口までの温度特性の範囲は、例えば105−110−115−115−90−20℃、およびスクリュー速度は100〜200rpmである。上記の例の温度範囲は20℃+/−まで変動してよい。押出機への供給は重量式粉体供給機(gravimetric powder feeder)により行われ、液体賦形剤は押出段階の間に蠕動ポンプを通して添加されてよい。組み合わせた全体の供給量は、おおよそ、16mmスクリュー押出機では1.0kg/時間、または27mm押出機では10kg/時間になるよう設定された。3mmの金型を通して製剤を押出することによりストランドを産出し、次にこれを空冷して、その後ペレットにした。
【0134】
熱溶融押出過程から産生されたペレットは、MCP 12/90 HSPミニ成形機を用いて、直径9.0mmx高さ6.9mmまたは直径7.7x高さ9.0mm、および壁の厚さが約0.3〜0.5mmのカプセル殻へ射出成形された。成形は、MannerまたはBattenfeldシステムにおいてもまた行われ得た。スクリュー、プランジャー、およびバレル温度は130℃〜140℃、ならびにプローブ温度は170℃〜180℃に設定した。
【0135】
バレル温度の標準的な開始温度である75〜85℃からの5〜10度の上昇、および/または200rpmから250rpmへのスクリュー速度の増大が影響する場合、得られた殻の質は殻の亀裂におけるその作用に関して調べられ、かつ改善が示された。異なった条件のペレットから作られた殻の崩壊時間もまた調べられ、Leistritz 27mm押出機において実行される場合、高いスクリュー速度およびバレル温度によるペレットから形成された殻は、最適未満の条件である70(〜80)摂氏温度および150rpmにより作られたものよりも、迅速かつ一貫して溶解することが示された。
【0136】
結果:
溶解分析
殻成分に可溶性マーカー薬物としてのメトホルミンまたはパラセタモールを添加し、直径8.35mm、高さ3.80mmの射出成形されたリンカーユニットへ留めることにより密封した。溶解分析はUSP3法により、10浸漬毎分(dips per minute)(dpm)において、pH1.2の模擬胃液(simulated gastric fluid)(SGF)中で2時間、続いてpH6.8の模擬腸液(simulated intestinal fluid)(SIF)中で6時間、シンカーなしで行った。
【0137】
溶解試験もまた、USP2法を用い、75rpmまたは100rpmにおいて、JPケージシンカーを用いるpH1.2のSGF中、または0.1N HCl中で行われてよい。
【0138】
以下のリンカー製剤は、本明細書の成形カプセル殻の結合に用いられた。
リンカー組成物I
【表48】

【0139】
このリンカー成分の押出は、120〜130℃の範囲の温度にて16mmツインスクリュー押出機を用いて行い、リンカー成分を形成するため、サンプルを160〜180℃の温度にて成形した。
【0140】
リンカー組成物II:
【表49】

【0141】
このリンカー成分の押出は、120〜130℃の範囲の温度にて16mmツインスクリュー押出機を用いて行い、リンカー形の成分を形成するため、サンプルを160〜180℃の温度にて成形した。
【0142】
本明細書で用いられる代替のEudragit RL-100(アンモニオメタクリレートコポリマー タイプA、USP/NF)リンカー製剤は、
【表50】

である。
【0143】
押出/射出成形:押出−1.2kg/時間。金型温度 110℃、200rpm スクリュー、トルク 35%、金型圧力 1bar;射出成形−良好な0.5mm壁区画の殻、180℃のプローブ温度。
【0144】
本発明における使用のためのその他の適切なリンカーは、高分子量グレードのHPMC−AS HG(6.5〜7.0で溶解する)を用いて、賦形剤であるトリアセチンおよび潤滑剤であるステアリルアルコールと2段階に組み合わせて製造されたもののような、HPMC−ASから作られたものを含む。
【表51】

【0145】
HPMC−AS LG(pH5.5)およびMG(pH5〜5.6)を5%w/wレベルのトリアセチンと共に用いた同様の製剤もまた作られた。HPMC−ASを用いた製剤は、その開示が参照により本明細書中に取り込まれる、2008年11月7日に提出されたMcAllister et al.による国際特許出願PCT/IB2008/003872号、または米国特許出願USSN12/266896号に記載される。
【0146】
図1に記載される製剤は、HPC SSL(87%)、Opadry(2%)、ステアリルアルコール(5%)、ドデシル硫酸ナトリウム(1%)、およびグリセロール(5%)からなる。該製剤は射出成形に適した形態に押出された。この製剤により産出された結果としての射出形成殻は、柔軟であること、およびこれらをその他のリンカーまたは殻成分へ破損または変形なしに付着させるために十分な引張強度を有することが見出された。
【0147】
押出されたペレットおよび成形された成分の両方は、安定性の増進された保管プロトコルにおいて少なくとも6か月間物理的性状(外観および寸法)における変化を示さない。ペレットおよび剤形成分の両方は、以下の条件で6か月間安定である;25℃&60%RH、30℃&65%RH、40℃&75%RH。押出されたペレットおよび成形された成分の化学的安定性についてはヒドロキシプロピル基の内容をアッセイすることにより評価した。6か月間にわたる安定性の増進された保管後のヒドロキシプロピル基の内容は、最初の時点での基の内容に極めて類似していた。
【0148】
殻成分の溶解は、USP II溶解試験により900mLの0.1M HCl溶媒中で37℃にて行った。10〜15分以内にカプセルの完全な破裂が観察された。
【0149】
その他の実施例の溶解データの要約
低粘度HPCに基づく殻成分の溶解は、900mLの0.1M HCl溶媒中、37℃、パドル速度100rpmでのUSP II溶解試験、または250mL量の同溶媒中、シリンダー浸漬速度10dpmでのUSP III溶解により行った。
【0150】
【表52】




【0151】
低粘度HPC殻は、即時放出剤形に対して好ましく使用される。殻の破裂および最初の放出は、これが胃内での迅速な放出を確実にするために15分未満で起こり、かつ従来のHPMCに基づくカプセルと同様な特性が提供される場合に最善である。カプセル殻としての高分子組成物には、平均80%のAPIが30分以内に放出されることもまた要求される。ある場合には、再現可能な特性のため、最初の破壊後に可能な限り急速に放出する製剤が望ましい。
【0152】
本発明の製剤の典型的な放出特性を図1および2に示す。
【0153】
本明細書中に引用される、限定はされないが特許および特許出願を含む全ての出版物は、個別の出版物それぞれが完全に説明されているかのように本明細書中に参照により取り込まれることが特異的かつ個別に指示されているかのように、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0154】
上の記述により、その好ましい態様を含む本発明が完全に開示される。本明細書に特異的に開示される態様の改変および改善は、以下の請求項の範囲内である。さらなる詳述なしに、当業者は上の記述を用いて本発明をその完全な範囲で利用できると信じられる。従って、本発明の実施例は単なる実例として解釈され、本発明の範囲をどのようにも限定するものではない。独占的な所有権または特権が請求される本発明の態様は以下に定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面と、対立する内表面とを有する殻であって、前記内表面が、原薬を保持するための限定された空間を少なくとも部分的に定める殻を含んでなるか、または、外表面を有する一般的には円柱状のリンカー体を含んでなるカプセルであって、
前記殻または前記リンカーが、
i)約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、
ii)約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤、
iii)約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤、
iv)約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤、
v)崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または、水溶性充填剤、またはそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物であって、
崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/wであり、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/wであり、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/wであり、かつ、または、水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wである、少なくとも一つの溶解向上賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物、
vi)所望により、加工助剤および/または乳白剤
を含んでなる医薬組成物を含んでなる押出材料により構成され、かつ
前記内表面および外表面を含みかつ/またはそれらの間にある殻材料が、押出および射出形成された材料により構成されてなる、カプセル。
【請求項2】
前記ヒドロキシプロピルセルロースが約60〜約90%w/wの量で存在する、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項3】
前記潤滑剤が、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセロール(GMS)、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、非晶質ケイ酸、またはフュームドシリカ;およびそれらの組み合わせまたは混合物である、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項4】
前記潤滑剤が、約2.5〜約10%w/w量で存在するステアリルアルコールまたはステアリン酸である、請求項3に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項5】
前記潤滑剤が、約5%w/w量で存在するステアリルアルコールである、請求項4に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項6】
少なくとも一つの溶解向上賦形剤が可溶性固体である、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項7】
前記可溶性固体が、第1の低粘度HPCと異なる分子量および異なる粘度を有する第2のヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース誘導体、架橋PVP、またはそれらの組み合わせもしくは混合物である、請求項6に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項8】
前記可溶性固体がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項7に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項9】
前記可溶性固体のヒドロキシプロピルメチルセルロースが、約1〜6%w/wの量で存在し、かつ約0.2〜1%w/w量の二酸化チタンで存在する乳白剤をさらに含んでなる、請求項7に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項10】
前記可溶性固体が、1以上のヒドロキシプロピルセルロースポリマーであって、各々が異なる分子量を有し、約10%〜約66%w/wの総量で存在するヒドロキシプロピルセルロースポリマーである、請求項6に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項11】
少なくとも一つの溶解向上賦形剤が、水溶性充填剤である第2の溶解向上賦形剤と組み合わせた可溶性固体である、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項12】
前記水溶性充填剤が約10〜20%の量で存在し、前記可溶性固体が、約2〜6%w/wの量で存在するHPMCである、請求項11に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項13】
少なくとも一つの溶解向上賦形剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、またはコポビドン、またはそれらの組み合わせもしくは混合物から選択される崩壊剤である、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項14】
少なくとも一つの溶解向上賦形剤が、ポリビニルピロリドンまたはクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項15】
前記可塑剤が、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、クエン酸アセチルトリブチル(ATBC)、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、分留ココナッツ油、またはヒマシ油;およびそれらの組み合わせまたは混合物である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項16】
前記可塑剤がクエン酸トリエチルである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項17】
前記クエン酸トリエチルが約2.5〜約7%w/wの量で存在する、請求項16に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項18】
前記可塑剤がグリセロールである、請求項15に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項19】
前記グリセロールが約2.5〜約7%w/wの量で存在する、請求項18に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項20】
前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル誘導体、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体、またはドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項21】
前記界面活性剤が、0.1〜3%w/wの量で存在するドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1または20に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項22】
前記潤滑剤がステアリルアルコールまたはステアリン酸であり、少なくとも一つの溶解向上賦形剤がHPMCであり、可塑剤がTECまたはグリセロールであり、界面活性剤がSDSであり、かつ、所望により、乳白剤が二酸化チタンである、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項23】
前記潤滑剤がステアリルアルコールまたはステアリン酸であり、少なくとも一つの溶解向上賦形剤がHPMCであり、可塑剤がグリセロールであり、界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルまたはSDSであり、かつ、所望により、乳白剤が二酸化チタンである、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項24】
少なくとも一つの溶解向上賦形剤が、約2〜約10%w/wの量で存在するHPMCである可溶性固体であり、かつ、所望により乳白剤である、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項25】
本明細書の実施例1〜47のいずれかにより構成される、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項26】
i)約87/5/5/2/1%w/wの量で存在する、低粘度HPC/ステアリルアルコール/グリセロール/オパドライ ホワイト/ドデシル硫酸ナトリウム、または
ii)約83/5/5/5/1/1%w/wの量で存在する、低粘度HPC/ステアリルアルコール/グリセロール/HPMC/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム、または
iii)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリン酸/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/HPMC、または
iv)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリルアルコール/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/HPMC 6cps、または
v)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリルアルコール/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/コリドン CLである、請求項1に記載の殻またはリンカー組成物。
【請求項27】
i)約83〜約87%w/wの量で存在する低粘度グレードのヒドロキシプロピルセルロース、約5%w/wの量で存在するグリセロール、約5%w/wの量で存在するステアリルアルコールまたはステアリン酸、約1%w/wの量で存在するドデシル硫酸ナトリウム、約1%w/wの量で存在する二酸化チタン、約1%w/wの量で存在するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、あるいは
ii)約83〜約87%w/wの量で存在する低粘度グレードのヒドロキシプロピルセルロース、約5%w/wの量で存在するグリセロール、約5%w/wの量で存在するステアリルアルコールまたはステアリン酸、約1%w/wの量で存在するドデシル硫酸ナトリウム、および約2%w/wの量で存在するオパドライ(登録商標)またはオパドライ(登録商標)ホワイト
を含んでなる、医薬組成物。
【請求項28】
カプセルであって、
外表面と、対立する内表面とを有する殻であって、前記内表面が原薬を保持するための限定された空間を少なくとも部分的に定める殻を含んでなるか、または外表面を有する一般的には円柱状のリンカー体を含んでなり、かつ、
消化管環境に暴露される前記殻またはリンカーの外表面を含んでなり、前記殻またはリンカーが、請求項26または27に記載の医薬組成物を含んでなる押出材料により構成される、カプセル。
【請求項29】
複数のサブユニットを含んでなる多成分医薬剤形であって、
各サブユニットが、
a)原薬含有カプセル区画であって、該カプセル区画に含まれる原薬の放出のために患者の消化管環境内で可溶性または崩壊性である、カプセル区画、および
b)リンカーまたはエンドキャップ
から選択され、かつ
前記原薬含有カプセル、リンカーまたはエンドキャップは、
i)約20〜約92%w/wの量で存在する低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、約1〜約10%w/wの量で存在する界面活性剤、
ii)約1%〜約20%w/wの量で存在する可塑剤、
iii)約2%〜約15%w/wの量で存在する潤滑剤、
iv)崩壊剤、可溶性固体、ウィッキング剤、または、水溶性充填剤から選択される少なくとも一つの溶解向上賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物であって、
崩壊剤が存在する場合、その量は約2%〜約20%w/w、可溶性固体が存在する場合、その量は約10〜約60%w/w、ウィッキング剤が存在する場合、その量は約2.5〜約15%w/w、かつ、または(and if or)、水溶性充填剤が存在する場合、その量は約2.5〜約20%w/wである、少なくとも一つの溶解向上賦形剤、またはそれらの組み合わせもしくは混合物、
v)所望により、加工助剤および/または乳白剤
を含んでなる医薬組成物を含んでなり、かつ
前記カプセル区画が原薬を含み、少なくとも患者への投与前に、構築された剤形内でサブユニットが共に結合する、多成分医薬剤形。
【請求項30】
少なくとも一つのサブユニットが、約0.3〜0.8mmの範囲の厚さの壁を有する原薬含有カプセル区画である、請求項29に記載の多成分剤形。
【請求項31】
少なくとも一つのサブユニットが実質的な即時放出サブユニットである、請求項29に記載の多成分剤形。
【請求項32】
少なくとも一つのサブユニットが実質的な持続放出サブユニットである、請求項29に記載の多成分剤形。
【請求項33】
サブユニットが共に機械的に結合する、請求項1〜32のいずれか一項に記載の多成分剤形。
【請求項34】
原薬含有カプセルの組成物が:
i)約87/5/5/2/1%w/wの量で存在する、低粘度HPC/ステアリルアルコール/グリセロール/オパドライ ホワイト/ドデシル硫酸ナトリウム、または
ii)約83/5/5/5/1/1%w/wの量で存在する、低粘度HPC/ステアリルアルコール/グリセロール/HPMC/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム、または
iii)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリン酸/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/HPMC、または
iv)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリルアルコール/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/HPMC 6cps、または
v)約83/5/5/1/1/5%w/wの量で存在する、低粘度HPC/グリセロール/ステアリルアルコール/二酸化チタン/ドデシル硫酸ナトリウム/ コリドン CL
を含んでなる、請求項29〜33のいずれか1項に記載の多成分剤形。
【請求項35】
前記リンカーサブユニットが:
i)約84/20/5/1%w/wの量で存在する、エチルセルロース/ステアリルアルコール/グリセロール/BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、または
ii)約23/12/65%w/wの量で存在する、アンモニオメタクリレートコポリマー タイプA、USP/NF/ステアリルアルコール/クルーセル EFのような高分子量HPC、または
iii)約25/12/63%w/wの量で存在する、アンモニオメタクリレートコポリマー タイプA、USP/NF/ステアリルアルコール/クルーセル EFのような高分子量HPC
を含んでなる組成物を含んでなる、請求項29〜34のいずれか一項に記載の多成分剤形。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−502883(P2012−502883A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512993(P2011−512993)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057292
【国際公開番号】WO2009/150228
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】