説明

半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置

【課題】広い温度範囲にわたり、点火に必要な光エネルギーを安定して供給できる半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置を提供する。
【解決手段】半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、ロッキングレンジの温度幅を周囲温度の変動幅に対応する複数の温度範囲に分割し、各ロッキングレンジの温度範囲において固体レーザー装置の固体レーザー媒質5の吸収波長帯に収まるような波長をそれぞれ有する複数の半導体レーザー21,22,23,24を用い、前記複数の半導体レーザー21,22,23,24からの出射光を合成機構により合成して、前記固体レーザー媒質5に照射することによりこの固体レーザー媒質5を励起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザー励起固体レーザーは、複数の半導体レーザーの光エネルギーを固体レーザー媒質内で一旦吸収した後、固体レーザー共振器内で電磁波波面の揃った非常に集光性の高い1つのレーザー光に変換できるため、そのレーザー光をレンズで集光することで非常に高い光密度を得ることができる。そのため、理化学用の計測光源を始め、産業用の各種材料の切断、溶接などの加工や、身近にある様々な装置やシステムに適用されている。
【0003】
特に、近年ではCO2 削減など地球環境への配慮から、自動車、船舶などに搭載されている内燃機関(エンジン)において、電気火花型プラグに代わり、高ピーク強度のレーザー光によって燃料混合ガスに点火を行う研究が注目されている。レーザー点火では放電用の金属電極が必要ないため、エンジン部品の摩耗がなく高寿命化を図ることができる。また、レーザー光の集光位置を変えることでシリンダー内の最適位置に点火できるので、エンジンの燃焼効率、出力が飛躍的に改善・向上し、燃費の低減、ひいては排気ガスやCO2 の削減が可能になる。下記非特許文献1,2及び3に記載されているように、近年の半導体レーザー励起固体レーザー装置の革新的な高性能化と相まって、自動車に搭載可能なサイズまでレーザー装置が小型化されるに至っている。
【0004】
また、レーザー光源から光ファイバーを介して光学装置に光を導き、エンジンを点火するようにしたものが提案されている(下記特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−221895号公報
【特許文献2】特開2007−107424号公報
【特許文献3】特開2007−085350号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】H.Kofler et al.,“An innovative solid−state laser for engine ignition”,Laser Physics Letters,Vol.4,No.4,pp.322−327(2007)
【非特許文献2】D.G.Rowe,“Lasers for engine ignition”,Nature Photonics,Vol.2,No.9,pp.515−517(2008)
【非特許文献3】常包正樹 他,「マイクロレーザーによるエンジン点火」,レーザー研究,Vol.37,No.4,pp.283−289(2009)
【非特許文献4】G.J.Steckman et al.,“Volume Holographic Grating Wavelength Stabilized Laser Diodes”,IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics,Vol.13,No.3,pp.672−678(2007)
【非特許文献5】ホイカン・リュー,ケヴィン・J・ウェブ,「回折限界を突破する二層メタマテリアルレンズ」,Laser Focus World Japan,2009年11月,pp.40−42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動車のエンジンに点火する半導体レーザー励起固体レーザー装置の車両への搭載の概略としては、図15に示すように、固体レーザー部分と励起用半導体レーザー部分に分け、固体レーザー点火モジュール401はエンジン402上に、励起用半導体レーザーモジュール403は、例えば助手席の下に配置し、両者を光ファイバー404で接続する。このように配置する理由として、固体レーザー点火モジュール401から出射される、点火に必要なレーザー光のピーク光強度が極めて高く、光ファイバー404では石英等のコアに光学損傷が生じレーザー光を伝搬できないため、固体レーザー点火モジュール401自体をエンジン402上に直接取り付ける必要があること、また、励起用半導体レーザーモジュール403の発振波長が環境温度によって敏感に変化するため、固体レーザー媒質の吸収波長帯を外れないように、温度変化の激しいエンジン402の近傍ではなく、なるべく温度変化の小さい場所に設置する方が望ましいことが挙げられる。なお、励起用半導体モジュール403からの励起光はピーク光強度が低いため、図15に示すように光ファイバー404を用いて固体レーザーまで伝搬させることができる。励起用半導体レーザーモジュール403は、比較的広い範囲の温度、具体的には−40℃から80℃の環境温度の範囲で、励起用光源として安定に動作する必要があるが、自動車のような常に外気や日光、風雨にさらされるような環境においては、上記したようにエンジン402近傍に比べて温度変化の小さい場所に励起用半導体レーザーモジュール403を配置しても、大幅な環境温度の変化が起こると、励起用半導体レーザーモジュール403の波長が固体レーザー媒質の吸収波長帯から外れ、固体レーザー点火モジュール401におけるエネルギーの吸収量が減少し、エンジン402の点火に必要な固体レーザー出力が得られない可能性があった。
【0008】
代表的な半導体レーザー励起固体レーザーの例として、Al,Ga,In,Asなどの混晶を材料とする発振波長808nmの半導体レーザーで、Ndを発振元素として含有するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)固体レーザー媒質(Nd:YAGと記す)を励起する場合を考える。半導体レーザーの波長の温度依存性は半導体材料や活性層の構造で多少変化するが、一般には、図16に示すように、1℃変化あたり約0.3nm変化することが知られている。これに対し、Nd:YAGの吸収波長帯は温度に対する変化が少なく、この温度範囲では807nmから810nmまでの範囲である。したがって、半導体レーザーの周囲温度が10℃以上変化すると、半導体レーザーの波長はこの吸収帯から外れてしまう。
【0009】
近年、半導体レーザーの発振波長を特定の波長に固定し、かつ温度に対する変化量を小さくする新しい方式として、半導体レーザー外部にグレーティング(回折格子)を光学的に組み合わせたものや、あるいは半導体レーザー素子内部に同じく半導体によるグレーティングを形成したもの(分布帰還型レーザー:DFB)が開発、市販されている(上記非特許文献4参照)。これらは合わせて波長安定化半導体レーザーと呼ばれているが、いずれもグレーティングで選択した特定波長の光の一部を半導体レーザー共振器にフィードバックすることで半導体レーザーの波長を固定(ロック)し、周囲温度に対する波長の変化を大幅に抑えることに成功している。この方式では、図17に示すように、グレーティングからのフィードバックが半導体レーザーの波長固定に有効に作用するロッキングレンジと呼ばれる温度範囲が存在し、制御波長や活性層の半導体材料、構造で多少変化するが、現状での最大温度幅は30℃程度であり、その範囲内では最大で1℃あたりの波長変化を0.01nm以下まで小さくすることができる。しかしながら、このロッキングレンジ内の温度では波長の温度依存性は非常に小さいが、ロッキングが外れる境界温度では、逆に一度に波長が数nmも変化し、固体レーザー媒質の吸収波長帯から大きく外れてしまう。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、広い温度範囲にわたり、点火に必要な光エネルギーを安定して供給できる半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、固体レーザー媒質の吸収波長帯でロックされ、それぞれロッキングレンジの温度幅が異なり、かつそれらのロッキングレンジの総和が半導体レーザーの周囲温度の変動領域を漏れなく網羅する複数の半導体レーザーを用い、前記複数の半導体レーザーからの出射光を合成機構により合成して、前記固体レーザー媒質に照射することによりこの固体レーザー媒質を励起することを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構が光ファイバーにより構成されることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構がミラーにより構成されることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構が異方性メタマテリアルを用いたレンズにより構成されることを特徴とする。
【0013】
〔5〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記半導体レーザーの波長はグレーティングを用いて安定化させることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記各半導体レーザーのロッキングレンジに重なりを持たせたことを特徴とする。
【0014】
〔7〕半導体レーザーに温度制御機構を設けた半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、ロッキングレンジ内に複数の設定温度を設け、温度制御の制御値をそのうちの周囲温度に最も近い設定温度とすることを特徴とする。
〔8〕上記〔7〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、運転者が車両に近づいた時、運転席側のドアが開いた時、運転席のシートに人が座った時、または車両のメインスイッチがONの時に半導体レーザーの温度制御を開始することを特徴とする。
【0015】
〔9〕上記〔7〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、断熱材により前記半導体レーザーを取り囲むことを特徴とする。
〔10〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、半導体レーザーモジュール内に温度制御素子を配置することを特徴とする。
〔11〕上記〔10〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記温度制御素子がペルチェ素子であることを特徴とする。
【0016】
〔12〕上記〔10〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン装置用固体レーザー装置において、前記半導体レーザーモジュール内にグレーティング内蔵型半導体レーザー素子を配置することを特徴とする。
〔13〕上記〔1〕記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、複数の半導体レーザーを熱伝導性の高い部材に接合するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
(A)請求項1に係る発明によれば、固体レーザーの吸収波長を広い温度範囲で安定して出射することができるため、広い環境温度、全エンジン条件で安定した着火性と燃焼を得ることができる。
また、ロッキングレンジの狭い半導体レーザーであっても、複数個組み合わせることでロッキングレンジを広げることができる。
【0018】
さらに、一個の半導体レーザーが壊れたり出力が不安定になった場合でも、安定した出力が出る半導体レーザーのロッキングレンジに温度制御することで、エンジンの駆動が可能となる。
(B)請求項2〜4に係る発明によれば、複数の半導体レーザーから出射された励起光を1本の光ファイバーに入射できるようにしている。請求項3に係る発明では、半導体レーザーからの出射光をミラーを用いて合成することで、固体レーザーのより小さい領域への励起が可能になり、固体レーザーの発振効率が改善される。
【0019】
また、請求項4に係る発明の異方性メタマテリアルを用いる方式は、他の方式に比べて光学部品を大幅に低減できるとともに、光の損失を低減できる。特に、集光レンズ、グレーティングを一体化できるため複数の機能を持つ光学部品を小さいスペースに設置することができ、アライメントのズレが少ないので耐振性に優れる。異方性メタマテリアルを応用した二層レンズを用いることで、散乱が少なくなるようにすることができ、半導体レーザーから出射された光を効率良く光ファイバーに集光することができる。
【0020】
(C)請求項5に係る発明によれば、グレーティングを励起光用ファイバーの入射側または出射側、あるいは集光レンズと一体化して取り付ける構成にしているため、部品点数及びアライメント調整工程を大幅に削減でき、低コスト化、小型化を図ることができる。
(D)請求項6に係る発明によれば、ロッキングレンジに重なりを持たせるようにしたので、全温度範囲にわたり励起波長を安定して出射することができる。
【0021】
(E)請求項7に係る発明によれば、広い温度範囲にわたり、点火に必要な光エネルギーを安定して供給できる。
(F)請求項8に係る発明によれば、エンジンが始動する前に確実に半導体レーザーの温度を目標温度範囲内に制御することができる。
(G)請求項9に係る発明によれば、半導体レーザーの温度制御に必要なエネルギーを最小限に抑えることができる。
【0022】
(H)請求項10〜12に係る発明によれば、半導体レーザーモジュール内に温度制御素子としてベルチェ素子を配置するようにしたので、半導体レーザーモジュールの温度制御を的確に行うことができる。
また、ペルチェ素子上の半導体レーザー素子等の熱容量を小さくすることで温度応答性を高めることができる。
【0023】
さらに、請求項12に係る発明では、半導体レーザーモジュール内にグレーティング内蔵型半導体レーザー素子を配置するようにしたので、透過型グレーティングを励起光の光路に挿入する必要がなく、コンパクトに構成することができる。
(I)請求項13に係る発明によれば、複数の半導体レーザーを熱伝導性の高い部材に接合するようにしたので、温度制御の熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例における4つの波長安定化半導体レーザーのそれぞれの周囲温度と波長、ロッキングレンジの関係を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図4】本発明の第3実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図5】本発明の第4実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図6】本発明の第5実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図7】図6の固体レーザー装置の光ファイバー端部の構成図(その1)である。
【図8】図6の固体レーザー装置の光ファイバー端部の構成図(その2)である。
【図9】本発明の第6実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図10】本発明の第7実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
【図11】本発明の第8実施例を示す温度応答性の高い半導体レーザーモジュールの構成を示す図である。
【図12】本発明の第9実施例を示すグレーティング内蔵型波長安定化半導体レーザーを用いた場合の、温度応答性の高い半導体レーザーモジュールの構成を示す図である。
【図13】本発明の半導体レーザーにより励起されるエンジン点火用固体レーザー装置の具体的な制御の手順を示す図である。
【図14】本発明の半導体レーザーにより励起されるエンジン点火用固体レーザー装置の周囲温度と制御する半導体レーザーの設定温度の関係を示した図である。
【図15】自動車へのエンジン点火用固体レーザー装置の配置図である。
【図16】従来の波長安定化していない半導体レーザーの周囲温度と波長の関係を示した図である。
【図17】従来の波長安定化半導体レーザーの周囲温度と波長の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置は、固体レーザー媒質の吸収波長帯でロックされ、それぞれロッキングレンジの温度幅が異なり、かつそれらのロッキングレンジの総和が半導体レーザーの周囲温度の変動領域を漏れなく網羅する複数の半導体レーザーを用い、前記複数の半導体レーザーからの出射光を合成機構により合成して、前記固体レーザー媒質に照射することによりこの固体レーザー媒質を励起する。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
この図において、励起用半導体レーザーモジュール203として例えば4つの波長安定化半導体レーザー21〜24がある時、これらの波長安定化半導体レーザー21〜24から出射した励起光は、それぞれコア直径200μmのマルチモード光ファイバー2を伝搬して固体レーザーモジュール10内の固体レーザー媒質5に照射される。この時、固体レーザーモジュール10の手前で各光ファイバー2のコアが束ねられたバンドル光ファイバー25が用いられる。各波長安定化半導体レーザー21〜24の光を1本のバンドル光ファイバー25に束ねることで、固体レーザーモジュール10内において、一つの共通の励起光学系3により空間伝搬で固体レーザー媒質5に励起光を導入することができる。励起光は、固体レーザーモジュール10内に設けられたレーザー発振器8(励起ミラー4、固体レーザー媒質5、光スイッチ素子6、出力ミラー7)により、高ピーク強度の短パルスレーザー光12を自発的に発生する。発生したレーザー光12は、レンズからなる集光光学系9を通して、燃焼室103内の所定の空間位置に集光され、燃焼室103内の可燃性混合気に点火する。なお、101はシリンダー、102はピストンである。
【0027】
ここで、励起ミラー4はBK7製の平面鏡で、その励起用半導体レーザーモジュール203側表面には励起光波長808nmに対して無反射コーティング(反射率<0.2%)が施されており、固体レーザー媒質5側表面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して全反射コーティング(反射率>99.7%)と、かつ励起光波長808nmに対して低反射コーティング(反射率<2%)が施されている。固体レーザー媒質5としては、レーザー発振元素がNd(ネオジム)、母材がYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)のNd:YAGを用いた。Ndの添加濃度は1.1at%、長さは5mmである。また、光スイッチ素子6としては、可飽和吸収体の4価の価数を持つCr(クロム)を添加したYAG(Cr:YAG)を用いた。Cr:YAGの固体レーザー発振波長における初期透過率は30%とした。固体レーザー媒質5および光スイッチ素子6の両端面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して無反射コーティング(反射率<0.2%)が施されている。出力ミラー7はBK7製の平面鏡で、固体レーザー発振光波長1064nmに対して反射率50%のコーティングが施されている。
【0028】
励起に用いた4つの波長安定化半導体レーザー21〜24は、時間幅500μs、周波数5〜100Hzのパルス電流で繰り返し間欠的に駆動した。各波長安定化半導体レーザー21〜24からの光出力のピーク出力はそれぞれ120Wで、固体レーザーによるレーザー点火には十分な励起エネルギーである。
波長安定化半導体レーザー21〜24は、半導体レーザー素子と光ファイバー2の間に透過型のグレーティングが挿入され、半導体レーザー素子から出射された励起光の一部の波長の光が半導体レーザー素子にフィードバックされ波長が安定化される。波長安定化半導体レーザー21〜24にフィードバックされる波長は全て、Nd:YAGからなる固体レーザー媒質5の吸収波長帯域のピークである809nm近傍になるように、グレーティングの周期および角度が調整されている。
【0029】
図2は4つの波長安定化半導体レーザーのそれぞれの周囲温度と波長、ロッキングレンジの関係を示す図である。
この図において、半導体レーザー21のロッキングレンジは−20℃〜10℃、半導体レーザー22は5℃〜35℃、半導体レーザー23は30℃〜60℃、半導体レーザー24は55℃〜85℃のものを使用した。この構成によって、励起用半導体レーザーモジュール203の周囲温度が−20℃〜80℃まで変化しても、いずれか少なくとも1つの波長安定化半導体レーザーは必ずロッキングレンジ内にあり、809nmの波長近傍で動作しているため、固体レーザー媒質5には常に発振に必要な励起エネルギー120Wが吸収され、点火に必要な光エネルギーを出力することができる。
【0030】
この半導体レーザー励起固体レーザー装置においては、波長が固体レーザー媒質5の吸収波長帯内にあれば、1つの波長安定化半導体レーザーで十分なエネルギーを供給できるため、常に全ての波長安定化半導体レーザーを同時に点灯駆動する必要はなく、半導体レーザー周辺の温度をモニターし、その温度に対応するロッキングレンジをもつ波長安定化半導体レーザー1つだけを駆動すればよい。
【0031】
また、この実施例において、波長安定化半導体レーザーの波長はロッキングレンジ端近傍の温度では不安定であるため、各波長安定化半導体レーザーのロッキングレンジは5℃程度オーバーラップさせている。駆動する波長安定化半導体レーザーの切り替えに2.5℃の余裕をもたせることで、全ての温度領域で安定した動作と固体レーザー媒質へのエネルギーの吸収が可能になる。
【0032】
図3は本発明の第2実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
この実施例では、波長安定化半導体レーザー21〜24からの励起光11を収束する仕方として、励起用半導体レーザーモジュール203内の2つの波長安定化半導体レーザー22,24の光を半波長板34により偏光を90度回転し、波長安定化半導体レーザー21,23の光とそれぞれ合波してから光ファイバー2に導入するようにした。なお、30はレーザー光空間合成室、31は45度全反射ミラー、32は偏光ミラー、33はコリメート光学系、35は集光レンズである。
【0033】
このように構成することで、バンドル光ファイバー25内の光ファイバーコアの本数が半分に減るので、バンドル後のファイバーコア径を小さくでき、固体レーザーのより小さな領域への励起が容易になり、固体レーザーの発振効率が改善される。
図4は本発明の第3実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
この実施例では、波長安定化半導体レーザー21〜24からの励起光11を収束する仕方として、励起用半導体レーザーモジュール203内の2つの波長安定化半導体レーザー22,24の光を半波長板34により偏光を90度回転し、波長安定化半導体レーザー22,24の光を合波し、さらに、可倒ミラー31bで光学系を電気的にスイッチし、環境温度に応じてロッキングレンジ内にある波長安定化半導体レーザーの光のみを選択し、コアが1本の光ファイバー2で固体レーザーモジュール10まで励起光を導入する構成である。可倒ミラー31bの制御が新たに必要になるものの、バンドル光ファイバーを使わないため光ファイバー構造を簡略化でき、ファイバーコア径もさらに小さくできるので、固体レーザーへのより小さな領域への励起が容易になり、固体レーザーの発振効率が改善される。なお、31aは45度全反射ミラーである。
【0034】
図5は本発明の第4実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
この実施例では、励起用半導体レーザーモジュール203内の半導体レーザー51〜54はグレーティング等による波長安定化の構造を有していないものである。各半導体レーザー51〜54から出射した各励起光は空間中を伝搬し、光ファイバー2の各先端に取り付けられた光ファイバーグレーティング56に入射する。光ファイバーグレーティング56は809nmの波長の光を選択的に部分反射するように格子間隔が決められており、反射した光は半導体レーザー51〜54に戻り、各半導体レーザー51〜54の発振波長を制御(ロック)することができる。なお、55は集光レンズである。
【0035】
なお、本実施例の固体レーザーモジュール90では、励起ミラー及び出力ミラーがなく、上記第1〜第3実施例と同じNd:YAGからなる固体レーザー媒質95の励起側端面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して全反射コーティング(反射率>99.7%)と、かつ励起光波長808nmに対して低反射コーティング(反射率<2%)が施されており、光スイッチ素子96に対する側の端面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して無反射コーティング(反射率<0.2%)が施されている。また同じくCr:YAGよりなる光スイッチ素子96の固体レーザー媒質95に対する端面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して無反射コーティング(反射率<0.2%)が施されており、シリンダー101側端面には固体レーザー発振光波長1064nmに対して反射率50%のコーティングが施されている。共振器ミラーを固体レーザー媒質95と光スイッチ素子96の端面にコーティングで形成することで、励起ミラー及び出力ミラーを省略することができ、部品点数が減ると共に共振器を小型化することができ、振動などに対する信頼性も向上することができる。
【0036】
これらの半導体レーザー51〜54は、同じ温度における発振波長の中心が7.5nmずつ異なっており、20℃での中心波長が半導体レーザー52では809nmであるのに対し、半導体レーザー51では816.5nm、半導体レーザー53では801.5nm、半導体レーザー54では794nmである。各半導体レーザー素子のピーク出力は120Wである。このように中心波長が異なる半導体レーザー51〜54を用いることで、各半導体レーザー51〜54に上記第1実施例の構成と同じ波長安定化効果とその温度依存性をもたらすことができる。各半導体レーザーの波長安定化の方法として、光ファイバーグレーティング56を入力光ファイバー端に用いることで、構成部品が減り製造やアライメントも容易になる。
【0037】
図6は本発明の第5実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。
この実施例では、上記第4実施例と類似した半導体レーザーの構成において、光ファイバーグレーティング56を半導体レーザー側ではなく、バンドル光ファイバー25の固体レーザー媒質側の端面近傍に設けたものである。
図7は図6の光ファイバー端部の構成図(その1)である。この図に示すように、バンドル光ファイバー25の端面にまとめてグレーティングを形成することができれば、製造が容易になりコストが低減できる。なお、60は光ファイバー被覆である。
【0038】
さらに、図8は図6の光ファイバー端部の構成図(その2)であり、図7の光ファイバーグレーティング56の代わりに、透過型グレーティング61をバンドル光ファイバー25の端面に近接させたものである。1個の透過型グレーティング61で光ファイバー2を通して全ての半導体レーザー51〜54に809nmの光をフィードバックし、波長をロックすることができるため、個々に光ファイバーグレーティングを形成するより構造が簡単になり、コストも下げることができる。また、バンドル光ファイバー25の端面に近接させることで、途中に光学系を入れずに光をフィードバックすることが可能である。透過型グレーティング61は光ファイバー端に接着、あるいは接合しても良い。
【0039】
図9は本発明の第6実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図である。 複数の半導体レーザーからの励起光の合成機構は、上記実施例で示したように光ファイバーやミラーを用いることができるが、この実施例では、異方性メタマテリアルを用いた二層レンズ36を用いるようにしている(上記非特許文献5参照)。伝統的な全てのレンズは、どのような開口数であってもアッベの回折限界に支配されるが、最近になって負の屈折率の概念に基づき、アッベの回折限界を越えて結像する「スーパーレンズ」が提案された。そのスーパーレンズのとして、低い損失と広域幅をもつサブ波長イメージング用の光学異方性メタマテリアルがある。この異方性メタマテリアルは、大きな横波長をもつエバネセント波が入射して媒質中の伝搬波に変換されると、サブ波長イメージングが可能になる。かかる異方性メタマテリアルを複数の半導体レーザーの励起光合成機構として用いることで、集光レンズ及びグレーディングを一体化することができ、光学部品のコストを低減することができる。
【0040】
以上の実施例において、固体レーザー媒質の母材としては、YAG以外にYVO4 ,YLF,GdVO4 ,Al2 3 ,KGW,KYW,ガラスでも良い。また、レーザー発振元素としてはNd以外にYb,Ho,Tm,Ti,Erでも良い。また、励起用半導体レーザーの材質及び発振波長は、使用する固体レーザー媒質の吸収波長帯に対応したものを使用する。光スイッチ素子の材質や仕様も固体レーザー媒質に合わせて適切に選択される。さらに上記第1〜第6実施例では4個の波長安定化半導体レーザーを用いたが、使用する固体レーザー媒質の吸収波長幅、周囲温度の変化量、使用する半導体レーザーのロッキングレンジなどにより、必要な半導体レーザーの数と波長幅の仕様が決定される。
【0041】
以上の実施例においては、想定した、いかなる環境温度においても直ちに所望の波長の励起光エネルギーを固体レーザーに供給することが可能であり、半導体レーザーの温度制御が不要または簡単なものでよいという大きな利点はあるが、使用する半導体レーザーのロッキングレンジが狭く、かつ使用する固体レーザー媒質の吸収波長幅が狭い場合、ロッキングレンジの異なる複数の半導体レーザーを選別して用意しなければならないためコストが高くなる。また、多くの半導体レーザーを使用するので、サイズも大きくなってしまう欠点がある。
【0042】
そこで、以下の第7実施例では、温度調節機能を設けた1つの波長安定化半導体レーザーを用い、それを車載用として効率よく稼働させるための制御方法や、周囲温度の変化による影響の少ない半導体レーザーの構造を提供する。
図10は本発明の第7実施例を示すエンジン点火用固体レーザー装置の構成図を示したものである。
【0043】
この図において、波長安定化半導体レーザー1は温度制御装置200により温度制御され、励起光は光ファイバー2を通って固体レーザーモジュール90に導入される。
光ファイバー2から出た励起光11は励起光学系3により整形され、固体レーザー媒質95に照射され吸収される。励起光は、固体レーザーモジュール90内に設けられたレーザー発振器98により、高ピーク強度の短パルスレーザー光を自発的に発生する。発生したレーザー光12は、レンズからなる集光光学系9を通して、燃焼室103内の所定の空間位置に集光され、燃焼室103内の可燃性混合気に点火する。なお、固体レーザーモジュール90の構成は第4実施例と同じである。
【0044】
図11は本発明の第8実施例を示す温度応答性の高い半導体レーザーモジュールの構成を示す図である。
この図において、温度を制御する温度制御素子〔TE(Thermo−Electric:熱電冷却素子〕としてのペルチェ素子228の上にはベース金属226が配置され、その上にヒートシンク(金属)225が配置され、ヒートシンク225の上には、半導体レーザー素子221とサブマウント222、絶縁体224を介して半導体レーザー素子221に接続される電極223が設けられている。さらに、コリメート用マイクロレンズ210、波長制御用の透過型グレーティング211が配置されて、半導体レーザー素子221から出射される励起光215の光軸を調整するようにしている。これ以外の光学部品はペルチェ素子228上には配置されない。
【0045】
図12は本発明の第9実施例を示すグレーティング内蔵型の波長安定化半導体レーザーを用いた場合の温度応答性の高い半導体レーザーモジュールの構成を示す図である。
グレーティング内蔵型の半導体レーザー素子231を用いたことにより、上記第8実施例のように透過型グレーティング211を励起光215の光路に挿入する必要がない点を除いて、図11における構成と同様である。
【0046】
これらの第8,9実施例においては、ペルチェ素子228上の半導体レーザー素子等の熱容量を小さくすることで温度応答性が良くなる。また、半導体レーザー素子を取り囲むようにモジュールの外壁に断熱材300を配置することで、周囲温度の変化に対する半導体レーザー素子221,231の波長安定性を高めている。この断熱材300としては非晶質シリカ、硬質ウレタン、真空断熱材などが用いられる。なお、212はコリメート用マイクロレンズ、213は集光レンズ、214は光ファイバー、227は温度センサーに接続されるリード線、228Aは温度制御装置(図示なし)に接続されるリード線、229は金属ベースである。
【0047】
図13は、本発明の半導体レーザーにより励起されるエンジン点火用固体レーザー装置の具体的な制御の手順を示す図である。ここでは、近年普及が著しいハイブリッドカーにおける動作について説明する。
図13に示すように、ハイブリッドカーにおいては、スマートキーを持つ運転者が近づいたことを検知する近接センサー、運転席側のドアか開いたことを検知するドア開放センサー、運転者が運転席に着座したことを検知する着座センサーの信号を用いて補機類を始動する構成になっている。上記センサーを用いてエンジン用補機類を始動するハイブリッドカー以外の車両もある。本発明では、上記センサー類の信号を用いて、励起用半導体レーザーの温度制御の作動を制御するようにしている。
【0048】
近接センサー、ドア開放センサー、着座センサーのいずれかの信号がHIになった時、励起用半導体レーザーの温度制御を開始する。前記信号がHIになってからの時間が5秒以内ならば温度制御を継続する。5秒以上経過した場合は、メインスイッチはONされないと判断し温度制御を停止する。ハイブリッドカーにおいては、走行開始時、電動モーターによって車両を駆動する場合と、バッテリーが少ない時にエンジンにより車両を駆動する場合とがある。車両の電源のメインスイッチがONになった場合、電動モーターによる駆動かエンジンによる駆動かをアクセル開度、ブレーキ、車速、バッテリー残量等の情報に基づき判断する。エンジンによる駆動である場合、励起用半導体レーザーの温度が目標温度(ロッキングレンジ内の波長を出射できる温度範囲)になっているかを否かを判断する。目標温度から外れている場合は、モーター走行に変更すると同時に温度制御を継続する。目標温度範囲内にある場合は、エンジン走行モードに設定して、エンジンコントロールユニット(ECU)から出力される点火信号に基づき、励起用半導体レーザーを作動する。メインスイッチがOFFになった場合は、励起用半導体レーザーの温度制御を停止する。
【0049】
この時、温度応答性の高い半導体レーザーを用いることで、車両の電源のメインスイッチをONにすると同時に励起用半導体レーザーの温度制御装置をONにし、半導体レーザーの温度制御を開始する。半導体レーザー素子の温度は2秒後、遅くとも5秒後には所定のロッキングレンジ内の温度に制御されるため、半導体レーザーの発振波長は固体レーザーの吸収波長と合致し、固体レーザーモジュールにエネルギーを供給することができる。
【0050】
ここで、温度制御装置をメインスイッチに無関係に常時ONにした場合には、メインスイッチONからの時間に関わりなく、半導体レーザーの波長はロッキングレンジ内にあるため、固体レーザーの励起が可能であるが、温度制御装置による電力の消費が常時あるため、停止中の車においてもバッテリーに負担がかかる。なお、図11,12に示す断熱性の高い断熱材300、半導体レーザーを固定する高熱伝導性のヒートシンク225を用いることで温度制御に必要なエネルギーを低減することができる。
【0051】
図14は、本発明の半導体レーザーにより励起されるエンジン点火用固体レーザー装置の周囲温度と制御する半導体レーザーの設定温度の関係を示した図である。
半導体レーザーの制御温度は、常に特定の1つの温度、例えば20℃に制御する必要はなく、半導体レーザーモジュールが取り付けられている部位の周囲温度に応じてそれに近いロッキングレンジ内の温度に設定してやることが望ましい。これによって、半導体レーザーの制御温度を一律の温度に設定するよりも早く温度を制御することができ、しかもその後の周囲温度との温度差が小さいので制御電力が少なくてすむ。図14においては、波長安定化半導体レーザーのロッキングレンジが5〜35℃であり周囲温度が15℃未満の場合、車両のメインスイッチがONになった瞬間に、半導体レーザーの制御温度を10℃に設定し、周囲温度が15℃〜25℃の場合、半導体レーザーの制御温度は20℃に、さらに周囲温度が25℃より高温の場合、半導体レーザーの制御温度は30℃に設定する。このように周囲温度に応じて半導体レーザーの制御温度を設定することで、半導体レーザーの温度をより早くロッキングレンジ内に固定することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置は、広い温度範囲にわたり、点火に必要な光エネルギーを安定して供給できるエンジン点火用固体レーザー装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1,21,22,23,24 波長安定化半導体レーザー
2,214 光ファイバー
3 励起光学系
4 励起ミラー
5,95 固体レーザー媒質(Nd:YAG)
6,96 光スイッチ素子(Cr:YAG)
7 出力ミラー
8,98 レーザー発振器
9 集光光学系
10,90 固体レーザーモジュール
11,215 励起光
12 レーザー光(点火光)
25 バンドル光ファイバー
30 レーザー光空間合成室
31,31a 45度全反射ミラー
31b 可倒ミラー
32 偏光ミラー
33 コリメート光学系
34 半波長板
35,55,213 集光レンズ
36 異方性メタマテリアルを用いた二層レンズ
51,52,53,54 半導体レーザー(波長非安定化)
56 光ファイバーグレーティング
60 光ファイバー被覆
61,211 透過型グレーティング
101 シリンダー
102 ピストン
103 燃焼室
200 温度制御装置
203 励起用半導体レーザーモジュール
210,212 コリメート用マイクロレンズ
221,231 半導体レーザー素子
222 サブマウント
223 電極
224 絶縁体
225 ヒートシンク
226 ベース金属
227 温度センサーに接続されるリード線
228 ペルチェ素子
228A 温度制御装置に接続されるリード線
229 金属ベース
300 断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体レーザー媒質の吸収波長帯でロックされ、それぞれロッキングレンジの温度幅が異なり、かつそれらのロッキングレンジの総和が半導体レーザーの周囲温度の変動領域を漏れなく網羅する複数の半導体レーザーを用い、前記複数の半導体レーザーからの出射光を合成機構により合成して、前記固体レーザー媒質に照射することにより該固体レーザー媒質を励起することを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構が光ファイバーにより構成されることを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構がミラーにより構成されることを特徴とする半導体レーザ励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記合成機構が異方性メタマテリアルを用いたレンズにより構成されることを特徴とする半導体レーザ励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記半導体レーザーの波長はグレーティングを用いて安定化させることを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記各半導体レーザーのロッキングレンジに重なりを持たせたことを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項7】
半導体レーザーに温度制御機構を設けた半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、ロッキングレンジ内に複数の設定温度を設け、温度制御の制御値をそのうちの周囲温度に最も近い設定温度とすることを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、運転者が車両に近づいた時、運転席側のドアが開いた時、運転席のシートに人が座った時、または車両のメインスイッチがONの時に半導体レーザーの温度制御を開始することを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項9】
請求項7記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、断熱材により前記半導体レーザーを取り囲むことを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、半導体レーザーモジュール内に温度制御素子を配置することを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、前記温度制御素子がペルチェ素子であることを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体レーザー励起によるエンジン装置用固体レーザー装置において、前記半導体レーザーモジュール内にグレーティング内蔵型半導体レーザー素子を配置することを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置において、複数の半導体レーザーを熱伝導性の高い部材に接合したことを特徴とする半導体レーザー励起によるエンジン点火用固体レーザー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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