説明

半導体微粒子を含む体積ホログラム記録材料用組成物

【課題】ホログラム記録材料において、微粒子の凝集を抑え、光散乱損失が極めて低く、回折効率の高いホログラムを永続的に形成できる感光性組成物、及び該感光性組成物を用いたホログラム記録媒体を提供すること。
【解決手段】パターン露光によってパターンを形成するために使用される感光性組成物であって、(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d)イオン液体を含む感光性組成物、或いは、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d’)重合性イオン液体を含む感光性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン露光することにより組成物中の各成分に移動が生じ、各成分の空間分布が変化したパターンを形成できる感光性組成物、その組成物を用いたパターンの形成方法、当該感光性組成物が体積位相型ホログラムを記録するホログラム記録層のためのホログラム記録材料用組成物、当該ホログラム記録層及び当該ホログラム記録層を含む体積位相型ホログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック回折格子(ホログラム)は光の明暗(干渉)パターンを感光材料等に屈折率あるいは吸収率のパターンとして記録したものであり、多機能を有することから回折光学素子、ホログラフィック光メモリ、狭帯域波長フィルター、フォトニック結晶、光導波路結合器、光インターコネクション、立体画像ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなど、フォトニクスや情報ディスプレイ等の幅広い分野において数多くの応用が報告されている。
【0003】
これらの応用においては、通常、高い屈折率変化と記録感度が要求される。加えて、ホログラフィック露光時に生じるポリマー化に伴う重合収縮による、記録されたホログラムの機械的な歪みから生じる再生光品質の劣化を防ぐため、低重合収縮性も要求される。
従来の代表的なホログラム記録材料用組成物としては、重クロム酸ゼラチン感光材料や、漂白処理した銀塩感光材料が使用されてきた。これらは高い回折効率を持つが、ホログラム作成時の処理が複雑で、特に湿式現像処理が必要であるという欠点があった。
【0004】
かかる欠点を克服する乾式のホログラム感光材料として、デュポン社のオムニデックスシリーズが広く知られている。この材料はラジカル重合モノマーとバインダーポリマー、光ラジカル重合開始剤、増感色素を主成分として、ラジカル重合モノマーとバインダーポリマーの屈折率差を利用してホログラムを記録するものである。すなわち、フィルム状に形成された該感光材料を干渉露光すると、光が強い部分においてラジカル重合が開始され、それに伴いラジカル重合モノマーの濃度勾配ができ、光が弱い部分から強い部分にラジカル重合モノマーの拡散移動が起こる。結果として干渉光の強弱に応じて、ラジカル重合モノマー密度及び重合したポリマーの密度の疎密ができ、それらとバインダーポリマーの屈折率の差としてホログラムが形成される。この材料系は現状報告されているホログラム用フォトポリマーとしては高性能であるが、30μm程度の厚みに限定されること、そして、耐熱性、透明性に問題がある点が指摘されている。
【0005】
また、ラジカル重合とカチオン重合を併用した材料系(例えば特許文献1参照)や、カチオン重合を利用した材料系(例えば特許文献2参照)が報告されているが、これらは有機材料のみで構成されており、お互いのポリマー同士は分子レベルで相溶しないため、この材料系で形成したホログラム記録膜は相分離による透明性の低下が生じ、それに基づく散乱損失の増大などの問題点がある。さらに機械的強度、環境安定性に関し未だ不十分である。
【0006】
さらに、無機物質ネットワークと光重合性モノマーを併用した材料系が開示されている(例えば特許文献3参照)。ネットワークを形成し得る無機材料をバインダーとして用いる場合、耐熱性、対環境性、機械強度に優れると共に、光重合性の有機モノマーとの屈折率差を大きく取れるという利点があるが、この材料系で形成したホログラム記録膜はどちらかと言えば脆く、柔軟性や加工性、コーティング適性に劣るという問題点、及び無機バインダーと有機モノマーとの相溶性が良くないため、均一な塗工材料を調製するのが困難
という問題点がある。
【0007】
また、ホログラム記録材料として、固体マトリクスに金属超微粒子を分散させた材料が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかし、この方法ではマトリクスに流動性を持たせる必要があり、固体性が悪いだけでなく、金属粒子界面と固体マトリクスとの界面密着性が悪く、脆くなったり界面へ水が侵入するなどの問題がある。
【0008】
さらに、有機−無機ハイブリッドポリマーと光重合反応性基を有する有機金属微粒子を用いたホログラム記録材料が開示されている(例えば特許文献5参照)。しかし、この方法では、干渉縞を固定する為に加熱及び紫外線重合が必要となり、工業プロセスとして課題がある。
【0009】
より簡便な方法でホログラム記録を行う材料として、無機微粒子を光重合性モノマーに分散させたホログラム記録材料が開示されている(例えば特許文献6、7、非特許文献1参照)。
【0010】
なお、非特許文献2にはCdS、ZnS、CdSeなどのカルコゲン化合半導体微粒子を用いて二光束干渉による回折格子の作成に関する記載があるが、微粒子作成方法や分散方法、さらには用いた組成物や露光方法に関する詳細な記載がほとんど無い。また散乱損失が大きいことが予想されるが、これに関する記載や得られた回折格子に関するデータについても一切記載が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平5−107999号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】米国特許第5759721号明細書(全文)
【特許文献3】特開平6−019040号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特表2000−508783号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2002−236440号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開2003−84651号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2005−99612号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.),2002年,第81巻,pp.4121−4123
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・オプティクスA:ピュア・アンド・アプライド・オプティクス(J.Opt.A:Pure Appl.Opt.),2009年,第11巻,024013(13pp)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、従来提案されているホログラム記録材料は、高い屈折率変化や記録感度、低重合収縮性などに加え、耐熱性や透明性、機械的強度や安定性、或いは材料の操作容易性といった性能全てを満足させるものではない。
より簡便にホログラム記録を行う材料として提案された無機微粒子と光重合モノマーとを用いた記録材料においても、用いる無機微粒子の粒径が大きく、しかも粒度分布の幅が広いこと、さらに無機微粒子の粒子同士が凝集しやすいことから、光散乱損失が大きくなる虞があった。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その解決しようとする課題は、ホ
ログラム記録材料において、微粒子の凝集を抑え、光散乱損失が極めて低く、回折効率の高いホログラムを永続的に形成できる感光性組成物、及び該感光性組成物を用いたホログラム記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ホログラム記録材料用組成物において、微粒子としてカルコゲン化合半導体微粒子を採用し、これに加えてイオン液体、光重合開始剤及び重合性化合物を含む感光性組成物が、優れたホログラフィック回折格子(ホログラム)を与えることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
すなわち、本発明は、第1観点として、パターン露光によってパターンを形成するために使用される感光性組成物であって、(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d)イオン液体を含む感光性組成物に関する。
第2観点として、パターン露光によってパターンを形成するために使用される感光性組成物であって、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d’)重合性イオン液体を含む感光性組成物に関する。
第3観点として、パターン露光により、成分の物質移動が生じ屈折率の空間分布が変化したパターンを形成する、第1観点又は第2観点に記載の感光性組成物に関する。
第4観点として、前記パターン露光が干渉露光であり、該干渉露光によりホログラムを形成するために使用される、第1観点乃至第3観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第5観点として、前記(c)カルコゲン化合半導体微粒子が、陽イオン性分子で表面が被覆されているカルコゲン化合半導体微粒子であることを特徴とする、第1観点乃至第4観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第6観点として、前記(c)カルコゲン化合半導体微粒子が平均粒径が1nm以上10nm以下の微粒子である、第1観点乃至第5観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第7観点として、前記(a)重合性化合物がエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、且つ、前記(b)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である、第1観点又は第3観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第8観点として、前記(d’)重合性イオン液体がエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、且つ、前記(b)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である、第2観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第9観点として、前記(a)重合性化合物がカチオン重合性の部位を有する化合物であり、前記(b)光重合開始剤が光酸発生剤である、第1観点又は第3観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第10観点として、前記(d’)重合性イオン液体がカチオン重合性の部位を有する液体化合物であり、前記(b)光重合開始剤が光酸発生剤である、第2観点乃至第6観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物に関する。
第11観点として、第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物を支持体上に塗布することによって得られるホログラム記録層に関する。
第12観点として、支持体、該支持体の上に第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物を塗布することによって得られるホログラム記録層、及び該ホログラム記録層の上層を覆う保護材を含む、ホログラム記録媒体に関する。
第13観点として、前記支持体及び前記保護材が共に透明な樹脂フィルムである、第12観点に記載のホログラム記録媒体に関する。
第14観点として、第1観点乃至第10観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物を、支持体に塗布し塗布膜を形成する工程、及び前記塗布膜にパターン露光する工程を含む、パターンの形成方法に関する。
第15観点として、前記パターン露光が干渉露光である、第14観点に記載のパターン
の形成方法に関する。
第16観点として、(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d)イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(a)重合性化合物及び(b)光重合開始剤とを混合することを特徴とする、第1観点又は第3観点乃至第7観点又は第9観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物の製造方法に関する。
第17観点として、(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d’)重合性イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(b)光重合開始剤とを混合することを特徴とする、第2観点乃至第6観点又は第8観点又は第10観点のうち何れか一項に記載の感光性組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の感光性組成物は、パターン露光することによって、組成物中の成分の空間分布の変化によるパターンを形成することができる。特に、干渉露光によってホログラムを形成することができる。
特に本発明の感光性組成物は、カルコゲン化合半導体微粒子を、イオン液体存在下で重合性化合物に分散させる、或いは重合性イオン液体中に分散させることにより、該微粒子の凝集が抑制され、光散乱損失が極めて低く、回折効率の高いホログラムを永続的に形成できる。
また本発明の感光性組成物は、微粒子としてカルコゲン化合半導体微粒子を採用することにより、従来のホログラム形成用の組成物と比較して微粒子の含有量を格段に少なくすることができる。
【0018】
上記感光性組成物を用いて作製された本発明のホログラム記録層、並びに該ホログラム記録層を有するホログラム記録媒体は、当該ホログラム記録層に干渉露光を行うことにより、ホログラムを記録することができる。
【0019】
また本発明のパターンの形成方法によれば、カルコゲン化合半導体微粒子を重合性化合物或いは重合性イオン液体中に分散させた感光性組成物を採用することにより、パターン露光することによって組成物中の成分の空間分布の変化によるパターンを形成することができ、特に、干渉露光することにより回折効率の高いホログラムが永続的に形成することができる。
【0020】
さらに本発明の感光性組成物の製造方法によれば、カルコゲン化合半導体微粒子が凝集することなく、重合性化合物或いは重合性イオン液体中に良好に分散させた感光性組成物を製造できる。
【0021】
そして本発明によれば、回折効率の高い優れたホログラフィック回折格子(ホログラム)を得ることができ、該回折格子は多機能光学素子として、回折光学素子、ホログラフィック光メモリ、狭帯域波長フィルター、フォトニック結晶、光導波路結合器、光インターコネクション、立体画像ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなど、フォトニクスや情報ディスプレイ等の幅広い分野への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、体積ホログラム記録媒体に対する二光束干渉露光を行う装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を表すグラフである。
【図3】図3は、実施例2における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を表すグラフである。
【図4】図4は、実施例3における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の感光性組成物は、(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d)イオン液体を含む。或いは、本発明の感光性組成物は、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d’)重合性イオン液体を含む。
【0024】
ここでまずホログラムについて概説する。
ホログラムなどのパターンは、記録層に含まれる少なくとも二種の成分の屈折率の差を利用して、光の干渉パターンを記録することにより、形成される。
従って、パターンを形成するためのパターン露光の条件下(例えばホログラム記録のための干渉露光の条件下)で、例えば本発明の場合には、上記の重合性化合物(或いは重合性イオン液体)より生じる重合体の屈折率と、カルコゲン化合半導体微粒子の屈折率との差が大きいことが必要である。
例えば、カルコゲン化合半導体微粒子のホログラム記録のための干渉露光に用いる光の波長に対する屈折率と、干渉露光の条件下で重合性化合物(或いは重合性イオン液体)より生じる重合体のホログラム記録のための干渉露光に用いる光の波長に対する屈折率との差は0.01〜1.0であることが求められる。好ましくは、該屈折率の差は0.02〜0.50、又は0.03〜0.15であることがより好ましい。そして、このような観点から、本発明で用いる好適なカルコゲン化合半導体微粒子と重合性化合物(或いは重合性イオン液体)が夫々選択されることとなる。
該カルコゲン化合半導体微粒子の屈折率は比較的高いことから、本発明で用いられる重合性化合物(或いは重合性イオン液体)より生ずる重合体の屈折率はそれと比べて相対的に小さいことが好ましく、例えば、波長589nmの光に対する屈折率が1.3〜1.7である重合体を与える重合性化合物(或いは重合性イオン液体)が好ましく使用される。より好ましくは波長589nmの光に対する屈折率が1.3〜1.6である重合体を与える重合性化合物(或いは重合性イオン液体)が使用される。
なお、重合体の屈折率は、重合性化合物(或いは重合性イオン液体)及び光重合開始剤からなる組成物を支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥を行った後、ホログラム記録のための干渉露光に用いる光を用いた条件下で空間的に一様な露光を組成物に施すことによって重合体を得、その重合体の屈折率を測定することにより求めることができる。そして、このようにして得られる重合体の屈折率と、カルコゲン化合半導体微粒子の屈折率とを基にして、本発明のホログラム記録材料用組成物に好適な重合性化合物(或いは重合性イオン液体)、及びカルコゲン化合半導体微粒子を選択することができる。
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
【0025】
(a)重合性化合物
本発明における重合性化合物は、光重合開始剤の作用によって重合する重合性の部位を、分子内に1個以上、好ましくは1乃至6個有する化合物であれば特に制限はない。重合性の部位としては、ラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合が挙げられる。あるいは、重合性の部位としては、カチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、ビニルチオエーテル構造、エポキシ環やオキセタン環などの環状エーテル構造等が挙げられる。
なお、本発明における重合性化合物の意味するところは、いわゆる高分子物質でない化合物である。従って、狭義の単量体化合物だけでなく、二量体、三量体、オリゴマーや反応性高分子をも包含するものである。
【0026】
このような重合性化合物としては、ラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。あるいは、重合性化合物としては、カチオン重合性の部位
であるビニルエーテル構造、エポキシ環又はオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
【0027】
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物、脂肪族ポリヒドロキシ化合物及び芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステル化合物、脂肪族ポリアミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミド化合物等が挙げられる。
【0028】
具体的には、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
【0029】
不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
【0030】
不飽和カルボン酸エステルの具体例としては、フェノキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イソボロニルアクリレート等が挙げられる。また、これらのアクリル酸エステル化合物のアクリレート部分をメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル化合物、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル化合物、クロトネートに代えたクロトン酸エステル化合物、及びマレエートに代えたマイレン酸エステル化合物等も挙げられる。
【0031】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル化合物が挙げられる。また、これらのアクリル酸エステル化合物のアクリレート部分をメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル化合物、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル化合物、クロトネートに代えたクロトン酸エステル化合物、マレエートに代えたマイレン酸エステル化合物等も挙げられる。
【0032】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル化合物としては、ヒドロキノンジアクリレート、ヒドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
【0033】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物及び芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸及び多価カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステル化合物としては、必ずしも単一物では無いが代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸及びフタル酸とエチレングリコールとの縮合物、アクリル酸及びマレイン酸とジエチレングリコールとの縮合物、メタクリル酸及びテレフタル酸とペンタエリスリトールとの縮合物、アクリル酸及びアジピン酸とブタンジオール及びグリセリンとの縮合物等が挙げられる。
【0034】
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、また、多価イソシアネートとヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとの反応によって得ることができるウレタン化合物
や、多価エポキシ化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとの反応によって得ることができる化合物を挙げることができる。
【0035】
本発明に用いられるエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、また、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、フタル酸ジアリル等のアリルエステル化合物、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
【0036】
本発明においては、エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、アクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物が特に好ましい。
これらのエチレン性不飽和結合を有する化合物は単独で用いても良いし、必要に応じ混合して用いてもよい。
【0037】
ビニルエーテル構造を有する化合物としては、例えば、2−クロロエチル=ビニル=エーテル、n−ブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0038】
エポキシ環を有する化合物としては、例えば、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル等を挙げることができる。
【0039】
オキセタン環を有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3,3−ジエチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン等のオキセタン環を1つ有する化合物;1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等のオキセタン環を2つ以上有する化合物を挙げることができる。
【0040】
本発明において、(a)成分である重合性化合物は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
また、(a)成分として、重合性の部位を1個有する化合物と、重合性の部位を2個以上有する化合物を(2官能以上の重合性化合物)を併用することにより、カルコゲン化合半導体微粒子の拡散が速やかに起こり、回折効率などの特性が本発明のさらに好ましい形
態となる。但し、2官能以上の重合性化合物は、組成物の合計質量から2官能以上の重合性化合物を除いた質量に対して10倍の質量まで使用することができる。これ以上使用量が多くなると、カルコゲン化合半導体の分散量が少なくなり良い特性が得られない。
【0041】
上記2官能以上の重合性化合物としては前出の通りであるが、ラジカル重合で用いられる化合物の具体例としては、例えばエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステル化合物、また、これらのアクリル酸エステル化合物のアクリレート部分をメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル化合物、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル化合物、クロトネートに代えたクロトン酸エステル化合物、マレエートに代えたマイレン酸エステル化合物等が挙げられる。
その他、ヒドロキノンジアクリレート、ヒドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
また、多価イソシアネートとヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとの反応によって得ることができるウレタン化合物や、多価エポキシ化合物とヒドロキシアルキル不飽和カルボン酸エステルとの反応によって得られる化合物を挙げることができる。例えばウレタンアクリレートとしては、ダイセル・サイテック(株)製EBECRYL(商品名)が挙げられ、具体的には、例えばEBECRYL8301などを使用することによって、分散性を損なうことなく優れた回折効率を得ることができる。
【0042】
また上記2官能以上の重合性化合物として、カチオン重合で用いられる化合物の具体例としては、例えばトリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
その他、エポキシ環を有する化合物として、例えば、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル等を挙げることができる。
またオキセタン環を有する化合物としては、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エ
ーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等を挙げることができる。
【0043】
(b)光重合開始剤
本発明における光重合開始剤としては、後に詳述するパターン露光によって前記重合性化合物並びに後述する重合性イオン液体の重合を開始することができる機能を有する化合物であれば特に限定はない。
重合性化合物又は重合性イオン液体としてラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合を有する化合物が使用された場合、光重合開始剤としては、基本的にはパターン露光時に活性ラジカルを生成する光ラジカル重合開始剤が用いられる。
重合性化合物又は重合性イオン液体としてカチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、エポキシ環又はオキセタン環を有する化合物が使用された場合、光重合開始剤としては、基本的にはパターン露光時にルイス酸あるいはブレンステッド酸を生成する光酸発生剤が用いられる。
【0044】
<光ラジカル重合開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、パターン露光時に活性ラジカルを生成する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンゾイン系化合物、α−アミノアルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アゾ系化合物、アジド系化合物、ジアゾ系化合物、o−キノンジアジド系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、有機過酸化物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン、ビスイミダゾール化合物、チタノセン化合物、チオール化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、トリクロロメチルトリアジン化合物、あるいはヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物などのオニウム塩化合物等が用いられる。これらのうち、チタノセン化合物が好ましい。光ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
チタノセン化合物は、特に限定はされないが、具体的には、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,4−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)チタニウム、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等を挙げることができる。
【0046】
ベンゾイン系化合物としては、例えばベンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等を挙げることができる。
【0047】
α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、例えば2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0048】
チオキサントン系化合物としては、例えばチオキサントン、1−クロロチオキサントン
、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができる。
【0049】
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔2−(1−ヒドロキシブチル)〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕硫酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン〕塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕等を挙げることができる。
【0050】
アジド系化合物としては、例えばp−アジドベンズアルデヒド、p−アジドアセトフェノン、p−アジド安息香酸、p−アジドベンザルアセトフェノン、4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルスルフィド、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドスチルベン等を挙げることができる。
【0051】
ジアゾ系化合物としては、例えば1−ジアゾ−2,5−ジエトキシ−4−p−トリルメルカプトベンゼンボロフルオリド、1−ジアゾ−4−(ジメチルアミノ)ベンゼンクロリド、1−ジアゾ−4−(ジエチルアミノ)ベンゼンボロフルオリド等を挙げることができる。
【0052】
o−キノンジアジド系化合物としては、例えば1,2−ナフトキノンジアジド(2)−4−スルホン酸ナトリウム塩、1,2−ナフトキノンジアジド(2)−5−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド(2)−4−スルホニルクロリド等を挙げることができる。
【0053】
アシルホスフィンオキサイド系化合物としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。
【0054】
オキシムエステル系化合物としては、例えば2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等を挙げることが出来る。
【0055】
ベンゾフェノン類としては、例えばベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1,4−ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0056】
ビスクマリンとしては、例えば3,3’−カルボニルビス(7−(ジエチルアミノ)−2H−クロメン−2−オン)等が挙げられ、これはみどり化学株式会社でBC(CAS[63226−13−1])として市販されている。
【0057】
ビスイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0058】
<光酸発生剤>
光酸発生剤としては、パターン露光時にルイス酸あるいはブレンステッド酸を生成する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ジアリールヨードニウム塩化合物、トリアリールスルホニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物などのオニウム塩化合物、鉄アレーン錯体化合物等を挙げることができる。
【0059】
ジアリールヨードニウム塩化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルヨードニウム、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム、3,3’−ジニトロフェニルヨードニウム等のヨードニウムの、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0060】
トリアリールスルホニウム塩化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウム等のスルホニウムの、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
【0061】
鉄アレーン錯体化合物としては、例えばビスシクロペンタジエニル−(η6−イソプロ
ピルベンゼン)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0062】
光重合開始剤は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、(a)重合性化合物又は後述する(d’)重合性イオン液体100質量部に対し0.01乃至10質量部であり、好ましくは0.05乃至5質量部である。
【0063】
(c)カルコゲン化合半導体微粒子
カルコゲン化合半導体とは、カルコゲン元素からなる半導体を表す。カルコゲンとは、化学周期律表におけるVI族元素の縦の列で、酸素(O)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)などから成る元素で構成される。カルコゲン化合半導体の具体例としてはZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTeが挙げられる。
【0064】
ここで“微粒子”とは、電子顕微鏡などによって観察されるその粒径が30nm以下の微粒子を指し、好ましくは1nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上8nm以下である。
【0065】
このカルコゲン化合半導体微粒子は、いかなる製法で作成したものでも使用することができる。例えば、ニコライ・ガポニックらによるザ・ジャーナル・オブ・フィジカル・ケ
ミストリー(The Journal of Physical Chemistry),B,2002,106,pp.7
177−7185に記載の方法や、奈良先端科学技術大学院大学の河合、中嶋らによる国際公開第2006/054402号パンフレットに記載の方法で作成することができる。
例えばCdSe微粒子は、塩化カドミウムとジメチルアミンエタンチオール塩酸塩を所定の水に加え、この溶液に水中でセレンとテトラヒドロホウ酸ナトリウムを加えて得られるNaHSe水溶液を加え、100℃程度で加熱撹拌することで作製することができる(水性合成法)。この反応は窒素雰囲気中で行うことが好ましい。
【0066】
用いられるカルコゲン化合半導体微粒子の形態としては、後述の(d)イオン液体に分散したゾルであり、好ましくは(d’)重合性イオン液体、すなわち重合性の官能基を有するイオン液体に分散していることが好ましい。
【0067】
(d)イオン液体
本発明における代表的なイオン液体とは、カチオンとアニオンとを組合せたイオン分子のみから構成され、常温において疎水性の液体である。ここで、常温とは、JIS Z 8703で規定されている、20℃±15℃(5〜35℃)の範囲を意味する。イオン液体や後述する重合性イオン液体の例としては、奈良先端科学技術大学院大学の河合、中嶋らによる国際公開第2006/054402号パンフレットにイオン性液体或いはイオン性液体型モノマーとして記載のものが挙げられる。
【0068】
イオン液体を構成するカチオン種としては、アルキルイミダゾリウム、アルキルピリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、ジアルキルピロリジニウム、テトラアルキルホスホニウム、トリアルキルスルホニウムなどが挙げられる。
【0069】
好ましいカチオン種としては4級アンモニウムカチオンが挙げられ、例えば、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム、N−メチル−N−ブチルピロリジニウム、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム、N−メチル−N−ブチルピペリジニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
イオン液体を構成するアニオン種としては、例えば、Cl-、Br-などのハロゲンイオン、PF6-、PF3(C253-、PF3(CF33-などのフルオロホスフェート類、B
4-、BF2(CF32-、BF3(CF3-などのフルオロボレート類、N(CF3SO2
2-、N(C25SO22-などのフルオロスルホニルイミド類、CF3SO3-などのフルオロスルホネート類、その他、ジアルキルホスフェート、ビスオキサレートボレート、アルキルスルフェート、ジシアンアミド、ヘキサフルオロホスフェート、ラクテート、硝酸イオン、トリフルオロアセテートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
また、イオン液体として、後述の(d’)重合性イオン液体を用いることにより、カルコゲン化合微粒子半導体の分散性がさらに良好なものとなり、優れたパターンの形成、そしてより高い回折効率を有するホログラムが得られる。
【0072】
(d’)重合性イオン液体
本発明における重合性イオン液体は、重合性部位を分子内に1個以上、好ましくは1乃
至6個有するイオン液体であれば特に制限はない。ここで重合性部位を含む官能基は、カチオン種に置換されていてもアニオン種に置換されていて良い。
【0073】
重合性の部位としては、ラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合が挙げられる。あるいは、重合性の部位としては、カチオン重合性の部位であるビニルエーテル構造、ビニルチオエーテル構造、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル構造等が挙げられる。これらどのようなものを使用しても良いが、安定性の面からラジカル重合性の部位であるエチレン性不飽和結合が好ましく、アクリレート、メタクリレート、ビニルフェニル基等が最も好ましく用いることができる。
【0074】
重合性イオン液体の具体例としては、例えば、2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[パイオトレック(株)製、商品名:TREKSTAR MOE−200]、2−(メタクリロイルオキシ)エチルジエチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルジエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0075】
なお、上記重合性イオン液体(d’)が多官能性のイオン性液体でない場合、前述の(a)成分のうち、2官能以上の重合性化合物を併用してもよい。その場合、2官能以上の重合性化合物は、組成物の合計質量から2官能以上の重合性化合物を除いた質量に対して10倍の質量まで使用することができる。これ以上使用量が多くなると、カルコゲン化合半導体の分散量が少なくなり良い特性が得られない。
【0076】
<感光性組成物の製造方法>
本発明の感光性組成物の製造方法は以下の通りである。
すなわち、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)を含む組成物の場合、(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d)イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(a)重合性化合物及び(b)光重合開始剤とを混合する。
また、上記成分(b)、(c)及び(d’)を含む組成物の場合、(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d’)重合性イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(b)光重合開始剤とを混合する。
【0077】
本発明の感光性組成物には、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)、又は(b)、(c)及び(d’)の他、必要に応じて、重合禁止剤、増感剤、連鎖移動剤、可塑剤、着色剤等の添加剤を加えてもよい。また、膜厚の均一性を持たせ、光照射での重合で形成されたホログラムを安定に存在させるため、さらには収縮率を小さくするために結合材としてバインダー樹脂を加えてもよい。
【0078】
バインダー樹脂としては、使用するラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物と相溶性が良く、未硬化の感光性組成物に透明な均一溶液として溶解することができ、硬化後に数百nm以上の相分離によって強い光散乱を生じさせることのない、分子量1,000以上のオリゴマー、あるいはポリマーを使用することができる。
【0079】
重合禁止剤とは、一般的に重合を遅延、もしくは禁止させる化合物であり、本発明では特に限定されるものではない。ラジカル重合の場合は、フェノール、カテコール、ベンゾキノン、ハイドロキノン、又はこれらのエステル、エーテル化物やアルキル化したことによるヒンダードフェノール類、フェノチアジン、ヒンダードアミン類、TEMPOなどのヒドロキシアミン類、ニトロソアミン類が挙げられる。カチオン重合の場合は、塩基性を示す化合物が挙げられ、好ましくは有機アミン類が挙げられる。
【0080】
また前出の(b)光重合開始剤として、光ラジカル重合開始剤を用いる場合、単独で用いても良いが、光を吸収する成分である増感剤と組合せて用いてもよい。
好ましい増感剤としては、例えば、2,6−ジエチル−1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF2錯体、1,3,5,7,8−ペンタメチルピロメテン−BF2錯体などのピロメテン錯体;エオシン、エチルエオシン、エリスロシン、フルオレセイン、ローズベンガルなどのキサンテン系色素;1−(1−メチルナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン−4−(2,3,6,7)テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−3−ブテン−2−オン、1−(3−メチルベンゾチアゾール−2(3H)−イリデン−4−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−ブテン−2−オンなどのケトチアゾリン系化合物;2−(p−ジメチルアミノスチリル)−ナフト〔1,2−d〕チアゾール、2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ナフト〔1,2−d〕チアゾールなどのスチリル又はフェニルブタジエニル複素環化合物;2,4−ジフェニル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)−1,3,5−トリアゾンなどのトリアジン化合物;フェナンスリル−((〔2,3,6,7〕テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ〔ij〕キノリジン−9−イル)−1−エテン−2−イル)ケトン、2,5−ビス(p−ジメチルアミノシンナミリデン)シクロペンタノンなどのアミノフェニル不飽和ケトン化合物;5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン、ヘマトポリフィリンなどのポリフィリン類等を挙げることができる。これらの内、特にピロメテン錯体が好ましく、可視光での無色透明性が要求される用途ではシアニン系色素が好ましい。
【0081】
また、光ラジカル重合開始剤としてチタノセン化合物を用いた場合には、前出の光ラジカル重合開始剤で挙げたベンゾフェノン類、ビスクマリン、ビスイミダゾール化合物を増感剤として用いることが好ましく、また前記ピロメテン化合物を用いることが好ましい。
また、水素供与体であるチオール、アルキルアミン類、アミノ酸類を使用することによってさらに高感度化することも可能であり、チオールとしては2−ベンゾオキサゾールチオール、2−ベンゾチアゾールチオール、アミノ酸類としてはN−フェニルグリシン、4−シアノ−N−フェニルグリシン等が挙げられる。
【0082】
さらに前出の(b)光重合開始剤として、光酸発生剤を用いる場合、光酸発生剤もまた、単独で用いても良いが、光を吸収する成分である増感剤と組合せて用いてもよい。
好ましい増感剤としては、例えば、カルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−ビニルカルバゾール、N−フェニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体;1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、1−ステアリルオキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、2−ドデシルオキシナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール、グリシジル−1−ナフチルエーテル、2−(2−ナフトキシ)エチルビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1,1’−チオビス(2−ナフトール)、1,1’−ビ−2−ナフトール、1,5−ナフチルジグリシジルエーテル、2,7−ジ(2−ビニルオキシエチル)ナフチルエーテル、4−メトキシ−1−ナフトール、ナフトール誘導体とホルマリンとの縮合体等のナフタレン誘導体、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキ
シアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセンなどのアントラセン誘導体;1,4−ジメトキシクリセン、1,4−ジエトキシクリセン、1,4−ジプロポキシクリセン、1,4−ジベンジルオキシクリセン、1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセンなどのクリセン誘導体;9−ヒドロキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9,10−ジエトキシフェナントレンなどのフェナントレン誘導体等を挙げることができる。
【0083】
これら誘導体の中でも、特に、炭素原子数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い9,10−ジアルコキシアントラセン誘導体が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0084】
前述の光ラジカル重合開始剤、例えば、ジシクロペンタジエニル−チタンのようなチタノセン化合物や、2,4−ジメチルチオキサントンなどのチオキサントン化合物もまた光酸発生剤の増感剤として作用することが知られている。すなわちこの場合は、光酸発生剤と(増感剤としての)光ラジカル重合開始剤との組合せ、そしてまた光酸発生剤と(増感剤としての)光ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤用の増感剤をそれぞれ組合せて使用することができる。
増感剤の量は、使用する媒体の厚さによって増減する必要があるが、重合開始剤に対し質量比で0.01乃至10%、好ましくは0.1乃至5%である。
【0085】
バインダー樹脂としては重合性化合物と相溶性の良いものが好ましく、具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸;ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメタクリロニトリル、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリル酸エステルの他、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、ポリビニルホルマール、ポリビニルカルバゾール、ポリアクリロニトリル、ポリ−1,2−ジクロロエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シンジオタクチック型ポリメチルメタクリレート、ポリ−α−ビニルナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチラート、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−o−メチルスチレン、ポリ−p−メチルスチレン、ポリ−p−フェニルスチレン、ポリ−2,5−ジクロロスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデン、透明ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンや、これらの共重合体等が挙げられる。これらバインダー樹脂は、単独で用いても2種以上の組合せで用いてもよい。
【0086】
本発明の感光性組成物よりパターンを形成するには、まず、当該組成物を樹脂フィルムなどの適当な支持体上に塗布することによって塗布膜を形成する。次いで、その塗布膜に
パターン露光を行う。
パターン露光は、パターンを形成することのできる露光方法であれば特に制限はなく、フォトマスク露光、フェーズマスク露光などの適当なマスクを通して露光する方法や、干渉露光等が挙げられる。これらのうち干渉露光が好ましい。
【0087】
干渉露光の光源としては、一般に干渉性の高いレーザー光であり、光重合開始剤に高感度であればよく、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、Nd:YAGレーザー(532nm)、Nd:YVO4レーザー(532nm)、InGaNレーザ−(405nm)等
が使用される。
【0088】
本発明の感光性組成物を用いたホログラムの記録メカニズムは以下の通りである。
本発明の感光性組成物は重合性化合物、光重合開始剤、カルコゲン化合半導体微粒子及びイオン液体を含み、或いは、光重合開始剤、カルコゲン化合半導体微粒子及び重合性イオン液体を含んでいる。
そのため、例えば、マスクを通して露光が行われると、露光された部分において重合性化合物(或いは重合性イオン液体)の重合反応が起こり重合体が生成される。その結果、露光部分において重合性化合物(或いは重合性イオン液体)の化学ポテンシャルが減少し、それを補うように非露光部から露光部へ重合性化合物(或いは重合性イオン液体)の移動が起こる。
一方、露光部では重合性化合物(或いは重合性イオン液体)の減少とともに、光重合に関与しないカルコゲン化合半導体微粒子の化学ポテンシャルが増加するため、それを抑えるべく、カルコゲン化合半導体微粒子が露光部から非露光部へ移動する。
こうした各成分の移動は光重合が完了するまで本質的に継続する。結果として、カルコゲン化合半導体微粒子の空間分布は固定され、露光部と非露光部での成分と密度差によってパターンが形成される。
すなわち、本発明の感光性組成物より形成されるパターンは、パターン露光によって組成物中の各成分の相互拡散が起こった結果生じた各成分の空間分布の差を利用したものである。
【0089】
本発明の感光性組成物を用いて作製されたホログラム記録層もまた、本発明の対象である。該記録層は、該感光性組成物に必要に応じ前出の増感剤、バインダー樹脂等の添加剤を混合し、それらの混合物を支持体上に塗布することによって、又は、それらの混合物に溶媒を加えて混合した後、支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥することによって、支持体上に形成される。そして支持体上にホログラム記録層を形成することにより、ホログラム記録媒体が得られる。またホログラム記録媒体は、ホログラム記録層の上をさらに保護材で覆うこともできる。ホログラム記録層の厚さとしては、例えば1〜1,000μmであり、又は30〜500μmであり、又は50〜200μmである。
【0090】
支持体に該感光性組成物を塗布する際、必要に応じて使用し得る溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソブルアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、又はそれらの混合溶媒も使用することができる。
溶媒は、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)の合計質量、又は(b)、(c)及び(d’)の合計質量に対して0.5〜20倍の質量で使用することができる。
【0091】
支持体としては、透明なガラス板、アクリル板や、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等の透明な樹脂フィルムを使用することもできる。
本発明の感光性組成物の支持体上への塗布の方法としては、直接滴下する方法に加え、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、カーテン塗布等を用いることができる。
【0092】
保護材としては、酸素による感度低下や保存安定性の劣化等の悪影響を防止するための、公知の材料を使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム等の透明な樹脂フィルムが挙げられる。また、水溶性ポリマー等の塗布によって形成される樹脂フィルムを用いることもできる。
【0093】
次に、本発明のホログラム記録層を用いたホログラム記録方法について説明する。まず、本発明のホログラム記録層を有するホログラム記録媒体に二つの互いにコヒーレントなレーザー光を同時に照射すると、ホログラム記録層上に明部と暗部が縞状に並ぶ干渉縞が形成される。このような空間的に不均一な光照射の場合には、明部においてより多くの重合性化合物が消費され重合物となるにつれて重合性化合物(又は重合性イオン液体)の化学ポテンシャルが減少し、それを補うように暗部から明部へ重合性化合物(又は重合性イオン液体)の移動(拡散)がもたらされる。一方、明部では重合性化合物(又は重合性イオン液体)の減少とともに、光重合に関与しないカルコゲン化合半導体微粒子の化学ポテンシャルが増加するため、それを抑えるべく、カルコゲン化合半導体微粒子は、明部から暗部へ逆拡散する。こうした相互拡散過程は光重合が完了するまで本質的に継続する。結果として、カルコゲン化合半導体微粒子の空間分布は固定され、明部と暗部での組成と密度差のため、屈折率格子(ホログラム)が形成され、ホログラムが記録される。
再生時には、該ホログラムが形成された領域に再生光を照射すると、回折が起こり、ホログラム像が再生される。
【0094】
また、体積位相型ホログラムの屈折率変調は、概ね構成成分の体積比と屈折率の積の総和によって決定される。そのため、重合性化合物(又は重合性イオン液体)及びカルコゲン化合半導体微粒子の移動量が屈折率変調を大きくするために重要な要素となるが、組成物中に分散できるカルコゲン化合半導体微粒子の量には限界があり、あまり多いと分散しにくくなる。通常では、カルコゲン化合半導体微粒子の分散量が少なすぎると定常的な屈折率変調を大きく出来なくなるが、本発明の該カルコゲン化合半導体微粒子を用いることによって非常に少ない添加量でも大きな屈折率変調、回折効率を得ることができる。
【0095】
本発明の感光性組成物では、前記(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子及び(d)イオン液体の合計質量、或いは、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子及び(d’)重合性イオン液体の合計質量に占める(c)カルコゲン化合半導体微粒子の質量の割合は、例えば0.1〜30質量%、又は0.5〜10質量%で使用される。本発明において、(c)カルコゲン化合半導体微粒子は、例えば2質量%以下という少ない割合であっても非常に大きな回折効率を得ることができる。
前記(a)、(b)、(c)及び(d)の合計質量、又は(b)、(c)及び(d’)の合計質量に占める重合性化合物(a)又は重合性イオン液体(d’)の割合としては、例えば0.1〜30質量%であり、通常は0.1〜10質量%で使用される。
また、光重合開始剤の割合としては、重合性イオン液体100質量部に対し0.01乃至10質量部であり、好ましくは0.05乃至5質量部である。
また、本発明の感光性組成物が成分(a)〜(d’)以外のその他の成分(但し、溶媒は除く)を含む場合には、その含有量としては、成分(a)、(b)、(c)及び(d)の合計質量、又は成分(b)、(c)及び(d’)の合計質量の合計質量に対して0.0001〜1倍の質量、又は0.01〜0.5倍の質量で使用することができる。
【実施例】
【0096】
実施例1
[CdSe微粒子の合成]
窒素雰囲気下、水2mLに、セレン39mg(0.49mmol)及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム88mg(2.3mmol)を加え、0℃に冷却して撹拌し、NaHSe水溶液を調製した。
別途、窒素雰囲気下、水10mLに、塩化カドミウム2.5水和物29mg(0.13mmol)及びジメチルアミンエタンチオール塩酸塩44mg(0.31mmol)を加え、100℃に加熱した。この溶液に前記NaHSe水溶液0.24mLを加え、3時間撹拌することでCdSe微粒子分散水溶液を作製した。得られた水溶液中のCdSe微粒子を透過型電子顕微鏡で観察したところ、この微粒子の粒径は約3nmであった。
【0097】
[測定サンプルの調製]
重合性イオン液体として2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[パイオトレック(株)製、商品名:TREKSTAR MOE−200]1mLに、CdSe微粒子分散水溶液20mLを加えて撹拌することにより、CdSe微粒子を重合性イオン液体へ抽出した。その後、デカンテーション及び真空乾燥(40℃、60Pa)で水を除去することでCdSe分散重合性イオン液体を得た。
得られたCdSe分散重合性イオン液体に、光重合開始剤イルガキュア784[チバ・ジャパン(株)製、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,
6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム]0.014gを溶解したテトラヒドロフラン(THF)溶液を加え、均一に分散した。続けて真空乾燥(40℃、60Pa)により溶媒として用いたTHFを除去した。このとき組成物全量(光重合開始剤、CdSe微粒子及び重合性イオン液体の総量)に対するCdSe微粒子の重量分率は1.5%(0.40体積%)であった。
【0098】
[ホログラフィック測定]
スライドガラスの両端部にスペーサとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り、スライドガラス中央(スペーサに挟まれた領域)に記録層として上記混合物を滴下し、その後スライドガラスをかぶせ、膜厚が約59μmの体積位相型ホログラム記録媒体を作製した(媒体1)。
本記録媒体1に対し、図1に示す装置によって、二光束干渉露光を行い体積位相型ホログラムの記録を試みた。
媒体1に対し、波長532nmのNd:YVO4レーザーを用いて、露光パワー密度5
mW/cm2で二光束干渉露光を行った。Nd:YVO4レーザーから出射した光はビームエキスパンダを経てハーフミラーで2本に分割され、それぞれミラーを経て媒体1に照射され、両光の干渉縞が記録されホログラムが形成される。同時に、媒体1が感光しない波長632.8nmのヘリウムネオンレーザを媒体1に照射し、回折光を光検出器で検出することによりホログラム形成過程をモニターし、回折効率を評価した。本サンプルの回折効率は光照射後およそ1,200秒で約0.9%に達した。すなわちCdSe微粒子を用いて体積位相型ホログラムが形成されることが確認できた。また、散乱による損失は1%未満(検出限界以下)であることが確認できた。実施例1における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を図2に示す。
【0099】
実施例2
実施例1と同様の方法で、2官能以上の重合性化合物として6官能のウレタンアクリレート、EBECRYL8301[ダイセル・サイテック(株)製]の組成物全量(光重合開始剤、CdSe微粒子、重合性イオン液体及び2官能以上の重合性化合物の総量)に対する重量分率が7.8%(9体積%)のサンプルを作成し、回折効率を測定した。このときCdSe微粒子の重量分率は同1.4%(0.36体積%)であった。
本サンプルのホログラフィック測定として、波長532nmのNd:YVO4レーザー
を用いて、露光パワー密度100mW/cm2で二光束干渉露光を行った。回折効率は光
照射後およそ300秒で約80%に達した。また散乱損失は1%未満(検出限界以下)であった。実施例2における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を図3に示す。
【0100】
実施例3
実施例1と同様の方法で、2官能以上の重合性化合物として6官能のウレタンアクリレート、EBECRYL8301[ダイセル・サイテック(株)製]の重量分率が同12%(14体積%)のサンプルを作成し、回折効率を測定した。このときCdSe微粒子の重量分率は1.4%(0.34体積%)であった。
本サンプルのホログラフィック測定として、波長532nmのNd:YVO4レーザー
を用いて、露光パワー密度100mW/cm2で二光束干渉露光を行った。回折効率は光
照射後およそ700秒で約90%に達した。また散乱損失は1%未満(検出限界以下)であった。実施例3における体積ホログラム記録媒体の回折効率の露光時間変化を図4に示す。
【0101】
比較例1
イオン液体、カルコゲン化合半導体微粒子を含まない以外は実施例2と同様にして体積位相型ホログラム記録媒体を作成した。回折効率は0.1%未満であり、回折格子がほとんど形成されないことが確認された。
【0102】
比較例2
30.5質量%シリカ分散液(メチルエチルケトン分散液)[日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックスMEK−ST、平均粒径約11〜13nm]10.0gに、光重合開始剤イルガキュア784[チバ・ジャパン(株)製]0.032gを溶解し、重合性化合物としてp−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン3.2gを加え均一溶液とした。このとき組成物全量(重合性化合物、光重合開始剤、及びシリカ微粒子)に対するシリカ微粒子の重量分率は49%(34体積%)であった。
得られた組成物用いて、実施例1と同様の方法で膜厚が約45μmの体積位相型ホログラム記録媒体を作製した。
本サンプルのホログラフィック測定として、波長532nmのNd:YVO4レーザー
を用いて、露光パワー密度100mW/cm2で二光束干渉露光を行った。回折効率は9
0%であったが、散乱損失は約4%であった。
【符号の説明】
【0103】
1 ・・・ ホログラム記録媒体
2 ・・・ Nd:YVO4レーザー
3 ・・・ ビームエキスパンダ
4 ・・・ He−Neレーザー
5、6、7、8、9、10、11 ・・・ ミラー
12 ・・・ ビームサンプラー
13 ・・・ ハーフミラー
14、15 ・・・ 半波長板
16、17 ・・・ 偏光プリズム
18、19、20 ・・・ 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン露光によってパターンを形成するために使用される感光性組成物であって、(a)重合性化合物、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d)イオン液体を含む感光性組成物。
【請求項2】
パターン露光によってパターンを形成するために使用される感光性組成物であって、(b)光重合開始剤、(c)カルコゲン化合半導体微粒子、及び(d’)重合性イオン液体を含む感光性組成物。
【請求項3】
パターン露光により、成分の物質移動が生じ屈折率の空間分布が変化したパターンを形成する、請求項1又は請求項2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記パターン露光が干渉露光であり、該干渉露光によりホログラムを形成するために使用される、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記(c)カルコゲン化合半導体微粒子が、陽イオン性分子で表面が被覆されているカルコゲン化合半導体微粒子であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記(c)カルコゲン化合半導体微粒子が平均粒径が1nm以上10nm以下の微粒子である、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記(a)重合性化合物がエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、且つ、前記(b)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である、請求項1又は請求項3乃至請求項6のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項8】
前記(d’)重合性イオン液体がエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、且つ、前記(b)光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である、請求項2乃至請求項6のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記(a)重合性化合物がカチオン重合性の部位を有する化合物であり、前記(b)光重合開始剤が光酸発生剤である、請求項1又は請求項3乃至請求項6のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記(d’)重合性イオン液体がカチオン重合性の部位を有する液体化合物であり、前記(b)光重合開始剤が光酸発生剤である、請求項2乃至請求項6のうち何れか一項に記載の感光性組成物。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の感光性組成物を支持体上に塗布することによって得られるホログラム記録層。
【請求項12】
支持体、該支持体の上に請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の感光性組成物を塗布することによって得られるホログラム記録層、及び該ホログラム記録層の上層を覆う保護材を含む、ホログラム記録媒体。
【請求項13】
前記支持体及び前記保護材が共に透明な樹脂フィルムである、請求項12に記載のホログラム記録媒体。
【請求項14】
請求項1乃至請求項10のうち何れか一項に記載の感光性組成物を、支持体に塗布し塗布
膜を形成する工程、及び前記塗布膜にパターン露光する工程を含む、パターンの形成方法。
【請求項15】
前記パターン露光が干渉露光である、請求項14に記載のパターンの形成方法。
【請求項16】
(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d)イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(a)重合性化合物及び(b)光重合開始剤とを混合することを特徴とする、請求項1又は請求項3乃至請求項7又は請求項9のうち何れか一項に記載の感光性組成物の製造方法。
【請求項17】
(c)カルコゲン化合半導体微粒子を(d’)重合性イオン液体に分散させ、得られた分散液と、(b)光重合開始剤とを混合することを特徴とする、請求項2乃至請求項6又は請求項8又は請求項10のうち何れか一項に記載の感光性組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137854(P2011−137854A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295777(P2009−295777)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(504133110)国立大学法人電気通信大学 (383)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】