説明

半導体発光素子の点灯装置およびそれを用いた照明器具

【課題】臨界モードで動作するスイッチング電源によりLEDを調光点灯する装置において、スイッチング周波数の変動範囲を所定の範囲内に制限しながら広い範囲の調光を可能とする。
【解決手段】スイッチング素子Q1に流れる電流が所定値に達するとスイッチング素子Q1をオフ制御すると共に、スイッチング素子Q1がオフされた後、インダクタL1に蓄積されたエネルギーの放出が完了した時点でスイッチング素子Q1をオン制御する制御手段を備える半導体発光素子の点灯装置において、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止することによる調光動作と、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を可変制御することによる調光動作を組み合わせることにより、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数を所定の最高周波数fmaxと最低周波数fminの間の周波数範囲に制限した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)のような半導体発光素子を調光点灯させる半導体発光素子の点灯装置及びそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDの調光制御方式として、LEDに流れる電流を100Hz〜数kHz程度の低周波で間欠的に休止させて、その電流休止期間の長さを調整することで、光出力の平均値を調整するPWM調光や、LEDに流れる電流の振幅を調整することで、LEDの光出力を調整する振幅調光が知られている。また、これらのPWM調光と振幅調光を組み合わせた調光制御も種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平10−133613号公報)には、高輝度領域ではPWM調光、低輝度領域では振幅調光とPWM調光を組み合わせて用いることが提案されている。また、特許文献2(特開2002−231470号公報)には、外部から入力されたPWM信号をパルス幅の異なる第2のPWM信号に変換し、変換後のPWM信号に応じてLEDに流れる電流を断続すると共に、そのPWM信号を平滑化した直流電圧に応じてLEDに流れる電流の振幅を調節する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−133613号公報(図1−図3)
【特許文献2】特開2002−231470号公報(図1−図4)
【特許文献3】特開2010−40878号公報(図1、図2、段落35、40)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の技術では、LEDに流れる電流の振幅を調節するために、トランジスタの導通抵抗を可変制御しており、電力ロスが大きかった。電力ロスを低減するには、LEDに流れる電流の振幅をチョッパ回路のようなスイッチング電源回路により調整することが有効である。特に、回生電流のゼロクロスを検出してスイッチング素子をオン制御する臨界モードで動作するスイッチング電源回路は電力変換効率が高いことが知られている。
【0006】
例えば、特許文献3(特開2010−40878号公報)には臨界モードで動作する降圧チョッパ回路を用いてLEDに流れる電流を定電流制御する構成が開示されている。また、同文献の段落35、40によれば、調光信号に応じて降圧チョッパ回路のスイッチング素子の駆動信号をPWM制御することが提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献3の提案は、スイッチング素子のオンパルス幅をPWM制御するという意味に解されるものであり、臨界モードで動作するスイッチング電源回路において、オンパルス幅を調光信号に応じて任意に可変制御すると、回生電流がゼロクロスするまでの時間が変動することにより、スイッチング周波数が広い範囲で変動するという問題がある(図4(e)参照)。また仮に、特許文献3のPWM制御を低周波のPWM信号に応じて高周波のスイッチング動作を間欠的に休止するという意味に解したとしても、その場合、PWM信号の可変範囲でしか調光できないから、調光範囲が制限されるという問題がある。
【0008】
本発明は、臨界モードで動作するスイッチング電源回路を用いてLEDを調光点灯する場合に、スイッチング周波数の変動範囲を所定の範囲内に制限しながら広い範囲の調光を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、上記の課題を解決するために、図1に示すように、直流電源に直列接続されて高周波でオンオフ制御されるスイッチング素子Q1と;前記スイッチング素子Q1と直列に接続されて前記スイッチング素子Q1のオン時に前記直流電源から電流が流れるインダクタL1と;前記スイッチング素子Q1のオン時に前記インダクタL1に蓄積されたエネルギーを前記スイッチング素子Q1のオフ時に半導体発光素子4に放出する回生ダイオードD1と;前記スイッチング素子Q1に流れる電流を検出する電流検出手段(抵抗R1)と;前記電流検出手段により検出される電流値が所定値に達すると、前記スイッチング素子Q1をオフさせると共に前記インダクタL1のエネルギー放出が完了したときに前記スイッチング素子Q1をオンさせる制御回路5とを備える半導体発光素子の点灯装置において、前記スイッチング素子Q1のオンオフ周波数よりも十分に低い周波数で前記スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止することにより前記半導体発光素子4の光出力を低減する第1の調光動作と、前記所定値を可変とすることにより前記半導体発光素子4の光出力を可変とする第2の調光動作を組み合わせることにより、図4(a)〜〈e〉に示すように、前記スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fを所定の最高周波数fmaxと最低周波数fminの間の周波数範囲に制限したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の半導体発光素子の点灯装置において、図1に示すように、前記所定の最高周波数fmaxと最低周波数fminの間の周波数成分を雑音規制の範囲内に低減するフィルタ回路2aを備え、前記直流電源は商用交流電源を前記フィルタ回路2aと整流平滑回路2bを介して直流変換した直流電圧を出力する回路であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の半導体発光素子の点灯装置において、図4(b),(c)に示すように、第2の調光動作により前記所定値を低減することで前記スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fが前記所定の最高周波数fmaxに達した後は、第1の調光動作により前記半導体発光素子4の光出力を低減することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子の点灯装置において、図4(a),(c)に示すように、第2の調光動作により前記所定値を増加させることで前記スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fが前記所定の最低周波数fminに達した後は、第1の調光動作により前記半導体発光素子4の光出力を増加させることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1又は2記載の半導体発光素子の点灯装置において、図4(d)に示すように、所定の最高周波数fmaxおよび最低周波数fmin以外のオンオフ周波数で第1の調光動作が行われることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子の点灯装置と、この点灯装置から電流を供給される半導体発光素子を具備する照明器具である(図7)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、スイッチング素子のオンオフ動作を間欠的に休止することによる調光動作と、スイッチング素子に流れる電流のピーク値を可変制御することによる調光動作を組み合わせることにより、スイッチング素子のオンオフ周波数を所定の最高周波数と最低周波数の間の周波数範囲に制限したから、スイッチング素子のオンオフ周波数が高くなり過ぎたり、低くなり過ぎることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1の点灯装置の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の点灯装置に用いる制御用集積回路の内部構成を簡略化して示した回路図である。
【図3】本発明の実施形態1の点灯装置を用いたLED調光点灯装置の全体構成を示すブロック回路図である。
【図4】本発明の実施形態1の調光制御例を示す動作説明図である。
【図5】本発明の実施形態2の点灯装置の要部構成例を示す回路図である。
【図6】本発明を適用できる各種のスイッチング電源回路の回路図である。
【図7】本発明の実施形態4の照明器具の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の点灯装置の回路図である。この点灯装置は、電源コネクタCON1と出力コネクタCON2を備えている。電源コネクタCON1には商用交流電源(100V、50/60Hz)が接続される。出力コネクタCON2には、発光ダイオード(LED)のような半導体発光素子4が接続される。半導体発光素子4は複数個のLEDを直列または並列または直並列接続したLEDモジュールであっても良い。
【0018】
電源コネクタCON1には、電流フューズFUSEとフィルタ回路2aを介して整流平滑回路2bが接続されている。フィルタ回路2aは、サージ電圧吸収素子ZNR、フィルタコンデンサCa,Cb及びコモンモードチョークコイルLFで構成されている。整流平滑回路2bは、ここでは全波整流器DBと平滑コンデンサC0よりなる回路を図示しているが、昇圧チョッパ回路を用いた力率改善回路であっても良い。
【0019】
整流平滑回路2bの出力端には、降圧チョッパ回路3が接続されている。降圧チョッパ回路3は、直流電流により点灯する半導体発光素子4に対して直列に接続されるインダクタL1と、前記インダクタL1と半導体発光素子4の直列回路と整流平滑回路2bの出力との間に直列に接続されるスイッチング素子Q1と、前記インダクタL1と半導体発光素子4の直列回路と並列に接続されて、前記スイッチング素子Q1のオフ時に前記インダクタL1の蓄積エネルギーを前記半導体発光素子4に放出する方向に接続された回生ダイオードD1とを備えている。また、前記半導体発光素子4と並列に出力コンデンサC2が接続されている。この出力コンデンサC2は、前記スイッチング素子Q1のオンオフによる脈動成分を平滑化して前記半導体発光素子4に平滑化された直流電流が流れるように容量を設定されている。
【0020】
スイッチング素子Q1は制御回路5により高周波でオンオフ駆動される。制御回路5は制御用集積回路50とその周辺回路よりなる。制御用集積回路50として、ここではSTマイクロエレクトロニクス社製のL6562を用いている。このチップ(L6562)は、本来は、PFC回路(力率改善制御用の昇圧チョッパ回路)の制御用ICであり、内部に乗算回路など、降圧チョッパ回路の制御には余分な構成要素を含んでいる。その反面、入力電流の平均値を入力電圧の包絡線と相似形とする制御のために、入力電流のピーク値を制御する機能と、ゼロクロス制御機能を1チップ内に具備しており、これらの機能を降圧チョッパ回路の制御に転用している。
【0021】
図2は本実施形態に用いる制御用集積回路50の内部構成を簡略化して示している。1番ピン(INV)は内蔵の誤差増幅器(エラーアンプ)EAの反転入力端子、2番ピン(COMP)は誤差増幅器EAの出力端子、3番ピン(MULT)は乗算回路52の入力端子、4番ピン(CS)はチョッパ電流検出端子、5番ピン(ZCD)はゼロクロス検出端子、6番ピン(GND)はグランド端子、7番ピン(GD)はゲートドライブ端子、8番ピン(Vcc)は電源端子である。
【0022】
電源端子Vccとグランド端子GNDの間に所定電圧以上の制御電源電圧が供給されると、制御電源51により基準電圧Vref1、Vref2が生成されると共に、集積回路内部の各回路が動作可能となる。スタータ53により電源投入時にはフリップフロップFF1のセット入力端子Sにスタートパルスが供給されて、フリップフロップFF1のQ出力はHighレベルとなる。これにより駆動回路54を介して7番ピン(ゲートドライブ端子GD)がHighレベルとなる。
【0023】
7番ピン(ゲートドライブ端子GD)がHighレベルとなると、図1の抵抗R21、R20で分圧されたゲート駆動電圧がMOSFETよりなるスイッチング素子Q1のゲート・ソース間に印加される。抵抗R1は電流検出用の小抵抗であるので、ゲート・ソース間の駆動電圧には殆ど影響しない。
【0024】
スイッチング素子Q1がオンになると、コンデンサC0の正極から出力コンデンサC2、インダクタL1、スイッチング素子Q1、抵抗R1を介してコンデンサC0の負極へ電流が流れる。このとき、インダクタL1に流れるチョッパ電流iは、インダクタL1が磁気飽和しない限り略直線的に上昇する電流となる。この電流は抵抗R1により検出されて、制御用集積回路50の4番ピン(CS)に入力される。
【0025】
制御用集積回路50の4番ピン(CS)はチョッパ電流検出端子であり、その電圧は、IC内部の40KΩと5pFのノイズフィルタを介してコンパレータCP1の+入力端子に印加される。コンパレータCP1の−入力端子には基準電圧が印加されている。この基準電圧は1番ピン(INV)の印加電圧V1と3番ピン(MULT)の印加電圧V3により決定される。
【0026】
チョッパ電流検出端子CSの電圧が基準電圧を超えると、コンパレータCP1の出力がHighレベルとなり、フリップフロップFF1のリセット入力端子Rにリセット信号が入力される。これによりフリップフロップFF1のQ出力はLowレベルとなる。このとき、駆動回路54は7番ピン(ゲートドライブ端子GD)から電流を引き込むように動作するので、図1のダイオードD22がオンとなり、抵抗R22を介してスイッチング素子Q1のゲート・ソース間電荷が引き抜かれて、MOSFETよりなるスイッチング素子Q1は速やかにオフとなる。
【0027】
スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1に蓄積されていた電磁エネルギーが回生ダイオードD1を介して出力コンデンサC2に放出される。このとき、インダクタL1の両端電圧は出力コンデンサC2の電圧Vc2にクランプされるので、インダクタL1の電流iは略一定の傾き(di/dt≒−Vc2/L1)で減少して行く。
【0028】
コンデンサC2の電圧Vc2が高いときには、インダクタL1の電流iは急速に減衰し、コンデンサC2の電圧Vc2が低いときには、インダクタL1の電流iは緩慢に減衰する。したがって、インダクタL1に流れる電流のピーク値が一定であっても、インダクタL1の電流iが消失するまでの時間は負荷電圧に応じて変化する。その所要時間はコンデンサC2の電圧Vc2が高いほど短く、低いほど長い。
【0029】
インダクタL1に電流iが流れている期間中は、インダクタL1の2次巻線n2にはインダクタL1の電流iの傾きに応じた電圧が発生している。この電圧は、インダクタL1の電流iが流れ終わると、消失する。そのタイミングを5番ピン(ゼロクロス検出端子ZCD)で検出する。
【0030】
制御用集積回路50の5番ピン(ゼロクロス検出端子ZCD)には、ゼロクロス検出用のコンパレータCP2の−入力端子が接続されている。コンパレータCP2の+入力端子にはゼロクロス検出用の基準電圧Vref2が印加されている。5番ピン(ゼロクロス検出端子ZCD)に印加されていた2次巻線n2の電圧が消失すると、コンパレータCP2の出力がHighレベルとなり、ORゲートを介してフリップフロップFF1のセット入力端子Sにセットパルスが供給され、フリップフロップFF1のQ出力はHighレベルとなる。これにより駆動回路54を介して7番ピン(ゲートドライブ端子GD)がHighレベルとなる。以下、同じ動作を繰り返す。
【0031】
このようにして出力コンデンサC2にはコンデンサC0の出力電圧を降圧した直流電圧が得られる。この直流電圧は出力コネクタCON2を介して半導体発光素子4に供給される。半導体発光素子4として発光ダイオード(LED)を用いた場合、LEDの順電圧をVf、直列個数をn個とすると、出力コンデンサC2の電圧Vc2は略n×Vfにクランプされる。
【0032】
LEDの直列個数nが多いとき、出力コンデンサC2の電圧Vc2は高いから、コンデンサC0の電圧Vdcとの電圧差(Vdc−Vc2)は小さくなる。このため、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタL1に分担される電圧は小さく、インダクタL1に流れる電流iの上昇速度di/dt=(Vdc−Vc2)/L1は遅くなる。結果的に、インダクタL1に流れる電流iが所定のピーク値に到達するまでの時間は長くなり、スイッチング素子Q1のオン時間は長くなる。
【0033】
スイッチング素子Q1のオフ時には、インダクタL1の両端に発生する逆起電力は、コンデンサC2の電圧Vc2(=n×Vf)にクランプされる。このため、LEDの直列個数nが多いとき、スイッチング素子Q1のオフ時にインダクタL1に印加される電圧は大きく、インダクタL1に流れる電流iの減衰速度di/dt=−Vc2/L1は速くなる。結果的に、インダクタL1に流れる電流iがゼロになるまでの時間は短くなり、スイッチング素子Q1のオフ時間は短くなる。
【0034】
LEDの直列個数nが少ないときは、上述の説明とは逆に、スイッチング素子Q1のオン時間は短くなり、オフ時間は長くなる。つまり、LEDの直列個数nが少ないときは、出力コンデンサC2の電圧Vc2は低いから、コンデンサC0の電圧Vdcとの電圧差(Vdc−Vc2)は大きくなる。このため、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタL1に分担される電圧は大きく、インダクタL1に流れる電流iの上昇速度di/dt=(Vdc−Vc2)/L1は速くなる。結果的に、インダクタL1に流れる電流iが所定のピーク値に到達するまでの時間は短くなり、スイッチング素子Q1のオン時間は短くなる。
【0035】
スイッチング素子Q1のオフ時には、インダクタL1の両端に発生する逆起電力は、コンデンサC2の電圧Vc2(=n×Vf)にクランプされる。このため、LEDの直列個数nが少ないとき、スイッチング素子Q1のオフ時にインダクタL1に印加される電圧は小さく、インダクタL1に流れる電流iの減衰速度di/dt=−Vc2/L1は遅くなる。結果的に、インダクタL1に流れる電流iがゼロになるまでの時間は長くなり、スイッチング素子Q1のオフ時間は長くなる。
【0036】
このように、本実施形態の点灯装置によれば、LEDの直列個数nが多くなると、自動的にスイッチング素子Q1のオン時間が長く、オフ時間が短くなり、LEDの直列個数nが少なくなると、自動的にスイッチング素子Q1のオン時間が短く、オフ時間が長くなる。したがって、LEDの直列個数nに関わらず、定電流特性を維持できる仕組みとなっている。
【0037】
なお、制御電源回路10の詳しい構成については限定しないが、ここでは平滑コンデンサC3とその電圧を規制するツェナーダイオードZD1を備えている。最も簡単な例では、コンデンサC0の正極から高抵抗を介してコンデンサC3の正極に充電電流を供給する構成でも構わない。より効率の良い電源供給手段としては、定常時にインダクタL1の2次巻線n2からコンデンサC3を充電するような構成を採用しても良い。
【0038】
また、本実施形態では、インダクタL1の2次巻線n2の電圧消失のタイミングを検出することで、インダクタL1に流れる電流が略ゼロになるタイミングを検出しているが、他の手段として、回生ダイオードD1の逆方向電圧の上昇を検出したり、スイッチング素子Q1の両端電圧の降下を検出する等、回生電流が消失するタイミングを検出できる手段であれば、具体的な手段は変更しても構わない。
【0039】
《調光動作について》
本実施形態の構成によれば、負荷が異なる場合であってもチョッパ電流の平均値は殆ど変化しない。したがって、チョッパ電流の脈動成分を出力コンデンサC2により平滑化して負荷に供給される出力電流の実効値は、負荷に関わらず略一定となる。
【0040】
そこで、高周波のチョッパ動作を低周波のPWM信号に応じて間欠的に停止させることにより、PWM信号のデューティに応じた出力電流を半導体発光素子4に供給することができ、精度の高い調光が可能となる。そのために、図1の実施形態では、スイッチング素子Q1の制御電極とグランドの間にスイッチング素子Q2を接続し、このスイッチング素子Q2のゲート電圧V2を低周波のPWM信号に応じて制御している(第1の調光動作)。
【0041】
また、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を変化させれば、チョッパ電流の平均値は、常にスイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値の1/2となるので、精度の高い調光が可能となる。そのために、図1の実施形態では、制御用集積回路50の1番ピン(INV)の印加電圧V1、または3番ピン(MULT)の印加電圧V3を制御可能としている(第2の調光動作)。
【0042】
《第1の調光動作の詳細》
まず、スイッチング素子Q2を低周波のPWM信号に応じてオン/オフ制御する第1の調光動作について説明する。低周波のPWM信号は、例えば、1kHzの矩形波電圧信号であり、1周期中のLowレベルの期間が長いほど調光出力が大きくなるような調光信号である。この種のPWM信号は、蛍光灯の調光点灯装置の分野において広く用いられており、図3に示すように、点灯装置1のコネクタCON3を介して調光信号線から供給され、整流回路5a、絶縁回路5b、波形整形回路5c、信号変換回路5dを介して、制御回路5に入力される。
【0043】
図1の回路では、図3の信号変換回路5dから出力された低周波のPWM信号をスイッチング素子Q2のゲート電圧V2としており、ゲート電圧V2がHighレベルのとき、スイッチング素子Q2はオンとなり、スイッチング素子Q1の制御電極とグランドの間を短絡させる。また、ゲート電圧V2がLowレベルのとき、スイッチング素子Q2はオフ(高インピーダンス状態)となり、接続されていないのと同じ状態となる。
【0044】
スイッチング素子Q2がオンされている間は、抵抗R21とスイッチング素子Q2の接続点が常にLowレベルとなる。したがって、制御用集積回路50の7番ピン(ゲートドライブ端子GD)が高周波でHigh/Lowに切り替わっても、そのゲートドライブ出力は抵抗R21で消費されることになり、スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。
【0045】
また、スイッチング素子Q2がオフされている場合、制御用集積回路50の7番ピン(ゲートドライブ端子GD)が高周波でHigh/Lowに切り替わるのに応じて、スイッチング素子Q1がオン/オフに切り替わるので、通常のチョッパ動作となる。
【0046】
したがって、チョッパ動作期間とチョッパ動作停止期間の比率は、PWM信号のLowレベル期間とHighレベル期間の比率と一致することになる。チョッパ動作期間では定電流が供給され、チョッパ動作停止期間では電流供給が停止されるので、結局、PWM信号の1周期に対するLowレベル期間の割合に応じた電流が半導体発光素子4に供給されることになる。これにより精度の高い調光が可能となる。
【0047】
また、上述のスイッチング素子Q2のオンオフ制御に代えて、もしくは、これと共に、制御用集積回路50の5番ピン(ZCD)を低周波のPWM信号に同期してグランドに短絡させることにより、制御用集積回路50の発振動作を間欠的に停止させるように制御しても良い。上述のように、制御用集積回路50として、STマイクロエレクトロニクス社製のL6562を用いた場合、ゼロクロス検出端子としての5番ピン(ZCD)には図2に示すようにディセーブル回路55が接続されており、5番ピンをグランドに短絡させると、ICの動作を停止させることができる。そこで、低周波のPWM信号がHighレベルのときは、5番ピン(ZCD)をグランドに短絡してICの動作を停止させ、低周波のPWM信号がLowレベルのときは、5番ピン(ZCD)を開放して通常の動作に戻す。これにより、低周波のPWM信号がLowレベルの期間と、Highレベルの期間の比率に応じて、調光が可能となる。
【0048】
図3の信号変換回路5dでは、調光信号線から供給されたPWM信号をパルス幅の異なる第2のPWM信号に変換して出力しても良いし、元のパルス幅のまま出力しても良い。また、信号変換回路5dでは、調光信号線から供給されたPWM信号のパルス幅に応じて変化するアナログの調光電圧Vdimを出力する。この調光電圧Vdimは第2の調光動作で用いられる。
次に、第2の調光動作について説明する。
【0049】
《第2の調光動作の詳細》
本実施形態では、信号変換回路5dから出力されるアナログの調光電圧Vdimに応じて、制御用集積回路50の1番ピン(INV)の印加電圧V1、または、3番ピン(MULT)の印加電圧V3を制御可能としている。これにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を変化させることができるので、調光が可能となる。
【0050】
スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値が増加すると、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数は低くなり、反対に、ピーク値が減少すると、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数は高くなる。なぜなら、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタL1に流れる漸増電流の傾き、並びに、スイッチング素子Q1のオフ時にインダクタL1に流れる漸減電流の傾きは、電源電圧Vdcと負荷電圧Vc2が同じであれば一定だからである。つまり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値が増減しても、インダクタL1に流れる漸増電流と漸減電流が形成する三角波は相似形を維持することになり、スイッチング素子Q1のオンオフ周期とスイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は比例関係を維持することになる。
【0051】
したがって、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数を所定の最高周波数fmax以下に制限しようとすると、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を所定の最低値Imin以上に制限する必要がある。また、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数を所定の最低周波数fmin以上に制限しようとすると、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を所定の最高値Imax以下に制限する必要がある。
【0052】
このように、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を所定の最低値Iminから所定の最高値Imaxの範囲に制限する動作は、信号変換回路5dから出力されるアナログの調光電圧Vdimの電圧範囲を制限することにより実現できる。
【0053】
《第1の調光動作と第2の調光動作の組み合わせについて》
図3の信号変換回路5dは、例えばマイクロコンピュータ等により構成されており、波形整形回路5cから出力されるPWM信号のパルス幅を読み取り、デジタル値に変換した後、メモリテーブルを参照し、図4(a)〜(e)に例示したような各種の調光動作を実現するように、アナログの調光電圧Vdimを生成すると共に、パルス幅を変換された第2のPWM信号を出力する。
【0054】
図4(a)の例では、光出力100%から所定の調光出力(例えば、光出力30%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作のみで光出力を低減する。また、前記所定の調光出力よりも低輝度側では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作のみで光出力を低減するか、もしくは、第2の調光動作と第1の調光動作を併用することで光出力を低減する。
【0055】
この調光制御によれば、特に低輝度側で滑らかな調光が可能となる利点がある。スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作だけでは、間欠発振期間が短くなると、その間欠発振期間中に含まれるスイッチング素子Q1のオンパルス数が数個〜1個のように少なくなり、間欠発振期間の変化に対する光出力の変化が離散的になることがある。このとき、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減することで、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数を高くすれば、間欠発振期間中に含まれるスイッチング素子Q1のオンパルス数を増大させることができるから、間欠発振期間の変化に対して光出力の変化が離散的になることを抑制できる。また、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は連続的に変化させることができるから、負荷電流の実効値を連続的に変化させることができ、これにより、特に低輝度側で滑らかな調光が可能となる。
【0056】
図4(b)の例では、光出力100%から所定の調光出力(例えば、光出力70%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作のみで光出力を低減するか、もしくは、第2の調光動作と第1の調光動作を併用することで光出力を低減する。また、前記所定の調光出力よりも低輝度側では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作のみで光出力を低減する。
【0057】
この調光制御によれば、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作による低輝度側での調光制御が、最高周波数fmaxにおいて実施されるので、間欠発振期間に含まれるスイッチング素子Q1のオンパルス数が最大となり、間欠発振期間の長さの変化に対する光出力の変化が滑らかとなる効果がある。
【0058】
図4(c)の例は、図4(a),(b)の制御を組み合わせたものであり、光出力100%から第1の調光出力(例えば、光出力70%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作のみで光出力を低減する。また、第1の調光出力から第2の調光出力(例えば、光出力30%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作のみで光出力を低減するか、もしくは、第2の調光動作と第1の調光動作を併用することで光出力を低減する。さらに、第2の調光出力よりも低輝度側では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作のみで光出力を低減する。
【0059】
図4(d)の例も、図4(a),(b)の制御を組み合わせたものであり、光出力100%から第1の調光出力(例えば、光出力80%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作のみで光出力を低減するか、もしくは、第2の調光動作と第1の調光動作を併用することで光出力を低減する。また、第1の調光出力から第2の調光出力(例えば、光出力20%)まで低下する過程では、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作のみで光出力を低減する。さらに、第2の調光出力よりも低輝度側では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作のみで光出力を低減するか、もしくは、第2の調光動作と第1の調光動作を併用することで光出力を低減する。
【0060】
図4(e)の例は、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる第1の調光動作と、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を低減する第2の調光動作を常に組み合わせて、光出力を制御している。
【0061】
光出力100%のときは、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fは最低周波数fminとなり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は最大となる。また、スイッチング素子Q1のオンオフ動作の休止期間は最小となる。一方、光出力が最低の時は、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fは最高周波数fmaxとなり、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は最低となる。また、スイッチング素子Q1のオンオフ動作の休止期間は最大となる。これにより、図4(e)の実線に示すように広い範囲で光出力を変化させても、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fは、所定の最低周波数fminから所定の最高周波数fmaxの範囲内に制限される。
【0062】
これに比べると、図4(e)の破線で示す特性は、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を増減する第2の調光動作のみで光出力を増減させた場合に、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数fが広い範囲で変動すること(特許文献3の欠点)を示している。負荷電流の実効値(平均値)はスイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値に比例するから、第2の調光動作のみで、例えば100%〜1%の範囲で光出力を可変制御しようとすると、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値は100:1の範囲で変化させなければならない。このとき、スイッチング素子Q1のオンオフ周波数は1:100の範囲で変化することになるから、最低周波数と最高周波数の比率は100倍にもなり、実用的ではない。
【0063】
しかし、最低周波数fminと最高周波数fmaxの比率を、例えば1:2程度に制限しようとすると、調光比は100%〜50%ということになり、これも実用的ではない。
【0064】
そこで、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値のみを制御するのではなく、スイッチング素子Q1のオンオフ動作を低周波で間欠的に休止させ、その休止期間の長さを可変とする制御と組み合わせる。これにより、図4(e)の実線(本発明)に示すように、光出力を広い範囲で制御可能としながら、しかもスイッチング素子Q1のオンオフ周波数fを所定の最高周波数fmaxと最低周波数fminの範囲内に制限することができるのである。
【0065】
なお、所定の最高周波数fmaxと最低周波数fminの範囲内の高周波成分は、フィルタ回路2aによりCISPR等で規定された雑音規制レベル以下に抑制できるものとする。
【0066】
図1の点灯装置を組み込んだLED調光点灯装置1の全体構成を図3に示した。電源回路2は上述のフィルタ回路2aと整流平滑回路2bを含んで構成されている。コンデンサCc、Cdは回路グランド(コンデンサC0の負極)を高周波的に器具シャーシに接続するためのコンデンサである。CON1は商用交流電源Vsに接続される電源コネクタ、CON2はリード線44を介して半導体発光素子4に接続される出力コネクタ、CON3は調光信号線を接続するためのコネクタである。調光信号線には、例えば、周波数が1kHz、振幅が10Vのデューティ可変の矩形波電圧信号よりなる調光信号が供給されている。
【0067】
コネクタCON3に接続された整流回路5aは、調光信号線の配線を無極性化するための回路であり、調光信号線を逆接続しても正常に動作するようになっている。つまり、入力された調光信号を全波整流器DB1で全波整流し、抵抗等のインピーダンス要素Z1を介してツェナーダイオードZDの両端に矩形波電圧信号を得ている。絶縁回路5bはフォトカプラPC1を備え、調光信号線と点灯装置を絶縁しながら、矩形波電圧信号を伝達している。波形整形回路5cは絶縁回路5bのフォトカプラPC1から出力された信号を波形整形して、HighレベルとLowレベルの明確なPWM信号として出力する回路である。調光信号線を介して長い距離を伝送されて来た矩形波電圧信号は、波形が歪んでいるので、波形整形回路5cを設けている。
【0068】
本発明の調光点灯装置では、波形整形回路5cの後にさらにマイクロコンピュータ等で構成される信号変換回路5dを設けて、アナログの調光電圧Vdimを生成し、その調光電圧Vdimに応じてスイッチング素子Q1の電流ピーク値を可変制御している。また、入力された調光信号とはパルス幅の異なる第2のPWM信号を生成し、変換後のPWM信号のパルス幅に応じてスイッチング素子Q1のオンオフ動作を間欠的に休止させる期間を可変制御している。
【0069】
なお、信号変換回路5dはマイクロコンピュータに限定されるものではなく、パルス幅を変換するための単安定マルチバイブレータと調光電圧Vdimを生成するためのCR平滑回路などで構成しても構わない。また、信号変換回路5dによりPWM信号のパルス幅を変換することは必須ではなく、PWM信号はそのまま通過させて、そのパルス幅に応じた調光電圧Vdimを生成するだけでも構わない。
【0070】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を変化させる第2の調光動作を実現するために、信号変換回路5dから出力されるアナログの調光電圧Vdimに応じて、制御用集積回路50の1番ピン(INV)の印加電圧V1、または、3番ピン(MULT)の印加電圧V3を制御していたが、本実施形態では、第2の調光動作を実現するための別の手段として、図1の制御用集積回路50の4番ピン(CS)の印加電圧V4に対してアナログの調光電圧Vdimに応じた補正値を加算したり減算することにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を変化させている。その他の構成及び動作は実施形態1と同じで良い。
【0071】
(実施形態2a)
図5(a)の例では、図1の制御用集積回路50の4番ピン(チョッパ電流検出端子CS)に接続された電流検出抵抗R1と並列に、抵抗R41とトランジスタTr1の直列回路を接続したものである。トランジスタTr1は不飽和領域で使用しており、その抵抗値はアナログの調光電圧Vdimに応じて可変制御される。
【0072】
アナログの調光電圧Vdimが高くなると、バイアス抵抗R42を介してトランジスタTr1に供給されるベース電流が増加するから、トランジスタTr1の抵抗値が下がる。すると、制御用集積回路50から見たときに、電流検出抵抗R1の抵抗値が低下したのと同じ効果があるから、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を増大させることができる。
【0073】
つまり、電流検出抵抗R1により検出される検出値から半導体発光素子4の目標増光量に応じた補正値を差し引くことにより半導体発光素子4を調光することができる。
【0074】
(実施形態2b)
図5(b)の例では、図1の制御用集積回路50の7番ピン(ゲートドライブ端子GD)から、電流検出抵抗R1の非接地側端子に対して間欠的に重畳電流を流す回路を設けたものである。重畳電流は7番ピン(ゲートドライブ端子GD)がHighレベルとなったタイミング、つまり、図1のスイッチング素子Q1がオンしている期間にのみ流れるから、常に重畳電流を流す場合に比べると、電流検出抵抗R1における電力消費を抑制できる。
【0075】
図示された例では、コレクタ接地されたPNPトランジスタTr3をエミッタフォロワ動作させることにより、アナログの調光電圧Vdimを低インピーダンス化し、スイッチング素子Q1のオン時に、7番ピンの出力電圧と調光電圧Vdimとの電圧差を抵抗R44で割った電流をPNPトランジスタTr2のベースに供給している。アナログの調光電圧Vdimが低くなると、トランジスタTr2のベース電流が増加し、抵抗R43、ダイオードD7を介して電流検出抵抗R1に重畳される電流が増加する。これにより、スイッチング素子Q1に流れる電流のピーク値を減少させることができる。
【0076】
つまり、電流検出抵抗R1により検出される検出値に半導体発光素子4の目標減光量に応じた補正値を重畳させることにより半導体発光素子4を調光することができる。
【0077】
(実施形態2c)
図5(c)の例では、図1の制御用集積回路50の7番ピン(ゲートドライブ端子GD)からのゲートドライブ信号を抵抗R44、R45とコンデンサCiよりなる平滑回路により積分することにより、調光電圧Vdimを自ら生成している。すなわち、この実施形態では、抵抗R44、R45とコンデンサCiよりなる平滑回路がPWM信号のHighレベル期間に応じた直流電圧を生成する信号変換回路として機能しているので、図3の信号変換回路5dは不要であり、波形整形回路5cから出力されたPWM信号を、そのまま図1のスイッチング素子Q2の駆動電圧V2として用いている。さらに、波形整形回路5cから出力されたPWM信号がHighレベルの期間では、制御用集積回路50の発振動作を停止させるべく、制御用集積回路50の5番ピンをグランドに短絡させている。
【0078】
上述のように、制御用集積回路50として、STマイクロエレクトロニクス社製のL6562を用いた場合、ゼロクロス検出端子としての5番ピン(ZCD)には図2に示すようにディセーブル回路55が接続されており、5番ピンをグランドに短絡させると、ICの動作を停止させることができる。そこで、低周波のPWM信号(図1のスイッチング素子Q2のゲート電圧V2)がHighレベルのときは、図5(c)のスイッチング素子Q3をオンさせて、5番ピン(ZCD)をグランドに短絡させてICの動作を停止させ、ゲートドライブ端子GD(7番ピン)からゲートドライブ信号が出力されないようにしている。このゲートドライブ信号の実効値に応じて、コンデンサCiの充電電圧が制御されるように、抵抗R44、R45とコンデンサCiの時定数を設定している。
【0079】
回路構成は簡単なものであり、放電抵抗R45が並列接続されたコンデンサCiと充電抵抗R44の直列回路を、トランジスタTr2のベースと回路グランドの間に接続し、前記トランジスタTr2のエミッタを制御用集積回路50のゲートドライブ端子GD(7番ピン)に接続し、コレクタを抵抗R43とダイオードD7の直列回路を介して電流検出抵抗R1の非接地側端子に接続したものである。
【0080】
低周波のPWM信号のHighレベルの期間が長くなると、制御用集積回路50のゲートドライブ端子GD(7番ピン)からゲートドライブ信号が出力される期間が短くなるから、コンデンサCiの充電電圧は低くなる。すると、スイッチング素子Q1のオン時にトランジスタTr2のベース電流が増加するので、抵抗R43、ダイオードD7を介して電流検出抵抗R1に重畳される電流は増大する。このため、スイッチング素子Q1のオン期間は短くなり、そのピーク電流は減少する。
【0081】
逆に、低周波のPWM信号のHighレベルの期間が短くなると、制御用集積回路50のゲートドライブ端子GD(7番ピン)からゲートドライブ信号が出力される期間が長くなるから、コンデンサCiの充電電圧は高くなる。すると、スイッチング素子Q1のオン時にトランジスタTr2のベース電流が減少するので、抵抗R43、ダイオードD7を介して電流検出抵抗R1に重畳される電流は減少する。このため、スイッチング素子Q1のオン期間は長くなり、そのピーク電流は増加する。
【0082】
本実施形態によれば、図4(a)または(e)に示す調光動作を簡単な回路構成で実現できる。また、副次的な作用効果として、電源投入時にコンデンサCiが充電されるまでの間、光出力が徐々に増大するソフトスタートの機能を兼用することもできる。
【0083】
(実施形態3)
上述の実施形態1、2では、降圧チョッパ回路3のスイッチング素子Q1が低電位側に配置されている回路例について説明したが、図6(a)に示すように、降圧チョッパ回路3aのスイッチング素子Q1が高電位側に配置されている場合であっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0084】
また、図6(b)〜(d)に示すような各種のスイッチング電源回路に本発明を適用することもできる。図6(b)は昇圧チョッパ回路3b、図6(c)はフライバックコンバータ回路3c、図6(d)は昇降圧チョッパ回路3dの例である。これらは例示であり、スイッチング素子Q1のオン時にインダクタンス要素(インダクタL1またはトランスT1)に流れる電流が所定値に達するとスイッチング素子Q1をオフ制御するピーク電流検出動作と、スイッチング素子Q1のオフ時にインダクタンス要素から回生ダイオードD1を介して放出される電流が略ゼロになるとスイッチング素子Q1をオン制御するゼロクロス検出動作を併用しているスイッチング電源回路であれば、本発明を適用することができる。
【0085】
(実施形態4)
図7は本発明のLED点灯装置を用いた電源別置型LED照明器具の概略構成を示している。この電源別置型LED照明器具では、LEDモジュール40の筐体42とは別のケースに電源ユニットとしての調光点灯装置1を内蔵している。こうすることによってLEDモジュール40は薄型化することが可能となり、別置型の電源ユニットとしての調光点灯装置1は場所によらず設置可能となる。
【0086】
器具筐体42は、下端開放された金属製の円筒体よりなり、下端開放部は光拡散板43で覆われている。この光拡散板43に対向するように、LEDモジュール40が配置されている。41はLED実装基板であり、LEDモジュール40のLED4a〜4dを実装している。器具筐体42は天井100に埋め込まれており、天井裏に配置された電源ユニットとしての調光点灯装置1からリード線44とコネクタ45を介して配線されている。
【0087】
電源ユニットとしての調光点灯装置1の内部には、図3に示すような回路が収納されている。LED4a〜4dの直列回路(LEDモジュール40)が上述の半導体発光素子4に対応している。
【0088】
本実施形態では、電源ユニットとしての調光点灯装置1がLEDモジュール40とは別の筐体に収納される電源別置型LED照明器具を例示したが、LEDモジュール40と同じ筐体に電源ユニットを収納した電源一体型LED照明器具に本発明の点灯装置を用いても構わない。
【0089】
また、本発明の点灯装置は、照明器具に限らず、各種の光源、例えば、液晶ディスプレイのバックライトや、複写機、スキャナ、プロジェクタなどの光源として利用しても構わない。
【0090】
上述の各実施形態の説明では、半導体発光素子4として発光ダイオードを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、有機EL素子や半導体レーザー素子などであっても良い。
【符号の説明】
【0091】
Q1 スイッチング素子
L1 インダクタ
D1 ダイオード
R1 電流検出抵抗
4 半導体発光素子
5 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源に直列接続されて高周波でオンオフ制御されるスイッチング素子と;前記スイッチング素子と直列に接続されて前記スイッチング素子のオン時に前記直流電源から電流が流れるインダクタンス要素と;前記スイッチング素子のオン時に前記インダクタンス要素に蓄積されたエネルギーを前記スイッチング素子のオフ時に半導体発光素子に放出する回生ダイオードと;前記スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出手段と;前記電流検出手段により検出された電流値が所定値に達すると、前記スイッチング素子をオフさせると共に前記インダクタンス要素のエネルギー放出が完了したときに前記スイッチング素子をオンさせる制御手段とを備える半導体発光素子の点灯装置において、
前記スイッチング素子のオンオフ周波数よりも十分に低い周波数で前記スイッチング素子のオンオフ動作を間欠的に休止することにより前記半導体発光素子の光出力を低減する第1の調光動作と、
前記所定値を可変とすることにより前記半導体発光素子の光出力を可変とする第2の調光動作を組み合わせることにより、
前記スイッチング素子のオンオフ周波数を所定の最高周波数と最低周波数の間の周波数範囲に制限したことを特徴とする半導体発光素子の点灯装置。
【請求項2】
前記所定の最高周波数と最低周波数の間の周波数成分を雑音規制の範囲内に低減するフィルタ回路を備え、前記直流電源は商用交流電源を前記フィルタ回路と整流平滑回路を介して直流変換した直流電圧を出力する回路であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子の点灯装置。
【請求項3】
第2の調光動作により前記所定値を低減することで前記スイッチング素子のオンオフ周波数が前記所定の最高周波数に達した後は、第1の調光動作により前記半導体発光素子の光出力を低減することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子の点灯装置。
【請求項4】
第2の調光動作により前記所定値を増加させることで前記スイッチング素子のオンオフ周波数が前記所定の最低周波数に達した後は、第1の調光動作により前記半導体発光素子の光出力を増加させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体発光素子の点灯装置。
【請求項5】
所定の最高周波数および最低周波数以外のオンオフ周波数で第1の調光動作が行われることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子の点灯装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の半導体発光素子の点灯装置と、この点灯装置から電流を供給される半導体発光素子を具備する照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−59662(P2012−59662A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204340(P2010−204340)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】